歴代の受賞者リスト

2020年代

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2024年(第96回)

( 24年 | 23年↓

【主要8部門】作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞 【ジャンル別部門】アニメ賞国際映画賞 【技術部門】視覚効果賞
※他の部門はこちら→


部門 受賞 ノミネート
作品賞 3月11日(月)発表
  • 「オッペンハイマー」
    オッペンハイマー
    米政府の原爆開発チームを率いた科学者の伝記。 大量殺りく兵器を生んだ男のジレンマと、激動期のアメリカ政治を活写。 クリストファー・ノーラン監督。
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  • 「ホールドオーバーズ」
    ホールドオーバーズ
    クリスマスなのに帰省しないワケあり人たちが起こす喜劇ドラマ
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  • 「バービー」
    バービー
    着せ替え人形「バービー」の皮肉なコメディ。世界の売上で年間トップ。
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    【配信:アマゾン→


  • 「哀れなるものたち」
    哀れなるものたち
    脳死状態から蘇った女性が、「体は大人、脳は赤ちゃん」の状態で臨む社会体験記。
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  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
    米先住民虐殺の内幕を描く史実ドラマ。巨匠スコセッシ監督がアメリカの暗部をえぐり出す。
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  • 「パスト・ライブス/再会」
    パスト・ライブス/再会
    幼なじみの男女が異国の地で再会する運命系ドラマ。
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  • 「落下の解剖学」
    落下の解剖学
    夫殺しの罪に問われた女性の法廷サスペンス。仏映画。
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  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
    マエストロ:その音楽と愛と
    世界屈指の指揮者レナード・バーンスタインと妻の伝記。
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    【配信:ネトフリ→


  • 「アメリカン・フィクション」
    アメリカン・フィクション
    安直な人種平等主義を風刺する良質コメディ
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  • 「関心領域」
     国:イギリス(ドイツ語)
    関心領域
    ナチスの強制収容所のすぐ近くに住む収容所長の日常を描く野心作。
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歴代の作品賞→

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監督賞 3月11日(月)発表
  • クリストファー・ノーラン
    「オッペンハイマー」
    クリストファー・ノーラン
    「映像話術の天才」と呼ばれ続けて四半世紀。 革新的な映画づくりに挑み続けてきた男が、一つの到達点を迎えた。
    29歳で撮った2作目「メメント」(2000年)で大ブレイク。 物語を結末から語るという手法で驚かせた。 時間の流れを逆さまにして、映画の文法や時間的距離を変えることに挑戦し、いきなりオスカー脚本賞にノミネートされた。
    メジャースタジオから出した次作「インソムニア」(2002年)では、心理的駆け引きのサスペンスを緊張感を持って描き、主観的真実と客観的真実は違うことを訴えた。アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクという3人の大物オスカー俳優を巧みに演出した。
    続いて「バットマン」3部作を手掛け、 スーパーヒーロー伝説に新たな歴史を刻んだ。 とくに2作目「ダークナイト」は、 ジョーカー役にヒース・レジャーを起用。 心の闇の奥底まで悪魔が乗り移ったかのような悪役を造形した。全米興行収入歴代第3位を記録。作品賞ノミネートから漏れたことは、作品賞の候補を5枠から10枠に増やすという歴史的な制度変更の契機になった。
    2010年の「インセプション」では、重層的な夢の世界で複数の物語が同時進行するというややこしいストーリーを、一級の娯楽劇に仕上げた。オスカーの作品賞と脚本賞にノミネート。
    SF大作「インターステラー」(2014年)では、人類の生き残りを懸けて宇宙に向かう主人公の家族愛を壮大な映像力で表現。オスカー視覚効果賞を獲った。
    続く「ダンケルク」では、第二次世界大戦の英国軍の撤退作戦を、CGを使わずに再現することに成功。迫真の戦闘描写が称賛された。作品賞に加えて、初めて監督賞にノミネートされた。
    前作「テネット(Tenet)」は、米国内で商業的に厳しい結果になったが、日本ではリピーターが続出して大ヒットとなった。そもそもデビュー以来、常に日本で人気の高い監督だった。
    1970年、英国ロンドン生まれ。
    妻のエマ・トーマス氏は敏腕プロデューサーとして知られ、これまでノーランの全ての長編映画をプロデュースしてきた。大学の寮で知り合ったというおしどり夫婦。映画界最強カップルの力が本作でもいかんなく発揮され、商業的にもキャリア最高の大成功をもたらした。
    【前哨戦での受賞】
    ・DGA(米監督組合賞)
    ・クリティクス・チョイス賞 監督賞
    ・英国アカデミー賞 監督賞
    ・ゴールデングローブ賞 監督賞
    ・ニューヨーク批評家賞 監督賞
    ・アトランタ批評家賞 監督賞
    ・ワシントン批評家賞 監督賞
    ・セントルイス批評家賞 監督賞


  • マーティン・スコセッシ
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    マーティン・スコセッシ
    監督賞ノミネートは10回目。
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会賞(NBR)
    ・サンディエゴ批評家賞


  • ヨルゴス・ランティモス
    「哀れなるものたち」
    ヨルゴス・ランティモス
    【前哨戦での受賞】
    ・フィラデルフィア批評家賞
    ・フェニックス批評家賞


  • ジョナサン・グレイザー
    「関心領域」
    ジョナサン・グレイザー
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ロサンゼルス批評家賞(作品賞との2冠)
    ・ボストン批評家賞
    ・トロント批評家賞(作品賞との2冠)


  • ジュスティーヌ・トリエ
    「落下の解剖学」
    ジュスティーヌ・トリエ


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主演男優賞 3月11日(月)発表
  • キリアン・マーフィー
    「オッペンハイマー」
    キリアン・マーフィー
    過去のノーラン作品を支えてきた脇役が、驚愕の底力を発揮した。 パラドックスに満ち、組み合わせパズルのような複雑な人物像を見事に表現。 大げさな言い回しや表情を排したリアリズム演技で作品に思いっ切り溶け込み、歴史的な秀作ドラマ誕生の立役者となった。
    アイルランド人。 1976年5月、教育者の家系に生まれた。
    続きを開く▼ 10代のころはロックバンド少年としてギター、歌唱、作曲に励んだ。 大学で芝居に興味を持ち始め、 20歳のとき地元の劇団のオーディションを受ける。 後にトニー賞を受賞する劇作家エンダ・ウォルシュの目に留まり、ウォルシュの芝居「ディスコ・ピッグス」で精神的に不安定な少年を演じ、俳優デビューを果たした。 この作品は好評を博し、地元だけで3週間の公演の予定だったのが、欧州やカナダなどを2年間にわたりツアーすることとなった。 ウォルシュにとって出世作となった。 マーフィーは大学とバンドを辞めた。
    この舞台での演技が、 英国人監督ダニー・ボイル氏のゾンビ映画「28日後」の配役ディレクターの目に留まり、主役に抜擢。線の細さ、どことなくも夢想的な雰囲気は、作品に見事にマッチした。これが大ヒットになり、マーフィー個人も世界的なブレイクを果たした。
    その後、ノーラン監督のバットマン映画の第一弾「バットマン・ビギンズ」の主人公のオーディションを受ける。主役は逃したが、ノーラン監督は眼の魅力に圧倒され、悪役スケアクロウとして起用した。
    それ以来、マーフィーは「バットマン」3部作のほか、「インセプション」「ダンケルク」といったノーラン監督の名作に出演したが、「いつかノーラン作品で主役を」という願望を持っていたという。
    【前哨戦での受賞】
    ・SAGアワード(俳優組合賞)
    ・英国アカデミー賞
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・ワシントン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・フェニックス批評家賞
    ・フィラデルフィア批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    動画集を開く▼ <登場シーンなど▼>


    <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <昔の歌唱シーン▼>


    <バットマンでの登場シーン▼>


    <「28日後」での登場シーン▼>


    <「オッペンハイマー」出演者3人のインタビュー▼>



  • ポール・ジアマッティ
    「ホールドオーバーズ」
    ポール・ジアマッティ
    米国民に長く親しまれ、愛される三枚目。
    全寮制の学校の教師を演じた。 短気で毒舌だが、 優れた知性と強い信念を持つ奥深いキャラクター。 滑稽かつ味わい深い演技で物語を推進した。 他の登場人物との波長もぴったりで、 職人芸的な役者ぶりに称賛が集まった。
    オスカー・ノミネートは2度目。 前回ノミネートは「シンデレラマン」(2005)でのシリアス演技。 その前年、傑作コメディ「サイドウェイ」で絶賛されながらもノミネートから漏れたことは、 オスカーの歴史に残るSnubとして語り草になっている。
    今回、サイドウェイのアレクサンダー・ペイン監督と再びタッグを組み、 得意とする「ひねくれオヤジ」演技の真骨頂を発揮した。
    1967年コネチカット州生まれ。 父親は大学教授、母親は高校教師の母親という教育家系。
    重要な前哨戦となるクリティクス・チョイス賞で、 キリアン・マーフィー(オッペンハイマー)に勝利。 また、教育者たちへの敬意を示したゴールデングローブ賞での受賞スピーチは、 大きな共感を呼んだ。 長年にわたる功績への支持も厚い。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    ・シカゴ批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・ミシガン批評家賞(同点)
    動画集を開く▼ <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <クリティクス・チョイス賞の受賞スピーチ▼>


    <予告編▼>


    <「サイドウェイ」予告編▼>



  • ジェフリー・ライト
    「アメリカン・フィクション」
    ジェフリー・ライト
    【前哨戦での受賞】
    ・サンディエゴ批評家賞
    ・ミシガン批評家賞(同点)


  • ブラッドリー・クーパー
    「マエストロ:その音楽と愛と」
    ブラッドリー・クーパー
    【前哨戦での受賞】
    ・ネバダ批評家賞


  • コールマン・ドミンゴ
    「ラスティン:ワシントンの『あの日』を作った男」
    コールマン・ドミンゴ
    【配信:ネトフリ


歴代の主演男優賞→

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主演女優賞 3月11日(月)発表
  • エマ・ストーン
    「哀れなるものたち」
    エマ・ストーン
    ノミネートは今回で4度目。2017年に「ラ・ラ・ランド」で主演女優賞を受賞している。
    科学実験で死から蘇った女性を演じた。体は大人なのに脳は乳児という特異なキャラクターを、ぶっ飛び演技で愉快に表現。そこから急ピッチで成長していく「変革」のプロセスを存分に見せた。
    共同プロデューサーとして企画の初期段階から参加し、ヨルゴス・ランティモス監督と二人三脚で主人公像を創造していったという。
    1988年11月、米南部アリゾナ州生まれ。地元で11歳から演技を学び、家族の応援で母と一緒に15歳からロサンゼルスに移って、テレビ出演を始めた。
    テレビの脇役を経て、2007年の「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で映画デビュー。ベストセラー小説が原作の「ヘルプ 心がつなぐストーリー」(2011年)ではヒロイン役に起用され、高く評価された。ハリウッドスターらしい華があり、演技も達者とあって、たちまち超売れっ子になった。
    2012年の「アメイジング・スパイダーマン」でヒロイン役に。2015年に「バードマン」でオスカー初ノミネート(助演)。2017年に「ラ・ラ・ランド」で受賞(主演)した後、2019年にも「女王陛下のお気に入り」でノミネート(助演)された。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    ・ミシガン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・フィラデルフィア批評家賞
    ・フェニックス批評家賞
    動画集を開く▼ <登場シーン▼>


    <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <ルイ・ヴィトンの宣伝動画▼>


    <自宅で78個の質問にこたえる▼>



  • リリー・グラッドストーン
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    リリー・グラッドストーン
    先住民の血を引き、米モンタナ州ブラウニングのインディアン居留地で育った。父親は先住民系(ブラックフィート族とネズ・パース族)、母親は白人。
    5歳のときに映画「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」で見たイウォーク族に触発され、俳優になりたいと思ったという。 大学で演劇を専攻し、2008年卒業。 独立系の小規模映画の脇役としてキャリアを積み、 2016年の「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」で批評家系の賞レースに絡んだ。
    本作はメジャー映画での初出演。ロバート・デ・ニーロやレオナルド・ディカプリオといった超豪華キャストの中で特別の輝きを放ち、作品の「顏」となった。
    当初は「助演」での最有力候補になると見られたが、「主演」で賞レースに参戦。
    【前哨戦での受賞】
    ・SAGアワード(俳優組合賞)
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・サンディエゴ批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    動画集を開く▼ <登場シーン▼>


    <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <インディワイヤー賞の受賞スピーチ▼>



  • ザンドラ・フーラ
    「落下の解剖学」
    ザンドラ・フーラ
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・バンクーバー批評家賞


  • キャリー・マリガン
    「マエストロ:その音楽と愛と」
    キャリー・マリガン


  • アネット・ベニング
    「ナイアド~その決意は海を越える」
    アネット・ベニング
    【配信:ネトフリ


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助演男優賞 3月11日(月)発表
  • ロバート・ダウニーJr
    「オッペンハイマー」
    ロバート・ダウニー・Jr
    科学者オッペンハイマーの公職追放をめぐる政治ドラマが描かれる本作において、そのカギを握る政府高官を演じた。 「アイアンマン」など過去の数々の有名キャラターの面影を消し去り、 全くの別キャラに。 権力欲や自尊心が強く、腹黒い人物像を現実感たっぷりに表現した。 会話シーンはもとより、 小さな立ち振る舞いや表情の微妙な変化にいたるまで、 立体的で深いドラマの進行を支えた。 若いころからシリアス演技派としても評価されてきた一流スターの真骨頂が、存分に発揮された。
    過去に2度、オスカーにノミネートされた。 1度目は、実に30年前(1993年)にさかのぼる。 伝記映画「チャーリー」で、喜劇王チャーリー・チャプリンを演じ、主演男優賞にノミネート。当時26歳ながら、10代から88歳までのチャプリンを演じた。
    その後、2009年に活劇コメディ「トロピック・サンダー」で助演男優賞にノミネートされた。
    1965年4月生まれ、米ニューヨーク出身。父は映画監督、母は女優。5歳の時に初めて父の監督作に出演。
    2000年代初頭に人気テレビドラマ「アリー・myラブ」に出演。ゴールデン・グローブ賞やSAGアワードを受賞した。このころ麻薬の常習者になり、何度も刑務所に入った。その後、リハビリ施設への入所やヨガのトレーニングなどによって薬物中毒から立ち直ったという。
    2008年の「アイアンマン」で初めてスーパー・ヒーロー役を演じた。これが大当たり。米コミック「マーベル」のシリーズ化の起点となり、ダウニー自身もマーベル映画で欠かせない存在になった。2010年代のアメコミ映画の黄金時代を支える立役者だった。
    同じころ「シャーロック・ホームズ」シリーズでも主役に起用され、大ヒットへと導いた。
    映画業界への貢献度はとてつもない。
    【前哨戦での受賞】
    ・SAGアワード(俳優組合賞)
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・フィラデルフィア批評家賞
    ・フェニックス批評家賞
    ・サンディエゴ批評家賞
    ・アトランタ批評家賞(タイ)
    動画集を開く▼ <登場シーンなど▼>


    <スティングと一緒に歌う▼>


    <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <「チャーリー」の予告編▼>



  • ライアン・ゴスリング
    「バービー」
    ライアン・ゴスリング
    バービーの友人ケンを演じた。 抜群のコメディ・センスとカリスマ性を発揮し、 世界中の観客を爆笑させた。 人間社会に初めて行ったときのはしゃぎぶりや、 男性を自虐するネタの愉快さは圧巻。見せ場をいくつもさらった。 「ラ・ラ・ランド」で見せたダンスと歌唱にもさらに磨きがかかった。 無邪気な人形男子を、 これだけ違和感なく魅力的に演じられるおじさん(42歳)は他にいない。
    過去に2度、オスカーにノミネートされた。 最初のノミネートは、1億円以下の超低予算で制作された「ハーフネルソン」(2006年)での主演で。続いて2016年のミュージカル大作「ラ・ラ・ランド」の主演でノミネートされ、本命の一角と見られていたが、ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)に敗れた。
    1980年、カナダのオンタリオ州生まれ。1993年、テレビの「ミッキー・マウス・クラブ」のオーディションに参加。1万7000人から選ばれてレギュラーになった。
    1996年に映画デビュー。2004年「きみに読む物語」で注目された。2010年「ブルーバレンタイン」などでも優れた演技力を発揮。「ドライヴ」でカルト的人気を博した。
    ジャズピアニスト役で挑んだ初の本格ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」では、ピアノ演奏のシーンでは代役を使わず自ら演奏し、その腕前はプロのピアニストをもうならせた。
    2017年の「ブレードランナー2049」などの超大作でもおなじみ。
    【前哨戦での受賞】
    ・ボストン批評家賞
    ・ミシガン批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    ・ハワイ批評家賞
    ・アトランタ批評家賞(タイ)
    動画集を開く▼ <「アイム・ジャスト・ケン」歌唱ビデオ▼>


    <「ラ・ラ・ランド」の歌唱&ダンス▼>


    <MTVベストキス賞の受賞スピーチ▼>



  • マーク・ラファロ
    「哀れなるものたち」
    マーク・ラファロ
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会議賞(NBR)


  • ロバート・デ・ニーロ
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    ロバート・デ・ニーロ


  • スターリング・K・ブラウン
    「アメリカン・フィクション」
    スターリング・K・ブラウン


歴代の助演男優賞→

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助演女優賞 3月11日(月)発表
  • デバイン・ジョイ・ランドルフ
    「ホールドオーバーズ」
    デバイン・ジョイ・ランドルフ
    前哨戦をほぼ負け知らずで独走した。 前年の助演男優賞レースを席巻したキー・ホイ・クァン(エブリシング・エブリウェア)を超える連勝ぶり。
    学食の料理人を演じた。 最愛の息子をベトナム戦争で失って初めて迎えたクリスマス。 自分と同じく休校中の学校に居残った教師(ポール・ジアマッティ)や生徒(ドミニク・セッサ)が繰り広げるドタバタに、じわじわと巻き込まれていく。
    自身が喪失感にさいなまれながらも、 さりげない優しさとユーモアで2人を温め、理解を助けていく姿と存在感の重さが、 観客の感動を呼んだ。
    1986年5月、米東部フィラデルフィア生まれ。 地元の大学で演劇を学んだ後、 名門イエール大学院に進み、演劇で修士号をとった。 ミュージカル版「ゴースト」で役者デビューを飾り、 いきなりトニー賞の助演女優賞にノミネートされた。
    2019年、エディ・マーフィ主演映画「ルディ・レイ・ムーア」(Netflix)で、大柄な芸人を熱演。ド迫力の歌唱力もあいまって、一躍脚光を浴びた。
    【前哨戦での受賞】
    ・SAGアワード(俳優組合賞)
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・ミシガン批評家賞
    ・フィラデルフィア批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    ・フェニックス批評家賞
    動画集を開く▼ <登場シーン▼>


    <「ルディ・レイ・ムーア」での歌唱シーン▼>


    <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>



  • ダニエル・ブルックス
    「カラーパープル」
    ダニエル・ブルックス


  • エミリー・ブラント
    「オッペンハイマー」
    エミリー・ブラント


  • ジョディ・フォスター
    「ナイアド~その決意は海を越える」
    ジョディ・フォスター
    【配信:ネトフリ


  • アメリカ・フェレーラ
    「バービー」
    アメリカ・フェレーラ
    ※テレビ「アグリー・ベティ」で有名。今作でのスピーチのシーンが大きな感動を呼んだ。


歴代の受賞者(助演女優賞)→

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アニメ賞 3月11日(月)発表
  • 「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」 スパイダーマン:スパイダーバース
    2019年のオスカーで長編アニメ賞に輝いた「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編。
    前作では、アニメ表現の新境地を拓いた。 コミックがそのまま動き出したかのような映像。 テイストの異なる画風を一つの作品に落とし込む斬新なスタイルは、 画期的だった。

    空前のアート映像作品

    今回は、その映像表現がさらに大きく進化した。 1000人のアニメーターが参加。 人間らしい絵の質感が活かすため、CGへの依存を減らし、人間のマンパワーで絵を描くことを重視した。 その結果、空前のクオリティを持ったアート映像作品に仕上がった。
    映像の良さにとどまらず、エンタメとしての面白さも抜群。 批評家と一般観客の双方から極めて高い評価を得た。

    多数のスパイダー

    複数の異次元空間が並行する世界(マルチバース)が舞台。 主人公の少年マイルスが、この世界に足を踏み入れ、過去の漫画及び映画シリーズで登場した多数のスパイダーマンに遭遇する。
    次回作(3作目)「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」も一体的に制作された。

    ロード&ミラー

    プロデューサーは、前作に続き、米国アニメ界きっての黄金コンビとして知られるフィル・ロード&クリス・ミラーが務めた。監督作として「LEGO ムービー」「21ジャンプストリート」、プロデューサー作品として「ミッチェル家とマシンの反乱」などが有名。
     監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
     配給:ソニー
     長さ:2時間20分
    【ノミネート有力部門】
     長編アニメ賞
     視覚効果賞
     作曲賞
    【前哨戦での受賞】
    ・PGA(全米プロデューサー組合賞)
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・アニー賞 作品賞
    ・米国映画評議会議賞(NBR) アニメ賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・視覚効果協会賞(アニメ部門)
    【評価】
     ロッテン・トマト:95%(最新→
     IMDB:8.6(最新→
     メタクリティック:86%(最新→
     レターボックス:4.5(最新→
    ■北米興収:3億8100万ドル
    ■製作費:1億ドル
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <挿入歌「コーリング」▼>



  • 「君たちはどう生きるか」 君たちはどう生きるか
    【国:日本】
    ジブリの宮崎駿監督の10年ぶりの新作。 2013年の「風立ちぬ」を最後に引退すると表明していたが、2016年にこれを撤回し、製作に臨んだ。

    視覚的味わい

    作画開始から完成まで異例の7年という長期間を費やし、マイペースで丹念に作り上げた。 絵のクオリティの高さは健在。 人物などの滑らかな動きや美しい背景美術など、視覚的な味わいに満ちている。
    ジブリ一覧→

    巨匠の復帰を大歓迎

    海外でも高い評価を集め、 引退したはずのレジェンドの復帰に、全米のアニメファン、映画ファンが沸き上がった。 賞レースでは「ニューヨーク批評家賞」「ロサンゼルス批評家賞」など、長い歴史と権威を誇る賞でアニメ賞を獲得。さらに、ゴールデングローブ賞アニメ部門でも最有力「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」に勝つというサプライズを起こした。

