受賞&ノミネート一覧

【主要8部門】 作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞脚本賞脚色賞
【ジャンル別3部門】 アニメ賞国際映画賞ドキュメンタリー賞
技術系9部門 視覚効果賞歌曲賞作曲賞撮影賞編集賞音響賞衣装デザイン賞美術賞メイク&ヘア賞
短編3部門 短編アニメ賞短編ドキュ賞短編実写賞


部門 受賞 ノミネート
▼数年ぶりの高レベル争いも、オッペン独走▼
作品賞 「オッペンハイマー」

オッペンハイマー

米政府の原爆開発チームを率いた科学者の伝記。 大量殺りく兵器を生んだ男のジレンマと波乱の生涯を描く。 クリストファー・ノーラン監督。

独走

オスカー前哨戦では、序盤こそ批評家系の賞で「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」相手に一進一退となる局面もあったが、中盤から早くも圧倒的な独走状態に入った。 本年度のオスカーは全般的にレベルが高く、豊作の年ではあったが、その中でも段違いの強さを見せた。

前年の覇者「エブエブ」と同じ7冠

主要部門では作品賞のほか、監督、主演男優、助演男優を制圧。 技術部門でも3部門(撮影、編集、作曲)を獲り、 前年の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」と同じ7冠に輝いた。
【結果】
受賞 作品賞
監督賞
主演男優賞
 キリアン・マーフィー
助演男優賞
 ロバート・ダウニー・Jr
撮影賞
編集賞
作曲賞
ノミネート 助演女優賞
 エミリー・ブラント
脚色賞
音響賞
美術賞
衣装デザイン賞
メイク&ヘア賞

ノーラン初受賞

「バットマン3部作」「インセプション」「ダンケルク」などで作家性と商業性を両立させてきた名匠ノーラン監督(53歳)は、過去5回オスカーにノミネートされた。本作では監督・脚本・共同プロデューサーを務め、初のオスカー獲得(作品賞と監督賞)となった。
ノーランのオスカー歴▼
作品 部門
2002 「メメント」 脚本賞ノミネート
2011 「インセプション」 作品賞ノミネート

脚本賞ノミネート
2018 「ダンケルク」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2024 「オッペンハイマー」 作品賞受賞

監督賞受賞

脚色賞ノミネート賞

激動の人生を解明

主人公の物理学者オッペンハイマーは、米政府の巨大国家プロジェクト「マンハッタン計画」のリーダーとして原爆開発を成功へと導いた後、より破壊力のある水爆開発の反対へと転換。 政府から公職追放された。その激動の人生を、複数の時間軸を交錯させながら解き明かした。 「天才科学者」「反ナチス・反全体主義者」「国家の英雄」「反逆者」「すけこまし」といった様々な顏を持つ人物像に迫るキャラクター・スタディの傑作として、極めて高い評価を得た。

濃密な会話劇

3時間の長尺で、大半が会話シーン。 しかも内容は科学や政治の難しい話題が中心。 時間軸が何度も前後する複雑な構成。 なおかつ「R」指定ーー。 商業的には不利な条件がそろった知的大人向けドラマだが、幅広い層から支持を集めた。 IMDBの評点は8.4で、作品賞候補の中で断トツのトップ。

映画としての総合力

IMAX70mmフィルムで撮影され、一つ一つのシーンが臨場感や緊迫感に満ちている。 サウンドや劇伴によるムードづくりや、スリリングで飽きさせない編集も巧妙。 短い会話に濃密な情報やドラマ性が詰め込まれた脚本も秀逸で、 見返すたびに新しい発見が得られる。 「映画技術の総合力」が圧倒的に抜きん出ているいるという点で、衆目がほぼ一致した。

演技アンサンブル

俳優陣の演技も絶賛された。オッペンハイマー役のキリアン・マーフィーは長年にわたりノーラン映画の名脇役として活躍してきたが、本作ではド主役に。 抑制された演技で複雑な心理を表現し、物語に見事に溶け込んだ。政府高官役のロバート・ダウニーJrも、キャリアベスト級の好演。 その他数十人にのぼる実力派俳優たちの掛け合いの連続も圧巻。
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バービーとの興行対決で注目

米国では夏休みシーズンに娯楽大作「バービー」と同じ日に全米公開された。 超話題作2本が正面から激突するとあって、 興行の行方に注目が集まった。

「バービー」は若年層の女性が好む華やかな作品。 一方、「オッペンハイマー」はシリアスでダーク、中高年以上の男性が主な客層という対極。 公開最初の週末にどちらを鑑賞するべきか、あるいは、1日で2本鑑賞する場合はどういうスケジュールを組むべきか――。 米国民にとっての「究極の選択」がお茶の間で話題となり、 そこから『バーベンハイマー』という造語が生まれ、流行した。

結果として、映画館に人がどっと押し寄せる社会現象が起き、両作品とも驚愕の興行成績をたたき出した。オッペンハイマーの北米興収は3.3億ドルで、前年のオスカー作品賞「エブリシング・エブリウェア」の4倍以上。世界興収は約1500億円。骨太な大人向けドラマが依然として商業的に成功し得ることを示した意義は大きい。

オッペンハイマーの生涯

オッペンハイマー博士(1904~1967年)は、裕福なドイツ移民(ユダヤ系)の息子としてニューヨークに生まれ、物理学者として高名を確立。 1942年に始まった政府のマンハッタン計画(原爆製造計画)に招かれた。

マンハッタン計画は未曽有の規模の国家プロジェクトであり、ナチスドイツよりも先に原爆を開発することを主たる目的としていた。 最大55万人が動員され、ウラン濃縮が工場がテネシー州に、プルトニウムを生産する原子炉がワシントン州に建設された。

砂漠に研究所

若干38歳でマンハッタン計画のリーダーに選ばれたオッペンハイマーは、 自らが少年期を過ごしたニューメキシコ州ロスアラモスの砂漠地帯を、 研究・開発拠点の立地場所として提案する。 広大な荒野に「国立ロスアラモス研究所」が建設され、全米の一級の科学者が結集。 オッペンハイマーが初代所長に就任した。

核実験を成功に導く

1945年7月16日、オッペンハイマーのチームは史上初の核実験(通称:トリニティ実験)に成功。 すでにドイツは降伏していたが、日本との長い戦争が続いていたアメリカは沸き立った。 10日後の7月26日、米国などの連合国は日本に対して降伏を勧告(ポツダム宣言)するが、日本側はこれを拒否(無視)。 翌月、米トルーマン大統領はウラン原爆「リトルボーイ」を広島に、プルトニウム原爆「ファットマン」を長崎に投下した。 広島で約14万人、長崎で約7万4千人が1945年末までに死亡。その後も放射線による被害に苦しめられ続けた。

罪の意識にさいなまれる

オッペンハイマーは原爆投下に疑問を抱き、 罪の意識にさいなまれるようになる。 長崎への投下の翌日、すっかりふさぎこんでいたという同僚らの証言が残っている。

投下から2カ月後にロスアラモス研究所長を辞任。 その際の挨拶で「原爆が、争う世界の兵器庫や、戦争に備える国々に新たに追加されるなら、人類がロスアラモスと広島の名を呪うときが来るだろう」と語った。 また、翌月トルーマン大統領と会った際には「私の手は血塗られている」と発言し、大統領の怒りをかった。

水爆反対へ

その後、オッペンハイマーは「核の情報公開と国際管理」に向けた活動を始める。いずれソ連(現ロシア)が原爆を開発するのは目に見えていた。 その前に核管理の枠をつくり、果てしない軍拡に歯止めをかけて人類破滅への道を回避することを目指した。

原爆の数百倍以上の威力を持つとされた水爆の開発にも反対した。 原子力委員会の一般諮問委員会の長として、水爆は「防御する手段のない武器」であると、危険性を熱心に訴えたのだった。

公職追放

こうした姿勢が、政府からの迫害を招くことになる。 保守派の共和党が政権に復帰し、 マッカーシズム(冷戦下のアカ狩り)が吹き荒れた1953年、スパイの嫌疑をかけられる。

オッペンハイマーはマンハッタン計画参加前に左翼系知識人たちと交流があり、思想的にもリベラルだったが、共産党員ではなかった。 それでも、米連邦捜査局(FBI)の尾行・盗聴などによって不利な材料がかき集められ、1954年、公職追放の処分を受ける。

名誉回復と死

1963年にジョンソン大統領(民主党)がエンリコ・フェルミ賞を授与して、名誉がある程度回復された。

1965年に喉頭がんと診断(喫煙家だった)。1967年に62歳で死去した。

2022年12月、米エネルギー省のグランホルム長官は、オッペンハイマー氏に対する公職追放は「偏見に基づく不公正な手続きだった」として処分を取り消した。

歴史家などの間では、オッペンハイマーは、 卓越した知力と遂行能力を備えていた人物と評されている。

原作はピュリツァー賞

映画の原作は2007年に出版された伝記「オッペンハイマー『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」。 著者は、歴史家マーティン・シャーウィンと伝記執筆家カイ・バード。 多数のインタビューに基づいており、オッペンハイマーに関する最も優れた伝記と言われている。 ピュリツァー賞も受賞した。

本の原題は「American Prometheus(アメリカのプロメテウス)」。前半は、才能豊かな理論物理学者として活躍し、人類初の原爆実験が成功するまでが描かれる。 後半では、国家の核政策決定の中枢に位置する人物となった時代が綴られる。

映画の撮影前にシャーウィンは亡くなったが、もう一人の著者であるバードは撮影現場を訪れ、ノーラン監督に知恵を授けたという。

5つの時間軸

本作は、主に以下の5つの時間軸で展開される。
(1)学生~学者時代(1920、30年代)
(2)マンハッタン計画参加(1942年~45年)
(3)戦後の数年間。米原子力委員会(AEC)顧問と、アインシュタインらが所属する「プリンストン高等研究所」所長を兼務した時代。原子力委員会メンバーのルイス・ストロース氏(元軍職員)との出会いから関係悪化までを描写する=主に白黒映像
(4)公職追放処分について協議する政府の聴聞会(1954年)
(5)オッペンハイマー追放に関与したストロースの入閣をめぐる連邦議会の審議(1959年)=白黒映像

 監督:クリストファー・ノーラン
 主演:キリアン・マーフィー(ダークナイト3部作、28日後)
 助演:ロバート・ダウニーJr、エミリー・ブラント、マット・デイモン、フローレンス・ピューほか

 公開日:2024年3月29日(日本)
 製作国:アメリカ
 配給:ユニバーサル
 長さ:3時間


【前哨戦での受賞】
・PGA(全米プロデューサー組合賞)
・DGA(米監督組合賞)
・SAG(俳優組合)アンサンブル賞
・批評家チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞ドラマ部門
その他▼ ・アトランタ批評家賞
・セントルイス批評家賞
・ラスベガス批評家賞

【評点】
ロッテン・トマト 93%
最新→
IMDB 8.4
最新→
メタクリティック 89%
最新→

【興行収入】
北米:3.3億ドル
世界:9.6億ドル
【製作費】
1億ドル

<受賞スピーチ▼>

動画集を開く▼ <予告編▼>

<登場人物の解説(カラクリシネマ)▼>

<予習解説(ツッチ)▼>

<特別映像▼>

<NHKインタビュー▼>

<劇伴▼>

<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ(by プロデューサーでノーランの妻のエマ・トーマス)▼>

<クリティクス・チョイス賞の受賞スピーチ▼>
  • 「ホールドオーバーズ」
    ホールドオーバーズ
    クリスマスなのに帰省しないワケあり人たちが起こす喜劇ドラマ
    【結果】
    受賞 助演女優賞
     デバイン・ジョイ・ランドルフ
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     ポール・ジアマッティ
    脚本賞
    編集賞

    作品説明へ



  • 「バービー」
    バービー
    着せ替え人形「バービー」の皮肉なコメディ。興行収入収入は年間トップ。
    【結果】
    受賞 歌曲賞
     ビリー・アイリッシュ
    「What Was I Made For?」
    ノミネート 作品賞
    助演男優賞
     ライアン・ゴスリング
    助演女優賞
     アメリカ・フェレーラ
    脚色賞
    衣装デザイン賞
    美術賞
    歌曲賞
     「アイム・ジャスト・ケン」

    作品説明へ
    【配信:アマゾン→



  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
    米先住民虐殺の内幕を描く史実ドラマ。巨匠スコセッシ監督がアメリカの暗部をえぐり出す。
    【結果】
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演女優賞
     リリー・グラッドストーン
    助演男優賞
     ロバート・デ・ニーロ
    撮影賞
    編集賞
    衣装デザイン賞
    美術賞
    作曲賞
    歌曲賞

    作品説明へ



  • 「哀れなるものたち」
    哀れなるものたち
    脳死状態から蘇った女性が、「体は大人、脳は赤ちゃん」の状態で臨む社会体験記。
    【結果】
    受賞 主演女優賞
     エマ・ストーン
    美術賞
    メイク&ヘア賞
    衣装デザイン賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    助演男優賞
     マーク・ラファロ
    脚色賞
    撮影賞
    編集賞
    作曲賞

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  • 「落下の解剖学」
    落下の解剖学
    夫殺しの罪に問われた女性の法廷サスペンス。仏映画。
    【結果】
    受賞 脚本賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演女優賞
     ザンドラ・フーラ
    編集賞

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  • 「アメリカン・フィクション」
    アメリカン・フィクション
    安直な人種平等主義や文化の「売れ線主義」を風刺する良質コメディ
    【結果】
    受賞 脚色賞
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     ジェフリー・ライト
    助演男優賞
     スターリング・K・ブラウン
    作曲賞

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  • 「パスト・ライブス/再会」
    パスト・ライブス/再会
    幼なじみの男女が異国の地で再会する運命系ドラマ。
    【結果】
    ノミネート 作品賞
    脚本賞

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  • 「関心領域」
     国:イギリス(ドイツ語)
    関心領域
    ナチスの強制収容所のすぐ近くに住む収容所長の日常を描く野心作。
    【結果】
    受賞 国際映画賞
    音響賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    脚色賞

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  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
    マエストロ:その音楽と愛と
    世界屈指の指揮者レナード・バーンスタインと妻の伝記。
    【結果】
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     ブラッドリー・クーパー
    主演女優賞
     キャリー・マリガン
    脚本賞
    メイク&ヘア賞(辻一弘)
    撮影賞
    音響賞

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    【配信:ネトフリ→



歴代の作品賞→

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▼ノーラン独壇場▼
監督賞 クリストファー・ノーラン
「オッペンハイマー」

クリストファー・ノーラン

「映像話術の天才」と呼ばれ続けて四半世紀。 革新的な映画づくりに挑み続けてきた男が頂点に立った。

20代で初ノミネート

1970年ロンドン生まれ。29歳で撮った2作目「メメント」(2000年)で大ブレイク。 物語を結末から語るという手法で驚かせた。 時間の流れを逆さまにして、映画の文法や時間的距離を変えることに挑戦し、いきなりオスカー脚本賞にノミネートされた。

大物俳優に臆せず

メジャースタジオから出した次作「インソムニア」(2002年)では、心理的駆け引きのサスペンスを緊張感を持って描き、主観的真実と客観的真実は違うことを訴えた。アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクという3人の大物オスカー俳優を巧みに演出した。

バットマンで新機軸

続いて「バットマン」3部作を手掛け、 スーパーヒーロー伝説に新たな歴史を刻む。 1作目「ビギンズ」でダークかつ物語性重視の新機軸を打ち出し、 続く2作目「ダークナイト」でジョーカー役にヒース・レジャーを起用。 心の闇の奥底まで悪魔が乗り移ったかのような悪役を造形した。 ダークナイトは全米興行収入歴代第3位を記録。作品賞ノミネートから漏れたことは、作品賞の候補を5枠から10枠に増やすという歴史的な制度変更の契機になった。

SFでも成功

2010年の「インセプション」では、重層的な夢の世界で複数の物語が同時進行するというややこしいストーリーを、一級の娯楽劇に仕上げた。オスカーの作品賞と脚本賞にダブルノミネート。 SF大作「インターステラー」(2014年)では、人類の生き残りを懸けて宇宙に向かう主人公の家族愛を壮大な映像力で表現。オスカー視覚効果賞を獲った。

「ダンケルク」で監督賞候補に

続く「ダンケルク」(2017年)では、第二次世界大戦の英国軍の撤退作戦を、CGを使わずに再現することに成功。迫真の戦闘描写が称賛された。作品賞に加えて、初めて監督賞にノミネートされた。

日本で高い人気

前作「テネット(Tenet)」は、米国内で商業的に厳しい結果になったが、日本ではリピーターが続出して大ヒットとなった(そもそもデビュー以来、常に日本で人気の高い監督だった)。

ロケ撮影によるリアル映像

映像にリアリティーを持たせるため、CGなどのVFX(視覚効果)に頼らず、 極力、ロケや綿密なセット構築したうえでの撮影を重視している。

ワーナーといったん決別

長年にわたり米ワーナー・ブラザースと組んでいたが、 ワーナーが前作「テネット」を劇場公開と同時にネット配信したことで対立。 袂を分かち、今作では米ユニバーサルが配給元になった。

最強カップル

妻のエマ・トーマス氏は敏腕プロデューサーとして知られ、これまでノーランの全映画をプロデュースしてきた。大学の寮で知り合ったというおしどり夫婦。映画界最強カップルの力が本作でもいかんなく発揮され、商業的にもキャリア最高の大成功をもたらした。

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ノーランのオスカー歴▼
作品 部門
2002 「メメント」 脚本賞ノミネート
2011 「インセプション」 作品賞ノミネート

脚本賞ノミネート
2018 「ダンケルク」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2024 「オッペンハイマー」 作品賞受賞

監督賞受賞

脚色賞ノミネート賞

【前哨戦での受賞】
・DGA(米監督組合賞)
・クリティクス・チョイス賞 監督賞
・英国アカデミー賞 監督賞
・ゴールデングローブ賞 監督賞
・ニューヨーク批評家賞 監督賞
・アトランタ批評家賞 監督賞
・ワシントン批評家賞 監督賞
・セントルイス批評家賞 監督賞

<受賞スピーチ▼>

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<コルベア対談1▼>

<コルベア対談2▼>

<コルベア対談3▼>

<コルベア対談4▼> 

<コルベア対談5▼>

<英国アカデミー賞スピーチ▼>
  • マーティン・スコセッシ
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    マーティン・スコセッシ
    10回目の監督賞ノミネート
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会賞(NBR)
    ・サンディエゴ批評家賞


