中国における日本映画(邦画)の興行収入ランキング(歴代)。1位は「すずめの戸締まり」、2位は「君たちはどう生きるか」、3位は「ファースト・スラムダンク」。上位20位をアニメが独占している。実写(非アニメ)では「万引き家族」(2018年公開、是枝裕和監督)が最高記録を誇るが、順位としては30位前後にとどまる。~データ参照元:プレナス投資顧問(旧:TSチャイナ・リサーチ)
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| 順位 | 作品名 | 中国興行収入 | 公開年 |
|---|---|---|---|
| 1位 |
「すずめの戸締まり」
(中国題:铃芽之旅) 説明▼ |
8.07 億元
(約160億円) |
2023年 |
| 2位 |
「君たちはどう生きるか」
(中国題:你想活出怎样的人生) |
7.91 億元 | 2024年 |
| 3位 |
「THE FIRST SLAM DUNK」
(中国題:灌篮高手) |
6.60 億元 | 2023年 |
| 4位 |
「君の名は。」
(中国題:你的名字。) |
5.75 億元 | 2016年 |
| 5位 |
「STAND BY ME ドラえもん」
(中国題:哆啦A梦:伴我同行) |
5.30 億元 | 2015年 |
| 6位 |
「千と千尋の神隠し」
(中国題:千与千寻) ※初の劇場公開 |
4.88 億元 | 2019年 |
| 7位 |
「劇場版 SPY×FAMILY CODE: White」
(中国題:间谍过家家 代号:白) |
2.96 億元 | 2024年 |
| 8位 |
「天気の子」
(中国題:天气之子) |
2.88 億元 | 2019年 |
| 9位 |
「STAND BY ME ドラえもん 2」
(中国題:哆啦A梦:伴我同行2) |
2.77 億元 | 2021年 |
| 10位 |
「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」
(中国題:名侦探柯南:百万美元的五棱星) |
2.50 億元 | 2024年 |
| 11位 |
「名探偵コナン 紺青の拳」
(中国題:名侦探柯南:绀青之拳) |
2.31 億元 | 2019年 |
| 12位 |
「名探偵コナン 緋色の弾丸」
(中国題:名侦探柯南:绯色的子弹) |
2.16 億元 | 2021年 |
| 13位 |
「ドラえもん のび太の宝島」
(中国題:哆啦A梦:大雄的金银岛) |
2.09 億元 | 2018年 |
| 14位 |
「ONE PIECE STAMPEDE」
(中国題:航海王:狂热行动) |
2.04 億元 | 2019年 |
| 15位 |
「名探偵コナン 黒鉄の魚影」
(中国題:名侦探柯南:黑铁的鱼影) |
1.80 億元 | 2023年 |
| 16位 |
「となりのトトロ」
(中国題:龙猫) ※初の劇場公開 |
1.73 億元 | 2018年 |
| 17位 |
「ONE PIECE FILM RED」
(中国題:航海王:红发歌姬) |
1.56 億元 | 2022年 |
| 18位 |
「HELLO WORLD」
(中国題:你好世界) ※日本国内以上の熱狂的ヒット |
1.36 億元 | 2021年 |
| 19位 |
「劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦」
(中国題:排球少年!! 垃圾场决战) |
1.30 億元 | 2024年 |
| 20位 |
「デジモンアドベンチャー LAST EVOLUTION 絆」
(中国題:数码宝贝:最后的进化) |
1.25 億元 | 2020年 |
| ▼ 以下、実写 ▼ | |||
| 30位前後 |
「万引き家族」
(中国題:小偷家族) |
9700万元(当時のレートで約16億円前後) | 2018年 |
|
「花束みたいな恋をした」
(中国題:花束般的恋爱) |
9606万元 | 2022年 | |
上記のランキングには入っていないが、1995年の「Love Letter」(岩井俊二監督)も、中国では極めて有名。「恋愛映画の金字塔」として絶大な人気を誇る。2021年にリバイバル上映された際も、再上映だけで6500万元(約11億円)を超えるヒットを記録した。
「すずめの戸締まり」(中国題:『铃芽之旅』)は、中国で8億元(当時のレートで約160億円以上)を超える記録的な大ヒットとなり、中国における日本映画の歴代興行収入1位を記録した。新海誠監督への人気や作品の質の高さに加えて、「災害で傷ついた心を癒やす旅」というテーマ設定が、当時のコロナ禍の中国社会の空気感と合致した。
中国の若い世代から、新海誠監督は厚い信頼を得ていた。前々作である「君の名は。」が、2016年に中国で公開され、記録的なヒット(約5.7億元)となった。それ以来、「新海作品=絶対に映画館で見るべき美しい映像と感動ストーリー」というブランドが確立されていた。新作を待ち望む巨大なファンベースがすでに存在しており、公開前から成功が約束されている状態だった。
中国では、「ゼロコロナ政策」が行われた。2020年1月23日(武漢ロックダウン)からスタート。それ以来3年間、市民の行動を制限する措置が続き、2023年1月ごろに終わりを迎えた。2023年春に公開された本作は、抑圧されていた人々の「エンタメへの飢え」と「癒やしへの渇望」を満たした。
本作は日本各地を巡る「ロードムービー」の側面を持つ。日本へ行きたくても行けなかった中国の観客にとって、美しい日本の風景(宮崎、神戸、東京、東北など)を大スクリーンで旅する体験は非常に魅力的だったようだ。
新海誠監督自身による、熱心なプロモーション活動が中国のファンの心を掴んだ。
パンデミック後、海外の大物監督が中国を直接訪問するのは稀だったが、新海監督は北京や上海を訪れた。Twitter(現X)やWeiboで、現地の食事を楽しむ様子やファンとの交流を積極的に発信。中国市場とファンへの深いリスペクト(敬意)を示したことが、好感度を爆発的に高めた。
東日本大震災を扱った本作のテーマは、中国の観客にも深く響いた。中国も2008年の四川大地震など、大規模な自然災害を経験しており、震災のトラウマや「土地への鎮魂」というテーマに共感する土壌があった。災害によって失われた日常や、家族愛という普遍的なテーマは、国境を越えて多くの涙を誘った。
謎の猫「ダイジン」の可愛さや、椅子に変えられた「草太」のユニークな設定が、Douyin(TikTok)やWeiboでミームとして拡散され、普段アニメを見ない層をも巻き込んだ面もあったようだ。