1970年代のアカデミー賞の受賞とノミネートの一覧です。(アワード・ウォッチ編集部)
年 | 作品賞 | |
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1979年 | 「ディア・ハンター」 | 詳細↓ |
1978年 | 「アニー・ホール」 | 詳細↓ |
1977年 | 「ロッキー」 | 詳細↓ |
1976年 | 「カッコーの巣の上で」 | 詳細↓ |
1975年 | 「ゴッドファーザーPARTⅡ」 | 詳細↓ |
1974年 | 「スティング」 | 詳細↓ |
1973年 | 「ゴッドファーザー」 | 詳細↓ |
1972年 | 「フレンチ・コネクション」 | 詳細↓ |
1971年 | 「パットン大戦車軍団」 | 詳細↓ |
1970年 | 「真夜中のカーボーイ」 | 詳細↓ |
1970年代は、アカデミー賞にとって輝かしい時代です。娯楽性と芸術性を兼ね備えた歴史的な秀作がオスカーを獲りました。何といっても「ゴッドファーザー」と「ゴッドファーザー PART II」が有名。作品賞の歴代ランキングでも常に上位に顔を出す不朽の名作として讃えられています。また、この時代には、「アメリカン・ニューシネマ」の作品が次々と栄冠に輝きました。「真夜中のカーボーイ」「カッコーの巣の上で」などです。「ロッキー」や「スティング」のような大衆に幅広く愛された映画も、堂々の勝利を収めました。このほか、1978年には「スター・ウォーズ」が作品賞ノミネート。SF作品としては画期的な出来事となりました。
3年前に終結したベトナム戦争を題材にした「ディア・ハンター」が作品賞を受賞。監督賞(マイケル・チミノ)、助演男優賞(クリストファー・ウォーケン)、編集賞、音響賞の計5冠に輝いた。同じくベトナム戦争を描いた「帰郷」が主要部門で3冠(主演男優、主演女優、脚本)。
(1979年 | 1978年↓)
1979年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ディア・ハンター」
【配信:アマゾン】 監督:マイクル・チミノ 戦争の狂気を容赦なく暴いた。3時間余の大作。 米ペンシルベニアの鉄工所で働く3人の若者たちが、ベトナム戦争に徴兵される。故郷での幸せな日々から一転、ベトナム戦争での恐ろしい体験を経て心を病んでいく若者たちの姿を描く。哀愁に満ちた叙事詩でもある。 ベトナム戦争の終結から3年後に公開された。同じく作品賞ノミネート「帰郷」、翌年の作品賞ノミネート「地獄の黙示録」(フランシス・コッポラ監督)とともに、本格的なベトナム戦争映画のパイオニアとなった。 1970年代のハリウッドで流行した「男たちのメロドラマ」(バディ・フィルム)の究極とも評された。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | マイクル・チミノ (ディア・ハンター) ※「ダーティハリー2」の脚本家の一人だった。主演のクリント・イーストウッドにその才能を買われて、イーストウッドが主演する「サンダーボルト」に監督に起用された。本作は監督2作目だった。 |
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主演男優賞 | ジョン・ボイト (帰郷) |
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主演女優賞 | ジェーン・フォンダ (帰郷) |
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助演男優賞 | クリストファー・ウォーケン (ディア・ハンター) |
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助演女優賞 | マギー・スミス (カリフォルニア・スイート) |
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脚本賞 | 帰郷 (ロバート・C・ジョーンズ、ウォルド・ソルト、ナンシー・ダウド) |
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脚色賞 | ミッドナイト・エクスプレス (オリヴァー・ストーン) |
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外国語映画賞 | ハンカチのご用意を (フランス) |
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記念すべき50回目。ウディ・アレン監督の「アニー・ホール」が作品賞を制した。監督賞、主演女優賞(ダイアン・キートン)、脚本賞も獲り、主要4部門を獲得。
革新的なSF映画「スター・ウォーズ」が作品賞と監督賞を含む10部門にノミネートされた。視覚効果賞、編集賞、作曲賞など6部門を制圧。最多の受賞数となった。
スティーブン・スピルバーグ監督の「未知との遭遇」は、監督賞を含むに9部門ノミネートを達成。このうち撮影賞と特別賞(音響効果)に輝いた。
1978年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「アニー・ホール」