  • ヨルゴス・ランティモス
    「哀れなるものたち」
    ヨルゴス・ランティモス
    【前哨戦での受賞】
    ・フィラデルフィア批評家賞
    ・フェニックス批評家賞


  • ジョナサン・グレイザー
    「関心領域」
    ジョナサン・グレイザー
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ロサンゼルス批評家賞(作品賞との2冠)
    ・ボストン批評家賞
    ・トロント批評家賞(作品賞との2冠)


  • ジュスティーヌ・トリエ
    「落下の解剖学」
    ジュスティーヌ・トリエ



歴代の監督賞→

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▼伝記ドラマの傑作誕生の立役者キリアン▼
主演男優賞 キリアン・マーフィー
「オッペンハイマー」

キリアン・マーフィー

パラドックスに満ち、組み合わせパズルのように複雑なオッペンハイマー氏の人物像を、抜群の説得力でリアルに造形。 大げさな表現に頼ることなく、ストーリーに自然に溶け込み、伝記ドラマの歴史的な傑作誕生の立役者となった。

脇役から主役へ

悪役スケアクロウを演じた「バットマン」3部作のほか、「インセプション」「ダンケルク」といったノーラン監督の名作を脇役として支えてきた。 繊細、知的、大胆、ときに不気味。キャラクターの性質や心情を巧みに伝えるスキルは、ようやくめぐってきた主役の座で存分に発揮された。

「28日後」で大ブレイク

1976年、アイルランドの教育者の家系に生まれた。 10代はロック少年。20歳で地元劇団の舞台に初出演。 英国人監督ダニー・ボイル氏のゾンビ映画「28日後」(2002年)の配役担当の目に留まり、主役に大抜擢された。 華奢で夢想的な雰囲気が作品に見事にマッチし、映画の成功とともに世界的なブレイクを果たした。

目力(めぢから)で圧倒

「バットマン・ビギンズ」(2005年)のオーディションでは希望する主人公の役を逃したが、その「目力(めぢから)」に圧倒されたノーラン監督は、悪役としての起用を決めたという。

作品説明へ

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
・ワシントン批評家賞
・アトランタ批評家賞
・フェニックス批評家賞
・フィラデルフィア批評家賞
・セントルイス批評家賞

<受賞スピーチ▼>

動画集を開く▼ <登場シーンなど▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


<昔の歌唱シーン▼>


<バットマンでの登場シーン▼>


<「28日後」での登場シーン▼>


<「オッペンハイマー」出演者3人のインタビュー▼>

  • ポール・ジアマッティ
    「ホールドオーバーズ」
    ポール・ジアマッティ
    米国民に長く親しまれ、愛される三枚目。
    全寮制の学校の教師を演じた。 短気で毒舌だが、 優れた知性と強い信念を持つ奥深いキャラクター。 滑稽かつ味わい深い演技で物語を推進した。 他の登場人物との波長もぴったりで、 職人芸的な役者ぶりに称賛が集まった。
    オスカー・ノミネートは2度目。 前回ノミネートは「シンデレラマン」(2005)でのシリアス演技。 その前年、傑作コメディ「サイドウェイ」で絶賛されながらもノミネートから漏れたことは、 オスカーの歴史に残るSnubとして語り草になっている。
    今回、サイドウェイのアレクサンダー・ペイン監督と再びタッグを組み、 得意とする「ひねくれオヤジ」演技の真骨頂を発揮した。
    1967年コネチカット州生まれ。 父親は大学教授、母親は高校教師の母親という教育家系。
    重要な前哨戦となるクリティクス・チョイス賞で、 キリアン・マーフィー(オッペンハイマー)に勝利。 また、教育者たちへの敬意を示したゴールデングローブ賞での受賞スピーチは、 大きな共感を呼んだ。
    作品説明へ
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    ・シカゴ批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・ミシガン批評家賞(同点)
    動画集を開く▼ <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <クリティクス・チョイス賞の受賞スピーチ▼>


    <予告編▼>


    <「サイドウェイ」予告編▼>



  • ジェフリー・ライト
    「アメリカン・フィクション」
    ジェフリー・ライト
    【前哨戦での受賞】
    ・サンディエゴ批評家賞
    ・ミシガン批評家賞(タイ)
    ・インディスピリット賞 主演賞


  • ブラッドリー・クーパー
    「マエストロ:その音楽と愛と」
    ブラッドリー・クーパー
    【前哨戦での受賞】
    ・ネバダ批評家賞


  • コールマン・ドミンゴ
    「ラスティン:ワシントンの『あの日』を作った男」
    コールマン・ドミンゴ
    【配信:ネトフリ



歴代の主演男優賞→

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▼「エマ対リリー」の大激戦▼
主演女優賞 エマ・ストーン
「哀れなるものたち」

エマ・ストーン

2回目の受賞。「ラ・ラ・ランド」での受賞から7年ぶり。

特異キャラをぶっとび体現

科学実験で死から蘇った女性を演じた。体は大人なのに脳は乳児という特異なキャラクターを、ぶっ飛び演技で愉快に表現。そこから急ピッチで成長していく「変革」のプロセスを存分に見せた。

共同プロデューサー

共同プロデューサーとして企画の初期段階から参加し、「女王陛下のお気に入り」で組んだヨルゴス・ランティモス監督と二人三脚で主人公像を創造していったという。

15歳でLA移住

1988年11月、米南部アリゾナ州生まれ。11歳から演技を学び、家族の応援で母と一緒に15歳からロサンゼルスに移ってテレビ出演を始めた。

「Easy A」で高評価

2007年の「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で映画デビュー。青春コメディの傑作として絶賛された「Easy A」(2010年)で演技力とハリウッドスターらしい華を備えたスターとして高い評価を受け、初めて賞レースにも絡んだ。2012年の「アメイジング・スパイダーマン」でヒロイン役に。

4度目のノミネート

2015年に「バードマン」でオスカー初ノミネート(助演)。2017年に「ラ・ラ・ランド」で初のオスカー(主演)を獲得した。2019年にも「女王陛下のお気に入り」でノミネート(助演)された。今回で4度目のノミネートだった。

作品説明へ

【前哨戦での受賞】
・クリティクス・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
・ミシガン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・ロサンゼルス批評家賞
・フィラデルフィア批評家賞
・フェニックス批評家賞

<受賞スピーチ▼>

動画集を開く▼ <登場シーン▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


<ルイ・ヴィトンの宣伝動画▼>


<自宅で78個の質問にこたえる▼>

  • リリー・グラッドストーン
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    リリー・グラッドストーン
    先住民系米国人として初の俳優部門ノミネートとなった。

    愛情と疑念

    先住民虐殺事件を描いた本作で、白人の男(レオナルド・ディカプリオ)と結婚する金持ちの女性を演じた。 病に冒されていくなかで見せる夫への愛情と疑念。微妙な葛藤の表現が称賛された。 ディカプリオやロバート・デ・ニーロら超豪華キャストの中で特別の輝きを放った。

    イウォーク族に触発される

    米モンタナ州ブラウニングのインディアン居留地で育った。父親は先住民系(ブラックフィート族とネズ・パース族)、母親は白人。 5歳のときに映画「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」で見たイウォーク族に触発され、俳優を志望するようになった。

    メジャー映画は初出演

    大学で演劇を学んだ後、独立系の小規模映画の脇役としてキャリアを積み、 2016年の「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」で批評家系の賞レースに絡んだ。 本作はメジャー映画での初出演だった。

    SAGで勢い

    当初は「助演」での最有力候補になると見られたが、「主演」で賞レースに参戦した。 主役にしては登場時間が短いが、存在感は圧巻。 前哨戦では歴史的な重みを感じさせるスピーチで喝采を浴びた。 賞レース終盤のSAGアワード受賞で勢いづいた。
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    【前哨戦での受賞】
    ・SAGアワード(俳優組合賞)
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・サンディエゴ批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    動画集を開く▼ <登場シーン▼>


    <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <インディワイヤー賞の受賞スピーチ▼>



  • ザンドラ・フーラ
    「落下の解剖学」
    ザンドラ・フーラ
    ドイツの女優。殺人罪に問われる小説家を演じた。長回しで撮影された夫との口論シーンなどが絶賛された。本作と同じく作品賞のノミネートされた「関心領域」でも名演を見せ、大活躍の年となった。1978年生まれ。2006年「レクイエム~ミカエラの肖像」でベルリン国際映画祭の女優賞を獲得。
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    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・バンクーバー批評家賞
    ・ヨーロッパ映画賞(欧州アカデミー賞)
    動画集を開く▼ <登場シーン▼>


    <ヨーロッパ映画賞の受賞スピーチ▼>


    <ドイツ国営放送▼>



  • キャリー・マリガン
    「マエストロ:その音楽と愛と」
    キャリー・マリガン


  • アネット・ベニング
    「ナイアド~その決意は海を越える」
    アネット・ベニング
    5回目のノミネート。64歳という高齢にもかかわらず、キューバから米フロリダまで泳いだ実在の女性を演じた。
    【配信:ネトフリ



歴代の主演女優賞→

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▼ダウニーがついにオスカー▼
助演男優賞 ロバート・ダウニーJr
「オッペンハイマー」

ロバート・ダウニー・Jr

科学者オッペンハイマーの公職追放をめぐる政治ドラマが描かれる本作において、そのカギを握る政府高官を演じた。

現実味たっぷり

「アイアンマン」など過去の数々の有名キャラターの面影を消し去り、全くの別人に変身。 権力欲や虚栄心が強く腹黒い政治的キャラクターを現実味たっぷりに造形した。

見せ場を支える

会話シーンはもとより、 手のしぐさから表情の微妙な変化にいたるまで、派手さはないが強烈な印象を残す表現を連発。 立体的で深いドラマの見せ場を支えた。 若いころから実力が高く評価されてきた一流スターの真骨頂が、存分に発揮された。

チャプリン役で初候補に

オスカーノミネートは3回目。 1度目は、実に30年前(1993年)にさかのぼる。 伝記映画「チャーリー」で喜劇王チャーリー・チャプリンを演じ、主演男優賞にノミネート。当時26歳ながら10代から88歳までのチャプリンを演じた。 2009年には活劇コメディ「トロピック・サンダー」で助演男優賞にノミネートされた。

薬物中毒から脱却

1965年4月生まれ、米ニューヨーク出身。父は映画監督、母は女優。5歳の時に初めて父の監督作に出演し、1980年代は青春映画で活躍した。
2000年代初頭に人気テレビドラマ「アリー・myラブ」に出演したころから麻薬の常習者になり、何度も刑務所に入った。その後、リハビリ施設入所やヨガなどによって中毒から立ち直ったという。

マーベル黄金期の立役者

2008年の「アイアンマン」で初めてスーパー・ヒーロー役(トニー・スターク)を演じ、大当たり。 米コミック「マーベル」のシリーズ化の起点となった。 2010年代のアメコミ映画の黄金時代をど真ん中で支え続けた。 「シャーロック・ホームズ」シリーズでも主役を務め、大ヒットへと導いた。

「頼れる兄貴分」

映画業界への貢献度はとてつもない。撮影現場では「頼れる兄貴分」として同業者から高評価を得ており、かつての問題児の影はない。

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【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・クリティクス・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞
・フィラデルフィア批評家賞
・フェニックス批評家賞
・サンディエゴ批評家賞
・アトランタ批評家賞(タイ)

<受賞スピーチ▼>

動画集を開く▼ <登場シーンなど▼>


<スティングと一緒に歌う▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


<「チャーリー」の予告編▼>

  • ライアン・ゴスリング
    「バービー」
    ライアン・ゴスリング
    バービーの友人ケンを演じた。 抜群のコメディ・センスとカリスマ性を発揮し、 世界中の観客を爆笑させた。 人間社会に初めて行ったときのはしゃぎぶりや、 男性を自虐するネタの愉快さは圧巻。見せ場をいくつもさらった。 「ラ・ラ・ランド」で見せたダンスと歌唱にもさらに磨きがかかった。 無邪気な人形男子を、 これだけ違和感なく魅力的に演じられるおじさん(42歳)は他にいない。
    オスカーノミネートは3度目。 最初のノミネートは、1億円以下の超低予算で制作された「ハーフネルソン」(2006年)での主演で。続いて2016年のミュージカル大作「ラ・ラ・ランド」の主演でノミネートされ、 本命の一角と見られていたが、ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)に敗れた。
    1980年、カナダのオンタリオ州生まれ。1993年、テレビの「ミッキー・マウス・クラブ」のオーディションに参加。1万7000人から選ばれてレギュラーになった。
    1996年に映画デビュー。2004年「きみに読む物語」で注目された。2010年「ブルーバレンタイン」などでも優れた演技力を発揮。「ドライヴ」でカルト的人気を博した。
    ジャズピアニスト役で挑んだ初の本格ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」では、ピアノ演奏のシーンでは代役を使わず自ら演奏し、その腕前はプロのピアニストをもうならせた。
    2017年の「ブレードランナー2049」などの超大作でもおなじみ。
    【前哨戦での受賞】
    ・ボストン批評家賞
    ・ミシガン批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    ・ハワイ批評家賞
    ・アトランタ批評家賞(タイ)
    動画集を開く▼ <「アイム・ジャスト・ケン」歌唱ビデオ▼>


    <「ラ・ラ・ランド」の歌唱&ダンス▼>


    <MTVベストキス賞の受賞スピーチ▼>



  • マーク・ラファロ
    「哀れなるものたち」
    マーク・ラファロ
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    エマ・ストーン演じる主人公を外の世界へと連れ出すスケベ男を演じた。


  • ロバート・デ・ニーロ
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    ロバート・デ・ニーロ
    9回目のノミネート。マーロン・ブランドやケイト・ブランシェットら7人の俳優が持つ記録に並んだ。恐ろしい悪人役。凄みに満ちた演技で観客を深淵へと導いた。


  • スターリング・K・ブラウン
    「アメリカン・フィクション」
    スターリング・K・ブラウン
    主人公の弟役。葛藤を抱えるゲイの医者をコミカルに痛々しく演じた。



歴代の助演男優賞→

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▼「傷心のお母さん」が独走▼
助演女優賞 デバイン・ジョイ・ランドルフ
「ホールドオーバーズ」

デバイン・ジョイ・ランドルフ

学食の料理人を演じた。 最愛の息子をベトナム戦争で失って初めて迎えたクリスマス。 自分と同じく休校中の学校に居残った教師(ポール・ジアマッティ)や生徒(ドミニク・セッサ)が繰り広げるドタバタに、じわじわと巻き込まれていく役柄。

母性と芯の強さを体現

自身が喪失感にさいなまれながらも、 さりげない優しさとユーモアで他の2人を温め、お互いの理解を助けていく母性を絶妙に表現。 愛らしさと芯の強さが観客の感動を呼んだ。

いきなりトニー賞

1986年5月、米東部フィラデルフィア生まれ。 地元の大学で演劇を学んだ後、 名門イエール大学院に進み、演劇で修士号をとった。 ミュージカル版「ゴースト」で役者デビューを飾り、 いきなりトニー賞の助演女優賞にノミネートされた。

歌唱力も抜群

2019年、エディ・マーフィ主演映画「ルディ・レイ・ムーア」(Netflix)で、大柄な芸人を熱演。ド迫力の歌唱力もあいまって、一躍脚光を浴びた。 今回の賞レースでは前哨戦を負け知らずで独走した。

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【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・クリティクス・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞
・米国映画評議会議賞(NBR)
・全米映画批評家協会賞(NSFC)
・ニューヨーク批評家賞
・ロサンゼルス批評家賞
・シカゴ批評家賞
・ボストン批評家賞
・ワシントン批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ミシガン批評家賞
・フィラデルフィア批評家賞
・セントルイス批評家賞
・フェニックス批評家賞

<受賞スピーチ▼>

動画集を開く▼ <登場シーン▼>


<「ルディ・レイ・ムーア」での歌唱シーン▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>

  • エミリー・ブラント
    「オッペンハイマー」
    エミリー・ブラント


  • ジョディ・フォスター
    「ナイアド~その決意は海を越える」
    ジョディ・フォスター
    5回目のノミネート。助演としては2回目で、1977年に「タクシードライバー」でノミネートされて以来、実に47年ぶり。同じ部門でのノミネートとしてオスカー史上最も長い間隔となった。
    【配信:ネトフリ


  • アメリカ・フェレーラ
    「バービー」
    アメリカ・フェレーラ
    ※テレビ「アグリー・ベティ」で有名。今作でのスピーチのシーンが大きな感動を呼んだ。


  • ダニエル・ブルックス
    「カラーパープル」
    ダニエル・ブルックス



歴代の助演女優賞→

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▼「落下」の濃密な台本に喝采▼
脚本賞 「落下の解剖学」

落下の解剖学

脚本:ジュスティーヌ・トリエ&アルチュール・アラリ

フランス映画。法廷ミステリー。事実婚カップルによる共同執筆の脚本で、複雑な夫婦関係をリアルに綴った。トリエ氏は監督賞にもノミネート。

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【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞

<▼受賞スピーチ>

動画集を開く▼ <英国アカデミー賞スピーチ▼>


<ゴールデングローブ賞スピーチ▼>


<予告編▼>


<町山智浩らの解説▼>


<シネコトの解説▼>

  • 「ホールドオーバーズ」
    ホールドオーバーズ
    脚本:デビッド・ヘミンソン
    ※デビッド・ヘミンソン氏はテレビのプロデューサー兼脚本家。テレビドラマ試作版を想定して台本サンプルを書いたところ、アレクサンダー・ペイン監督の目に留まった。ヘミンソンには映画脚本の経験がなかったため、超大物監督であり、超一流の脚本家としても有名なペインから突然電話をもらい、「俺のために脚本を書いてくれ」と言われて驚いたという。
    ヘミンソン自身が全寮制学校の出身だったため、学校生活のリアルな描写が実現した。舞台となる1970年代の社会についても徹底的に調べたという。弁護士出身。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティクス・チョイス賞


  • 「パスト・ライブス/再会」
    パスト・ライブス/再会
    脚本:セリーヌ・ソン
    【前哨戦での受賞】
    ・ハワイ批評家賞


  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
    マエストロ:その音楽と愛と
    脚本:ブラッドリー・クーパー&ジョシュ・シンガー


  • 「メイ・ディセンバー」
    メイ・ディセンバー
    脚本:サミー・バーチ
    【前哨戦での受賞】
    ・ニューヨーク批評家賞



歴代の脚本賞→

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▼中作が大作2本を倒す▼
脚色賞 「アメリカン・フィクション」