    歴代ジブリで最高の米興収

    商業的にも世界的に成功した。アメリカ(北米)における興行収入は、ジブリ映画として歴代1位を記録。 それまで1位だった「千と千尋の神隠し」の3倍以上を稼いだ。 (参考:河端哲朗氏)

    過去に2度受賞

    過去のオスカーでは、2003年に「千と千尋の神隠し」が長編アニメ賞を獲得。 さらに2015年には宮崎監督が個人として名誉賞を授与されている。
    <ジブリ映画のオスカー歴>
    作品 部門
    2003 「千と千尋の神隠し」
     宮崎駿監督
    アニメ賞受賞
    2006 「ハウルの動く城」
     宮崎駿監督
    アニメ賞ノミネート
    2014 「風立ちぬ」
     宮崎駿監督
    アニメ賞ノミネート
    2015 「かぐや姫の物語」
     高畑勲監督
    アニメ賞ノミネート
    2016 「思い出のマーニー」
     米林宏昌監督
    アニメ賞ノミネート
    2017 「レッドタートル ある島の物語」
     フランスとの共同製作。監督はオランダ人のマイケル・デュドク・ドゥ・ビット氏。
    アニメ賞ノミネート
    2017 「君たちはどう生きるか」
     宮崎駿監督
    アニメ賞ノミネート
     監督・脚本・原作:宮崎駿
     プロデューサー:鈴木敏夫
     配給:GKIDS
     英題:The Boy and the Heron
     製作国:日本
     長さ:2時間4分
    【ノミネート有力部門】
     長編アニメ賞
     作曲賞(久石譲)
    【評価】
     ロッテン・トマト:97%(最新→
     IMDB:7.6(最新→
     メタクリティック:91%(最新→
     レターボックス:4.0(最新→
    【興行収入】
      北米:4200万ドル
      世界:1億5900万ドル(最新→
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞 アニメ賞
    ・ゴールデングローブ賞 アニメ賞
    ・ニューヨーク批評家賞 アニメ賞
    ・ロサンゼルス批評家賞 アニメ賞
    ・フロリダ批評家賞 作品賞、アニメ賞、作曲賞【3冠】
    ・シカゴ批評家賞 アニメ賞
    ・ボストン批評家賞 アニメ賞
    ・フィラデルフィア批評家賞 アニメ賞&外国語映画賞【2冠】
    ・サンディエゴ批評家賞 アニメ賞
    ・ロンドン批評家賞 アニメ賞
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <主題歌:米津玄師「地球儀」▼>



  • 「マイ・エレメント」
    マイ・エレメント
    コロナ禍以降、ピクサーの映画は劇場公開されず、配信のみだったが、本作は映画館で上映。 アメリカでは公開当初は興行成績が悪かったが、 口コミで高評価が伝わり、ロングランとなった。 日本でもヒットした。
    評論家のレビューは、ロッテン・トマトで「支持率74%」。 ピクサーにしてはイマイチだった。 しかし、観客の評判はおおむね良かった。
    【評価】
     ロッテン・トマト:74%(最新→
     IMDB:7.0(最新→
     メタクリティック:58%(最新→
     レターボックス:3.3(最新→
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <エンドソング:Superfly「やさしい気持ちで」▼>


    <劇中歌「Steal The Show」▼>



  • 「ニモーナ」
    ニモーナ
    (Netflix)
    【配信:ネトフリ


  • 「ロボット・ドリームズ」
    ロボット・ドリームズ


歴代のアニメ賞→

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国際映画賞 3月11日(月)発表
  • 「関心領域」
     国:イギリス(ドイツ語)
    関心領域
    作品説明へ
    監督:ジョナサン・グレイザー
    配給:A24
    ■評点:ロッテン92%、IMDb8.1
    【前哨戦での受賞】
    ・カンヌ国際映画祭 2位(グランプリ)
    ・ロサンゼルス批評家賞 作品賞&監督賞&主演賞&音楽賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)監督賞
    ・トロント批評家賞 作品賞&監督賞
    ・サンフランシスコ批評家賞 監督賞
    ・女性映画ジャーナリスト同盟 作品賞
    ・ボストン批評家賞 監督賞&脚色賞
    ・英国アカデミー賞 非英語作品賞
    ・シカゴ批評家賞 外国語映画賞
    動画集を開く▼ <カンヌ上映後の客席の反応▼>



  • 「雪山の絆(きずな)」
     国:スペイン
    雪山の絆(きずな)
    【配信:ネトフリ
    1972年、南米アンデス山中でウルグアイの学生ラグビーチームら45人を乗せた飛行機が消息を絶った。生存者の確認もできないまま、やがて捜索は打ち切りに。雪と岩だらけの4000メートル近い高地。夜半には氷点下40度にもなる過酷な極限状況。飢えや雪崩で次々と仲間が死んでいく中で、残った者たちが生存を図る。実際に起きた事故を忠実に再現した感動作。1993年にハリウッドが映画化した「生きてこそ」から30年。スペイン人のJA・バヨナ監督が、南米の俳優らを起用してスペイン語で撮った。
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <劇伴▼>



  • 「パーフェクト・デイズ」
     国:日本
    パーフェクト・デイズ
    (日本公開:2023年12月22日)
    ※東京都心の公衆トイレの清掃業務に従事する初老男性の物語。 黙々と働くプロ職業人の日常生活を、静かに追う。 ストーリーらしきものがなく会話も非常に少ないが、 主人公の生き様とその描き方が世界から共感を得た。
    「ベルリン・天使の詩」「パリ、テキサス」など数々の名作を送り出してきたドイツの巨匠、ビム・ベンダース監督が、東京の心象風景を美しく味わい深く表現している。
    カンヌ国際映画祭で役所広司が男優賞を獲得。 世界的な実力俳優として認知された。 表情、身ぶり、僅かなセリフで人生観を伝える。
    ユニクロのオーナー社長の息子・柳井康治氏がプロデューサーを務めた。
    東京都渋谷区内に斬新な公共トイレを17カ所設置するという日本財団のプロジェクトの一環としてつくられた。 当初は短編映画として企画され、 親日家として知られるベンダース監督にオファーしたところ、快諾。 「どうせなら長編で」という話になり、 ベンダース氏と広告作家・高崎卓馬氏(電通)が共同で脚本を書いた。 ベンダーズ監督が敬愛してやまないで巨匠・小津安二郎氏へのオマージュに満ちている。
    監督:ビム・ベンダース
    プロデューサー:ビム・ベンダース、柳井康治、高崎卓馬(電通)ほか
    主演:役所広司
    助演:石川さゆり、三浦友和、柄本時生(えもと・ときお)ほか
    言語:日本語
    製作国:日本、ドイツ
    配給:ビターズ・エンド
    米国配給:ネオン
    長さ:2時間4分
    ■評点:ロッテン92%、IMDb7.9
    【前哨戦での受賞】
    ・カンヌ国際映画祭 男優賞(役所広司)
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <役所広司のカンヌ受賞スピーチ▼>


    <挿入歌「パーフェクト・デイ」~歌手ルー・リード▼>


    <挿入歌「朝日のあたる家」~byアニマルズ▼>


    <挿入歌「ドック・オブ・ベイ」~歌手オーティス・レディング▼>



  • 「The Teachers' Lounge」
     国:ドイツ
    The Teachers' Lounge


  • 「イオ・カピターノ」
     国:イタリア
    マッテオ・ガローネ監督
    アフリカから欧州を目指す移民の物語
    Io Capitano


歴代の国際映画賞→

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視覚効果賞 3月11日(月)発表
  • 「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」
    (山崎貴、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司) ゴジラ-1.0(マイナス・ワン)
    映画大国のアメリカにおいて「商業」と「批評」の両面で大成功した。 アニメでは珍しくないが、実写の邦画としては歴史的な快挙だった。

    怖いゴジラ

    とりわけ高く評価されたのが、視覚効果(VFX)だった。 CG(コンピューター・グラフィクス)によって描いたゴジラは、重厚感がたっぷり。 迫ってくるときの凄み、怖さに加えて、元祖ゴジラを想起させる質感や形も称賛された。
    銀座の破壊シーン
    ゴジラが暴れる街もVFXで緻密に生成された。 見せ場となる東京・銀座の破壊シーンでは、無数の建物をCGで配置。 ビル一棟一棟について、壁や床の素材や構造をコンピューターに入力したうえで、 「壊れて粉々になる」という物理現象を出力させた。
    海を歩くシーン
    海を舞台とするシーンでも、視覚効果の技術が活かされた。 物体や生き物が水の中を移動すると、白く泡立つ波「白波」(ホワイト・ウォーター)が発生する。 巨体のゴジラともなれば、白波のボリュームはとてつもないが、これもCGで緻密に描き、 実写の海と組み合わせた。 その結果、洋上で迫ってくるゴジラがリアルに。 「海上アクション映画」としても一級になった。
    3分の2にVFX
    全体の3分の2程度(尺数ベース)の映像に、 VFX技術が何らかの形で使われたという。

    格安の製作費&わずか35人

    製作費はわずか30億円程度で、ハリウッド大作と比べれば超格安。 しかも、VFXスタッフは35人。ハリウッドなら数百人規模も珍しくない。 技術的にも日本の視覚効果技術はハリウッドに大きく劣ると思われていた。 それだけに、ゴジラ-1.0は、米国を驚かせた。 最近の米国製SF大作に物足りなさやマンネリ感を覚えていた映画ファンも喝采を浴びせた。

    VFXの名手・山崎貴監督

    本作は、視覚効果を得意とする山崎貴監督の集大成となった。 山崎監督は日本を代表する「VFXの名手」として有名。 「ALWAYS 三丁目の夕日」で昭和30年代の街並みをVFXで丸ごと構築し、 その続編ではCG製ゴジラも登場させた。 「永遠の0」ではゼロ戦の戦闘シーンを再現。 「海賊とよばれた男」では、東京大空襲で町が火煙に包まれるシーンをCGで描いた。 さらに、埼玉県の「西武園ゆうえんち」でゴジラをテーマとする乗り物アトラクションの映像を担当した。 本作では、過去の作品で蓄えたノウハウを全てぶつけたという。
    白組
    制作には、山崎氏自身が所属する映像制作会社「白組」のVFXスペシャリストが集結。 長年にわたり山崎作品の視覚効果を支えてきた渋谷紀世子氏が、 今回もリーダー役となる「VFXディレクター」を務めた。

    米国の賞レースで台風の目

    本作は米国の映画館での大ヒットを受けて、賞レースでも台風の目になった。 各地域別の評論家の映画賞では、 視覚効果賞を次々とさらった。

    SF映画賞も

    視覚効果にとどまらず、 SF映画賞も相次いで受賞。 中でもラスベガス批評家賞では「SF/ホラー映画賞」「国際映画賞」の2冠を達成した。

    国際映画部門は対象外

    なお、オスカーの国際映画賞では、 日本代表に「パーフェクト・デイズ」が選ばれたため、 選考の対象外となった。

    【他の賞の受賞実績】

     ラスベガス批評家賞 SF/ホラー映画賞、国際映画賞【2冠】
     シカゴ批評家賞 視覚効果賞
     フロリダ批評家賞 視覚効果賞
     ユタ批評家賞 視覚効果賞
     ジョージア批評家賞 国際映画賞
     ハワイ批評家賞 SF作品賞
     ポートランド批評家賞 SF作品賞
     カンザスシティ批評家賞 SFホラー賞

    アニメ以外の邦画で過去最高のヒット

    賞レースに参加したことで、年明け以降も上映が続いた。 北米での興行収入は5000万ドルを突破。 アニメを除く日本映画としては史上最高記録となった。 これまでアメリカ市場における邦画の商業的な成功は、 ほぼアニメに限られていたが、 実写でのメジャーヒットを出したことは、日本の映画産業にとって実に意義深い。 また、米国での配給を、現地企業に頼らず東宝が自ら行ったことも画期的だった。(参考:河端哲朗氏)

    家族愛のテーマ設定も成功

    なお、本作ではテーマを「家族愛」に据えたことも、 米国で成功した理由の一つだと考えられている。 日本では人間ドラマの部分について賛否が分かれたが、 アメリカでは「賛」が圧倒的な多数派となった。

    初代ゴジラ

    「ゴジラ-1.0」は、初代ゴジラから50周年として企画された。第1作「ゴジラ」は1954年(昭和29年)に公開された。水爆実験の影響で誕生した巨大恐竜が人間を襲うというコンセプト。ビキニ核実験で死の灰を浴びた「第五福竜丸事件」に触発された。ゴリラとクジラの合いの子として「ゴジラ」と名付けられた。

    「特撮の父」円谷英二

    製作費は当時の映画5本分に当たる1億円がかけられた。後に「特撮の父」と呼ばれるようになる円谷英二が特撮監督を務めた。着ぐるみの中に人間が入るという方式を開発した。 着ぐるみがミニチュアの街を壊し、それカメラで撮影する「特撮」。 リアルな動きや破壊シーンが世界を驚かせた。
    初代ゴジラは国内で大ヒットし、すぐに1.5億円を稼いだ。戦後日本の子供たちを熱狂させた。

    米国でも人気沸騰

    これにハリウッドが目をつけた。人気俳優レイモンド・バー扮する新聞記者の部分を撮り足して再編集され、「怪獣王ゴジラ」(1956年)として公開された。米国の一流劇場でロードショー公開されるのは、日本映画として初めてだった。しかも大ヒットした。以後、東宝特撮映画のほとんどはアメリカで上映されることになった。
    1962年、シリーズ3作目「キングコング対ゴジラ」が公開される。アメリカ映画が生んだ大怪獣の元祖キングコングと、雪氷の奥で目覚めて再び巨体を現したゴジラが対決する。シリーズ初のカラー作品となった。
    米国では「Gファン」という怪獣映画愛好グループが発足した。定期的に大会開催されるようになった。

    ハリウッドに影響を与える

    ハリウッドの視覚効果の専門家の中には、ゴジラやモスラなどの日本の怪獣映画を見ながら育った人も多い。とくにオスカーの投票権が与えられるようなベテラン技術者は、大きな影響を受けている。
    VFX技術者たち
    「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」(1983年)のロボットと「ジュラシック・パーク」(1993年)の恐竜づくりで2度の視覚効果賞に輝いたフィル・ティペット氏などが有名だ。「シェイプ・オブ・ウォーター」で作品賞などを獲ったギレルモ・デル・トロ監督も、日本製怪獣のファンを公言している。
     監督・脚本・視覚効果:山崎貴
     主演:神木隆之介
     助演:浜辺美波、安藤サクラ、山田裕貴ほか
     視覚効果(VFX)制作会社:白組
     視覚効果(VFX)ディレクター:渋谷紀世子
     公開日:2023年11月3日
     英題:Godzilla Minus One
     言語:日本語
     製作国:日本
     配給:東宝
    【ノミネート有力部門】
     作品賞
     視覚効果賞
    【評価】
     ロッテン・トマト:98%(最新→
     IMDB:8.3(最新→
     メタクリティック:79%(最新→
     レターボックス:4.2(最新→
    【興行収入】
      米国:4600万ドル
      世界:8500万ドル(最新→
    動画集を開く▼ <監督によるVFX説明▼>


    <ノミネート発表時の監督らの歓喜▼>


    <視覚効果担当の天才青年▼>


    <監督インタビュー▼>


    <サントラ▼>


    <制作の舞台裏▼>


    <予告編▼>



  • 「ザ・クリエイター/創造者」
    ザ・クリエイター/創造者
    【前哨戦での受賞】
    ・視覚効果協会賞(実写部門)
    ・セントルイス批評家賞 視覚効果賞


  • 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ボリューム3」
    ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ボリューム3


  • 「ナポレオン」
    ナポレオン


  • 「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1」
    ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1


歴代の視覚効果賞→

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 ※2024年の全部門を見る→

2023年(第95回)

( 24年↑ | 23年 | 22年↓

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が作品賞を含む7冠を獲得。このうち6つは主要部門(作品・監督・俳優・脚本系)だった。主要部門での6冠はオスカー史上初めて。

【主要8部門】作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞脚本賞脚色賞【ジャンル別部門】アニメ賞国際映画賞ドキュ賞
※他の部門はこちら→


2023年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(略称:エブエブ)」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

(日本公開:2023年3月3日)

監督:ダニエルズ

史上初の主要6冠

作品賞に加えて、監督、主演女優、助演男優、助演女優、脚本、編集賞の計7冠。 このうち編集賞を除く6部門が主要部門だった。 「羊たちの沈黙」「愛と追憶の日々」「クレイマー・クレイマー」「カッコーの巣の上で」「或る夜の出来事」「地上(ここ)より永遠(とわ)に」などの最多記録(主要5冠)を抜き、史上初の主要部門6冠に輝いた。

ダントツの独創性と斬新さに熱烈な支持が集まった。インデペンデント映画ならではの発想力の勝利だった。

中華系移民のSF家族劇

米国の中華系移民の家族が突然、人類を救う戦いに巻き込まれるSF活劇。母娘愛・夫婦愛を軸とする感動系の家族物語でもある。ミシェル・ヨー主演。

若手オタクとA24

新進気鋭の2人組監督ダニエルズの大出世作となった。ハリウッドで最も勢いのある新興映画会社「A24」にとって過去最大の興行収入を記録。米国の映画ファンの間で話題沸騰となった。

若手オタクとA24

オスカー前哨戦では、評論家系の賞で勝ち続けた後、映画業界の組合別の賞で圧勝した(PGA、DGA、SAG、WGAを完全制覇)。

アジア系が大活躍

主要キャストの大半はアジア系。さらに監督の1人は台湾系。メインのプロデューサーも台湾系。衣装デザイナーは日系人。アジア系の人材が大活躍した。

奇抜な異色作のわりにアンチが少ないのも特徴。米国を支えてきた移民たちへの賛歌というメッセージ性もある。

歴代トップ級の奇想天外ぶり

メジャー作品にはない手作り感とB級風味も持ち味となった。 オスカー作品賞史上、奇想天外ぶりにおいてトップレベルと受け止められている。少なくとも「お馬鹿映画ぶり」が歴代マックスであることは間違いない。

8年ぶり7冠

オスカー7冠達成は、2014年の「ゼロ・グラビティ」以来9年ぶり。 作品賞を含めた7冠以上となると、2009年に8冠に輝いた「スラムドッグ・ミリオネア」以来だった。一つの作品による独占が難しくなっていた近年のアカデミー賞において、久しぶりの完勝となった。

俳優部門3冠は史上3作目

また、俳優部門での3冠は46年ぶり。1977年「ネットワーク」、1953年「欲望という名の電車」に次いで史上3作目の快挙だった。

「タイタニック」との勝ちぶりの違い

アカデミー賞の最多受賞の記録は、「ベン・ハー」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング3/王の帰還」の13部門だが、これらの作品は技術部門で大量に稼いだ結果である。例えばタイタニックとロード・オブ・ザ・リング3は俳優部門は一つも獲っていない。

一方、エブエブは技術部門の受賞は編集賞だけで、残りは「above the line」と呼ばれる主要8部門での勝利。主演男優と脚色はそもそも選考対象ではなかったことを考えると、主要部門は全て制覇したといえる。
続きを開く▼

1年前の劇場公開は「羊たちの沈黙」以来

本作が米国で劇場公開されたのは2022年3月だった。 オスカー授賞式の1年も前だ。 通常、公開から時間が経つとオスカーでは不利だが、本作に限っては勢いが衰えなかった。むしろ「見返すほど面白さが増す」との声が多く聞かれた。 公開時期の早さは、1991年2月に全米公開されて翌年の作品賞を獲った「羊たちの沈黙」以来の記録。

サークル的なノリに共感

賞レースでは、本作で20余年ぶりの奇跡的なカムバックを果たした元子役キー・ホイ・クァンが、感動的なスピーチで往年の映画ファンを泣かせた。 ミシェル・ヨーやジェイミー・リー・カーティスらお馴染みのスターたちも作品の魅力を訴え、ムードを盛り上げた。

各授賞式やイベントでは、キャストやスタッフが若いオタク系監督を囲み、和気あいあいと祝福しあうサークル活動的なノリが共感を呼んだ。その輪の中には、祖父役を演じた94歳の超ベテラン中国系俳優ジェームズ・ホンの姿もあった。 包摂的(インクルーシブ)で楽しそうな光景が、映画自体のメッセージとも重なり合った。

逆風が吹かず

賞レース終盤で「断トツの最有力候補」としてのポジションを固めたが、よくありがちなバッシングは起きなかった。 前哨戦で連勝しながら最終局面でアンチが増え、作品賞を逃した前年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Netflix)とは対照的だった。 ポジティブな人生賛歌という作風が、有利に働いたかも知れない。

「A24」の圧勝

インデペンデント系映画会社「A24」にとって、2017年の「ムーンライト」に続いて2度目の作品賞となった。 同じく本年度にA24が配給した「ザ・ホエール」は主演男優賞とメイク&ヘア賞を獲得した。 大手スタジオやNetflixを突き放し、会社別の受賞数で圧倒的なトップだった。

A24は2012年創業。 映画投資会社出身のダニエル・カッツら3人が設立した。本社ニューヨーク。 「エブエブ」は設立10周年の作品であり、出資と配給を担当した。

A24はアート性と娯楽性を兼ね備えた作品づくりに定評がある。 「ムーンライト」以外の過去の作品賞ノミネートは、2016年の「ルーム」、2021年の「ミナリ」。


■エブエブ受賞結果
受賞 作品賞
監督賞
主演女優賞
 ミシェル・ヨー
助演男優賞
 キー・ホイ・クァン
助演女優賞
 ジェイミー・リー・カーティス
脚本賞
編集賞
ノミネート 助演女優賞
 ステファニー・シュー
歌曲賞
作曲賞
衣装デザイン賞

配給:A24

プロデューサー:ジョナサン・ウォン、ルッソ兄弟、ダニエルズほか

【配信:U-NEXT

■評点:ロッテン95%、IMDb8.0

■米興収:7200万ドル

■製作費:1600万ドル

【前哨戦での受賞】
・PGA(米プロデューサー組合賞)
・DGA(米監督組合賞)
・SAG(俳優組合)アンサンブル賞
・クリティック・チョイス賞
その他▼ ・ロサンゼルス批評家賞
・ワシントン批評家賞
・フロリダ批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・ゴッサム賞
・独立系精神賞
・WGA(米脚本家組合賞)


