受賞 | 作品賞 |
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監督賞 ジョナサン・デミ |
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主演男優賞 アンソニー・ホプキンス |
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主演女優賞 ジョディ・フォスター |
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脚色賞 テッド・タリー |
ノミネート | 録音賞 トム・フライシュマン、クリストファー・ニューマン |
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編集賞 クレイグ・マッケイ |
トマス・ハリス原作の同名小説を、ジョナサン・デミ監督で1991年に映画化。「バッファロー・ビル事件」を追うFBI訓練生クラリス・スターリングを演じるジョディ・フォスターは、主演女優賞を受賞しました。また、クラリスが助言を求める重要人物ハンニバル・レクター役のアンソニー・ホプキンスも、アカデミー主演男優賞を獲得。ホプキンスは、鬼気迫る狂気の猟奇殺人鬼を怪演し、続編『ハンニバル(2001)』『レッド・ドラゴン(2002年)』でも同役で出演しています。
当時の犯罪捜査の新手法「プロファイリング」(犯人の性質から行動や特徴を推論する)という言葉は、本作をきっかけにあまねく知られるようになりました。
原作はトマス・ハリスの同名小説。ハリスはAP通信の敏腕記者だった。 原作の克明な描写を、ジョナサン・デミ監督は忠実にドキュメンタリー・タッチで追った。
FBIアカデミーの訓練生クラリス(フォスター)は上司のクロフォード(スコット・グレン)に呼ばれ、連続殺人犯の仮称“バッファロー・ビル”捜査に加わるよう命じられる。
事件は10カ月間に若い女性ばかり五人が殺害され、皮をはがれる猟奇的なものだった。命令の第一段階は精神異常犯罪者用病院に収監中のハニバル・レクター(ホプキンス)に会い、犯行の動機など犯人につながるヒントをもらうことだ。
レクター博士は天才的な元精神科医だった。自分の患者九人を殺し、食べたという恐るべき人物。
厳重に警戒されている独房でレクター博士に会うクラリス。このシーンはホプキンスの底知れぬ迫力に圧倒される。
製作した米の中堅映画会社「オライオン」は1991年12月、米連邦破産法で会社更生の適用を受け、倒産した。 前年の「ダンス・ウィズ・ウルブス」も手掛けたが、経営に行き詰まった。
言わずと知れたサイコサスペンスの金字塔!
私はこの映画を、大人になってから見たのですが、あの時の衝撃は忘れられません。
すっかり映画の世界に惹きこまれ、見終わった後はしばらく放心状態になりました。
涼しい顔で人を殺し、その肉を食らうカニバリズム。一点の曇りのない完全な「悪」の前には、一般常識やモラルは通用しない---知的で紳士的なレクター博士(アンソニー・ホプキンス)の内なる狂気が恐ろしいです。レクターの異常人格は、戦時中の彼の過去に起因するようですが、本作品では語られていません。(気になります!)
レクター博士は、「バッファロー・ビル事件」を追う若く美しいFBI訓練生クラリス(ジョディ・フォスター)に興味を抱き、事件のヒントとともに異様なプレッシャーをも与えます。
何と言っても、この2人のやり取りが本作品の醍醐味!
2人の初対面の緊張感は半端ありません。
レクターはクラリスに対し、礼儀正しく紳士的な振る舞いで接しますが、その実、じっと冷静に分析しています。彼女に不埒な行いをする囚人に対しては、言葉だけで追い込む凄みをも見せます。ガラスの壁の向こうにいるレクター博士の内に秘めた狂気が、常にクラリスの喉元を捕らえているような気がして身がすくみます。
レクター博士の人格が強烈なせいか、ストーリーの本筋(?)「バッファロー・ビル事件」が霞んで見えました。この犯人も、若い女性を殺して剥いだ皮でドレスを作るという、かなりの猟奇的変質者なのですが。
クラリス演じるジョディ・フォスターの、知的で硬質な美貌、若々しさは素晴らしいですね。
今まで、あんなに綺麗な女優さんだったとは気付きませんでした。(失礼!)年を重ねたジョディもクールビューティだけど、若い頃は輪をかけて眩しいほどです!
レクター役のアンソニー・ホプキンスもハマり役です。
昔、すっかりファンになって「レクター様」なんて親しげに呼んでいる友人がいましたが、こうした女性ファンは多いようですね。私個人的としては、続編でジャック・ニコルソン演じるレクターも見てみたかったです。
ぞっとするような目の凄みがあるのに、うっかり信頼してしまいそうな知性・話術・品格を備え、さらに行動力もある……ハンニバル・レクター氏を主役にした続編が出ているのもうなずけます。
映画は、全体に陰湿で陰惨、ショッキングな映像も多いです。
それなのに何故かしら……背徳的な美しさすら感じる作品でした。
1991年/アメリカ/118分/原題「The Silence of the Lambs」
DVDパッケージ画像
「羊たちの沈黙」は、Huluでストリーミング配信されています。
字幕なしです。