アメリカン・フィクション

脚本:コード・ジェファーソン

テレビドラマの脚本家として活躍してきたが、本作で初めて映画の脚本を執筆。監督も務めた。米国社会における黒人の処遇をめぐる風刺コメディ。表層的な平等主義への皮肉に満ちている。ウィットに富んだジョークの連発が称賛された。

作品説明へ

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞
・クリティクス・チョイス賞

<▼受賞スピーチ>
  • 「バービー」
    バービー
    脚本:グレタ・ガーウィグ、ノア・バームバック
    数十年にわたって親しまれてきたバービーの世界を、 現代的な視点で大胆に解釈。独創的なアイデアにあふれている。 それでいて、共感をおぼえやすい物語としてまとめ上げたことが、高評価につながった。
    先にバービー役を演じることが決まったマーゴット・ロビーが、お気に入りの脚本家であるガーウィグを推挙。自ら口説いた。ガーウィックは夫のノア・バームバックが共同執筆することを条件に受諾したという。


  • 「オッペンハイマー」
    オッペンハイマー
    脚本:クリストファー・ノーラン


  • 「哀れなるものたち」
    哀れなるものたち
    脚本:トニー・マクナマラ


  • 「関心領域」
    関心領域
    脚本:ジョナサン・グレイザー



歴代の脚色賞→

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ジャンル別映画3部門

アニメ賞国際映画賞ドキュメンタリー賞

部門 受賞 ノミネート
▼日米アニメ最高峰の激突をジブリが制す▼
長編アニメ賞 「君たちはどう生きるか」

君たちはどう生きるか

【国:日本】

宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサー

宮崎監督3回目のオスカー

日本にとって「千と千尋の神隠し」以来21年ぶり2度目の長編アニメ賞。宮崎駿監督にとっては「千と千尋の神隠し」、2015年の名誉賞に続いて3回目のオスカー受賞となった。

引退を撤回

2013年の「風立ちぬ」を最後に引退すると表明していた宮崎監督が、2016年にこれを撤回し、製作に臨んだ。

手描きの味わい

作画開始から完成まで異例の7年という長期間を費やし、マイペースで丹念に作り上げた。 手描きによる絵のクオリティの高さは健在。 人物などの滑らかな動きや美しい背景美術など、視覚的な味わいに満ちている。

自伝的なストーリー

宮崎氏の自伝的なストーリー。 内省的なキャラクター造形や迷宮のような不思議な世界観が、 見る側の想像力をかき立てる。

巨匠の復帰を大歓迎

海外でも高い評価を集め、 引退したはずのレジェンドの復帰に、全米のアニメファン、映画ファンが沸き上がった。 オスカー前哨戦では、ニューヨーク批評家賞やロサンゼルス批評家賞といった権威ある玄人系の賞でアニメ賞を獲得。 英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞でも勝利し、勢いづいた。

歴代ジブリで最高の米興収

商業的にも世界的に成功した。アメリカ(北米)における興行収入は4600万ドルで、ジブリ映画として歴代1位を記録。 それまでトップだった「千と千尋の神隠し」の3倍以上を稼いだ。 (参考:エクシブ投資顧問

過去のオスカーでは大衆派が勝利

とはいえ、オスカーの最大の競争相手だった「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の北米興収はその8倍。 両作ともに大絶賛を浴びたが、 どちらかといえば批評家の評価は「君たちはどう生きるか」が上で、 観客の評価は「スパイダーマン」が上。 ざっくり言えば「作家性」対「娯楽性」、「手描き」対「CG」、そして日米アニメの最高峰による未曽有の激戦となった。

過去のオスカーでは大衆派が勝利

過去のアニメ部門でディズニーやピクサーなどの大衆娯楽作を選んできたオスカーの傾向をふまえると、 スパイダーマンが優勢との事前予想が多かった。

国際化が追い風

しかし、アカデミー会員は宮崎氏の唯一無二の独創性に軍配を上げた。 海外の会員が増えて国際化したことや、全3部作の2作目であるスパイダーマンが既に1作目で受賞していることも、「君たち」に優位に働いたと見られている。

「千と千尋の神隠し」以来

オスカーの長編アニメ賞は2002年に新設された比較的新しい部門。 1回目は「シュレック」が受賞し、翌年の2回目をジブリの「千と千尋の神隠し」が獲った。 それ以来、日本勢はノミネートどまりが続いていた。 ジブリ以外で日本からノミネートされたのは、 細田守監督「未来のミライ」のみ。
■ジブリのオスカー歴
作品 部門
2003 「千と千尋の神隠し」
 宮崎駿監督
アニメ賞受賞
2006 「ハウルの動く城」
 宮崎駿監督
アニメ賞ノミネート
2014 「風立ちぬ」
 宮崎駿監督
アニメ賞ノミネート
2015 「かぐや姫の物語」
 高畑勲監督
アニメ賞ノミネート
2016 「思い出のマーニー」
 米林宏昌監督
アニメ賞ノミネート
2017 「レッドタートル ある島の物語」
 マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督
アニメ賞ノミネート
2024 「君たちはどう生きるか」
 宮崎駿監督
アニメ賞受賞
監督・脚本・原作:宮崎駿
プロデューサー:鈴木敏夫
配給:GKIDS
英題:The Boy and the Heron
製作国:日本
長さ:2時間4分

【評価】
ロッテン・トマト 97%
最新→
IMDB 7.6
最新→
メタクリティック 91%
最新→

【興行収入】
北米:4600万ドル
世界:1億6700万ドル(最新→

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞 アニメ賞
・ゴールデングローブ賞 アニメ賞
・ニューヨーク批評家賞 アニメ賞
・ロサンゼルス批評家賞 アニメ賞
・フロリダ批評家賞 作品賞、アニメ賞、作曲賞【3冠】
・シカゴ批評家賞 アニメ賞
・ボストン批評家賞 アニメ賞
・フィラデルフィア批評家賞 アニメ賞&外国語映画賞【2冠】
・サンディエゴ批評家賞 アニメ賞
・ロンドン批評家賞 アニメ賞

<▼受賞発表>

動画集を開く▼ <予告編▼>


<主題歌:米津玄師「地球儀」▼>


<受賞後の中島清文・ジブリCOOの会見▼>



歴代の日本人受賞者→
  • 「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」
    スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
    2019年のオスカーで長編アニメ賞に輝いた「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編。
    前作では、アニメ表現の新境地を拓いた。 コミックがそのまま動き出したかのような映像。 テイストの異なる画風を一つの作品に落とし込む斬新なスタイルは、 画期的だった。

    空前のアート映像作品

    今回は、その映像表現がさらに大きく進化した。 1000人のアニメーターが参加。 人間らしい絵の質感が活かすため、CGへの依存を減らし、マンパワーで絵を描くことを重視した。 その結果、空前のクオリティを持ったアート映像作品に仕上がった。
    ビジュアルの良さにとどまらず、エンタメとしての面白さも抜群。 批評家と一般観客の双方から極めて高い評価を得た。

    多数のスパイダー

    複数の異次元空間が並行する世界(マルチバース)が舞台。 主人公の少年マイルスが、この世界に足を踏み入れ、過去の漫画及び映画シリーズで登場した多数のスパイダーマンに遭遇する。
    次回作(3作目)「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」も一体的に制作された。

    ロード&ミラー

    プロデューサーは、前作に続き、米国アニメ界きっての黄金コンビとして知られるフィル・ロード&クリス・ミラーが務めた。監督作として「LEGO ムービー」「21ジャンプストリート」、プロデューサー作品として「ミッチェル家とマシンの反乱」などが有名。
    監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
    配給:ソニー
    長さ:2時間20分
    【前哨戦での受賞】
    ・PGA(全米プロデューサー組合賞)
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・アニー賞 作品賞
    ・米国映画評議会議賞(NBR) アニメ賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・視覚効果協会賞(アニメ部門)
    【評価】
    ロッテン・トマト 95%
    最新→
    IMDB 8.6
    最新→
    メタクリティック 86%
    最新→
    【興行収入】
    北米:3.8億ドル
    世界:6.9億ドル
    【製作費】
    1億ドル
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <挿入歌「コーリング」▼>



  • 「マイ・エレメント」
    マイ・エレメント
    コロナ禍以降、ピクサーの映画は劇場公開されず、配信のみだったが、本作は映画館で上映。 アメリカでは公開当初は興行成績が悪かったが、 口コミで高評価が伝わり、ロングランとなった。 日本でもヒットした。
    評論家のレビューは、ロッテン・トマトで「支持率74%」。 ピクサーにしてはイマイチだった。 しかし、観客の評判はおおむね良かった。
    【評価】
     ロッテン・トマト:74%(最新→
     IMDB:7.0(最新→
     メタクリティック:58%(最新→
     レターボックス:3.3(最新→
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <エンドソング:Superfly「やさしい気持ちで」▼>


    <劇中歌「Steal The Show」▼>



  • 「ニモーナ」
    ニモーナ
    (Netflix)
    【配信:ネトフリ


  • 「ロボット・ドリームズ」
    ロボット・ドリームズ
    国:スペイン



歴代のアニメ賞→

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▼シネフィル大絶賛の「関心領域」▼
国際映画賞 「関心領域」
 国:イギリス(ドイツ語)
関心領域
1990年代にジャミロクワイの音楽ビデオを撮ったことで知られる英国の鬼才ジョナサン・グレイザー監督の10年ぶりの新作映画。
作家性が強い独創的な作品。 大衆娯楽性は低いが、 コアなシネフィルから絶大な支持を得た。

PGAの10本に入る

カンヌ国際映画祭で「落下の解剖学」との接戦の末、2位(グランプリ)となった。米国の賞レースでも、ロサンゼルス批評家賞など権威の高い賞で作品賞や監督賞を次々と獲得。ハリウッドの大作を選ぶ傾向が強いPGA(全米プロデューサー組合賞)でも作品賞にノミネートされるというサプライズまで起こした。

ナチス収容所の隣人

ユダヤ人大量虐殺が行われた独ナチスのアウシュビッツ強制収容所。 その隣の邸宅が主な舞台となる。 ナチス幹部である収容所の所長一家が、この邸宅に入居し、生活を始める。
塀の向こうで行われているナチスの虐殺行為は画面には映さない。 ただ、時折、銃声や悲鳴が聞こえてくる。 それでも一家は、絵に描いたような幸せな暮らしを送る。
鮮烈なコントラストで異常さを際立たせる。 音で想像力を喚起させる「見せない演出」が絶賛された。
固定カメラにより長回しを多用。 ドラマチックにしない演出も注目された。
【結果】
受賞 国際映画賞
音響賞
ノミネート 作品賞
監督賞
脚色賞

監督:ジョナサン・グレイザー(英国人)
公開日:2024年5月24日
英題:The Zone of Interest
言語:ドイツ語
製作国:英国、ポーランド
配給:A24

■評点:ロッテン93%、IMDb7.6

【前哨戦での受賞】
・カンヌ国際映画祭 2位(グランプリ)
・ロサンゼルス批評家賞 作品賞&監督賞&主演賞&音楽賞
・全米映画批評家協会賞(NSFC)監督賞
・トロント批評家賞 作品賞&監督賞
・サンフランシスコ批評家賞 監督賞
・女性映画ジャーナリスト同盟 作品賞
・ボストン批評家賞 監督賞&脚色賞
・英国アカデミー賞 非英語作品賞&英国作品賞&音響賞の3冠
・シカゴ批評家賞 外国語映画賞

<▼受賞スピーチ>

動画集を開く▼ <カンヌ上映後の客席の反応▼>

  • 「パーフェクト・デイズ」
     国:日本
    パーフェクト・デイズ
    ※東京都心の公衆トイレの清掃業務に従事する初老男性の物語。 黙々と働くプロ職業人の日常生活を、静かに追う。 ストーリーらしきものがなく会話も非常に少ないが、 主人公の生き様とその描き方が世界から共感を得た。
    「ベルリン・天使の詩」「パリ、テキサス」など数々の名作を送り出してきたドイツの巨匠、ビム・ベンダース監督が、東京の心象風景を美しく味わい深く表現している。
    カンヌ国際映画祭で役所広司が男優賞を獲得。 世界的な実力俳優として認知された。 表情、身ぶり、僅かなセリフで人生観を伝える。
    ユニクロのオーナー社長の息子・柳井康治氏がプロデューサーを務めた。
    東京都渋谷区内に斬新な公共トイレを17カ所設置するという日本財団のプロジェクトの一環としてつくられた。 当初は短編映画として企画され、 親日家として知られるベンダース監督にオファーしたところ、快諾。 「どうせなら長編で」という話になり、 ベンダース氏と広告作家・高崎卓馬氏(電通)が共同で脚本を書いた。 ベンダーズ監督が敬愛してやまないで巨匠・小津安二郎氏へのオマージュに満ちている。
    監督:ビム・ベンダース
    プロデューサー:ビム・ベンダース、柳井康治、高崎卓馬(電通)ほか
    主演:役所広司
    助演:石川さゆり、三浦友和、柄本時生(えもと・ときお)ほか
    言語:日本語
    製作国:日本、ドイツ
    配給:ビターズ・エンド
    米国配給:ネオン
    長さ:2時間4分
    ■評点:ロッテン96%、IMDb7.9
    【前哨戦での受賞】
    ・カンヌ国際映画祭 男優賞(役所広司)
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <役所広司のカンヌ受賞スピーチ▼>


    <挿入歌「パーフェクト・デイ」~歌手ルー・リード▼>


    <挿入歌「朝日のあたる家」~byアニマルズ▼>


    <挿入歌「ドック・オブ・ベイ」~歌手オーティス・レディング▼>



  • 「雪山の絆(きずな)」
     国:スペイン
    雪山の絆(きずな)
    【配信:ネトフリ
    1972年、南米アンデス山中でウルグアイの学生ラグビーチームら45人を乗せた飛行機が消息を絶った。生存者の確認もできないまま、やがて捜索は打ち切りに。雪と岩だらけの4000メートル近い高地。夜半には氷点下40度にもなる過酷な極限状況。飢えや雪崩で次々と仲間が死んでいく中で、残った者たちが生存を図る。実際に起きた事故を忠実に再現した感動作。1993年にハリウッドが映画化し、高い評価を得た「生きてこそ」から30年。スペイン人のJA・バヨナ監督が、南米の無名俳優たちを起用。140日間にわたる山脈でのロケ撮影を決行した。自然環境の過酷さを伝える美術やメイクなども含め、リアリズムの徹底ぶりが絶賛された。
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.8
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <劇伴▼>



  • 「僕はキャプテン」
     国:イタリア
    マッテオ・ガローネ監督
    アフリカから欧州を目指す移民の物語
    Io Capitano


  • 「ありふれた教室」
     国:ドイツ
    公開:2024年5月17日
    The Teachers' Lounge



歴代の国際映画賞→

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▼これぞ実録映画!ウクライナ初受賞▼
ドキュメンタリ 「実録 マリウポリの20日間」

実録 マリウポリの20日間

国:ウクライナ

公開日:2024年4月26日

ロシアによるウクライナ侵略戦争の残忍さを伝えた地元ジャーナリストによる映像記録。 侵略直後にロシア軍の攻撃が集中し、市民が孤立状態となった南部都市マリウポリに残った記者が、爆撃による市民虐殺をカメラに収めた。

ウクライナ映像記者の記録

取材をしたのは、AP通信のウクライナ人の映像記者ムスティスラフ・チェルノフ氏と、同僚の写真家エフヘニー・マロレツカ氏。2人は侵略が始まる直前にマリウポリに車で向い、2022年2月24日午前3時半に到着。その1時間後に戦争が始まり、マリウポリは無差別攻撃を受けることになる。

市民虐殺を世界に発進

ロシア軍はマリウポリの電気や食料供給を断ち、携帯電話やテレビの電波を遮断する。 それでも記者たちはなんとか通信手段を確保し、死にゆく子供たちなどの写真を世界に発信していく。これがロシア軍を怒らせ、記者たちの捜索が始まる。

血まみれの妊婦

映像は残酷そのもの。 空爆された産科病院から血まみれの妊婦が救助され、搬送される。 別の病院では激痛に苦しむ市民たちの絶叫が響き、医師たちが奔走する。 その病院もやがてロシア軍の戦車に包囲されていく。

日本ではNHKが放映

直視しなければならない残酷な現実が収められた貴重な97分。 日本ではNHKが独自の編集を行ったうえでテレビ放映した。 英語の原題は「20 Days in Mariupol」。

全候補が外国産

なお、本年度のドキュメンタリー賞ノミネート作品はすべて外国産または外国との合作だった。 アメリカのドキュメンタリー界では、 著名人の人物伝のような安易な企画がネット配信を中心に氾濫している。 この動きに一流業界人たちが自らノーを突きつけた形だ。

【前哨戦での受賞】
・DGA(米監督組合賞)
・英国アカデミー賞

【評価】
 ロッテン・トマト:100%(最新→
 IMDB:8.5(最新→
 メタクリティック:83%(最新→
 レターボックス:4.2(最新→

<▼受賞スピーチ>

動画集を開く▼ <予告編▼>


<本編映像の一部▼>


<英国アカデミー賞の受賞スピーチ▼>

  • 「Four Daughters」
    Four Daughters
    国:フランスなど
    言語:アラビア語
    ※チュニジアのある母親と4人姉妹の物語。カウテール・ベン・ハニア監督。チュニジア出身。前作は「皮膚を売った男」(2020年)


  • 「虎を仕留めるために」
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    国:カナダ
    【配信:ネトフリ


  • 「ボビ・ワイン:ゲットー・プレジデント」
    Bobi Wine:The People's President
    国:ウガンダ


  • 「The Eternal Memory」
    The Eternal Memory
    国:チリ
    8年前にアルツハイマーと診断された夫とその妻の実録。 夫は著名ジャーナリストで、チリのピノチェト独裁政権による残虐行為を追及してきた。 妻は、チリの文化大臣を務めたことがある女優。



歴代のドキュメンタリー賞→

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技術系9部門

視覚効果賞歌曲賞作曲賞撮影賞編集賞音響賞衣装デザイン賞美術賞メイク&ヘア賞

部門 受賞 ノミネート
▼奇跡のゴジラ旋風▼
視覚効果賞 「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」

ゴジラ-1.0(マイナス・ワン)

(山崎貴、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司)

映画大国アメリカにおいて「商業」と「批評」の両面で大成功した。 アニメでは珍しくないが、実写の邦画としては歴史的な快挙だった。

怖いゴジラ

とりわけ高く評価されたのが、視覚効果(VFX)だった。 CG(コンピューター・グラフィクス)によって描いたゴジラは、重厚感がたっぷり。 迫ってくるときの凄み、怖さに加えて、元祖ゴジラを想起させる質感や形も称賛された。

