受賞結果・ノミネート一覧

【主要8部門】作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞脚本賞脚色賞 【ジャンル別部門】アニメ賞国際映画賞ドキュ賞 技術系9部門歌曲賞(RRR)作曲賞音響賞視覚効果賞撮影賞衣装デザイン賞編集賞美術賞メイク&ヘア賞 短編3部門 || ページの目次▼

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が最多7冠に輝いた。このうち6つは主要部門(作品・監督・俳優・脚本系)だった。主要部門6冠はオスカー史上初めて。「羊たちの沈黙」「カッコーの巣の上で」などの記録を塗り替えた。


部門 受賞 ノミネート
作品賞 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(略称:エブエブ)」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

(日本公開:2023年3月3日)

監督:ダニエルズ

史上初の主要6冠

作品賞に加えて、監督、主演女優、助演男優、助演女優、脚本、編集賞の計7冠。 このうち編集賞を除く6部門が主要部門だった。 「羊たちの沈黙」「愛と追憶の日々」「クレイマー・クレイマー」「カッコーの巣の上で」「或る夜の出来事」「地上(ここ)より永遠(とわ)に」などの最多記録(主要5冠)を抜き、史上初の主要部門6冠に輝いた。

ダントツの独創性と斬新さに熱烈な支持が集まった。インデペンデント映画ならではの発想力の勝利だった。

中華系移民のSF家族劇

米国の中華系移民の家族が突然、人類を救う戦いに巻き込まれるSF活劇。母娘愛・夫婦愛を軸とする感動系の家族物語でもある。ミシェル・ヨー主演。

若手オタクとA24

新進気鋭の2人組監督ダニエルズの大出世作となった。ハリウッドで最も勢いのある新興映画会社「A24」にとって過去最大の興行収入を記録。米国の映画ファンの間で話題沸騰となった。

若手オタクとA24

オスカー前哨戦では、評論家系の賞で勝ち続けた後、映画業界の組合別の賞で圧勝した(PGA、DGA、SAG、WGAを完全制覇)。

アジア系が大活躍

主要キャストの大半はアジア系。さらに監督の1人は台湾系。メインのプロデューサーも台湾系。衣装デザイナーは日系人。アジア系の人材が大活躍した。

奇抜な異色作のわりにアンチが少ないのも特徴。米国を支えてきた移民たちへの賛歌というメッセージ性もある。

歴代トップ級の奇想天外ぶり

メジャー作品にはない手作り感とB級風味も持ち味となった。 オスカー作品賞史上、奇想天外ぶりにおいてトップレベルと受け止められている。少なくとも「お馬鹿映画ぶり」が歴代マックスであることは間違いない。

8年ぶり7冠

オスカー7冠達成は、2014年の「ゼロ・グラビティ」以来9年ぶり。 作品賞を含めた7冠以上となると、2009年に8冠に輝いた「スラムドッグ・ミリオネア」以来だった。一つの作品による独占が難しくなっていた近年のアカデミー賞において、久しぶりの完勝となった。

俳優部門3冠は史上3作目

また、俳優部門での3冠は46年ぶり。1977年「ネットワーク」、1953年「欲望という名の電車」に次いで史上3作目の快挙だった。

「タイタニック」との勝ちぶりの違い

アカデミー賞の最多受賞の記録は、「ベン・ハー」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング3/王の帰還」の13部門だが、これらの作品は技術部門で大量に稼いだ結果である。例えばタイタニックとロード・オブ・ザ・リング3は俳優部門は一つも獲っていない。

一方、エブエブは技術部門の受賞は編集賞だけで、残りは「above the line」と呼ばれる主要8部門での勝利。主演男優と脚色はそもそも選考対象ではなかったことを考えると、主要部門は全て制覇したといえる。
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1年前の劇場公開は「羊たちの沈黙」以来

本作が米国で劇場公開されたのは2022年3月だった。 オスカー授賞式の1年も前だ。 通常、公開から時間が経つとオスカーでは不利だが、本作に限っては勢いが衰えなかった。むしろ「見返すほど面白さが増す」との声が多く聞かれた。 公開時期の早さは、1991年2月に全米公開されて翌年の作品賞を獲った「羊たちの沈黙」以来の記録。

サークル的なノリに共感

賞レースでは、本作で20余年ぶりの奇跡的なカムバックを果たした元子役キー・ホイ・クァンが、感動的なスピーチで往年の映画ファンを泣かせた。 ミシェル・ヨーやジェイミー・リー・カーティスらお馴染みのスターたちも作品の魅力を訴え、ムードを盛り上げた。

各授賞式やイベントでは、キャストやスタッフが若いオタク系監督を囲み、和気あいあいと祝福しあうサークル活動的なノリが共感を呼んだ。その輪の中には、祖父役を演じた94歳の超ベテラン中国系俳優ジェームズ・ホンの姿もあった。 包摂的(インクルーシブ)で楽しそうな光景が、映画自体のメッセージとも重なり合った。

逆風が吹かず

賞レース終盤で「断トツの最有力候補」としてのポジションを固めたが、よくありがちなバッシングは起きなかった。 前哨戦で連勝しながら最終局面でアンチが増え、作品賞を逃した前年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Netflix)とは対照的だった。 ポジティブな人生賛歌という作風が、有利に働いたかも知れない。

「A24」の圧勝

インデペンデント系映画会社「A24」にとって、2017年の「ムーンライト」に続いて2度目の作品賞となった。 同じく本年度にA24が配給した「ザ・ホエール」は主演男優賞とメイク&ヘア賞を獲得した。 大手スタジオやNetflixを突き放し、会社別の受賞数で圧倒的なトップだった。

A24は2012年創業。 映画投資会社出身のダニエル・カッツら3人が設立した。本社ニューヨーク。 「エブエブ」は設立10周年の作品であり、出資と配給を担当した。

A24はアート性と娯楽性を兼ね備えた作品づくりに定評がある。 「ムーンライト」以外の過去の作品賞ノミネートは、2016年の「ルーム」、2021年の「ミナリ」。


■エブエブ受賞結果
受賞 作品賞
監督賞
主演女優賞
 ミシェル・ヨー
助演男優賞
 キー・ホイ・クァン
助演女優賞
 ジェイミー・リー・カーティス
脚本賞
編集賞
ノミネート 助演女優賞
 ステファニー・シュー
歌曲賞
作曲賞
衣装デザイン賞

配給:A24

プロデューサー:ジョナサン・ウォン、ルッソ兄弟、ダニエルズほか

【配信:U-NEXT

■評点:ロッテン95%、IMDb8.0

■米興収:7200万ドル

■製作費:1600万ドル

【前哨戦での受賞】
・PGA(米プロデューサー組合賞)
・DGA(米監督組合賞)
・SAG(俳優組合)アンサンブル賞
・クリティック・チョイス賞
その他▼ ・ロサンゼルス批評家賞
・ワシントン批評家賞
・フロリダ批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・ゴッサム賞
・独立系精神賞
・WGA(米脚本家組合賞)


<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <主題歌「This Is A Life」▼>


<茶一郎の解説▼>


<予告編▼>

  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック
    監督:ジョセフ・コジンスキー
    ※驚愕の完成度の高さを誇る骨太アクション系ドラマ。1986年の青春映画「トップガン」の続編。
    商業的にも評論的にも世界で最高の成功を収めた。幅広い世代を劇場に戻した功績は大きい。
    続きを開く▼

    中年男の成熟と苦悩

    実に36年ぶりの続編となった今作では、若者向けの青春ドラマだった1作目からストーリー性を大きく発展させた。
    中年になったトム・クルーズ演じる主人公の人間的な成熟ぶりや苦悩、若い世代との緊張関係や絆を丁寧に描く。アート系を好む玄人筋からも大絶賛を浴びた。脚色賞でのノミネート獲得は、一級ドラマとしても認知された証拠。

    劇場復活の立役者

    コロナ禍で米国の映画館は壊滅的な打撃を受けた。2021年暮れから「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で若者が劇場に殺到したが、中高年層は依然として足取りが重かった。
    多くの大作がコロナ終結に待ちきれずに「ネット配信直行」へと舵を切るなか、本作は映画館での上映にこだわり続け、何度も公開延期を重ねた。

    興行収入は歴代5位

    いざ公開されると、予想をはるかに上回る大ヒットとなり、米国内の興行収入はぶっち切りの年間1位。歴代でも5位となった。
    迫力満点の戦闘機の空中戦シーンは、IMAX(アイマックス)などの特殊スクリーンへの呼び水となった。
    ノミネート数:6個
    受賞数:1個
    受賞結果の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 音響賞
    ノミネート 作品賞
    脚色賞
    歌曲賞
     レディー・ガガ
    視覚効果賞
    編集賞
    配給:パラマウント
    プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズほか
    ■評点:ロッテン96%、IMDb8.3
    ■米興収:7億1800万ドル
    ■製作費:1億7000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会議(NBR)作品賞
    【配信:アマゾン
    動画集を開く▼ <挿入歌「Hold My Hand」▼>


    <テーマ曲▼>


    <トム・クルーズのPGA名誉賞スピーチ▼>


    <予告編▼>


    <初代トップガンの挿入歌▼>



  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし
    国:ドイツ
    監督:エドワード・ベルガー
    ※ドイツ語の戦争映画。Netflixの本年度イチオシ。1931年にアカデミー作品賞を受賞した同名のハリウッド映画を、原作小説の母国であるドイツの映画人たちがリメイク。
    続き▼ 第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。
    ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。
    ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。 英国アカデミー賞では、母国の有力作「イニシェリン島の精霊」を差しおいて作品賞など最多7冠に輝いた。
    ノミネート数:9個
    受賞数:4個
    受賞部門の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 国際映画賞
    撮影賞
    美術賞
    作曲賞
    ノミネート 作品賞
    脚色賞
    視覚効果賞
    音響賞
    メイク&ヘア賞
    配給:ネットフリックス
    ■評点:ロッテン90%、IMDb7.8
    ■製作費:2000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞 作品賞など7冠
    【配信:ネトフリ


  • 「イニシェリン島の精霊」
    イニシェリン島の精霊
    (日本公開:2023年1月27日)
    監督:マーティン・マクドナー
    ※田舎の島を舞台にした人間関係劇。男2人の友情の変化を描く。
    続き▼ 見る側に思索と強い余韻をもたらす大人のドラマとして称賛された。
    オスカー作品賞的な基準からするとやや陰鬱で、分かりやすいインパクトに欠けたか。ロッテントマト集計の批評家支持率は96%でトップガンと肩を並べたが、一般観客の支持率はそれほど高くなかった。
    オスカーに強い配給会社サーチライトの本年度イチオシ。
    「スリー・ビルホード」(2017年)で作品賞の最有力候補の一角を占めながら「シェイプ・オブ・ウォーター」に敗れたマーティン・マクドナー監督の5年ぶり新作。
    ノミネート数:9個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演男優賞
     コリン・ファレル
    助演男優賞
     ブレンダン・グリーソン
    助演男優賞
     バリー・キオガン
    助演女優賞
     ケリー・コンドン
    脚本賞
    作曲賞
    編集賞
    配給:サーチライト
    ■評点:ロッテン96%、IMDb7.8
    ■米興収:1000万ドル
    ■製作費:2000万ドル
    【前哨戦での受賞】▼ ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    ・シカゴ批評家賞
    ・フェニックス批評家賞


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    (日本公開:2023年3月3日)
    監督:スティーブン・スピルバーグ
    ※巨匠・スピルバーグ監督の自伝的ドラマ。 映画愛に目覚めた少年が、8ミリカメラを手に異才を発揮。映像の魔力や危うさに気づく。
    続き▼ 両親との絆や複雑な家庭内事情が赤裸々に描かれる。成功物語や温かい美談に仕立てるのでなく、過去と向き合いながら映画の本質に迫る視点が称賛された。
    前哨戦の第一弾となるトロント国際映画祭で勝利したが、その後勢いが弱まった。興行成績は期待外れ。 ただ、オスカーで票を握る映画人からは幅広く共感を得やすいと予想された。
    ノミネート数:7個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演女優賞
     ミシェル・ウィリアムズ
    助演男優賞
     ジャド・ハーシュ
    脚本賞
    作曲賞
    美術賞
    配給:ユニバーサル
    プロデューサー:スピルバーグほか
    ■評点:ロッテン92%、IMDb7.7
    ■米興収:1700万ドル
    ■製作費:4000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・トロント国際映画祭 観客賞


  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    監督:バズ・ラーマン
    ※米国史上最強のロック歌手エルビス・プレスリーの伝説の裏側を映画化。監督は「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン。 可憐でゴージャスな演出とダイナミックな語り口が高評価を得た。
    続き▼ エルビスを食い物にしたと言われるマネージャー(トム・ハンクス)が、過去を振り返る形で綴る壮絶なドラマ。主演オースティン・バトラーがエルビスを見事に熱演・熱唱し、大ブレイクした。
    日本ではあまり売れなかったが、米国ではロングランの大ヒットを記録。
    ノミネート数:8個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     オースティン・バトラー
    編集賞
    撮影賞
    美術賞
    音響賞
    衣装デザイン賞
    メイク&ヘア賞
    配給:ワーナー
    ■評点:ロッテン77%、IMDb7.4
    ■米興収:1億5100万ドル
    ■製作費:8500万ドル
    【配信:アマゾン


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)
    (日本公開:2023年5月12日)
    監督:トッド・フィールド
    ノミネート数:6個
    受賞数:0個
    候補部門▼ ・作品賞
    ・監督賞
    ・脚本賞
    ・主演女優賞
    ・撮影賞
    ・編集賞
    ※作家性では本年度トップ級との評価を得た。サイコスリラー的な要素を兼ねた心理サスペンス。ケイト・ブランシェットが演じる世界トップ級のオーケストラ指揮者(架空の人物)の横暴ぶりと、その顛末を描く。
    続き▼ 秀作「リトル・チルドレン」(2006年)のトッド・フィールド監督の16年ぶりの新作。緻密な構成の下、予測し難い物語進行や奥行きのある人物設定により、観客を次々と驚きや発見へと導く。強烈な印象を残すシーンの連続で、完成度の高さはピカイチ。
    主人公の深層心理や行動原理を分析する「人物研究(キャラクター・スタディ)」として高評価を得た。また、クラシック音楽の難解で特異な世界を詳細に描写。パワハラ問題やキャンセル・カルチャーなどの現代的なテーマも巧みにとらえた。
    何といっても、ケイト・ブランシェットの演技が壮絶。孤高で残酷で才能に満ち溢れた人物を、異次元レベルの表現力で造形した。
    賞レースでは、ベネチア国際映画祭から参戦。好評だったが、最高賞(金獅子賞)や審査員賞などを逃し、脚本賞も「イニシェリン島の精霊」にもっていかれた。女優賞(ケイト・ブランシェット)は獲った。
    その後、権威の高い「ニューヨーク批評家賞」で作品賞に輝いた。「ロサンゼルス批評家賞」では、「エブリシング・エブリウェア」と同点で作品賞を獲った。 前年の日本映画「ドライブ・マイ・カー」のように、芸術性が重視される主要要で好成績を収めた。
    オスカーではエブエブ旋風に押され、無冠に終わった。
    配給:フォーカス
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.5
    ■米興収:677万ドル
    ■製作費:1500万ドル
    【前哨戦での受賞】▼ ・全米映画批評家協会賞(NSFC)作品賞
    ・ニューヨーク批評家賞 作品賞
    ・ロサンゼルス批評家賞 作品賞(エブエブと同点)
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <町山智浩の解説▼>



