部門 | 受賞予想 | |
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作品賞 | 「アノーラ」 | |
監督賞 |
ブラディ・コーベット
「ブルータリスト」 |
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主演男優賞 |
レイフ・ファインズ
「教皇選挙」 |
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主演女優賞 |
マイキー・マディソン
「アノーラ」 |
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助演男優賞 |
キーラン・カルキン
「リアル・ペイン~心の旅」 |
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助演女優賞 |
ゾーイ・サルダーニャ
「エミリア・ペレス」 |
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脚本賞 | 「アノーラ」 | |
脚色賞 | 「シンシン」 | |
▲ 以上、主要8部門 ▲ | ||
アニメ賞 | 「野生の島のロズ」 | |
国際映画賞 |
「エミリア・ペレス」
(国:フランス) |
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ドキュメンタリー賞 | 「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」 | |
視覚効果賞 | 「デューン 砂の惑星2」 | |
歌曲賞 |
「野生の島のロズ」
『キス・ザ・スカイ』 (歌手:マレン・モリス) 動画→ |
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作曲賞 | 「デューン 砂の惑星2」 | |
撮影賞 | 「ブルータリスト」 | |
編集賞 | 「ブルータリスト」 | |
音響賞 | 「デューン 砂の惑星2」 | |
衣装賞 | 「ウィキッド」 | |
美術賞 | 「デューン 砂の惑星2」 | |
ヘア&メイク賞 | 「デューン 砂の惑星2」 |
年 | 作品賞 | 詳細 |
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2024 | 「オッペンハイマー」 | 詳細▼ |
2023 | 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 | 詳細▼ |
2022 | 「コーダ あいのうた」 | 詳細▼ |
2021 | 「ノマドランド」 | 詳細▼ |
2020 | 「パラサイト」 | 詳細▼ |
2019 | 「グリーンブック」 | 詳細▼ |
2018 | 「シェイプ・オブ・ウォーター」 | 詳細▼ |
2017 | 「ムーンライト」 | 詳細▼ |
2016 | 「スポットライト」 | 詳細▼ |
2015 | 「バードマン」 | 詳細▼ |
2014 | 「それでも夜は明ける」 | 詳細▼ |
2013 | 「アルゴ」 | 詳細▼ |
2012 | 「アーティスト」 | 詳細▼ |
2011 | 「英国王のスピーチ」 | 詳細▼ |
2010 | 「ハート・ロッカー」 | 詳細▼ |
2009 | 「スラムドッグ・ミリオネア」 | 詳細▼ |
2008 | 「ノーカントリー」 | 詳細▼ |
2007 | 「ディパーテッド」 | 詳細▼ |
2006 | 「クラッシュ」 | 詳細▼ |
2005 | 「ミリオン・ダラー・ベイビー」 | 詳細▼ |
2004 | 「ロード・オブ・ザ・リング3 王の帰還」 | 詳細▼ |
2003 | 「シカゴ」 | 詳細▼ |
2002 | 「ビューティフル・マインド」 | 詳細▼ |
2001 | 「グラディエーター」 | 詳細▼ |
2000 | 「アメリカン・ビューティー」 | 詳細▼ |
1999 | 「恋におちたシェイクスピア」 | 詳細▼ |
1998 | 「タイタニック」 | 詳細▼ |
1997 | 「イングリッシュ・ペイシェント」 | 詳細▼ |
1996 | 「ブレイブハート」 | 詳細▼ |
1995 | 「フォレスト・ガンプ」 | 詳細▼ |
1994 | 「シンドラーのリスト」 | 詳細▼ |
1993 | 「許されざる者」 | 詳細▼ |
1992 | 「羊たちの沈黙」 | 詳細▼ |
1991 | 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」 | 詳細▼ |
1990 | 「ドライビング Miss デイジー」 | 詳細▼ |
1980年代 | 詳細▼ | |
1970年代 | 詳細▼ | |
1960年代 | 詳細→ | |
1950年代 | 詳細→ |
アカデミー賞は世界最高峰の映画賞です。通称「オスカー」。主催者は「映画芸術科学アカデミー」(アメリカ)。 ちなみに、日本アカデミー賞(日アカ)とは全く関係がありません。
2024年→ | 2023年→ | 2020年代 | 2010年代 | 2000年代 | 1990年代 | 1980年代 | 1970年代 | 1960年代 | 1950年代 | 1940年代 | 1930年代 | 作品賞(歴代)→ | ページの先頭↑ |
歴代の受賞者リスト
| 24年 | 23年 | 22年 | 21年 | 20年 |
( 24年 | 23年↓)
【主要8部門】作品賞、
監督賞、
主演男優賞、
主演女優賞、
助演男優賞、
助演女優賞
【ジャンル別部門】アニメ賞、
国際映画賞
【技術部門】視覚効果賞
※他の部門はこちら→
部門 | 受賞 | ノミネート | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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作品賞 |
「オッペンハイマー」
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監督賞 |
クリストファー・ノーラン
「オッペンハイマー」 「映像話術の天才」と呼ばれ続けて四半世紀。 革新的な映画づくりに挑み続けてきた男が頂点に立った。 20代で初ノミネート1970年ロンドン生まれ。29歳で撮った2作目「メメント」(2000年)で大ブレイク。 物語を結末から語るという手法で驚かせた。 時間の流れを逆さまにして、映画の文法や時間的距離を変えることに挑戦し、いきなりオスカー脚本賞にノミネートされた。大物俳優に臆せずメジャースタジオから出した次作「インソムニア」(2002年)では、心理的駆け引きのサスペンスを緊張感を持って描き、主観的真実と客観的真実は違うことを訴えた。アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクという3人の大物オスカー俳優を巧みに演出した。バットマンで新機軸続いて「バットマン」3部作を手掛け、 スーパーヒーロー伝説に新たな歴史を刻む。 1作目「ビギンズ」でダークかつ物語性重視の新機軸を打ち出し、 続く2作目「ダークナイト」でジョーカー役にヒース・レジャーを起用。 心の闇の奥底まで悪魔が乗り移ったかのような悪役を造形した。 ダークナイトは全米興行収入歴代第3位を記録。作品賞ノミネートから漏れたことは、作品賞の候補を5枠から10枠に増やすという歴史的な制度変更の契機になった。SFでも成功2010年の「インセプション」では、重層的な夢の世界で複数の物語が同時進行するというややこしいストーリーを、一級の娯楽劇に仕上げた。オスカーの作品賞と脚本賞にダブルノミネート。 SF大作「インターステラー」(2014年)では、人類の生き残りを懸けて宇宙に向かう主人公の家族愛を壮大な映像力で表現。オスカー視覚効果賞を獲った。「ダンケルク」で監督賞候補に続く「ダンケルク」(2017年)では、第二次世界大戦の英国軍の撤退作戦を、CGを使わずに再現することに成功。迫真の戦闘描写が称賛された。作品賞に加えて、初めて監督賞にノミネートされた。日本で高い人気前作「テネット(Tenet)」は、米国内で商業的に厳しい結果になったが、日本ではリピーターが続出して大ヒットとなった(そもそもデビュー以来、常に日本で人気の高い監督だった)。ロケ撮影によるリアル映像映像にリアリティーを持たせるため、CGなどのVFX(視覚効果)に頼らず、 極力、ロケや綿密なセット構築したうえでの撮影を重視している。ワーナーといったん決別長年にわたり米ワーナー・ブラザースと組んでいたが、 ワーナーが前作「テネット」を劇場公開と同時にネット配信したことで対立。 袂を分かち、今作では米ユニバーサルが配給元になった。最強カップル妻のエマ・トーマス氏は敏腕プロデューサーとして知られ、これまでノーランの全映画をプロデュースしてきた。大学の寮で知り合ったというおしどり夫婦。映画界最強カップルの力が本作でもいかんなく発揮され、商業的にもキャリア最高の大成功をもたらした。【作品説明へ】 ノーランのオスカー歴▼
【前哨戦での受賞】 ・DGA(米監督組合賞) ・クリティクス・チョイス賞 監督賞 ・英国アカデミー賞 監督賞 ・ゴールデングローブ賞 監督賞 ・ニューヨーク批評家賞 監督賞 ・アトランタ批評家賞 監督賞 ・ワシントン批評家賞 監督賞 ・セントルイス批評家賞 監督賞 <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<コルベア対談1▼> <コルベア対談2▼> <コルベア対談3▼> <コルベア対談4▼> <コルベア対談5▼> <英国アカデミー賞スピーチ▼> |
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主演男優賞 |
キリアン・マーフィー
「オッペンハイマー」 パラドックスに満ち、組み合わせパズルのように複雑なオッペンハイマー氏の人物像を、抜群の説得力でリアルに造形。 大げさな表現に頼ることなく、ストーリーに自然に溶け込み、伝記ドラマの歴史的な傑作誕生の立役者となった。 脇役から主役へ悪役スケアクロウを演じた「バットマン」3部作のほか、「インセプション」「ダンケルク」といったノーラン監督の名作を脇役として支えてきた。 繊細、知的、大胆、ときに不気味。キャラクターの性質や心情を巧みに伝えるスキルは、ようやくめぐってきた主役の座で存分に発揮された。「28日後」で大ブレイク1976年、アイルランドの教育者の家系に生まれた。 10代はロック少年。20歳で地元劇団の舞台に初出演。 英国人監督ダニー・ボイル氏のゾンビ映画「28日後」(2002年)の配役担当の目に留まり、主役に大抜擢された。 華奢で夢想的な雰囲気が作品に見事にマッチし、映画の成功とともに世界的なブレイクを果たした。目力(めぢから)で圧倒「バットマン・ビギンズ」(2005年)のオーディションでは希望する主人公の役を逃したが、その「目力(めぢから)」に圧倒されたノーラン監督は、悪役としての起用を決めたという。【作品説明へ】 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・英国アカデミー賞 ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門) ・ワシントン批評家賞 ・アトランタ批評家賞 ・フェニックス批評家賞 ・フィラデルフィア批評家賞 ・セントルイス批評家賞 <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<登場シーンなど▼><ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼> <昔の歌唱シーン▼> <バットマンでの登場シーン▼> <「28日後」での登場シーン▼> <「オッペンハイマー」出演者3人のインタビュー▼> |
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主演女優賞 |
エマ・ストーン