銀座の破壊シーン

ゴジラが暴れる街もVFXで緻密に生成された。 見せ場となる東京・銀座の破壊シーンでは、無数の建物をCGで配置。 ビル一棟一棟について、壁や床の素材や構造をコンピューターに入力したうえで、「壊れて粉々になる」という物理現象を出力させたという。

海を歩くシーン

海を舞台とするシーンでも、視覚効果の技術が存分に活かされた。 物体や生き物が水の中を移動すると、白く泡立つ波「白波」(ホワイト・ウォーター)が発生する。 巨体のゴジラともなれば、白波のボリュームはとてつもないが、本作ではこれをCGで緻密に描き、実写の海と組み合わせた。 その結果、洋上で迫ってくるゴジラがリアルにに表現され、「海上アクション映画」としても一級になった。
3分の2にVFX
全体の3分の2程度(尺数ベース)の映像に、 VFX技術が何らかの形で使われたという。

格安の製作費&わずか35人

製作費は20億円程度で、ハリウッド大作と比べれば10分の1以下。 しかも、VFXスタッフはわずか35人。ハリウッドなら数百人も珍しくない。 技術レベルも米国に大きく劣ると思われていた。

マンネリ感を打破

それだけに、ゴジラ-1.0の仕上がりの良さはアメリカのファンを驚かせた。 最近の米国製SF大作に物足りなさやマンネリ感を覚えていた人たちも惜しみなく喝采を浴びせた。

作品力の勝利

最終的には、技術レベルうんぬんというより、創意工夫やクラフトマンシップ(職人魂)、そして何より作品としての総合力がものをいったのだろう。

VFXの名手・山崎貴監督

本作は、視覚効果を得意とする山崎貴監督の集大成となった。 山崎監督は日本を代表する「VFXの名手」として有名。 そもそもVFXの技術者出身だ。

過去作で実績

「ALWAYS 三丁目の夕日」で昭和30年代の街並みをVFXで丸ごと構築し、 その続編ではCG製ゴジラも登場させた。 「永遠の0」ではゼロ戦の戦闘シーンを再現。 「海賊とよばれた男」では、東京大空襲で町が火煙に包まれるシーンをCGで描くなど、 ハリウッドに追いつくべく果敢な挑戦を続けてきた。

遊園地のゴジラも

さらに、埼玉県の「西武園ゆうえんち」でゴジラをテーマとする乗り物アトラクションの映像を手掛けた。 本作では、過去の作品で蓄えたノウハウを全てぶつけたという。

長野出身のSF児童

山崎氏は1964年、長野県松本市生まれ。 小学生の時、児童向けのSF小説をほぼ毎日一冊のペースで愛読していた。

「未知との遭遇」「スターウォーズ」で覚醒

中学生(13歳)のときに映画館で「未知との遭遇」(スティーブン・スピルバーグ監督)と「スター・ウォーズ」(ジョージ・ルーカス監督)を鑑賞し、 革新的なSF技術に感動。特撮技術者を志すようになる。 8ミリカメラを持っている友達を引き込み、受験勉強そっちのけで短編のSF作品を撮ったという。 高校でも映画研究会で映像作品づくりに没頭した。

専門学校でCGに熱

高校を出た後、東京の「阿佐ケ谷(あさがや)美術専門学校」に入り、映像技術を学ぶ。当時出回り始めていたCG(コンピューター・グラフィックス)にも熱中した。

「白組」へ就職

学校で募集がかかった映像制作会社「白組」のアルバイトに従事する。 白組は、映像作家・島村達雄氏が設立した新興企業。山崎氏はCM撮影で使うミニチュア作りを手伝った。 その仕事ぶりと潜在力が島崎氏に認められ、卒業後の1985年、白組に入社を果たす。

初の監督作が成功

白組では、CMなどの視覚効果を担当した。24歳で伊丹十三監督の映画「マルサの女2」(1988年)の特撮場面を任された。 社内で映画のアイデアが募集されると、並々ならぬ熱意と行動力で、企画書を作成。 この提案が通り、SF活劇「ジュブナイル」(2000年)を撮った。 CGを駆使した監督デビュー作は、戦闘シーンの迫力などが話題となり、興行収入12億円を稼いだ。

恩師・阿部秀司との出会い

この「ジュブナイル」の企画書を気に入り、 映画化へと導いたのは、プロデューサーの阿部秀司氏だった。 広告代理店の社員を脱サラし、1986年に制作会社「ロボット」を設立。 映画の自主制作に乗り出していた阿部氏は、若き山崎氏の才能と白組のVFX技術をいち早く認め、ジュブナイルに新人監督作として異例の総製作費4億5000万円を付けた。

受賞スピーチで追悼

その後、山崎監督と阿部プロデューサーのコンビは、 「ALWAYS 三丁目の夕日」などの超ヒット作を次々と生み、 その盟友関係は、「ゴジラ-1.0」まで続いた。 阿部氏は前年12月に惜しくも死去(享年74歳)。 山崎氏のオスカー受賞スピーチは、阿部氏への追悼で締めくくられた。

白組の一流人材が結集

ゴジラ-1.0の制作には、山崎氏が今でも所属する白組のVFXスペシャリストが集結した。 いつも通り山崎監督が自ら視覚効果を監修。 長年にわたり山崎作品の視覚効果を支えてきた渋谷紀世子氏が、 全体のまとめ役となるVFXディレクターを務めた。

4人が代表して受賞

オスカーの視覚効果賞では、受賞対象の個人の上限が4人。 山崎監督(59歳)と渋谷ディレクター(53歳)以外の2枠はスタッフ全員による社内投票で選出したという。 その結果、ベテランCG技術者の高橋正紀氏(55歳)と、海のシーンで天才的な才能を発揮した若手のホープ・野島達司氏(25歳)が選ばれた。

米国で邦画史上2位

ゴジラ-1.0は2023年12月1日、日本の実写映画としては異例の規模で全米公開され、初週末の興行収入ランキングは3位。 最終的な北米興収は5600万ドルを突破する大ヒットとなった。邦画として「ポケモン」(1998年)に次ぐ史上2位を記録した(エクシブ投資顧問→)。

実写として快挙

これまでアメリカ市場における邦画の商業的な成功は、 ほぼアニメに限られていたが、 実写でのメジャーヒットを出したことは、日本の映画産業にとって実に意義深い。 また、米国での配給を、現地企業に頼らず東宝が自ら行ったことも画期的だった。 (参考:河端哲朗氏)

家族愛のテーマ設定も成功

なお、本作ではテーマを「家族愛」に据えたことも、 米国で成功した理由の一つだと考えられている。 日本では人間ドラマの部分について賛否が分かれたが、 アメリカでは肯定派が圧倒的な多数を占めた。

米国の賞レースで台風の目

米ロッテン・トマトの集計では、批評家と観客の支持率がいずれも「98%」という驚異的な高さ記録。 賞レースで台風の目になり、全米の各都市や州ごとの評論家の賞で視覚効果賞を次々とさらった。

SF映画賞も

さらに、ラスベガス批評家賞では「SF/ホラー映画賞」「国際映画賞」の2冠を達成するなど、技術部門にとどまらない評価の広がりを見せた。

現地で人気者に

ゴジラのミニチュアを手にオスカー・キャンペーンを走り回った山崎監督は、そのオタク的な愛嬌の良さもあって、 賞レースにおける人気者の一人となった。

キューブリック以来

監督が自らオスカー視覚効果部門での受賞を果たした事例は、 過去に1969年のスタンリー・キューブリック(2001年宇宙の旅)のみで、今回で2例目となった。

【前哨戦での受賞】

・ラスベガス批評家賞 SF/ホラー映画賞、国際映画賞【2冠】
・シカゴ批評家賞 視覚効果賞
・フロリダ批評家賞 視覚効果賞
・ユタ批評家賞 視覚効果賞
・ジョージア批評家賞 国際映画賞
・ハワイ批評家賞 SF作品賞
・ポートランド批評家賞 SF作品賞
・カンザスシティ批評家賞 SFホラー賞

初代ゴジラ

「ゴジラ-1.0」は、初代「ゴジラ」の誕生から70周年の企画として製作された。 第1作目のゴジラは1954年(昭和29年)に公開。水爆実験の影響で誕生した巨大恐竜が人間を襲うというコンセプトだった。 ビキニ核実験で死の灰を浴びた「第五福竜丸事件」に触発された。ゴリラとクジラの合いの子として「ゴジラ」と名付けられた。

「特撮の父」円谷英二

製作費は当時の映画5本分に当たる1億円がかけられた。後に「特撮の父」と呼ばれるようになる円谷英二が特撮監督を担当。着ぐるみの中に人間が入るという方式を開発した。 着ぐるみがミニチュアの街を壊し、それをカメラで撮影。リアルな動きや破壊シーンが世界を驚かせた。
初代ゴジラは国内でたちまち1.5億円を稼ぐ大ヒットとなり、戦後日本の子供たちを熱狂させた。

米国でも人気沸騰

これにハリウッドが目をつけた。人気俳優レイモンド・バー扮する新聞記者の部分を撮り足して再編集され、「怪獣王ゴジラ」(1956年)として公開された。 米国の一流劇場でのロードショー公開は日本映画として初めてだった。しかも見事に大ヒットを記録。以後、東宝特撮映画のほとんどはアメリカで上映されることになった。

「Gファン」

1962年には、シリーズ3作目「キングコング対ゴジラ」が公開される。アメリカ映画が生んだ大怪獣の元祖キングコングと、雪氷の奥で目覚めて再び巨体を現したゴジラが対決。話題を呼んだ。
いつしか米国では「Gファン」という怪獣映画愛好グループが発足。定期的に大会開催されるようになった。

ハリウッドに影響を与える

ハリウッドの視覚効果の専門家の中には、ゴジラやモスラなどの日本の怪獣映画を見ながら育った人も多い。とくにオスカーの投票権が与えられるようなベテラン技術者は、大きな影響を受けている。

VFX技術者たち

例えば「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」(1983年)のロボットと「ジュラシック・パーク」(1993年)の恐竜づくりで2度の視覚効果賞に輝いたフィル・ティペット氏などが、ゴジラ好きとして有名だ。 「シェイプ・オブ・ウォーター」で作品賞などを獲ったギレルモ・デル・トロ監督も、日本製怪獣のファンを公言している。

【評価】
ロッテン・トマト 98%
最新→
IMDB 8.3
最新→
メタクリティック 81%
最新→

【興行収入】
北米:5600万ドル
世界:1.1億ドル(最新→

監督・脚本:山崎貴
主演:神木隆之介
助演:浜辺美波、安藤サクラほか
VFX制作会社:白組
VFXディレクター:渋谷紀世子
言語:日本語
製作国:日本
配給:東宝

<受賞スピーチ▼>

動画集を開く▼ <監督によるVFX説明▼>

<受賞後のテレビ出演▼>

<受賞後の帰国会見(ノーカット)▼>

<ノミネート発表時の監督らの歓喜▼>

<野島達司の天才ぶり▼>

<監督インタビュー▼>

<渋谷紀世子・VFXディレクターのインタビュー▼>

<サントラ▼>

<制作の舞台裏▼>

<予告編▼>
  • 「ザ・クリエイター/創造者」
    ザ・クリエイター/創造者
    【前哨戦での受賞】
    ・視覚効果協会賞(実写部門)
    ・セントルイス批評家賞 視覚効果賞


  • 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ボリューム3」
    ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ボリューム3


  • 「ナポレオン」
    ナポレオン


  • 「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1」
    ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1



歴代の視覚効果賞→

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▼バービーの最後を締めた名曲▼
歌曲賞 「バービー」
 曲名:『ホワット・ワズ・アイ・メイド・フォー?』
 歌手:ビリー・アイリッシュ (作曲・作詞:ビリー・アイリッシュ&兄フィニアス)

劇中の絶妙なタイミングで流れ、観客を泣かせた。風刺やギャグがてんこ盛りの映画にあって、物語の本質的なメッセージを届けるアンカーのような役割を果たした。

「私は何のために作られたの?」という曲名の通り、自らの存在意義を問いかける歌。 人生の曲がり角に来た人の戸惑いや達観、希望が描かれる。 テーマの普遍性と美しいメロディにより、映画のメインターゲットである若者だけでなく中高年・シニア層からも共感を得た。

心に染み込んでくるアイリッシュのソフトな高音ボーカルも魅力。歌手としての卓越した表現力がこれまで以上に称賛された。

いつものように兄フィニアスと2人で作曲した。グレタ・ガーウィグ監督から脚本の草稿を見せてもらい、主人公らにインスパイアされて書いたという。兄妹2人が同時に陥った作曲家としてのスランプを打ち破る作品になったとされる。

グラミー賞では楽曲賞と映画挿入歌の2冠に輝いた。

<▼受賞スピーチ>
  • 「バービー」
     曲名:『アイム・ジャスト・ケン』
     歌手:ライアン・ゴスリング



  • 「ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー」
     曲名:『It Never Went Away』
     歌手:ジョン・バティステ



  • 「フレーミングホット!チートス物語」
     曲名:『ザ・ファイアー・インサイド』
     歌手:ベッキーG



  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
     曲名:『Wahzhazhe(A Song for My People)』
     歌手:オーセージ族のシンガーたち



歴代の歌曲賞→

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▼厚みある「オッペン」劇伴▼
作曲賞 「オッペンハイマー」 アルバムの再生リスト→

 作曲家:ルドウィグ・ゴランソン

過去に「ブラックパンサー」で受賞。1984年生まれのスウェーデン人。本作では、主人公オッペンハイマーの心理描写に、音楽がぴったりとはまった。

【前哨戦での受賞】
・クリティクス・チョイス賞
・ゴールデングローブ賞
・シアトル批評家賞
・ジョージア批評家賞
・オースティン批評家賞
・セントルイス批評家賞

<▼受賞スピーチ>
  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
     作曲家:ロビー・ロバートソン
    ※「レイジング・ブル」「ハスラー2」「カジノ」「ウルフ・オブ・ウォールストリート」などマーティン・スコセッシ監督作品の音楽を担当。 2023年8月に80歳で亡くなり、本作が遺作となった。母親が先住民系。先住民系として初の作曲賞ノミネートとなった。
    【前哨戦での受賞】
    ・シカゴ批評家賞
    ・ダラス批評家賞 アルバムの再生リスト→



  • 「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」
     作曲家:ジョン・ウィリアムズ
    ※91歳でのノミネートを達成。自身の最高齢記録を更新した。通算ノミネート回数は「54」となり、ウォルト・ディズニーが持つ最多記録「59」に近づいた。 アルバムの再生リスト→



  • 「哀れなるものたち」
     作曲家:ジェルスキン・フェンドリックス アルバムの再生リスト→



  • 「アメリカン・フィクション」
     作曲家:ローラ・カープマン アルバムの再生リスト→



歴代の作曲賞→

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▼ド迫力の臨場感オッペン▼
撮影賞 「オッペンハイマー」

オッペンハイマー

撮影監督:ホイテ・バン・ホイテマ

「ダンケルク」に次ぐ2回目のノミネート。オランダ兼スウェーデン人。1971年スイス生まれ

<説明動画▼>

<▼受賞スピーチ>
  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン


  • 「哀れなるものたち」
    哀れなるものたち


  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
    マエストロ:その音楽と愛と


  • 「伯爵」
    伯爵



歴代の撮影賞→

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▼珠玉の交響曲のようなオッペンの仕上がり▼
編集賞 「オッペンハイマー」

オッペンハイマー

編集:ジェニファー・レイム

セリフ中心の劇を飽きさせない編集。時系列をシャッフルした複雑な物語進行を構築した。レイム氏は初ノミネート。クリストファー・ノーラン監督の前作「テネット」でも巧みな編集技術を発揮した。「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」「マリッジ・ストーリー」「マンチェスター・バイ・ザ・シー」などの編集も手掛けた。

<編集過程の説明▼>

<▼受賞スピーチ>
  • 「落下の解剖学」
    落下の解剖学


  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン


  • 「哀れなるものたち」
    哀れなるものたち


  • 「ホールドオーバーズ」
    ホールドオーバーズ



歴代の編集賞→

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▼音で想像力を喚起させた「関心領域」▼
音響賞 「関心領域」

関心領域

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞

<▼受賞スピーチ>
  • 「オッペンハイマー」
    オッペンハイマー
    不穏な効果音が核の恐怖を想起させる。
    <音響の説明▼>


  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
    マエストロ:その音楽と愛と


  • 「ザ・クリエイター/創造者」
    ザ・クリエイター/創造者


  • 「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1」
    ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1



歴代の音響賞→

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▼バービー対哀れ▼
衣装デザイン賞 「哀れなるものたち」

哀れなるものたち

衣装デザイナー:ホリー・ワディントン

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞

<ファッションの説明▼>

<▼受賞スピーチ>
  • 「バービー」
    バービー
    衣装デザイナー:ジャクリーヌ・デュラン
    ※過去に「アンナ・カレーニナ」「わたしの若草物語」で2回受賞
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティクス・チョイス賞
    <劇中の衣装ベスト10▼>



  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン



  • 「ナポレオン」
    ナポレオン



  • 「オッペンハイマー」
    オッペンハイマー



歴代の衣装デザイン賞→

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▼ポップなバービー対壮麗な空想世界▼
美術賞 「哀れなるものたち」

哀れなるものたち

美術意匠:ジェームズ・プライス&ショナ・ヒース

舞台装飾:ジュジャ・ミハレク

<セット作りの説明▼>

<▼受賞スピーチ>
  • 「バービー」
    バービー
    美術意匠:サラ・グリーンウッド
    舞台装飾:ケイティ・スペンサー
    <バービー邸ツアー▼>



  • 「オッペンハイマー」
    オッペンハイマー
    <ロスアラモスのセット構築▼>



  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン



  • 「ナポレオン」
    ナポレオン



歴代の美術賞→

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▼カズヒロ3回目の受賞ならず▼
メイク&ヘア賞 「哀れなるものたち」

哀れなるものたち

<▼受賞スピーチ>
  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
     カズ・ヒロ(辻一弘)

    マエストロ:その音楽と愛と
    辻一弘

    クーパー大変身

    主演であり監督のブラッドリー・クーパーを、伝説の指揮者レナード・バーンスタインに変身させた。青年期から老年期までステージごとに、巧みにバーンスタイン像を造形。そのスキルの高さに、再びハリウッドがひれ伏した。