  • 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
    アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
    監督:ジェームズ・キャメロン
    ※圧倒的な映像美が魅力の超々大作。映画史上最も売れた前作「アバター」(2009年)の世界観と特撮技術を発展させ、水の中の神秘的な立体映像を表現するなど、再び劇場体験の新境地を拓いた。
    続き▼ ハリウッド映画を次々と上映禁止にしていた中国でも劇場公開にこぎつけたことで、世界興行収入ではトップガン マーヴェリックを抜いて本年度1位になった。
    初代アバターは2010年のオスカーで作品賞、監督賞を含む9部門にノミネート。このうち視覚効果、撮影、美術の3部門を受賞した。今作「2」は作品賞のほか、視覚効果、音響、美術でノミネートされたが、監督賞での候補入りを逃した。
    ノミネート数:4個
    受賞数:1個
    受賞部門の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 視覚効果賞
    ノミネート 作品賞
    音響賞
    美術賞
    配給:20世紀
    ■評点:ロッテン77%、IMDb7.9
    ■米興収:6億6000万ドル
    ■製作費:4億ドル


  • 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
    ウーマン・トーキング 私たちの選択
    (日本公開:2023年6月2日
    監督:サラ・ポーリー
    ※「アウェイ・フロム・ハー君を想う」のサラ・ポーリー監督(女優出身)による会話劇。女性パワーの結集がテーマ。脚色賞を受賞。実力派の俳優陣によるアンサンブル演技も称賛された。
    続き▼ 閉鎖的なキリスト教系団体が営む共同体の村で、女性信者たちが次々とレイプ被害を受けていた。 犯人たちが逮捕された後、村の女性たちには3つの選択肢が残された。 男たちへの反抗か、赦しを与えるのか、それとも――。

    原作小説は、実際に起きた事件から着想を得た。 2000年代に南米ボリビアで起きた連続レイプ事件。 「メノナイト」という古い宗派が運営する自給自足の村で、少なくとも151人が強姦された。被害者の年齢は3歳~65歳。

    加害者は同じ集落に住む男たち9人以上。 動物要の麻酔を使って女性の意識を失わさせるという極めて悪質な犯行だった。 7人が懲役25年の有罪判決を受けた。

    大女優であり、社会派の有力プロデューサーでもあるフランシス・マクドーマンドが、原作小説の映画化権を獲得した。 そして、16歳の時に自ら性的暴行を受けたことがある女優出身のサラ・ポーリーが脚本を執筆。監督も引き受けた。

    女性8人が狭い納屋に集まって2日間にわたって会話する、という地味な設定。 作風も静かだが、力強さがあふれる一作として評論家や映画ファンから喝采を浴びた。 巨額予算が投入された「バビロン」などメジャースタジオの豪華エンタメ作品を抑え、堂々の作品賞ノミネート入りを果たした。
    ノミネート数:2個
    受賞数:1個(脚色賞)
    配給:UA(アマゾン系)
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.1
    ■米興収:545万ドル


  • 「逆転のトライアングル」
    逆転のトライアングル
    (日本公開:2023年2月23日)
    国:スウェーデン、独、仏、英
    監督:リューベン・オストルンド
    ※皮肉に満ちた欧州映画。ブルジョワ風刺劇。
    前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」でオスカー国際映画賞(2018年)を受賞したスウェーデン人のオストルンド監督による初の英語作品。従来作より娯楽色を強めた。
    カンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)を獲得。オストルンド監督にとって2作品連続のパルムドールとなった。その後、米国の賞レースでも目立った受賞はなかったが、オスカーで作品賞、監督賞、脚本賞のノミネートを果たし、サプライズとなった。
    あらすじ(ネタバレ有)を開く▼ セレブが乗る豪華客船がクルーズ中に無人島に難破する。乗客・乗員によるサバイバル・ゲームがスタート。船内で掃除係だった中年女性が、食糧調達などのスキルを活かして、集団内秩序のトップに立つという逆転現象が起こる。
    ノミネート数:3個
    受賞数:0個
    候補部門▼ ・作品賞
    ・監督賞
    ・脚本賞
    ■評点:ロッテン72%、IMDb7.5
    ■米興収:450万ドル
    ■製作費:1600万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・カンヌ国際映画祭 作品賞(パルムドール)


歴代の作品賞→

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部門 受賞 ノミネート
▼若手コンビが巨匠に勝つ▼
監督賞 ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ダニエルズ

30代半ばの精鋭コンビ。本作がコンビとして長編2作目。

多次元宇宙(マルチバース)、カンフーアクション、家族劇、哲学論など数々の要素がてんこ盛りになった重層的かつ壮大なストーリーを、一本筋の通った娯楽作に仕上げた。

古今東西の様々な映画文化を取り入れつつ、唯一無二の映像体験を実現した手腕は見事。

ベテラン俳優の起用で成功

ベテラン俳優3人(ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス)を起用し、そろって初のオスカーへと導いた功績も大きい。その千里眼とハイセンスな演出力については、映画界の重鎮たちも舌を巻いた。

台湾系&ゴジラファン

2人組のうち、ダニエル・クワンは中華系アメリカ人で米東部マサチューセッツ州出身。本作の登場人物(娘役)と同じようにアジア系移民2世(母親が台湾出身)。フェイバリット映画は「エターナル・サンシャイン」(2004年)。

一方、 ダニエル・シャイナートは南部アラバマ州の出身。中流家庭で育った。子供のころゴジラの映画に熱中。兄(現在ゲーム・デザイナー)が仲間と自主制作した映像作品に触発され、映画監督への道を志したという。

音楽ビデオで成功し、映画へ

2人はボストンの大学で映画を学んでいるときに出会った。卒業後、監督デュオとして音楽アーティストのビデオを手掛け、グラミー賞に2度ノミネートされた。
続き▼ その後、映画に参入し、「スイス・アーミー・マン」(2016年)でデビュー。サンダンス映画祭の監督賞などの賞に輝き、期待の新人として注目を浴びた。

映画的知性の高さ

若手とはいえ、かつてサム・メンデス監督がデビュー作「アメリカン・ビューティー」で作品賞と監督賞をダブル受賞した年齢(35歳)と変わらない。むしろ、若者らしからぬ地に足のついた言動と映画的知性の高さは、愛嬌のあるオタクキャラと相まって、広範囲な支持をもたらした。

【前哨戦での受賞(監督部門)】
・クリティック・チョイス賞
・DGA(米監督組合賞)
その他▼ ・アトランタ批評家賞
・ワシントン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


  • スティーブン・スピルバーグ
    「フェイブルマンズ」
    スティーブン・スピルバーグ
    ※監督歴50年。巨匠の中の巨匠であり、現代最強の映画人。今作では、自らの少年期を題材に、「映画愛」「親子関係」という原点に立ち返った。監督賞ノミネートは今回で9度目(2年連続)。このうち、1994年「シンドラーのリスト」、1999年「プライベート・ライアン」で受賞を果たしている。76歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • トッド・フィールド
    「TAR(ター)」
    トッド・フィールド
    打率の高い寡作の監督(兼俳優)。16年ぶりに撮った長編3作目で、3本連続でのノミネートを果たした。
    続き▼ 長編1作目「イン・ザ・ベッドルーム」は作品賞と脚色賞の候補に。2作目「リトル・チルドレン」も脚色賞候補に。初めてオリジナル脚本で臨んだ今作では作品賞、監督賞、脚本賞の3部門ノミネートとなった。
    【前哨戦での受賞】
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・ボストン批評家賞


  • マーティン・マクドナー
    「イニシェリン島の精霊」
    マーティン・マクドナー
    ※自らのルーツであるアイルランドを舞台に、ユニークだが普遍性の高い会話劇を創造した。 俳優たちの熟された演技や撮影場所の風景・空気感の魅力を最大限に引き出した手腕も評価された。
    続き▼ 英国の演劇作家出身。映画界に入って初期の短編で、オスカー(短編実写映画賞、2006年)を受賞した経歴がある。長編1作目「ヒットマンズ・レクイエム」では脚本賞ノミネート。前作「スリー・ビルホード」では作品賞と脚本賞の候補に。長編4作目となる今作では作品、監督、脚本での3部門ノミネートを果たした。52歳。


  • リューベン・オストルンド
    「逆転のトライアングル」
    リューベン・オストルンド
    ※2作連続でのカンヌ最高賞(パルムドール)をひっさげてオスカーレースに参戦し、作品賞と監督賞の2部門ノミネートを果たした。
    続き▼ 監督賞では近年、ノミネート5枠のうちの少なくとも1つに非英語圏の監督が入ることが多いが、前年の濱口竜介監督に続いたのは、「西部戦線異状なし」のエドワード・ベルガー監督(ドイツ)や「別れる決心」のパク・チャヌク監督(監督)ではなく、スウェーデン人のオストルンド監督だった。48歳。前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」ではオスカー国際映画賞に輝いている。


歴代の監督賞→

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▼激戦の末、カムバックのフレイザーに軍配▼
主演男優賞 ブレンダン・フレイザー

「ザ・ホエール」

ブレンダン・フレイザー

過食で体重270キロになった中年教師を演じた。54歳で演技派としての見事なカムバック。

かつて冒険アクション大作「ハムナプトラ」3部作(1999年~2008年)の主人公として大成功を収めた。オスカー作品賞「クラッシュ」でも渋い脇役を演じた。 しかし、その後、うつ病や離婚などが重なり活動が停滞。ハリウッド映画界の第一線から遠ざかった。

2021年に出演した「クライム・ゲーム」(スティーヴン・ソダバーグ監督)は批評家に好評だったが、話題にならなかった。

状況が激変したのは、2022年9月のベネチア国際映画祭。本作「ザ・ホエール」が出品されると、鬱積した感情を抱える中年ならではの演技に称賛の声が集まった。 その後の賞レースでは、若手オースティン・バトラーらと一進一退の星取ゲームを展開した。
続き▼ フレイザーがかつて主催団体トップによるセクハラ問題を告発したゴールデングローブ賞では、バトラーに敗れた。しかし、重要度が高いクリティック・チョイス賞とSAGアワードでは勝利し、米国内での支持の厚さを示した。

迎えたオスカーでは、同じくカムバック劇が話題となった助演男優賞のキー・ホイ・クァンとともに、栄冠を手にした。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・クリティック・チョイス賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


  • オースティン・バトラー
    「エルヴィス」
    オースティン・バトラー
    ※史上最強のロック歌手エルヴィス・プレスリーになりきった。それまでの脇役中心のキャリアをふまえると大抜擢だったが、見事に期待にこたえた。とりわけライブシーンの身のこなしは圧巻。
    続き▼ 若年期エルヴィスの歌唱場面は、リップシンクでなく自ら唄ったという(後期は本物のエルヴィスとの混成)。
    音楽アーティストの自伝ものとしては、「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキュリーに扮したラミ・マレックに匹敵する高評価を得た。実在の著名人を再現する演技はオスカーで有利だが、芸歴の若さが響いたかも。31歳。
    ・英国アカデミー賞
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    【配信:アマゾン
    動画集を開く▼ <歌唱シーン「トラブル」▼>


    <歌唱シーン「If I Can Dream」▼>



  • コリン・ファレル
    「イニシェリン島の精霊」
    コリン・ファレル
    ※田舎に暮らす素朴なおじさんを演じた。親友に突然絶交された男の戸惑いと、感情の変化を巧みに表現した。かつての「やんちゃなプレイボーイ」の面影はすっかり消え、演技派への成熟ぶりを印象付けた。
    続き▼ 派手さはないが、物語に説得力をもたらす抜群の演技で、評論家が選ぶ前哨戦での勝率は断トツ1位だった。本年度は「ザ・バットマン」「13人の命」「アフター・ヤン」でも名演を見せ、トータルの活躍ぶりは抜群。46歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア映画祭
    ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    その他▼ ・米国映画評議会議(NBR)
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ポール・メスカル
    「アフターサン」
    ポール・メスカル
    ※アイルランド出身の27歳。
    続き▼ 2021年の「ロスト・ドーター」で、脇役として長編映画に初出演した。2作目となる本作は、シャーロット・ウェルズ監督が賞レースの新人監督賞を総なめにして話題となり、初主演となったメスカルも「本年度最もブレイクした俳優」として注目された。
    ・トロント批評家賞


  • ビル・ナイ
    「生きる LIVING」
    ビル・ナイ
    ※巨匠・黒澤明監督「生きる」のリメイク。日本では配給会社の東宝が「アカデミー賞最有力!」と派手に宣伝し、当サイト選定の誇大広告賞の歴代トップに。
    ・ロサンゼルス批評家賞批評家賞


歴代の主演男優賞→

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▼アジア人初の受賞▼
主演女優賞 ミシェル・ヨー

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ミシェル・ヨー

アジア人として史上初の主演女優賞の受賞となった。非白人としては、2002年のハリ・ベリーに続いて史上2人目。

総決算の多面キャラ

異色のインディーSFを大成功へと導いた立役者。
幾多もの異次元宇宙を転々とし、それぞれの世界での「別の自分」を表現した。庶民からセレブ女優、カンフー格闘家、料理人まで、その多面的なキャラ変容は、まさに長いキャリアの総決算。娘や夫への感情表現や、未知なる世界との遭遇で見せる戸惑いと覚醒反応も、本作の魅力を格段に高めた。

香港アクション界からハリウッドへ

1962年マレーシア生まれ。中華系。 1980年代から香港のアクション映画界で大活躍。「ポリス・ストーリー3」でジャッキー・チェンとの見事な格闘コンビを見せ、世界から注目を集めた。

