映画「クラッシュ」は、2006年のアカデミー賞で作品賞を受賞しました。 脚本賞、編集賞も獲得して3冠。ノミネートは6部門でした。 様々な人種の人たちが交錯する1日を描く群像劇です。
前哨戦の作品賞争いでは、カウボーイの同性愛を描く「ブロークバック・マウンテン」(アンリー監督)が有利でした。 クラッシュは米国での公開時期がオスカーシーズンから外れた5月だったため、記憶が薄れているというデメリットがありました。 また、批評家などの評価もブロークバック・マウンテンのほうが上でした。
しかし、 クラッシュは独特の語り口やドラマ性、緊迫感あふれる展開によって、より幅広い映画業界人の心をつかむことに成功。投票直前に気運が盛り上がり、土壇場の大逆転劇となりました。 アカデミー賞の歴史に残る「Upset(どんでん返し)」として語り継がれています。 プレゼンター役の俳優ジャック・ニコルソンも、発表するときに驚いた表情を見せました。
本作を「アカデミー賞作品賞の歴代ワースト」と指摘する評論家もいます。 しかし、当編集部の評価では、むしろ「ベストなオスカー映画」の一つとして位置づけています。 (オスカー・ウォッチ編集長 小山守生)
受賞 | 作品賞 |
---|---|
脚本賞 ポール・ハギス、ボビー・モレスコ |
|
編集賞 ヒューズ・ウィンボーン |
ノミネート | 監督賞 ポール・ハギス |
---|---|
助演男優賞 マット・ディロン |
|
歌曲賞
キャスリーン・"バード"・ヨーク(作詞・作曲) マイケル・ベッカー(作詞) |
映画「クラッシュ」は、現代アメリカの群像劇です。 とくに人種間の対立や融和にスポットを当てています。 様々な民族がうずめくロサンゼルスで、車の衝突事故(クラッシュ)を一つのきっかけにして次々と起こる人間同士の複雑な絡み合いを描いています。
「クラッシュ」は、Amazonビデオなどでストリーミング配信されています。
字幕版はこちら→