「哀れなるものたち」 2回目の受賞。「ラ・ラ・ランド」での受賞から7年ぶり。 特異キャラをぶっとび体現科学実験で死から蘇った女性を演じた。体は大人なのに脳は乳児という特異なキャラクターを、ぶっ飛び演技で愉快に表現。そこから急ピッチで成長していく「変革」のプロセスを存分に見せた。共同プロデューサー共同プロデューサーとして企画の初期段階から参加し、「女王陛下のお気に入り」で組んだヨルゴス・ランティモス監督と二人三脚で主人公像を創造していったという。15歳でLA移住1988年11月、米南部アリゾナ州生まれ。11歳から演技を学び、家族の応援で母と一緒に15歳からロサンゼルスに移ってテレビ出演を始めた。「Easy A」で高評価2007年の「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で映画デビュー。青春コメディの傑作として絶賛された「Easy A」(2010年)で演技力とハリウッドスターらしい華を備えたスターとして高い評価を受け、初めて賞レースにも絡んだ。2012年の「アメイジング・スパイダーマン」でヒロイン役に。4度目のノミネート2015年に「バードマン」でオスカー初ノミネート(助演)。2017年に「ラ・ラ・ランド」で初のオスカー(主演)を獲得した。2019年にも「女王陛下のお気に入り」でノミネート(助演)された。今回で4度目のノミネートだった。【作品説明へ】 【前哨戦での受賞】 ・クリティクス・チョイス賞 ・英国アカデミー賞 ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門) ・ミシガン批評家賞 ・シカゴ批評家賞 ・ロサンゼルス批評家賞 ・フィラデルフィア批評家賞 ・フェニックス批評家賞 <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<登場シーン▼><ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼> <ルイ・ヴィトンの宣伝動画▼> <自宅で78個の質問にこたえる▼> |
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助演男優賞 |
ロバート・ダウニーJr
「オッペンハイマー」 科学者オッペンハイマーの公職追放をめぐる政治ドラマが描かれる本作において、そのカギを握る政府高官を演じた。 現実味たっぷり「アイアンマン」など過去の数々の有名キャラターの面影を消し去り、全くの別人に変身。 権力欲や虚栄心が強く腹黒い政治的キャラクターを現実味たっぷりに造形した。見せ場を支える会話シーンはもとより、 手のしぐさから表情の微妙な変化にいたるまで、派手さはないが強烈な印象を残す表現を連発。 立体的で深いドラマの見せ場を支えた。 若いころから実力が高く評価されてきた一流スターの真骨頂が、存分に発揮された。チャプリン役で初候補にオスカーノミネートは3回目。 1度目は、実に30年前(1993年)にさかのぼる。 伝記映画「チャーリー」で喜劇王チャーリー・チャプリンを演じ、主演男優賞にノミネート。当時26歳ながら10代から88歳までのチャプリンを演じた。 2009年には活劇コメディ「トロピック・サンダー」で助演男優賞にノミネートされた。薬物中毒から脱却1965年4月生まれ、米ニューヨーク出身。父は映画監督、母は女優。5歳の時に初めて父の監督作に出演し、1980年代は青春映画で活躍した。2000年代初頭に人気テレビドラマ「アリー・myラブ」に出演したころから麻薬の常習者になり、何度も刑務所に入った。その後、リハビリ施設入所やヨガなどによって中毒から立ち直ったという。 マーベル黄金期の立役者2008年の「アイアンマン」で初めてスーパー・ヒーロー役(トニー・スターク)を演じ、大当たり。 米コミック「マーベル」のシリーズ化の起点となった。 2010年代のアメコミ映画の黄金時代をど真ん中で支え続けた。 「シャーロック・ホームズ」シリーズでも主役を務め、大ヒットへと導いた。「頼れる兄貴分」映画業界への貢献度はとてつもない。撮影現場では「頼れる兄貴分」として同業者から高評価を得ており、かつての問題児の影はない。【作品説明へ】 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・クリティクス・チョイス賞 ・英国アカデミー賞 ・ゴールデングローブ賞 ・フィラデルフィア批評家賞 ・フェニックス批評家賞 ・サンディエゴ批評家賞 ・アトランタ批評家賞(タイ) <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<登場シーンなど▼><スティングと一緒に歌う▼> <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼> <「チャーリー」の予告編▼> |
※歴代の助演男優賞→ ▲ 一覧の先頭へ |
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助演女優賞 |
デバイン・ジョイ・ランドルフ
「ホールドオーバーズ」 学食の料理人を演じた。 最愛の息子をベトナム戦争で失って初めて迎えたクリスマス。 自分と同じく休校中の学校に居残った教師(ポール・ジアマッティ)や生徒(ドミニク・セッサ)が繰り広げるドタバタに、じわじわと巻き込まれていく役柄。 母性と芯の強さを体現自身が喪失感にさいなまれながらも、 さりげない優しさとユーモアで他の2人を温め、お互いの理解を助けていく母性を絶妙に表現。 愛らしさと芯の強さが観客の感動を呼んだ。いきなりトニー賞1986年5月、米東部フィラデルフィア生まれ。 地元の大学で演劇を学んだ後、 名門イエール大学院に進み、演劇で修士号をとった。 ミュージカル版「ゴースト」で役者デビューを飾り、 いきなりトニー賞の助演女優賞にノミネートされた。歌唱力も抜群2019年、エディ・マーフィ主演映画「ルディ・レイ・ムーア」(Netflix)で、大柄な芸人を熱演。ド迫力の歌唱力もあいまって、一躍脚光を浴びた。 今回の賞レースでは前哨戦を負け知らずで独走した。【作品説明へ】 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・クリティクス・チョイス賞 ・英国アカデミー賞 ・ゴールデングローブ賞 ・米国映画評議会議賞(NBR) ・全米映画批評家協会賞(NSFC) ・ニューヨーク批評家賞 ・ロサンゼルス批評家賞 ・シカゴ批評家賞 ・ボストン批評家賞 ・ワシントン批評家賞 ・アトランタ批評家賞 ・ミシガン批評家賞 ・フィラデルフィア批評家賞 ・セントルイス批評家賞 ・フェニックス批評家賞 <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<登場シーン▼><「ルディ・レイ・ムーア」での歌唱シーン▼> <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼> |
※歴代の受賞者(助演女優賞)→ ▲ 一覧の先頭へ |
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アニメ賞 |
「君たちはどう生きるか」
【国:日本】 宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサー 宮崎監督3回目のオスカー日本にとって「千と千尋の神隠し」以来21年ぶり2度目の長編アニメ賞。宮崎駿監督にとっては「千と千尋の神隠し」、2015年の名誉賞に続いて3回目のオスカー受賞となった。引退を撤回2013年の「風立ちぬ」を最後に引退すると表明していた宮崎監督が、2016年にこれを撤回し、製作に臨んだ。手描きの味わい作画開始から完成まで異例の7年という長期間を費やし、マイペースで丹念に作り上げた。 手描きによる絵のクオリティの高さは健在。 人物などの滑らかな動きや美しい背景美術など、視覚的な味わいに満ちている。自伝的なストーリー宮崎氏の自伝的なストーリー。 内省的なキャラクター造形や迷宮のような不思議な世界観が、 見る側の想像力をかき立てる。巨匠の復帰を大歓迎海外でも高い評価を集め、 引退したはずのレジェンドの復帰に、全米のアニメファン、映画ファンが沸き上がった。 オスカー前哨戦では、ニューヨーク批評家賞やロサンゼルス批評家賞といった権威ある玄人系の賞でアニメ賞を獲得。 英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞でも勝利し、勢いづいた。歴代ジブリで最高の米興収商業的にも世界的に成功した。アメリカ(北米)における興行収入は4600万ドルで、ジブリ映画として歴代1位を記録。 それまでトップだった「千と千尋の神隠し」の3倍以上を稼いだ。 (参考:エクシブ投資顧問)過去のオスカーでは大衆派が勝利とはいえ、オスカーの最大の競争相手だった「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の北米興収はその8倍。 両作ともに大絶賛を浴びたが、 どちらかといえば批評家の評価は「君たちはどう生きるか」が上で、 観客の評価は「スパイダーマン」が上。 ざっくり言えば「作家性」対「娯楽性」、「手描き」対「CG」、そして日米アニメの最高峰による未曽有の激戦となった。過去のオスカーでは大衆派が勝利過去のアニメ部門でディズニーやピクサーなどの大衆娯楽作を選んできたオスカーの傾向をふまえると、 スパイダーマンが優勢との事前予想が多かった。国際化が追い風しかし、アカデミー会員は宮崎氏の唯一無二の独創性に軍配を上げた。 海外の会員が増えて国際化したことや、全3部作の2作目であるスパイダーマンが既に1作目で受賞していることも、「君たち」に優位に働いたと見られている。「千と千尋の神隠し」以来オスカーの長編アニメ賞は2002年に新設された比較的新しい部門。 1回目は「シュレック」が受賞し、翌年の2回目をジブリの「千と千尋の神隠し」が獲った。 それ以来、日本勢はノミネートどまりが続いていた。 ジブリ以外で日本からノミネートされたのは、 細田守監督「未来のミライ」のみ。
プロデューサー:鈴木敏夫 配給:GKIDS 英題:The Boy and the Heron 製作国:日本 長さ:2時間4分 【評価】
【興行収入】 北米:4600万ドル 世界:1億6700万ドル(最新→) 【前哨戦での受賞】 ・英国アカデミー賞 アニメ賞 ・ゴールデングローブ賞 アニメ賞 ・ニューヨーク批評家賞 アニメ賞 ・ロサンゼルス批評家賞 アニメ賞 ・フロリダ批評家賞 作品賞、アニメ賞、作曲賞【3冠】 ・シカゴ批評家賞 アニメ賞 ・ボストン批評家賞 アニメ賞 ・フィラデルフィア批評家賞 アニメ賞&外国語映画賞【2冠】 ・サンディエゴ批評家賞 アニメ賞 ・ロンドン批評家賞 アニメ賞 <▼受賞発表> 動画集を開く▼<予告編▼><主題歌:米津玄師「地球儀」▼> <受賞後の中島清文・ジブリCOOの会見▼> 歴代の日本人受賞者→ |
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国際映画賞 |
「関心領域」
国:イギリス(ドイツ語) 1990年代にジャミロクワイの音楽ビデオを撮ったことで知られる英国の鬼才ジョナサン・グレイザー監督の10年ぶりの新作映画。 作家性が強い独創的な作品。 大衆娯楽性は低いが、 コアなシネフィルから絶大な支持を得た。 PGAの10本に入るカンヌ国際映画祭で「落下の解剖学」との接戦の末、2位(グランプリ)となった。米国の賞レースでも、ロサンゼルス批評家賞など権威の高い賞で作品賞や監督賞を次々と獲得。ハリウッドの大作を選ぶ傾向が強いPGA(全米プロデューサー組合賞)でも作品賞にノミネートされるというサプライズまで起こした。ナチス収容所の隣人ユダヤ人大量虐殺が行われた独ナチスのアウシュビッツ強制収容所。 その隣の邸宅が主な舞台となる。 ナチス幹部である収容所の所長一家が、この邸宅に入居し、生活を始める。塀の向こうで行われているナチスの虐殺行為は画面には映さない。 ただ、時折、銃声や悲鳴が聞こえてくる。 それでも一家は、絵に描いたような幸せな暮らしを送る。 鮮烈なコントラストで異常さを際立たせる。 音で想像力を喚起させる「見せない演出」が絶賛された。 固定カメラにより長回しを多用。 ドラマチックにしない演出も注目された。 【結果】
監督:ジョナサン・グレイザー(英国人) 公開日:2024年5月24日 英題:The Zone of Interest 言語:ドイツ語 製作国:英国、ポーランド 配給:A24 ■評点:ロッテン93%、IMDb7.6 【前哨戦での受賞】 ・カンヌ国際映画祭 2位(グランプリ) ・ロサンゼルス批評家賞 作品賞&監督賞&主演賞&音楽賞 ・全米映画批評家協会賞(NSFC)監督賞 ・トロント批評家賞 作品賞&監督賞 ・サンフランシスコ批評家賞 監督賞 ・女性映画ジャーナリスト同盟 作品賞 ・ボストン批評家賞 監督賞&脚色賞 ・英国アカデミー賞 非英語作品賞&英国作品賞&音響賞の3冠 ・シカゴ批評家賞 外国語映画賞 <▼受賞スピーチ> 動画集を開く▼<カンヌ上映後の客席の反応▼> |
※歴代の国際映画賞→ ▲ 一覧の先頭へ |
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視覚効果賞 |
「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」