<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <主題歌「This Is A Life」▼>


<茶一郎の解説▼>


<予告編▼>

  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック
    監督:ジョセフ・コジンスキー
    ※驚愕の完成度の高さを誇る骨太アクション系ドラマ。1986年の青春映画「トップガン」の続編。
    商業的にも評論的にも世界で最高の成功を収めた。幅広い世代を劇場に戻した功績は大きい。
    続きを開く▼

    中年男の成熟と苦悩

    実に36年ぶりの続編となった今作では、若者向けの青春ドラマだった1作目からストーリー性を大きく発展させた。
    中年になったトム・クルーズ演じる主人公の人間的な成熟ぶりや苦悩、若い世代との緊張関係や絆を丁寧に描く。アート系を好む玄人筋からも大絶賛を浴びた。脚色賞でのノミネート獲得は、一級ドラマとしても認知された証拠。

    劇場復活の立役者

    コロナ禍で米国の映画館は壊滅的な打撃を受けた。2021年暮れから「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で若者が劇場に殺到したが、中高年層は依然として足取りが重かった。
    多くの大作がコロナ終結に待ちきれずに「ネット配信直行」へと舵を切るなか、本作は映画館での上映にこだわり続け、何度も公開延期を重ねた。

    興行収入は歴代5位

    いざ公開されると、予想をはるかに上回る大ヒットとなり、米国内の興行収入はぶっち切りの年間1位。歴代でも5位となった。
    迫力満点の戦闘機の空中戦シーンは、IMAX(アイマックス)などの特殊スクリーンへの呼び水となった。
    ノミネート数:6個
    受賞数:1個
    受賞結果の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 音響賞
    ノミネート 作品賞
    脚色賞
    歌曲賞
     レディー・ガガ
    視覚効果賞
    編集賞
    配給:パラマウント
    プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズほか
    ■評点:ロッテン96%、IMDb8.3
    ■米興収:7億1800万ドル
    ■製作費:1億7000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会議(NBR)作品賞
    【配信:アマゾン
    動画集を開く▼ <挿入歌「Hold My Hand」▼>


    <テーマ曲▼>


    <トム・クルーズのPGA名誉賞スピーチ▼>


    <予告編▼>


    <初代トップガンの挿入歌▼>



  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし
    国:ドイツ
    監督:エドワード・ベルガー
    ※ドイツ語の戦争映画。Netflixの本年度イチオシ。1931年にアカデミー作品賞を受賞した同名のハリウッド映画を、原作小説の母国であるドイツの映画人たちがリメイク。
    続き▼ 第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。
    ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。
    ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。 英国アカデミー賞では、母国の有力作「イニシェリン島の精霊」を差しおいて作品賞など最多7冠に輝いた。
    ノミネート数:9個
    受賞数:4個
    受賞部門の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 国際映画賞
    撮影賞
    美術賞
    作曲賞
    ノミネート 作品賞
    脚色賞
    視覚効果賞
    音響賞
    メイク&ヘア賞
    配給:ネットフリックス
    ■評点:ロッテン90%、IMDb7.8
    ■製作費:2000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞 作品賞など7冠
    【配信:ネトフリ


  • 「イニシェリン島の精霊」
    イニシェリン島の精霊
    (日本公開:2023年1月27日)
    監督:マーティン・マクドナー
    ※田舎の島を舞台にした人間関係劇。男2人の友情の変化を描く。
    続き▼ 見る側に思索と強い余韻をもたらす大人のドラマとして称賛された。
    オスカー作品賞的な基準からするとやや陰鬱で、分かりやすいインパクトに欠けたか。ロッテントマト集計の批評家支持率は96%でトップガンと肩を並べたが、一般観客の支持率はそれほど高くなかった。
    オスカーに強い配給会社サーチライトの本年度イチオシ。
    「スリー・ビルホード」(2017年)で作品賞の最有力候補の一角を占めながら「シェイプ・オブ・ウォーター」に敗れたマーティン・マクドナー監督の5年ぶり新作。
    ノミネート数:9個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演男優賞
     コリン・ファレル
    助演男優賞
     ブレンダン・グリーソン
    助演男優賞
     バリー・キオガン
    助演女優賞
     ケリー・コンドン
    脚本賞
    作曲賞
    編集賞
    配給:サーチライト
    ■評点:ロッテン96%、IMDb7.8
    ■米興収:1000万ドル
    ■製作費:2000万ドル
    【前哨戦での受賞】▼ ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    ・シカゴ批評家賞
    ・フェニックス批評家賞


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    (日本公開:2023年3月3日)
    監督:スティーブン・スピルバーグ
    ※巨匠・スピルバーグ監督の自伝的ドラマ。 映画愛に目覚めた少年が、8ミリカメラを手に異才を発揮。映像の魔力や危うさに気づく。
    続き▼ 両親との絆や複雑な家庭内事情が赤裸々に描かれる。成功物語や温かい美談に仕立てるのでなく、過去と向き合いながら映画の本質に迫る視点が称賛された。
    前哨戦の第一弾となるトロント国際映画祭で勝利したが、その後勢いが弱まった。興行成績は期待外れ。 ただ、オスカーで票を握る映画人からは幅広く共感を得やすいと予想された。
    ノミネート数:7個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演女優賞
     ミシェル・ウィリアムズ
    助演男優賞
     ジャド・ハーシュ
    脚本賞
    作曲賞
    美術賞
    配給:ユニバーサル
    プロデューサー:スピルバーグほか
    ■評点:ロッテン92%、IMDb7.7
    ■米興収:1700万ドル
    ■製作費:4000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・トロント国際映画祭 観客賞


  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    監督:バズ・ラーマン
    ※米国史上最強のロック歌手エルビス・プレスリーの伝説の裏側を映画化。監督は「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン。 可憐でゴージャスな演出とダイナミックな語り口が高評価を得た。
    続き▼ エルビスを食い物にしたと言われるマネージャー(トム・ハンクス)が、過去を振り返る形で綴る壮絶なドラマ。主演オースティン・バトラーがエルビスを見事に熱演・熱唱し、大ブレイクした。
    日本ではあまり売れなかったが、米国ではロングランの大ヒットを記録。
    ノミネート数:8個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     オースティン・バトラー
    編集賞
    撮影賞
    美術賞
    音響賞
    衣装デザイン賞
    メイク&ヘア賞
    配給:ワーナー
    ■評点:ロッテン77%、IMDb7.4
    ■米興収:1億5100万ドル
    ■製作費:8500万ドル
    【配信:アマゾン


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)
    (日本公開:2023年5月12日)
    監督:トッド・フィールド
    ノミネート数:6個
    受賞数:0個
    候補部門▼ ・作品賞
    ・監督賞
    ・脚本賞
    ・主演女優賞
    ・撮影賞
    ・編集賞
    ※作家性では本年度トップ級との評価を得た。サイコスリラー的な要素を兼ねた心理サスペンス。ケイト・ブランシェットが演じる世界トップ級のオーケストラ指揮者(架空の人物)の横暴ぶりと、その顛末を描く。
    続き▼ 秀作「リトル・チルドレン」(2006年)のトッド・フィールド監督の16年ぶりの新作。緻密な構成の下、予測し難い物語進行や奥行きのある人物設定により、観客を次々と驚きや発見へと導く。強烈な印象を残すシーンの連続で、完成度の高さはピカイチ。
    主人公の深層心理や行動原理を分析する「人物研究(キャラクター・スタディ)」として高評価を得た。また、クラシック音楽の難解で特異な世界を詳細に描写。パワハラ問題やキャンセル・カルチャーなどの現代的なテーマも巧みにとらえた。
    何といっても、ケイト・ブランシェットの演技が壮絶。孤高で残酷で才能に満ち溢れた人物を、異次元レベルの表現力で造形した。
    賞レースでは、ベネチア国際映画祭から参戦。好評だったが、最高賞(金獅子賞)や審査員賞などを逃し、脚本賞も「イニシェリン島の精霊」にもっていかれた。女優賞(ケイト・ブランシェット)は獲った。
    その後、権威の高い「ニューヨーク批評家賞」で作品賞に輝いた。「ロサンゼルス批評家賞」では、「エブリシング・エブリウェア」と同点で作品賞を獲った。 前年の日本映画「ドライブ・マイ・カー」のように、芸術性が重視される主要要で好成績を収めた。
    オスカーではエブエブ旋風に押され、無冠に終わった。
    配給:フォーカス
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.5
    ■米興収:677万ドル
    ■製作費:1500万ドル
    【前哨戦での受賞】▼ ・全米映画批評家協会賞(NSFC)作品賞
    ・ニューヨーク批評家賞 作品賞
    ・ロサンゼルス批評家賞 作品賞(エブエブと同点)
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <町山智浩の解説▼>



  • 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
    アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
    監督:ジェームズ・キャメロン
    ※圧倒的な映像美が魅力の超々大作。映画史上最も売れた前作「アバター」(2009年)の世界観と特撮技術を発展させ、水の中の神秘的な立体映像を表現するなど、再び劇場体験の新境地を拓いた。
    続き▼ ハリウッド映画を次々と上映禁止にしていた中国でも劇場公開にこぎつけたことで、世界興行収入ではトップガン マーヴェリックを抜いて本年度1位になった。
    初代アバターは2010年のオスカーで作品賞、監督賞を含む9部門にノミネート。このうち視覚効果、撮影、美術の3部門を受賞した。今作「2」は作品賞のほか、視覚効果、音響、美術でノミネートされたが、監督賞での候補入りを逃した。
    ノミネート数:4個
    受賞数:1個
    受賞部門の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 視覚効果賞
    ノミネート 作品賞
    音響賞
    美術賞
    配給:20世紀
    ■評点:ロッテン77%、IMDb7.9
    ■米興収:6億6000万ドル
    ■製作費:4億ドル


  • 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
    ウーマン・トーキング 私たちの選択
    (日本公開:2023年6月2日
    監督:サラ・ポーリー
    ※「アウェイ・フロム・ハー君を想う」のサラ・ポーリー監督(女優出身)による会話劇。女性パワーの結集がテーマ。脚色賞を受賞。実力派の俳優陣によるアンサンブル演技も称賛された。
    続き▼ 閉鎖的なキリスト教系団体が営む共同体の村で、女性信者たちが次々とレイプ被害を受けていた。 犯人たちが逮捕された後、村の女性たちには3つの選択肢が残された。 男たちへの反抗か、赦しを与えるのか、それとも――。

    原作小説は、実際に起きた事件から着想を得た。 2000年代に南米ボリビアで起きた連続レイプ事件。 「メノナイト」という古い宗派が運営する自給自足の村で、少なくとも151人が強姦された。被害者の年齢は3歳~65歳。

    加害者は同じ集落に住む男たち9人以上。 動物要の麻酔を使って女性の意識を失わさせるという極めて悪質な犯行だった。 7人が懲役25年の有罪判決を受けた。

    大女優であり、社会派の有力プロデューサーでもあるフランシス・マクドーマンドが、原作小説の映画化権を獲得した。 そして、16歳の時に自ら性的暴行を受けたことがある女優出身のサラ・ポーリーが脚本を執筆。監督も引き受けた。

    女性8人が狭い納屋に集まって2日間にわたって会話する、という地味な設定。 作風も静かだが、力強さがあふれる一作として評論家や映画ファンから喝采を浴びた。 巨額予算が投入された「バビロン」などメジャースタジオの豪華エンタメ作品を抑え、堂々の作品賞ノミネート入りを果たした。
    ノミネート数:2個
    受賞数:1個(脚色賞)
    配給:UA(アマゾン系)
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.1
    ■米興収:545万ドル


  • 「逆転のトライアングル」
    逆転のトライアングル
    (日本公開:2023年2月23日)
    国:スウェーデン、独、仏、英
    監督:リューベン・オストルンド
    ※皮肉に満ちた欧州映画。ブルジョワ風刺劇。
    前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」でオスカー国際映画賞(2018年)を受賞したスウェーデン人のオストルンド監督による初の英語作品。従来作より娯楽色を強めた。
    カンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)を獲得。オストルンド監督にとって2作品連続のパルムドールとなった。その後、米国の賞レースでも目立った受賞はなかったが、オスカーで作品賞、監督賞、脚本賞のノミネートを果たし、サプライズとなった。
    あらすじ(ネタバレ有)を開く▼ セレブが乗る豪華客船がクルーズ中に無人島に難破する。乗客・乗員によるサバイバル・ゲームがスタート。船内で掃除係だった中年女性が、食糧調達などのスキルを活かして、集団内秩序のトップに立つという逆転現象が起こる。
    ノミネート数:3個
    受賞数:0個
    候補部門▼ ・作品賞
    ・監督賞
    ・脚本賞
    ■評点:ロッテン72%、IMDb7.5
    ■米興収:450万ドル
    ■製作費:1600万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・カンヌ国際映画祭 作品賞(パルムドール)


歴代の作品賞→

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監督賞 ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ダニエルズ

30代半ばの精鋭コンビ。本作がコンビとして長編2作目。

多次元宇宙(マルチバース)、カンフーアクション、家族劇、哲学論など数々の要素がてんこ盛りになった重層的かつ壮大なストーリーを、一本筋の通った娯楽作に仕上げた。

古今東西の様々な映画文化を取り入れつつ、唯一無二の映像体験を実現した手腕は見事。

ベテラン俳優の起用で成功

ベテラン俳優3人(ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス)を起用し、そろって初のオスカーへと導いた功績も大きい。その千里眼とハイセンスな演出力については、映画界の重鎮たちも舌を巻いた。

台湾系&ゴジラファン

2人組のうち、ダニエル・クワンは中華系アメリカ人で米東部マサチューセッツ州出身。本作の登場人物(娘役)と同じようにアジア系移民2世(母親が台湾出身)。フェイバリット映画は「エターナル・サンシャイン」(2004年)。

一方、 ダニエル・シャイナートは南部アラバマ州の出身。中流家庭で育った。子供のころゴジラの映画に熱中。兄(現在ゲーム・デザイナー)が仲間と自主制作した映像作品に触発され、映画監督への道を志したという。

音楽ビデオで成功し、映画へ

2人はボストンの大学で映画を学んでいるときに出会った。卒業後、監督デュオとして音楽アーティストのビデオを手掛け、グラミー賞に2度ノミネートされた。
続き▼ その後、映画に参入し、「スイス・アーミー・マン」(2016年)でデビュー。サンダンス映画祭の監督賞などの賞に輝き、期待の新人として注目を浴びた。

映画的知性の高さ

若手とはいえ、かつてサム・メンデス監督がデビュー作「アメリカン・ビューティー」で作品賞と監督賞をダブル受賞した年齢(35歳)と変わらない。むしろ、若者らしからぬ地に足のついた言動と映画的知性の高さは、愛嬌のあるオタクキャラと相まって、広範囲な支持をもたらした。

【前哨戦での受賞(監督部門)】
・クリティック・チョイス賞
・DGA(米監督組合賞)
その他▼ ・アトランタ批評家賞
・ワシントン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


  • スティーブン・スピルバーグ
    「フェイブルマンズ」
    スティーブン・スピルバーグ
    ※監督歴50年。巨匠の中の巨匠であり、現代最強の映画人。今作では、自らの少年期を題材に、「映画愛」「親子関係」という原点に立ち返った。監督賞ノミネートは今回で9度目(2年連続)。このうち、1994年「シンドラーのリスト」、1999年「プライベート・ライアン」で受賞を果たしている。76歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • トッド・フィールド
    「TAR(ター)」
    トッド・フィールド
    打率の高い寡作の監督(兼俳優)。16年ぶりに撮った長編3作目で、3本連続でのノミネートを果たした。
    続き▼ 長編1作目「イン・ザ・ベッドルーム」は作品賞と脚色賞の候補に。2作目「リトル・チルドレン」も脚色賞候補に。初めてオリジナル脚本で臨んだ今作では作品賞、監督賞、脚本賞の3部門ノミネートとなった。
    【前哨戦での受賞】
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・ボストン批評家賞


  • マーティン・マクドナー
    「イニシェリン島の精霊」
    マーティン・マクドナー
    ※自らのルーツであるアイルランドを舞台に、ユニークだが普遍性の高い会話劇を創造した。 俳優たちの熟された演技や撮影場所の風景・空気感の魅力を最大限に引き出した手腕も評価された。
    続き▼ 英国の演劇作家出身。映画界に入って初期の短編で、オスカー(短編実写映画賞、2006年)を受賞した経歴がある。長編1作目「ヒットマンズ・レクイエム」では脚本賞ノミネート。前作「スリー・ビルホード」では作品賞と脚本賞の候補に。長編4作目となる今作では作品、監督、脚本での3部門ノミネートを果たした。52歳。


  • リューベン・オストルンド
    「逆転のトライアングル」
    リューベン・オストルンド
    ※2作連続でのカンヌ最高賞(パルムドール)をひっさげてオスカーレースに参戦し、作品賞と監督賞の2部門ノミネートを果たした。
    続き▼ 監督賞では近年、ノミネート5枠のうちの少なくとも1つに非英語圏の監督が入ることが多いが、前年の濱口竜介監督に続いたのは、「西部戦線異状なし」のエドワード・ベルガー監督(ドイツ)や「別れる決心」のパク・チャヌク監督(監督)ではなく、スウェーデン人のオストルンド監督だった。48歳。前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」ではオスカー国際映画賞に輝いている。


歴代の監督賞→

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主演男優賞 ブレンダン・フレイザー

「ザ・ホエール」

ブレンダン・フレイザー

過食で体重270キロになった中年教師を演じた。54歳で演技派としての見事なカムバック。

かつて冒険アクション大作「ハムナプトラ」3部作(1999年~2008年)の主人公として大成功を収めた。オスカー作品賞「クラッシュ」でも渋い脇役を演じた。 しかし、その後、うつ病や離婚などが重なり活動が停滞。ハリウッド映画界の第一線から遠ざかった。

2021年に出演した「クライム・ゲーム」(スティーヴン・ソダバーグ監督)は批評家に好評だったが、話題にならなかった。

状況が激変したのは、2022年9月のベネチア国際映画祭。本作「ザ・ホエール」が出品されると、鬱積した感情を抱える中年ならではの演技に称賛の声が集まった。 その後の賞レースでは、若手オースティン・バトラーらと一進一退の星取ゲームを展開した。
続き▼ フレイザーがかつて主催団体トップによるセクハラ問題を告発したゴールデングローブ賞では、バトラーに敗れた。しかし、重要度が高いクリティック・チョイス賞とSAGアワードでは勝利し、米国内での支持の厚さを示した。

迎えたオスカーでは、同じくカムバック劇が話題となった助演男優賞のキー・ホイ・クァンとともに、栄冠を手にした。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・クリティック・チョイス賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


  • オースティン・バトラー
    「エルヴィス」
    オースティン・バトラー
    ※史上最強のロック歌手エルヴィス・プレスリーになりきった。それまでの脇役中心のキャリアをふまえると大抜擢だったが、見事に期待にこたえた。とりわけライブシーンの身のこなしは圧巻。
    続き▼ 若年期エルヴィスの歌唱場面は、リップシンクでなく自ら唄ったという(後期は本物のエルヴィスとの混成)。
    音楽アーティストの自伝ものとしては、「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキュリーに扮したラミ・マレックに匹敵する高評価を得た。実在の著名人を再現する演技はオスカーで有利だが、芸歴の若さが響いたかも。31歳。
    ・英国アカデミー賞
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    【配信:アマゾン
    動画集を開く▼ <歌唱シーン「トラブル」▼>


    <歌唱シーン「If I Can Dream」▼>



  • コリン・ファレル
    「イニシェリン島の精霊」
    コリン・ファレル
    ※田舎に暮らす素朴なおじさんを演じた。親友に突然絶交された男の戸惑いと、感情の変化を巧みに表現した。かつての「やんちゃなプレイボーイ」の面影はすっかり消え、演技派への成熟ぶりを印象付けた。
    続き▼ 派手さはないが、物語に説得力をもたらす抜群の演技で、評論家が選ぶ前哨戦での勝率は断トツ1位だった。本年度は「ザ・バットマン」「13人の命」「アフター・ヤン」でも名演を見せ、トータルの活躍ぶりは抜群。46歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア映画祭
    ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    その他▼ ・米国映画評議会議(NBR)
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ポール・メスカル
    「アフターサン」
    ポール・メスカル
    ※アイルランド出身の27歳。
    続き▼ 2021年の「ロスト・ドーター」で、脇役として長編映画に初出演した。2作目となる本作は、シャーロット・ウェルズ監督が賞レースの新人監督賞を総なめにして話題となり、初主演となったメスカルも「本年度最もブレイクした俳優」として注目された。
    ・トロント批評家賞


  • ビル・ナイ
    「生きる LIVING」
    ビル・ナイ
    ※巨匠・黒澤明監督「生きる」のリメイク。日本では配給会社の東宝が「アカデミー賞最有力!」と派手に宣伝し、当サイト選定の誇大広告賞の歴代トップに。
    ・ロサンゼルス批評家賞批評家賞


歴代の主演男優賞→

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主演女優賞 ミシェル・ヨー

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ミシェル・ヨー

アジア人として史上初の主演女優賞の受賞となった。非白人としては、2002年のハリ・ベリーに続いて史上2人目。

総決算の多面キャラ

異色のインディーSFを大成功へと導いた立役者。
幾多もの異次元宇宙を転々とし、それぞれの世界での「別の自分」を表現した。庶民からセレブ女優、カンフー格闘家、料理人まで、その多面的なキャラ変容は、まさに長いキャリアの総決算。娘や夫への感情表現や、未知なる世界との遭遇で見せる戸惑いと覚醒反応も、本作の魅力を格段に高めた。

香港アクション界からハリウッドへ

1962年マレーシア生まれ。中華系。 1980年代から香港のアクション映画界で大活躍。「ポリス・ストーリー3」でジャッキー・チェンとの見事な格闘コンビを見せ、世界から注目を集めた。

1997年の「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」でボンドガール役を務め、ハリウッドに進出。

「グリーン・デスティニー」で英国アカデミー賞候補に

台湾・米国などの合作「グリーン・デスティニー」(2001年オスカー作品賞候補)の大成功によって、アジア系を代表する名女優として認知され、英国アカデミー賞にもノミネートされた。