【配信:アマゾン】 監督:ウディ・アレン 恋愛コメディ映画。際どいジョークやウイットに富んだ会話が魅力。アレン監督が主演も務めた。 作品賞のほか、監督、主演女優(ダイアン・キートン)、脚本を獲り、主要4部門を制した。 ニューヨークのユダヤ系コメディアンが主人公。アレン監督の分身のようなキャラクターだ。女優の卵で歌手を志すアニー・ホール(ダイアン・キートン)と出会い、同棲を始める。だが、うまくいかない。 アレン監督は1935年ニューヨーク生まれ。コメディアンから俳優となり、1960年代末から監督も務める。本作の公開当時42歳だった。他の代表作は「ハンナとその姉妹」「カイロの紫のバラ」など。 当時、アレン監督と主演ダイアン・キートンは私生活でも恋愛関係にあった。その後、アレンは女優ミア・ファローと恋愛関係となり、ローナン・ファローらの子供をもうけた。しかし、関係が破綻し、ファローとの間の養女だったスン・イーと1996年に結婚した。 この年は、革新的なSF映画の名作「スター・ウォーズ」も作品賞にノミネートされた。多くの映画ファンが応援したが、大人向けのアニー・ホールに軍配が上がった。それでもスター・ウォーズは7部門の最多勝利を収めた。 <予告編▼> U-NEXT→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ウディ・アレン (アニー・ホール) |
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主演男優賞 | リチャード・ドライファス (グッバイガール) |
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主演女優賞 | ダイアン・キートン (アニー・ホール) |
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助演男優賞 | ジェイスン・ロバーズ (ジュリア) |
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助演女優賞 | ヴァネッサ・レッドグレイブ (ジュリア) |
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脚本賞 | アニー・ホール (ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン) ※2015年の全米脚本家組合(WGA)の投票で「史上最も面白い脚本」に選ばれた。際どいジョークやウイットに富んだ会話が魅力。 |
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脚色賞 | ジュリア (アルヴィン・サージェント) |
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外国語映画賞 | これからの人生 (フランス) |
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アメリカ建国200周年の開催。秀作ぞろいの争いとなった。作品賞を制したのは、無名の俳優シルベスター・スタローン主演の低予算映画「ロッキー」。監督賞と編集賞も獲り、3冠。
作品賞を逃した「大統領の陰謀」と「ネットワーク」は、最多となる4部門で受賞した。
マーティン・スコセッシ監督の代表作となった「タクシードライバー」は、作品賞など4部門ノミネートながら無冠に終わった。
1977年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ロッキー」
【配信:アマゾン】 監督:ジョン・G・アビルドセン アメリカン・ドリ一ム的な映画が、アメリカ建国200年の年のオスカーを制した。 落ち目のボクサーの挑戦を描くボクシング映画。 4回戦ボーイのボクサーが世界チャンピオンと対戦することになり、人生をかけてリングに上がる。 無名の俳優だったシルベスター・スタローンが、脚本を書き、映画会社に売り込んだ。映画会社は、有名な俳優を主演に起用することを望んだが、スタローンは自分が主演するという点を譲らなかった。 スタローンは公開当時30歳。製作費は100万ドルという低予算だったが、興行収入はその20倍以上の2億2500万ドルにのぼった。映画の成功物語が、そのままアメリカン・ドリ一ムの体現となった。 この年のオスカーは豊作だった。作品賞ノミネートの「大統領の陰謀」「タクシードライバー」「ネットワーク」はいずれも歴史的な名作として高い評価を得ている。 <予告編▼> <テーマ曲▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ジョン・G・アヴィルドセン (ロッキー) |
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主演男優賞 | ピーター・フィンチ (ネットワーク) |
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主演女優賞 | フェイ・ダナウェイ (ネットワーク) |
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助演男優賞 | ジェイスン・ロバーズ (大統領の陰謀) |
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助演女優賞 | ビアトリス・ストレイト (ネットワーク) |
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脚本賞 | ネットワーク (パディ・チャイエフスキー) |
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脚色賞 | 大統領の陰謀 (ウィリアム・ゴールドマン) |
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外国語映画賞 | ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー (コートジボワール) |
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「カッコーの巣の上で」が、作品賞を受賞した。監督、脚色、主演男優、主演女優も獲り、主要5部門の独占となった。1935年の「或る夜の出来事」以来、41年ぶりの快挙。
黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」(ソ連映画)が、外国語映画賞を受賞した。
スティーブン・スピルバーグ「ジョーズ」が作品賞にノミネート。編集、作曲、音響の3部門で受賞を果たした。
日本で初めて授賞式がテレビ放映された。
フジテレビによる首都圏だけの放送だった。1時間半の枠。しかも、授賞式から日数が経ってからの録画だった。アカデミー賞の認知度は低く、スポンサーがつかずに苦労したという。
1976年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「カッコーの巣の上で」
【配信:アマゾン】 監督:ミロス・フォアマン 架空の精神病院を舞台に、管理社会の人間抑圧と支配、そしてそれに対する抵抗を描いた。 原作はケン・キージー(1935~2001年)の同名の小説。1962年に発表され、若者たちの支持を得てベストセラーになった。 ブロードウェー公演で主演した俳優のカーク・ダグラスが映画化権を獲得したが、精神病院を舞台にした映画会社が二の足を踏み、プロジェクトが難航した。権利を譲り受けた息子の俳優マイケル・ダグラスが、共同製作者になり、原作発表から13年後に映画が完成した。 ミロス・フォアマン監督は旧チェコスロバキア出身。ソ連(現ロシア)による強権支配を嫌い、アメリカに移住した。 ジャック・ニコルソンと冷酷な看護師長を演じたルイーズ・フレッチャーが、ともに主演賞を受賞。監督賞と脚色賞も獲り、主要5部門を独占した。1935年の「或る夜の出来事」以来、41年ぶりの快挙。 ノミネート作品も個性豊かな顔ぶれだった。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ミロシュ・フォアマン (カッコーの巣の上で) |
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主演男優賞 | ジャック・ニコルスン (カッコーの巣の上で) |
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主演女優賞 | ルイーズ・フレッチャー (カッコーの巣の上で) |
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助演男優賞 | ジョージ・バーンズ (ニール・サイモンのサンシャイン・ボーイズ) |
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助演女優賞 | リー・グラント (シャンプー) |
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脚本賞 | 狼たちの午後 (フランク・ピアソン) |
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脚色賞 | カッコーの巣の上で (ローレンス・ホーベン、ボー・ゴールドマン) |
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外国語映画賞 | デルス・ウザーラ (ソ連)※監督は、日本の黒澤明 |
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「ゴッドファーザー・パート2」が作品、監督、脚色、助演男優(ロバート・デ・ニーロ)など6部門で受賞した。前作「パート1」に続く連続の作品賞という快挙。続編が作品賞を獲るのは史上初だった。
コッポラは前作「1」では監督賞を逃したが、今回は獲った。別の監督作品「カンバセーション…盗聴」でも作品賞にノミネートされ、絶好調だった。
1975年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ゴッドファーザーPARTⅡ」
【配信:アマゾン】 監督:フランシス・フォード・コッポラ 前作「ゴッドファーザー」の続編。2年前のオスカーで圧勝したばかりの前作に続いて作品賞に輝いた。 続編の映画が作品賞を獲るのは初めてだった。この後も、「ロード・オブ・ザ・リング3(王の帰還)」しかない。 また、元の映画と続編の両方が作品賞になった例は、これ以降も存在しない。 前作から3年後の公開となった。前作の主人公(父親)の青年時代(ロバート・デ・ニーロ)と、その息子(アル・パチーノ)の人生を描く。すなわち前作の「前日譚(たん)」と「後日譚」を兼ねている。 前作を上回る一大叙事詩として高く評価された。 16年後に続編「パート3」が製作され、こちらも作品賞、監督賞にノミネートされたが、受賞は逸した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 動画配信(Amazon吹替版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランシス・フォード・コッポラ (ゴッドファーザーPART2) ※前作「1」では監督賞を逃したが、今回は獲った。 |
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主演男優賞 | アート・カーニー (ハリーとトント) |
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主演女優賞 | エレン・バースタイン (アリスの恋) |
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助演男優賞 | ロバート・デ・ニーロ (ゴッドファーザーPART2) |
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助演女優賞 | イングリッド・バーグマン (オリエント急行殺人事件) |