1997年の「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」でボンドガール役を務め、ハリウッドに進出。

「グリーン・デスティニー」で英国アカデミー賞候補に

台湾・米国などの合作「グリーン・デスティニー」(2001年オスカー作品賞候補)の大成功によって、アジア系を代表する名女優として認知され、英国アカデミー賞にもノミネートされた。

近年は、大ヒットコメディ「クレイジー・リッチ」(2018年)やマーベル映画を通じて若い世代にもお馴染み。

現場のリーダー役

本作では、破天荒な脚本のポテンシャルにいち早く気づき、エグゼクティブ・プロデューサーの一人に名をつらねた。
続き▼ 撮影現場では、アジアとハリウッドの映画界での豊富な経験を活かして若い監督に有益な助言を与えるなど、チームを引っ張ったという。

候補入りは2人目

アジア系の主演女優賞ノミネートは、1936年のマール・オベロンに続き史上2人目だった。
本選では当初、ケイト・ブランシェットのほうが有利と予想されていたが、「エブエブ」ブームの白熱化とともに支持が拡大。 前哨戦の天王山となるSAGアワードを制し、その勢いに乗って大一番をものにした。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・米国映画評議会議(NBR)
その他▼ ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
・ボストン批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <歴代の格闘シーン集▼>


<SAGの受賞スピーチ▼>

  • ケイト・ブランシェット
    「TAR(ター)」
    ケイト・ブランシェット
    ※過去に7度オスカーにノミネートされ2度受賞。今回の演技はキャリアベスト級と称賛されている。レズビアンの天才指揮者を演じた。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・ベネチア映画祭 女優賞
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ミシェル・ウィリアムズ
    「フェイブルマンズ」
    ミシェル・ウィリアムズ
    ※5度目のノミネート。スピルバーグ監督をモデルにした主人公の母親役を演じた。「助演」かと思われたが、「主演」枠で賞レースに参戦した。


  • アナ・デ・アルマス
    「ブロンド」
    アナ・デ・アルマス
    ※マリリン・モンローを題材にしたNetflix映画。作品自体は酷評されたが、演技は称賛された。キューバ出身。「ナイブズ・アウト1」で称賛され、007のボンドガールに。


  • アンドレア・ライズボロー
    「トゥ・レスリー(To Leslie)」
    アンドレア・ライズボロー
    ※アルコール中毒の母親を演じた。映画自体はほぼ無名だったが、作品を見た俳優仲間たちが自発的な口コミキャンペーンを展開。今年度のオスカーで全部門を通じて最もサプライズな候補入りとなった。イギリス人。41歳。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の脇役などで知られる。


歴代の主演女優賞→

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▼「大復活」のアジア系元子役が独走▼
助演男優賞 キー・ホイ・クァン

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

キー・ホイ・クァン

「グーニーズ」「インディ・ジョーンズ2~魔宮の伝説」で世界的に有名になったアジア系子役が、20年ぶりに俳優業に復帰。ハリウッドに旋風を巻き起こした。

人情味とクールさのギャップ

気弱で頼りない中年男性から、地球を救う戦士、ダンディー伊達男などへと変貌する役柄。 コミカルな立ち振る舞い、キレのある格闘技アクション、心を打つ愛情表現により、観客の心をつかんだ。

ベトナム移民

ベトナム生まれの51歳。名前の正確な発音はキー・フイ・クァン。子役時代の芸名なジョナサン・キー。中華系。
4歳だった1975年、混乱期のベトナムからボートで逃れ、香港の難民キャンプに1年滞在。米国へ移住した。

配役がなく裏方に

10代前半でハリウッドスターに。しかし、アジア系向けの配役が少なかったこともあり、俳優の仕事に恵まれず、小さなオーディションにも落ちまくったという。
続き▼

技術を磨き続ける

それでも映画への情熱を捨てきれず、大学で映画学を専攻し、卒業後は裏方の仕事に従事した。カンフーなどの技術も磨き、スタント指導者や撮影現場の通訳、助監督として食いつないだ。 そんな元スターに、若き監督が目をつけ、うってつけの役をオファーした。

愛されキャラ

前哨戦で独走。一連の授賞式での感動的なスピーチは、世界の映画ファンを泣かせた。飾らずに喜怒哀楽を表わす「愛されキャラ」ぶりにも注目が集まり、本年度賞レースの好感度ナンバー1に。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード
・クリティック・チョイス賞
・NY批評家賞
その他▼ ・ゴールデングローブ賞
・ロサンゼルス批評家賞
・全米映画批評家協会賞(NSFC)
・ボストン批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ワシントン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・ゴッサム賞

<受賞スピーチ▼>


<受賞後の会見▼>


動画集を開く▼ <格闘シーン▼>


<子役時代▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>

  • バリー・キオガン
    「イニシェリン島の精霊」
    バリー・キオガン
    ・英国アカデミー賞


  • ブレンダン・グリーソン
    「イニシェリン島の精霊」
    ブレンダン・グリーソン
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • ジャド・ハーシュ
    「フェイブルマンズ」
    ジャド・ハーシュ
    ※主人公の少年に教訓を説く親戚役。短い出演時間ながらキーパーソンとして強烈な印象を残した。「普通の人々」以来42年ぶりノミネート。


  • ブライアン・タイリー・ヘンリー
    「その道の向こうに」
    ブライアン・タイリー・ヘンリー


歴代の助演男優賞→

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▼エブエブ応援団長が混戦を制す▼
助演女優賞 ジェイミー・リー・カーティス

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ジェイミー・リー・カーティス

税務署の職員をコミカルに演じた。主演ミシェル・ヨーのカウンター役として独特な存在感を発揮。笑いと泣きのシーンに厚みをもたせ、娯楽性を高めた。

ホラー映画の金字塔「ハロウィン」(1978年)で女子高生役として銀幕デビューして以来、ホラーやコメディで活躍を続けてきた。今回初のオスカーノミネートを果たした。

賞レースでは、エブエブ組のチアリーダーとして陣営を大いに盛り上げた。64歳。両親ともに俳優の生粋ハリウッド人。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・ネバダ批評家賞

<受賞スピーチ▼>


<SAGの受賞スピーチ▼>


  • アンジェラ・バセット
    「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
    アンジェラ・バセット
    ※映画「TINA」(1993年)で大物歌手ティナ・ターナーを演じて主演女優賞にノミネートされて以来、29年ぶりの候補入りを果たした。
    続き▼ この間、「マルコムX」「ボーイズン・ザ・フッド」「ノトーリアス・B.I.G」など重要な黒人映画に出演し、ハリウッドの多様性を支えてきた。初代「ブラックパンサー」では主人公(チャドウィック・ボーズマン)の母親役に。ボーズマン亡き後の続編となった今作では、王国を率いる女王役として申し分のない貫禄と存在感を発揮した。マーベル映画として初めての俳優部門ノミネート。64歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・ハリウッド批評家賞


  • ケリー・コンドン
    「イニシェリン島の精霊」
    ケリー・コンドン
    ※主人公の妹を演じた。田舎の島で同居の兄を優しく支えながら、聡明さをにじませるキャラクター。マーティン・マクドナー監督とは、18歳のときに舞台演劇に出演して以来の仕事仲間。アイルランド人。40歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ボストン批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ステファニー・シュー
    「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
    ステファニー・シュー
    ※虚無主義を提唱する特異なキャラクターをシニカルに表現し、見せ場をつくった。移民2世の人物像をリアルに好演。若者からカルト的な支持を集めた。32歳。主にテレビや舞台で活躍した後、本作で大ブレイクした。母親が台湾からの移民。


  • ホン・チャウ
    「ザ・ホエール」
    ホン・チャウ
    ※引きこもりの主人公(ブレンダン・フレイザー)が唯一心を許す友人を演じた。ベトナム系。難民キャンプで生まれ、家族で米国に移住した。「ダウンサイズ」(2017年)でSAG助演女優賞ノミネート。43歳。


歴代の受賞者(助演女優賞)→

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▼「破天荒なアイデア」が勝利▼
脚本賞 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

脚本:ダニエルズ(兼監督)

2人の監督の頭の中から生まれた独創的アイデアの脚本。「家族」をめぐる日常的な話題を、多元宇宙(マルチバース)を舞台とする戦いに置き換え、娯楽性の高いストーリーとして成立させた。奇抜でめまぐるしい展開ながら、最後は本筋のテーマへと観客をひきこみ、心を動かす。英語と中国語の多言語脚本。

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・ワシントン批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・WGA(米脚本家組合賞)
  • 「イニシェリン島の精霊」
    イニシェリン島の精霊
    脚本:マーチン・マクドナー(兼監督)
    ※舞台出身のマクドナー監督らしい会話劇
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア国際映画祭 脚本賞
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・米国映画評議会議(NBR)
    ・ボストン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)
    脚本:トッド・フィールド(兼監督)
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    脚本:スティーブン・スピルバーグ(兼監督)&トニー・クシュナー


  • 「逆転のトライアングル」
    逆転のトライアングル
    脚本:リューベン・オストルンド(兼監督)


歴代の脚本賞→

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▼「女性パワー結集の会話劇」に支持▼
脚色賞 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

ウーマン・トーキング 私たちの選択

脚本:サラ・ポーリー

※カナダの女性作家による2018年の同名小説を、サラ・ポーリー監督が脚色した。原作小説は、南米ボリビアで起きた連続女性暴行事件から着想を得ているという。

女性パワーの結集がテーマとなっている。

サラ・ポーリー監督は「アウェイ・フロム・ハー君を想う」(2006年)でも脚色賞にノミネートされており、今回2度目のオスカー候補入りとなった。作品賞とのダブルノミネート。

44歳。カナダ人。もともとは人気俳優だったが、現在は監督・脚本業に専念している。ハリウッドにおける性差別問題を俳優引退の理由の一つに挙げている。熱心な活動家としても知られる。

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・WGA(米脚本家組合賞)
  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし
    脚本:イアン・ストーケル、レスリー・パターソン
    国:ドイツ
    ・英国アカデミー賞
    【配信:ネトフリ


  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック
    脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー


  • 「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」
    ナイブズ・アウト:グラスオニオン
    脚本:ライアン・ジョンソン
    ・ワシントン批評家賞
    【配信:ネトフリ


  • 「生きる LIVING」
    生きる LIVING
    脚本:カズオ・イシグロ
    ※東宝が「アカデミー賞最有力」という大胆な広告を打ち、当サイトが選ぶ「誇大広告賞」を受賞。歴代トップの誇大ぶりだった。


歴代の脚色賞→

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ジャンル別映画3部門

アニメ賞国際映画賞ドキュメンタリー賞

<ジャンル別作品3部門>
部門 受賞 ノミネート
▼Netflixがついに長編アニメ賞を獲得▼
アニメ賞 「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ

【配信:ネトフリ

「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)でオスカー作品賞を受賞した鬼才ギレルモ・デル・トロによる最新版ピノキオ。ミュージカル。Netflixにとって初の長編アニメ賞となった。

ストップモーション・アニメ

嘘をつくと鼻がのびる木の人形の冒険物語。人形や物体を少しずつ動かしながら撮影していく「ストップモーション・アニメ」の手法を用いた。独特な作風と完成度の高さが絶賛された。

中止の危機をネトフリが救う

トロ監督の個人的な情熱によってプロジェクトがスタート。何度も中止寸前に追い込まれたが、Netflixが資金を提供したことで製作にこぎつけた。

ジブリの影響

日本の怪獣やアニメなどをこよなく愛するトロ監督だが、本作をつくるにあたっては、ジブリのアニメ作品を意識したという。

配給:Netflix
制作:Netflixアニメーションほか

<前哨戦>
・クリティック・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・アニー賞
・シカゴ批評家賞
・ゴールデングローブ賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
  • 「マルセル 靴をはいた小さな貝」
    Marcel the Shell with Shoes On
    ※インディー映画。ロッテン・トマトの批評家支持率98%で年間トップ級。しゃべる貝殻であるマーセルが、はぐれた家族を探す。心温まる系。
    配給:A24
    【前哨戦での受賞】
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・米国映画評議会議(NBR)
    ・アニー賞 独立系アニメ賞
    ・ハリウッド批評家賞 独立系映画賞


  • 「私ときどきレッサーパンダ」
    私ときどきレッサーパンダ
    【ピクサー】
    ※ポップな成長物語。主人公はカナダのトロントに住むアジア系少女(13歳)。友たちとオタク活動に励む一方で、厳格な親が敷いたレールに乗っかり、本当の自分を抑えている。ある日突然、レッサーパンダに変身する。舞台は2002年。日本のアニメへのオマージュがたっぷり。
    ・フロリダ批評家賞
    ・トロント批評家賞
    【配信:ディズニープラス


  • 「長ぐつをはいたネコと9つの命」
    長ぐつをはいたネコと9つの命
    【ドリームワークス】
    (日本公開:2023年3月17日)
    ※「シュレック」シリーズから派生した物語。2011年の「長ぐつをはいたネコ」の続編。命が9つある猫プスが主人公。冒険を重ねて8回死んでしまい、残りは1回に。


  • 「ジェイコブと海の怪物」
    ジェイコブと海の怪物
    【Netflix】
    ※怪物を退治しようとする船乗りと、1人の少女の冒険を描く。水や怪物の質感の表現が称賛された。
    【配信:ネトフリ


歴代のアニメ賞→

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▼RRR不在で「西部戦線」独走▼
国際映画賞 「西部戦線異状なし」

西部戦線異状なし

 国:ドイツ

ドイツ語の戦争映画。原作はドイツ生まれの作家エリッヒ・レマルクが1929年に出版したベストセラー小説。

ハリウッドのスタジオが92年前にも映画化しており、そのときはアカデミー作品賞(1931年)を受賞した。 今回、小説の母国ドイツでの初の映画化となった。第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。

ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕(ざんごう)での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。

ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。

前年の「ドライブ・マイ・カー」(日本)のように、作品賞と国際映画賞のダブルノミネートを果たした。技術部門でも票を集め、計9部門での候補入り。このうち4部門で受賞した。 外国語映画として異例の強さを見せた。Netflixの本年度イチオシだった。

監督:エドワード・ベルガー

配給:ネットフリックス

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞 非英語作品賞

【配信:ネトフリ
  • 「アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判」
     国:アルゼンチン
    アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判
    ※法廷ドラマ。南米アルゼンチンで軍事政権が終了した2年後の1985年、2人の弁護士が軍政による犯罪の追及に動く。
    (サンティアゴ・ミトレ監督)
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞 非英語作品賞
    ・ベネチア国際映画祭 国際映画批評家連盟賞
    【配信:アマゾン