    伝説の特殊メイク家

    映画の特殊メイクの世界的な第一人者であり、レジェンド。

    京都生まれ

    1969年京都生まれ。商店街の魚屋の従業員の息子。 子供のころから機械いじりや模型づくりに没頭。 映画「スター・ウォーズ」(1977年)に感動し、書店の洋書コーナーで海外の映画雑誌を読みふけるようになる。高校のとき見たSF雑誌に、俳優ハル・ホルブルック(「大統領の陰謀」のディープ・スロート役)が、特殊メイクによってリンカーン大統領に変身する過程が載っていた。「自分もこれをやるしかない」と確信したという。

    巨匠ディック・スミスとの出会い

    その雑誌で紹介されていたのはテレビドラマ「南北戦争物語」(1985)で、特殊メイクを担当したのは「エクソシスト」「ゴッドファーザー」「アマデウス」など数々の名作の特殊メイクを手掛けてきたメイクアップ・アーテスト界の巨匠ディック・スミス氏(1922年~2014年)だった。

    文通

    さっそくスミス氏の連絡先を調べ、手紙でプロになる方法を尋ねると、「独学が一番」との返事が来た。それ以来、専門誌などを読みながら、自分の顔を実験台にして試行錯誤で特殊メイクに挑んだ。成果物の写真をスミス氏に毎週のように送ると、超多忙にもかかわらず、丁寧に講評を書いて送ってくれたという。

    18歳でホラー映画のメイクに参加

    さらにその数か月後、仕事で来日したスミス氏から電話をもらい、東京で面談が実現。 そこで、スミス氏が特殊メイクなどを監修することになっている日本のホラー映画「スウィートホーム」(黒沢清監督/伊丹十三総指揮、1989年公開)に、スタッフの一人として参加することを提案される。翌春の高校卒業と同時に上京し、四畳半のアパートを借りて「スウィートホーム」の特殊メイク班に加わった。

    黒澤明、伊丹十三

    並々ならぬ才能と献身ぶりが認められ、黒澤明監督「八月の狂詩曲」(1991年)や、伊丹十三監督「ミンボーの女」(1992年)などに参加。さらに、東京の「代々木アニメーション学院」が新設した特殊メイクのクラスの講師も任された。

    27歳で念願の渡米

    1996年、スミス氏の弟子の一人で、「ハリーとヘンダスン一家(1987年)」「エド・ウッド(1994年)」などでオスカーを獲っていたメイク界の第一人者リック・ベイカー氏率いる特殊メイク工房から職をオファーされる。27歳にして長らく夢見ていた渡米を果たした。

    「メン・イン・ブラック」

    渡米後すぐにSF超大作「メン・イン・ブラック」に参加。宇宙人のメイクを担当した。その後も卓越した仕事ぶりで頭角を表す。ただ、「グリンチ」で主役ジム・キャリーのメイクを担当したときにパワハラ被害を受け、うつ病状態になるなど、苦労もあったようだ。

    初ノミネート

    2006年の「もしも昨日が選べたら」で、主役アダム・サンドラーが突然歳をとったり、体格が変わったりする姿のメイクを担当。アカデミー賞のメイク賞に初めてノミネートされる。

    2年連続

    さらに、翌年の「マッド・ファット・ワイフ」では、エディ・マーフィが中国人老人や太った女性などの3役を演じるための特殊メイクを担当。2年連続でオスカーノミネートを果たした。

    「チャーチル」で初受賞

    その後、いったん映画界から退いていたが、「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」で復帰。初のオスカーを受賞した。

    米国民に帰化

    2019年から米国籍。

    <ブラッドリー・クーパーらによる説明▼>
    他の動画▼
    <インタビュー▼>


  • 「オッペンハイマー」
    オッペンハイマー


  • 「ゴルダ」
    ゴルダ


  • 「雪山の絆」
    雪山の絆



歴代のメイク&ヘア賞→

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短編3部門

短編アニメ賞短編ドキュメンタリー賞短編実写賞

部門 受賞 ノミネート
短編アニメ賞 「戦争は終った~ジョン・レノン&オノ・ヨーコからのインスパイア」(WAR IS OVER! Inspired by the Music of John and Yoko)


<▼受賞スピーチ>
  • 「豚への手紙(Letter to a Pig)」
    【国:イスラエル】
    ホロコーストを豚小屋で生き延びた生存者



  • 「Our Uniform」
    【国:イラン】



  • 「Pachyderme」
    【国:フランス】



  • 「Ninety-Five Senses」


歴代の短編アニメ賞→

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短編ドキュメンタリー賞 「ラスト・リペア・ショップ」
(サーチライト)

<本編▼>


<▼受賞スピーチ>
  • 「禁書のイロハ」
    (MTV)
    <予告編▼>



  • 「ふたりのおばあちゃん」
    (ディズニー・プラス)
    「Dìdi(弟弟)」で注目を集めるショーン・ウォン監督が、自らの元気な祖母2人を記録。
    <予告編▼>



  • 「金門」
    ※台湾生まれ米国育ちのS・レオ・チャン(江松長)監督による台湾の離島「金門島」のルポ。
    <本編▼>



  • 「The Barber of Little Rock(リトルロックの床屋)」
    ※米南部アーカンソー州リトルロックの黒人の床屋さんの物語。貧富の差を減らすため、非営利の銀行を設立した。
    <本編▼>


歴代の短編ドキュメンタリー賞→

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短編実写賞 「ヘンリー・シュガーのワンダフルな物語」

監督:ウェス・アンダーソン

(Netflix)
【配信:ネトフリ

<予告編▼>


<▼受賞スピーチ>
  • 「彼方に」
    (Netflix)
    【配信:ネトフリ



  • 「Invincible」
    <予告編▼>



  • 「Knight of Fortune」
    <予告編▼>



  • 「Red, White and Blue」
    <予告編▼>


歴代の短編実写賞→

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作品紹介

作品賞の有力度ランキング

作品賞の有力度ランキングです。ノミネート10本は全体的にハイレベル。コロナ禍の影響による品薄状態が解消された。


順位 ノミネート作
1位 「オッペンハイマー」
オッペンハイマー

米政府の原爆開発チームを率いた科学者の伝記。 大量殺りく兵器を生んだ男のジレンマと波乱の生涯を描く。 クリストファー・ノーラン監督。

独走

オスカー前哨戦では、序盤こそ批評家系の賞で「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」相手に一進一退となる局面もあったが、中盤から早くも圧倒的な独走状態に入った。 本年度のオスカーは全般的にレベルが高く、豊作の年ではあったが、その中でも段違いの強さを見せた。

前年の覇者「エブエブ」と同じ7冠

主要部門では作品賞のほか、監督、主演男優、助演男優を制圧。 技術部門でも3部門(撮影、編集、作曲)を獲り、 前年の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」と同じ7冠に輝いた。
【結果】
受賞 作品賞
監督賞
主演男優賞
 キリアン・マーフィー
助演男優賞
 ロバート・ダウニー・Jr
撮影賞
編集賞
作曲賞
ノミネート 助演女優賞
 エミリー・ブラント
脚色賞
音響賞
美術賞
衣装デザイン賞
メイク&ヘア賞

ノーラン初受賞

「バットマン3部作」「インセプション」「ダンケルク」などで作家性と商業性を両立させてきた名匠ノーラン監督(53歳)は、過去5回オスカーにノミネートされた。本作では監督・脚本・共同プロデューサーを務め、初のオスカー獲得(作品賞と監督賞)となった。
ノーランのオスカー歴▼
作品 部門
2002 「メメント」 脚本賞ノミネート
2011 「インセプション」 作品賞ノミネート

脚本賞ノミネート
2018 「ダンケルク」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2024 「オッペンハイマー」 作品賞受賞

監督賞受賞

脚色賞ノミネート賞

激動の人生を解明

主人公の物理学者オッペンハイマーは、米政府の巨大国家プロジェクト「マンハッタン計画」のリーダーとして原爆開発を成功へと導いた後、より破壊力のある水爆開発の反対へと転換。 政府から公職追放された。その激動の人生を、複数の時間軸を交錯させながら解き明かした。 「天才科学者」「反ナチス・反全体主義者」「国家の英雄」「反逆者」「すけこまし」といった様々な顏を持つ人物像に迫るキャラクター・スタディの傑作として、極めて高い評価を得た。

濃密な会話劇

3時間の長尺で、大半が会話シーン。 しかも内容は科学や政治の難しい話題が中心。 時間軸が何度も前後する複雑な構成。 なおかつ「R」指定ーー。 商業的には不利な条件がそろった知的大人向けドラマだが、幅広い層から支持を集めた。 IMDBの評点は8.4で、作品賞候補の中で断トツのトップ。

映画としての総合力

IMAX70mmフィルムで撮影され、一つ一つのシーンが臨場感や緊迫感に満ちている。 サウンドや劇伴によるムードづくりや、スリリングで飽きさせない編集も巧妙。 短い会話に濃密な情報やドラマ性が詰め込まれた脚本も秀逸で、 見返すたびに新しい発見が得られる。 「映画技術の総合力」が圧倒的に抜きん出ているいるという点で、衆目がほぼ一致した。

演技アンサンブル

俳優陣の演技も絶賛された。オッペンハイマー役のキリアン・マーフィーは長年にわたりノーラン映画の名脇役として活躍してきたが、本作ではド主役に。 抑制された演技で複雑な心理を表現し、物語に見事に溶け込んだ。政府高官役のロバート・ダウニーJrも、キャリアベスト級の好演。 その他数十人にのぼる実力派俳優たちの掛け合いの連続も圧巻。
続きを開く▼

バービーとの興行対決で注目

米国では夏休みシーズンに娯楽大作「バービー」と同じ日に全米公開された。 超話題作2本が正面から激突するとあって、 興行の行方に注目が集まった。

「バービー」は若年層の女性が好む華やかな作品。 一方、「オッペンハイマー」はシリアスでダーク、中高年以上の男性が主な客層という対極。 公開最初の週末にどちらを鑑賞するべきか、あるいは、1日で2本鑑賞する場合はどういうスケジュールを組むべきか――。 米国民にとっての「究極の選択」がお茶の間で話題となり、 そこから『バーベンハイマー』という造語が生まれ、流行した。

結果として、映画館に人がどっと押し寄せる社会現象が起き、両作品とも驚愕の興行成績をたたき出した。オッペンハイマーの北米興収は3.3億ドルで、前年のオスカー作品賞「エブリシング・エブリウェア」の4倍以上。世界興収は約1500億円。骨太な大人向けドラマが依然として商業的に成功し得ることを示した意義は大きい。

オッペンハイマーの生涯

オッペンハイマー博士(1904~1967年)は、裕福なドイツ移民(ユダヤ系)の息子としてニューヨークに生まれ、物理学者として高名を確立。 1942年に始まった政府のマンハッタン計画(原爆製造計画)に招かれた。

マンハッタン計画は未曽有の規模の国家プロジェクトであり、ナチスドイツよりも先に原爆を開発することを主たる目的としていた。 最大55万人が動員され、ウラン濃縮が工場がテネシー州に、プルトニウムを生産する原子炉がワシントン州に建設された。

砂漠に研究所

若干38歳でマンハッタン計画のリーダーに選ばれたオッペンハイマーは、 自らが少年期を過ごしたニューメキシコ州ロスアラモスの砂漠地帯を、 研究・開発拠点の立地場所として提案する。 広大な荒野に「国立ロスアラモス研究所」が建設され、全米の一級の科学者が結集。 オッペンハイマーが初代所長に就任した。

核実験を成功に導く

1945年7月16日、オッペンハイマーのチームは史上初の核実験(通称:トリニティ実験)に成功。 すでにドイツは降伏していたが、日本との長い戦争が続いていたアメリカは沸き立った。 10日後の7月26日、米国などの連合国は日本に対して降伏を勧告(ポツダム宣言)するが、日本側はこれを拒否(無視)。 翌月、米トルーマン大統領はウラン原爆「リトルボーイ」を広島に、プルトニウム原爆「ファットマン」を長崎に投下した。 広島で約14万人、長崎で約7万4千人が1945年末までに死亡。その後も放射線による被害に苦しめられ続けた。

罪の意識にさいなまれる

オッペンハイマーは原爆投下に疑問を抱き、 罪の意識にさいなまれるようになる。 長崎への投下の翌日、すっかりふさぎこんでいたという同僚らの証言が残っている。

投下から2カ月後にロスアラモス研究所長を辞任。 その際の挨拶で「原爆が、争う世界の兵器庫や、戦争に備える国々に新たに追加されるなら、人類がロスアラモスと広島の名を呪うときが来るだろう」と語った。 また、翌月トルーマン大統領と会った際には「私の手は血塗られている」と発言し、大統領の怒りをかった。

水爆反対へ

その後、オッペンハイマーは「核の情報公開と国際管理」に向けた活動を始める。いずれソ連(現ロシア)が原爆を開発するのは目に見えていた。 その前に核管理の枠をつくり、果てしない軍拡に歯止めをかけて人類破滅への道を回避することを目指した。

原爆の数百倍以上の威力を持つとされた水爆の開発にも反対した。 原子力委員会の一般諮問委員会の長として、水爆は「防御する手段のない武器」であると、危険性を熱心に訴えたのだった。

公職追放

こうした姿勢が、政府からの迫害を招くことになる。 保守派の共和党が政権に復帰し、 マッカーシズム(冷戦下のアカ狩り)が吹き荒れた1953年、スパイの嫌疑をかけられる。

オッペンハイマーはマンハッタン計画参加前に左翼系知識人たちと交流があり、思想的にもリベラルだったが、共産党員ではなかった。 それでも、米連邦捜査局(FBI)の尾行・盗聴などによって不利な材料がかき集められ、1954年、公職追放の処分を受ける。

名誉回復と死

1963年にジョンソン大統領(民主党)がエンリコ・フェルミ賞を授与して、名誉がある程度回復された。

1965年に喉頭がんと診断(喫煙家だった)。1967年に62歳で死去した。

2022年12月、米エネルギー省のグランホルム長官は、オッペンハイマー氏に対する公職追放は「偏見に基づく不公正な手続きだった」として処分を取り消した。

歴史家などの間では、オッペンハイマーは、 卓越した知力と遂行能力を備えていた人物と評されている。

原作はピュリツァー賞

映画の原作は2007年に出版された伝記「オッペンハイマー『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」。 著者は、歴史家マーティン・シャーウィンと伝記執筆家カイ・バード。 多数のインタビューに基づいており、オッペンハイマーに関する最も優れた伝記と言われている。 ピュリツァー賞も受賞した。

本の原題は「American Prometheus(アメリカのプロメテウス)」。前半は、才能豊かな理論物理学者として活躍し、人類初の原爆実験が成功するまでが描かれる。 後半では、国家の核政策決定の中枢に位置する人物となった時代が綴られる。

映画の撮影前にシャーウィンは亡くなったが、もう一人の著者であるバードは撮影現場を訪れ、ノーラン監督に知恵を授けたという。

5つの時間軸

本作は、主に以下の5つの時間軸で展開される。
(1)学生~学者時代(1920、30年代)
(2)マンハッタン計画参加(1942年~45年)
(3)戦後の数年間。米原子力委員会(AEC)顧問と、アインシュタインらが所属する「プリンストン高等研究所」所長を兼務した時代。原子力委員会メンバーのルイス・ストロース氏(元軍職員)との出会いから関係悪化までを描写する=主に白黒映像
(4)公職追放処分について協議する政府の聴聞会(1954年)
(5)オッペンハイマー追放に関与したストロースの入閣をめぐる連邦議会の審議(1959年)=白黒映像

 監督:クリストファー・ノーラン
 主演:キリアン・マーフィー(ダークナイト3部作、28日後)
 助演:ロバート・ダウニーJr、エミリー・ブラント、マット・デイモン、フローレンス・ピューほか

 公開日:2024年3月29日(日本)
 製作国:アメリカ
 配給:ユニバーサル
 長さ:3時間


【前哨戦での受賞】
・PGA(全米プロデューサー組合賞)
・DGA(米監督組合賞)
・SAG(俳優組合)アンサンブル賞
・批評家チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞ドラマ部門
その他▼ ・アトランタ批評家賞
・セントルイス批評家賞
・ラスベガス批評家賞

【評点】
ロッテン・トマト 93%
最新→
IMDB 8.4
最新→
メタクリティック 89%
最新→

【興行収入】
北米:3.3億ドル
世界:9.6億ドル
【製作費】
1億ドル

<受賞スピーチ▼>

動画集を開く▼ <予告編▼>

<登場人物の解説(カラクリシネマ)▼>

<予習解説(ツッチ)▼>

<特別映像▼>

<NHKインタビュー▼>

<劇伴▼>

<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ(by プロデューサーでノーランの妻のエマ・トーマス)▼>

<クリティクス・チョイス賞の受賞スピーチ▼>

2位 「ホールドオーバーズ」
ホールドオーバーズ

クリスマス休み中の全寮制学校を舞台に、 帰省しないで学校に残る人たち(holdovers)を描く人情喜劇。

嫌われ教師、問題児、女性料理長の3人が、 笑いと涙、苦さと甘さが交わるドラマを織りなす。 全く異なるバックグラウンドを持つ3人は、 それぞれ問題や苦難を抱えているが、 誰もいなくなった校舎での交流を通じて、 お互いを少しずつ理解していく。 ある意味、1980年代の青春映画「ブレックファスト・クラブ」のようでもある。

郷愁感のあるクラシック

往年のアメリカン・コメディの懐かしさがたっぷりの一作。 デジタル撮影だが、フィルム撮影の風味を出すなど工夫をこらした。 時代設定は1970年代ながら、その時代を知る人だけでなく幅広い層をノスタルジーで満たした。「新たなクリスマス映画の古典(クラシック)」との声も相次いだ。

「親近感」を抱きやすい

本作に登場するのは、どこにでもいそうな市井(しせい)の人たち。扱うテーマは「友情」「家族」「教育」など身近で、内容も基本的にハート・ウォーミング。賞レースで「オッペンハイマー」の独走が顕著になるにつれ、過去に一発逆転を起こした「コーダ」「グリーンブック」のような庶民寄り判官びいき系候補として注目されるようになった。

コミカル作品の名匠

アレクサンダー・ペイン監督は、 コミカル作品が得意な名匠。 過去にオスカー監督賞に3回、脚色賞に3回ノミネートされた。 このうち「サイドウェイ」(2004年)と「ファミリー・ツリー」(2011年)で脚色賞の受賞に至っている。

黄金コンビ復活

本作では、「サイドウェイ」と同じくポール・ジアマッティを主役に起用。 サイドウェイでは、 ペインのウィットや刹那性に富んだ珠玉の台本・演出と、 ダメおじさん力全開のジアマッティの風味がマッチし、 伝説的な傑作が生まれたが、 その黄金コンビが19年ぶりに復活。 再び超一級の化学反応を起こした。