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脚本賞 | チャイナタウン (ロバート・タウン) |
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脚色賞 | ゴッドファーザーPARTII (フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ) |
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外国語映画賞 | フェリーニのアマルコルド (イタリア) |
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痛快なペテン師映画「スティング」が作品賞、監督賞、脚本賞など7冠。
「エクソシスト」が、ホラー映画としては異例の10部門ノミネートを達成した。「スティング」と並ぶ最多ノミネートだった。作品賞と監督賞にもノミネートされた。このうち、脚色賞と音響賞に輝いた。
1974年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「スティング」
【配信:アマゾン】 監督:ジョージ・ロイ・ヒル 詐欺師たちの痛快なゲーム劇。ひねりの効いたストーリー展開が称賛された。悪党から金を奪うため、チンピラたちが次々と繰り出すアイデアも見どころ。大衆的な娯楽性と作家性の両立が素晴らしい。 「明日に向かって撃て!」で1970年作品賞にノミネートされたロイ・ヒルが監督を務めた。明日に向かって撃て!と同じく、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの黄金俳優コンビを起用した。 ファッション、セット、音楽など、あらゆる要素がスタイリッシュでおしゃれ。テーマ曲「エンターテイナー」も有名。 傑出した興行的成功を収めた。インフレ率などを加味した実質的な興行収入ランキングは、歴代の作品賞映画の中で、「風と共に去りぬ」「サウンド・オブ・ミュージック」「タイタニック」「ベン・ハー」に次いで堂々の4位。 【物語】1936年のシカゴが舞台。ギャングのボスに仲間を殺された詐欺師フッカー(ロバート・レッドフォード)は報復を決意。伝説の賭博師ゴンドーフ(ポール・ニューマン)の助けを借り、大掛かりないかさまに引きずり込んでいく…。 <予告編▼> <テーマ曲▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ジョージ・ロイ・ヒル (スティング) ※米ミネアポリス生まれ。エール大で音楽を専攻。第2次世界大戦と朝鮮戦争に従軍した。新聞社勤務などを経て、舞台俳優となる。その後、テレビや舞台の脚本、演出家として活躍。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが主演した「明日に向って撃て!」(1969年)で一世を風靡。同作は「アメリカン・ニューシネマの傑作」として称賛され、オスカーの作品賞、監督賞にノミネートされた。 おしゃれな作風が特徴。 2002年12月、パーキンソン病の合併症のため、亡くなった。享年80歳だった。 |
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主演男優賞 | ジャック・レモン (セイヴ・ザ・タイガー) |
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主演女優賞 | グレンダ・ジャクソン (ウィークエンド・ラブ) |
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助演男優賞 | ジョン・ハウスマン (ペーパー・チェイス) |
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助演女優賞 | テイタム・オニール (ペーパー・ムーン) |
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脚本賞 | スティング (デヴィッド・S・ウォード) |
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脚色賞 | エクソシスト (ウィリアム・ピーター・ブラッティ) |
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外国語映画賞 | 映画に愛をこめて アメリカの夜 (フランス) |
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世紀の傑作「ゴッドファーザー」が作品賞に輝いた。主演男優賞(マーロン・ブランド)、脚色賞も獲った。
ゴッドファーザーの対抗馬と見られたミュージカル「キャバレー」も健闘し、最多となる8部門を受賞した。
1973年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「ゴッドファーザー」
【配信:アマゾン】 監督:フランシス・フォード・コッポラ 濃密な人間ドラマ。マフィア一族の凄絶な抗争と家族の絆を描いた。 コッポラ監督は公開当時32歳。3作ほどの映画で監督を務めたが、どれ一つとしてヒットしていなかった。 しかし、本作ではイタリア系米国人ならではの濃密な家族愛、憎しみの振幅や、後の世代の恋愛、父権、贖罪(しょくざい)意識などを通して、壮大かつ上質な叙情詩に仕上げた。 公開当初は暴力、惨殺シーンが批判を浴びた。その後の暴力映画に比べれば、おとなしいものだが、当時は大きな衝撃だった。 原作は、マリオ・プーゾーの小説。2000万部を超える大ベストセラーとなった。 マーロン・ブランドが主演男優賞。コッポラ個人も監督賞こそ逸したが、脚色賞を獲得した。 哀愁漂うニーノ・ロータ作曲のテーマ曲も人気を集め、一大流行現象になった。 <予告編▼> <テーマ曲▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 吹替版(Amazon)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | ボブ・フォッシー (キャバレー) |