  • 「CLOSE/クロース」
     国:ベルギー
    Close
    ※少年2人の友情の行方
    監督:ルーカス・ドン
    (日本公開:2023年7月14日)
    ・カンヌ国際映画祭グランプリ(2位)
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • 「EO イーオー」
     国:ポーランド
    EO
    ※主人公は一匹のロバ。活躍していたサーカス団から外の世界へ。
    (日本公開:2023年5月5日)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    (イエジー・スコリモフスキ監督)


  • 「クワイエット・ガール(The Quiet Girl)」
     国:アイルランド
    クワイエット・ガール
    ※アイルランドの田舎の9歳の少女が主人公。貧しいのに子供が次々にできる大家族の末っ子。夏休みの間、おばの家に預けられる。


歴代の国際映画賞→

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▼プーチンの闇を斬る「ナワリヌイ」に支持▼
ドキュメンタリ賞 「ナワリヌイ」

ナワリヌイ

(日本公開:2022年6月)

ロシアのプーチン政権を批判し、毒殺未遂で死にかけた弁護士アレクセイ・ナワリヌイ氏(46歳)の記録。

プーチン政権による毒殺未遂

プーチン政権による毒殺計画は、2020年にロシア上空の旅客機内で実行された。何者かに毒をもられたナワリヌイは昏睡状態に陥り、飛行機は緊急着陸。病院に搬送された。

カメラがとられた犯人特定の瞬間

そこから、本作の取材班が密着する。移送先のドイツの病院で意識を取り戻したナワリヌイは、犯人の特定へと動き出す。

旅客機の搭乗者名簿など数々のデータを手掛かりに、実行犯グループと思われる人物たちを割り出し、直接電話をかけて真相究明を図る。果敢な行動の一部始終をカメラがとらえた。

命の危険にさらされながら

スパイ映画のような緊迫感と臨場感。命の危険にさらされながらもユーモアと笑顔を失わず前に進もうとするナワリヌイと、彼を支える家族やプロフェッショナルな仲間たちの姿が胸を打つ。

監督はカナダ人のダニエル・ロアー(30歳)。日本でも劇場公開された「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」(2019年)で称賛された。

授賞式に妻が登壇

オスカー授賞式では、監督らとともにナワリヌイ氏の妻が登壇。ロシアの刑務所に投獄されている夫の身の安全の確保を訴えた。

【前哨戦での受賞】
・PGA(全米プロデューサー組合賞)
・英国アカデミー賞
・サンダンス映画祭フェイバリット賞

【配信:アマゾン

<予告編▼>


<監督とナワリヌイ氏の妻ユリア氏の受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <日テレのニュース▼>


<町山智浩の解説▼>

  • 「オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド(All the Beauty and the Bloodshed)」
    オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド
    監督:ローラ・ポイトラス
    ※ポイトラス監督(女性)は「シチズンフォー スノーデンの暴露」で有名。同作で2015年オスカーを受賞している。 今作では、米国の著名な女性写真家ナン・ゴールディンの仕事ぶりを追った。
    続き▼ ゴールディンは社会の不正を追及してきた社会派フォトジャーナリストとして尊敬されている。主たる題材となるのは、ゴールディンが告発した富豪サックラー家の没落。米国の麻薬系鎮痛薬(オピオイド)危機を招いた製薬会社のオーナー一族の悪行があぶり出される。ベネチア国際映画祭において、作品賞を受賞した。ドキュメンタリー映画として史上初の快挙だった。
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア国際映画祭 作品賞(ドキュメンタリーとして史上初)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・フロリダ批評家賞


  • 「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」
    ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦
    ※フランス火山学者の夫婦の実録。調査・研究のためのデータや映像を残すために、噴火中の火山に突っ込んでいく。日本の火山にも挑む。2人の愛情物語でもある。
    【配信:ディズニープラス


  • 「オール・ザット・ブリーズ(All That Breathes)」
    All That Breathes
    ※ニューデリーの兄弟が、公害による汚染でダメージを負った鳥(トビ)たちを救う。
    製作国:インド、英、米
    言語:ヒンドゥー語
    【前哨戦での受賞】
    ・サンダンス映画祭 ドキュメンタリー賞


  • 「ハウス・メイド・オブ・スプリンターズ(A House Made of Splinters)」
    A House Made of Splinters
    ※ウクライナの保護施設の子供たちと、子供たちを守ろうとする大人たちの記録。
    製作国:ウクライナ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド
    言語:ウクライナ語、ロシア語
    【前哨戦での受賞】
    ・サンダンス映画祭 ドキュメンタリー監督賞
    予告編


歴代のドキュメンタリー賞→

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技術系9部門

歌曲賞作曲賞音響賞視覚効果賞撮影賞衣装デザイン賞編集賞美術賞メイク&ヘア賞

部門 受賞
歌曲賞 「RRR」
 曲名:「ナートゥ・ナートゥ」
 歌手:ラーフル・シプリガンジ&カーラ・バイラヴァ
 作曲家:M・M・キーラバーニ
 作詞家:チャンドラボース

インド初のオスカー獲得

インド映画として史上初のアカデミー賞を獲得した。日本を含む世界の映画ファンを熱狂させたエンタメ大作。その歴史的な成功の象徴としてオスカーが授与された。

世界各地で数々の映画賞に輝いており、ニューヨーク批評家賞では監督賞を受賞した。クリティック・チョイス賞など米国の多くの賞で外国語映画賞や国際映画賞に選ばれた。

本来であれば、オスカーでも国際映画賞の有力候補になるべきところだが、なぜか母国インドの代表作品に選ばれなかった。このため、歌曲賞のみのノミネートとなった。

劇中で主人公2人が踊る

受賞曲「ナートゥ・ナートゥ」は、主人公2人が劇中で踊る挿入歌。インドの土着ダンスが鮮やかに披露される。3時間の作品の中で何度も訪れる「見せ場」の中でも、とりわけ盛り上がる名シーン。この踊りを真似する人が世界中に続出した。

テルグ語で「郷土・民族」の意味

歌詞の言語はテルグ語。「ナートゥ(Naatu)」は「郷土・民族」を意味する。
歌っているのは俳優でなく吹き替え歌手。インドでは「プレイバック・シンガー」と呼ばれ、映画の音楽シーンで俳優のかわりに歌唱を担当する専門職である。
続き▼

インド映画音楽の第一人者

作曲者M・M・キーラバーニはインド映画音楽の第一人者。インドのフィルムフェア賞を過去7回受賞している。ラージャマウリ監督の「バーフバリ」シリーズでも音楽を担当した。

ダンスの振付師プレム・ラクシータは1977年生まれ。こちらもインドの映画賞の常連で「バーフバリ」シリーズでも振り付けを担当した。

使用シーン

本曲が流れるシーンは、英国人総督の公邸で行われたパーティの場面。主人公(ビームとラーム)がインドの民族風のダンスを踊り出す。キレがある力強い動きと息がぴったりの2人のシンクロに、パーティの出席者たちは圧倒される。これに嫉妬した英国男性陣がダンス対決に臨む。ビームが恋心を寄せる英国人女性のリアクションも面白い。

RRRとは

1920年代のイギリス植民地下のインドを舞台に、2人の英雄の戦いを描く壮絶なアクション大作。日本でも超ロングランの大ヒットになった。

【オスカー前哨戦での受賞】
・ニューヨーク批評家賞 監督賞
・クリティック・チョイス賞【2冠】外国語映画賞、歌曲賞
・ハリウッド批評家賞【4冠】アクション映画賞、国際映画賞、スタント賞
・ゴールデングローブ賞 歌曲賞
・女性映画ジャーナリスト同盟 非英語作品賞
・アトランタ批評家賞 国際映画賞
・ジョージア批評家賞 国際映画賞
・ロサンゼルス批評家賞 音楽賞、監督賞の次点
・サターン賞 国際映画賞
・オースティン批評家賞 アクション監督賞(ニック・パウエル)
・ボストン批評家賞 作曲賞
・ヒューストン批評家賞 歌曲賞
・ユタ批評家賞 非英語作品賞、監督賞の次点
・第25回みうらじゅん賞

<授賞式のパフォーマンス▼>




■■ ノミネート曲 ■■

  • 「トップガン マーヴェリック」
     歌手:レディー・ガガ
     曲名:ホールド・マイ・ハンド



  • 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
     歌手:リアーナ
     曲名:「リフト・ミー・アップ」



  • 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
     歌手:サン・ラックス&ミツキ(三重県出身の日系アメリカ人)&デビッド・バーン
     曲名:「This Is A Life」



  • 「私たちの声」
     歌手:ソフィア・カーソン
     作曲・作詞:ダイアン・ウォーレン

     曲名:「アプローズ(Applause)」


歴代の歌曲賞→

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部門 受賞 ノミネート
▼実験音楽による不吉なサウンドが勝利▼
作曲賞 「西部戦線異状なし」



 作曲家:ハウシュカ(本名:フォルカー・ベルテルマン)

※ドイツの音楽家。過去に「ライオン~25年目のただいま」(2016年)でも候補になっており、2度目のノミネート。本作では、得意とする実験的な音づくりで、戦争の恐怖や暗さを表現した。「ブワー、ブワー、ブワー」と響くシンセのサウンドが劇中で何度も効果的に使われており、観客に強い印象を残す。

アルバムの動画再生リスト→

・英国アカデミー賞
  • 「バビロン」
     作曲家:ジャスティン・ハーウィッツ
    ※ハーウィッツは名門ハーバード大学のデミアン・チャゼル監督の学友。音楽家でもあるチャゼルとポップバンドを組んでいた。これまでのチャゼル監督の4作すべての音楽を担当しており、このうち「ラ・ラ・ランド」では作曲賞と歌曲賞をダブルで受賞した。今作「バビロン」は、映画としては賛否両論が大きく分かれたが、劇伴(サントラ)への高評価は普遍的だった。狂騒時代(1920年代)を想わせるジャズサウンドで、本作の破茶滅茶な世界観を盛り立てた。
    【前哨戦での受賞】
    ・フロリダ批評家賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・ハリウッド批評家賞
    アルバムの動画再生リスト→


  • 「フェイブルマンズ」
     作曲家:ジョン・ウィリアムズ
    アルバムの動画再生リスト→


  • 「イニシェリン島の精霊」
     作曲家:カーター・バーウェル
    アルバムの動画再生リスト→


  • 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
     作曲家:サン・ラックス(ライアン・ロットらの3人組)
    アルバムの動画再生リスト→


歴代の作曲賞→

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▼トップガン唯一の受賞▼
音響賞 「トップガン マーヴェリック」

トップガン マーヴェリック

本物の戦闘機の音を、とてつもない迫力で再現した。作品賞を含む6部門にノミネートされたが、受賞したのは、この部門だけだった。

■音響担当
・マーク・ウェインガーテン(音響ミキサー。過去オスカーに4度ノミネート。このうち「ダンケルク」で受賞)

・ジェームス・マザー(音響編集者。前年「ベルファスト」でオスカーにノミネート)

・クリス・バードン(録音エンジニア。過去に「キャプテン・フィリップス」で1度ノミネート)

ほか

【前哨戦での受賞】
・ハリウッド批評家賞
  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし
    ・英国アカデミー賞


  • 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
    アバター:ウェイ・オブ・ウォーター


  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    【配信:アマゾン


  • 「ザ・バットマン」
    ザ・バットマン


歴代の音響賞→

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▼この部門はアバターのためにある▼
視覚効果賞 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター

初代アバターに続いての受賞となった。3D映像の奥行きの深さが感動的。その空間に入り込み、没入感を得られる。

海中を舞台に、水や生き物の動きを現実以上にリアルに美しく表現した。押し寄せる波、水中の小さな泡の一つ一つまでリアルだ。自分が水中に一緒にいるように感じられ、一緒に横で泳いでいるような感覚を覚える。

宇宙人ナヴィ族は青い皮膚で身長3メートル。人の体や顔の実際の動きをデータ化してCGでキャラクターを造形する「モーション・キャプチャー」で表現された。 表情が変化に富んでおり、人間の感情表現に近くなった。

<メイキング映像▼>
【受賞者】
ジョー・レッテリ(5度目)
リチャード・バネハム(2度目)
ダニエル・バレット(初)
エリック・セインドン(初)

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・フロリダ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック


  • 「ザ・バットマン」
    ザ・バットマン


  • 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
    ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
    ・ネバダ批評家賞


  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし


歴代の視覚効果賞→

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▼大本命トップガンがまさかの候補漏れ
撮影賞 「西部戦線異状なし」

西部戦線異状なし

撮影監督:ジェームス・フレンド

・英国アカデミー賞
  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    撮影監督:マンディ・ウォーカー(オーストラリア出身、女性)
    【配信:アマゾン


  • 「エンパイア・オブ・ライト」
    エンパイア・オブ・ライト
    撮影監督:ロジャー・ディーキンス


  • 「バルド、偽りの記録と一握りの真実」
     国:メキシコ
    バルド、偽りの記録と一握りの真実


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)


歴代の撮影賞→

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衣装デザイン賞 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」

ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー

衣装デザイナー:ルース・E・カーター

黒人女性として初めての2個目のオスカーを獲得した。2019年に「初代ブラックパンサー」で受賞したのに続いた。

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・ハリウッド批評家賞

<衣装の解説▼>
  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    衣装デザイナー:キャサリン・マーティン
    ※「ムーラン・ルージュ」「華麗なるギャツビー」で過去に2度受賞している。いずれも美術賞との2冠だった。今回も、美術監督との2部門ノミネートを果たした。バズ・ラーマン監督の妻。本作では9000着以上の衣装を用意したという。1950年代、60年代、70年代にまたがるプレスリーのコスチュームを見事に再現し、かつ主演のオースティン・バトラーによる魅力的なキャラクター像を築いた。
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞
    【配信:アマゾン
    動画集を開く▼ <「エルヴィス」の衣装について▼>


    <インタビュー▼>



  • 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
    エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
    衣装デザイナー:シャーリー・クラタ
    ※初ノミネート。日系アメリカ人。カリフォルニア州育ち。
    異次元宇宙(マルチバース)を飛び交いながら、「別の自分」へと次々に変身する出演者たちの多彩なコスチュームをそろえた。 キュートで茶目っ気にあふれ、尖ったデザインの数々。悪役ジョブ・トゥパキのポップなファッションなどが大好評を博した。
    映画のユニークな世界観の構築に貢献。ジェットコースターのような展開のストーリーを堪能するうえでも、衣装が有力な手がかりになった。
    尊敬するデザイナー石岡瑛子の作品などからも影響を得たという。
    動画集を開く▼ <女優ステファニー・シューの衣装解説▼>


