| 受賞 | 作品賞 |
|---|---|
| 監督賞 フレッド・ジンネマン |
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| 主演男優賞 ポール・スコフィールド |
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| 脚色賞 ロバート・ボルト |
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| 撮影賞(カラー) テッド・ムーア |
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| 衣装デザイン賞(カラー) ジョーン・ブリッジ、エリザベス・ハッフェンデン |
| ノミネート | 助演男優賞 ロバート・ショウ |
|---|---|
| 助演女優賞 ウェンディ・ヒラー |
1966年/イギリス/120分/原題「A Man for All Seasons」
知性と品位に溢れた歴史ドラマ。16世紀のイングランドにおいて、英国王ヘンリー8世の離婚とローマ教皇庁からの離脱を巡り、己の良心と法の正義を守り抜いた法律家トマス・モアの生き様を描いた。主人公の心理と倫理的葛藤を深く掘り下げた点が絶賛された。
テムズ川の静謐な風景や英国の四季の美しさを捉えた撮影や緻密な衣装デザインなども、物語の重厚なテーマを静かに支えている。
「国家権力や時代の潮流に立ち向かう個人の良心と信念」「自己保身や日和見主義への対抗」という、いつの時代にも通用する普遍的な問いを観客に投げかけている。妥協なく己の正義を貫くモアの姿勢は、公開当時の人たちに強い倫理的メッセージとして響いた。
「イギリス・アメリカ合作映画」と表記されることも多いが、英国映画としての側面が強い。英国の劇作家ロバート・ボルトが、自身が書いた舞台劇の台本を、映画向けにシナリオ化した。俳優も英国人が中心で、撮影の大部分もイギリスで行われた。
一方、監督は、ハリウッドを拠点としていた名匠フレッド・ジンネマン(オーストリア出身)が務めた。ジンネマンは、「地上(ここ)より永遠(とわ)に」(1953年)でオスカー作品賞と監督賞を受賞し、その他に「尼僧物語」「真昼の決闘」などを次々と大成功させていた。米コロンビア・ピクチャーズから映画化の打診を直ちに引き受け、プロデューサーも兼務した。
原作の舞台劇は、1960年7月にロンドンで初めて本格的に上演された。主演(トマス・モア役)は映画版と同じポール・スコフィールド。翌1961年11月からはニューヨークのブロードウェイで開幕した。主演は再びスコフィールド。トニー賞で作品賞を含む5部門を受賞した。
舞台化に先立ち、ロバート・ボルトはまず1954年にBBCラジオ向けのラジオドラマとして台本を執筆。1957年にはBBCテレビで1時間ドラマとして放送された。その後、内容を大幅に練り直して、1960年に舞台劇として完成させた。
なお、メジャースタジオのコロンビアは、本作を興行性の低い作品と見なしており、予算規模を抑えた。また、主演に映画スターを望んでいたが、ジンネマン監督は、舞台版と同じポール・スコフィールドの起用を主張し、その姿勢を貫いた。
興行的にも大成功だった。 芸術性を重視した歴史劇でありながら、1966年公開作品の中でも上位に入る大ヒットとなった。北米配給収入は年間5位。
<1966年の北米配給収入>
1位:『ハワイ』1560万ドル
2位:『天地創造』1500万ドル
3位:『バージニア・ウルフなんかこわくない』1450万ドル
4位:『砲艦サンパブロ』1350万ドル
5位:『わが命つきるとも』1280万ドル
原題の「A Man for All Seasons」は元々、本作の主人公であるトマス・モア自身を称賛するために生まれた表現だ。
1520年、モアと同時代の文法家ロバート・ホイティングトンが、モアの人柄と類まれな知性を称えて次のように書き記した。「モアは天使のような知性と優れた学識を持つ人物だ。これほど温和で親しみやすい男がどこにいるだろうか。そして時代(状況)が求めれば、陽気に興ずることもできれば、厳粛で重々しく振る舞うこともできる。まさに『A man for all seasons』(どんな時にも完璧に相応しい人物)である」。
この表現が英語として定着し、「いかなる過酷な状況・時代の変化にあっても、決してブレずに信念を貫く人物」「どんな場面にも適応できる、多才で頼りになる万能な人物(オールラウンダー)」という意味を持つ慣用句になった。
物語の舞台は、16世紀のイギリス(イングランド)。当時のヨーロッパではキリスト教(カトリック)の教えが絶対であり、「離婚」は神に背く行為として厳しく禁じられていた。
しかし、絶対的な権力を持つイギリス国王ヘンリー8世は、「跡継ぎの男の子が産まれないから」という理由で正妻と別れ、別の若い女性と結婚しようとする。当然、カトリックのトップである「ローマ教皇」はこれを許さなかった。するとヘンリー8世は、「教皇が許さないならカトリックを抜け、自分がトップの新しい宗教(イギリス国教会)を作る!」という強引な決断を下す。そして国中の家臣たちに、「私の離婚と、私が新しい教会のトップであることを認めろ」と誓いのサインを迫った。
この国を揺るがす大騒動の中で、究極の板挟みになったのが主人公のトマス・モアである。彼は国王の右腕(大法官)として絶大な権力を持つ超エリートであり、国王からも深く信頼されていた。しかし彼は同時に、熱心なキリスト教徒であり、法律を何よりも重んじる誠実な思想家でもあった。
「王の命令に従ってサインすれば、命も地位も安泰だ。だが、それは自分の心(良心)と、信じる神の教えを裏切ることになる――」。周囲の人間が次々と王の権力に恐れをなして保身に走るなか、モアは激しいプレッシャーにさらされる。
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