映画未経験の脚本家に依頼

脚本はペイン自身でなく、映画未経験のデビッド・ヘミンソン氏が書いた。 ヘミンソンはテレビ番組のプロデューサー兼脚本家。 テレビドラマ試作版を想定して書いておいた台本サンプルが、 ペイン監督の目に留まったことで、プロジェクトが始動したという。

海外でも支持

オスカー前哨戦では、 トロント国際映画祭で「アメリカン・フィクション」に次ぐ2位となり、 その後の主要賞でも確実に作品賞ノミネート入りを果たした。 英国アカデミー賞でも、地元イギリス製「関心領域」などを差し置いて作品賞候補5本に入り、北米以外でも強い支持があることを示した。

助演女優部門で独走

賞レースでは俳優陣の勝ちぶりもすごい。 食堂シェフを演じたデバイン・ジョイ・ランドルフが助演女優部門で独走。主演ジアマッティも、「オッペンハイマー」のキリアン・マーフィーと互角のトップ争いを展開し、クリティクス・チョイス賞では見事に勝利を飾った。

新人ドミニク・セッサ

さらに、今回が俳優デビューとなった生徒役のドミニク・セッサも称賛された。 クリティクス・チョイス賞などの新人賞を相次いで受賞。 英国アカデミー賞の助演男優賞にもノミネートされた。

【結果】
受賞 助演女優賞
 デバイン・ジョイ・ランドルフ
ノミネート 作品賞
主演男優賞
 ポール・ジアマッティ
脚本賞
編集賞


 監督:アレクサンダー・ペイン
 主演:ポール・ジアマッティ
 助演:デバイン・ジョイ・ランドルフ、ドミニク・セッサ

 公開日:2024年6月21日
 英題:The Holdovers
 配給:フォーカス
 長さ:2時間13分

【他の賞の受賞実績】
 ボストン批評家賞

【評価】
 ロッテン・トマト:96%(最新→
 IMDB:8.1(最新→
 メタクリティック:82%(最新→
 レターボックス:4.2(最新→

【興行収入】
  北米:1900万ドル(最新→

動画集を開く▼ <予告編▼>


<挿入歌「シルバー・ジョイ」▼>


<使用曲「Crying, Laughing, Loving」▼>


<ペイン監督インタビュー▼>


<ペイン監督「70年代の再現」のこだわり▼>


3位 「バービー」
バービー

着せ替え人形「バービー」の世界を、独自の解釈で大胆に物語化。 社会現象を巻き起こした。風刺に満ちた現代コメディ。2023年の世界興行収入トップ。

【結果】
受賞 歌曲賞
 ビリー・アイリッシュ
「What Was I Made For?」
ノミネート 作品賞
助演男優賞
 ライアン・ゴスリング
助演女優賞
 アメリカ・フェレーラ
脚色賞
衣装デザイン賞
美術賞
歌曲賞
 「アイム・ジャスト・ケン」


【他の賞の受賞実績】
 ミシガン批評家賞 作品賞
 ハワイ批評家賞 作品賞
 クリティクス・チョイス賞 コメディ作品賞

【評価】
 ロッテン・トマト:88%(最新→
 IMDB:7.0(最新→
 メタクリティック:80%(最新→
 レターボックス:4.0(最新→

【説明】
おもちゃ人形「バービー」の初めての実写映画。 世界的なブームを起こし、 米国などではピンク色のファッションに身を包んで鑑賞するスタイルが流行。 とくに20代前半や10代後半の女性に熱烈に支持された。 欧州や中南米でも夏休み興行の首位を独走。 中国でも大当たりした。商業的な大成功に加えて、批評家や芸術家による高評価も獲得した。

風刺コメディ

滑稽でポップな一作。 バービー人形やその製造元企業(マテル)に対する自虐的な突っ込みも含めて、 社会風刺に満ちたコメディになっている。 父権主義、ナルシズム、物欲主義などに対する皮肉を連発。 フェミニズム的ではあるが、過度な偏りへの警鐘もある。

斬新かつ共感しやすい

数十年にわたって親しまれてきたバービーの世界を、 新しい視点で大胆に解釈。独創的なアイデアにあふれている。 それでいて、共感をおぼえやすい物語としてまとめ上げたことが、高評価につながった。
ビジュアル面でのレベルの高さも絶賛された。 統一感のある舞台セット、衣装はもとより、音楽・ダンスに至るまで、 ハイセンスな世界観が魅力。

ゴスリング大当たり

演技面では、男性人形「ケン」を演じたライアン・ゴスリングが最大の賛辞の的となった。 主人公バービーを演じ、プロデューサー4人のうちの1人でもあるマーゴット・ロビーは、 他のアワードでは次々とノミネートされたが、オスカーでは主演女優賞候補から漏れた。

最強チームができるまで▼

マテル社がマーゴットを抱え込む

バービーの映画化プロジェクトは当初、バービーの権利元マテル社とソニー・ピクチャーズのコンビで進められた。プロデューサーにはミラマックス出身の女性ロビー・ブレナーが就任。主演候補としてエイミー・シューマー、次にアン・ハサウェイの名が挙がった。

しばらくしてソニーがプロジェクトから撤退。 マテルが完全な主導権を掌握する。 マテル社のCEOイノン・クライズと、マテル映画部門(マテル・フィルムズ)のCEOに就任したロビー・ブレナーは、新たな主役候補としてマーゴット・ロビーに目をつけた。マーゴットとの最初の面談で、クライズとブレナーは「主役は彼女しかいない」と確信したという。

マテル側は、マーゴットを1人の役者としてだけでなく、プロジェクト推進の中核として巻き込む策に出る。マーゴットと彼女の夫トム・アッカリーが経営するスタジオと提携し、夫婦2人をそろってプロデューサーとして迎え入れたのだ。これでマーゴットの主演が決定的になった。

とはいえ、まだ脚本もできていない段階。 マーゴットは、さっそく脚本家としてグレタ・ガーウィグを推挙し、自ら口説きにかかる。 マーゴットはガーウィグの「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」をいたく気に入っていたのだ。

ガーウィックは夫のノア・バームバックが共同執筆することを条件に受諾。勢い余って監督も引き受けることとなった。

バービー人形史▼

1959年誕生

バービーは、米国人女性ルース・ハンドラーさんによって生み出された。

赤ちゃんの人形しかなかった時代に、紙で人形遊びをしている娘を見て、大人の姿をした人形を思い付いた。そして、娘バーバラさんの名にちなんで名付けたバービー人形を誕生させた。

夫のエリオット氏とともに玩具メーカーのマテル社を創設。1959年に売り出した。初代バービーはポニーテールの髪形に白と黒のストライプの水着姿だった。

爆発的人気を呼び、世界各国でロングセラーになった。いろいろな洋服に着せ替えることができる多彩なファッション性も、大ヒットの理由だった。

ハンドラーさんの息子の名にちなんだ男性ケンや、友達ミッジなども発表された。黒人、東洋人の顔や、時代を反映したさまざまな姿のバービーも次々と登場した。

1970年代はディスコファッション、1980年代はキャリアファッション、1990年代はラップミュージック風のファンキーファッションなど、時代ごとの最新ファッションを身につけてきた。

日本で最初に発売されたのは1962年。国産の着せ替え人形が、少女漫画風の顔でかわいい雰囲気を持つのに比べ、バービーは人間味が強く、大人っぽい容姿が特徴だった。女の子のアイドルになった。

その後、日本独自の「リカちゃん」に人気を奪われたが、1990年代に再びブームが起きた。

グレタ・ガーウィグ受賞歴

グレタ・ガーウィグ監督は過去のオスカーで、 「レディ・バード」(2017年)により監督賞&脚本賞にダブルノミネート。 「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」(2019年)では脚色賞にノミネート。

今回は、単独監督として3作目。 脚本は長年のパートナーであるノア・バームバック(マリッジ・ストーリー、イカとクジラなどの監督兼脚本家)と共同執筆し、脚色賞ノミネートを果たした。

1983年生まれ。自主制作映画の脚本を何本か書いた後、 バームバック監督の「フランシス・ハー」(2012年)で主演を務め、一躍脚光を浴びた。 風刺的なタッチで現代女性を描く脚本家として評価されている。

 監督:グレタ・ガーウィグ(レディ・バード、若草物語)
 主演:マーゴット・ロビー
 助演:ライアン・ゴスリング

 公開日:2023年8月11日(日本)
 配給:ワーナー
 長さ:1時間40分

【興行収入】
  米国:6億3000万ドル
  世界:14億4000万ドル(最新→

動画集を開く▼ <予告編▼>


<挿入歌「ジャスト・ケン」~歌手:ライアン・ゴスリング▼>


<挿入歌「ホワット・ワズ・アイ・メイド・フォー?」~歌手:ビリー・アイリッシュ▼>


<挿入歌「ダンス・ザ・ナイト」~歌手:デュア・リパ▼>


<挿入歌「バービー・ワールド with アクア」~歌手:ニッキー・ミナージュ&アイス・スパイス▼>


<町山智浩の解説(前半)▼>


<町山智浩の解説(後半)▼>


4位 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン

アメリカ先住民虐殺の内幕を描く超大作。 巨匠・マーティン・スコセッシ監督が、生々しい語り口で米国史の暗部をえぐり出した。

【結果】
ノミネート 作品賞
監督賞
主演女優賞
 リリー・グラッドストーン
助演男優賞
 ロバート・デ・ニーロ
撮影賞
編集賞
衣装デザイン賞
美術賞
作曲賞
歌曲賞


【他の賞の受賞実績】
 米国映画評議会議賞(NBR)作品賞
 ニューヨーク批評家賞 作品賞
 シカゴ批評家賞 作品賞

【評価】
 ロッテン・トマト:93%(最新→
 IMDB:7.7(最新→
 メタクリティック:89%(最新→
 レターボックス:4.2(最新→

米国で1920年代に起きた「オーセージ・インディアン虐殺事件」を題材とする犯罪サーガ。 油田の利権をめぐり、 オクラホマ州で暮らす先住民(ネイティブ・アメリカン)が次々と殺された残忍な史実を、 スコセッシ監督が巨額の予算でドラマ化した。

荒廃した土地に強制移住させられたオーセージ族は、 居留地の地下から石油が湧き出たことで、米国随一の大金持ちになっていた。 その巨万の富をめがけて、 白人のワルたちが群がってくる、というストーリー。

負の歴史とFBI台頭

アメリカの誕生起源の負の側面に迫る超大作として称賛された。 先住民搾取に加えて、拝金主義、暴力主義、開拓地の無法状態の歴史があぶり出され、 それに歯止めをかけるための存在として国家警察(FBI)が台頭する経緯も描写される。 淡々としているが、生々しく緊張感に満ちた濃厚な3時間半。

原作は、2017年に刊行され、ベストセラーとなったノンフィクション本『花殺し月の殺人 インディアン連続怪死事件とFBIの誕生』。 著者のデビッド・グランは、雑誌「ニューヨーカー」などに投稿する人気ジャーナリスト。

スコセッシ16回目のノミネート

スコセッシ監督は完成時80歳。 原作に綴られた史実をメロドラマ化するのでなく、 加害者側に焦点をあてることで非人道ぶりをえぐり出した。 壮大な叙事詩的西部劇としての見ごたえもたっぷり。 一つ一つのシーンの芸術性も、巨匠ならでは。
オスカーでは作品賞と監督賞にノミネート。 これにより、通算ノミネート数は16回に達した。
スコセッシのオスカー歴▼
過去のオスカーで多数のノミネート歴を誇るスコセッシ監督だが、受賞に至ったのは「ディパーテッド」(2007年)のみ。
<スコセッシ氏のオスカー歴>
作品 部門
1977 「タクシードライバー」 作品賞ノミネート※
1981 「レイジング・ブル」 作品賞ノミネート※

監督賞ノミネート
1989 「最後の誘惑」 監督賞ノミネート
1991 「グッドフェローズ」 作品賞ノミネート※

監督賞ノミネート

脚色賞ノミネート
1994 「エイジ・オブ・イノセンス」 脚色賞ノミネート
2003 「ギャング・オブ・ニューヨーク」 作品賞ノミネート※

監督賞ノミネート
2005 「アビエイター」 作品賞ノミネート※

監督賞ノミネート
2007 「ディパーテッド」 作品賞受賞

監督賞受賞
2012 「ヒューゴの不思議な発明」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2014 「ウルフ・オブ・ウォールストリート」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2020 「アイリッシュマン」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2024 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
※印の作品はプロデューサーを務めておらず、作品賞の直接の対象ではない。

デニーロの凄み

キャスト陣の演技も称賛された。 主演のレオナルド・ディカプリオは、 決して魅力的とはいえない愚鈍な人物像を、 巧妙に演じきった。 過去のスコセッシ映画で伝説的な名演を幾度も見せてきたロバート・デ・ニーロも、 静かだが凄みに満ちたパフォーマンスで、観客を深淵へと導いた。

新星グラッドストーンに大喝采

先住民の血を引き、インディアン居留地で育った女優リリー・グラッドストーンは、 驚愕のリアリズム演技で喝采の的となった。 当初は「助演」での最有力候補になると予想されていたが、 際立った存在感を発揮したこともあり、 「主演」での賞レース参戦となった。

製作費300億円の超大作

SF大作並みの製作費300億円をつぎ込んだ。 メジャー・スタジオのパラマウントと、 「コーダ あいのうた」で前々年に作品賞を獲ったIT業界の巨人・アップルが共同出資。 配信会社とハリウッドメジャーが組み、 大規模な劇場公開をしてから配信で流すという形ができた。

撮影は、事件が起きたオクラホマ州で行われた。細部にわたる完璧主義的な映像も注目の的。

 監督:マーティン・スコセッシ
 主演:レオナルド・ディカプリオ、リリー・グラッドストーン
 助演:ロバート・デ・ニーロほか

 公開日:2023年10月20日(日本)
 配給:パラマウント、アップル
 長さ:3時間26分

【興行収入】
  米国:6700万ドル
  世界:1億5600万ドル(最新→  

動画集を開く▼ <予告編▼>


<レビュー by茶一郎▼>


<レビュー by宇多丸▼>


<スコセッシ▼>


<サントラ▼>


<挿入歌「Wahzhazhe」▼>


5位 「哀れなるものたち」
哀れなるものたち

フランケンシュタインのフェミニスト版。自殺した女性が、胎児の脳を移植されて復活。「大人の体・乳児の脳」という状態で冒険に出る。

「女王陛下のお気に入り」で2019年オスカーの作品賞&監督賞にノミネートされたくせ者系監督ヨルゴス・ランティモス氏の5年ぶり新作。オスカーに強い配給会社サーチライトの本年度イチオシとなった。

 監督:ヨルゴス・ランティモス(ギリシャ出身)
 主演:エマ・ストーン(「ラ・ラ・ランド」で主演女優賞、「バードマン」「女王陛下のお気に入り」で助演ノミネート)
 助演:マーク・ラファロ、ウィレム・デフォーほか

 公開日:2024年1月26日
 英題:Poor Things
 言語:英語
 製作国:英、米、アイルランド
 配給:サーチライト
 長さ:2時間21分

【結果】
受賞 主演女優賞
 エマ・ストーン
美術賞
メイク&ヘア賞
衣装デザイン賞
ノミネート 作品賞
監督賞
助演男優賞
 マーク・ラファロ
脚色賞
撮影賞
編集賞
作曲賞


【他の賞の受賞実績】
 ゴールデングローブ賞 コメディ作品賞(バービーとホールドオーバーズに勝利)
 ベネチア国際映画祭 金獅子賞(最高賞)
 フィラデルフィア批評家賞

【評価】
 ロッテン・トマト:92%(最新→
 IMDB:8.1(最新→
 メタクリティック:88%(最新→
 レターボックス:4.1(最新→

【説明】
ファンタジー喜劇の怪作。 19世紀の英国を舞台に、 科学実験で蘇生した女性を描く。

殻から出ようとする女性

物語では、赤ちゃんの頭脳を持つ主人公ベラを、男たちが自分の思い通りにしようとする。 しかし、ベラは猛スピードで知恵を吸収し、殻から出ようとする。 この2者の緊張関係を軸に、 「管理・抑圧からの解放」というテーマを投げかける。

美術力に称賛

独創的で美しい世界観の構築が称賛された。 セットや衣装は圧巻。 現代的な示唆に富む物語性にも、批評家等から賛辞が集まった。

GG賞でバービーに勝つ

賞レースでは、ベネチア国際映画祭で最高賞を受賞。 ゴールデングローブ賞のコメディ作品賞では「バービー」と「ホールドオーバーズ」に勝ったが、クリティクス・チョイス賞のコメディ作品賞では「バービー」に敗れた。

主演ストーンはプロデューサー兼務

主演エマ・ストーンは、前哨戦で「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」のリリー・グラッドストーンと大接戦を展開。「クリティクス・チョイス賞」で勝利したが、「SAGアワード」では敗れた。

エマ・ストーンは「女王陛下のお気に入り」でランティモス監督と厚い信頼関係を築き、今作の構想に早い段階から参画。プロデューサーの一人となり、自由で容赦ない体当たり演技を自らに課した。

原作は、1992年の小説。 スコットランドの作家アラスター・グレイの代表作の一つ。

【興行収入】
  米国:1900万ドル
  世界:2600万ドル(最新→

動画集を開く▼ <予告編▼>


<エマ・ストーンのコメント▼>


<サントラ▼>


<町山智浩▼>


<衣装について▼>


<世界観のデザインについて▼>


6位 「落下の解剖学」
落下の解剖学

フランス映画。 娯楽性に優れたミステリーであると同時に、 夫婦関係の本質に迫る人間ドラマの秀作として、 世界的な絶賛を浴びた。

欧州の躍進

オスカーでは作品賞と主演女優賞に加えて、 監督賞、脚本賞、編集賞という重要どころにノミネート。 前年の「西部戦線異状なし」に続く欧州大陸勢の躍進となった。

息詰まるサスペンス

主人公は、夫殺しの容疑をかけられた女性小説家。 殺人罪に問われた刑事裁判で、息子の視力を奪った事故や、同じく本を書く仕事をしていた夫との確執があらわとなる。息詰まるサスペンスと濃密な家族ドラマが絡み合い、観客の思考をゆさぶり続ける。

夫婦関係をリアルに描写

仏女性監督ジュスティーヌ・トリエ氏(1978年生まれ)の4作目。 事実婚パートナーと共同で脚本を執筆。 夫婦関係をリアルに描写したシナリオが称賛された。
ドイツの女優ザンドラ・フーラが法廷と家庭で苦悩するインテリ女性を熱演。 主演女優賞にノミネートされた。