    <クラタ氏インタビュー▼>



  • 「バビロン」
    バビロン
    衣装デザイナー:メアリー・ゾフレス


  • 「ミセス・ハリス、パリへ行く」
    ミセス・ハリス、パリへ行く


歴代の衣装デザイン賞→

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▼カオス素材を巧くまとめたエブエブ当選▼
編集賞 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

※ごった煮のカオス的な映像素材を、統一感のある物語に巧みにまとめあげた。また、低予算という制約の中で工夫をこらしてマルチバースの世界観を構築した。2020年春に撮影が終了し、その後、長期にわたるコロナ禍の間に地道な編集作業を続けたという。

編集:ポール・ロジャース

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ワシントン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック


  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    【配信:アマゾン


  • 「イニシェリン島の精霊」
    イニシェリン島の精霊


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)


歴代の編集賞→

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美術賞 「西部戦線異状なし」

西部戦線異状なし
  • 「バビロン」
    バビロン
    美術監督:フロレンシア・マーティン&アンソニー・カーリーノ
    ※1920年代のハリウッドの撮影所やロサンゼルスのバブリーな街並み、豪邸を再現などした。サイレント映画の撮影現場のセットも構築した。マーティンは37歳の女性。「リコリス・ピザ」でも美術を担当した。カーリーノ(男性)は本作が長編デビュー作となった。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ハリウッド批評家賞
    動画集を開く▼ <バビロンのセットについて▼>


    <インタビュー▼>



  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    美術監督:キャサリン・マーティン(衣装も担当)、カレン・マーフィー
    ※キャサリン・マーティンはバズ・ラーマン監督の妻。過去に「ムーラン・ルージュ」「華麗なるギャツビー」で美術賞を受賞。
    【配信:アマゾン


  • 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
    アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
    美術監督:ディラン・コール、ベン・プロクター
    ※2人とも「アバター1」から参加。
    ・ロサンゼルス批評家賞


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    美術監督:リック・カーター
    ※過去に4度オスカーにノミネート。このうち「アバター」「リンカーン」で受賞した。1980年代からスピルバーグ監督作品の美術を担当。「グーニーズ」「ジュラシック・パーク」「宇宙戦争」など。
    ・ネバダ批評家賞


歴代の美術賞→

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▼「フレイザー巨漢化」で成功▼
メイク&ヘア賞 「ザ・ホエール」

ザ・ホエール

特殊メイク:エイドリアン・モロット

※ブレンダン・フレイザーを、体重272キロの肥満男性に変身させた。

動画集を開く▼ <ブレンダン・フレイザーの変身について▼>

  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    特殊メイク:ジェイソン・ベアード、マーク・クーリエほか
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・ハリウッド批評家賞
    【配信:アマゾン


  • 「ザ・バットマン」
    ザ・バットマン


  • 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
    ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー


  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし


歴代のメイク&ヘア賞→

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※事前予想元:AI Referee

短編3部門

短編アニメ賞短編ドキュメンタリー賞短編実写賞

<短編3部門>
部門 受賞 ノミネート
短編アニメ賞 「ぼく モグラ キツネ 馬」

ぼく モグラ キツネ 馬

※英国の挿絵画家チャーリー・マッケジーのベストセラー絵本が原作。手書きのアニメで原作イラストを再現し、フルカラーで映像化した。迷子の少年が動物たちと出会う。

プロデューサー:JJエイブラムスほか

製作国:米、英

長さ:34分

【配信:アップル

<予告編▼>
  • 「My Year of Dicks(私のディック時代)」
    My Year of Dicks
    人気の女性脚本家パメラ・リボンの回想録に基づく作品。少女の性的な人生体験や心境をコミカルに綴る。アヌシー国際アニメ映画祭で短編テレビ部門のクリスタル賞を受賞した。
    原作&脚本:パメラ・リボン
    製作国:米国、アイスランド
    長さ:24分
    予告編
    【本編:Vimeo


  • 「空飛ぶ水兵(The Flying Sailor)」
    The Flying Sailor
    ※船の衝突事故による大爆風で、2キロメートル先まで吹っ飛ばされた男性の走馬灯(そうまとう)を描いた。1917年の「ハリファックス大爆発」の実話に基づいている。
    製作国:カナダ
    長さ:8分
    <本編▼>


  • 「氷を売る親子」
    Ice Merchants
    ※氷の商売で生計を立てる父子の日常劇。断崖の絶壁で暮らしており、氷を売るために、毎日パラシュートで崖の下に降りる。
    製作国:ポルトガル、仏、英
    長さ:14分
    予告編


  • 「An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It(ガチョウの言う通り、この世は偽物かも)」
    An Ostrich Told Me the World Is Fake and I Think I Believe It
    ※ストップモーション・アニメ。仕事に追われる営業マンの日常に、異変が起きる。
    製作国:オーストラリア
    長さ:11分
    予告編


歴代の短編アニメ賞→

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短編ドキュメンタリ 「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」

エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆

※インドで野生の象の保護活動を行う夫婦の物語。親を失った小象との交流を撮った。

【配信:ネトフリ
  • 「マーサ・ミッチェル~誰も信じなかった告発」
    ーサ・ミッチェル~誰も信じなかった告発
    ※米国ニクソン政権の司法長官の妻マーサ・ミッチェルの物語。彼女はウォーターゲート事件を告発していた。
    【配信:ネトフリ


  • 「ホールアウト(Haulout)」
    Haulout
    【本編:Youtube
    ※シベリアの北極圏で暮らすロシアの科学者を追う。海に生きる「セイウチ」という動物を観察している。
    製作国:イギリス、ロシア
    配給元:米ニューヨーカー誌


  • 「Stranger at the Gate」
    Stranger at the Gate
    【本編:Youtube
    ※米軍の元海兵隊の男が、米インディアナ州でイスラム教のモスクの爆破を計画していた。その男が、あるアフガン難民の女性と出会う。
    配給元:米ニューヨーカー誌


  • 「How Do You Measure a Year?」
    How Do You Measure a Year?
    ※娘が2歳から18歳になるまでの成長記録。映画監督である父親が様々な質問をして、娘がそれにこたえる場面を毎年撮影し続けた。
    製作国:米国
    監督:ジェイ・ローゼンブラット
    予告編


歴代の短編ドキュメンタリー賞→

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短編実写賞 「アイリッシュ・グッバイ(An Irish Goodbye)」

An Irish Goodbye

※疎遠だった兄弟が、母親の死後再会する。

製作国:アイルランド、英国

監督:トム・バークレー、ロス・ホワイト

長さ:23分

動画:本編(ビリビリ)→
  • 「無垢の瞳」
    オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド
    ※戦時中のイタリアが舞台。キリスト教の全寮制の学校の少女たちを描く。彼女たちは修道女の厳格な指導のもとで生活している。
    製作国:イタリア、米国
    長さ:37分
    プロデューサー:アルフォンソ・クアロンほか
    監督:アリーチェ・ロルバケル(イタリア人)
    【配信:ディズニープラス
    予告編


  • 「真冬のトラム運転手」
    Night Ride
    ※ある女性が、資格もないのに路面電車(トラム)を勝手に運転し始める話。
    製作国:ノルウェー
    監督:エリク・トゥベイテン
    長さ:15分
    英題:「Night Ride」
    予告編


  • 「イヴァル(Ivalu)」
    Ivalu
    製作国:デンマーク
    監督:アンダース・ウォルター
    長さ:16分
    予告編


  • 「レッド・スーツケース(The Red Suitcase)」
    The Red Suitcase
    ※ルクセンブルクの空港に降りたったイスラム系少女を描く。
    製作国:ルクセンブルク
    監督:サイラス・ネシュバ(ルクセンブルク在住イラン人)
    長さ:18分
    予告編


歴代の短編実写賞→

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受賞数ランキング

エブリシング・エブリウェアが最多7個

<受賞の数と順位>
順位 作品名と受賞部門
1位 7個 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

・作品賞
・監督賞
・脚本賞
・主演女優賞(ミシェル・ヨー)
・助演男優賞(キー・ホイ・クァン)
・助演女優賞(ジェイミー・リー・カーティス)
・編集賞
2位 4個 「西部戦線異状なし」

・国際映画賞
・作曲賞
・撮影賞
・美術賞
3位 2個 「ザ・ホエール」

・主演男優賞(ブレンダン・フレイザー)
・ヘア&メイク賞

ノミネート数ランキング

エブリシング・エブリウェアが最多11個

<ノミネートの獲得数と順位>
順位 作品名とノミネート部門
1位 11個 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

・作品賞
・監督賞
・脚本賞
・主演女優賞(ミシェル・ヨー)
・助演男優賞(キー・ホイ・クァン)
・助演女優賞(ジェイミー・リー・カーティス)
・助演女優賞(ステファニー・シュー)
・編集賞
・衣装デザイン賞
・歌曲賞
・作曲賞
2位 9個 「イニシェリン島の精霊」

・作品賞
・監督賞
・主演男優賞(コリン・ファレル)
・助演女優賞(ケリー・コンドン)
・助演男優賞(ブレンダン・グリーソン)
・助演男優賞(バリー・キオガン)
・脚本賞
・作曲賞
・編集賞
「西部戦線異状なし」

・作品賞
・脚色賞
・国際映画賞
・視覚効果賞
・撮影賞
・音響賞
・美術賞
・作曲賞
・メイク&ヘア賞
4位 8個 「エルヴィス」

・作品賞
・主演男優賞(オースチン・バトラー)
・衣装デザイン賞
・編集賞
・美術賞
・音響賞
・ヘア&メイク賞
・撮影賞
5位 7個 「フェイブルマンズ」

・作品賞
・監督賞
・主演女優賞(ミシェル・ウィリアムズ)
・助演男優賞(ジャド・ハーシュ)
・脚本賞
・作曲賞
・美術賞
6位 6個 「トップガン マーヴェリック」

・作品賞
・脚色賞
・歌曲賞
・視覚効果賞
・編集賞
・音響賞
「Tar」(ター)

・作品賞
・監督賞
・主演女優賞(ケイト・ブランシェット)
・脚本賞
・撮影賞
・編集賞

会社別の受賞数ランキング

A24が圧勝。メジャー・スタジオ大敗北

<配給会社(スタジオ)別の受賞数>
順位 配給会社
1位 A24

【作品】
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
「ザ・ホエール」
9個
2位 ネットフリックス(Netflix)

【作品】
「西部戦線異状なし」
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
「エレファント・ウィスパラー:聖なる象との絆」
6個
3位 ディズニー

【作品】
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
2個
(集計:株オンライン評判

■■ このページの目次 ■■

日程

<オスカー前哨戦と本番の日程>
日程(日本時間)
1月11日(水) ゴールデングローブ賞
結果→
1月16日(月) クリティック・チョイス賞
結果→
1月24日(火)深夜 アカデミー賞ノミネート発表
2月20日(月)早朝 英国アカデミー賞
結果→
2月26日(日)昼間 PGA(全米プロデューサー組合賞)【★最重要】
結果▼
2月27日(月)昼間 SAGアワード(全米俳優組合賞)結果→
3月13日(月)昼間 アカデミー賞 授賞式

前哨戦の結果

2023年の賞レースの星取表

2023年のアカデミー賞の前哨戦の結果一覧です。
クリティック・チョイス賞▼
英国アカデミー賞▼
PGAアワード(全米プロデューサー組合賞)▼
SAGアワード(俳優組合賞)▼
DGAアワード(米監督組合賞)▼

<オスカー前哨戦の結果>
賞名 作品賞 監督賞 主演 助演
クリティック・チョイス賞 エブリシング・エブリウェア エブリシング・エブリウェア 【男優】
ブレンダン・フレイザー(ホエール)

【女優】
ケイト・ブランシェット(Tar)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
アンジェラ・バセット(ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー)
英国アカデミー賞 西部戦線異状なし 西部戦線異状なし 【男優】
オースティン・バトラー(エルヴィス)

【女優】
ケイト・ブランシェット(Tar)
【男優】
バリー・キオガン(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊)
SAGアワード エブリシング・エブリウェア 【男優】
ブレンダン・フレイザー(ザ・ホエール)

【女優】
ミシェル・ヨー(エブエブ)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブエブ)

【女優】
ジェイミー・リー・カーティス(エブエブ)
米国映画評議会議(NBR) トップガン マーヴェリック フェイブルマンズ 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ミシェル・ヨー(エブリシング・エブリウェア)
【男優】
ブレンダン・グリーソン(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ジャネール・モネイ(ナイブズ・アウト)
全米映画批評家協会賞(NSFC)=渋め TÁR アフターサン 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ケイト・ブランシェット(Tar)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
ケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊)
ニューヨーク批評家賞 TÁR RRR 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ケイト・ブランシェット(TÁR)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
キキ・パーマー(NOPE)
ロサンゼルス批評家賞 エブリシング・エブリウェア、TÁR(同点) TÁR 【男優】
ビル・ナイ(生きる)

【女優】
ケイト・ブランシェット(TÁR)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
ドリー・デ・レオン(逆転のトライアングル)
シカゴ批評家賞 イニシェリン島の精霊 エブリシング・エブリウェア 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ケイト・ブランシェット(TÁR)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
ケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊)
ゴールデングローブ賞

詳細
【ドラマ】フェイブルマンズ フェイブルマンズ ■ドラマ部門

【男優】
オースティン・バトラー

【女優】
ケイト・ブランシェット
【男優】
キー・ホイ・クァン

【女優】
アンジェラ・バセット
【コメディ】イニシェリン島の精霊 ■コメディ部門

【男優】
コリン・ファレル

【女優】
ミシェル・ヨー
ワシントン批評家賞 エブリシング・エブリウェア エブリシング・エブリウェア 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ケイト・ブランシェット(TÁR)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
ケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊)
フロリダ批評家賞 エブリシング・エブリウェア 別れる決心(韓国) 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ケイト・ブランシェット(TÁR)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
ジェシー・バックリー(ウーマン・トーキング)

ニーナ・ホス(TÁR)
ボストン批評家賞 ソウルに帰る(カンボジア) TÁR 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ミシェル・ヨー(エブリシング・エブリウェア)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
ケリー・コンドン(イニシェリン島の精霊)
トロント批評家賞 アフターサン アフターサン 【男優】
ポール・メスカル(アフターサン)