近年は、大ヒットコメディ「クレイジー・リッチ」(2018年)やマーベル映画を通じて若い世代にもお馴染み。

現場のリーダー役

本作では、破天荒な脚本のポテンシャルにいち早く気づき、エグゼクティブ・プロデューサーの一人に名をつらねた。
続き▼ 撮影現場では、アジアとハリウッドの映画界での豊富な経験を活かして若い監督に有益な助言を与えるなど、チームを引っ張ったという。

候補入りは2人目

アジア系の主演女優賞ノミネートは、1936年のマール・オベロンに続き史上2人目だった。
本選では当初、ケイト・ブランシェットのほうが有利と予想されていたが、「エブエブ」ブームの白熱化とともに支持が拡大。 前哨戦の天王山となるSAGアワードを制し、その勢いに乗って大一番をものにした。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・米国映画評議会議(NBR)
その他▼ ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
・ボストン批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <歴代の格闘シーン集▼>


<SAGの受賞スピーチ▼>

  • ケイト・ブランシェット
    「TAR(ター)」
    ケイト・ブランシェット
    ※過去に7度オスカーにノミネートされ2度受賞。今回の演技はキャリアベスト級と称賛されている。レズビアンの天才指揮者を演じた。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・ベネチア映画祭 女優賞
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ミシェル・ウィリアムズ
    「フェイブルマンズ」
    ミシェル・ウィリアムズ
    ※5度目のノミネート。スピルバーグ監督をモデルにした主人公の母親役を演じた。「助演」かと思われたが、「主演」枠で賞レースに参戦した。


  • アナ・デ・アルマス
    「ブロンド」
    アナ・デ・アルマス
    ※マリリン・モンローを題材にしたNetflix映画。作品自体は酷評されたが、演技は称賛された。キューバ出身。「ナイブズ・アウト1」で称賛され、007のボンドガールに。


  • アンドレア・ライズボロー
    「トゥ・レスリー(To Leslie)」
    アンドレア・ライズボロー
    ※アルコール中毒の母親を演じた。映画自体はほぼ無名だったが、作品を見た俳優仲間たちが自発的な口コミキャンペーンを展開。今年度のオスカーで全部門を通じて最もサプライズな候補入りとなった。イギリス人。41歳。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の脇役などで知られる。


歴代の主演女優賞→

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助演男優賞 キー・ホイ・クァン

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

キー・ホイ・クァン

「グーニーズ」「インディ・ジョーンズ2~魔宮の伝説」で世界的に有名になったアジア系子役が、20年ぶりに俳優業に復帰。ハリウッドに旋風を巻き起こした。

人情味とクールさのギャップ

気弱で頼りない中年男性から、地球を救う戦士、ダンディー伊達男などへと変貌する役柄。 コミカルな立ち振る舞い、キレのある格闘技アクション、心を打つ愛情表現により、観客の心をつかんだ。

ベトナム移民

ベトナム生まれの51歳。名前の正確な発音はキー・フイ・クァン。子役時代の芸名なジョナサン・キー。中華系。
4歳だった1975年、混乱期のベトナムからボートで逃れ、香港の難民キャンプに1年滞在。米国へ移住した。

配役がなく裏方に

10代前半でハリウッドスターに。しかし、アジア系向けの配役が少なかったこともあり、俳優の仕事に恵まれず、小さなオーディションにも落ちまくったという。
続き▼

技術を磨き続ける

それでも映画への情熱を捨てきれず、大学で映画学を専攻し、卒業後は裏方の仕事に従事した。カンフーなどの技術も磨き、スタント指導者や撮影現場の通訳、助監督として食いつないだ。 そんな元スターに、若き監督が目をつけ、うってつけの役をオファーした。

愛されキャラ

前哨戦で独走。一連の授賞式での感動的なスピーチは、世界の映画ファンを泣かせた。飾らずに喜怒哀楽を表わす「愛されキャラ」ぶりにも注目が集まり、本年度賞レースの好感度ナンバー1に。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード
・クリティック・チョイス賞
・NY批評家賞
その他▼ ・ゴールデングローブ賞
・ロサンゼルス批評家賞
・全米映画批評家協会賞(NSFC)
・ボストン批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ワシントン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・ゴッサム賞

<受賞スピーチ▼>


<受賞後の会見▼>


動画集を開く▼ <格闘シーン▼>


<子役時代▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>

  • バリー・キオガン
    「イニシェリン島の精霊」
    バリー・キオガン
    ・英国アカデミー賞


  • ブレンダン・グリーソン
    「イニシェリン島の精霊」
    ブレンダン・グリーソン
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • ジャド・ハーシュ
    「フェイブルマンズ」
    ジャド・ハーシュ
    ※主人公の少年に教訓を説く親戚役。短い出演時間ながらキーパーソンとして強烈な印象を残した。「普通の人々」以来42年ぶりノミネート。


  • ブライアン・タイリー・ヘンリー
    「その道の向こうに」
    ブライアン・タイリー・ヘンリー


歴代の助演男優賞→

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助演女優賞 ジェイミー・リー・カーティス

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ジェイミー・リー・カーティス

税務署の職員をコミカルに演じた。主演ミシェル・ヨーのカウンター役として独特な存在感を発揮。笑いと泣きのシーンに厚みをもたせ、娯楽性を高めた。

ホラー映画の金字塔「ハロウィン」(1978年)で女子高生役として銀幕デビューして以来、ホラーやコメディで活躍を続けてきた。今回初のオスカーノミネートを果たした。

賞レースでは、エブエブ組のチアリーダーとして陣営を大いに盛り上げた。64歳。両親ともに俳優の生粋ハリウッド人。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・ネバダ批評家賞

<受賞スピーチ▼>


<SAGの受賞スピーチ▼>


  • アンジェラ・バセット
    「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
    アンジェラ・バセット
    ※映画「TINA」(1993年)で大物歌手ティナ・ターナーを演じて主演女優賞にノミネートされて以来、29年ぶりの候補入りを果たした。
    続き▼ この間、「マルコムX」「ボーイズン・ザ・フッド」「ノトーリアス・B.I.G」など重要な黒人映画に出演し、ハリウッドの多様性を支えてきた。初代「ブラックパンサー」では主人公(チャドウィック・ボーズマン)の母親役に。ボーズマン亡き後の続編となった今作では、王国を率いる女王役として申し分のない貫禄と存在感を発揮した。マーベル映画として初めての俳優部門ノミネート。64歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・ハリウッド批評家賞


  • ケリー・コンドン
    「イニシェリン島の精霊」
    ケリー・コンドン
    ※主人公の妹を演じた。田舎の島で同居の兄を優しく支えながら、聡明さをにじませるキャラクター。マーティン・マクドナー監督とは、18歳のときに舞台演劇に出演して以来の仕事仲間。アイルランド人。40歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ボストン批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ステファニー・シュー
    「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
    ステファニー・シュー
    ※虚無主義を提唱する特異なキャラクターをシニカルに表現し、見せ場をつくった。移民2世の人物像をリアルに好演。若者からカルト的な支持を集めた。32歳。主にテレビや舞台で活躍した後、本作で大ブレイクした。母親が台湾からの移民。


  • ホン・チャウ
    「ザ・ホエール」
    ホン・チャウ
    ※引きこもりの主人公(ブレンダン・フレイザー)が唯一心を許す友人を演じた。ベトナム系。難民キャンプで生まれ、家族で米国に移住した。「ダウンサイズ」(2017年)でSAG助演女優賞ノミネート。43歳。


歴代の受賞者(助演女優賞)→

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脚本賞 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

脚本:ダニエルズ(兼監督)

2人の監督の頭の中から生まれた独創的アイデアの脚本。「家族」をめぐる日常的な話題を、多元宇宙(マルチバース)を舞台とする戦いに置き換え、娯楽性の高いストーリーとして成立させた。奇抜でめまぐるしい展開ながら、最後は本筋のテーマへと観客をひきこみ、心を動かす。英語と中国語の多言語脚本。

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・ワシントン批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・WGA(米脚本家組合賞)
  • 「イニシェリン島の精霊」
    イニシェリン島の精霊
    脚本:マーチン・マクドナー(兼監督)
    ※舞台出身のマクドナー監督らしい会話劇
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア国際映画祭 脚本賞
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・米国映画評議会議(NBR)
    ・ボストン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)
    脚本:トッド・フィールド(兼監督)
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    脚本:スティーブン・スピルバーグ(兼監督)&トニー・クシュナー


  • 「逆転のトライアングル」
    逆転のトライアングル
    脚本:リューベン・オストルンド(兼監督)


歴代の脚本賞→

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脚色賞 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

ウーマン・トーキング 私たちの選択

脚本:サラ・ポーリー

※カナダの女性作家による2018年の同名小説を、サラ・ポーリー監督が脚色した。原作小説は、南米ボリビアで起きた連続女性暴行事件から着想を得ているという。

女性パワーの結集がテーマとなっている。

サラ・ポーリー監督は「アウェイ・フロム・ハー君を想う」(2006年)でも脚色賞にノミネートされており、今回2度目のオスカー候補入りとなった。作品賞とのダブルノミネート。

44歳。カナダ人。もともとは人気俳優だったが、現在は監督・脚本業に専念している。ハリウッドにおける性差別問題を俳優引退の理由の一つに挙げている。熱心な活動家としても知られる。

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・WGA(米脚本家組合賞)
  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし
    脚本:イアン・ストーケル、レスリー・パターソン
    国:ドイツ
    ・英国アカデミー賞
    【配信:ネトフリ


  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック
    脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー


  • 「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」
    ナイブズ・アウト:グラスオニオン
    脚本:ライアン・ジョンソン
    ・ワシントン批評家賞
    【配信:ネトフリ


  • 「生きる LIVING」
    生きる LIVING
    脚本:カズオ・イシグロ
    ※東宝が「アカデミー賞最有力」という大胆な広告を打ち、当サイトが選ぶ「誇大広告賞」を受賞。歴代トップの誇大ぶりだった。


歴代の脚色賞→

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アニメ賞 「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ

【配信:ネトフリ

「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)でオスカー作品賞を受賞した鬼才ギレルモ・デル・トロによる最新版ピノキオ。ミュージカル。Netflixにとって初の長編アニメ賞となった。

ストップモーション・アニメ

嘘をつくと鼻がのびる木の人形の冒険物語。人形や物体を少しずつ動かしながら撮影していく「ストップモーション・アニメ」の手法を用いた。独特な作風と完成度の高さが絶賛された。

中止の危機をネトフリが救う

トロ監督の個人的な情熱によってプロジェクトがスタート。何度も中止寸前に追い込まれたが、Netflixが資金を提供したことで製作にこぎつけた。

ジブリの影響

日本の怪獣やアニメなどをこよなく愛するトロ監督だが、本作をつくるにあたっては、ジブリのアニメ作品を意識したという。

配給:Netflix
制作:Netflixアニメーションほか

<前哨戦>
・クリティック・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・アニー賞
・シカゴ批評家賞
・ゴールデングローブ賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
  • 「マルセル 靴をはいた小さな貝」
    Marcel the Shell with Shoes On
    ※インディー映画。ロッテン・トマトの批評家支持率98%で年間トップ級。しゃべる貝殻であるマーセルが、はぐれた家族を探す。心温まる系。
    配給:A24
    【前哨戦での受賞】
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・米国映画評議会議(NBR)
    ・アニー賞 独立系アニメ賞
    ・ハリウッド批評家賞 独立系映画賞


  • 「私ときどきレッサーパンダ」
    私ときどきレッサーパンダ
    【ピクサー】
    ※ポップな成長物語。主人公はカナダのトロントに住むアジア系少女(13歳)。友たちとオタク活動に励む一方で、厳格な親が敷いたレールに乗っかり、本当の自分を抑えている。ある日突然、レッサーパンダに変身する。舞台は2002年。日本のアニメへのオマージュがたっぷり。
    ・フロリダ批評家賞
    ・トロント批評家賞
    【配信:ディズニープラス


  • 「長ぐつをはいたネコと9つの命」
    長ぐつをはいたネコと9つの命
    【ドリームワークス】
    (日本公開:2023年3月17日)
    ※「シュレック」シリーズから派生した物語。2011年の「長ぐつをはいたネコ」の続編。命が9つある猫プスが主人公。冒険を重ねて8回死んでしまい、残りは1回に。


  • 「ジェイコブと海の怪物」
    ジェイコブと海の怪物
    【Netflix】
    ※怪物を退治しようとする船乗りと、1人の少女の冒険を描く。水や怪物の質感の表現が称賛された。
    【配信:ネトフリ


歴代のアニメ賞→

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国際映画賞 「西部戦線異状なし」

西部戦線異状なし

 国:ドイツ

ドイツ語の戦争映画。原作はドイツ生まれの作家エリッヒ・レマルクが1929年に出版したベストセラー小説。

ハリウッドのスタジオが92年前にも映画化しており、そのときはアカデミー作品賞(1931年)を受賞した。 今回、小説の母国ドイツでの初の映画化となった。第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。

ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕(ざんごう)での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。

ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。

前年の「ドライブ・マイ・カー」(日本)のように、作品賞と国際映画賞のダブルノミネートを果たした。技術部門でも票を集め、計9部門での候補入り。このうち4部門で受賞した。 外国語映画として異例の強さを見せた。Netflixの本年度イチオシだった。

監督:エドワード・ベルガー

配給:ネットフリックス

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞 非英語作品賞

【配信:ネトフリ
  • 「アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判」
     国:アルゼンチン
    アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判
    ※法廷ドラマ。南米アルゼンチンで軍事政権が終了した2年後の1985年、2人の弁護士が軍政による犯罪の追及に動く。
    (サンティアゴ・ミトレ監督)
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞 非英語作品賞
    ・ベネチア国際映画祭 国際映画批評家連盟賞
    【配信:アマゾン


  • 「CLOSE/クロース」
     国:ベルギー
    Close
    ※少年2人の友情の行方
    監督:ルーカス・ドン
    (日本公開:2023年7月14日)
    ・カンヌ国際映画祭グランプリ(2位)
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • 「EO イーオー」
     国:ポーランド
    EO
    ※主人公は一匹のロバ。活躍していたサーカス団から外の世界へ。
    (日本公開:2023年5月5日)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    (イエジー・スコリモフスキ監督)


  • 「クワイエット・ガール(The Quiet Girl)」
     国:アイルランド
    クワイエット・ガール
    ※アイルランドの田舎の9歳の少女が主人公。貧しいのに子供が次々にできる大家族の末っ子。夏休みの間、おばの家に預けられる。


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ドキュメンタリ賞 「ナワリヌイ」

ナワリヌイ

(日本公開:2022年6月)

ロシアのプーチン政権を批判し、毒殺未遂で死にかけた弁護士アレクセイ・ナワリヌイ氏(46歳)の記録。

プーチン政権による毒殺未遂

プーチン政権による毒殺計画は、2020年にロシア上空の旅客機内で実行された。何者かに毒をもられたナワリヌイは昏睡状態に陥り、飛行機は緊急着陸。病院に搬送された。

カメラがとられた犯人特定の瞬間

そこから、本作の取材班が密着する。移送先のドイツの病院で意識を取り戻したナワリヌイは、犯人の特定へと動き出す。

旅客機の搭乗者名簿など数々のデータを手掛かりに、実行犯グループと思われる人物たちを割り出し、直接電話をかけて真相究明を図る。果敢な行動の一部始終をカメラがとらえた。

命の危険にさらされながら

スパイ映画のような緊迫感と臨場感。命の危険にさらされながらもユーモアと笑顔を失わず前に進もうとするナワリヌイと、彼を支える家族やプロフェッショナルな仲間たちの姿が胸を打つ。

監督はカナダ人のダニエル・ロアー(30歳)。日本でも劇場公開された「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」(2019年)で称賛された。

授賞式に妻が登壇

オスカー授賞式では、監督らとともにナワリヌイ氏の妻が登壇。ロシアの刑務所に投獄されている夫の身の安全の確保を訴えた。

【前哨戦での受賞】
・PGA(全米プロデューサー組合賞)
・英国アカデミー賞
・サンダンス映画祭フェイバリット賞

【配信:アマゾン

<予告編▼>


<監督とナワリヌイ氏の妻ユリア氏の受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <日テレのニュース▼>


<町山智浩の解説▼>

  • 「オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド(All the Beauty and the Bloodshed)」
    オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド
    監督:ローラ・ポイトラス
    ※ポイトラス監督(女性)は「シチズンフォー スノーデンの暴露」で有名。同作で2015年オスカーを受賞している。 今作では、米国の著名な女性写真家ナン・ゴールディンの仕事ぶりを追った。
    続き▼ ゴールディンは社会の不正を追及してきた社会派フォトジャーナリストとして尊敬されている。主たる題材となるのは、ゴールディンが告発した富豪サックラー家の没落。米国の麻薬系鎮痛薬(オピオイド)危機を招いた製薬会社のオーナー一族の悪行があぶり出される。ベネチア国際映画祭において、作品賞を受賞した。ドキュメンタリー映画として史上初の快挙だった。
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア国際映画祭 作品賞(ドキュメンタリーとして史上初)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・フロリダ批評家賞


  • 「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」
    ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦
    ※フランス火山学者の夫婦の実録。調査・研究のためのデータや映像を残すために、噴火中の火山に突っ込んでいく。日本の火山にも挑む。2人の愛情物語でもある。
    【配信:ディズニープラス


  • 「オール・ザット・ブリーズ(All That Breathes)」
    All That Breathes
    ※ニューデリーの兄弟が、公害による汚染でダメージを負った鳥(トビ)たちを救う。
    製作国:インド、英、米
    言語:ヒンドゥー語
    【前哨戦での受賞】
    ・サンダンス映画祭 ドキュメンタリー賞


  • 「ハウス・メイド・オブ・スプリンターズ(A House Made of Splinters)」
    A House Made of Splinters
    ※ウクライナの保護施設の子供たちと、子供たちを守ろうとする大人たちの記録。
    製作国:ウクライナ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド
    言語:ウクライナ語、ロシア語
    【前哨戦での受賞】
    ・サンダンス映画祭 ドキュメンタリー監督賞
    予告編


歴代のドキュメンタリー賞→

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 ※2023年の全部門を見る→

2022年(第94回)

( 23年↑ | 22年 | 21年↓

  • ■ 作品賞:
    「コーダ あいのうた」
  • ■ 最多受賞:
    「DUNE/デューン 砂の惑星」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(11部門12個)

日本映画「ドライブ・マイ・カー」が作品賞など4部門ノミネート

日本映画「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)が作品賞、監督賞、脚色賞、国際映画賞の4部門でノミネートされ、このうち国際映画賞を受賞しました。 作品賞ノミネートは邦画として史上初めて。脚色賞ノミネートも史上初でした。
作品賞は、前哨戦で圧倒的な強さを見せていた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が敗れ、「コーダ あいのうた」が受賞しました。

作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞脚本賞脚色賞国際映画賞アニメ賞

( 23年↑ | 22年 | 21年↓

2022年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「コーダ あいのうた」

コーダ あいのうた

【配信:アマゾン

監督:シアン・ヘダー

涙と笑いあふれる感動作。漁師一家の中でただ1人耳が聞こえる女子高生を主人公に、家族の絆や成長を描く。

2014年のフランス映画のリメイクながら、米国らしい陽気でエネルギッシュな脚色・演出により、突き抜けた一本になった。 コロナ禍で多くの人が辛い目にあっていた時代。温かみのあるストーリーが支持された。

役者たちの演技も絶賛された。主人公の家族のろう者3人は、いずれも聴覚にハンディのある俳優が演じた。

独立系(インデペンデント)の作品であり、当初は有力視されていなかった。 しかし、作品の知名度が高まるにつれて応援ムードが盛り上がり、前哨戦の終盤で急浮上。 大本命「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を破った。
続きを開く▼▼
<投票方式が有利に>
前哨戦で圧倒的に強かったパワー・オブ・ザ・ドッグは、芸術性は高いものの、好き嫌いが分かれる傾向にあった。

候補作10本に順位を付けさせる独特な投票方式が、「みんなに好かれる映画(嫌われない映画)」の典型といえる本作に有利に働いたようだ。

アート系の「ROMA/ローマ」が、大衆系の「グリーンブック」に敗れた2019年と類似する結末といえる。

<サンダンス映画祭>
本作の製作費は11億で、オスカー受賞映画としてはかなり小規模だった。(それでも前年の作品賞の「ノマドランド」の2倍ではある)。米インデペンデント系映画賞「サンダンス映画祭」で史上最多となる4冠を達成。ネット配信に参入して間もない米IT企業アップルが、これまたサンダンス史上最高となる26億円で配給権を買い取った。

サンダンス映画祭の出品作としても初の作品賞。ろう者が主な出演者となっている映画としても初めて。

配給元アップルは1999年にネット動画配信に参入したばかり。 アップルとして初の作品賞。ネット配信会社のオリジナル作品としても初めて。 先発組のNetflixとアマゾンの先を越した。

<90年ぶり>
なお、3個以下のノミネートしか得ていない映画の作品賞受賞は、1932年(第5回)の「グランド・ホテル」以来90年ぶりとなった。

<受賞結果>
受賞部門 作品賞
助演男優賞
 トロイ・コッツァー
脚色賞


<受賞スピーチ▼>


<挿入歌▼>


<予告編▼>


(日本公開:2022年1月21日)
  • 「ドライブ・マイ・カー」
    【日本映画】
     ドライブ・マイ・カー
    監督:濱口竜介
    ※日本映画として史上初の作品賞ノミネート
    受賞結果を開く▼
    受賞 国際映画賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    脚色賞
    作品説明を開く▼

    ドライブ・マイ・カーは、濱口竜介監督の2作目の商業映画。

    濱口監督は熱心な映画ファンから長年にわたって高い評価を得てきた。
    大学院の卒業制作から早々に注目を集め、その後も、自主制作で手掛けた作品が、コンスタントに海外や国内の小規模インデペンデント向け映画祭で紹介された。ネットで資金を集めながら完成させた実験的な作品「ハッピーアワー」(2015年)が海外で様々な賞を獲得。続く「寝ても覚めても」(2018年)により、満を持しての商業デビューを果たした。