(山崎貴、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司) 映画大国アメリカにおいて「商業」と「批評」の両面で大成功した。 アニメでは珍しくないが、実写の邦画としては歴史的な快挙だった。 怖いゴジラとりわけ高く評価されたのが、視覚効果(VFX)だった。 CG(コンピューター・グラフィクス)によって描いたゴジラは、重厚感がたっぷり。 迫ってくるときの凄み、怖さに加えて、元祖ゴジラを想起させる質感や形も称賛された。銀座の破壊シーンゴジラが暴れる街もVFXで緻密に生成された。 見せ場となる東京・銀座の破壊シーンでは、無数の建物をCGで配置。 ビル一棟一棟について、壁や床の素材や構造をコンピューターに入力したうえで、「壊れて粉々になる」という物理現象を出力させたという。海を歩くシーン海を舞台とするシーンでも、視覚効果の技術が存分に活かされた。 物体や生き物が水の中を移動すると、白く泡立つ波「白波」(ホワイト・ウォーター)が発生する。 巨体のゴジラともなれば、白波のボリュームはとてつもないが、本作ではこれをCGで緻密に描き、実写の海と組み合わせた。 その結果、洋上で迫ってくるゴジラがリアルにに表現され、「海上アクション映画」としても一級になった。3分の2にVFX全体の3分の2程度(尺数ベース)の映像に、 VFX技術が何らかの形で使われたという。格安の製作費&わずか35人製作費は20億円程度で、ハリウッド大作と比べれば10分の1以下。 しかも、VFXスタッフはわずか35人。ハリウッドなら数百人も珍しくない。 技術レベルも米国に大きく劣ると思われていた。マンネリ感を打破それだけに、ゴジラ-1.0の仕上がりの良さはアメリカのファンを驚かせた。 最近の米国製SF大作に物足りなさやマンネリ感を覚えていた人たちも惜しみなく喝采を浴びせた。作品力の勝利最終的には、技術レベルうんぬんというより、創意工夫やクラフトマンシップ(職人魂)、そして何より作品としての総合力がものをいったのだろう。VFXの名手・山崎貴監督本作は、視覚効果を得意とする山崎貴監督の集大成となった。 山崎監督は日本を代表する「VFXの名手」として有名。 そもそもVFXの技術者出身だ。過去作で実績「ALWAYS 三丁目の夕日」で昭和30年代の街並みをVFXで丸ごと構築し、 その続編ではCG製ゴジラも登場させた。 「永遠の0」ではゼロ戦の戦闘シーンを再現。 「海賊とよばれた男」では、東京大空襲で町が火煙に包まれるシーンをCGで描くなど、 ハリウッドに追いつくべく果敢な挑戦を続けてきた。遊園地のゴジラもさらに、埼玉県の「西武園ゆうえんち」でゴジラをテーマとする乗り物アトラクションの映像を手掛けた。 本作では、過去の作品で蓄えたノウハウを全てぶつけたという。長野出身のSF児童山崎氏は1964年、長野県松本市生まれ。 小学生の時、児童向けのSF小説をほぼ毎日一冊のペースで愛読していた。「未知との遭遇」「スターウォーズ」で覚醒中学生(13歳)のときに映画館で「未知との遭遇」(スティーブン・スピルバーグ監督)と「スター・ウォーズ」(ジョージ・ルーカス監督)を鑑賞し、 革新的なSF技術に感動。特撮技術者を志すようになる。 8ミリカメラを持っている友達を引き込み、受験勉強そっちのけで短編のSF作品を撮ったという。 高校でも映画研究会で映像作品づくりに没頭した。専門学校でCGに熱高校を出た後、東京の「阿佐ケ谷(あさがや)美術専門学校」に入り、映像技術を学ぶ。当時出回り始めていたCG(コンピューター・グラフィックス)にも熱中した。「白組」へ就職学校で募集がかかった映像制作会社「白組」のアルバイトに従事する。 白組は、映像作家・島村達雄氏が設立した新興企業。山崎氏はCM撮影で使うミニチュア作りを手伝った。 その仕事ぶりと潜在力が島崎氏に認められ、卒業後の1985年、白組に入社を果たす。初の監督作が成功白組では、CMなどの視覚効果を担当した。24歳で伊丹十三監督の映画「マルサの女2」(1988年)の特撮場面を任された。 社内で映画のアイデアが募集されると、並々ならぬ熱意と行動力で、企画書を作成。 この提案が通り、SF活劇「ジュブナイル」(2000年)を撮った。 CGを駆使した監督デビュー作は、戦闘シーンの迫力などが話題となり、興行収入12億円を稼いだ。恩師・阿部秀司との出会いこの「ジュブナイル」の企画書を気に入り、 映画化へと導いたのは、プロデューサーの阿部秀司氏だった。 広告代理店の社員を脱サラし、1986年に制作会社「ロボット」を設立。 映画の自主制作に乗り出していた阿部氏は、若き山崎氏の才能と白組のVFX技術をいち早く認め、ジュブナイルに新人監督作として異例の総製作費4億5000万円を付けた。受賞スピーチで追悼その後、山崎監督と阿部プロデューサーのコンビは、 「ALWAYS 三丁目の夕日」などの超ヒット作を次々と生み、 その盟友関係は、「ゴジラ-1.0」まで続いた。 阿部氏は前年12月に惜しくも死去(享年74歳)。 山崎氏のオスカー受賞スピーチは、阿部氏への追悼で締めくくられた。白組の一流人材が結集ゴジラ-1.0の制作には、山崎氏が今でも所属する白組のVFXスペシャリストが集結した。 いつも通り山崎監督が自ら視覚効果を監修。 長年にわたり山崎作品の視覚効果を支えてきた渋谷紀世子氏が、 全体のまとめ役となるVFXディレクターを務めた。4人が代表して受賞オスカーの視覚効果賞では、受賞対象の個人の上限が4人。 山崎監督(59歳)と渋谷ディレクター(53歳)以外の2枠はスタッフ全員による社内投票で選出したという。 その結果、ベテランCG技術者の高橋正紀氏(55歳)と、海のシーンで天才的な才能を発揮した若手のホープ・野島達司氏(25歳)が選ばれた。米国で邦画史上2位ゴジラ-1.0は2023年12月1日、日本の実写映画としては異例の規模で全米公開され、初週末の興行収入ランキングは3位。 最終的な北米興収は5600万ドルを突破する大ヒットとなった。邦画として「ポケモン」(1998年)に次ぐ史上2位を記録した(エクシブ投資顧問→)。実写として快挙これまでアメリカ市場における邦画の商業的な成功は、 ほぼアニメに限られていたが、 実写でのメジャーヒットを出したことは、日本の映画産業にとって実に意義深い。 また、米国での配給を、現地企業に頼らず東宝が自ら行ったことも画期的だった。 (参考:河端哲朗氏)家族愛のテーマ設定も成功なお、本作ではテーマを「家族愛」に据えたことも、 米国で成功した理由の一つだと考えられている。 日本では人間ドラマの部分について賛否が分かれたが、 アメリカでは肯定派が圧倒的な多数を占めた。米国の賞レースで台風の目米ロッテン・トマトの集計では、批評家と観客の支持率がいずれも「98%」という驚異的な高さ記録。 賞レースで台風の目になり、全米の各都市や州ごとの評論家の賞で視覚効果賞を次々とさらった。SF映画賞もさらに、ラスベガス批評家賞では「SF/ホラー映画賞」「国際映画賞」の2冠を達成するなど、技術部門にとどまらない評価の広がりを見せた。現地で人気者にゴジラのミニチュアを手にオスカー・キャンペーンを走り回った山崎監督は、そのオタク的な愛嬌の良さもあって、 賞レースにおける人気者の一人となった。キューブリック以来監督が自らオスカー視覚効果部門での受賞を果たした事例は、 過去に1969年のスタンリー・キューブリック(2001年宇宙の旅)のみで、今回で2例目となった。【前哨戦での受賞】・ラスベガス批評家賞 SF/ホラー映画賞、国際映画賞【2冠】・シカゴ批評家賞 視覚効果賞 ・フロリダ批評家賞 視覚効果賞 ・ユタ批評家賞 視覚効果賞 ・ジョージア批評家賞 国際映画賞 ・ハワイ批評家賞 SF作品賞 ・ポートランド批評家賞 SF作品賞 ・カンザスシティ批評家賞 SFホラー賞 初代ゴジラ「ゴジラ-1.0」は、初代「ゴジラ」の誕生から70周年の企画として製作された。 第1作目のゴジラは1954年(昭和29年)に公開。水爆実験の影響で誕生した巨大恐竜が人間を襲うというコンセプトだった。 ビキニ核実験で死の灰を浴びた「第五福竜丸事件」に触発された。ゴリラとクジラの合いの子として「ゴジラ」と名付けられた。「特撮の父」円谷英二製作費は当時の映画5本分に当たる1億円がかけられた。後に「特撮の父」と呼ばれるようになる円谷英二が特撮監督を担当。着ぐるみの中に人間が入るという方式を開発した。 着ぐるみがミニチュアの街を壊し、それをカメラで撮影。リアルな動きや破壊シーンが世界を驚かせた。初代ゴジラは国内でたちまち1.5億円を稼ぐ大ヒットとなり、戦後日本の子供たちを熱狂させた。 米国でも人気沸騰これにハリウッドが目をつけた。人気俳優レイモンド・バー扮する新聞記者の部分を撮り足して再編集され、「怪獣王ゴジラ」(1956年)として公開された。 米国の一流劇場でのロードショー公開は日本映画として初めてだった。しかも見事に大ヒットを記録。以後、東宝特撮映画のほとんどはアメリカで上映されることになった。「Gファン」1962年には、シリーズ3作目「キングコング対ゴジラ」が公開される。アメリカ映画が生んだ大怪獣の元祖キングコングと、雪氷の奥で目覚めて再び巨体を現したゴジラが対決。話題を呼んだ。いつしか米国では「Gファン」という怪獣映画愛好グループが発足。定期的に大会開催されるようになった。 ハリウッドに影響を与えるハリウッドの視覚効果の専門家の中には、ゴジラやモスラなどの日本の怪獣映画を見ながら育った人も多い。とくにオスカーの投票権が与えられるようなベテラン技術者は、大きな影響を受けている。VFX技術者たち例えば「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」(1983年)のロボットと「ジュラシック・パーク」(1993年)の恐竜づくりで2度の視覚効果賞に輝いたフィル・ティペット氏などが、ゴジラ好きとして有名だ。 「シェイプ・オブ・ウォーター」で作品賞などを獲ったギレルモ・デル・トロ監督も、日本製怪獣のファンを公言している。【評価】
【興行収入】 北米:5600万ドル 世界:1.1億ドル(最新→) 監督・脚本:山崎貴 主演:神木隆之介 助演:浜辺美波、安藤サクラほか VFX制作会社:白組 VFXディレクター:渋谷紀世子 言語:日本語 製作国:日本 配給:東宝 <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<監督によるVFX説明▼><受賞後のテレビ出演▼> <受賞後の帰国会見(ノーカット)▼> <ノミネート発表時の監督らの歓喜▼> <野島達司の天才ぶり▼> <監督インタビュー▼> <渋谷紀世子・VFXディレクターのインタビュー▼> <サントラ▼> <制作の舞台裏▼> <予告編▼> |
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「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が作品賞を含む7冠を獲得。このうち6つは主要部門(作品・監督・俳優・脚本系)だった。主要部門での6冠はオスカー史上初めて。
【主要8部門】作品賞、
監督賞、
主演男優賞、
主演女優賞、
助演男優賞、
助演女優賞、
脚本賞、
脚色賞、
【ジャンル別部門】アニメ賞、
国際映画賞、
ドキュ賞
※他の部門はこちら→
2023年 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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部門 | 受賞 | ノミネート | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
作品賞 |
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(略称:エブエブ)」