【女優】
ケイト・ブランシェット(TÁR)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
キキ・パーマー(NOPE)
アトランタ批評家賞 エブリシング・エブリウェア エブリシング・エブリウェア 【男優】
コリン・ファレル(イニシェリン島の精霊)

【女優】
ケイト・ブランシェット(TÁR)
【男優】
キー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)

【女優】
ジャネール・モネイ(ナイブズ・アウト)
ベネチア映画祭

歴代
オール・ザ・ビューティ ボーンズ・アンド・オール 【男優】
コリン・ファレル
「イニシェリン島の精霊」

【女優】
ケイト・ブランシェット
「TÁR」
トロント映画祭

歴代
フェイブルマンズ
ゴッサム賞 エブリシング・エブリウェア ダニエル・デッドワイラー
「ティル」
キー・ホイ・クァン
「エブリシング・エブリウェア」

PGA(全米プロデューサー組合賞)

■ 受賞

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
ノミネート
  • 「トップガン マーヴェリック」
  • 「フェイブルマンズ」
  • 「イニシェリン島の精霊」
  • 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
  • 「TAR(ター)」
  • 「エルヴィス」
  • 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
  • 「ザ・ホエール」
  • 「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」
  • ※バビロン、ウーマン・トーキング、ウーマン・キングが候補入りならず。


SAG(俳優組合)アンサンブル・キャスト賞

■ 受賞

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
ノミネート
  • 「イニシェリン島の精霊」
  • 「フェイブルマンズ」
  • 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
  • 「バビロン」
  • ※トップガン、エルヴィスが候補入りならず。

■ その他の部門の受賞者

主演男優賞:
  ブレンダン・フレイザー「ホエール」

主演女優賞:
  ミシェル・ヨー「エブエブ」

助演男優賞:
  キー・ホイ・クァン「エブエブ」

主演女優賞:
  ジェイミー・リー・カーティス「エブエブ」
詳細ページ→

DGA(米監督組合賞)

■ 受賞

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)

ダニエルズ
ノミネート
  • 「トップガン マーヴェリック」
  • 「フェイブルマンズ」
  • 「イニシェリン島の精霊」
  • 「TAR(ター)」
  • ※「アバター」「エルヴィス」「バビロン」が候補入りならず。前年は「コーダ」が漏れた。


WGA(米脚本家組合賞)

■ 受賞

【脚本賞】
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)

【脚色賞】
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
サラ・ポーリー

誇大広告賞「生きる LIVING」(東宝)

配給会社:東宝

当サイトでは、アカデミー賞の名前を利用した大げさな宣伝を「誇大広告賞」として毎年選定しています。 日本国内での広告が対象です。2023年の受賞者は、東宝の「生きる LIVING」です。

作品名 授賞理由
「生きる LIVING」

 国内配給会社:
 東宝
生きる LIVING

堂々と「本年度アカデミー賞最有力!」

ポスターやチラシで堂々と「本年度アカデミー賞最有力!」と謳った。 予告編でも同様だった。

作品賞はノミネートすらせず

しかし、作品賞にノミネートすらされなかった。脚色賞と主演男優賞(ビル・ナイ)にはノミネートされたが、受賞はしなかった。

予想サイトで有力度「最下位」

主要メディア等による事前予想で、本作が作品賞の「最有力」と位置づけられた事実はない。 脚色賞や主演男優賞についても、ノミネートは予想されていたが、受賞については全く有力視はされていなかった。 有力なアカデミー賞予想サイト「ゴールドダービー(goldderby)」でも、両部門における本作の有力度(オッズ)は5つの候補の中で「最下位」だった。

最大手の愚行

東宝といえば、日本の映画産業において圧倒的な最大手である。経営が厳しい中小配給会社ならまだしも、東宝のような業界を代表する巨大企業が、今回のような幼稚な誇大広告を展開するのは不可解としか言いようがない。これでは映画宣伝が無法状態になってしまう。

社長は「洋画配給」専門家のはず

ちなみに現在の東宝の社長は、松岡宏泰氏。創業家の子孫で、世襲制の一環として2022年春に経営トップに就任した人物である。 社長就任前は、長らく東宝東和という子会社で洋画配給を担当してきた。 つまり洋画の宣伝は氏の専門分野であり、今回のような過剰宣伝がいかにナンセンスか把握しているはずだ。

歴代トップの悪質さ

以上の理由から、歴代の誇大広告賞の中でも圧倒的なナンバー1として讃えたい。

【批評家の評価ランキング】有力作やヒット作のロッテン・トマトのスコア

作品 スコア
「ナワリヌイ」
(ドキュメンタリー)
【配信:アマゾン
99%
最新スコア→
「マルセル 靴をはいた小さな貝」
(アニメ)
98%
最新スコア→
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
(アニメ)
97%
最新スコア→
「ソウルに帰る」
(カンボジア)
97%
最新スコア→
「トップガン マーヴェリック」 96%
最新スコア→
「イニシェリン島の精霊」
(日本公開:2023年1月27日)
96%
最新スコア→
「Till(ティル)」 96%
最新スコア→
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
(日本公開:2023年3月)
95%
最新スコア→
「RRR」
(インド映画)
(日本公開:2022年10月21日)
95%
最新スコア→
「アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判」
(アルゼンチン)
【配信:アマゾン
95%
最新スコア→
「私ときどきレッサーパンダ」
(日本公開:2022年3月11日【ディズニープラス配信】)
(アニメ)
95%
最新スコア→
「長ぐつをはいたネコと9つの命」
(アニメ)
95%
最新スコア→
「ウーマン・キング」 94%
最新スコア→
「別れる決心」
(韓国映画)
93%
最新スコア→
「ハッスル(HUSTLE)」
【配信:ネトフリ
93%
最新スコア→
「サントメール」
(フランス)
93%
最新スコア→
「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」
(日本公開:2022年12月23日【Netflix配信】)
92%
最新スコア→
「フェイブルマンズ」
(日本公開:2023年3月3日)
92%
最新スコア→
「犬王」
(アニメ)
91%
最新スコア→
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」 91%
最新スコア→
「TAR(ター)」 91%
最新スコア→
「西部戦線異状なし」
(ドイツ)
【Netflix配信】
90%
最新スコア→
「クロース(Close)」
(ベルギー)
90%
最新スコア→
「ノースマン 導かれし復讐者」 89%
最新スコア→
「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」 88%
最新スコア→
「マッシブ・タレント」 87%
最新スコア→
「エルマーのぼうけん」
(アニメ)
87%
最新スコア→
「13人の命」
【アマゾン配信】
86%
最新スコア→
「ザ・バットマン」 85%
最新スコア→
「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」 84%
最新スコア→
「ホーリー・スパイダー」
(デンマーク)
83%
最新スコア→
「ブラック・フォン」 83%
最新スコア→
「ウェンデルとワイルド」
(アニメ)
81%
最新スコア→
「エルヴィス」 77%
最新スコア→
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」 77%
最新スコア→
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」 74%
最新スコア→
「バズ・ライトイヤー」
(アニメ)
74%
最新スコア→
「逆転のトライアングル」 72%
最新スコア→
「ザ・ホエール」 66%
最新スコア→
「ホワイト・ノイズ」
(日本公開:2022年12月30日【Netflix配信】)
64%
最新スコア→
「ソー:ラブ&サンダー」 63%
最新スコア→
「バルド、偽りの記録と一握りの真実」
(日本公開:2022年12月16日【Netflix配信】)
59%
最新スコア→
「バビロン」 55%
最新スコア→
「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」 46%
最新スコア→
「エンパイア・オブ・ライト」
(日本公開:2023年2月)
45%
最新スコア→
「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」 29%
最新スコア→
参考 「コーダ あいのうた」
 ※前年の作品賞
94%
詳細→
「ノマドランド」
 ※2021年の作品賞
93%
詳細→
「パラサイト 半地下の家族」
 ※2020年の作品賞
99%
詳細→
「グリーンブック」
 ※2019年の作品賞
77%
詳細→
「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」
 ※2021年最大のヒット作
93%
詳細→

【観客の評価】有力作・ヒット作のIMDbレーティング

作品 評点
「トップガン マーヴェリック」 8.3
最新→
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 8.0
最新→
「ザ・ホエール」 7.9
最新→
「クロース(Close)」
(ベルギー)
7.9
最新→
「RRR」
(インド)
7.9
最新→
「長ぐつをはいたネコと9つの命」
(アニメ)
7.9
最新→
「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」 7.8
最新→
「イニシェリン島の精霊」 7.8
最新→
「マルセル 靴をはいた小さな貝」
(アニメ)
7.8
最新→
「ザ・バットマン」 7.8
最新→
「西部戦線異状なし」
(ドイツ)
7.8
最新→
「13人の命」 7.8
最新→
「ナワリヌイ」
(ドキュメンタリー)
【配信:アマゾン
7.7
最新→
「フェイブルマンズ」 7.6
最新→
「アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判」
(アルゼンチン)
7.6
最新→
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
(アニメ)
7.6
最新→
「TAR(ター)」 7.5
最新→
「逆転のトライアングル」 7.4
最新→
「バビロン」 7.3
最新→
「エルヴィス」 7.3
最新→
「ハッスル(HUSTLE)」
【配信:ネトフリ
7.3
最新→
「ホーリー・スパイダー」
(デンマーク)
7.3
最新→
「別れる決心」
(韓国)
7.3
最新→
「ケイコ 目を澄ませて」
(日本)
7.3
最新→
「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」 7.2
最新→
「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」 7.2
最新→
「犬王」
(アニメ)
7.2
最新→
「Till(ティル)」 7.2
最新→
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」 7.1
最新→
「ノースマン 導かれし復讐者」 7.1
最新→
「ソウルに帰る」
(カンボジア)
7.1
最新→
「サントメール」
(フランス)
7.1
最新→
「私ときどきレッサーパンダ」
(アニメ)
7.0
最新→
「マッシブ・タレント」 7.0
最新→
「さがす」
(日本)
7.0
最新→
「バルド、偽りの記録と一握りの真実」 6.9
最新→
「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス」 6.9
最新→
「ブラック・フォン」 6.9
最新→
「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」 6.8
最新→
「エンパイア・オブ・ライト」 6.8
最新→
「ウーマン・キング」 6.7
最新→
「エルマーのぼうけん」
(アニメ)
6.5
最新→
「ウェンデルとワイルド」
(アニメ)
6.4
最新→
「ソー:ラブ&サンダー」 6.3
最新→
「PLAN 75」
(日本)
6.2
最新→
「ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密」 6.2
最新→
「バズ・ライトイヤー」
(アニメ)
6.1
最新→
「ホワイト・ノイズ」 5.7
最新→
「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」 5.6
最新→
参考 「コーダ あいのうた」
 ※前年の作品賞
8.0
詳細→
「ノマドランド」
 ※2021年の作品賞
7.3
詳細→
「パラサイト 半地下の家族」
 ※2020年の作品賞
8.5
詳細→
「グリーンブック」
 ※2019年の作品賞
8.2
詳細→
「スパイダーマン: ノー・ウェイ・ホーム」
 ※2021年最大のヒット作
8.3
詳細→

作品賞ノミネートの有力候補

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス
トップガン マーヴェリック
フェイブルマンズ
イニシェリン島の精霊
TAR(ター)
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
RRR

<注目作品の一覧>
作品 説明
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

(日本公開:2023年3月3日)

Everything Everywhere All at Once

<受賞結果>
受賞 作品賞
監督賞
主演女優賞
 ミシェル・ヨー
助演男優賞
 キー・ホイ・クァン
脚本賞
助演女優賞
 ジェイミー・リー・カーティス
編集賞
ノミネート 助演女優賞
 ステファニー・シュー
歌曲賞
作曲賞
衣装デザイン賞


■ロッテントマト評価:
95%(最新スコア→

■IMDb評価:
8.0(最新スコア→

【動画】

<予告編>
一般の中華系移民が全宇宙を救うミッションに巻き込まれ、いくつもの異次元宇宙(マルチバース)を往来しながら戦うSFアクション劇。奇想天外でコミカル。家族愛をテーマの軸に据えた温かいドラマでもある。

ミシェル・ヨー主演。往年の映画ファンにとって、ヨーに加えて、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティスという1980年代の大スターが大活躍するのも嬉しいところ。

米国の若者が熱烈支持

賛否が分かれやすい奇抜な作風とストーリーであるにもかかわらず、ロッテン・トマト集計で批評家の95%、一般観客の89%から支持された。新鮮で独創的な面白さという点において、2020年のアカデミー作品賞に選ばれた「パラサイト 半地下の家族」に匹敵する称賛を集めた。

中でもコアな映画ファンの間では「満点」レビューが相次いだ。「マトリックス」(1999年)、「エターナル・サンシャイン」(2004年)のような歴史的なインパクトのあるSF系作品との高評価も多い。世代別に見ると、とくに若者からの支持率が熱烈だった。。

設立から10年のA24にとって史上最大のヒット

商業的にも大成功した。当初は中規模公開だったが、口コミ効果で大規模公開へと拡大。理想的なロングランとなった。興行収入130億円以上を稼いだ。インデペンデント系の有力映画会社「A24」にとって歴代最高の興行収入を記録した。

製作費約18億円という限られた予算の中で工夫をこらし、スリリングなSFアクションを実現させたことも称賛の理由となっている。

2012年設立のA24は、すでに2017年のアカデミー賞において、「ムーンライト」で作品賞を獲得している。設立10周年を迎えた本年度も、本作に加えて「ザ・ホエール」「アフターサン」などの強力な布陣で賞レースに臨んだ。

若手監督コンビ、ダニエルズ

監督は「ダニエルズ」と呼ばれる2人組。ダニエル・クワン(34歳)とダニエル・シャイナート(35歳)の若手コンビである。脚本も彼らが書いた。

ダニエル・クワンは中華系アメリカ人。米東部マサチューセッツ州出身。本作の登場人物と同じように両親がアメリカ移民。フェイバリット映画は「エターナル・サンシャイン」(2004年)。

一方、 ダニエル・シャイナートは南部アラバマ州の出身。子供のころゴジラの映画に熱中した。兄たちが自主制作した映像作品に触発され、映画監督への道を志したという。

2人はボストンの大学で映画を学んでいるときに出会った。卒業後、監督デュオとして音楽アーティストのビデオを手掛け、成功した。DJスネイクらの「ターン・ダウン・フォー・ホワット」のビデオなどでグラミー賞に2度ノミネートされた。