    村上春樹を短編を、3時間の超大作に

    本作の原作は村上春樹の短編小説。妻を失い、喪失感を抱えて生きる男の悲しみと再生を、緻密な脚本で描く。上映時間はなんと3時間。

    多言語の芝居を題材に取り入れ、言葉の壁を越えた意思疎通の深さに迫った。

    ストーリー

    主人公は舞台の演出家。俳優でもある。車を運転するのが好きな男で、自分の車に愛着を持っている。

    東京で妻と満ち足りた日々を送っていたが、突然、妻がこの世を去る。

    その2年後、広島で行われる国際演劇祭で芝居の監督を務めることになった。愛車を運転して現地入りしたが、主催者から「車を自分で運転してはいけない」と告げられ、若い運転手を紹介された。このドライバーは寡黙な女性で、ある過去をもっていた。

    原作・村上春樹

    濱口監督は映画化の許諾を得ようと村上春樹氏に手紙を送った。その際に、脚本で独自の解釈を加える意向も伝えたという。脚本づくりにおいて最も重視したのは出演者の“感情の移ろい”だったという。

    製作費1億5000万円

    製作費1億5000万円。日本映画の平均製作費3.5億円と比べても低予算だった。数十億円の製作費が相場のハリウッドと比べると、圧倒的に小規模。

    プロデューサーは山本晃久(てるひさ)

    製作会社は「TSUTAYA」グループのC&Iエンタテインメントなど。

    プロデューサーは山本晃久(てるひさ)(40歳)。村上春樹ファンであり、濱口監督のポテンシャルに早くから目をつけてきた山本プロデューサーが「村上の短編小説の映画化」を濱口に提案したことから、企画が立ち上がった。

    日本の独立系映画会社「ビターズ・エンド」

    配給と制作幹事を担当した「ビターズ・エンド」(東京、社長:定井勇二社長)は、小規模のアート作品を日本の映画ファンに届け続けてきた貴重な存在。ミニシアター文化を支える柱の一つとなってきた。

    文化的な価値にこだわった地道な取り組みが、世界で大きく花開いた。


    オスカーまでの道のり

    カンヌでデビュー

    ドライブ・マイ・カーは2021年7月のカンヌ国際映画祭で日本映画初の脚本賞を受賞。その他のマイナーな賞も含めて計4冠に輝き、世界に華々しくデビューした。

    米国の評論家たちが火をつけた

    その数か月後にスタートした米国の映画賞レースに参戦。映画専門のジャーナリストや評論家から大絶賛を浴びた。 とくにニューヨーク・タイムズ、LAタイムズ、バラエティ誌など、影響力の大きい有力メディアの映画担当記者が猛烈にプッシュした。

    「3大批評家賞」で全勝

    権威の高い全米映画批評家協会、ニューヨーク、ロサンゼルスの「3大批評家賞」では、いずれも作品賞(国際映画賞でなく作品賞!)を獲得。これは、英語以外の映画として初の快挙だった。ハリウッドの有力作を差しおいての日本映画の最高賞獲得は、驚きをもって迎えられた。

    地味な日本語の会話劇

    とはいえ、ストーリーは地味で、上映時間も3時間という長尺。日本語による会話劇ということもあり、コアな映画通(シネフィル)だけの熱狂にとどまるかと思われた。

    目の肥えた映画人も大納得

    しかし、深層心理に訴えるような普遍性、独創的な語り口、観客を温かく包み込むような人間味は、目の肥えたハリウッドの映画人たちの心も動かした。最高峰のアカデミー賞において、日本映画として史上初の作品賞ノミネートを達成。監督賞、脚本賞、国際映画賞と併せて4部門での候補入りという歴史的偉業を成し遂げた。

     予告編→
    【配信:アマゾン
    (2021年8月公開)

  • 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
     パワー・オブ・ザ・ドッグ
    監督:ジェーン・カンピオン
    ※最多ノミネート(11部門12個)
    受賞結果を開く▼
    <受賞結果>
    受賞 監督賞
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
    助演男優賞
    コディ・スミット・マクフィー
    助演男優賞
    ジェシー・プレモンス
    助演女優賞
    脚色賞
    撮影賞
    作曲賞
    編集賞
    音響賞
    美術賞
    作品説明を開く▼
    心理ドラマ兼スリラー。モダン西部劇。1920年代の米国の牧場を舞台に、生々しい愛憎ストーリーを静かなタッチで描いた。

    優れた物語構築

    優れた物語の構築力と深い人物描写、そして濃密な映像表現が絶賛された。 「完璧さ」と「独創性」を徹底的に追及した作家路線の傑作として、全米の評論家が選ぶ各賞で圧倒的な勝率を達成。 さらに、記者が投票するゴールデングローブ賞でも強敵「ベルファスト」を破り、オスカー前哨戦を完全にリードした。

    革命的な女性監督

    ジェーン・カンピオン監督は、女性として3人目となる監督賞を受賞した。ニュージーランド出身。 「ピアノ・レッスン」で1994年アカデミーの作品賞、監督賞などにノミネートされ、革命的な女性監督として注目を集めた。 このときは「シンドラーのリスト」(スピルバーグ監督)があまりにも強力だったため、作品賞、監督賞ともに逃した(脚本賞は受賞)。 それから28年後となる本年度は、再びスピルバーグ監督(ウエスト・サイド・ストーリー)と作品賞、監督賞を争った。

    10年ぶりの映画

    本作の製作は、2017年にカンピオン監督が義母からもらった原作小説にハマったのが発端だった。 活動の場をテレビドラマに移し、映画づくりから10年ほど遠ざかっていた彼女は、再びリスクの高い映画製作に臨むことを決意。 個人的に信頼する英、豪、カナダのプロデューサーらを巻き込み、「新生カンピオン組」の布陣をつくった。 さらに、母国ニュージーランド政府や豪・英の政府系機関からの資金支援も取り付けた。

    世界の英才とNetflixマネー

    しかし、革命家カンピオンが思うがままのビジョンを映像化するためには、まだ資金が足りなかった。 そこに登場したのが、米Netflix(ネットフリックス)だった。 野心的な構想に飛びついた同社が巨額資金の提供を申し出たことで、プロジェクトは一気に動き出す。 撮影中にコロナ禍に見舞われたが、Netflixは追加支援を惜しまなかったという。 世界の英才と潤沢なNetflixマネーの組み合わせは、まさに今日的といえる。

    精緻な作り込み

    テーマがややダークで、一見ストーリー展開が地味。このため、一般のNetflixユーザーの反応は当初は少し鈍かった。 しかし、「見返せば見返すほど精緻な作り込みに圧倒される」という人も多く、着実に支持を広げた。

    「万人受け」のコーダに敗れる

    アカデミー作品賞の獲得に向けて最大の難関になったのが、その独特な投票システムだ。 ベストの作品を一つ選ぶのでなく、全ノミネートに順位を付ける方式が採用されているため、 多数の投票で2位、3位以上に入らなければ勝てない。 その点、万人受けしやすいコーダより不利だったといえる。
     予告編→
    【配信:ネトフリ
    (日本公開:2021年12月Netflix配信)

  • 「ベルファスト」
     ベルファスト
    監督:ケネス・ブラナー
    作品説明を開く▼

    監督の半自伝

    北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督が、自らの少年期に基づいて描いた半自伝。白黒映画(一部カラー)。

    紛争下の少年の日常

    社会を二分する北アイルランド紛争下の首都ベルファスト(1969年)を舞台に、日常を生きる少年と家族を描く。 政治的・宗教的な対立に揺れる地域や大人たちを、子供の純心な視点から写し出す。

    3世代家族の絆

    チャーミングな家族物語でもある。 少年、両親、祖父母の3世代の絆が、温かくノスタルジックな映像とともに語られる。

    トロントで好スタートだったが・・

    オスカー前哨戦のトップを切って行われたトロント国際映画祭で観客賞を受賞。 以来、ややマニア的な「パワー・オブ・ザ・ドッグ」に対抗しうるハート・ウォーミング系作品として期待を背負ってきた。 しかし、トロント以後は目立った勝利がなかった。

    ROMAより入りやすい?

    2019年の作品賞にノミネートされた「ROMA(ローマ)」と同じく監督自身の回想劇であり、かつ白黒映画という共通点もある。 ただ、淡々とした作風で、ストーリー展開が退屈だと感じる人も多かったROMAに比べると、入り込みやすい大衆作品。

    映画愛のシーンも

    「映画愛」を感じさせるシーンもあり、オスカーとの相性も良好。 高齢アカデミー会員へのアピール度も強いと見られていた。 弱点は、強烈なインパクトに欠けること。

    監督・俳優・脚本家として候補歴

    映画監督兼俳優のブラナー氏は、過去5度アカデミー賞にノミネートされている。 監督デビュー作「ヘンリー五世」(1989年)で監督賞と主演男優賞にダブルノミネート。 そのあと短編映画賞と脚色賞で候補になり、直近では「マリリン 7日間の恋」(2011年)で助演男優賞にノミネートされた。

    新記録「1人で累計7つの異なる部門でノミネート」

    今回は作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされ、「1人で累計7つの異なる部門でノミネート」というアカデミー賞の新記録を樹立した。そして、ついに脚本賞で受賞を果たした。マーベル映画「ソー」の1作目(2011年)の監督としても有名。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年3月25日)

  • 「ドリームプラン」
     ドリームプラン
    監督:レイナルド・マーカス・グリーン
    作品説明を開く▼

    観客支持率トップの98%

    大多数の観客が称賛する一作。ロッテン・トマトの一般観客の評価スコアは候補作の中でトップの98%。

    ハリウッド・スタジオ製の王道

    オスカーになじみやすい家族物語であり、スポーツもの。 本年度の作品賞ノミネートの中で、最もアメリカン・ドリーム的なストーリーでもある。 ハリウッド大手スタジオ(ワーナー)による王道作品といえる。

    実在の父親がモデル

    テニスの世界トップに君臨した姉妹(姉ビーナス・ウィリアムズ、妹セリーナ・ウィリアムズ)の父親の姿を描く。 実話をベースにしている。

    主人公リチャード・ウィリアムズはテニスの素人ながら、娘2人に幼少期からテニスを徹底指導。 娘が力をつけてくると、 経済的に貧しかったにもかかわらず、強引なやり方で超一流のコーチをつけることに成功し、鮮烈なプロデビューへと導いた。 伝説的な姉妹の大活躍の土台をつくった熱血パパとして知られる。 裕福な白人層が中心だった米国テニス界に風穴を開けた存在でもある。

    「王様」のような立ち振る舞い

    本作は、リチャードの独特な「子育て法」に焦点があてられている。 目先のゲームや一時的な活躍よりも、娘たちの長期的な成功を優先させ、学問や人格形成を重視した教育に邁進する。 一方で、破天荒で独善的な態度により、周囲と様々な軋轢(あつれき)を起こしていく。 その立ち振る舞いはまるで「王様」。映画の原題も「王様リチャード(King Richard)」になっている。

    低所得層の苦闘

    少数派人種や低所得層の苦労・努力がテーマの一つ。 家族の団結や厚い信仰心もしっかりと描写されている。 米国で重視されがちな価値観が前面に出ており、 変化球のかたまりのような「パワー・オブ・ザ・ドッグ」とは対照的。一般観客が入りやすい作品であることが、作品賞レースで有利に働く可能性がある。 ただ、称賛の嵐の中で、「ややありがちな映画」との声も。

    監督は無名の若手

    主演ウィル・スミスの熱演ぶりが、見どころの一つ。 3度目のノミネートにして初の主演男優賞を獲得した。 助演女優賞ノミネートの妻役アーンジャニュー・エリスも、限られた見せ場で観客の心をわしづかみにする。 監督はほぼ無名の若手レイナルド・マーカス・グリーンが務めたが、名演出と堅実なまとめぶりが光る。 臨場感のあるテニスシーンも好評。

    ワーナーの「配信重視」路線

    米国では劇場公開と同時にネット配信された。 配給会社ワーナーが自社の配信サービス「HBOマックス」の加入者を増やすため、 2021年のすべての映画を「ネット同時公開」としたためだ。 この方針をめぐっては、映画界から強い反発が出た。 このため、本作は「親劇場派(反ネット配信業者派)」の票の受け皿としてやや説得力に欠ける面があった。

    【あらすじ】

    米国ロサンゼルス近郊の貧困地区コンプトンで暮らすリチャードはある日、 テレビで女子テニス選手が巨額の賞金を受け取るのを見て、 自分たちも娘をもうけ、彼女たちをプロテニス選手に育てることを決意する。 独自の教育論に基づく約80ページの「プラン(計画書)」を作成。 そのプランに基づいて夫婦で娘たちにテニスを教え始める。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年2月23日)

  • 「ウエスト・サイド・ストーリー」
     ウエスト・サイド・ストーリー
    監督:スティーブン・スピルバーグ
    作品説明を開く▼
    巨匠スピルバーグ監督の映画として、11作目の作品賞ノミネートとなった(※過去の作品賞ノミネートは「ジョーズ」「ET」「カラーパープル」「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」「ミュンヘン」「戦火の馬」「リンカーン」「ブリッジ・オブ・スパイ」「ペンタゴン・ペーパーズ」)。

    原版は作品賞など10部門独占

    原作は、1957年初演の傑作ミュージカル劇。 今回が2度目の映画化となる。 最初の映画版となった1960年の「ウエスト・サイド物語」は、アカデミー賞で作品賞を含む10部門を独占。 ミュージカル映画史に残る絶対的な名作として語り継がれてきた。 それだけに、今回の2度目の映画化については、「何故また作るのか」という懐疑的な声が多く聞かれた。

    最高級の映画テクニック

    しかし、いざ公開されると「最高に眩(まぶ)しく、ゴージャス」などの称賛の声が相次いだ。 今の映画界が持ちうる最高級のテクニックを結集。オリジナル版を現代風に洗練させつつ、その精神をビビッドに蘇らせたことで、往年のファンから若い世代に至るまで幅広い支持を得た。 踊りの振り付けもバージョンアップされており、躍動感あふれるダンスシーンは圧巻。

    劇場マジック

    スピルバーグ監督にとって初めてのミュージカル。10歳のときに両親が買ってきたミュージカル版のレコードをボロボロになるまで聴いて以来、この劇を愛し続けてきたという。 それだけに、パワフルな演出や1シーンごとの徹底した仕上げぶりはかつてないほどの情熱を感じさせる。スペクタクル作品ならではの劇場マジックも存分に味わえる。

    助演女優賞を受賞

    ヒロインのマリア役を演じたレイチェル・ゼグラーは新人ながら高い評価を得た。 それを上回る大絶賛の嵐となったのが、アニータ役のアリアナ・デボーズ。助演女優賞を受賞した。
    オリジナル版でアニータを演じ、今回90歳にして別の役柄で再出演したリタ・モレノも見事。

    リメイクは不利

    作品賞レースでは、オスカーらしい華々しさがあるという点で有利だが、リメイクである点はやはり不利だと見られた。 オリジナル版をリアルタイムに体験している高齢アカデミー会員の心をどれだけ掴むかが焦点だった。

    貧困街の愛の物語

    ニューヨークの下町「ウエスト・サイド」で、イタリア系とプエルトリコ系の不良少年グループが対立。その中で生まれる愛の物語。 恋愛悲劇の最高傑作として知られるシェークスピアの「ロミオとジュリエット」を、1950年代の貧困街に置き換え、アメリカ社会の抱える不満や苦悩を描き出した
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年2月11日)

  • 「DUNE/デューン 砂の惑星」
     DUNE/デューン 砂の惑星
    監督:ドゥニ・ビルヌーブ
    作品説明を開く▼
    未来の宇宙を舞台とするSF大作。 現在も絶大な人気を誇る原作小説の独創的な世界観を、驚くべき精密さで映像化した。 ドゥニ・ビルヌーブ監督。 主演はティモシー・シャラメ。

    原作となった伝説的なSF小説『デューン 砂の惑星』(フランク・ハーバート作)は、1965年に出版された。 これまで多くの監督が映画化に挑戦しながら、プロジェクトが途中で頓挫したり、出来栄えがいま一つだったりと、成功には至らなかった。 そんな歴史的な難題に、「ブレードランナー2049」「メッセージ」で知られるドゥニ・ビルヌーブ監督が挑んだ。

    本作は、何よりも映像の美しさが称賛の的となった。 洗練された視覚デザインと描写により、ユニークな世界観を構築。 別の惑星にいるかのような錯覚を観客に覚えさせる。 砂漠のスペクタクルも見事。中東の砂漠で挑んだ撮影が、驚愕の映像体験へとつながった。

    日本では興行的に伸び悩んだが、欧州で大ヒット。中国でも堅調だった。 母国アメリカでは、劇場公開と同時にネット配信されたこともあって当初は伸び悩んだものの、1か月かけて1億ドルの大台を突破。 コロナ禍という悪条件のなか、最終的には全世界で400億円以上を稼ぎ、本年度の作品賞ノミネートの中で唯一の「特大ヒット作」となった。

    本作は2部構成のシリーズの第一弾と位置づけられている。 このため、ストーリーの進展が序盤の段階にとどまったという印象を持つ人も多い。 次作でどのようにまとめる上げるのか、監督の手腕が注目されるところであり、「1作目だけで作品賞を与えるのは時期尚早」との声もあった。 あの大傑作シリーズ「ロード・オブ・ザ・リング」でさえ、「パート1」と「2」では作品賞ノミネートにとどまり、完結編の「3」でようやく受賞を果たした。

    10ノミネートのうち、視覚効果賞、撮影賞、作曲賞、編集賞、美術賞、音響賞の6部門で受賞を果たした。断トツの本年度最多受賞。 2016年のオスカーで、作品賞を逃しながら技術系6部門を制した「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を彷彿とさせる。

    主人公は、銀河を支配する「皇帝」に仕える大物一族の息子。未来をぼんやりと予見する力を備えている。豪華なオールスターキャストが登場する超大作。
     予告編→
    【配信:アマゾン(字幕版)
    【配信:アマゾン(吹替版)
     メイキング映像→
    (日本公開:2021年10月15日)

  • 「リコリス・ピザ」
     リコリス・ピザ
    監督:ポール・トーマス・アンダーソン
    作品説明を開く▼
    ノスタルジックな青春映画。 1970年代のカリフォルニアが舞台。 15歳の少年と、25歳の女性の恋を描く。

    ポール・トーマス・アンダーソン監督(51歳)の9作目。 自らが生まれ育った街とその時代を題材にしたパーソナルな一作。 登場人物や出演者にも、自分になじみのある人を多く起用した。過去作と比べ、心温まる作風。

    本作が作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされたことで、 アンダーソン監督のアカデミー賞ノミネート数は通算11になった。 しかし、今回も受賞は逃し、受賞は通算ゼロのままとなった。
    ノミネート歴(wiki)→

    主演のクーパー・ホフマンは、本作でデビューとなる新人。 アンダーソン監督の数々の名作に出演してきた故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子である。 ホフマンの相手役となる主演女優アラナ・ハイムも元々はロック歌手で、俳優としては新人。2人の好演と相性の良さも称賛されている。

    題名の「リコリス・ピザ」は、カリフォルニアに実在していたレコード店の店名。 無料のリコリス(キャンディ)、快適なソファ、音楽雑誌を提供していたことでも知られていた。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年7月1日)

  • 「ドント・ルック・アップ」
     ドント・ルック・アップ
    監督:アダム・マッケイ
    作品説明を開く▼
    本年度の作品賞ノミネートの中で、最も賛否両論が激しく分かれている一作。肯定派からは強い支持を得た。

    社会風刺コメディ。現代の扇動的な大衆政治や、事実を軽視する「反知性主義」を嘲笑のネタにしている。

    「マネー・ショート 華麗なる大逆転」「バイス」という社会派ノンフィクション系傑作でアカデミー作品賞にノミネートされたアダム・マッケイ監督。超豪華キャストと先端のSF技術を駆使した大作で、製作費80億円。

    当初パラマウントが配給権を持っていたが、Netflixが買い取った。配信スタート直後からNetflixの記録を塗り替えるような人気ぶりとなった。

    彗星が地球に接近し、人類が破滅の危機に瀕していることを察知した2人の天文学者が、米大統領らに対策を講じるよう求めていく。地球温暖化への警鐘にもなっている。

    レオナルド・ディカプリオらの演技も好評だったが、俳優部門でのノミネートはゼロだった。
     予告編→
    【配信:ネトフリ
    (日本公開:2021年12月10日、2021年12月Netflix配信)

  • 「ナイトメア・アリー」
     ナイトメア・アリー
    監督:ギレルモ・デル・トロ
    作品説明を開く▼
    スリラー映画。「シェイプ・オブ・ウォーター(2017年)」で作品賞と監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督作の新作とあって、公開前から期待が膨らんでいた。興行的には失敗したが、熱心な映画ファンやマニアからは厚い支持を獲得。 技術的なレベルの高さも称賛された。

    オスカー争いの最強集団として君臨する米映画会社サーチライトの作品。 サーチライトは本年度、有力作に恵まれず、作品賞レースではナイトメア・アリー1本に注力した。 その甲斐あってか、「チック、チック…ブーン!」(Netflix)をさしおいて、作品賞ノミネート入りを果たした。

    巡回ショーの芸人が主人公。 この芸人が、女性精神科医と出会う。 そして、危険な道へと走っていく。 主演はブラッドリー・クーパー。 危ない女性精神科医を、オスカー女優ケイト・ブランシェケイトが演じる。

    トロ監督はメキシコ人。日本の怪獣をこよなく愛する天才的オタクとして知られる。 ハリウッド業界内でも「愛されキャラ」として親しまれている。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年3月25日)

戦評・解説→
歴代の作品賞→

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監督賞 ジェーン・カンピオン
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

ジェーン・カンピオン

1994年に「ピアノ・レッスン」で脚本賞を受賞して以来、2度目のオスカー獲得。

女性の監督賞は史上3人目。前年の「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督に続いて2年連続。

ニュージーランド出身のベテラン。しばらくテレビドラマに専念していたため、13年ぶりの映画製作となった。Netflixの資金を得て、細部にまでこだわり抜いた末に完成させた渾身の一作。

人間の深層心理を静かに掘り下げる西部劇。極めて精緻で完成度の高いドラマであり、かつスリラーとしても上質。前哨戦で圧勝し、最多12個のノミネートを獲得。作品賞も有力視されていたが、逃した。結局、受賞は監督賞のみだった。