大衆的な娯楽性も

カンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)を獲得。 近年のパルムドール作品では珍しく大衆的な娯楽性を備えた。
本来なら国際映画賞でも有力候補になるところだが、 なぜか地元フランスの選考で代表に選ばれず、対象外になった。

【結果】
受賞 脚本賞
ノミネート 作品賞
監督賞
主演女優賞
 ザンドラ・フーラ
編集賞


 監督:ジュスティーヌ・トリエ(「愛欲のセラピー」など)
 主演:ザンドラ・フーラ(ドイツの女優、「ありがとう、トニ・エルドマン」「レクイエム〜ミカエラの肖像」など)

【他の賞の受賞実績】
 カンヌ国際映画祭 最高賞(パルムドール)
 バンクーバー批評家賞 作品賞
 ニューヨーク批評家賞 国際映画賞

【評価】
 ロッテン・トマト:96%(最新→
 IMDB:7.8(最新→
 メタクリティック:86%(最新→
 レターボックス:4.2(最新→

 公開日:2024年2月23日
 英題:Anatomy of a Fall
 言語:仏語、英語、独語
 製作国:フランス
 米国配給:ネオン

動画集を開く▼ <クリップ▼>


7位 「アメリカン・フィクション」
アメリカン・フィクション

「ウォッチメン」などテレビドラマの脚本家として活躍してきたコード・ジェファーソン氏の監督デビュー作。米国社会における黒人の処遇をめぐる風刺コメディで、表層的な平等主義への皮肉に満ちている。ウィットに富んだジョークの連発と、役者陣の演技が称賛された。

風刺コメディ

中流階級出身の黒人小説家が主人公。 ライターとしての腕は良いが、頑固な性格の持ち主。 貧困、犯罪といったステレオタイプ的な黒人社会のテーマを扱わないため、 小説を出しても全く売れない。

そんな中年男が久しぶりに実家に戻り、 家族ドラマやロマンスを展開。 やけっぱちで書いた原稿が思わぬ反響を呼び、事態が動き出す。

現代的でスマート

製作費15億円以下で一見地味な作風ながら、 「現代的でスマートな良作」として高い評価を受け、 メジャーな賞レースのど真ん中に飛び込んだ。

トロント国際映画祭では最有力と見られていた「ホールドオーバーズ」をおさえ最高賞(観客賞)を獲得。前哨戦の最大の山場であるSAGアワード(全米俳優組合賞)のアンサンブル・キャスト賞でも、「哀れなるものたち」「マエストロ」などトップスター競演作をおさえてノミネート(5枠)入りを果たした。英国アカデミー賞(BAFTA)では「オッペンハイマー」等をさしおいて脚色賞に輝いた。

オスカーでは「キャリア最高級の演技」と褒められたベテラン俳優ジェフリー・ライトが主演男優賞にノミネート。ゲイの弟役を演じたスターリング・K・ブラウンも助演男優賞ノミネート。作曲賞にまでノミネートされるというサプライズを起こした。

【結果】
受賞 脚色賞
ノミネート 作品賞
主演男優賞
 ジェフリー・ライト
助演男優賞
 スターリング・K・ブラウン
作曲賞


 監督:コード・ジェファーソン(テレビ「ウォッチメン」の共同脚本家の1人)
 主演:ジェフリー・ライト(「ザ・バットマン」のゴードン役、「007」シリーズのフェリックス・ライター役)
 助演:トレイシー・エリス・ロスほか

 公開日:2023年11月3日(米国)
 英題:American Fiction
 言語:英語
 製作国:アメリカ
 配給:MGM(アマゾン)
 長さ:1時間57分

【他の賞の受賞実績】
 トロント国際映画祭 観客賞(最高賞)
 ワシントン批評家賞

【評価】
 ロッテン・トマト:94%(最新→
 IMDB:7.6(最新→
 メタクリティック:80%(最新→
 レターボックス:3.8(最新→

動画集を開く▼ <予告編▼>


<サントラ▼>


<英国アカデミー賞の脚色賞の受賞スピーチ▼>


8位 「パスト・ライブス/再会」
パスト・ライブス/再会

新人監督によるロマンス劇。A24の本年度イチオシ。 多くの男女の心をわしづかみにし、 2023年のインデペンデント映画の中で最高級の評価を得た。

幼なじみの2人の物語。 韓国からカナダに移住した女子と、 地元ソウルにとどまった男子が、 24年の時を経て大人として再会する。

韓国系カナダ人のセリーヌ・ソン氏の初めての監督作。 1988年にソウルで生まれ、12歳でカナダに移住した自らの経験をふまえ、 オリジナル脚本を書いた。

前年のオスカーで「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」などにより主要部門をほぼ独占したA24が、製作・配給を担った。

愛と運命をテーマにした絶妙に物憂げなドラマ性が称賛された。 静かにゆったりと流れる会話とニュアンス的な描写が、 登場人物たちの人生の移り変わりと内面を深く伝える。 新人監督とは思えない巧みな演出と、繊細で独特なシナリオが光る。

サンダンス映画祭で話題をさらった後、6月に米国公開。 都市部を中心とした中規模公開ながら、興行収入は1000万ドルを突破した。 外国語(韓国語)の会話が中心の地味な作家系ドラマにしては十分な商業面での成績を残した。

賞レースでは、新人監督賞を総なめにした。 インデペンデント系作品を対象とした賞でトップ級の勝率を誇り、 メジャーな賞にも作品、監督、脚本、主演女優賞(セリーヌ・ソン)を中心に次々とノミネート。 さらに、韓国俳優ユ・テオは英国アカデミー賞の主演男優賞ノミネートを果たした。

【あらすじ】24年前の韓国ソウル。12歳の少女ノラと少年ヘ・ソンは、毎日一緒に帰宅する仲良し。勉強ではクラスのトップを競い合っていた。しかし、ノラは家族がカナダに移住し、離ればなれになる。
12年後、Facebookでつながり、オンラインでの再会を果たす。 大学生となっていた2人の会話は盛り上がり、遠距離ながら心を通わせていく。
さらにその12年後の現在。 ノラはニューヨークで有望な劇作家になり、 伴侶と共に多忙な生活を送っていた・・・。

【結果】
ノミネート 作品賞
脚本賞


 監督・脚本:セリーヌ・ソン
 主演:グレタ・リー(韓国系アメリカ人の女優)、ユ・テオ(韓国の男優。「別れる決心」など)
 助演:ジョン・マガロ

 公開日:2024年4月5日
 英題:Past Lives
 言語:韓国語、英語
 製作国:アメリカ
 配給:A24

【評価】
 ロッテン・トマト:96%(最新→
 IMDB:8.0(最新→
 メタクリティック:94%(最新→
 レターボックス:4.2(最新→

【製作費】
  1200万ドル

【他の賞の受賞実績】
 全米映画批評家協会賞(NSFC)作品賞
 ゴッサム賞 作品賞
 フェニックス批評家賞 作品賞
 ユタ批評家賞 作品賞
 西部ニューヨーク州批評家賞 作品賞

【興行収入】
  米国:1090万ドル(最新→

動画集を開く▼ <予告編▼>


<監督&俳優インタビュー▼>


<サントラ▼>


9位 「関心領域」
関心領域

1990年代にジャミロクワイの音楽ビデオを撮ったことで知られる英国の鬼才ジョナサン・グレイザー監督の10年ぶりの新作映画。

作家性が強い独創的な作品。 大衆娯楽性は低いが、 コアなシネフィルから絶大な支持を得た。

PGAの10本に入る

カンヌ国際映画祭で「落下の解剖学」との接戦の末、2位(グランプリ)となった。米国の賞レースでも、ロサンゼルス批評家賞など権威の高い賞で作品賞や監督賞を次々と獲得。ハリウッドの大作を選ぶ傾向が強いPGA(全米プロデューサー組合賞)でも作品賞にノミネートされるというサプライズまで起こした。

ナチス収容所の隣人

ユダヤ人大量虐殺が行われた独ナチスのアウシュビッツ強制収容所。 その隣の邸宅が主な舞台となる。 ナチス幹部である収容所の所長一家が、この邸宅に入居し、生活を始める。

塀の向こうで行われているナチスの虐殺行為は画面には映さない。 ただ、時折、銃声や悲鳴が聞こえてくる。 それでも一家は、絵に描いたような幸せな暮らしを送る。

鮮烈なコントラストで異常さを際立たせる。 音で想像力を喚起させる「見せない演出」が絶賛された。

固定カメラにより長回しを多用。 ドラマチックにしない演出も注目された。

【結果】
受賞 国際映画賞
音響賞
ノミネート 作品賞
監督賞
脚色賞


 監督:ジョナサン・グレイザー(英国人)

 公開日:2024年5月24日
 英題:The Zone of Interest
 言語:ドイツ語
 製作国:英国、ポーランド
 配給:A24

【他の賞の受賞実績】
 カンヌ国際映画祭 2位(グランプリ)
 ロサンゼルス批評家賞 作品賞&監督賞&主演賞&音楽賞
 全米映画批評家協会賞(NSFC)監督賞
 トロント批評家賞 作品賞&監督賞
 サンフランシスコ批評家賞 監督賞
 女性映画ジャーナリスト同盟 作品賞
 ボストン批評家賞 監督賞&脚色賞
 シカゴ批評家賞 外国語映画賞

【評価】
 ロッテン・トマト:93%(最新→
 IMDB:7.6(最新→
 メタクリティック:92%(最新→
 レターボックス:4.0(最新→

動画集を開く▼ <カンヌ上映後の客席の反応▼>


10位 「マエストロ:その音楽と愛と」
マエストロ:その音楽と愛と

 Netflix配信ページ→

「世界のマエストロ(巨匠)」と呼ばれた20世紀の音楽指揮者レナード・バーンスタインの伝記。同性愛者であり、チリ人女優と結婚した後も男性との関係が華やかだったバーンスタインの仕事ぶりや私生活が、夫婦関係を軸に描かれる。Netflixの本年度イチオシ。

一般の評価は「並」

ロッテン・トマトでは批評家支持率79%で悪くはないが、 作品賞ノミネート10本の中では最低。 観客支持率は58%という凡庸ぶりで、10本の中で圧倒的な低さとなった。

ブラッドリー・クーパー監督&主演

大物俳優ブラッドリー・クーパーの2度目の監督作。 監督デビュー作だった「アリー/スター誕生」と同様、主演、共同脚本、共同プロデューサーも務めた。 長年敬愛し続けてきたというバーンスタインになりきったクーパーと、妻役のキャリー・マリガンが賛辞を浴び、2人そろって主演俳優部門ノミネートを果たした。

プロデューサー陣

プロデューサーはクーパーのほか、スティーブン・スピルバーグやマーティン・スコセッシら豪華な顔ぶれ。 スピルバーグは本作で13回目の作品賞ノミネートを果たし、新記録を樹立した。

ヘア&メイク賞

クーパーをバーンスタインそっくりに変身させたカズ・ヒロ氏(日本出身)の特殊メイクが絶賛された。

バーンスタインの生涯▼ レナード・バーンスタインは1918年に米国で生まれ、10歳からピアノの才能を発揮。25歳のときブルーノ・ワルターの代役としてニューヨーク・フィルを指揮し、一躍スターとなった。

世界的な指揮者として、カラヤン氏と世界のクラシック・ファンの人気を二分した。カラヤンがドイツ音楽の伝統を踏まえたのに対し、バーンスタインはポップスからジャズまで幅広く手掛け、いかにもアメリカ的な方法で人気を獲得した。

作曲家として「不安の時代」「エレミア交響曲」、バレエでは「ファンシー・フリー」、オペラでは「タヒチの災難」などを発表。ミュージカル「ウエストサイド物語」の作曲も手がけた。ピアニストとしても一流で、ピアノ協奏曲の演奏を得意とした。

あふれる活力。強烈な個性の輝き。飛んだりはねたりするショー的な指揮ぶりやイベント的な音楽会でも人気を呼んだ。若き日の小沢征爾氏に着目し、活躍の場を与えた人物でもある。

72歳で死去。

【結果】
ノミネート 作品賞
主演男優賞
 ブラッドリー・クーパー
主演女優賞
 キャリー・マリガン
脚本賞
メイク&ヘア賞(辻一弘)
撮影賞
音響賞


 監督:ブラッドリー・クーパー(「アリー/スター誕生」に次ぐ監督2作目)
 主演:ブラッドリー・クーパー、キャリー・マリガン(「プロミシング・ヤング・ウーマン」など)

 公開日:2023年12月8日(日本の映画館)、2023年12月20日(Netflix配信)
 英題:Maestro
 製作国:アメリカ
 配給:Netflix
 長さ:2時間9分

【評価】
 ロッテン・トマト:79%(最新→
 IMDB:6.7(最新→
 メタクリティック:77%(最新→
 レターボックス:3.4(最新→

動画集を開く▼ <予告編▼>


<バーンスタイン本人の指揮▼>


<妻フェリシア本人の歌唱▼>


前哨戦の結果

2024年の賞レースの星取表

2024年のアカデミー賞の前哨戦の結果一覧です。
PGAアワード(全米プロデューサー組合賞)▼
SAGアワード(俳優組合賞)▼
DGAアワード(米監督組合賞)▼
クリティック・チョイス賞▼
英国アカデミー賞▼

<オスカー前哨戦の結果>
賞名 作品賞 監督賞 主演 助演 アニメ賞
クリティクス・チョイス賞 オッペンハイマー オッペンハイマー 【男優】
ポール・ジアマッティ
(ホールドオーバー)

【女優】
エマ・ストーン
(哀れなるものたち)
【男優】
ロバート・ダウニーJr
(オッペンハイマー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
クリティクス・チョイス賞 オッペンハイマー オッペンハイマー 【男優】
キリアン・マーフィー
(オッペンハイマー)

【女優】
エマ・ストーン
(哀れなるものたち)
【男優】
ロバート・ダウニーJr
(オッペンハイマー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
君たちはどう生きるか
ゴールデングローブ賞

詳細
【ドラマ】オッペンハイマー オッペンハイマー ■ドラマ部門

【男優】
キリアン・マーフィー

【女優】
リリー・グラッドストーン
【男優】
ロバート・ダウニーJr

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
君たちはどう生きるか
【コメディ】哀れなるものたち ■コメディ部門

【男優】
ポール・ジアマッティ

【女優】
哀れなるものたち
米国映画評議会議(NBR) キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 【男優】
ポール・ジアマッティ
(ホールドオーバー)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
マーク・ラファロ
(哀れなるものたち)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
全米映画批評家協会賞(NSFC)=渋め パスト ライブス/再会 関心領域 【男優】
アンドリュー・スコット
(異人たち)

【女優】
ザンドラ・フーラ
(落下の解剖学、関心領域)
【男優】
チャールズ・メルトン
(メイ・ディセンバー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
ニューヨーク批評家賞 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン オッペンハイマー 【男優】
フランツ・ロゴフスキ
(パッセージ)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
チャールス・メルトン
(メイ・ディセンバー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
君たちはどう生きるか
ロサンゼルス批評家賞 関心領域 関心領域 ザンドラ・フーラ

エマ・ストーン
レイチェル・マクアダムス

デバイン・ジョイ・ランドルフ
君たちはどう生きるか
シカゴ批評家賞 キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン オッペンハイマー 【男優】
ポール・ジアマッティ
(ホールドオーバー)

【女優】
エマ・ストーン
(哀れなるものたち)
【男優】
チャールズ・メルトン
(メイ・ディセンバー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
君たちはどう生きるか
フロリダ批評家賞 君たちはどう生きるか メイ・ディセンバー 【男優】
フランツ・ロゴフスキ
(Passages)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
チャールズ・メルトン
(メイ・ディセンバー)

【女優】
レイチェル・マクアダムス
(神さま、わたしマーガレットです)
君たちはどう生きるか
ボストン批評家賞 ホールドオーバー 関心領域 【男優】
ポール・ジアマッティ
(ホールドオーバー)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
ライアン・ゴスリング
(バービー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
君たちはどう生きるか
ワシントン批評家賞 アメリカン・フィクション オッペンハイマー 【男優】
キリアン・マーフィー
(オッペンハイマー)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
チャールズ・メルトン
(メイ・ディセンバー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
アトランタ批評家賞 オッペンハイマー オッペンハイマー 【男優】
キリアン・マーフィー
(オッペンハイマー)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
★同点2名

ロバート・ダウニーJr
(オッペンハイマー)

ライアン・ゴスリング
(バービー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
ミシガン批評家賞 バービー バービー 【男優】
★同点2名

ポール・ジアマッティ
(ホールドオーバー)

ジェフリー・ライト
(アメリカン・フィクション)

【女優】
エマ・ストーン
(哀れなるものたち)
【男優】
ライアン・ゴスリング
(バービー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
フィラデルフィア批評家賞 哀れなるものたち 哀れなるものたち 【男優】
キリアン・マーフィー
(オッペンハイマー)

【女優】
エマ・ストーン
(哀れなるものたち)
【男優】
ロバート・ダウニーJr
(オッペンハイマー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
君たちはどう生きるか
サンディエゴ批評家賞 神さま、わたしマーガレットです キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン 【男優】
ジェフリー・ライト
(アメリカン・フィクション)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
ロバート・ダウニーJr
(オッペンハイマー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
君たちはどう生きるか
セントルイス批評家賞 オッペンハイマー オッペンハイマー 【男優】
キリアン・マーフィー
(オッペンハイマー)

【女優】
リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)
【男優】
ライアン・ゴスリング
(バービー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
フェニックス批評家賞 パスト・ライブス/再会 哀れなるものたち 【男優】
キリアン・マーフィー
(オッペンハイマー)

【女優】
エマ・ストーン
(哀れなるものたち)
【男優】
ロバート・ダウニーJr
(オッペンハイマー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
ロンドン批評家賞 関心領域 関心領域 【男優】
アンドリュー・スコット
(異人たち)

【女優】
エマ・ストーン
(哀れなるものたち)
【男優】
チャールズ・メルトン
(メイ・ディセンバー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
君たちはどう生きるか
トロント批評家賞 関心領域 関心領域 リリー・グラッドストーン
(キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン)

ザンドラ・フーラ
(落下の解剖学)
ライアン・ゴスリング
(バービー)

デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
ロボット・ドリームズ
バンクーバー批評家賞 落下の解剖学 オッペンハイマー 【男優】
ポール・ジアマッティ
(ホールドオーバー)

