興行収入のインフレ調整

映画の歴代興行収入ランキングは、インフレ(物価上昇)を勘案すると順位が大きく変わります。

インフレを無視した場合、全米(北米)の興行収入の歴代1位は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」(2015年)です。興収9.3億ドル。

2位「アベンジャーズ/エンドゲーム」(2019年)、3位「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」(2021年)、4位「アバター」(2009年)、5位「トップガン マーヴェリック」(2022年)。いずれも21世紀の作品で占められています。

しかし、インフレを加味したランキングだと、歴代1位は「風と共に去りぬ」です。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」は11位です。

映画館の入場料(チケット代)は常に値上り

アメリカの物価は、映画館の入場料(チケット代)を含めて、常に値上りしています。
1ドルの価値が全く違うのに、興行収入を比較するのは適当ではありません。
インフレ調整済みランキングが、真のランキングだといえます。

1位「風と共に去りぬ」 (1939年)

風と共に去りぬポスター

製作費約420万ドル

映画「風と共に去りぬ」は、南北戦争時代のアメリカが舞台。急変する社会の姿を写しながら、勝ち気な女性スカーレット・オハラと、無頼漢レット・バトラーとの関係を中心に、人間の愛憎を描きました。上映時間4時間の巨編。ビクター・フレミング監督、デビッド・セルズニックのプロデュース。製作費約420万ドルが投入されました。

口コミ・評判

クラーク・ゲーブルとビビアン・リーの共演が評判になりました。スカーレットの波乱の生涯を通して、女性の立場からアメリカン・スピリットをうたい上げた点が口コミで高評価を受けました。

映画館の入場者数(観客動員数)2億人!(アメリカだけで)

プレナス投資顧問によると、「風と共に去りぬ」の全米(北米)における映画館の入場者数(観客動員数)は延べ2億人。 公開された1939年のアメリカの人口は1.3億人だったことを考えると、このヒットの凄さが分かる。 赤ん坊などを除くと、米国民の全員が2回見に行った計算になる。

1930年代、米国人の65%が「毎週」映画館に

「風と共に去りぬ」が公開された1930年代にはアメリカ人の65%が毎週、映画館に行っていました。 1960年代以降は10%前後になりました。 ビデオやDVDが発売されるようになり、21世紀にはネット配信が爆発的に普及しました。 あえて劇場に足を運ぶ必要性が低くなったのです。 その一方で、作品数は増え、公開直後のランキングで1位を獲得しても、キープするのが難しくなりました。