受賞 | 作品賞 |
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監督賞 ミロシュ・フォアマン |
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主演男優賞 ジャック・ニコルソン |
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主演女優賞 ルイーズ・フレッチャー |
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脚色賞 ボー・ゴールドマン、ローレンス・ホーベン |
ノミネート | 助演男優賞 ブラッド・ドゥーリフ |
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作曲賞 ジャック・ニッチェ |
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撮影賞 ビル・バトラー、ハスケル・ウェクスラー |
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編集賞 リチャード・チュウ、シェルドン・カーン、リンジー・クリングマン |
監督ミロス・フォアマン。出演ジャック・ニコルスン、ルイズ・フレッチャー、ウィル・サンプスン
ある日、オレゴン州立精神病院に送り込まれてきたマクマーフィ(ニコルスン)は、暴行や婦女暴行の前科のあるしたたか者。気のいいお調子者でもあり、入院患者たちをたきつけてバクチを始めたり、ワールドシリーズの実況放送を聞かせてくれと病院側に要求をつきつけたりして、高慢・冷静な婦長(フレッチャー)のマユをひそめさせる。
やがてニコルスンは脱走を企てるが、発覚し、ロボトミー手術を施されてしまう。インディアンの大男(サンプスン)は、“生けるしかばね”ニコルスンを窒息死させ、病院を去る。管理社会の恐怖と自由を希求する人間存在の素晴らしさを的確に映像化し、アカデミー作品・監督・脚色・主演男女優賞受賞。キネマ旬報ベストテン第2位。
本作が制作されたのは、ちょうどベトナムでアメリカの戦略が崩壊したころ。1962年、ケン・キージーが書いた同名小説を13年後に映画化した時、テーマである権威への問い直しが、時代の風潮をたっぷりと吸い込んで、迫真力ある映像世界を出現させた。
精神病院を舞台に、患者と医師や看護婦との対立、かっとう、反逆、さらに患者同士の友愛を描く。それは現代社会で管理する者と、される者との関係を精神病院に置き換えたものだった。
頭がおかしい、と金網の中に隔離された患者は、生来の優しさ、ナイーブさ、誠実さが管理システムの中で圧殺されている。それを解きほどく何かがあれば、彼らは生き生きとした人間として立ち上がれる……。
この映画が教えるのは、自由の担い手が、視点を移すと弱者の自由を抑えこんでいる場合があること。クレージーな男やインディアン(ネイティブ・アメリカン)の立場から、「自由」を洗い直したらどうなるか。そのテーマが、それまで“正常”な白人社会だけのものだった自由を考え直し始めた、ベトナム時代のアメリカ人をしっかりととらえた。
患者の望みは、鉄格子と金網をたたき壊し、自由な原っぱへ飛び出すこと。その願いを大男インディアンが実現する。そのインディアンは、反逆癖を理由にロボトミー手術を強要され、自由意思を失った主人公マクマーフィを殺す。友情のゆえに。「自由でなければ生きる意味はない。オレと一緒に自由な世界に飛び出そう」と言って。
1975年/アメリカ/129分/原題「One Flew Over the Cuckoo's Nest」
カッコーの巣の上では、Googleプレイでストリーミング配信されています。視聴ページはこちら→です。