説明→

作品紹介→

 予告編(監督版)→

 作品一覧(wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の監督賞→

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主演男優賞 ウィル・スミス
「ドリームプラン」

ウィル・スミス

3度目のノミネートにして初の受賞。過去に「ALI アリ」(2001年)、「幸せのちから」(2006年)でノミネートされた。黒人として5人目の主演男優賞。

女子テニスの世界トップに君臨した米国人ウィリアムズ姉妹の実在の父親を演じた。 アクの強さやひょうひょうとした立ち振る舞いを見事に再現。 同時に、スミスらしい茶目っ気を加えることで、観客にとって親しみやすいキャラクターを造形した。

自らプロデューサーの一人としても名をつらね、後見役のウィリアムズ姉妹らとともにプロジェクトを推進した。劇場公開と同時にネット配信されたことで、俳優たちの受け取る歩合報酬が減ったことから、自分のギャラの一部を他の出演者たちに回したという逸話もある。

前哨戦では、序盤の評論家系アワードでカンバーバッチに連敗していたが、記者系のゴールデングローブ賞で勝利。その後の映画業界人が選ぶ賞では連勝した。前哨戦での受賞スピーチも「さすがに上手い」と好意的に受け止められた。

受賞当時53歳。俳優歴32年。ラッパーとして芸能活動を開始し、俳優業に進出した。

「インデペンデンス・デイ」「メン・イン・ブラック」などの歴史的ヒット作を含め、 長年の超ドル箱スターとして業界への貢献度は申し分なかった。 オスカーはベテラン勢が有利であることを加味すれば、受賞は確実と予想されていた。

ところが、せっかくのオスカーで授賞式でコメディアンのジョークに立腹し、 生放送中に壇上で殴打する暴行事件を起こし、キャリアが一気にどん底に落ちることとなった。
「ビンタ事件」の顛末▼

授賞式でウィル・スミスは、妻の病気を揶揄(やゆ)するジョークを飛ばしたコメディアンのクリス・ロック(57歳)に激怒。 ステージに駆け上がってビンタを食らわすという事件が起きた。 アカデミー賞の歴史に残る残念な出来事となった。

10年間の出席禁止に

授賞式の後、スミスは映画芸術科学アカデミーから、今後10年間にわたる授賞式への出入り禁止処分を受けた。アカデミー会員の資格返上にも追い込まれた。

クリス・ロック

殴られたクリス・ロック(コメディアン)はこの日、「ドキュメンタリー賞」の発表者(プレゼンター)として登壇していた。ロックは全米トップ級の人気コメディアンであり、アカデミー賞の司会(ホスト)も過去2回務めている(歴代の司会者→)。毒舌系で知られる。

脱毛症をネタに

ロックは受賞者を読み上げる前のトークで、招待席に座っていたセレブたちをいじるジョークを展開。その中で、スミスの妻ジェイダ・ピンケット・スミスに向かって「ジェイダ好きだよ。『GIジェーン 2』が楽しみだね」(Jada, I love you! "GI Jane 2", can't wait to see it. Alright?)と冗談を飛ばした。

ムッとするジェイダ

これは、ジェイダが脱毛症のため髪を短くしていることを揶揄(やゆ)するものだった。人の病気を笑いのネタにするジョークであり、会場では笑いが起きたものの、聞いていたジェイダ本人がムッとするのがテレビ中継でも映し出された。隣のスミスは笑顔だったが、この後席を立ち、壇上へと向かった。身長188cmで強靭な肉体を持つスミスによる殴打シーンは、平手とはいえ、強いインパクトを与えた。

放送禁止用語を絶叫

スミスはクリス・ロックにビンタをした後、席に戻り、放送禁止用語を用いながら、壇上のロックに「妻の名前を出すな!」と叫んだ。 日本のWOWOWを含む一部の国のテレビ放送局は、この暴言を無音声に切り替えずそのまま放送。お茶の間に衝撃を与えた。

受賞スピーチにも批判

その後、スミスは主演男優賞を受賞した。受賞スピーチでは、ビンタ行為について泣きながら弁明した。しかし、自分の行為をむしろ正当化しようとする内容だったと受け止められ、米国内では批判が多く出た。殴ったクリス・ロックに対する謝罪も、この時点ではなかった。(スミスの受賞スピーチ動画→

退場を拒否

主催団体「映画芸術科学アカデミー」の声明によると、暴力行為の後、主催者側がスミスに退場を求めたが、スミスは拒否した。

警察が駆けつける

また、授賞式のテレビ番組プロデューサーが後日ABC放送のインタビュー(動画→)で語ったところによると、現場にはロサンゼルス市警察(LAPD)が駆け付けた。

被害届を出さず

警察は控室に戻ったクリス・ロックに対して、「スミス逮捕」を選択肢の一つとして提示した。そのうえで、被害届を出す意向があるか尋ねた。これに対して、クリス・ロックは被害届に否定的だったという。

映画の主人公キャラが非難声明

授賞式の後、スミスの受賞作となった「ドリームプラン」で主人公のモデルとなったリチャード・ウィリアムズ(テニスのウィリアムズ姉妹の父親)は「自衛でもない限り、人を殴る行為は許されない」とする非難声明を出した。 授賞式でのスミスの受賞発表時の拍手喝采(スタンディング・オベーション)とはうってかわって、他の芸能人からも批判的なコメントが相次いだ。

パーティ動画の拡散も痛手に

式典後のパーティでオスカー像を片手に上機嫌で歌って踊るスミスの動画が拡散したことで、さらに印象が悪くなった。

コメディアンに対する許容範囲が広い

アメリカでは、日本と比べてジョークに対する許容範囲がはるかに広い。 ふだんは問題視されるような発言でも、コメディアンがジョークの一環として口にすると、許される風潮がある。(ただ、人種差別などにつながるようなジョークは厳しく対処される)。

発言はあまり問題視されず

将来的には脱毛ネタのたジョークもデリケートに扱われるようになるのかも知れないが、この時点ではほとんど問題視されなかった。

授賞式への出席を10年間禁止

アカデミーはスミスに対して、10年間にわたって授賞式への出席を禁止する処分を下した。また、スミスはアカデミー会員を辞任した。

ショーのチケットがバカ売れ

事件を受けて、クリス・ロックの米国ツアーの人気はうなぎ上りとなった。アカデミーも声明でクリスに謝罪するとともに、異様な事態を冷静かつ巧みに収拾してくれたことに感謝の意を表わした。

作品説明を開く▼

観客支持率トップの98%

大多数の観客が称賛する一作。ロッテン・トマトの一般観客の評価スコアは候補作の中でトップの98%。

実在の父親がモデル

テニスの世界トップに君臨した姉妹(姉ビーナス・ウィリアムズ、妹セリーナ・ウィリアムズ)の父親の姿を描く。実話をベースにしている。オスカーになじみやすい家族物語であり、スポーツもの。 本年度の作品賞ノミネートの中で、最もアメリカン・ドリーム的なストーリーとなった。

主人公リチャード・ウィリアムズはテニスの素人ながら、娘2人に幼少期からテニスを徹底指導。 娘が力をつけてくると、 経済的に貧しかったにもかかわらず、強引なやり方で超一流のコーチをつけることに成功し、鮮烈なプロデビューへと導いた。 伝説的な姉妹の大活躍の土台をつくった熱血パパとして知られる。 裕福な白人層が中心だった米国テニス界に風穴を開けた存在でもある。

「王様」のような立ち振る舞い

本作は、リチャードの独特な「子育て法」に焦点があてられている。 目先のゲームや一時的な活躍よりも、娘たちの長期的な成功を優先させ、学問や人格形成を重視した教育に邁進する。 一方で、破天荒で独善的な態度により、周囲と様々な軋轢(あつれき)を起こしていく。 その立ち振る舞いはまるで「王様」。映画の原題も「王様リチャード(King Richard)」になっている。

低所得層の苦闘

少数派人種や低所得層の苦労・努力がテーマの一つ。 家族の団結や厚い信仰心もしっかりと描写されている。 米国で重視されがちな価値観が前面に出ており、 変化球のかたまりのような「パワー・オブ・ザ・ドッグ」とは対照的。一般観客が入りやすい作品であることが、作品賞レースで有利に働く可能性がある。 ただ、称賛の嵐の中で、「ややありがちな映画」との声も。

監督は無名の若手

主演ウィル・スミスの熱演に加えて、 助演女優賞ノミネートの妻役アーンジャニュー・エリスが、限られた見せ場で観客の心をわしづかみにした。 監督はほぼ無名の若手レイナルド・マーカス・グリーンが務めたが、名演出と堅実なまとめぶりが光る。 臨場感のあるテニスシーンも好評。

ワーナーの「配信重視」路線

米国では劇場公開と同時にネット配信された。 配給会社ワーナーが自社の配信サービス「HBOマックス」の加入者を増やすため、 2021年のすべての映画を「ネット同時公開」としたためだ。 この方針をめぐっては、映画界から強い反発が出た。 このため、本作は「親劇場派(反ネット配信業者派)」の票の受け皿としてやや説得力に欠ける面があった。

【あらすじ】

米国ロサンゼルス近郊の貧困地区コンプトンで暮らすリチャードはある日、 テレビで女子テニス選手が巨額の賞金を受け取るのを見て、 自分たちも娘をもうけ、彼女たちをプロテニス選手に育てることを決意する。 独自の教育論に基づく約80ページの「プラン(計画書)」を作成。 そのプランに基づいて夫婦で娘たちにテニスを教え始める。


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<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の主演男優賞→

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主演女優賞 ジェシカ・チャステイン
「タミー・フェイの瞳」

ジェシカ・チャステイン

3度目のノミネートにして初のオスカー獲得。過去に「ヘルプ」(2011年)で助演に、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で主演女優賞にノミネートされた。

テレビで派手な布教活動を展開した実在の著名伝道師タミー・フェイを演じた。自らプロデューサーも務めた。

自分らしさをすっかり消し去り、別人に成りきる演技。 容姿、声、しぐさ、雰囲気、歌いぶり、ミネソタ訛りのしゃべり方に至るまで、米国民によく知られる個性的な人物像を見事に再現させた。

配給会社サーチライトの巧みな宣伝活動と、自らのキャンペーン活動が功を奏し、前哨戦で競り合ったニコール・キッドマンら他候補を抑えた。

44歳。父親は消防士。

説明→

 予告編→

 プレビュー→

 作品一覧(wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の主演女優賞→

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助演男優賞 トロイ・コッツァー
「コーダ あいのうた」

トロイ・コッツァー

ろう者の俳優としては2人目のオスカー受賞。1人目は本作で共演した女優マーリー・マトリンだった。男優としては初。

情熱的でやや破天荒なろう者の父親役をコミカルに演じた。 作品の中で最も笑わせ、泣かせる存在。 手話が分からない人にも喜怒哀楽をしっかりと豊かに伝える迫真の演技が、多数の観客の心をつかんだ。

今回の「コーダ旋風」の最大の立役者。助演賞争いの前哨戦の中盤までは「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のコディ・スミット・マクフィーの独走を許していたが、終盤のSAGアワード(全米俳優組合賞)で大勝利。

このときの手話によるエネルギッシュで濃密なスピーチが反響を呼び、さらに支持が広がった。その猛烈な勢いが、作品賞レースにも飛び火した。

53歳。生活費に苦慮しながらも、俳優業をやめなかった努力の人。

説明→

作品紹介→

 予告編(トロイ・コッツァー版)→

 作品一覧(wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の助演男優賞→

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助演女優賞 アリアナ・デボーズ
「ウエスト・サイド・ストーリー」

アリアナ・デボーズ

1961年のオリジナル版で同じ役を演じたリタ・モレノに続く二代での受賞。

優れたキャスト陣の中でもひときわ輝く存在感。圧巻のダンスシーンは映画で最大の見せ場の一つとなり、挿入歌「アメリカ」の伝説を新しいステージへと引き上げた。

希望から悲しみへの感情の移ろいを見事に表現するとともに、本作のテーマの一つである「女性のたくましさ」を体現した。

31歳。これまでは主に舞台で活躍。本作が本格的な映画デビューとなった。

性的少数派(クィア)を公表している有色人種の女性として初めての受賞という。アフロ・ラテン系としても貴重な勝利となった。

作品紹介→

 予告編(デボーズ版)→

 作品一覧(英語wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の受賞者(助演女優賞)→

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脚本賞 「ベルファスト」

 ベルファスト

配信:アマゾン

(脚本家:ケネス・ブラナー)
 作品一覧(wiki)→

キリスト教の宗派間闘争で荒れる北アイルランドを舞台に、日常を生き抜こうとする一般家族を描く。 9歳の少年を主人公に、両親、祖父母が織りなす3世代ファミリーの物語。ノスタルジックな白黒映像作(一部カラー)。

北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督が、自らの少年期に基づいて脚本を書いた。 コロナ禍で自宅にこもっている間に執筆したという。

無邪気な子供の目線で身の回りの出来事をとらえつつ、大人たちの想いや苦悩も織り込み、普遍性の高いシナリオとなっている。とりわけ祖父母のさりげないセリフに重みがあり、胸を打つ。

ケネス・ブラナーは今回、脚本賞に加えて、作品賞、監督賞(2度目)にもノミネート。 過去には主演男優賞、助演男優賞、脚色賞、短編映画賞にもノミネートされたことから、「累計7つの異なる部門でノミネート」という新記録をつくった。 受賞は今回が初めて。

作品紹介→

歴代の脚本賞→

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脚色賞 「コーダ あいのうた」

 コーダ あいのうた

(脚本家:シアン・ヘダー)
 作品一覧(IMDB)→

フランス映画「エール!」(2015年)のリメイク。 女性監督シアン・ヘダーが自ら脚本を書き、受賞を果たした。

原作では主人公一家は酪農家という設定だったが、漁師に変更。 大まかなストーリーの流れを踏襲しながらも、細部をより丁寧に描き、完成度の高いシナリオとなった。

人間味あふれる人物像の描写や、手話と口頭での会話のかけあいも見事。

作品紹介→

歴代の脚色賞→

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国際映画賞 「ドライブ・マイ・カー」
【日本】

 ドライブ・マイ・カー

(濱口竜介監督)

日本映画として2009年の「おくりびと」以来13年ぶりの受賞。通算5作目。(過去の日本映画の受賞作→

作品賞、監督賞、脚色賞の主要3部門にもノミネートされており、国際映画賞での受賞は確実視されていた。

妻を亡くし、喪失心を抱える男の物語。同じく過去の傷を背負う若い女性運転手との友情ストーリーでもある。 コロナ禍で身近な人を失った世界の人たちの心をつかんだ。

アップテンポなコミック映画やアクション映画がハリウッドを席巻するなか、 静かにじっくりと、かつ深みのある言葉で伝える作風が称賛された。

仏カンヌ国際映画祭での脚本賞を皮切りに、英国アカデミー賞など海外の賞を次々と制覇した。

同じく2021年公開の濱口映画「偶然と想像」はベルリン国際映画祭の審査員グランプリに輝いており、世界の賞レースを席巻することとなった。

濱口監督は43歳。東日本大震災のドキュメンタリー映画を自主制作で3本撮るなど社会派として活動してきた。神戸の映画講座の一環として製作した「ハッピーアワー」(2015年)は、海外の映画賞を獲得した。(濱口監督のプロフィール→

本作は、「寝ても覚めても」(2018年)に続く商業映画2本目。

作品の紹介→

受賞歴→

<受賞スピーチ↓>

 予告編→

動画配信(アマゾン)→
  • 「わたしは最悪。」
    【ノルウェー】
     わたしは最悪。
     予告編→
    説明→
    (日本公開:2022年7月1日)
    ※人生の方向性が定まらないまま30歳を迎えた女性の仕事や恋を映し出すラブ・ストーリー。

  • 「FLEE フリー」
    【デンマーク】
     フリー
     予告編→
    説明→
    (日本公開:2022年6月10日)

  • 「Hand of God -神の手が触れた日-」
    【イタリア】
     Hand of Gpd -神の手が触れた日
     予告編→
     Netflix→

  • 「ブータン 山の教室」
    【ブータン】
     ブータン 山の教室
     予告編→

戦評・解説→
歴代の国際映画賞→

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長編アニメ賞 「ミラベルと魔法だらけの家」
(ディズニー)

 ミラベルと魔法だらけの家

ディズニーの60作目の長編アニメ。傑作「ズートピア」の監督コンビによるミュージカル。米ミュージカル界の第一人者・リン・マニュエル・ミランダが音楽を手掛けた。

ディズニーらしい映像の質の高さ。本格ミュージカルとしての良質さも評価された。

説明→

 吹替版(Amazon)→

 字幕版(Amazon)→

<予告編↓>

(公開:2021年11月26日)
  • 「ミッチェル家とマシンの反乱」
     ミッチェル家とマシンの反乱
    (ソニー)
    説明→
     予告編→
     Netflix→
    (公開:2021年4月23日からNetflix配信)
    ※斬新さあふれる一作。ストーリーの面白さや独創性を重視する人たちに支持され、アニメ界の最高峰・アニー賞でも作品賞を受賞した。「スパイダーマン:スパイダーバース」でアニメ賞を獲得した米ソニー・ピクチャーズ アニメーション製作。

  • 「あの夏のルカ」
     あの夏のルカ
    (ピクサー)
     説明→
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
    (公開:2021年6月18日)

  • 「FLEE フリー」
     フリー
    【デンマーク】
     予告編→
     説明→
    ※ アニメ・ドキュメンタリー。デンマーク作品。アフガニスタンからデンマークへ難民としてやってきた男性の実話に基づく。アヌシー国際アニメーション映画祭で、作品賞(長編グランプリ)を受賞。
    (公開:2022年6月10日)

  • 「ラーヤと龍の王国」
     ラーヤと龍の王国
    (ディズニー)
     予告編→
     吹替版(Amazon)→
     字幕版(Amazon)→
    (公開:2021年3月5日)

戦評・解説→
歴代のアニメ賞→

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 ※2022年の全部門を見る→

2021年(第93回)

  • ■ 作品賞:
    「ノマドランド」
  • ■ 最多受賞:
    「ノマドランド」(3部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「マンク」(10個)

作品賞は「ノマドランド」

「ノマドランド」が作品賞を受賞しました。中国出身の若手女性監督による低予算の小規模作品ながら、現代アメリカの移動労働者(ノマド)の姿を美しい映像と詩的な語り口で描き、高い評価を得ました。

2021年の特集ページ→

作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞アニメ賞脚本賞脚色賞国際映画賞

2022年↑ |  2021年 | 2020年↓

<受賞・ノミネート一覧(全部門)>
2021年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ノマドランド」

ノマドランド

【配信:アマゾン

監督:クロエ・ジャオ

アメリカの雄大な原風景を背景に、 季節労働者たちの心のひだを見事に映し出した詩情的な作品。 コロナウイルス感染拡大で孤立感や喪失感が深まるなか、 人と人とのつながり、亡き伴侶への想い、自然との一体感を伝える静かな物語が、共感を呼んだ。

カメラクルーが半年間にわたって米国の田舎を転々としながら、 撮影を行った。 荒野、砂漠、森林、峡谷に主人公らが溶け込む様子を美しい映像で伝える。

過去数年のオスカー作品賞争いは、有力2作品による接戦が多かった。 しかし、本年度は、ノマドランドが前哨戦の序盤から独走を続け、 予想通りの受賞となった。

(公開:2021年3月26日)

 説明ページ→

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→

<受賞スピーチ▼>


<予告編▼>
  • 「ミナリ」
     ミナリ
    監督:リー・アイザック・チョン
    (公開:2021年3月19日)
    ※韓国系移民の家族ドラマ。 大都市ロサンゼルスから南部の田舎に移住し、農民としての新しい挑戦に挑む姿を描く。 「アメリカンドリーム」的な設定ではあるが、よくありがちな成功物語ではない。
    続きを開く▼▼

    移民国家らしい物語

    全米の独立系映画が集まる「サンダンス映画祭」(2020年)で、作品賞(グランプリ)と観客賞の2冠に輝いた。 2021年1月にノースカロライナ映画批評家協会賞の作品賞を受賞。「ノマドランド」の連勝にストップをかけた。 本年度オスカーの作品賞ノミネート作の中で映画評論家の評価スコアは98%。ノマドランドを上回った。 昨年の作品賞「パラサイト」と同じである。 移民国家であるアメリカにおいて、民族・人種を超えて共感を得た。

    リー・アイザック・チョン(Lee Isaac Chung)監督は韓国系アメリカ人。42歳。 本作の舞台であるアーカンソー州の農村地帯で育った。 ミナリは、監督の半自伝的なストーリーだという。
    これまでも独立系の渋い作品を手がけてきており、 日本のアニメ映画「君の名は。」のハリウッド実写版の監督を務めることが決まっている。

    本作で助演女優賞にノミネートされたユン・ヨジョンは、「韓国のメリル・ストリープ」とも言える超大物女優。 破天荒で毒舌家の祖母役を演じ、大好評を博した。 また、主役のスティーブン・ユアンは、アジア系で初めの主演男優賞ノミネートとなった。

    配給は、質の高いインディー映画で有名なアメリカの「A24」。 製作は、ブラッド・ピットが経営する「プランB」とA24が共同で手がけた。 つまり、2017年作品賞の名作「ムーンライト」と同じ布陣だ。 製作費は2億円と小規模。

    使用言語は韓国語と英語だが、韓国語のほうが多い。
     予告編→
     動画配信(Amazon)→

  • 「ファーザー」
     ファーザー
    監督:フロリアン・ゼレール
    (公開:2021年5月14日)
    ※認知症( アルツハイマー)に苦しむ男性の話。 彼は娘と同居することになるが、娘の手助けを拒否する。 親子関係を描く。主演はアンソニー・ホプキンス。 娘役にオリビア・コールマン。
    続きを開く▼▼

    ロッテントマト「98%」、ミナリと並びトップ

    評論家のレビュー集計サイト「ロッテン・トマト」で、98%の高評価を獲得した。 これは、本年度オスカー作品賞にノミネートされた作品の中で、ミナリと並び最も高い。

    フランスの小説家であるフローリアン・ゼレール氏が監督を務めた。 原作は、ゼレール氏の芝居「ルペール(Le Père)」。 脚本は、ゼレール氏とともに、イギリスの著名脚本家クリストファー・ハンプトン氏が共同執筆した。 ハンプトン氏は「危険な関係」(1988年)や「つぐない」で有名。「危険な関係」では、アカデミー賞の脚色賞を受賞した。