(日本公開:2023年3月3日) 監督:ダニエルズ 史上初の主要6冠作品賞に加えて、監督、主演女優、助演男優、助演女優、脚本、編集賞の計7冠。 このうち編集賞を除く6部門が主要部門だった。 「羊たちの沈黙」「愛と追憶の日々」「クレイマー・クレイマー」「カッコーの巣の上で」「或る夜の出来事」「地上(ここ)より永遠(とわ)に」などの最多記録(主要5冠)を抜き、史上初の主要部門6冠に輝いた。ダントツの独創性と斬新さに熱烈な支持が集まった。インデペンデント映画ならではの発想力の勝利だった。 中華系移民のSF家族劇米国の中華系移民の家族が突然、人類を救う戦いに巻き込まれるSF活劇。母娘愛・夫婦愛を軸とする感動系の家族物語でもある。ミシェル・ヨー主演。若手オタクとA24新進気鋭の2人組監督ダニエルズの大出世作となった。ハリウッドで最も勢いのある新興映画会社「A24」にとって過去最大の興行収入を記録。米国の映画ファンの間で話題沸騰となった。若手オタクとA24オスカー前哨戦では、評論家系の賞で勝ち続けた後、映画業界の組合別の賞で圧勝した(PGA、DGA、SAG、WGAを完全制覇)。アジア系が大活躍主要キャストの大半はアジア系。さらに監督の1人は台湾系。メインのプロデューサーも台湾系。衣装デザイナーは日系人。アジア系の人材が大活躍した。奇抜な異色作のわりにアンチが少ないのも特徴。米国を支えてきた移民たちへの賛歌というメッセージ性もある。 歴代トップ級の奇想天外ぶりメジャー作品にはない手作り感とB級風味も持ち味となった。 オスカー作品賞史上、奇想天外ぶりにおいてトップレベルと受け止められている。少なくとも「お馬鹿映画ぶり」が歴代マックスであることは間違いない。8年ぶり7冠オスカー7冠達成は、2014年の「ゼロ・グラビティ」以来9年ぶり。 作品賞を含めた7冠以上となると、2009年に8冠に輝いた「スラムドッグ・ミリオネア」以来だった。一つの作品による独占が難しくなっていた近年のアカデミー賞において、久しぶりの完勝となった。俳優部門3冠は史上3作目また、俳優部門での3冠は46年ぶり。1977年「ネットワーク」、1953年「欲望という名の電車」に次いで史上3作目の快挙だった。「タイタニック」との勝ちぶりの違いアカデミー賞の最多受賞の記録は、「ベン・ハー」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング3/王の帰還」の13部門だが、これらの作品は技術部門で大量に稼いだ結果である。例えばタイタニックとロード・オブ・ザ・リング3は俳優部門は一つも獲っていない。一方、エブエブは技術部門の受賞は編集賞だけで、残りは「above the line」と呼ばれる主要8部門での勝利。主演男優と脚色はそもそも選考対象ではなかったことを考えると、主要部門は全て制覇したといえる。 続きを開く▼1年前の劇場公開は「羊たちの沈黙」以来本作が米国で劇場公開されたのは2022年3月だった。 オスカー授賞式の1年も前だ。 通常、公開から時間が経つとオスカーでは不利だが、本作に限っては勢いが衰えなかった。むしろ「見返すほど面白さが増す」との声が多く聞かれた。 公開時期の早さは、1991年2月に全米公開されて翌年の作品賞を獲った「羊たちの沈黙」以来の記録。サークル的なノリに共感賞レースでは、本作で20余年ぶりの奇跡的なカムバックを果たした元子役キー・ホイ・クァンが、感動的なスピーチで往年の映画ファンを泣かせた。 ミシェル・ヨーやジェイミー・リー・カーティスらお馴染みのスターたちも作品の魅力を訴え、ムードを盛り上げた。各授賞式やイベントでは、キャストやスタッフが若いオタク系監督を囲み、和気あいあいと祝福しあうサークル活動的なノリが共感を呼んだ。その輪の中には、祖父役を演じた94歳の超ベテラン中国系俳優ジェームズ・ホンの姿もあった。 包摂的(インクルーシブ)で楽しそうな光景が、映画自体のメッセージとも重なり合った。 逆風が吹かず賞レース終盤で「断トツの最有力候補」としてのポジションを固めたが、よくありがちなバッシングは起きなかった。 前哨戦で連勝しながら最終局面でアンチが増え、作品賞を逃した前年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Netflix)とは対照的だった。 ポジティブな人生賛歌という作風が、有利に働いたかも知れない。「A24」の圧勝インデペンデント系映画会社「A24」にとって、2017年の「ムーンライト」に続いて2度目の作品賞となった。 同じく本年度にA24が配給した「ザ・ホエール」は主演男優賞とメイク&ヘア賞を獲得した。 大手スタジオやNetflixを突き放し、会社別の受賞数で圧倒的なトップだった。A24は2012年創業。 映画投資会社出身のダニエル・カッツら3人が設立した。本社ニューヨーク。 「エブエブ」は設立10周年の作品であり、出資と配給を担当した。 A24はアート性と娯楽性を兼ね備えた作品づくりに定評がある。 「ムーンライト」以外の過去の作品賞ノミネートは、2016年の「ルーム」、2021年の「ミナリ」。
配給:A24 プロデューサー:ジョナサン・ウォン、ルッソ兄弟、ダニエルズほか 【配信:U-NEXT】 ■評点:ロッテン95%、IMDb8.0 ■米興収:7200万ドル→ ■製作費:1600万ドル 【前哨戦での受賞】 ・PGA(米プロデューサー組合賞) ・DGA(米監督組合賞) ・SAG(俳優組合)アンサンブル賞 ・クリティック・チョイス賞 その他▼・ロサンゼルス批評家賞・ワシントン批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・アトランタ批評家賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・ゴッサム賞 ・独立系精神賞 ・WGA(米脚本家組合賞) <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<主題歌「This Is A Life」▼><茶一郎の解説▼> <予告編▼> |
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監督賞 |
ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 30代半ばの精鋭コンビ。本作がコンビとして長編2作目。 多次元宇宙(マルチバース)、カンフーアクション、家族劇、哲学論など数々の要素がてんこ盛りになった重層的かつ壮大なストーリーを、一本筋の通った娯楽作に仕上げた。 古今東西の様々な映画文化を取り入れつつ、唯一無二の映像体験を実現した手腕は見事。 ベテラン俳優の起用で成功ベテラン俳優3人(ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス)を起用し、そろって初のオスカーへと導いた功績も大きい。その千里眼とハイセンスな演出力については、映画界の重鎮たちも舌を巻いた。台湾系&ゴジラファン2人組のうち、ダニエル・クワンは中華系アメリカ人で米東部マサチューセッツ州出身。本作の登場人物(娘役)と同じようにアジア系移民2世(母親が台湾出身)。フェイバリット映画は「エターナル・サンシャイン」(2004年)。一方、 ダニエル・シャイナートは南部アラバマ州の出身。中流家庭で育った。子供のころゴジラの映画に熱中。兄(現在ゲーム・デザイナー)が仲間と自主制作した映像作品に触発され、映画監督への道を志したという。 音楽ビデオで成功し、映画へ2人はボストンの大学で映画を学んでいるときに出会った。卒業後、監督デュオとして音楽アーティストのビデオを手掛け、グラミー賞に2度ノミネートされた。続き▼その後、映画に参入し、「スイス・アーミー・マン」(2016年)でデビュー。サンダンス映画祭の監督賞などの賞に輝き、期待の新人として注目を浴びた。映画的知性の高さ若手とはいえ、かつてサム・メンデス監督がデビュー作「アメリカン・ビューティー」で作品賞と監督賞をダブル受賞した年齢(35歳)と変わらない。むしろ、若者らしからぬ地に足のついた言動と映画的知性の高さは、愛嬌のあるオタクキャラと相まって、広範囲な支持をもたらした。【前哨戦での受賞(監督部門)】 ・クリティック・チョイス賞 ・DGA(米監督組合賞) その他▼・アトランタ批評家賞・ワシントン批評家賞 ・シカゴ批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 <受賞スピーチ▼> |
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主演男優賞 |
ブレンダン・フレイザー
「ザ・ホエール」 過食で体重270キロになった中年教師を演じた。54歳で演技派としての見事なカムバック。 かつて冒険アクション大作「ハムナプトラ」3部作(1999年~2008年)の主人公として大成功を収めた。オスカー作品賞「クラッシュ」でも渋い脇役を演じた。 しかし、その後、うつ病や離婚などが重なり活動が停滞。ハリウッド映画界の第一線から遠ざかった。 2021年に出演した「クライム・ゲーム」(スティーヴン・ソダバーグ監督)は批評家に好評だったが、話題にならなかった。 状況が激変したのは、2022年9月のベネチア国際映画祭。本作「ザ・ホエール」が出品されると、鬱積した感情を抱える中年ならではの演技に称賛の声が集まった。 その後の賞レースでは、若手オースティン・バトラーらと一進一退の星取ゲームを展開した。 続き▼フレイザーがかつて主催団体トップによるセクハラ問題を告発したゴールデングローブ賞では、バトラーに敗れた。しかし、重要度が高いクリティック・チョイス賞とSAGアワードでは勝利し、米国内での支持の厚さを示した。迎えたオスカーでは、同じくカムバック劇が話題となった助演男優賞のキー・ホイ・クァンとともに、栄冠を手にした。 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・クリティック・チョイス賞 ・ネバダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 <受賞スピーチ▼> |
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主演女優賞 |
ミシェル・ヨー
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 アジア人として史上初の主演女優賞の受賞となった。非白人としては、2002年のハリ・ベリーに続いて史上2人目。 総決算の多面キャラ異色のインディーSFを大成功へと導いた立役者。幾多もの異次元宇宙を転々とし、それぞれの世界での「別の自分」を表現した。庶民からセレブ女優、カンフー格闘家、料理人まで、その多面的なキャラ変容は、まさに長いキャリアの総決算。娘や夫への感情表現や、未知なる世界との遭遇で見せる戸惑いと覚醒反応も、本作の魅力を格段に高めた。 香港アクション界からハリウッドへ1962年マレーシア生まれ。中華系。 1980年代から香港のアクション映画界で大活躍。「ポリス・ストーリー3」でジャッキー・チェンとの見事な格闘コンビを見せ、世界から注目を集めた。1997年の「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」でボンドガール役を務め、ハリウッドに進出。 「グリーン・デスティニー」で英国アカデミー賞候補に台湾・米国などの合作「グリーン・デスティニー」(2001年オスカー作品賞候補)の大成功によって、アジア系を代表する名女優として認知され、英国アカデミー賞にもノミネートされた。近年は、大ヒットコメディ「クレイジー・リッチ」(2018年)やマーベル映画を通じて若い世代にもお馴染み。 現場のリーダー役本作では、破天荒な脚本のポテンシャルにいち早く気づき、エグゼクティブ・プロデューサーの一人に名をつらねた。続き▼撮影現場では、アジアとハリウッドの映画界での豊富な経験を活かして若い監督に有益な助言を与えるなど、チームを引っ張ったという。候補入りは2人目アジア系の主演女優賞ノミネートは、1936年のマール・オベロンに続き史上2人目だった。本選では当初、ケイト・ブランシェットのほうが有利と予想されていたが、「エブエブ」ブームの白熱化とともに支持が拡大。 前哨戦の天王山となるSAGアワードを制し、その勢いに乗って大一番をものにした。 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・米国映画評議会議(NBR) その他▼・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)・ボストン批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 <受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<歴代の格闘シーン集▼><SAGの受賞スピーチ▼> |
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助演男優賞 |
キー・ホイ・クァン
