映画「ダンス・ウィズ・ウルブズ」は、1991年のアカデミー賞(オスカー)で12部門にノミネートされ、作品賞、監督賞、脚色賞など7部門を受賞しました。
「ダンス・ウィズ・ウルブズ」は西部劇。 従来の西部劇の常識を覆し、ネイティブ・アメリカン(先住民)の視点からアメリカの開拓時代を描きました。 人気俳優ケビン・コスナーが、主演だけでなく、自らプロデューサーと監督を務めました。 私財1800万ドル(約23億円)をつぎ込み、まさに背水の陣で製作に臨みました。 チェロキー・インディアンの血が4分の1入っているだけあって、特別な思い入れがあったといいます。 コスナーは見事に作品賞と監督賞をダブル受賞。ハリウッドの頂点に立ちました。西部劇の作品賞は「シマロン」以来59年ぶりでした。(アワード・ウォッチ 小山守生)
受賞 | 作品賞 |
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監督賞 ケヴィン・コスナー |
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脚色賞 マイケル・ブレイク |
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編集賞 ニール・トラヴィス |
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作曲賞 ジョン・バリー |
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録音賞 ジェフリー・パーキンス、ビル・W・ベントン、グレゴリー・ワトキンス、ラッセル・ウィリアムズ二世 |
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撮影賞 ディーン・セムラー |
ノミネート | 主演男優賞 ケヴィン・コスナー |
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助演男優賞 グラハム・グリーン |
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助演女優賞 メアリー・マクドネル |
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美術賞 ジェフリー・ビークロフト (美術)、リサ・ディーン (装置) |
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衣装デザイン賞 エルザ・ザンパレッリ |
白人青年とネイティブ・アメリカンの触れ合いを描いた異色の西部劇。3時間を超える大作である。
南北戦争で勇気を示した北軍中尉(コスナー)が主人公。南北戦争に嫌気が差し、当時の最西部に勤務を希望、たった一人で砦(とりで)に暮らす。
そのうち、スー族インディアン(ネイティブ・アメリカン)と交流が始まる。中尉はインディアンに限りない友情と尊敬を覚える。これまでの西部劇ではインディアンを悪役としてしか見ていなかったものが多いが、「ダンス・ウィズ・ウルブズ」はそういう見方を一変させた映画史に残る作品。
当時ナンバー1の超売れっ子俳優だったケビン・コスナーが初監督。主演も務めた。 「アンタッチャブル」(1987年)、「フィールド・オブ・ドリームス」(1989年)を経て、トップスターの仲間入りを果たしていた。 本作では、私財を投じてプロデュースまで自分で行った。授賞式でコスナーは「私、家族、スー族はじめインディアンの兄弟たちは、今日のことを忘れない」と喜びを語った。