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主演男優賞 | マーロン・ブランド (ゴッドファーザー) |
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主演女優賞 | ライザ・ミネリ (キャバレー) |
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助演男優賞 | ジョエル・グレイ (キャバレー) |
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助演女優賞 | アイリーン・ヘッガート (バタフライはフリー) |
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脚本賞 | 候補者ビル・マッケイ (ジェレミー・ラーナー) |
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脚色賞 | ゴッドファーザー (フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ) |
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外国語映画賞 | ブルジョワジーの秘かな愉しみ (フランス) |
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刑事アクション劇「フレンチ・コネクション」が作品賞に輝いた。監督、主演男優(ジーン・ハックマン)、脚色、編集も獲って5冠。
キューブリック監督が「2001年宇宙の旅」の次に撮った「時計じかけのオレンジ」が、作品賞など4部門にノミネートされたが、無冠だった。
1972年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「フレンチ・コネクション」
【配信:アマゾン】 監督:ウイリアム・フリードキン ※刑事アクション映画。手に汗握る緊迫感にあふれる秀作。すさまじいカーチェイスのシーンが有名。 作品賞に加えて、監督賞(ウィリアム・フリードキン)、主演男優賞(ジーン・ハックマン)など計5部門を受賞した。 1961年にニューヨークで実際に起きた史上最大の麻薬密輸事件を題材にした。映像がリアル。時間の流れもリアル。意外性のある展開で飽きさせない。ドキュメンタリー的な撮影・編集が見どころ。移動撮影も絶賛された。犯罪都市の一面を見事にえぐり出した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ |
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監督賞 | ウイリアム・フリードキン (フレンチ・コネクション) |
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主演男優賞 | ジーン・ハックマン (フレンチ・コネクション) |
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主演女優賞 | ジェーン・フォンダ (コールガール) |
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助演男優賞 | ベン・ジョンスン (ラスト・ショー) |
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助演女優賞 | クロリス・リーチマン (ラスト・ショー) |
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脚本賞 | ホスピタル (パディ・チャイエフスキー) |
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脚色賞 | フレンチ・コネクション (アーネスト・タイディマン) |
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外国語映画賞 | 悲しみの青春 (イタリア) |
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アメリカの第二次世界大戦の英雄を描く「パットン大戦車軍団」が、作品賞、監督賞、主演男優賞など7冠。圧勝だった。
前哨戦のゴールデングローブ賞ではドラマ作品賞を「ある愛の詩(うた)」、コメディ作品賞を「マッシュ」が獲っており、混戦模様だった。
1971年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「パットン大戦車軍団」
【配信:アマゾン】 監督:フランクリン・J・シャフナー 戦争スペクタクル。第二次世界大戦の米国の英雄パットン将軍の伝記。 偏屈で激情家ながら、優れた戦略家として活躍した人物の人生をダイナミックに描いた。 若き日のコッポラが脚本に参加し、脚本賞を受賞した。本物の戦車や多数のエキストラを動員して撮った大ロケーションは迫力満点。 主演のジョージ・C・スコットは、ノミネートの段階から拒否していたが、それでも主演男優賞を受賞し、辞退して大きな話題になった。 【物語】第二次世界大戦中の1943年の北アフリカ・チュニジア。米軍は独軍との初戦に完敗し、新たな司令官に激情型のパットンを送り込む。パットンは副官に冷静沈着なブラッドリー将軍(カール・マルデン)を採用し、エル・ゲッターの戦い、シチリア島攻略で戦果をあげた。だが、ノイローゼの兵士を殴り、欧州上陸を前に司令官を解任される。その後、再び前線へと戻ったパットンは、破竹の勢いでベルリンを目指した。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ 説明ページ→ |
