アマデウスのアカデミー賞の受賞結果

受賞

作品賞

ソウル・ゼインツ

監督賞
ミロス・フォアマン

主演男優賞

F・マーリー・エイブラハム

脚色賞

ピーター・シェーファー

美術賞

カレル・サーニー

パトリシア・フォン・ブランデンスタイン

衣装デザイン賞

テオドール・ピステック

メイクアップ賞

ディック・スミス

ポール・ルブランク

録音賞

トム・スコット

クリス・ニューマン

マーク・バーガー

トッド・ボークルヘイド

ノミネート 主演男優賞
トム・ハルス
撮影賞
ミロスラフ・オンドリチェク

編集賞

マイケル・チャンドラー

ネーナ・デーンヴィック

アカデミー賞8部門を受賞

映画「アマデウス」は、1985年のアカデミー賞で当時最多の11部門にノミネートされました。結果、作品賞、監督賞などで8部門を受賞しました。このほか、英国アカデミー賞4部門、ゴールデングローブ賞4部門、ロサンゼルス映画批評家協会賞4部門、日本アカデミー賞外国作品賞など数多くの賞を受賞しました。

映画「アマデウス」とは

宮廷音楽家アントニオ・サリエリ(F・マーリー・エイブラハム)視点による、天才音楽家ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの姿が描かれた作品。「自分がモーツァルトを殺した」と訴える年老いたサリエリは、モーツァルトの才能に畏怖し、嫉妬の炎を燃やして心まで蝕まれていました。モーツァルトは本当にサリエリの手で殺されたのか?ミステリーとしても圧倒的存在感を放つ映画「アマデウス」。天才モーツァルトから生み出された数々の名曲も、作品の中に散りばめられています。

「アマデウス」の評判、口コミ、感想

アマデウスの感想(by くろちゃん)

クラシック好きなわたしにとって、これほど興味を惹かれる映画はありません。
史実をもとに作られた映画のタイトルは、モーツァルトのミドルネーム「アマデウス」。'神に愛されし者(アマ=愛する、デウス=神が)’を意味し、モーツァルト自身が自ら名乗ったとされる愛称です。

<神に微笑まれた天才と、凡人>

映画は、年老いたサリエリが自殺未遂をして精神病院に運び込まれるところから始まります。「モーツァルトを殺したのはわたしだ!」と、若き神父に訴えるサリエリはモーツァルトの呪縛から逃れられず、心まで病んでいました。

この映画は史実をもとにしたフィクションであり、サリエリがモーツァルトを殺したという事実はありません。長い間、モーツァルトの死は謎とされ、病気説から妻・コンスタンツェによる毒殺説までありましたが、現在は幼年時代の過酷な旅が原因、あるいはリウマチなどの病気説が定説になっています。

しかし、この映画を見ると(本当にサリエリに殺されたのでは?)という気がしてきます。それほどに、主演サリエリ役のF・マーリー・エイブラハムの演技には鬼気迫るものがあるのです。

サリエリの運命を変えたモーツァルトとの出会い。サリエリは類まれなるモーツァルトの才能に激しく嫉妬し、世間の評判とは裏腹に自分が凡庸であることを知ってしまいました。
自分は神と音楽に生涯を捧げてきたのに、非情ともい言える神の仕打ち。創造の神に微笑まれた天才と、それを見抜く能力のみを与えられた凡人の間にある越えられない壁を目の当たりにした時、人が救われる術はあるのでしょうか。

サリエリは神を呪い、火の中に十字架を投げ込みました。そして、外面的にはモーツァルトをかばい励まし、彼の信頼を得ながらも、ずるがしこい周到さでモーツァルトを亡き者にしようとしました。

<天上の音楽レクイエム>

モーツァルト演じるトム・ハルスの演技も素晴らしいです! 甲高い下品な笑い声は鼻につき、サリエリをあざ笑うかのよう。

音楽で遊ぶ純粋さと無邪気さゆえの行動は人に理解されず、才能は認められるも評判が悪いため、宮廷での地位はサリエリほど高くありません。モーツァルトの魂は人間に推し量れるものではなかったとでも言うのでしょうか。晩年のモーツァルトは孤独の中にあり、唯一の理解者は皮肉にもサリエリでした。

モーツァルトが、まるで自分の死を予見しているかのようなレクイエム(葬送曲)を、サリエリと2人で制作する場面は、まさに神の領域。
死の間際でペンを握る体力もないモーツァルトが、自分の頭の中に浮かぶ音符を口頭で伝え、サリエリがペンとなって楽譜に書き起こしていく。モーツァルトから次々生み出される天上の音楽の前に、サリエリはもはや憎しみも悲しみもすべてを忘れて、制作に没頭していくのです。

<オペラ作曲の果てに>

モーツァルトが作った数々のオペラについての描写も、とても興味深く見ました。

「フィガロの結婚」のリハーサルでは、歌手とオケがなかなか上手く合いません。映画の練習風景がリアルで、実際に小柄なモーツァルトが一生懸命に指揮をしている姿を想像すると、わたしは嬉しくなります。

「ドン・ジョバンニ」では、亡霊となって現われる騎士長役が、子供に厳しくモーツァルトがずっと頭が上がらなかった父親レオポルトの亡霊を連想させます。まるで、オペラの中から実の父親が出てきてモーツァルトを叱咤するよう。これは本当に興味深いです。なんといっても、ハッピーエンドの多いモーツァルトのオペラの中で唯一、悲劇的要素の濃い(しかし喜劇に分類される)のが「ドン・ジョバンニ」ですから、モーツァルトは本当に、騎士長に自分の父親を重ねて畏怖したのかもしれません。

最後のオペラ作品となった「魔笛」の初演では、目の周りを落ち窪ませた満身創痍のモーツァルトが、途中で倒れて演奏不能になるというアクシデントが。サリエリは体調不良のモーツァルトに対し、冷徹にも自分もレクイエムの制作を手伝うからと言って、モーツァルトに作曲を続けさせて彼を死に追いやってしまったのです。

モーツァルトにとって音楽とは、命を削って作り出すものなのだということが、映画の中からも伝わってきます。

<映画に蘇る18世紀ウィーン>

馬車や人々が行き交う18世紀のウィーンの街並みや、きらびやかな宮廷など、ほとんどの撮影は中世の姿を今に残すチェコの首都プラハで行われました。

当時流行した貴族たちの服装や髪形も必見です。男性も女性も、銀色の大きなカールのかつらを被るのがお洒落だった時代。腰から下はボリュームがあり、大きく胸の空いた女性のドレスはなんとも動きにくそうだし、アクセサリーもかつらもなにもかもが重たそうです。

現代では考えられないスタイルですが、これぞ18世紀。映画では、かなり忠実に再現されています。