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 「グーニーズ」「インディ・ジョーンズ2~魔宮の伝説」で世界的に有名になったアジア系子役が、20年ぶりに俳優業に復帰。ハリウッドに旋風を巻き起こした。 人情味とクールさのギャップ気弱で頼りない中年男性から、地球を救う戦士、ダンディー伊達男などへと変貌する役柄。 コミカルな立ち振る舞い、キレのある格闘技アクション、心を打つ愛情表現により、観客の心をつかんだ。ベトナム移民ベトナム生まれの51歳。名前の正確な発音はキー・フイ・クァン。子役時代の芸名なジョナサン・キー。中華系。4歳だった1975年、混乱期のベトナムからボートで逃れ、香港の難民キャンプに1年滞在。米国へ移住した。 配役がなく裏方に10代前半でハリウッドスターに。しかし、アジア系向けの配役が少なかったこともあり、俳優の仕事に恵まれず、小さなオーディションにも落ちまくったという。続き▼技術を磨き続けるそれでも映画への情熱を捨てきれず、大学で映画学を専攻し、卒業後は裏方の仕事に従事した。カンフーなどの技術も磨き、スタント指導者や撮影現場の通訳、助監督として食いつないだ。 そんな元スターに、若き監督が目をつけ、うってつけの役をオファーした。愛されキャラ前哨戦で独走。一連の授賞式での感動的なスピーチは、世界の映画ファンを泣かせた。飾らずに喜怒哀楽を表わす「愛されキャラ」ぶりにも注目が集まり、本年度賞レースの好感度ナンバー1に。【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード ・クリティック・チョイス賞 ・NY批評家賞 その他▼・ゴールデングローブ賞・ロサンゼルス批評家賞 ・全米映画批評家協会賞(NSFC) ・ボストン批評家賞 ・アトランタ批評家賞 ・ワシントン批評家賞 ・シカゴ批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・ゴッサム賞 <受賞スピーチ▼> <受賞後の会見▼> 動画集を開く▼<格闘シーン▼><子役時代▼> <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼> |
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助演女優賞 |
ジェイミー・リー・カーティス
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」 税務署の職員をコミカルに演じた。主演ミシェル・ヨーのカウンター役として独特な存在感を発揮。笑いと泣きのシーンに厚みをもたせ、娯楽性を高めた。 ホラー映画の金字塔「ハロウィン」(1978年)で女子高生役として銀幕デビューして以来、ホラーやコメディで活躍を続けてきた。今回初のオスカーノミネートを果たした。 賞レースでは、エブエブ組のチアリーダーとして陣営を大いに盛り上げた。64歳。両親ともに俳優の生粋ハリウッド人。 【前哨戦での受賞】 ・SAGアワード(俳優組合賞) ・ネバダ批評家賞 <受賞スピーチ▼> <SAGの受賞スピーチ▼> |
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脚本賞 |
「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
脚本:ダニエルズ(兼監督) 2人の監督の頭の中から生まれた独創的アイデアの脚本。「家族」をめぐる日常的な話題を、多元宇宙(マルチバース)を舞台とする戦いに置き換え、娯楽性の高いストーリーとして成立させた。奇抜でめまぐるしい展開ながら、最後は本筋のテーマへと観客をひきこみ、心を動かす。英語と中国語の多言語脚本。 【前哨戦での受賞】 ・クリティック・チョイス賞 ・ワシントン批評家賞 ・ネバダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・WGA(米脚本家組合賞) |
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脚色賞 |
「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
脚本:サラ・ポーリー ※カナダの女性作家による2018年の同名小説を、サラ・ポーリー監督が脚色した。原作小説は、南米ボリビアで起きた連続女性暴行事件から着想を得ているという。 女性パワーの結集がテーマとなっている。 サラ・ポーリー監督は「アウェイ・フロム・ハー君を想う」(2006年)でも脚色賞にノミネートされており、今回2度目のオスカー候補入りとなった。作品賞とのダブルノミネート。 44歳。カナダ人。もともとは人気俳優だったが、現在は監督・脚本業に専念している。ハリウッドにおける性差別問題を俳優引退の理由の一つに挙げている。熱心な活動家としても知られる。 【前哨戦での受賞】 ・クリティック・チョイス賞 ・シカゴ批評家賞 ・フロリダ批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 ・WGA(米脚本家組合賞) |
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アニメ賞 |
「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」
【配信:ネトフリ】 「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)でオスカー作品賞を受賞した鬼才ギレルモ・デル・トロによる最新版ピノキオ。ミュージカル。Netflixにとって初の長編アニメ賞となった。 ストップモーション・アニメ嘘をつくと鼻がのびる木の人形の冒険物語。人形や物体を少しずつ動かしながら撮影していく「ストップモーション・アニメ」の手法を用いた。独特な作風と完成度の高さが絶賛された。中止の危機をネトフリが救うトロ監督の個人的な情熱によってプロジェクトがスタート。何度も中止寸前に追い込まれたが、Netflixが資金を提供したことで製作にこぎつけた。ジブリの影響日本の怪獣やアニメなどをこよなく愛するトロ監督だが、本作をつくるにあたっては、ジブリのアニメ作品を意識したという。配給:Netflix 制作:Netflixアニメーションほか <前哨戦> ・クリティック・チョイス賞 ・英国アカデミー賞 ・アニー賞 ・シカゴ批評家賞 ・ゴールデングローブ賞 ・ヒューストン批評家賞 ・ハリウッド批評家賞 |
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国際映画賞 |
「西部戦線異状なし」
国:ドイツ ドイツ語の戦争映画。原作はドイツ生まれの作家エリッヒ・レマルクが1929年に出版したベストセラー小説。 ハリウッドのスタジオが92年前にも映画化しており、そのときはアカデミー作品賞(1931年)を受賞した。 今回、小説の母国ドイツでの初の映画化となった。第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。 ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕(ざんごう)での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。 ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。 前年の「ドライブ・マイ・カー」(日本)のように、作品賞と国際映画賞のダブルノミネートを果たした。技術部門でも票を集め、計9部門での候補入り。このうち4部門で受賞した。 外国語映画として異例の強さを見せた。Netflixの本年度イチオシだった。 監督:エドワード・ベルガー 配給:ネットフリックス 【前哨戦での受賞】 ・英国アカデミー賞 非英語作品賞 【配信:ネトフリ】 |
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ドキュメンタリ賞 |
「ナワリヌイ」
(日本公開:2022年6月) ロシアのプーチン政権を批判し、毒殺未遂で死にかけた弁護士アレクセイ・ナワリヌイ氏(46歳)の記録。 プーチン政権による毒殺未遂プーチン政権による毒殺計画は、2020年にロシア上空の旅客機内で実行された。何者かに毒をもられたナワリヌイは昏睡状態に陥り、飛行機は緊急着陸。病院に搬送された。カメラがとられた犯人特定の瞬間そこから、本作の取材班が密着する。移送先のドイツの病院で意識を取り戻したナワリヌイは、犯人の特定へと動き出す。旅客機の搭乗者名簿など数々のデータを手掛かりに、実行犯グループと思われる人物たちを割り出し、直接電話をかけて真相究明を図る。果敢な行動の一部始終をカメラがとらえた。 命の危険にさらされながらスパイ映画のような緊迫感と臨場感。命の危険にさらされながらもユーモアと笑顔を失わず前に進もうとするナワリヌイと、彼を支える家族やプロフェッショナルな仲間たちの姿が胸を打つ。監督はカナダ人のダニエル・ロアー(30歳)。日本でも劇場公開された「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」(2019年)で称賛された。 授賞式に妻が登壇オスカー授賞式では、監督らとともにナワリヌイ氏の妻が登壇。ロシアの刑務所に投獄されている夫の身の安全の確保を訴えた。【前哨戦での受賞】 ・PGA(全米プロデューサー組合賞) ・英国アカデミー賞 ・サンダンス映画祭フェイバリット賞 【配信:アマゾン】 <予告編▼> <監督とナワリヌイ氏の妻ユリア氏の受賞スピーチ▼> 動画集を開く▼<日テレのニュース▼><町山智浩の解説▼> |
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日本映画「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)が作品賞、監督賞、脚色賞、国際映画賞の4部門でノミネートされ、このうち国際映画賞を受賞しました。
作品賞ノミネートは邦画として史上初めて。脚色賞ノミネートも史上初でした。
作品賞は、前哨戦で圧倒的な強さを見せていた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が敗れ、「コーダ あいのうた」が受賞しました。
作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、 脚本賞、脚色賞、国際映画賞、アニメ賞
2022年 | ||||||||||||||||||||||||||
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部門 | 受賞 | ノミネート | ||||||||||||||||||||||||
作品賞 |
「コーダ あいのうた」
【配信:アマゾン】 監督:シアン・ヘダー 涙と笑いあふれる感動作。漁師一家の中でただ1人耳が聞こえる女子高生を主人公に、家族の絆や成長を描く。 2014年のフランス映画のリメイクながら、米国らしい陽気でエネルギッシュな脚色・演出により、突き抜けた一本になった。 コロナ禍で多くの人が辛い目にあっていた時代。温かみのあるストーリーが支持された。 役者たちの演技も絶賛された。主人公の家族のろう者3人は、いずれも聴覚にハンディのある俳優が演じた。 独立系(インデペンデント)の作品であり、当初は有力視されていなかった。 しかし、作品の知名度が高まるにつれて応援ムードが盛り上がり、前哨戦の終盤で急浮上。 大本命「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を破った。 続きを開く▼▼<投票方式が有利に> 前哨戦で圧倒的に強かったパワー・オブ・ザ・ドッグは、芸術性は高いものの、好き嫌いが分かれる傾向にあった。 候補作10本に順位を付けさせる独特な投票方式が、「みんなに好かれる映画(嫌われない映画)」の典型といえる本作に有利に働いたようだ。 アート系の「ROMA/ローマ」が、大衆系の「グリーンブック」に敗れた2019年と類似する結末といえる。 <サンダンス映画祭> 本作の製作費は11億で、オスカー受賞映画としてはかなり小規模だった。(それでも前年の作品賞の「ノマドランド」の2倍ではある)。米インデペンデント系映画賞「サンダンス映画祭」で史上最多となる4冠を達成。ネット配信に参入して間もない米IT企業アップルが、これまたサンダンス史上最高となる26億円で配給権を買い取った。 サンダンス映画祭の出品作としても初の作品賞。ろう者が主な出演者となっている映画としても初めて。 配給元アップルは1999年にネット動画配信に参入したばかり。 アップルとして初の作品賞。ネット配信会社のオリジナル作品としても初めて。 先発組のNetflixとアマゾンの先を越した。 <90年ぶり> なお、3個以下のノミネートしか得ていない映画の作品賞受賞は、1932年(第5回)の「グランド・ホテル」以来90年ぶりとなった。
<受賞スピーチ▼> <挿入歌▼> <予告編▼> (日本公開:2022年1月21日) |
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監督賞 |
ジェーン・カンピオン