    配給はソニー・クラシック。
     予告編→
     動画配信(Amazon)→
     解説動画(シネコト)→

  • 「シカゴ7裁判」
     シカゴ7裁判
    監督:アーロン・ソーキン
    (公開:2020年10月)
     説明ページ→
     予告編→
     ネトフリ→

  • 「プロミシング・ヤング・ウーマン」
     プロミシング・ヤング・ウーマン
    監督:エメラルド・フェネル
    (公開:2021年7月16日)
    作品説明を開く▼
    復讐系スリラー。ダーク・コメディ的な要素を持つ。主演キャリー・マリガンの演技が絶賛された。

    主人公の女性は、かつて優れた医学生として将来を嘱望されていた。 しかし、医大を中退し、30歳になった現在はウエイストレスとして低賃金で働いている。 彼女医大からドロップアウトしたのは、 親友に対するレイプ事件を大学側がもみ消し、その親友が自殺に追い込まれたことがきっかけだった。 彼女は、その事件の復讐に執念を燃やしていた。

    監督のエメラルド・フェネルは女優出身。 Netflixドラマ「ザ・クラウン」のカミラ夫人役で知られる。現在35歳。 本作が監督としてのデビュー作となった。 自ら書き下ろした脚本も称賛された。 衝撃的なラストシーンも話題となった。
     予告編→
     動画配信(Amazon)→
     町山智浩ラジオ解説→

  • 「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」
     サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~
    監督:ダリウス・マーダー
    (公開:2020年12月アマゾン配信)
     動画配信(Amazon)→

  • 「Mank(マンク)」
     マンク
    監督:デヴィッド・フィンチャー
    (公開:2020年12月ネットフリックス配信)
    作品説明を開く▼
    ネットフリックス作品。

    映画の歴史の中で、最高の傑作の一つとして評価されている「市民ケーン」。 この映画の脚本を書いたハーマン・マンキーウィッツが主人公になっている。 彼が、若き巨匠・オーソン・ウェルズ監督から脚本の執筆者クレジットを勝ち取ろうとする姿を描く。

    デビッド・フィンチャー監督の6年ぶりの監督作品。 フィンチャーは「ソーシャル・ネットワーク」「ベンジャミン・バトン」「ファイト・クラブ」「セブン」など数々の名作を生んできた。 このうち、Facebookの創業者を描いた「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)はオスカー作品賞を逃したが、 その後、歴史的な名作としての評価が定着した。 同じく絶賛された「ゴーン・ガール」以来の監督復帰である。

    フィンチャーの父親で、脚本家だったジャック・フィンチャーが書いた脚本に基づく。 主演はゲイリー・オールドマン。
     予告編→
     ネトフリ→
     宇多丸ラジオ解説→

  • 「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」
     ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償
    監督:シャカ・キング
    (DVDレンタル:2021年9月3日)
     予告編→
     ブルーレイ(Amazon)→
     町山ラジオ解説→

歴代の作品賞→

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監督賞 クロエ・ジャオ

「ノマドランド」

クロエ・ジャオ

女性として史上2人目の監督賞。2010年のキャスリン・ビグロー(ハート・ロッカー)以来、11年ぶり。

1982年北京生まれの中国籍。 アメリカで映画を学び、そのまま米国に住みついた。 本作が長編3作目。38歳。

前年のポン・ジュノ監督(韓国人、パラサイト)に続いて、2年連続のアジア人の監督賞受賞。 前々年はメキシコ人のアルフォンソ・キュアロンが獲得しており、 3年連続の外国人の受賞となった。

 作品一覧→

 作品の特別映像→

 レビューや過去作の紹介動画(シネコト)→

 受賞スピーチ→


歴代の監督賞→

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主演男優賞 アンソニー・ホプキンス

「ファーザー」

アンソニー・ホプキンス

83歳での栄冠。アカデミー賞の最高齢受賞の記録を塗り替えた。

1992年に「羊たちの沈黙」で同じ部門を受賞して以来29年ぶり2度目。 ノミネートは、助演部門を含めると今回で6度目だった。

アルツハイマーの高齢者を演じた。 自らの存在が足元から崩れる恐怖や怒り、葛藤といった複雑な感情を見事に表現した。 長いキャリアの中でも最高級と称賛された。

当初は、大腸がんで亡くなったチャドウィック・ボーズマンが最有力と予想されていたが、 賞レース終盤でホプキンスが英国アカデミー賞を獲るなど、追い上げた。

英国人。シェークスピア劇の出身。

 作品一覧→

 1992年の受賞スピーチ→

受賞スピーチ↓>

歴代の主演男優賞→

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主演女優賞 フランシス・マクドーマンド

「ノマドランド」

フランシス・マクドーマンド

1997年「ファーゴ」、2018年「スリー・ビルホード」に続いて、3度目の受賞。 メリル・ストリープ、イングリッド・バーグマンら映画史に残る大御所たちに並んだ。 「主演」部門だけでの3度受賞となると、 4回のキャサリン・ヘプバーンと、3回のダニエル・デイ・ルイス(男優)に続く3人目の快挙。

本作では、物静かで地味な役柄を、説得力あふれるリアル感で演じた。 表情やしぐさによる繊細な演技が絶賛された。

共同プロデューサーとして作品賞も手にした。 原作となる本を読んで感銘を受け、 仲間とともに映画化権を取得。 ほとんど無名だった若手監督(クロエ・ジャオ)を指名し、プロジェクトを大成功へと導いた。

 作品一覧→

 本編映像→

 受賞スピーチ→


歴代の主演女優賞→

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助演男優賞 ダニエル・カルーヤ

「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」

ダニエル・カルーヤ

「ゲット・アウト」(2018年)での主演男優賞ノミネート以来2度目の候補入りにして初のオスカー獲得となった。
黒人運動の指導者フレッド・ハンプトンを演じた。 スピーチ場面などでの言葉の説得力や、本人が乗り移ったかのようなカリスマ性は圧巻。 静かなシーンでもしっかりと魅せ、表現力の幅広さを証明した。
他のキャストとともに、 演技で魅了する秀作を実現。 なぜか「主演」のスタンフィールドまで、一緒に「助演」賞に一緒にノミネートされるというオマケもついた。

 作品一覧→

 動画(スピーチのシーン)→

 レビュー動画(シネコト)→

 受賞スピーチ→


歴代の助演男優賞→

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助演女優賞 ユン・ヨジョン

「ミナリ」

ユン・ヨジョン

韓国映画界の発展を長年にわたって引っ張ってきた大物女優。
本作では、破天荒なおばあちゃん役を演じた。 韓国語にブロークン英語を交えたコミカルな芝居。 顔の表情やしぐさも含めて、超ベテランならではの名演で笑いと涙を誘った。

韓国人として俳優部門での初受賞。 前年のポン・ジュノ監督(パラサイト)に続く韓国映画界の栄冠。 アジア人の俳優部門の受賞は、1985年にハイン・ニョール(カンボジア人)が「キリング・フィールド」で助演男優賞を受賞して以来、36年ぶり。

授賞式でのスピーチも好評だった。

 作品一覧→

 映画のシーン→

 受賞スピーチ→


歴代の受賞者(助演女優賞)→

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長編アニメ賞 「ソウルフル・ワールド」

(ピクサー)

ソウルフル・ワールド

ピクサーの歴史の残る傑作の一つと称賛された。
事故で命をおとし、ソウル(魂)になった男性が主人公。 彼は音楽教師で、長年の夢だった音楽家としての演奏デビューのチャンスが目前に迫っていた。 現世に戻る冒険の中で、生命と向き合う。
コロナの影響で劇場公開されなかった。

(公開:2020年12月25日、ディズニープラス配信)

 予告編→

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→

 動画配信(ディズニープラス)→

 受賞スピーチ→

 レビュー動画(ツッチ)→

歴代のアニメ賞→

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脚本賞 「プロミシング・ヤング・ウーマン」

(脚本家:エメラルド・フェネル)

プロミシング・ヤング・ウーマン

 受賞スピーチ→

 レビューと脚本解説(シネコト)→
  • 「シカゴ7裁判」
    (脚本家:アーロン・ソーキン)
     シカゴ7裁判
     ネタバレ解説(シネコト)→

  • 「ミナリ」
    (脚本家:リー・アイザック・チョン)
     ミナリ

  • 「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」
    (脚本家:ダリウス・マーダー、エイブラハム・マーダー)
     サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~

  • 「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」
    (脚本家:ウィル・バーソン、シャカ・キング)
     ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償

歴代の脚本賞→

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脚色賞 「ファーザー」

(脚本家:クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール)

ファーザー

 受賞スピーチ→

 解説動画(シネコト)→

歴代の脚色賞→

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国際映画賞 「アナザーラウンド」

(デンマーク)

アナザーラウンド

※デンマークを代表するトマス・ヴィンターベア監督の作品。 酒の魔力にのめり込む男たちの物語。 主人公の高校教師が、同僚3人と「アルコール摂取によって人生を劇的に良くする」という理論の実践を試みる。 すると、冷え切った家族関係が改善し、授業も絶好調になった。男たちはさらなる効果を求め、強い酒に手を出す。

日本からは「朝が来る」(河瀬直美監督)が出品されたが、ノミネート候補作品(ショートリスト)に入らなかった。

(公開:2021年9月3日)

 予告編→

 受賞スピーチ→

 町山ラジオ解説→
  • 「少年の君」
     少年の君
    (香港)
    (公開:2021年7月16日)
     予告編→

  • 「コレクティブ 国家の嘘」
     コレクティブ 国家の嘘
    (ルーマニア)
    (公開:2021年10月2日)
     予告編→
     町山解説→

  • 「皮膚を売った男」
     皮膚を売った男
    (チュニジア)
    (公開:2021年11月12日)
     予告編→

  • 「アイダよ、何処へ?」
     アイダよ、何処へ?
    (ボスニア、ヘルツェゴビナ)
    (公開:2021年9月17日)
     予告編→

歴代の国際映画賞→

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 ※2021年の全部門を見る→

2020年(第92回)

  • ■ 作品賞:
    「パラサイト 半地下の家族」
  • ■ 最多受賞:
    「パラサイト 半地下の家族」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ジョーカー」(11個)

2020年の全部門の一覧は特集ページ→へ。

韓国「パラサイト」が作品賞。非英語の作品で史上初の快挙

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を受賞。英語以外の映画として史上初の快挙となりました。監督賞や脚本賞なども獲り、最多4冠に輝きました。

2021年↑ | 2020年 | 2019年↓

2020年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「パラサイト 半地下の家族」

パラサイト 半地下の家族

【配信:アマゾン

監督:ポン・ジュノ

韓国映画としてはもちろん、英語以外の映画として史上初の作品賞に輝いた。まさに歴史的な快挙だった。

「半地下住宅」という劣悪な生活環境で暮らす貧しい家族が主人公。 貧富の格差などがテーマ。ドラマ、コメディ、サスペンス、風刺、ホラー、悲劇、社会への問題提起など、 あらゆる要素がダイナミックに交錯する傑作との称賛を浴びた。

ポン・ジュノ監督は「母なる証明」「殺人の追憶」が世界で絶賛され、映画評論家や映画通の間では神的な存在ではあった。しかし、一般の米国人は知られておらず、当初は、本作の作品賞獲得を予想する声は少なかった。

アメリカ人は業界関係者であっても字幕で映画を見ることにそれほど慣れていない。字幕映画という点はやはり不利。しかし、芸術性だけでなく、シンプルな娯楽性という点において傑出した本作は、エンタメ映画として幅広い層から熱烈な支持を得ることに成功した。

終盤にはハリウッドの業界人の間でも応援団的な動きが出てきた。 過去数年で海外のアカデミー会員(日本でいえば北野武、是枝裕和)が増えたことも追い風になったようだ。

この後、韓国音楽グループ「BTS」、韓国ドラマ「イカゲーム」などが世界を席巻し、コンテンツ大国としての存在感を発揮することとなった。

(公開:2020年1月10日)

 説明ページ→

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 授賞式の発表の瞬間(動画)→
  • 1917 命をかけた伝令
    1917 命をかけた伝令
    監督:サム・メンデス
    ※戦争映画であり、ハリウッドらしい大作。主人公たちをカメラが切れ目なく追いかけているように見せる撮影手法など技術面で高い評価を受けた。「IMAX」の映画館で鑑賞したときの臨場感も称賛の的。 Netflixのようなネット配信が映画館の存在を脅かすなかで、「劇場体験」の凄さを味わえる大作としてプッシュする声が拡大した。 戦争映画としては「プライベート・ライアン」(1998年)以来の傑作という声も出た。 サム・メンデス監督はデビュー作「アメリカン・ビューティー」で2020年に作品賞と監督賞を受賞しており、20年ぶりに本命候補に名をつらねた。
    オスカー前哨戦の中で最も重要視されている「PGA(全米プロデューサー組合賞)」で作品賞を獲得。 ゴールデングローブ賞も制し、受賞歴では本年トップ。
    第一次世界大戦下のフランス北部が舞台。 主人公は、英国軍の若い兵士2人。 1600人の友軍兵士を救うため、 重要な伝令を担って、 危険な戦場を駆ける。
    (公開:2020年2月14日)  予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
     解説→
  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    監督:クエンティン・タランティーノ
    ※やや落ち目の俳優とその専属スタントマンの2人を主人公とする愉快なドラマ。略称「ワンハリ」。 作品の舞台が「1960年代のアメリカ映画業界」になっており、 ハリウッドへのノスタルジーと愛情に満ちている。 内輪ネタが好きなアカデミー賞の投票権者から支持を得た。
    オスカー前哨戦の序盤では「アイリッシュマン」に負け続けたが、 年明けの放送映画批評家協会賞で作品賞を獲得。 アイリッシュマンと入れ替わる形で有力候補に浮上した。 過去のタランティーノの数々の業績も大きなプラス材料となり、最後まで本命候補の一角を占めた。
    (公開:2019年8月)
     予告編→
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     吹替版(Amazon)→
     解説→
  • ジョーカー
    ジョーカー
    監督:トッド・フィリップス
    ※大人気漫画「バットマン」の悪役ジョーカーが主人公。 孤独な大道芸人が、凶悪な犯罪者へと変貌する過程を描く。
    世界で記録的な大ヒットとなった勢いに乗り、最多となる11部門にノミネートされた。 コミック映画でありながら、ドラマ性を重視したダークな作風に挑戦し、見事に成功させた業績が評価された。 興行収入は本年度の候補作の中で断トツの1位。
    賞レースの序盤では、伝統のある「ベネチア国際映画祭」でいきなり作品賞を受賞した。 だが、アメリカ国内の評論家や映画ファンの評判は、賛否両論に分かれた。 ロッテン・トマトのスコアは69%。作品賞候補作の中で最も低かった。
    低評価の理由としては、 「ややチープな政治的意見を前面に出すぎている」 「マーティン・スコセッシ監督の『タクシー・ドライバー』『キング・オブ・コメディ』など過去の映画の焼き直しだ。新鮮さがない」 「暴力に対する批判的な視点が足りない」 などが挙げられている。
    それでも、主役ホアキン・フェニックスの演技については、絶賛の一色だった。
    (公開:2019年10月)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
  • アイリッシュマン
    アイリッシュマン
    監督:マーティン・スコセッシ
    ※巨匠スコセッシ監督のマフィア映画。ネットフリックス(Netflix)のオリジナル作品。 主演はロバート・デ・ニーロ。 スコセッシとデニーロのコンビは、 「タクシードライバー」「レイジング・ブル」「グッドフェローズ」といった歴史的な名作を生んだが、今回はそれらに匹敵する出来栄えと評価された。
    賞レースの序盤戦で快走したが、盛り上がりが持続せず、 終盤に入って失速した。 3時間30分という上映時間が長すぎること、 主人公(マフィアの殺し屋)に共感しづらい、 などが失速の原因として指摘された。
    (公開:2019年11月)
     解説→
     Netflix→
     予告編→
     特別映像→
  • マリッジ・ストーリー
    マリッジ・ストーリー
    監督:ノア・バームバック
    ※ネットフリックス(Netflix)のオリジナル映画。離婚問題に直面する夫婦の愛憎劇。 夫はニューヨークで活動する舞台監督。 妻は女優であり、ロサンゼルスで息子とともに再出発をしようとする。 1980年のアカデミー賞で作品賞を受賞した「クレイマー・クレイマー」の21世紀版とも受け止められた。
    ノア・バームバック監督は「フランシス・ハ」などで知られる。 会話劇を得意とするバームバックのスキルがいかんなく発揮された。
    夫役のアダム・ドライバーと妻役のスカーレット・ヨハンソンがぞれぞれ主演でノミネート入り。 離婚専門の攻撃的な弁護士を演じたローラ・ダーンが助演女優賞に輝いた。
    (公開:2019年11月)  予告編→
     Netflix→
     解説→
  • フォードvsフェラーリ
    フォードvsフェラーリ
    監督:ジェームズ・マンゴールド
    ※大衆から評論家まで幅広く愛された王道ハリウッド映画。
    世界の3大自動車レースの一つ、「ル・マン24時間レース」の実話に基づいている。 時代設定は1963年。 カーレース界で王者に君臨していたイタリアのフェラーリに対して、米フォードがプライドを賭けて挑む。 フォードの技術者(マット・デイモン)と、ドライバーに抜擢された英国人の型破りなレーサー(クリスチャン・ベール)の友情がストーリーの軸になる。

    (公開:2020年1月10日)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
  • ジョジョ・ラビット
    ジョジョ・ラビット
    監督:タイカ・ワイティティ
    ※ナチスが権力を握った第二次世界大戦下のドイツが舞台。コメディとしてのユーモアや風刺を貫きながら、問題の本質に迫った姿勢が称賛された。マーベル映画「マイティ・ソー バトルロイヤル」を成功させたタイカ・ワイティティ監督の辛口のユーモア・センスが光る。
    主人公の少年は、アドルフ・ヒトラーを空想上の友達にするが、 自分の母親(スカーレット・ヨハンソン)がユダヤ人の少女をかくまっているのを見つけた。
    アカデミー賞の前哨戦の中で、 最も有力な試金石の一つとなるトロント国際映画祭において、 最高賞の「観客賞」を受賞した。
    (公開:2020年1月17日)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
  • ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
    ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
    監督:グレタ・ガーウィグ
    ※名作文学「若草物語」の映画化。 感動もの。南北戦争下のアメリカを舞台に、 田舎の四姉妹の成長ドラマを描く。
    監督は、アカデミー賞作品賞ノミネートの「レディ・バード」で大絶賛されたグレタ・ガーウィグ。 主演は、「レディ・バード」「ブルックリン」で2度アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナン。
    若草物語はこれまでに何度か映画化されてきたが、 今回はシニカルで現代的なタッチで知られるガーウィグ監督が独特な脚色を加えた。 アメリカでは、主に白人女性の映画ファンから絶大な支持を得た。
    (公開:2020年6月12日)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→

 ※歴代の受賞作(作品賞)→
監督賞 ポン・ジュノ

「パラサイト 半地下の家族」

韓国人として初の監督賞。アジア人としてはアン・リー監督(台湾)以来、2人目。

強烈なオリジナリティにあふれる作品をつくったことが、 大絶賛された。 オスカー前哨戦の授賞式や受賞スピーチでの落ち着きと愛嬌を備えた振る舞いも好感された。

 作品一覧→

 受賞スピーチ(動画)と日本語訳→
  • サム・メンデス
    「1917 命をかけた伝令」
    ※作品の技術面における到達度の高さが評価された。 前哨戦では、最大の山場となるDGA(全米監督組合賞)を制した。 戦争に従軍した祖父から子供のころに聞いた話を自ら脚本化し、大作映画に仕上げた。 デビュー作「アメリカン・ビューティー」以来20年ぶりの受賞が有力視されたが、惜しくも落選した。
     作品一覧→
  • クエンティン・タランティーノ
    「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
     作品一覧→
  • マーティン・スコセッシ
    「アイリッシュマン」
     作品一覧→
  • トッド・フィリップス
    「ジョーカー」
     作品一覧→

 歴代の受賞者(監督賞)→
主演男優賞 ホアキン・フェニックス

「ジョーカー」

初のオスカー獲得。 過去に「グラディエーター」「ウォーク・ザ・ライン」「ザ・マスター」でノミネートされた。
作品「ジョーカー」に対しては好き嫌いがはっきり分かれたが、フェニックスの演技に対しては賛美一色となった。

 作品一覧→
  • アントニオ・バンデラス
    「ペイン・アンド・グローリー」
    ※長いキャリアの中で最高の演技と称賛された。
     作品一覧→
  • アダム・ドライバー
    「マリッジ・ストーリー」
    ※インディー系のドラマからスター・ウォーズのようなSF大作まで、 どんな仕事でも輝かしい仕事ぶりを見せていた。 マリッジ・ストーリーでの演技は、ホアキン・フェニックスのような派手さはないが、多くの人の心をわしづかみにした。
     作品一覧→
  • レオナルド・ディカプリオ
    「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
     作品一覧→
  • ジョナサン・プライス
    「2人のローマ教皇」
     作品一覧→

 ※歴代の主演男優賞→
主演女優賞 レネー・ゼルウィガー

ジュディ 虹の彼方に

伝説のミュージカル女優を見事に演じきった。 しばらくトップ女優の座とは縁遠かったが、見事なカムバックを果たした。2004年に「コールド・マウンテン」で助演女優賞を受賞して以来、 16年ぶり2度目のオスカー獲得となった。

17歳にして一躍スターダムに駆け上がるものの、47歳の死まで波乱の女優人生を送ったジュディの最期の日々と、起死回生を懸けたラスト・ステージの裏側を描く。ゼルウィガーは、圧倒的なパフォーマンスで全曲を自ら歌い上げた。さらに、女性としての苦悩も表現した。

 作品一覧→

 レッドカーペット→

 受賞発表とスピーチ(動画)→

 ※歴代の主演女優賞→
助演男優賞 ブラッド・ピット

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

55歳にしてキャリア最高の演技を見せた。 主演のレオナルド・ディカプリオも名演だったが、 強烈な存在感とカッコよさで老若男女を絶句させたブラピには、 絶賛の嵐が沸き起こった。

