| 受賞 | 作品賞 |
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| 監督賞 キャロル・リード ※『第三の男』の巨匠が、ついに手にした初のオスカー。 |
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| 編曲賞 ジョン・グリーン ※舞台版の曲を、映画用に壮大にアレンジした功績。 |
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| 録音賞 シェパートン・スタジオ・サウンド部 ※群衆の歌声、ダンスの足音、オーケストラの完璧な調和。 |
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| 美術賞 ジョン・ボックス&テレンス・マーシュ (美術)、ヴァーノン・ディクソン&ケン・マグルストン (装置) ※あの伝説的な「ロンドンの巨大セット」への正当な評価。ほぼすべてのシーンが、英国のスタジオ(シェパートン・スタジオ)の敷地内で撮影された。 |
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| 特別名誉賞 オンナ・ホワイ ※劇中歌での振付に対する異例の表彰。あまりにもダンスが素晴らしすぎたため、「この振付を評価しないのはおかしい!」ということで、特別にオスカー像が贈られた。これは非常に珍しいケースだ。 |
| ノミネート | 主演男優賞 ロン・ムーディ(泥棒学校の指導者の老人フェイギン役) |
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| 助演男優賞 ジャック・ワイルド(主人公オリバーを泥棒仲間に誘い込む少年ドジャー役) ※当時16歳でのノミネートは、世界に衝撃を与えた。 |
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| 脚色賞 ヴァーノン・ハリス |
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| 衣装デザイン賞 フィリス・ダルトン |
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| 撮影賞 オズワルド・モリス |
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| 編集賞 ラルフ・ケンプラン |
文豪チャールズ・ディケンズの有名小説『オリバー・ツイスト』を原作にした舞台ミュージカルの映画化。
1830年代後半の貧富の差が激しい産業革命後の英国ロンドンを舞台に、9歳の孤児オリバーが、大都会ロンドンの闇社会をさまよいながら、本当の居場所を見つけるまでを描いた。
1960年代、テレビが普及し始めた時代に、イギリスとアメリカの映画界が「テレビや舞台では絶対に観られないものを見せてやる!」という意地とプライドをかけて作られた。
ハリウッドのメジャースタジオであるコロンビア・ピクチャーズが、当時の1,000万ドルという巨額の予算を出資。「ハリウッドの莫大な資金」と、監督のキャロル・リードをはじめとする「イギリスの最高の才能」がガッチリ組んだ。
1968年/英米合作/146分/原題「Oliver!」
CGのない時代に、英国の撮影スタジオ(シェパートン)に作られた巨大なオープンセットが圧巻。350人もの職人が数ヶ月かけて、1,000ガロンのペンキと10トンの釘、350トンの砂利を使って「19世紀前半の産業革命末期のロンドン」を再現したという。
劇中歌「Who Will Buy?」の白い広場も、本物のロンドンの高級住宅街に見えますが、スタジオの裏庭に作った巨大な模型のような建物だ。
市場やスラム街も、石畳の一枚一枚、汚れた壁の質感まで、すべて職人が作り上げた。
セットの出来があまりに素晴らしかったため、撮影後もしばらく取り壊されずに残されていた。1970年の映画『クリスマス・キャロル』や、なんと1977年の初代『スター・ウォーズ』の撮影時にも、一部のセットがまだ残っていたという記録がある。
振付を担当したオンナ・ホワイトは、「特別名誉賞」を授与された。
映画ならではのスケール感を実現した。ドジャーとオリバーが市場を抜け、細い路地を通り、広場へとどんどん移動していく。踊りながら移動する彼らをカメラがずっと追いかけ続ける(トラッキング・ショット)ことで、観客も一緒にロンドンの街を駆け抜けているような没入感が生まれる。
何百人ものプロのダンサーとエキストラが投入されている。画面の隅々まで、パン屋も、洗濯物を干すおばさんも、馬車を引く人も、全員がリズムに乗っている。「街全体が呼吸しているような厚み」は、映画ならでは。
少年ドジャーを演じたジャック・ワイルドは、若干16歳で助演男優賞にノミネートされた。 ハスキーな声、いたずらっ子のような笑顔、そしてキレのあるダンス。彼が画面に登場するだけで、映画全体がパッと明るくなるような「スター性」がある。
窓を開けたオリバーの目に映る、ロンドンの美しい朝の風景。朝の光が差し込む広場に、物売りや市民たちが集まってくる。
ミルク売り、花売り、ナイフ研ぎ、いちご売りといった街の人々が、自分の商品を「だれが買う?」と宣伝する。呼びかけの声が、音楽的な歌声へと変わっていく。ダンサーやエキストラの数、ダンスの構成、セットの豪華さが桁外れ。
みんな声を揃えて歌い踊り、街全体が輝いて見える……。オリバーが「生まれて初めて手にした、平和で幸福な日常」を象徴する、多幸感あふれる名シーンだ。