アメリカのアカデミー賞の選考・審査・投票について解説します。選考方法や基準、条件など。
アカデミー賞で投票するのは、主催団体「映画芸術科学アカデミー(AMPAS)」の会員です。 会員は、映画業界で卓越した実績を挙げた人たちで構成されています。 人数は約9500人(2022年現在)。 米国だけでなく、日本など海外の人もいます。 映画評論家や記者でなく、映画産業の内部で働く「業界人」が選ぶのが特徴です。職業別でみると、「俳優」が最大の投票母体になっています。
職業 (所属する支部) |
人数 | 割合 |
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俳優 | 1336人 | 14% |
監督 | 568人 | 6% |
プロデューサー | 634人 | 7% |
脚本家 | 504人 | 5% |
キャスティング(配役担当)ディレクター | 150人 | 2% |
マーケティング・広報 | 605人 | 6% |
映画編集者 | 375人 | 4% |
撮影技師 | 290人 | 3% |
視覚効果 | 606人 | 6% |
音響技術者 | 550人 | 6% |
アニメ/短編映画 | 844人 | 9% |
ドキュメンタリー制作者 | 618人 | 7% |
メイクアップ&ヘアスタイリスト | 231人 | 2% |
衣装デザイナー | 171人 | 2% |
美術・舞台装置 | 387人 | 4% |
音楽家 | 383人 | 4% |
製作・配給会社の経営幹部 | 681人 | 7% |
無所属 | 554人 | 6% |
合計 | 9487人 |
投票権者(審査員、選考委員)の資格、人数、もらえる賞品や賞金、選考対象の条件など。日本人の投票権者(アカデミー会員)一覧。
主催団体 | 映画芸術科学アカデミー
(略称:AMPAS、通称:アカデミー協会/所在地:アメリカ) |
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投票する人(審査員、選考委員) | 映画芸術科学アカデミーの会員 (通称「アカデミー会員」または「アカデミー協会員」) ※アカデミー会員になれるのは、映画業界で働く人たちである。つまり「映画の作り手」が賞の選考にあたる。 他の多くの映画賞のように、映画評論家や記者ではない。 |
アカデミー会員の人数 | 9487人(2022年時点) |
アカデミー会員の内訳の比率 | 俳優・・・14% プロデューサー・・・7% 監督・・・6% 脚本家・・・5% など |
審査(投票)資格を得るには | 映画産業で活躍すると、アカデミー会員になる資格を与えられる(協会から招待状が届く)。
会員になると、投票資格を得ることができる。
※国籍に関係なく資格を得られる。 |
投票資格の期限 | 10年間(映画界で仕事を続けていれば、更新される) ※3回更新すると終身会員になれる。 ただし、映画界で目立った活動をしていないと、投票権はなくなり、「名誉会員」になる。 また、過去にアカデミー賞を受賞またはノミネートされたことがある人も終身会員になる。 |
選考対象になる条件 | ・前年1月1日~12月31日に上映 ・米国ロサンゼルス郡内の映画館で、連続7日以上にわたって有料上映 ・長さ40分以上 ・35ミリか70ミリのフィルムまたは所定のデジタル形式で映写 ・劇場公開以前にテレビ放送、ネット配信、ビデオ発売などで公開されていない ・米国外ですでに公開されている映画については、以下の2つの条件を満たすこと 「映画が最初に公開されてから90日間、劇場公開以外の方法で公開されていない」 「ロサンゼルスで劇場公開される前に、米国内でネット配信やビデオ発売がされていない」 ・英語以外の言語で作成された場合は、英語の字幕があること ・以上は作品賞や監督賞、俳優賞などの条件。アニメ賞、ドキュメンタリー賞、外国語映画賞、短編映画賞については別のルールがある。 ・アカデミー賞公認の映画祭の受賞作品は、自動的にノミネート候補となる(日本では広島国際アニメーションフェスティバル、ショートショートフィルム・フェスティバル) |
ノミネートの選考方法 |
作品賞・・・すべての会員が投票できる。
監督賞、俳優賞、脚本賞、撮影賞、美術賞、編集賞、衣装デザイン賞、音響・視覚効果など ・・・会員のうち、それぞれの同業者が投票して決める。アカデミー協会は職業ごとに支部に分かれており、各支部内で投票する。 ※国際映画賞、ドキュメンタリー賞、歌曲賞などについては、協会によって事前選考が行われる。 この選考で勝ち残った作品または人物は「ショートリスト」と呼ばれる。 このショートリストの中から、投票によってノミネートが選ばれる。 |
受賞者の決定方法 |
全ての部門について、すべての会員が投票によって決まる。
※無記名投票 ※作品賞については、一つの作品に投票するのでなく、ノミネート作品に「1位」「2位」「3位」などと順位を付けて投票する(ランキング方式) |
投票する時期 |
【2018年(第90回)アカデミー賞の場合】 |
賞品・賞金 |
【受賞者】 ・賞金・・・なし ・賞品・・・受賞名が刻印されたオスカー像 【候補者(ノミネート)】 ・賞金・・・なし ・賞品・・・ギフトバッグ(ただし、アカデミー協会が支給しているのではなく、マーケティング会社が非公式に配布) 服飾品や旅行券、あるいは洗剤や食品など、その年によって異なる雑多な物品が入っており、その総額は数万ドル(数百万円)相当 ※ただし、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、監督賞のみ。 |
日本人の有資格者 (過去にアカデミー会員として招待された人。すでに退会している人も含む) |
ワダ・エミ(衣装デザイナー) 渡辺謙(俳優) 仲代達矢(俳優) 河瀬直美(監督) 黒沢清(監督) 原一男(監督) 北野武(監督) 是枝裕和(監督) 梅林茂(作曲家) 西村義明(アニメプロデューサー) 堤大介(アートディレクター) 山村浩二(アニメーション作家) 米林宏昌(アニメ映画監督) 赤塚佳仁(美術監督) 種田陽平(美術監督) ほか 【2018年の招待】 新海誠(アニメ監督) イッセー尾形(俳優) 金城武(俳優) 片渕須直(監督) 細田守(監督) 平柳敦子(監督) 園子温(脚本) ほか 【2019年の招待】 大友克洋(アニメ監督) 押井守(アニメ監督) 斎藤優一郎(プロデューサー) ほか 【2021年の招待】 川村恵(キャスティング、配役師) アスカ・マツミヤ(音楽家) ほか |