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」 1994年に「ピアノ・レッスン」で脚本賞を受賞して以来、2度目のオスカー獲得。 女性の監督賞は史上3人目。前年の「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督に続いて2年連続。 ニュージーランド出身のベテラン。しばらくテレビドラマに専念していたため、13年ぶりの映画製作となった。Netflixの資金を得て、細部にまでこだわり抜いた末に完成させた渾身の一作。 人間の深層心理を静かに掘り下げる西部劇。極めて精緻で完成度の高いドラマであり、かつスリラーとしても上質。前哨戦で圧勝し、最多12個のノミネートを獲得。作品賞も有力視されていたが、逃した。結局、受賞は監督賞のみだった。 【説明→】 【作品紹介→】 予告編(監督版)→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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主演男優賞 |
ウィル・スミス
「ドリームプラン」 3度目のノミネートにして初の受賞。過去に「ALI アリ」(2001年)、「幸せのちから」(2006年)でノミネートされた。黒人として5人目の主演男優賞。 女子テニスの世界トップに君臨した米国人ウィリアムズ姉妹の実在の父親を演じた。 アクの強さやひょうひょうとした立ち振る舞いを見事に再現。 同時に、スミスらしい茶目っ気を加えることで、観客にとって親しみやすいキャラクターを造形した。 自らプロデューサーの一人としても名をつらね、後見役のウィリアムズ姉妹らとともにプロジェクトを推進した。劇場公開と同時にネット配信されたことで、俳優たちの受け取る歩合報酬が減ったことから、自分のギャラの一部を他の出演者たちに回したという逸話もある。 前哨戦では、序盤の評論家系アワードでカンバーバッチに連敗していたが、記者系のゴールデングローブ賞で勝利。その後の映画業界人が選ぶ賞では連勝した。前哨戦での受賞スピーチも「さすがに上手い」と好意的に受け止められた。 受賞当時53歳。俳優歴32年。ラッパーとして芸能活動を開始し、俳優業に進出した。 「インデペンデンス・デイ」「メン・イン・ブラック」などの歴史的ヒット作を含め、 長年の超ドル箱スターとして業界への貢献度は申し分なかった。 オスカーはベテラン勢が有利であることを加味すれば、受賞は確実と予想されていた。 ところが、せっかくのオスカーで授賞式でコメディアンのジョークに立腹し、 生放送中に壇上で殴打する暴行事件を起こし、キャリアが一気にどん底に落ちることとなった。 「ビンタ事件」の顛末▼授賞式でウィル・スミスは、妻の病気を揶揄(やゆ)するジョークを飛ばしたコメディアンのクリス・ロック(57歳)に激怒。 ステージに駆け上がってビンタを食らわすという事件が起きた。 アカデミー賞の歴史に残る残念な出来事となった。 10年間の出席禁止に授賞式の後、スミスは映画芸術科学アカデミーから、今後10年間にわたる授賞式への出入り禁止処分を受けた。アカデミー会員の資格返上にも追い込まれた。 クリス・ロック殴られたクリス・ロック(コメディアン)はこの日、「ドキュメンタリー賞」の発表者(プレゼンター)として登壇していた。ロックは全米トップ級の人気コメディアンであり、アカデミー賞の司会(ホスト)も過去2回務めている(歴代の司会者→)。毒舌系で知られる。 脱毛症をネタにロックは受賞者を読み上げる前のトークで、招待席に座っていたセレブたちをいじるジョークを展開。その中で、スミスの妻ジェイダ・ピンケット・スミスに向かって「ジェイダ好きだよ。『GIジェーン 2』が楽しみだね」(Jada, I love you! "GI Jane 2", can't wait to see it. Alright?)と冗談を飛ばした。 ムッとするジェイダこれは、ジェイダが脱毛症のため髪を短くしていることを揶揄(やゆ)するものだった。人の病気を笑いのネタにするジョークであり、会場では笑いが起きたものの、聞いていたジェイダ本人がムッとするのがテレビ中継でも映し出された。隣のスミスは笑顔だったが、この後席を立ち、壇上へと向かった。身長188cmで強靭な肉体を持つスミスによる殴打シーンは、平手とはいえ、強いインパクトを与えた。 放送禁止用語を絶叫スミスはクリス・ロックにビンタをした後、席に戻り、放送禁止用語を用いながら、壇上のロックに「妻の名前を出すな!」と叫んだ。 日本のWOWOWを含む一部の国のテレビ放送局は、この暴言を無音声に切り替えずそのまま放送。お茶の間に衝撃を与えた。 受賞スピーチにも批判その後、スミスは主演男優賞を受賞した。受賞スピーチでは、ビンタ行為について泣きながら弁明した。しかし、自分の行為をむしろ正当化しようとする内容だったと受け止められ、米国内では批判が多く出た。殴ったクリス・ロックに対する謝罪も、この時点ではなかった。(スミスの受賞スピーチ動画→) 退場を拒否主催団体「映画芸術科学アカデミー」の声明によると、暴力行為の後、主催者側がスミスに退場を求めたが、スミスは拒否した。 警察が駆けつけるまた、授賞式のテレビ番組プロデューサーが後日ABC放送のインタビュー(動画→)で語ったところによると、現場にはロサンゼルス市警察(LAPD)が駆け付けた。 被害届を出さず警察は控室に戻ったクリス・ロックに対して、「スミス逮捕」を選択肢の一つとして提示した。そのうえで、被害届を出す意向があるか尋ねた。これに対して、クリス・ロックは被害届に否定的だったという。 映画の主人公キャラが非難声明授賞式の後、スミスの受賞作となった「ドリームプラン」で主人公のモデルとなったリチャード・ウィリアムズ(テニスのウィリアムズ姉妹の父親)は「自衛でもない限り、人を殴る行為は許されない」とする非難声明を出した。 授賞式でのスミスの受賞発表時の拍手喝采(スタンディング・オベーション)とはうってかわって、他の芸能人からも批判的なコメントが相次いだ。 パーティ動画の拡散も痛手に式典後のパーティでオスカー像を片手に上機嫌で歌って踊るスミスの動画が拡散したことで、さらに印象が悪くなった。 コメディアンに対する許容範囲が広いアメリカでは、日本と比べてジョークに対する許容範囲がはるかに広い。 ふだんは問題視されるような発言でも、コメディアンがジョークの一環として口にすると、許される風潮がある。(ただ、人種差別などにつながるようなジョークは厳しく対処される)。 発言はあまり問題視されず将来的には脱毛ネタのたジョークもデリケートに扱われるようになるのかも知れないが、この時点ではほとんど問題視されなかった。 授賞式への出席を10年間禁止アカデミーはスミスに対して、10年間にわたって授賞式への出席を禁止する処分を下した。また、スミスはアカデミー会員を辞任した。 ショーのチケットがバカ売れ事件を受けて、クリス・ロックの米国ツアーの人気はうなぎ上りとなった。アカデミーも声明でクリスに謝罪するとともに、異様な事態を冷静かつ巧みに収拾してくれたことに感謝の意を表わした。 作品説明を開く▼観客支持率トップの98%大多数の観客が称賛する一作。ロッテン・トマトの一般観客の評価スコアは候補作の中でトップの98%。実在の父親がモデルテニスの世界トップに君臨した姉妹(姉ビーナス・ウィリアムズ、妹セリーナ・ウィリアムズ)の父親の姿を描く。実話をベースにしている。オスカーになじみやすい家族物語であり、スポーツもの。 本年度の作品賞ノミネートの中で、最もアメリカン・ドリーム的なストーリーとなった。主人公リチャード・ウィリアムズはテニスの素人ながら、娘2人に幼少期からテニスを徹底指導。 娘が力をつけてくると、 経済的に貧しかったにもかかわらず、強引なやり方で超一流のコーチをつけることに成功し、鮮烈なプロデビューへと導いた。 伝説的な姉妹の大活躍の土台をつくった熱血パパとして知られる。 裕福な白人層が中心だった米国テニス界に風穴を開けた存在でもある。 「王様」のような立ち振る舞い本作は、リチャードの独特な「子育て法」に焦点があてられている。 目先のゲームや一時的な活躍よりも、娘たちの長期的な成功を優先させ、学問や人格形成を重視した教育に邁進する。 一方で、破天荒で独善的な態度により、周囲と様々な軋轢(あつれき)を起こしていく。 その立ち振る舞いはまるで「王様」。映画の原題も「王様リチャード(King Richard)」になっている。低所得層の苦闘少数派人種や低所得層の苦労・努力がテーマの一つ。 家族の団結や厚い信仰心もしっかりと描写されている。 米国で重視されがちな価値観が前面に出ており、 変化球のかたまりのような「パワー・オブ・ザ・ドッグ」とは対照的。一般観客が入りやすい作品であることが、作品賞レースで有利に働く可能性がある。 ただ、称賛の嵐の中で、「ややありがちな映画」との声も。監督は無名の若手主演ウィル・スミスの熱演に加えて、 助演女優賞ノミネートの妻役アーンジャニュー・エリスが、限られた見せ場で観客の心をわしづかみにした。 監督はほぼ無名の若手レイナルド・マーカス・グリーンが務めたが、名演出と堅実なまとめぶりが光る。 臨場感のあるテニスシーンも好評。ワーナーの「配信重視」路線米国では劇場公開と同時にネット配信された。 配給会社ワーナーが自社の配信サービス「HBOマックス」の加入者を増やすため、 2021年のすべての映画を「ネット同時公開」としたためだ。 この方針をめぐっては、映画界から強い反発が出た。 このため、本作は「親劇場派(反ネット配信業者派)」の票の受け皿としてやや説得力に欠ける面があった。【あらすじ】米国ロサンゼルス近郊の貧困地区コンプトンで暮らすリチャードはある日、 テレビで女子テニス選手が巨額の賞金を受け取るのを見て、 自分たちも娘をもうけ、彼女たちをプロテニス選手に育てることを決意する。 独自の教育論に基づく約80ページの「プラン(計画書)」を作成。 そのプランに基づいて夫婦で娘たちにテニスを教え始める。予告編→ インタビュー付き予告→ 作品一覧(wiki)→ 【配信:アマゾン】 予告編→ インタビュー付き予告→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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主演女優賞 |
ジェシカ・チャステイン
「タミー・フェイの瞳」 3度目のノミネートにして初のオスカー獲得。過去に「ヘルプ」(2011年)で助演に、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で主演女優賞にノミネートされた。 テレビで派手な布教活動を展開した実在の著名伝道師タミー・フェイを演じた。自らプロデューサーも務めた。 自分らしさをすっかり消し去り、別人に成りきる演技。 容姿、声、しぐさ、雰囲気、歌いぶり、ミネソタ訛りのしゃべり方に至るまで、米国民によく知られる個性的な人物像を見事に再現させた。 配給会社サーチライトの巧みな宣伝活動と、自らのキャンペーン活動が功を奏し、前哨戦で競り合ったニコール・キッドマンら他候補を抑えた。 44歳。父親は消防士。 【説明→】 予告編→ プレビュー→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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助演男優賞 |
トロイ・コッツァー
「コーダ あいのうた」 ろう者の俳優としては2人目のオスカー受賞。1人目は本作で共演した女優マーリー・マトリンだった。男優としては初。 情熱的でやや破天荒なろう者の父親役をコミカルに演じた。 作品の中で最も笑わせ、泣かせる存在。 手話が分からない人にも喜怒哀楽をしっかりと豊かに伝える迫真の演技が、多数の観客の心をつかんだ。 今回の「コーダ旋風」の最大の立役者。助演賞争いの前哨戦の中盤までは「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のコディ・スミット・マクフィーの独走を許していたが、終盤のSAGアワード(全米俳優組合賞)で大勝利。 このときの手話によるエネルギッシュで濃密なスピーチが反響を呼び、さらに支持が広がった。その猛烈な勢いが、作品賞レースにも飛び火した。 53歳。生活費に苦慮しながらも、俳優業をやめなかった努力の人。 【説明→】 【作品紹介→】 予告編(トロイ・コッツァー版)→ 作品一覧(wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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助演女優賞 |
アリアナ・デボーズ