<グラミー賞ノミネートの音楽ビデオ▼>

「スイス・アーミー・マン」に次ぐ2作目

その後、ダニエルズは映画づくりに参入し、「スイス・アーミー・マン」(2016年)でデビューした。死体がオナラの力で動く、という奇妙なコメディ。サンダンス映画祭の監督賞を獲得し、期待の新人監督として注目を浴びた。

本作がコンビとして2作目の長編映画。

ダニエル・クワンはADHD(注意欠如・多動症)とインポスター症候群という症状があるというが、親友でもあるダニエル・シャイナートのアドバイスよって、それらの症状を創作活動面のメリットにつなげることができたという。

プロデューサー陣

2人の監督を支えたのが、若きプロデューサーのジョナサン・ウォン氏。台湾系アメリカ人(父親が台湾からの移民)。 ダニエルズが映画を撮り始める前の音楽ビデオ制作時代から一緒に仕事をしていた。 彼らのデビュー作「スイス・アーミー・マン」とともに映画界に本格的に参入した。

本作では、マーベル映画の傑作「アベンジャーズ/エンドゲーム」の監督として知られるルッソ兄弟もプロデューサーとして参加した。 ルッソ兄弟とダニエルズは2016年に出会った。 A24と契約する前の段階で、ダニエルズの脚本づくりに助言をしたという。

ルッソ兄弟は、独創的な作品を、より幅広い層に受け入れてもらうためのアドバイスを行ったという。 ルッソ兄弟も元々はインデペンデント映画界の出身で、大物スティーヴン・ソダーバーグ監督に見いだされ、大規模な成功を収めるようになった。 同じように、作家性を残しながらも商業的な大成功を得るための知恵を授けたという。

こうして、リスクの高い奇想天外なSF映画に挑戦するための態勢が整っていった。

ミシェール・ヨーの出演受諾で前進

プロジェクトが大きく前進することになったのが、女優ミシェル・ヨーが主演のオファーを受諾してくれたことだったという。 世界の映画界で長年活躍してきた中華系マレーシア人。 アカデミー作品賞にノミネートされた「グリーン・デスティニー」(2000年)のほか、「クレイジー・リッチ」(2018年)、「シャン・チー/テン・リングスの伝説」などのハリウッドメジャー映画に出演し、アジア系俳優の認知度向上を引っ張ってきた。

ヨーの出演が決まったことで、他の俳優たちも次々と出演を決めた。 ヨーは撮影現場でもリーダー役となり、プロジェクトを推進した。 演技自体も、持ち前のアクションはもとより、作中にキャラが何度も入れ替わる「七変化(しちへんげ)」的な役柄を見事にこなした。 「キャリア最高級」として称賛を浴びた。

キー・ホイ・クァンが役者に復帰

優れたキャスティングの中でも「特大ホームラン」といえるのが、主人公の夫役にキー・ホイ・クァンを起用したことだった。

子供のころ「グーニーズ」「インディ・ジョーンズ2 魔宮の伝説」の子役として登場し、世界的な人気者となった。 しかし、アジア系俳優向け役柄が少なかったこともあり、仕事に恵まれず、小さなオーディションにも落ちまくったという。

それでも映画への情熱を捨てきれず、大学で映画学を専攻し、卒業後は制作サイドの仕事に従事した。カンフーなどの技術を活かして、スタント指導者として活動した。 そんな彼に、若いダニエルズたちは目をつけ、うってつけの役をオファーした。俳優として見事なカムバックを果たし、助演男優賞レースを席巻することとなった。

名作映画へのオマージュ

本作は、欧米やアジアの名作映画へのオマージュに満ちている。 「2001年宇宙の旅」「マトリックス」など。 香港映画界の巨匠ウォン・カーウァイ監督からインスパイアされたというシーンもある。 異なる世界を行き交うという設定は、日本のアニメ「パプリカ」などに触発された部分があるという。

移民への賛歌

本作のモチーフの一つは、移民への賛歌である。 中国からの移民がコインランドリー経営に乗り出すのは、よくある話であり、本作はそんな移民たちの苦労と奮起が描かれる。 中華系移民の子であるダニエル・クワン監督も、両親たちへのリスペクトを本作に込めたと話している。

「マルチバース」のアイデア

本作の世界観の土台となっている「マルチバース」(多元的な宇宙)について、ダニエルズは2010年代前半から研究を始め、シナリオの草稿を書き始めたという。

その後、2018年公開の「スパイダーマン:スパイダーバース」など多元宇宙をテーマに取り上げた作品が次々と出たきたことで、先を越されたと感じ、動揺したこともあったという。

【あらすじ】米国でコインランドリー店を経営する中国系家族が、宇宙を救うミッションへと巻き込まれる。

■配給会社:A24

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受賞一覧へ▲
「トップガン マーヴェリック」

(日本公開:2022年5月27日)

トップガン マーヴェリック

<受賞結果>
受賞 音響賞
ノミネート 作品賞
脚色賞
歌曲賞
 レディー・ガガ
視覚効果賞
編集賞


■ロッテントマト評価:
96%(最新スコア→

■IMDb評価:
8.3(最新スコア→

■シネマスコア(観客の評価):
A+
※2022年でA+をとったのは、本作と「ウーマン・キング」のみ。

【動画】
配信:アマゾン

<予告編>


<メイキング>
1986年の大ヒット映画「トップガン」の続編。 トム・クルーズが再び主演を務め、さらに今回はプロデューサー陣にも加わった。

ドラマとしても極上

若者向けの青春ドラマだった1作目から物語性や普遍性を大きく発展させ、老若男女の魂を揺さぶり得るハイグレードな大作となった。

中年になったトム・クルーズ演じる主人公の人間的な成熟ぶりや苦悩、若い世代との緊張関係や絆が丁寧に描かれており、ドラマとしての質が前作よりも格段に向上。アート系映画を好む玄人筋や、普段はアクション映画を嫌う人たちからも大絶賛を浴びた。ド迫力の空中戦シーンも圧巻。

興行収入は歴代5位

興行収入は、米国でぶっち切りの年間1位。歴代で5位。 世界興行では、中国で上映禁止となったためにアバター:ウェイ・オブ・ウォーターに抜かれたが、それでも年間2位だった。 日本ではアニメ「ワンピース・フィルム・レッド」に次ぐ年間2位。 「ET」「ボヘミアン・ラプソディ」などを抜き、国内興行収入の歴代ランキングで18位に入った。

劇場復活に貢献

コロナ禍で映画館から遠ざかっていた大人世代を呼び戻した功績は大きい。 米国では2021年暮れから「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で若い世代が劇場に殺到したが、中高年は依然として足取りが重かった。 「大人は配信サービスで済ませる時代になったのか」という声が広がるなか、トップガン マーヴェリックは劇場復権の起爆剤となった。

当初は2020年に公開予定だったが、コロナ禍で延期を重ねた。劇場での大規模公開にこだわり続けた。

この間、プロデューサーの1人でもあるトム・クルーズは劇場文化への支持を熱心に訴えた。自分と関係のない映画「TENET(テネット)」の公開時、マスクを着用して一般観客に混じって鑑賞する姿を自ら撮影し、SNSに投稿。大スクリーンの良さを伝えた。

IMAX普及に弾み

本作の最大の見せ場は迫力満点の戦闘機の空中戦シーン。それが、観客を大型スクリーンへと誘う呼び水となった。とりわけIMAX(アイマックス)などの特殊スクリーン施設に人が集まった。

戦闘機に搭乗

本作により、映画界のトム・クルーズに対する信頼が、かつてないほど厚くなった。とりわけ一つ一つのプロジェクトに全身全霊をかけて取り組む姿勢が評価された。

自ら戦闘機に搭乗し、特撮に頼らないスタント・アクションに挑んだ。コンピューターで映像を合成してつくるのでなく、現場での撮影にこだわって本物志向の映像作品を創り上げていく姿勢は、業界内の幅広い職種の人たちから尊敬を集めた。

「続編もの」の手本

ハリウッドを含めて世界の映画界で安直な続編が横行するなかで、徹底的に「質」にこだわった。その結果、1作目(オリジナル)を大きく上回るクオリティーを達成した。

続編とはこうあるべき、という見本を示したといえる。

説教臭くない

アカデミー会員の中には「説教臭い映画」を嫌う人も多い。とくに近年は、声高に正義感や理想論をふりかざしたり、伝統的価値観を一方的に攻撃する作品を敬遠するムードもある。

そうした意味では、「トップガン マーヴェリック」には理屈っぽさがない。社会的なアジェンダの押しつけもない。テーマは「組織と個人」「苦悩と成長」「師弟関係」などの普遍的なものであり、政治的な立場に関係なく楽しむことができる。

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受賞一覧へ▲
「フェイブルマンズ」

(日本公開:2023年3月3日)

The Fabelmans

<受賞結果>
受賞 なし
ノミネート 作品賞
監督賞
主演女優賞
 ミシェル・ウィリアムズ
助演男優賞
 ジャド・ハーシュ
脚本賞
作曲賞
美術賞


■ロッテントマト評価:
92%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.7(最新スコア→

【動画】
<予告編>
巨匠スピルバーグ監督の自伝的な青春映画。オスカー前哨戦の「初戦」として注目されるトロント国際映画祭で観客賞(最高賞)を獲得した。 ライバル視されていた「イニシェリン島の精霊」や「ウーマン・トーキング 私たちの選択」を抑え、堂々の勝利だった。

スピルバーグ監督の故郷である米アリゾナや、転居先のカリフォルニアが舞台。8ミリ映画の撮影に明け暮れる主人公の少年サミーが、様々な出会いと別れを通して成長し、映画づくりへの情熱をだんだんと形にしていく。
一方で、両親の夫婦仲の悪化などの厳しい現実にも直面する。自らの作品が、様々な人たちの人生を大きく左右し得るという「怖さ」も体験する。

映画の本質に迫る

「映画愛」と「家族」が大きなテーマとなっており、オスカーとの相性は良好。40年以上にわたって愛され続けている巨匠監督が、パーソナルな想いを詰め込んだとあって、ハリウッドだけでなく、世界の映画ファンから注目を集めた。

ただ、成功物語や温かい美談にはなっていない。苦々しい思い出と向き合いながら、映画の本質に迫ろうとしており、そのアプローチが高く評価された。

プライベート・ライアンの後は無冠



スピルバーグは21世紀に入ってもオスカーのノミネート常連であり続けたが、受賞となると、1999年のプライベート・ライアンで監督賞を獲ったのが最後だ。

前年の作品賞にノミネートされた「ウエスト・サイド・ストーリー」では、スピルバーグのマジックが健在であることを印象づけた。「GOAT」 (Greatest of All Time=史上最高)という呼称を用いて改めてスピルバーグに敬意を示す映画人も増えてきた。業界のムード的には、強い追い風が吹いている。

また、本作でスピルバーグは2001年の「AI」以来、約20年ぶりに自ら脚本に参加した。脚本執筆の相棒はトニー・クシュナー。「ミュンヘン」「リンカーン」「ウエスト・サイド・ストーリー」などスピルバーグ作品で常連の脚本家である。

■映画祭:トロント国際映画祭で観客賞(最高賞)

■配給会社:ユニバーサル

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「イニシェリン島の精霊」

(日本公開:2023年1月27日)

イニシェリン島の精霊

<受賞結果>
受賞 なし
ノミネート 作品賞
監督賞
主演男優賞
 コリン・ファレル
助演男優賞
 ブレンダン・グリーソン
助演男優賞
 バリー・キオガン
助演女優賞
 ケリー・コンドン
脚本賞
作曲賞
編集賞


■ロッテントマト評価:
97%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.8(最新スコア→

【動画】
<予告編>
アイルランドの孤島を舞台に、親友だった2人の「こじれ」を描く人間ドラマ兼ダークな喜劇。劇作家出身であるマーティン・マクドナー監督の真骨頂が発揮された。地味な作風ながら次々と映画賞を獲り、オスカーでもエブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンスに次ぐ9部門ノミネートを得た。

マクドナー監督の前作「スリー・ビルホード」は、2018年の映画賞レースにおいて、ギレルモ・デル・トロ監督の「シェイプ・オブ・ウォーター」に次ぐ勝率の高さを誇った。オスカーでは6部門にノミネートされ、このうち主演女優賞(フランシス・マクドーマンド)と助演男優賞(サム・ロックウェル)は獲った。しかし、作品賞と監督賞では「シェイプ・オブ・ウォーター」に敗れた。

スリー・ビルホードもシェイプ・オブ・ウォーターも、配給会社はサーチライトだった。作品賞レースの2大候補を送り込んだサーチライトが、落ち目のハーベイ・ワインスタイン組に替わって、オスカー獲りの最強集団になったことを象徴する出来事だった。

それから5年後の今回、マクドナー監督は再びサーチライトの配給により、強力な作品を賞レースに送り込んだ。サーチライトの本年度のもう一つの期待作だった「エンパイア・オブ・ライト」はやや失敗に終わったため、 作品賞の「単独候補」として猛プッシュを図る。

ロッテン・トマトの批評家の支持率は97%で、スリー・ビルホードの90%より高い。ただし、一般観客の支持率は76%にとどまり、スリー・ビルホードの87%より低い。

主演コリン・ファレルは今回、初めてオスカーにノミネートされた。本年度は「ザ・バットマン」「13人の命」「アフター・ヤン」で好演を見せ、大活躍だった。脇役の男優ブレンダン・グリーソン、バリー・キオガン、そして女優ケリー・コンドンも称賛された。



■映画祭:ベネチア国際映画祭に出品

■配給会社:サーチライト

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「Tar」(ター)

(日本公開:2023年5月)

Tar

<受賞結果>
【受賞部門】
 なし
【ノミネート部門】
 作品賞
 監督賞
 主演女優賞(ケイト・ブランシェット)
 脚本賞
 撮影賞
 編集賞
(以上、6個)

■ロッテントマト評価:
90%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.7(最新スコア→

【動画】
<予告編>
ケイト・ブランシェット主演の心理ドラマ。

トッド・フィールド監督の3作目の長編映画。同監督は俳優出身。2002年に監督デビュー作「イン・ザ・ベッドルーム」でアカデミー賞の作品賞と脚本賞にノミネート。さらに2007年に2作目の「リトル・チルドレン」で脚本賞にノミネートされた。 それ以来、いくつかの映画またはテレビのプロジェクトに参加したが、いずれも作品が実現しなかった。その間、映画ファンは新作を待望し続けていた。本作は、実に16年ぶりの作品となる。

主演ケイト・ブランシェットの演技が称賛されている。すでに7回オスカーにノミネートされ、2回受賞しているブランシェットだが、本作の演技も過去の代表作に匹敵すると評価されている。