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監督賞 | フランクリン・J・シャフナー (パットン大戦車軍団) |
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主演男優賞 | ジョージ・C・スコット (パットン大戦車軍団) |
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主演女優賞 | グレンダ・ジャクソン (恋する女たち) |
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助演男優賞 | ジョン・ミルズ (ライアンの娘) |
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助演女優賞 | ヘレン・ヘイズ (大空港) |
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脚本賞 | パットン大戦車軍団 (フランシス・フォード・コッポラ、エドマンド・H・ノース) |
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脚色賞 | M★A★S★Hマッシュ (リング・ラードナー・Jr) |
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外国語映画賞 | 殺人捜査 (イタリア) |
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テキサスからニューヨークにやって来た若者の挫折を描いた「真夜中のカーボーイ」が、作品賞を受賞した。有力候補「明日に向って撃て!」をおさえての勝利だった。監督賞、脚色賞も獲って3冠だった。「明日に向って撃て!」は脚本賞など最多7冠に輝いた。
「真夜中のカーボーイ」「明日に向って撃て!」はいずれも、1960年代後半から盛り上がった「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。
1970年 | ||
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部門 | 受賞 | ノミネート |
作品賞 | 「真夜中のカーボーイ」
【配信:アマゾン】 監督:ジョン・シュレシンジャー 辛ロの青春ドラマ。勧善懲悪や大団円(ハッピーエンド)の伝統的映画とは一線を画す「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。 カウボーイと詐欺師の2人の男が、都会からはじき出されていく様が、暗いトーンで語られる。 明るいタッチの有力作「明日に向って撃て!」をおさえた。 主演のジョン・ボイド、ダスティン・ホフマンのアンチヒーローぶりも見どころ。ニルソンの主題歌「うわさの男」もヒットした 【物語】テキサスの田舎町のカウボーイ青年ジョーは、「都会で金持ちの女たちに食わせてもらう」という夢を抱き、ニューヨークへやってくる。しかし、苦い現実に直面する。路上に立って同性愛者たちに身を売る“真夜中のカウボーイ”にまで転落してしまう。そんなとき、肺を病み、足の不自由なラッツォが手を差しのべる。 <予告編▼> 動画配信(Amazon字幕版)→ |
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監督賞 | ジョン・シュレシンジャー (真夜中のカーボーイ) ※1926年、英国ロンドン生まれ。オックスフォード大を卒業。英国人らしい繊細で知的なタッチの作品群でユニークな地位を築いた。 膨大な予算とハッピーエンドといったハリウッド型の大作とは一線を画し、社会の暗部や人間味を描き通した。同性愛者として知られる。享年77歳。 |
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主演男優賞 | ジョン・ウェイン (勇気ある追跡) |
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主演女優賞 | マギー・スミス (ミス・ブロディの青春) |
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助演男優賞 | ギグ・ヤング (ひとりぼっちの青春) |
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助演女優賞 | ゴールディ・ホーン (サボテンの花) |
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脚本賞 | 明日に向って撃て! (ウィリアム・ゴールドマン) |
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脚色賞 | 真夜中のカーボーイ (ウォルド・ソルト) |
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外国語映画賞 | Z (アルジェリア) |
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