過去にプロデューサーとして「それでも夜は明ける」で作品賞を受賞。 役者としては4度目のノミネートで初の受賞となった。

 作品一覧→

 ※歴代の助演男優賞→
助演女優賞 ローラ・ダーン

「マリッジ・ストーリー」

離婚専門の攻撃的な弁護士を、リアルに演じた。 モデルとなったセレブご用達の離婚弁護士ローラ・ワッサーの百戦錬磨ぶりを見事に表現した。 とりわけ最初の法律相談や法廷でのシーンの演技は極めて評判が良い。

俳優の組合活動にも熱心で、業界内部での信頼が厚い。

 作品一覧→
  • マーゴット・ロビー
    「スキャンダル」
     作品一覧→
  • スカーレット・ヨハンソン
    「ジョジョ・ラビット」
    ※輝かしいキャリアと様々な映画賞の受賞歴を持ちながら、 なんと、アカデミー賞は初のノミネート。
     作品一覧→
  • フローレンス・ピュー
    「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
     作品一覧→
  • キャシー・ベイツ
    「リチャード・ジュエル」
     作品一覧→

 ※歴代の助演女優賞→
長編アニメ賞 トイ・ストーリー4
※ロッテン・トマトで「97」という驚異の高スコアを獲得。 前作の「トイ・ストーリー3」ほどではないが、やはりピクサーの歴史に名を残す秀作として称賛された。

アニー賞で「クロース」に敗れた。 ゴールデングローブ賞では「ミッシング・リンク」に敗北を喫した。 それでもPGA(プロデューサー組合賞)などの前哨戦で勝利した。

同じディズニーの「アナと雪の女王2」がノミネートから漏れたことで、ディズニー陣営も危機感を抱き、 必死に賞獲りに乗り出した。

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→
  • クロース
    ※ネットフリックス作品。サンタ・クロースの誕生プロセスを描く。 アニメ映画の最高峰であるアニー賞で、トイ・ストーリー4をおさえて作品賞に輝いた。
    ディズニー・ピクサー連合の続編(シリーズもの)が興行収入トップを独占するなかで、 本作のような優れたオリジナル作品への期待が一段と高まった。
     予告編→
     Netflix→
  • 失くした体
     予告編→
     Netflix→
  • ヒックとドラゴン 聖地への冒険
    (公開:2019年12月20日)
     予告編→
  • ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒
    (公開:2020年11月)
     予告編→

 ※歴代のアニメ賞→
国際映画賞(外国語映画賞) パラサイト 半地下の家族

 (韓国)

 公開:2020年1月10日

 予告編→

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→

パラサイト 半地下の家族

 ※歴代の国際映画賞→
脚本賞 パラサイト 半地下の家族

 ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    クエンティン・タランティーノ
  • マリッジ・ストーリー
    ノア・バームバック
  • ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
    ライアン・ジョンソン
  • 1917 命をかけた伝令
    サム・メンデス
    クリスティ・ウィルソン=ケアンズ

 ※歴代の脚本賞→
脚色賞 ジョジョ・ラビット

 タイカ・ワイティティ
  • ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
    グレタ・ガーウィグ
  • アイリッシュマン
    スティーブン・ザイリアン
  • 2人のローマ教皇
    アンソニー・マクカーテン
  • ジョーカー
    トッド・フィリップス、スコット・シルバー

 ※歴代の脚色賞→
衣装賞 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

(ジャクリーン・デュラン)

 解説動画(英語)→
  • ジョジョ・ラビット
    (マイェス・C・ルベオ)
     解説動画(英語)→
  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    (アリアンヌ・フィリップス)
     解説動画(英語)→
  • アイリッシュマン
    (サンディ・パウエル&クリストファー・ピーターソン)
     解説動画(英語)→
  • ジョーカー
    (マーク・ブリッジス)

 ※歴代の衣装賞→

※2020年の全部門(結果・解説・作品の評価)を見る→

2010年代

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2019年(第91回)

  • ■ 作品賞:
    「グリーンブック」
  • ■ 最多受賞:
    「ボヘミアン・ラプソディ」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ROMA/ローマ、女王陛下のお気に入り」(10個)

「グリーンブック」が、最有力候補と見られていた「ROMA/ローマ」を破り、作品賞を獲得しました。日本で超大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」は主演男優賞など最多4部門を獲得しました。

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2019年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「グリーンブック」

グリーンブック

【配信:アマゾン

監督:ピーター・ファレリー

黒人ピアニストと白人運転手の友情を描く。 実話に基づいた物語。心温まる内容。

時は1962年。 既にニューヨークを拠点に音楽界で大成功を収めていたシャーリーが、人種差別が悪質な米国南部へと演奏ツアーに向かう。 その専属運転手として、イタリア系の用心棒トニーが雇われる。 エリート教育を受けてきた知性派の黒人シャーリーと、 労働者階級の白人トニーのやり取りがコミカルに描写されている。

トニーの実の息子が50年の時を経て脚本を書いた。 ピーター・ファレリー監督は、「メリーに首ったけ」などコメディー映画で知られる。 いわゆるロードムービーであるとともに、クリスマス映画でもある。

ネットフリックスの白黒映画「ROMA/ローマ」との一騎打ちの展開。 事前予想ではローマが有力視されていた。 しかし、大衆的な面白味にあふれたグリーンブックが栄冠を手にした。

(公開:2019年3月1日)

 説明ページ→

<受賞スピーチ▼>


<予告編▼>


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監督賞 アルフォンソ・キュアロン
「ROMA/ローマ」

※メキシコ人。
  • スパイク・リー
    「ブラック・クランズマン」
  • ヨルゴス・ランティモス
    「女王陛下のお気に入り」
  • アダム・マッケイ
    「バイス」
  • パヴェウ・パヴリコフスキ
    「COLD WAR あの歌、2つの心」
     作品一覧(マイ・サマー・オブ・ラブ→イーダ→

 歴代の受賞者→
主演男優賞 ラミ・マレック
「ボヘミアン・ラプソディ」

クイーンのフレディ・マーキュリーを演じた。アラブ人で初の主演男優賞となった。

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • クリスチャン・ベイル
    「バイス」
     作品一覧→
  • ブラッドリー・クーパー
    「アリー/スター誕生」
     作品一覧→
  • ヴィゴ・モーテンセン
    「グリーンブック」
     作品一覧→
  • ウィレム・デフォー
    「永遠の門 ゴッホの見た未来」
     作品一覧→

 歴代の受賞者→
主演女優賞 オリビア・コールマン
「女王陛下のお気に入り」

 受賞スピーチ→
  • グレン・クローズ
    「天才作家の妻 -40年目の真実-」
  • レディー・ガガ
    「アリー/スター誕生」
  • メリッサ・マッカーシー
    「ある女流作家の罪と罰」
  • ヤリツァ・アパリシオ
    「ROMA/ローマ」

 歴代の受賞者→
助演男優賞 マハーシャラ・アリ
「グリーンブック」
  • リチャード・E・グラント
    「ある女流作家の罪と罰」
  • サム・エリオット
    「アリー/スター誕生」
  • アダム・ドライバー
    「ブラック・クランズマン」
  • サム・ロックウェル
    「バイス」

 歴代の受賞者→
助演女優賞 レジーナ・キング
「ビール・ストリートの恋人たち」
  • レイチェル・ワイズ
    「女王陛下のお気に入り」
  • エマ・ストーン
    「女王陛下のお気に入り」
  • エイミー・アダムス
    「バイス」
  • マリーナ・デ・タビラ
    「ROMA/ローマ」

 歴代の受賞者→
長編アニメ賞 スパイダーマン:スパイダーバース

(公開:2019年3月8日)

 予告編(字幕版、Amazon)→

 予告編(吹替版、Amazon)→

 歴代の受賞作→
外国語映画賞 ROMA/ローマ

(メキシコ)

(公開:2018年12月からNetflixで配信)

 予告編→

 Netflix→

アルフォンソ・キュアロン監督が、自身の少年期を投影して製作したNetflixオリジナルのヒューマンドラマ。中産階級の家で家政婦をする女性を通して、政治的混乱の渦中にあった1970年初頭のメキシコでの1年を描く。アカデミー賞では、外国語映画賞のほか、監督賞など計3部門を受賞した。主演は本作で女優デビューを果たしたヤリッツァ・アパリシオ。

 歴代の受賞作→
脚本賞 グリーンブック

 ピーター・ファレリー
 ニック・バレロンガ
 ブライアン・クリー

 予告編→

 歴代の受賞作→
脚色賞 ブラック・クランズマン

 スパイク・リー
 デヴィッド・ラビノウィッツ
 ケヴィン・ウィルモット
 チャーリー・ワクテル

 受賞スピーチ(動画)→
  • ある女流作家の罪と罰
    ニコール・ホロフセナー、ジェフ・ウィッティ
     予告編→
  • ビール・ストリートの恋人たち
    バリー・ジェンキンス
  • バスターのバラード
    コーエン兄弟
     予告編→
  • アリー/スター誕生
    エリック・ロス、ブラッドリー・クーパー、ウィル・フェッターズ

 歴代の受賞作→
衣装デザイン賞 ブラックパンサー

(ルース・E・カーター)

 解説動画(英語)→

 歴代の受賞作→
長編ドキュメンタリー賞 Free Solo(原題)

(監督:エリザベス・チャイ・バサヒリー、ジミー・チン)

 予告編(字幕なし)→

 歴代の受賞作→

2018年(第90回)

  • ■ 作品賞:
    「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • ■ 最多受賞:
    「シェイプ・オブ・ウォーター」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「シェイプ・オブ・ウォーター」(11個)

「シェイプ・オブ・ウォーター」と「スリー・ビルホード」の一騎打ちとなりました。前哨戦で熾烈な争いを展開していた2作品。オスカーでは、ダークな社会ドラマである「スリー・ビルホード」でなく、ゴージャスなファンタジー「シェイプ・オブ・ウォーター」に軍配が上がりました。

2019年↑ | 2018年 | 2017年↓

2018年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「シェイプ・オブ・ウォーター」

シェイプ・オブ・ウォーター

【配信:アマゾン

監督:ギレルモ・デル・トロ

半魚人と女性のラブロマンス映画。ファンタジーもの。美しいおとぎ話である。 「怪獣もの映画として初のオスカー作品賞」とも言われる。

ヒレやウロコのある生々しい半魚人。最初は恐ろしい怪人に見えるが、だんだんとイケメンに見えてくる。 ヒロインの女性は発声に障害があり、口がきけない。簡単な手話や音楽で、半魚人と心を通わせていく。

監督は、メキシコ人のギレルモ・デル・トロ(当時53歳)。 怪獣や特撮を愛するオタク系であり、親日派。 特殊メイクの助手として映画界に入った。 「パンズ・ラビリンス」(2006年)でアカデミー賞3部門を獲得した。

前哨戦では、社会派ドラマ「スリー・ビルボード」と勝利を二分していた。 オスカーでは、華やかさや視覚的な芸術性で上回るシェイプ・オブ・ウォーターが勝利した。

(日本公開:2018年3月1日)

 説明ページ→

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

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長編アニメ賞 リメンバー・ミー

監督賞 ギレルモ・デル・トロ
(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • クリストファー・ノーラン(ダンケルク)
  • ジョーダン・ピール(ゲット・アウト)
  • グレタ・ガーウィグ(レディ・バード)
  • ポール・トーマス・アンダーソン(ファントム・スレッド)
主演男優賞 ゲイリー・オールドマン
(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)
  • デンゼル・ワシントン
    「ローマンという名の男 -信念の行方-」
  • ダニエル・デイ・ルイス
    「ファントム・スレッド」
  • ティモシー・シャラメ
    「君の名前で僕を呼んで」
  • ダニエル・カルーヤ
    「ゲット・アウト」
主演女優賞 フランシス・マクドーマンド
「スリー・ビルボード」

 受賞スピーチ→
  • メリル・ストリープ
    「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
  • サリー・ホーキンス
    「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • シアーシャ・ローナン
    「レディ・バード」
  • マーゴット・ロビー
    「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
助演男優賞 サム・ロックウェル
(スリー・ビルボード)
  • ウディ・ハレルソン(スリー・ビルボード)
  • ウィレム・デフォー(フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法)
  • リチャード・ジェンキンス(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • クリストファー・プラマー(ゲティ家の身代金)
助演女優賞 アリソン・ジャニー
(アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル)
  • メアリー・J・ブライジ(マッドバウンド 哀しき友情)
  • ローリー・メトカーフ(レディ・バード)
  • オクタビア・スペンサー(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • レスリー・マンビル(ファントム・スレッド)
脚本賞 ゲット・アウト

(ジョーダン・ピール)

 予告編(Amazon)→
  • ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ
    (エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ)
     予告編(Amazon)→
  • スリー・ビルボード
    (マーチン・マクドナー)
  • シェイプ・オブ・ウォーター
    (ギレルモ・デル・トロ&ヴァネッサ・テイラー)
  • レディ・バード
    (グレタ・ガーウィグ)
脚色賞 君の名前で僕を呼んで

(ジェームズ・アイボリー)

 予告編(Amazon)→
  • モリーズ・ゲーム
    (アーロン・ソーキン)
     予告編(Amazon)→
  • ローガン
    (ジェームズ・マンゴールド、スコット・フランク、マイケル・グリーン)
     予告編(Amazon)→
  • ディザスター・アーティスト
    (スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー)
     予告編(Amazon)→
  • マッドバウンド 哀しき友情
    (バージル・ウィリアムズ、ディー・リース)
     Netflix→
外国語映画賞 ナチュラルウーマン

(チリ)

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→
長編ドキュメンタリー賞 イカロス

 Netflix→

 予告編→
衣装デザイン賞 ファントム・スレッド

(マーク・ブリッジス)

 予告編(Amazon)→
  • 「美女と野獣」(ジャクリーヌ・デュラン)
  • 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(ジャクリーヌ・デュラン)
  • 「シェイプ・オブ・ウォーター」(ルイス・セケイラ)
  • 「ヴィクトリア女王 最期の秘密」(コンソラータ・ボイル)
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
辻一弘、デヴィッド・マリノフスキ、ルーシー・シビック)
  • 「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
  • 「ワンダー 君は太陽」

2017年(第89回)

  • ■ 作品賞:
    「ムーンライト」
  • ■ 最多受賞:
    「ラ・ラ・ランド」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ラ・ラ・ランド」(14個)

ハリウッド的な華々しさに満ちた傑作ミュージカル「ラ・ラ・ランド」が作品賞の最有力候補と見られていました。 ただ、黒人男性の半生記「ムーンライト」も、映画評論家から絶大な支持を受けており、勢いがありました。 結果は、骨太で時代性を濃く反映させたムーンライトの勝利となりました。ムーンライトの製作費は1.5億ドルで、ラ・ラ・ランドの20分の1。 製作・配給は、新興の独立系「A24」。米国映画界のダイナミズムを示す歴史的な勝利となりました。

2018年↑ | 2017年 | 2016年↓

2017年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ムーンライト」

ムーンライト

【配信:配信:アマゾン

監督:バリー・ジェンキンズ

製作費1.5億円という小規模予算。 正真正銘のインディー映画である。

主人公はゲイの黒人。 いじめ、差別、貧困に直面しながら生きる姿が、静かな語り口で描かれる。 子供時代、高校時代、大人時代の3部に分かれている。 美しい映像と音楽とともに、主人公の内面へ引き込む力が、高い評価を得た。

黒人のバリー・ジェンキンス監督は37歳。本作が長編2作目となった。 登場人物もほとんどが黒人。 このうち、麻薬の売人を演じるマハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞した。

配給は、質の高いインディー映画で有名なアメリカの「A24」。 製作は、ブラッド・ピットが経営する「プランB」とA24が共同で手がけた。

事前予想では、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」が最有力との声が圧倒的に多かった。 とはいえ、批評家からの評価は「ムーンライト」のほうが、やや上だった。 両作品とも、歴史に残る傑作として語り継がれている。


<受賞発表のハプニング映像>

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 宇多丸の解説→

 説明ページ→
長編アニメ賞 ズートピア

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
監督賞 デミアン・チャゼル
(ラ・ラ・ランド)

オリジナルの曲と脚本で、廃れつつあった古典ミュージカルのスタイルを復活させた。 学生時代から構想を温めていたという。当時32歳。史上最年少の受賞となった。
  • バリー・ジェンキンズ(ムーンライト)
  • ケネス・ロナーガン(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
  • ドゥニ・ヴィルヌーヴ(メッセージ)
  • メル・ギブソン(ハクソー・リッジ 命の戦場)
主演男優賞 ケイシー・アフレック
(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
  • ライアン・ゴズリング(ラ・ラ・ランド)
  • デンゼル・ワシントン(フェンス)
  • アンドリュー・ガーフィールド(ハクソー・リッジ 命の戦場)
  • ヴィゴ・モーテンセン(はじまりへの旅)
主演女優賞 エマ・ストーン
「ラ・ラ・ランド」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • イザベル・ユペール
    「エル Elle」
  • ルース・ネッガ
    「ラビング 愛という名前のふたり」
  • ナタリー・ポートマン
    「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」
  • メリル・ストリープ
    「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」
助演男優賞 マハーシャラ・アリ
(ムーンライト)
  • ジェフ・ブリッジス(最後の追跡)
  • デヴ・パテル(LION/ライオン 25年目のただいま)
  • マイケル・シャノン(ノクターナル・アニマルズ)
  • ルーカス・ヘッジズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
助演女優賞 ビオラ・デイビス
(フェンス)
  • ミシェル・ウィリアムズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
  • ナオミ・ハリス(ムーンライト)
  • ニコール・キッドマン(LION/ライオン 25年目のただいま)
  • オクタビア・スペンサー(ドリーム)
脚本賞 マンチェスター・バイ・ザ・シー
(ケネス・ロナーガン)
  • 「最後の追跡」(テイラー・シェリダン)
  • 「ラ・ラ・ランド」(デミアン・チャゼル)
  • 「ロブスター」(ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリプ)
  • 「20センチュリー・ウーマン」(マイク・ミルズ)
脚色賞 ムーンライト
(バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー)
  • 「メッセージ」(エリック・ハイセラー)
  • 「フェンス」(オーガスト・ウィルソン)
  • 「ドリーム」(セオドア・メルフィ、アリソン・シュローダー)
  • 「LION/ライオン 25年目のただいま」(ルーク・デイビス)
外国語映画賞 セールスマン

(イラン)

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→
長編ドキュメンタリー賞 O.J.:メイド・イン・アメリカ
(監督:エズラ・エデルマン)

予告編(字幕なし)→
  • 「海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~」
  • 「私はあなたの二グロではない」
  • 「ぼくと魔法の言葉たち」
  • 「13TH -憲法修正第13条-」
衣装デザイン賞 ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
(コリーン・アトウッド)

 Netflix→
  • 「ラ・ラ・ランド」(メアリー・ゾフレス)
  • 「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」(マデリーン・フォンテーヌ)
  • 「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」(コンソラータ・ボイル)
  • 「マリアンヌ」(ジョアンナ・ジョンストン)

2016年(第88回)

  • ■ 作品賞:
    「スポットライト 世紀のスクープ」
  • ■ 最多受賞:
    「マッドマックス 怒りのデスロード」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「レヴェナント 蘇りし者」(12個)

豊作の年でした。作品賞は「スポットライト」「レヴェナント」「マネー・ショート」による三つ巴の争い。さらに「マッドマックス」「オデッセイ」も強力な候補でした。 前哨戦のPGAではマネー・ショートが勝ち、ゴールデングローブ賞ではレヴェナントが勝利。 有力紙LAタイムズはマネー・ショートを予想していました。 結局、大混戦を制したのは「スポットライト」でした。社会的なインパクトの大きさがアカデミー会員に幅広く評価されたと見られます。脚本賞とのわずか2部門での受賞だったことが、この年の豊作ぶりを物語っています。
そして何といってもレオナルド・ディカプリオ(レヴェナント)がついにオスカーを獲得した年として記憶されています。

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2016年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「スポットライト 世紀のスクープ」

スポットライト 世紀のスクープ

【配信:アマゾン

監督:トーマス・マッカーシー

米国のキリスト教会の聖職者による大規模な性的虐待を描いた。 事件をスクープした新聞社が舞台。 新聞記者たちの粘り強さが心を打つ。

この年のオスカーは秀作ぞろいだった。「マネー・ショート」や「レヴェナント」も有力視されていた。 現実の社会問題に対して、奇をてらずにまっすぐに取り組んだ「スポットライト」に軍配が上がった。

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<受賞スピーチ▼>


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監督賞 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
(レヴェナント 蘇えりし者)
  • アダム・マッケイ(マネー・ショート 華麗なる大逆転)
  • ジョージ・ミラー(マッドマックス 怒りのデス・ロード)
  • レニー・アブラハムソン(ルーム)
  • トム・マッカーシー(スポットライト 世紀のスクープ)
主演男優賞 レオナルド・ディカプリオ
(レヴェナント 蘇えりし者)
  • ブライアン・クランストン(トランボ ハリウッドに最も嫌われた男)
  • マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)
  • エディ・レッドメイン(リリーのすべて)
  • マット・デイモン(オデッセイ)
主演女優賞 ブリー・ラーソン
「ルーム」

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 受賞スピーチ→
  • ケイト・ブランシェット
    「キャロル」
  • ジェニファー・ローレンス
    「ジョイ」
  • シャーロット・ランプリング
    「さざなみ」
  • シアーシャ・ローナン
    「ブルックリン」
助演男優賞 マーク・ライランス
(ブリッジ・オブ・スパイ)
  • シルベスター・スタローン(クリード チャンプを継ぐ男)
  • クリスチャン・ベール(マネー・ショート 華麗なる大逆転)
  • マーク・ラファロ(スポットライト 世紀のスクープ)
  • トム・ハーディ(レヴェナント 蘇えりし者)
助演女優賞 アリシア・ヴィキャンデル
(リリーのすべて)
  • ルーニー・マーラ(キャロル)
  • レイチェル・マクアダムス(スポットライト 世紀のスクープ)
  • ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)
  • ケイト・ウィンスレット(スティーブ・ジョブズ)
脚本賞 スポットライト 世紀のスクープ
(ジョシュ・シンガー、トム・マッカーシー)
  • ブリッジ・オブ・スパイ(マット・シャルマン、イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン)
  • インサイド・ヘッド(ピート・ドクター、メグ・