架空の女性指揮者リディア・ターが主人公。彼女はクラシック音楽界で世界トップ級の指揮者と評価されており、ドイツの著名オーケストラを率いている。

■映画祭:ベネチア国際映画祭に出品。

■配給会社:フォーカス

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「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」

(日本公開:2022年12月16日)

アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
<受賞結果>
受賞 視覚効果賞
ノミネート 作品賞
音響賞
美術賞


■ロッテントマト評価:
77%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.9(最新スコア→

【動画】
<予告編>
ジェームズ・キャメロン監督

「3D映画」に革命を起こし、世界興行収入の新記録を樹立したアバターの続編。

初代アバターでは、3Dについて研究を重ね、飛び出すのではなく奥行き、高さ、深さを見せる技術革新を果たした。

13年ぶりとなる今回の続編では、海の中を舞台に、水や生き物の動きを現実以上にリアルに美しく表現した。 「常軌を逸した完璧主義者」として知られるジェームズ・キャメロン監督の真骨頂が再び発揮された。 「タイタニック」「アビス」という海の大作を撮り、熱心な海底探査家としても知られるキャメロン監督の経験も活かされている。

日本での興行収入は期待外れだったが、海外では特大ヒット。年間の世界興行ランキングで1位になった。 この成功により、さらなる続編「アバター3」の製作がほぼ確実となり、「4」と「5」のプロジェクト始動にも弾みがついた。

初代アバターは2010年のオスカーで、作品賞を含む9部門にノミネートされた。このうち、特殊効果賞、撮影賞、美術賞の3部門を受賞した。

【物語・内容】22世紀が舞台。地球人と宇宙人(惑星パンドラの先住民ナヴィ)が戦いを繰り広げた前作の10年後を描く。

■配給会社:20世紀(ディズニー系)

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「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

(日本公開:2023年初夏)

ウーマン・トーキング 私たちの選択

<受賞結果>
【受賞部門】
 脚色賞
【ノミネート部門】
 作品賞

■ロッテントマト評価:
91%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.5(最新スコア→
女優出身のサラ・ポーリー監督。女性パワーの結集をテーマにしたドラマ。「現代版:十二人の怒れる男」とも評される。ジェシー・バックリー、クレア・フォイら実力派の俳優たちが見事なアンサンブル演技を披露し、称賛を浴びた。

サラ・ポーリーは、監督デビュー作となった2006年の「アウェイ・フロム・ハー 君を想う」で、アカデミー賞の脚色賞にノミネートされた。このほか多数の賞を獲得した。女優としては秀作ホラー「ドーン・オブ・ザ・デッド」などでお馴染み。カナダ人。

カナダ人の作家による同名小説が原作。キリスト教(メノナイト派)の女性8人が、密かに納屋に集まる。この地域では、女性のレイプ被害が相次いでいた。

2度のオスカー女優フランシス・マクドーマンドが出演し、4人のプロデューサーの1人に名をつらねる。ブラッド・ピットもプロデューサー。

■配給:UA(アマゾン系)

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「RRR」

(日本公開:2022年10月21日)

RRR

<受賞結果>
【受賞部門】
 歌曲賞

■ロッテントマト評価:
95%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.9(最新スコア→

【動画】
<挿入歌「ナートゥ・ナートゥ」>
<予告編>
インドの娯楽大作。1920年代のイギリス植民地下のインドを舞台に、2人の英雄の戦いを描く。

世界の映画ファンと評論家から熱狂的な支持を集め、米国の賞レースに参戦した。注目度が高い「ニューヨーク批評家賞」では、スティーブン・スピルバーグらの巨匠を抑え、見事に監督賞を受賞した。ロサンゼルス批評家賞とユタ批評家賞では監督賞の次点に選ばれた。 また、重要なクリティック・チョイス賞では、外国語映画賞と歌曲賞の2冠に輝いた。

しかし、アカデミー賞においては、なぜか母国インドで「国際映画部門」のインド代表として選出されなかった。このため、最高峰の作品賞でのノミネート獲得に挑んだが、主要部門ではノミネートを果たせなかった。

唯一ノミネートされた歌曲賞は、劇中で主人公2人が歌って踊る挿入歌「ナートゥ・ナートゥ」が対象。ミュージカル史上に残る名シーンとして高く評価された。

国際映画賞以外の部門でインド映画がノミネートされたのはオスカー史上初めて。

SS・ラージャマウリ監督は、前作「バーフバリ」2部作により、日本の映画ファンからも絶大な支持を得た。それに続いて製作された本作は、インド映画史上で最大となる製作費100億円を投入。破格のスケールと完成度になった。

アクションに加えて、「コメディ」「ミュージカル」「感動ドラマ」「SF」などの様々な要素がてんこ盛り。ジャンル超越型の作品であり、アクションが苦手な人でも楽しめる。

マーベルなどハリウッド系アクション映画の物語が複雑化・マニアック化するなかで、事前の知識なしに楽しめるシンプルさも評価された。

猛獣が暴れる場面などで駆使されるCGも見事だ。

日本で大ヒット

日本でも大ヒットし、興行収入10億円を超えた。 インド映画として最高記録。 それまでで最高だった「ムトゥ 踊るマハラジャ」(1995年)を大きく上回った。

【主な受賞歴】
・クリティック・チョイス賞【2冠】外国語映画賞、歌曲賞
・ニューヨーク批評家賞 監督賞(SS・ラージャマウリ)
・ハリウッド批評家賞【4冠】アクション映画賞、国際映画賞、スタント賞、歌曲賞
・女性映画ジャーナリスト同盟 非英語作品賞
・アトランタ批評家賞 国際映画賞
・ジョージア批評家賞 国際映画賞
・ロサンゼルス批評家賞 音楽賞、監督賞の次点
・サターン賞 国際映画賞
・オースティン批評家賞 アクション監督賞(ニック・パウエル)
・ゴールデングローブ賞 歌曲賞
・ボストン批評家賞 作曲賞
・ユタ批評家賞 非英語作品賞、監督賞の次点
・第25回みうらじゅん賞

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「バビロン」

(日本公開:2023年2月10日)

バビロン

<受賞結果>
【受賞部門】
 なし
【ノミネート部門】
 作曲賞
 衣装デザイン賞
 美術賞
(以上、3個)

【動画】
<予告編>
「ラ・ラ・ランド」「セッション」のデミアン・チャゼルが監督。「ファースト・マン」以来4年ぶりの監督作となる。

1920年代の黄金期のハリウッドが舞台。無声映画から発声映画への移行期を描く。実在の人物と架空のキャラクターを織り交ぜた。

主人公は、サイレント映画時代のトップ俳優ジョン・ギルバート。破天荒な私生活でも知られた彼を、ブラッド・ピットが演じる。

■配給会社:パラマウント

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「ザ・ホエール」

(日本公開:2023年4月)

ザ・ホエール

<受賞結果>
【受賞部門】
 主演男優賞(ブレンダン・フレイザー)
 メイク&ヘア賞
【ノミネート部門】
 助演女優賞(ホン・チャウ)

■ロッテントマト評価:
66%(最新スコア→

■IMDb評価:
8.0(最新スコア→
ダーレン・アロノフスキー監督。

主演のブレンダン・フレイザーが大絶賛された。 見事なカムバック劇は、「レスラー」のときのミッキー・ロークを彷彿とせる。

アロノフスキー監督は、「ブラック・スワン」「レスラー」で知られる超実力派。

■映画祭:ベネチア国際映画祭に出品。

■配給会社:A24

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「逆転のトライアングル」

(日本公開:2023年2月23日)

逆転のトライアングル

<受賞結果>
【受賞部門】
 なし
【ノミネート部門】
 作品賞
 監督賞
 脚本賞
(以上、3個)

■ロッテントマト評価:
72%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.5(最新スコア→

【動画】
<予告編>
カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した。リューベン・オストルンド監督にとって「ザ・スクエア 思いやりの聖域」に続き2度目の受賞となった。

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トム・クルーズのオスカー歴

ノミネート3回。受賞はゼロ

トム・クルーズは過去に3度、アカデミー賞にノミネートされました。受賞は一度もありません。

<トム・クルーズのノミネート歴>
結果 作品 部門
2000 ノミネート 「マグノリア」 助演男優賞
1997 ノミネート 「ザ・エージェント」 主演男優賞
1990 ノミネート 「7月4日に生まれて」 主演男優賞

初代「トップガン」のオスカー受賞歴

受賞 歌曲賞
「愛は吐息のように (Take My Breath Away)」 by ベルリン
ノミネート
編集賞
音響賞(旧・録音賞)
音響編集賞

選考・発表・放送の日程

イベント 日時
主要部門のエントリー申請の期限 2022年11月15日
仮投票の開始 2022年12月12日
仮投票の終了 2022年12月15日
候補作の候補(ショートリスト)発表 2022年12月21日(水)
選考対象となる作品の公開日の期限 2022年12月31日
ノミネート投票開始 2023年1月12日(木)
ノミネート投票終了 2023年1月17日(火)
ノミネート発表 2023年1月24日(火)
最終投票開始 2023年3月2日
最終投票終了 2023年3月7日
授賞式(結果発表) 2023年3月13日(月)の昼間(日本時間)


<その他の作品>
作品 説明
「エンパイア・オブ・ライト」

(日本公開:2023年2月)

エンパイア・オブ・ライト

【ノミネート部門】
 撮影賞

■ロッテントマト評価:
45%(最新スコア→

■IMDb評価:
6.8(最新スコア→

【動画】
<予告編>
デビュー作「アメリカン・ビューティ」でいきなりオスカー作品賞を獲ったサム・メンデス監督。2019年の「1917 命をかけた伝令」では、作品賞と監督賞にノミネートされながら、「パラサイト 半地下の家族」に敗れた。そんなメンデス監督が、英国の恋愛物語を自らのオリジナルストーリーで描いた。脚本等をめぐって賛否の評価が分かれた。主演オリビア・コールマンの演技は称賛された。

映画撮影の巨匠ロジャー・ディーキンスのカメラワークにより、撮影賞にノミネートされた。

■出演:
オリビア・コールマン
マイケル・ウォード
コリン・ファース

■配給会社:サーチライト
「13人の命」

(日本公開:2022年8月【Amazon配信】)

13人の命

■ロッテントマト評価:
86%(最新スコア→

■IMDb評価:
7.8(最新スコア→

【動画】
<予告編>
ロン・ハワード監督

主演ヴィゴ・モーテンセン、助演コリン・ファレル。

2018年にタイで起きた洞窟遭難事故を描く。

地元の少年サッカーチームの12人とコーチ1人の計13人が閉じ込められた。本作では、救出劇にスポットを当てられている。洞窟を専門とする民間ダイバー(潜水士)たちが海外から駆けつけ、命がけの救出に臨む。

奇跡としか言いようのない実話を、一級の撮影技術と演技で再現した。

批評家や一般客に高い評価を得た。「ビューティフル・マインド」(2001年)でアカデミー賞を獲った名匠ロン・ハワードにとって、久しぶりに大多数から賛辞を得る作品となった。

当初、配給会社MGMは劇場公開を予定していた。しかし、AmazonがMGM買収を完了させたことで、配信作品になった。賞レースに参加するため、アメリカで1週間だけ劇場公開が行われた。

■配給会社:MGM(UA)、アマゾン

ノミネートされなかった作品

注目されていたがノミネートされなかった作品の一覧です。

作品賞

作品賞ノミネートから漏れた映画
  • 「バビロン」
    バビロン
    (日本公開:2023年2月10日)
    ※ハリウッド黄金期を描く大作。賛否両論が大きく分かれた。巨額の予算が投じられたが、全米での公開時の興行は大コケとなった。
    監督:デミアン・チャゼル
    配給:パラマウント


  • 「RRR(アール・アール・アール)」
    RRR(アール・アール・アール)
     国:インド
    (日本公開:2022年10月21日)
    監督:SS・ラージャマウリ
    配給:バリアンス


  • 「ザ・ホエール」
    ザ・ホエール
    (日本公開:2023年4月)
    ※引きこもり教師が娘との絆を取り戻す。
    監督:ダーレン・アロノフスキー
    配給:A24


  • 「ウーマン・キング」
    ウーマン・キング
    ※アフリカに実在した女性兵士軍を描いた。全米で大ヒット
    配給:ソニー
    監督:ジーナ・プリンス・バイスウッド


  • 「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」
    ナイブズ・アウト:グラスオニオン
    ※2020年の脚本賞にノミネートされた「ナイブズ・アウト」の続編で、前作を上回る高評価を得た。Netflix作品ながら、全米の劇場で1週間だけ公開され、成功を収めた。
    監督:ライアン・ジョンソン
    配給:Netflix
    【配信:ネトフリ


  • 「アフターサン」
    アフターサン
    監督:シャーロット・ウェルズ(新人)
    配給:A24
    英米合作
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)監督賞、作品賞次点
    ・トロント批評家賞 作品賞&監督賞


  • 「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」
    SHE SAID/シー・セッド その名を暴け
    ※ハリウッドの大物ハーベイ・ワインスタインによる性的暴行事件を暴いた記者たちの実話。観客や批評家の評価は高く、社会的な意義のある一作。
    (日本公開:2023年1月13日)
    ・ネバダ批評家賞 作品賞


  • 「別れる決心」
     国:韓国
    別れる決心
    監督:パク・チャヌク
    ※刑事と容疑者が惹かれ合う愛のサスペンス。米国の批評家から高評価を得た。パク・チャヌク監督は「オールド・ボーイ」「お嬢さん」などの傑作で知られる。
    (日本公開:2023年2月17日)
    ・カンヌ国際映画祭 監督賞
    ・フロリダ批評家賞 監督賞、脚本賞、作品賞次点、国際映画賞、撮影賞
    ・ワシントン批評家賞 外国語映画賞
    ・シカゴ批評家賞 外国語映画賞
    ・オクラホマ批評家賞 外国語映画賞


  • 「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
    ギレルモ・デル・トロのピノッキオ
    配給:Netflix
    【配信:ネトフリ


  • 「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
    ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー


  • 「ザ・バットマン」
    ザ・バットマン
    ※アメコミファンが大絶賛。ダークな作風。芸術性が高い評価を受けた。


  • 「ザ・メニュー」
    ザ・メニュー
    ※孤島を舞台にしたグルメ映画。良質コメディ。役者陣の演技も高評価。
    (日本公開:2022年11月)


  • 「NOPE/ノープ」
    NOPE/ノープ