「ウエスト・サイド・ストーリー」 1961年のオリジナル版で同じ役を演じたリタ・モレノに続く二代での受賞。 優れたキャスト陣の中でもひときわ輝く存在感。圧巻のダンスシーンは映画で最大の見せ場の一つとなり、挿入歌「アメリカ」の伝説を新しいステージへと引き上げた。 希望から悲しみへの感情の移ろいを見事に表現するとともに、本作のテーマの一つである「女性のたくましさ」を体現した。 31歳。これまでは主に舞台で活躍。本作が本格的な映画デビューとなった。 性的少数派(クィア)を公表している有色人種の女性として初めての受賞という。アフロ・ラテン系としても貴重な勝利となった。 【作品紹介→】 予告編(デボーズ版)→ 作品一覧(英語wiki)→ <受賞スピーチ↓> |
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脚本賞 |
「ベルファスト」
【配信:アマゾン】 (脚本家:ケネス・ブラナー) 作品一覧(wiki)→ キリスト教の宗派間闘争で荒れる北アイルランドを舞台に、日常を生き抜こうとする一般家族を描く。 9歳の少年を主人公に、両親、祖父母が織りなす3世代ファミリーの物語。ノスタルジックな白黒映像作(一部カラー)。 北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督が、自らの少年期に基づいて脚本を書いた。 コロナ禍で自宅にこもっている間に執筆したという。 無邪気な子供の目線で身の回りの出来事をとらえつつ、大人たちの想いや苦悩も織り込み、普遍性の高いシナリオとなっている。とりわけ祖父母のさりげないセリフに重みがあり、胸を打つ。 ケネス・ブラナーは今回、脚本賞に加えて、作品賞、監督賞(2度目)にもノミネート。 過去には主演男優賞、助演男優賞、脚色賞、短編映画賞にもノミネートされたことから、「累計7つの異なる部門でノミネート」という新記録をつくった。 受賞は今回が初めて。 【作品紹介→】 |
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脚色賞 |
「コーダ あいのうた」
(脚本家:シアン・ヘダー) 作品一覧(IMDB)→ フランス映画「エール!」(2015年)のリメイク。 女性監督シアン・ヘダーが自ら脚本を書き、受賞を果たした。 原作では主人公一家は酪農家という設定だったが、漁師に変更。 大まかなストーリーの流れを踏襲しながらも、細部をより丁寧に描き、完成度の高いシナリオとなった。 人間味あふれる人物像の描写や、手話と口頭での会話のかけあいも見事。 【作品紹介→】 |
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国際映画賞 |
「ドライブ・マイ・カー」
【日本】 (濱口竜介監督) 日本映画として2009年の「おくりびと」以来13年ぶりの受賞。通算5作目。(過去の日本映画の受賞作→) 作品賞、監督賞、脚色賞の主要3部門にもノミネートされており、国際映画賞での受賞は確実視されていた。 妻を亡くし、喪失心を抱える男の物語。同じく過去の傷を背負う若い女性運転手との友情ストーリーでもある。 コロナ禍で身近な人を失った世界の人たちの心をつかんだ。 アップテンポなコミック映画やアクション映画がハリウッドを席巻するなか、 静かにじっくりと、かつ深みのある言葉で伝える作風が称賛された。 仏カンヌ国際映画祭での脚本賞を皮切りに、英国アカデミー賞など海外の賞を次々と制覇した。 同じく2021年公開の濱口映画「偶然と想像」はベルリン国際映画祭の審査員グランプリに輝いており、世界の賞レースを席巻することとなった。 濱口監督は43歳。東日本大震災のドキュメンタリー映画を自主制作で3本撮るなど社会派として活動してきた。神戸の映画講座の一環として製作した「ハッピーアワー」(2015年)は、海外の映画賞を獲得した。(濱口監督のプロフィール→) 本作は、「寝ても覚めても」(2018年)に続く商業映画2本目。 【作品の紹介→】 【受賞歴→】 <受賞スピーチ↓> 予告編→ 【動画配信(アマゾン)→】 |
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長編アニメ賞 |
「ミラベルと魔法だらけの家」
(ディズニー) ディズニーの60作目の長編アニメ。傑作「ズートピア」の監督コンビによるミュージカル。米ミュージカル界の第一人者・リン・マニュエル・ミランダが音楽を手掛けた。 ディズニーらしい映像の質の高さ。本格ミュージカルとしての良質さも評価された。 【説明→】 吹替版(Amazon)→ 字幕版(Amazon)→ <予告編↓> (公開:2021年11月26日) |
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「ノマドランド」が作品賞を受賞しました。中国出身の若手女性監督による低予算の小規模作品ながら、現代アメリカの移動労働者(ノマド)の姿を美しい映像と詩的な語り口で描き、高い評価を得ました。
作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、アニメ賞 、脚本賞、脚色賞、国際映画賞
2021年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 |
「ノマドランド」
【配信:アマゾン】 監督:クロエ・ジャオ アメリカの雄大な原風景を背景に、 季節労働者たちの心のひだを見事に映し出した詩情的な作品。 コロナウイルス感染拡大で孤立感や喪失感が深まるなか、 人と人とのつながり、亡き伴侶への想い、自然との一体感を伝える静かな物語が、共感を呼んだ。 カメラクルーが半年間にわたって米国の田舎を転々としながら、 撮影を行った。 荒野、砂漠、森林、峡谷に主人公らが溶け込む様子を美しい映像で伝える。 過去数年のオスカー作品賞争いは、有力2作品による接戦が多かった。 しかし、本年度は、ノマドランドが前哨戦の序盤から独走を続け、 予想通りの受賞となった。 (公開:2021年3月26日) 説明ページ→ 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ <受賞スピーチ▼> <予告編▼> |
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監督賞 |
クロエ・ジャオ
「ノマドランド」 女性として史上2人目の監督賞。2010年のキャスリン・ビグロー(ハート・ロッカー)以来、11年ぶり。 1982年北京生まれの中国籍。 アメリカで映画を学び、そのまま米国に住みついた。 本作が長編3作目。38歳。 前年のポン・ジュノ監督(韓国人、パラサイト)に続いて、2年連続のアジア人の監督賞受賞。 前々年はメキシコ人のアルフォンソ・キュアロンが獲得しており、 3年連続の外国人の受賞となった。 作品一覧→ 作品の特別映像→ レビューや過去作の紹介動画(シネコト)→ 受賞スピーチ→ |
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主演男優賞 |
アンソニー・ホプキンス
「ファーザー」 83歳での栄冠。アカデミー賞の最高齢受賞の記録を塗り替えた。 1992年に「羊たちの沈黙」で同じ部門を受賞して以来29年ぶり2度目。 ノミネートは、助演部門を含めると今回で6度目だった。 アルツハイマーの高齢者を演じた。 自らの存在が足元から崩れる恐怖や怒り、葛藤といった複雑な感情を見事に表現した。 長いキャリアの中でも最高級と称賛された。 当初は、大腸がんで亡くなったチャドウィック・ボーズマンが最有力と予想されていたが、 賞レース終盤でホプキンスが英国アカデミー賞を獲るなど、追い上げた。 英国人。シェークスピア劇の出身。 作品一覧→ 1992年の受賞スピーチ→ <受賞スピーチ↓> |
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主演女優賞 |
フランシス・マクドーマンド
「ノマドランド」 1997年「ファーゴ」、2018年「スリー・ビルホード」に続いて、3度目の受賞。 メリル・ストリープ、イングリッド・バーグマンら映画史に残る大御所たちに並んだ。 「主演」部門だけでの3度受賞となると、 4回のキャサリン・ヘプバーンと、3回のダニエル・デイ・ルイス(男優)に続く3人目の快挙。 本作では、物静かで地味な役柄を、説得力あふれるリアル感で演じた。 表情やしぐさによる繊細な演技が絶賛された。 共同プロデューサーとして作品賞も手にした。 原作となる本を読んで感銘を受け、 仲間とともに映画化権を取得。 ほとんど無名だった若手監督(クロエ・ジャオ)を指名し、プロジェクトを大成功へと導いた。 作品一覧→ 本編映像→ 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 |
ダニエル・カルーヤ
「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」 「ゲット・アウト」(2018年)での主演男優賞ノミネート以来2度目の候補入りにして初のオスカー獲得となった。 黒人運動の指導者フレッド・ハンプトンを演じた。 スピーチ場面などでの言葉の説得力や、本人が乗り移ったかのようなカリスマ性は圧巻。 静かなシーンでもしっかりと魅せ、表現力の幅広さを証明した。 他のキャストとともに、 演技で魅了する秀作を実現。 なぜか「主演」のスタンフィールドまで、一緒に「助演」賞に一緒にノミネートされるというオマケもついた。 作品一覧→ 動画(スピーチのシーン)→ レビュー動画(シネコト)→ 受賞スピーチ→ |
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助演女優賞 |
ユン・ヨジョン
「ミナリ」 韓国映画界の発展を長年にわたって引っ張ってきた大物女優。 本作では、破天荒なおばあちゃん役を演じた。 韓国語にブロークン英語を交えたコミカルな芝居。 顔の表情やしぐさも含めて、超ベテランならではの名演で笑いと涙を誘った。 韓国人として俳優部門での初受賞。 前年のポン・ジュノ監督(パラサイト)に続く韓国映画界の栄冠。 アジア人の俳優部門の受賞は、1985年にハイン・ニョール(カンボジア人)が「キリング・フィールド」で助演男優賞を受賞して以来、36年ぶり。 授賞式でのスピーチも好評だった。 作品一覧→ 映画のシーン→ 受賞スピーチ→ |
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長編アニメ賞 |
「ソウルフル・ワールド」
(ピクサー) ピクサーの歴史の残る傑作の一つと称賛された。 事故で命をおとし、ソウル(魂)になった男性が主人公。 彼は音楽教師で、長年の夢だった音楽家としての演奏デビューのチャンスが目前に迫っていた。 現世に戻る冒険の中で、生命と向き合う。 コロナの影響で劇場公開されなかった。 (公開:2020年12月25日、ディズニープラス配信) 予告編→ 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ 動画配信(ディズニープラス)→ 受賞スピーチ→ レビュー動画(ツッチ)→ |
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脚本賞 |
「プロミシング・ヤング・ウーマン」
(脚本家:エメラルド・フェネル) 受賞スピーチ→ レビューと脚本解説(シネコト)→ |
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脚色賞 |
「ファーザー」
(脚本家:クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール) 受賞スピーチ→ 解説動画(シネコト)→ |
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国際映画賞 |
「アナザーラウンド」 (デンマーク) ※デンマークを代表するトマス・ヴィンターベア監督の作品。 酒の魔力にのめり込む男たちの物語。 主人公の高校教師が、同僚3人と「アルコール摂取によって人生を劇的に良くする」という理論の実践を試みる。 すると、冷え切った家族関係が改善し、授業も絶好調になった。男たちはさらなる効果を求め、強い酒に手を出す。 日本からは「朝が来る」(河瀬直美監督)が出品されたが、ノミネート候補作品(ショートリスト)に入らなかった。 (公開:2021年9月3日) 予告編→ 受賞スピーチ→ 町山ラジオ解説→ |
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2020年の全部門の一覧は特集ページ→へ。
韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を受賞。英語以外の映画として史上初の快挙となりました。監督賞や脚本賞なども獲り、最多4冠に輝きました。
2020年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 |
「パラサイト 半地下の家族」
【配信:アマゾン】 監督:ポン・ジュノ 韓国映画としてはもちろん、英語以外の映画として史上初の作品賞に輝いた。まさに歴史的な快挙だった。 「半地下住宅」という劣悪な生活環境で暮らす貧しい家族が主人公。 貧富の格差などがテーマ。ドラマ、コメディ、サスペンス、風刺、ホラー、悲劇、社会への問題提起など、 あらゆる要素がダイナミックに交錯する傑作との称賛を浴びた。 ポン・ジュノ監督は「母なる証明」「殺人の追憶」が世界で絶賛され、映画評論家や映画通の間では神的な存在ではあった。しかし、一般の米国人は知られておらず、当初は、本作の作品賞獲得を予想する声は少なかった。 アメリカ人は業界関係者であっても字幕で映画を見ることにそれほど慣れていない。字幕映画という点はやはり不利。しかし、芸術性だけでなく、シンプルな娯楽性という点において傑出した本作は、エンタメ映画として幅広い層から熱烈な支持を得ることに成功した。 終盤にはハリウッドの業界人の間でも応援団的な動きが出てきた。 過去数年で海外のアカデミー会員(日本でいえば北野武、是枝裕和)が増えたことも追い風になったようだ。 この後、韓国音楽グループ「BTS」、韓国ドラマ「イカゲーム」などが世界を席巻し、コンテンツ大国としての存在感を発揮することとなった。 (公開:2020年1月10日) 説明ページ→ 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 授賞式の発表の瞬間(動画)→ |
※歴代の受賞作(作品賞)→ |
監督賞 |
ポン・ジュノ
「パラサイト 半地下の家族」 韓国人として初の監督賞。アジア人としてはアン・リー監督(台湾)以来、2人目。 強烈なオリジナリティにあふれる作品をつくったことが、 大絶賛された。 オスカー前哨戦の授賞式や受賞スピーチでの落ち着きと愛嬌を備えた振る舞いも好感された。 作品一覧→ 受賞スピーチ(動画)と日本語訳→ |
歴代の受賞者(監督賞)→ |
主演男優賞 |
ホアキン・フェニックス
「ジョーカー」 初のオスカー獲得。 過去に「グラディエーター」「ウォーク・ザ・ライン」「ザ・マスター」でノミネートされた。 作品「ジョーカー」に対しては好き嫌いがはっきり分かれたが、フェニックスの演技に対しては賛美一色となった。 作品一覧→ |
※歴代の主演男優賞→ |
主演女優賞 |
レネー・ゼルウィガー
「ジュディ 虹の彼方に」 伝説のミュージカル女優を見事に演じきった。 しばらくトップ女優の座とは縁遠かったが、見事なカムバックを果たした。2004年に「コールド・マウンテン」で助演女優賞を受賞して以来、 16年ぶり2度目のオスカー獲得となった。 17歳にして一躍スターダムに駆け上がるものの、47歳の死まで波乱の女優人生を送ったジュディの最期の日々と、起死回生を懸けたラスト・ステージの裏側を描く。ゼルウィガーは、圧倒的なパフォーマンスで全曲を自ら歌い上げた。さらに、女性としての苦悩も表現した。 作品一覧→ レッドカーペット→ 受賞発表とスピーチ(動画)→ |
※歴代の主演女優賞→ |
助演男優賞 |
ブラッド・ピット
「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」 55歳にしてキャリア最高の演技を見せた。 主演のレオナルド・ディカプリオも名演だったが、 強烈な存在感とカッコよさで老若男女を絶句させたブラピには、 絶賛の嵐が沸き起こった。 過去にプロデューサーとして「それでも夜は明ける」で作品賞を受賞。 役者としては4度目のノミネートで初の受賞となった。 作品一覧→ |
※歴代の助演男優賞→ |
助演女優賞 |
ローラ・ダーン
「マリッジ・ストーリー」 離婚専門の攻撃的な弁護士を、リアルに演じた。 モデルとなったセレブご用達の離婚弁護士ローラ・ワッサーの百戦錬磨ぶりを見事に表現した。 とりわけ最初の法律相談や法廷でのシーンの演技は極めて評判が良い。 俳優の組合活動にも熱心で、業界内部での信頼が厚い。 作品一覧→ |
※歴代の助演女優賞→ |
長編アニメ賞 |
「トイ・ストーリー4」
※ロッテン・トマトで「97」という驚異の高スコアを獲得。 前作の「トイ・ストーリー3」ほどではないが、やはりピクサーの歴史に名を残す秀作として称賛された。 アニー賞で「クロース」に敗れた。 ゴールデングローブ賞では「ミッシング・リンク」に敗北を喫した。 それでもPGA(プロデューサー組合賞)などの前哨戦で勝利した。 同じディズニーの「アナと雪の女王2」がノミネートから漏れたことで、ディズニー陣営も危機感を抱き、 必死に賞獲りに乗り出した。 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ |
※歴代のアニメ賞→ |
国際映画賞(外国語映画賞) |
「パラサイト 半地下の家族」
(韓国) 公開:2020年1月10日 予告編→ 字幕版(Amazon)→ 吹替版(Amazon)→ |
※歴代の国際映画賞→ |
脚本賞 |
「パラサイト 半地下の家族」
ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン |
※歴代の脚本賞→ |
脚色賞 | 「ジョジョ・ラビット」
タイカ・ワイティティ |
※歴代の脚色賞→ |
衣装賞 | 「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
(ジャクリーン・デュラン) 解説動画(英語)→ |
※歴代の衣装賞→ |
| 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 |
「グリーンブック」が、最有力候補と見られていた「ROMA/ローマ」を破り、作品賞を獲得しました。日本で超大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」は主演男優賞など最多4部門を獲得しました。
2019年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「グリーンブック」
【配信:アマゾン】 監督:ピーター・ファレリー 黒人ピアニストと白人運転手の友情を描く。 実話に基づいた物語。心温まる内容。 時は1962年。 既にニューヨークを拠点に音楽界で大成功を収めていたシャーリーが、人種差別が悪質な米国南部へと演奏ツアーに向かう。 その専属運転手として、イタリア系の用心棒トニーが雇われる。 エリート教育を受けてきた知性派の黒人シャーリーと、 労働者階級の白人トニーのやり取りがコミカルに描写されている。 トニーの実の息子が50年の時を経て脚本を書いた。 ピーター・ファレリー監督は、「メリーに首ったけ」などコメディー映画で知られる。 いわゆるロードムービーであるとともに、クリスマス映画でもある。 ネットフリックスの白黒映画「ROMA/ローマ」との一騎打ちの展開。 事前予想ではローマが有力視されていた。 しかし、大衆的な面白味にあふれたグリーンブックが栄冠を手にした。 (公開:2019年3月1日) 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
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監督賞 | アルフォンソ・キュアロン 「ROMA/ローマ」 ※メキシコ人。 |
歴代の受賞者→ |
主演男優賞 | ラミ・マレック 「ボヘミアン・ラプソディ」 クイーンのフレディ・マーキュリーを演じた。アラブ人で初の主演男優賞となった。 作品一覧→ 受賞スピーチ→ |
歴代の受賞者→ |
主演女優賞 | オリビア・コールマン 「女王陛下のお気に入り」 受賞スピーチ→ |
歴代の受賞者→ |
助演男優賞 | マハーシャラ・アリ 「グリーンブック」 |
歴代の受賞者→ |
助演女優賞 | レジーナ・キング 「ビール・ストリートの恋人たち」 |
歴代の受賞者→ |
長編アニメ賞 | 「スパイダーマン:スパイダーバース」 (公開:2019年3月8日) 予告編(字幕版、Amazon)→ 予告編(吹替版、Amazon)→ |
歴代の受賞作→ |
外国語映画賞 | 「ROMA/ローマ」 (メキシコ) (公開:2018年12月からNetflixで配信) 予告編→ Netflix→ アルフォンソ・キュアロン監督が、自身の少年期を投影して製作したNetflixオリジナルのヒューマンドラマ。中産階級の家で家政婦をする女性を通して、政治的混乱の渦中にあった1970年初頭のメキシコでの1年を描く。アカデミー賞では、外国語映画賞のほか、監督賞など計3部門を受賞した。主演は本作で女優デビューを果たしたヤリッツァ・アパリシオ。 |
歴代の受賞作→ |
脚本賞 | 「グリーンブック」 ピーター・ファレリー ニック・バレロンガ ブライアン・クリー 予告編→ |
歴代の受賞作→ |
脚色賞 | 「ブラック・クランズマン」 スパイク・リー デヴィッド・ラビノウィッツ ケヴィン・ウィルモット チャーリー・ワクテル 受賞スピーチ(動画)→ |
歴代の受賞作→ |
衣装デザイン賞 | 「ブラックパンサー」 (ルース・E・カーター) 解説動画(英語)→ |
歴代の受賞作→ |
長編ドキュメンタリー賞 | 「Free Solo(原題)」 (監督:エリザベス・チャイ・バサヒリー、ジミー・チン) 予告編(字幕なし)→ |
歴代の受賞作→ |
「シェイプ・オブ・ウォーター」と「スリー・ビルホード」の一騎打ちとなりました。前哨戦で熾烈な争いを展開していた2作品。オスカーでは、ダークな社会ドラマである「スリー・ビルホード」でなく、ゴージャスなファンタジー「シェイプ・オブ・ウォーター」に軍配が上がりました。
2018年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 |
「シェイプ・オブ・ウォーター」
【配信:アマゾン】 監督:ギレルモ・デル・トロ 半魚人と女性のラブロマンス映画。ファンタジーもの。美しいおとぎ話である。 「怪獣もの映画として初のオスカー作品賞」とも言われる。 ヒレやウロコのある生々しい半魚人。最初は恐ろしい怪人に見えるが、だんだんとイケメンに見えてくる。 ヒロインの女性は発声に障害があり、口がきけない。簡単な手話や音楽で、半魚人と心を通わせていく。 監督は、メキシコ人のギレルモ・デル・トロ(当時53歳)。 怪獣や特撮を愛するオタク系であり、親日派。 特殊メイクの助手として映画界に入った。 「パンズ・ラビリンス」(2006年)でアカデミー賞3部門を獲得した。 前哨戦では、社会派ドラマ「スリー・ビルボード」と勝利を二分していた。 オスカーでは、華やかさや視覚的な芸術性で上回るシェイプ・オブ・ウォーターが勝利した。 (日本公開:2018年3月1日) 説明ページ→ <受賞スピーチ▼> 予告編→ 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ |
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長編アニメ賞 | 「リメンバー・ミー」 |
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監督賞 | ギレルモ・デル・トロ (シェイプ・オブ・ウォーター) |
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主演男優賞 | ゲイリー・オールドマン (ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男) |
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主演女優賞 | フランシス・マクドーマンド 「スリー・ビルボード」 受賞スピーチ→ |
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助演男優賞 | サム・ロックウェル (スリー・ビルボード) |
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助演女優賞 | アリソン・ジャニー (アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル) |
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脚本賞 |
「ゲット・アウト」 (ジョーダン・ピール) 予告編(Amazon)→ |