【女優】
ザンドラ・フーラ
(落下の解剖学)
【男優】
ロバート・ダウニーJr
(オッペンハイマー)

【女優】
デバイン・ジョイ・ランドルフ
(ホールドオーバー)
ベネチア映画祭

歴代
哀れなるものたち イオ・カピターノ 【男優】
ピーター・サースガード
(メモリー)

【女優】
ケイリー・スピーニー
(プリシラ)
トロント映画祭

歴代
アメリカン・フィクション

PGA(全米プロデューサー組合賞)【最重要】

■ 受賞

「オッペンハイマー」

オッペンハイマー
ノミネート
  • 「バービー」
  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
  • 「哀れなるものたち」
  • 「アメリカン・フィクション」
  • 「ホールドオーバーズ」
  • 「パスト・ライブス/再会」
  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
  • 「落下の解剖学」
  • 「関心領域」
※外国映画が2本(落下の解剖学、関心領域)入ったのは珍しい。「カラーパープル」が漏れた。


SAG(俳優組合)アンサンブル・キャスト賞

■ 受賞

「オッペンハイマー」

オッペンハイマー
ノミネート
  • 「バービー」
  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
  • 「アメリカン・フィクション」
  • 「カラーパープル」
※「哀れなるものたち」が候補入りならず。
その他の部門→

DGA(米監督組合賞)

■ 受賞

「オッペンハイマー」
クリストファー・ノーラン

クリストファー・ノーラン
ノミネート
  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
     マーティン・スコセッシ監督
  • 「バービー」
     グレタ・ガーウィグ監督
  • 「ホールドオーバーズ」
     アレクサンダー・ペイン監督
  • 「哀れなるものたち」
     ヨルゴス・ランティモス監督

受賞数ランキング

「オッペンハイマー」が最多7冠

<受賞の数と順位>
順位 作品名と受賞部門
1位 7個 「オッペンハイマー」

・作品賞
・監督賞
・主演男優賞(キリアン・マーフィー)
・助演男優賞(ロバート・ダウニーJr)
・撮影賞
・編集賞
・作曲賞
2位 4個 「哀れなるものたち」

・主演女優賞(エマ・ストーン)
・美術賞
・衣装デザイン賞
・メイク&ヘア賞
3位 2個 「関心領域」

・国際映画賞
・音響賞

ノミネート数ランキング

「オッペンハイマー」が最多13個

<ノミネートの獲得数と順位>
順位 作品名とノミネート部門
1位 13個 「オッペンハイマー」

・作品賞
・監督賞
・主演男優賞(キリアン・マーフィー)
・助演男優賞(ロバート・ダウニーJr)
・助演女優賞(エミリー・ブラント)
・脚色賞
・撮影賞
・編集賞
・作曲賞
・音響賞
・衣装デザイン賞
・美術賞
・メイク&ヘア賞
2位 11個 「哀れなるものたち」

・作品賞
・監督賞
・主演女優賞(エマ・ストーン)
・助演男優賞(マーク・ラファロ)
・脚色賞
・撮影賞
・編集賞
・美術賞
・衣装デザイン賞
・メイク&ヘア賞
・作曲賞
3位 10個 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」

・作品賞
・監督賞
・主演女優賞(リリー・グラッドストーン)
・助演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)
・撮影賞
・編集賞
・作曲賞
・歌曲賞
・衣装デザイン賞
・美術賞
4位 8個 「バービー」

・作品賞
・助演男優賞(ライアン・ゴスリング)
・助演女優賞(アメリカ・フェレーラ)
・脚色賞
・歌曲賞(ビリー・アイリッシュ)
・歌曲賞(アイム・ジャスト・ケン)
・衣装デザイン賞
・美術賞
5位 7個 「マエストロ:その音楽と愛と」

・作品賞
・主演男優賞(ブラッドリー・クーパー)
・主演女優賞(キャリー・マリガン)
・脚本賞
・撮影賞
・音響賞
・ヘア&メイク賞

参考



落選した作品・人物

注目されていたがノミネートされなかった作品・人物の一覧です。

作品賞

作品賞ノミネートから漏れた映画
  • 「カラーパープル」
    カラーパープル
    (日本公開:2024年2月9日)

    1985年のスティーブン・スピルバーグによる同名映画を、ミュージカルでリメイクした。 2005年からニューヨーク・ブロードウェイ劇場街で公演され、トニー賞に輝いた舞台版カラーパープルの映画化でもある。 監督は、ガーナ(西アフリカ)出身のラッパー、ブリッツ・バザウーレ。

     監督:ブリッツ・バザウーレ

     プロデューサー:オプラ・ウィンフリー、スティーブン・スピルバーグ、クインシー・ジョーンズ、スコット・サンダース(舞台版のプロデューサー)
     主演:ファンテイジア・バリーノ(歌手)
     助演:ダニエル・ブルックス、タラジ・P・ヘンソン、ハリー・ベイリー

     公開日:2024年2月9日(日本)
     配給:ワーナー
     長さ:2時間21分

    【ノミネート有力部門】
     作品賞
     主演女優賞(ファンテイジア・バリーノ)
     助演女優賞(ダニエル・ブルックス、タラージ・P・ヘンソン)
     助演男優賞(コールマン・ドミンゴ)
     衣装デザイン賞
     美術賞
     メイク&ヘア賞
     歌曲賞

    【評価】
     ロッテン・トマト:86%(最新→
     IMDB:7.9(最新→
     メタクリティック:70%(最新→
     レターボックス:3.7(最新→

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  • 「異人たち」
    異人たち

    日本屈指の放送作家・山田太一の小説「異人たちとの夏」(1987年)の映画化。 ロマンチック・ファンタジー。イギリス映画。

    原作小説は、月刊誌「小説新潮」1987年1月号で発表された。 テレビドラマの脚本を書いている40代の男が、死んだはずの両親と出会う怪談系の物語。題名の「異人」は死者のこと。

    舞台をロンドンに変えた本作では、主人公が隣人との出会いを機に、 幼少期の実家に連れ戻されるという設定になっている。 同性愛ストーリーの要素も加わる。

    米テルライド映画祭で初公開され、評論家らの熱烈な支持を獲得した。

    日本でも1988年に大林宣彦監督によって映画化された。 キネマ旬報ベスト・テンで父役の片岡鶴太郎が助演男優賞、母役の秋吉久美子が助演女優賞に輝いた。

     監督:アンドリュー・ヘイ(「さざなみ」など。英国人)
     主演:アンドリュー・スコット(アイルランド出身の実力派。「1917 命をかけた伝令」などの脇役)
     助演:ポール・メスカル、クレア・フォイほか

     公開日:2024年春(日本)
     英題:All of Us Strangers
     言語:英語
     製作国:イギリス
     配給:サーチライト
     長さ:1時間45分

    【ノミネート有力部門】
     作品賞
     監督賞
     脚色賞
     主演男優賞

    【評価】
     ロッテン・トマト:97%(最新→
     メタクリティック:91%(最新→
     レターボックス:4.0(最新→

    【ウィキ】
      

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  • 「AIR/エア」 AIR/エア

    米ナイキの運動靴ブランド「エア・ジョーダン」の誕生物語。 1984年が舞台。バスケットボール・シューズア市場でディダスとコンバースに後塵を拝していたナイキが、大きな賭けに出る。
     製作国:アメリカ
     配給:Amazonスタジオ

    【ノミネート有力部門】
     作品賞
     助演女優賞(バイオラ・デービス)


    主人公はナイキの社員であるソニー・ヴァカロ(マット・デイモン)。実在の人物。創業者でCEOのフィル・ナイト(ベン・アフレック)から指示を受け、バスケットボールのスター選手との契約を結び、販売を増やし、苦境に立たされている部門を救うように求められる。

    流れるような自然な会話と、キャスト陣の見事なアンサンブル演技が称賛された。 とりわけ脚本が見事。数十年にわたって広く知られているストーリーから緊張感を引き出すプロットが高評価。ユーモアも上質。 脚本家コンヴェリーは、本作が事実上のデビュー作となった。

     監督:ベン・アフレック
     主演:マット・デイモン
     助演:バイオラ・デービスほか

     公開日:2023年4月7日
     言語:英語 > 主演男優賞(マット・デイモン)
     脚色賞

    【評価】
     ロッテン・トマト:93%(最新→
     IMDB:7.4(最新→
     メタクリティック:73%(最新→
     レターボックス:3.6(最新→

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    <マット・デイモンとバイオラ・デービスの会話シーン▼>



  • 「メイ・ディセンバー」
    メイ・ディセンバー

    心理ドラマ。映画の役作りのために調査を行う女優の物語。 この女優は、かつて13歳の少年との性的関係による逮捕された女性を、演じることになった。 ナタリー・ポートマンとジュリアン・ムーアという2人のハリウッド女優による絶妙な共演が見どころ。

     監督:トッド・ヘインズ(「キャロル」「エデンより彼方に」「ダーク・ウォーターズ」など)
     主演:ナタリー・ポートマン
     助演:ジュリアン・ムーア

     公開日:2023年12月1日、米国ネトフリ配信
     英題:May December
     言語:英語
     製作国:アメリカ
     配給:ネットフリックス(Netflix)

    【ノミネート有力部門】
     主演女優賞(ナタリー・ポートマン)
     助演女優賞(ジュリアン・ムーア)

    【評価】
     ロッテン・トマト:92%(最新→
     IMDB:7.1(最新→
     メタクリティック:85%(最新→
     レターボックス:3.9(最新→

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  • 「ソルトバーン」
    ソルトバーン


  • 「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」
    スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース


  • 「ゴジラ-1.0(マイナス・ワン)」
    ゴジラ-1.0(マイナス・ワン)
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監督賞

監督賞ノミネートから漏れた人物
  • グレタ・ガーウィグ
    「バービー」
    グレタ・ガーウィグ
    【前哨戦での受賞】
    ・ミシガン批評家賞


  • アレクサンダー・ペイン
    「ホールドオーバーズ」
    アレクサンダー・ペイン


  • ブラッドリー・クーパー
    「マエストロ」
    ブラッドリー・クーパー


  • セリーヌ・ソン
    「パスト・ライブス/再会」
    セリーヌ・ソン
    【前哨戦での受賞】
    ・ユタ批評家賞 監督賞


  • アンドリュー・ヘイ
    「異人たち」
    アンドリュー・ヘイ


  • 宮崎駿
    「君たちはどう生きるか」
    宮崎駿

主演男優賞

主演男優賞ノミネートから漏れた人物
  • アンドリュー・スコット
    「異人たち」
    アンドリュー・スコット
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ユタ批評家賞


  • レオナルド・ディカプリオ
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    レオナルド・ディカプリオ


  • バリー・キオガン
    「ソルトバーン」
    バリー・キオガン


  • ザック・エフロン
    「アイアン・クロー」
    ザック・エフロン


  • ユ・テオ
    「パスト・ライブス/再会」
    ユ・テオ


  • フランツ・ロゴフスキ
    「パッセージ」
    フランツ・ロゴフスキ
    【前哨戦での受賞】
    ・ニューヨーク批評家賞

主演女優賞

主演女優賞ノミネートから漏れた人物
  • マーゴット・ロビー
    「バービー」
    マーゴット・ロビー


  • グレタ・リー
    「パスト・ライブス/再会」
    グレタ・リー
    【前哨戦での受賞】
    ・ハワイ批評家賞


  • ファンテイジア・バリーノ
    「カラーパープル」
    ファンテイジア・バリーノ


  • ナタリー・ポートマン
    「メイ・ディセンバー」
    ナタリー・ポートマン



  • アルマ・ポウスティ
    「枯れ葉」
    アルマ・ポウスティ


  • テヤナ・テイラー
    「A Thousand and One」
    テヤナ・テイラー


  • アーンジャニュー・エリス
    「オリジン」
    アーンジャニュー・エリス


  • ジェニファー・ローレンス
    「マディのおしごと 恋の手ほどき始めます」
    ジェニファー・ローレンス

助演男優賞

助演男優賞ノミネートから漏れた人物
  • チャールズ・メルトン
    「メイ・ディセンバー」
    チャールズ・メルトン
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞


  • ウィレム・デフォー
    「哀れなるものたち」
    ウィレム・デフォー


  • マット・デイモン
    「オッペンハイマー」
    マット・デイモン


  • コールマン・ドミンゴ
    「カラーパープル」
    コールマン・ドミンゴ


  • ドミニク・セッサ
    「ホールドオーバーズ」
    ドミニク・セッサ


  • ポール・メスカル
    「異人たち」
    ポール・メスカル
    ※アイルランド出身。


  • グレン・ハワートン
    「ブラックベリー」
    グレン・ハワートン


  • ピーター・サースガード
    「メモリー」
    ピーター・サースガード

助演女優賞

助演女優賞ノミネートから漏れた人物
  • ジュリアン・ムーア
    「メイ・ディセンバー」
    ジュリアン・ムーア
    【前哨戦での受賞】
    ・ネバダ批評家賞


  • ペネロペ・クルス
    「フェラーリ」
    ペネロペ・クルス


  • レイチェル・マクアダムス
    「神さま、わたしマーガレットです」
    レイチェル・マクアダムス
    【前哨戦での受賞】
    ・サンディエゴ批評家賞


  • タラージ・P・ヘンソン
    「カラーパープル」
    タラジ・P・ヘンソン


  • ロザムンド・パイク
    「ソルトバーン」
    ロザムンド・パイク


  • ザンドラ・フーラ
    「ゾーン・オブ・インタレスト」
    ザンドラ・フーラ


  • バネッサ・カービー
    「ナポレオン」
    バネッサ・カービー


  • バイオラ・デイビス
    「AIR/エア」
    バイオラ・デイビス


  • クレア・フォイ
    「異人たち」
    クレア・フォイ

国際映画賞

国際映画賞ノミネートから漏れた映画
  • 「枯れ葉」
     国:フィンランド
    枯れ葉
    フィンランドの名匠カウリスマキ監督による風刺的でユーモアのある恋愛悲喜劇。 ヘルシンキの片隅で暮らす孤独な男女が、すれ違いを繰り返す。 アルコール依存症がテーマ。 簡潔な描写の中に、哀愁とユーモアを漂わせた。
    監督:アキ・カウリスマキ(「過去のない男」などで有名)
    主演:アルマ・ポウスティ(「TOVE/トーベ」など)
    英題:Fallen Leaves
    言語:フィンランド語
    製作国:フィンランド
    ■評点:ロッテン98%、IMDb7.6
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)非英語作品賞
    カンヌ国際映画祭 審査委員賞(3位の賞)
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  • 「トーテム」
     国:メキシコ
    トーテム


  • 「パーフェクト・デイズ」
     国:日本
    パーフェクト・デイズ
    (日本公開:2023年12月22日)
    ※東京都心の公衆トイレの清掃業務に従事する初老男性の物語。 黙々と働くプロ職業人の日常生活を、静かに追う。 ストーリーらしきものがなく会話も非常に少ないが、 主人公の生き様とその描き方が世界から共感を得た。
    「ベルリン・天使の詩」「パリ、テキサス」など数々の名作を送り出してきたドイツの巨匠、ビム・ベンダース監督が、東京の心象風景を美しく味わい深く表現している。
    カンヌ国際映画祭で役所広司が男優賞を獲得。 世界的な実力俳優として認知された。 表情、身ぶり、僅かなセリフで人生観を伝える。
    ユニクロのオーナー社長の息子・柳井康治氏がプロデューサーを務めた。
    東京都渋谷区内に斬新な公共トイレを17カ所設置するという日本財団のプロジェクトの一環としてつくられた。 当初は短編映画として企画され、 親日家で小津安二郎ファンのベンダース監督にオファーしたところ、快諾。 「どうせなら長編で」という話になり、 ベンダース氏と広告作家・高崎卓馬氏(電通)が共同で脚本を書いた。
    監督:ビム・ベンダース
    プロデューサー:ビム・ベンダース、柳井康治、高崎卓馬(電通)ほか
    主演:役所広司
    助演:石川さゆり、三浦友和、柄本時生(えもと・ときお)ほか
    言語:日本語
    製作国:日本、ドイツ
    配給:ビターズ・エンド
    米国配給:ネオン
    長さ:2時間4分
    ■評点:ロッテン92%、IMDb7.9
    【前哨戦での受賞】
     カンヌ国際映画祭 男優賞(役所広司)
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <役所広司のカンヌ受賞スピーチ▼>


    <挿入歌「パーフェクト・デイ」~歌手ルー・リード▼>


    <挿入歌「朝日のあたる家」~byアニマルズ▼>


    <挿入歌「ドック・オブ・ベイ」~歌手オーティス・レディング▼>



  • 「ポトフ 美食家と料理人」
     国:フランス
    ポトフ 美食家と料理人
    (日本公開:2023年12月15日)
    ※ロマンチックドラマ。1885年のフランスを舞台に、料理人と美食家(グルメ)の関係性を描く。
    監督:トラン・アン・ユン(ベトナム系フランス人、「ノルウェイの森」)
    出演:ジュリエット・ビノシュ、ブノワ・マジメル(仏)
    英題:The Taste of Things
    言語:フランス語
    製作国:フランス
    長さ:2時間16分
    配給:IFCフィルムズ
    ■評点:ロッテン98%、IMDb7.5
    【前哨戦での受賞】
     カンヌ国際映画祭 監督賞
    動画集を開く▼ <予告編▼>



  • 「実録 マリウポリの20日間」
     国:ウクライナ
    実録 マリウポリの20日間


  • 「The Promised Land」
     国:デンマーク
    マッツ・ミケルセン主演
    The Promised Land

アニメ賞

アニメ賞ノミネートから漏れた映画
  • 「ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック」
    ミュータント・タートルズ:ミュータント・パニック
    (ニコロデオン)


  • 「すずめの戸締まり」
    すずめの戸締まり
    【国:日本】
    (東宝)


  • 「ウィッシュ」
    ウィッシュ


  • 「チキンラン:ナゲット大作戦」
    チキンラン:ナゲット大作戦


  • 「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」
    ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー


  • 「The Peasants」
    The Peasants

ドキュメンタリー賞

ドキュメンタリー賞ノミネートから漏れた映画
  • 「ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー」
    (Netflix)
    ジョン・バティステ:アメリカン・シンフォニー
    【配信:ネトフリ


  • 「ビヨンド・ユートピア 脱北」
    ビヨンド・ユートピア 脱北
    (日本公開:2024年1月12日)
     国:アメリカ
    【前哨戦での受賞】
    サンダンス映画祭ドキュメンタリ部門 観客賞


  • 「STILL マイケル・J・フォックス ストーリー」
    STILL マイケル・J・フォックス ストーリー