ノミネートが有力視されている部門

作品賞
主演男優賞
ラミ・マレック

予想の「圏外」から浮上

ボヘミアン・ラプソディは2019年1月に行われたゴールデングローブ賞で大方の予想をくつがえし、ドラマ作品賞を獲得。 SAGアワードでも最高賞の「アンサンブルキャスト賞」にノミネートされた。 アメリカの賞の予想サイト「GoldDerby(ゴールドダービー)」では当初、作品賞のノミネート予想で「圏外」だったが、1月19日現在は9位に浮上している。(ノミネート枠は最大で10)

ミュージカルなのにドラマ部門に

そもそもゴールデングローブ賞に関しては、ボヘミアン・ラプソディは本来なら「ドラマ作品賞」でなく「ミュージカル・コメディ作品賞」の対象となるべきところだ。 しかし、映画配給会社フォックスなどの意向でドラマ作品の部門にエントリーしたという。 これは「シリアスな大作」として受け止めて欲しいという映画会社の意向が働いたと見られている。 「ドラマ作品賞」は「ミュージカル・コメディ作品賞」よりもステータスが高いとされる。 その反面、有力作が多いため競争も厳しい。 だからドラマ的な作品でも、「作品賞」という冠を狙ってミュージカル・コメディ部門にエントリーする傾向がある。 しかし、ボヘミアン・ラプソディはあえてその逆の道を選んだ。 興行面での大成功を背景に、強気の勝負出たといえる。 アリー/スター誕生も、同様の理由でミュージカルでなくドラマ作品賞にエントリーした。 結果的に、ボヘミアン・ラプソディ陣営の戦略は見事に成功したことになる。

評論家のレビューは「並」

ボヘミアン・ラプソディは映画評論家からのレビューがそれほど良くなかった。 ロッテン・トマトの集計では「62%」(2019年1月7日現在)にとどまっており、いわば「並」の評価。 これに対して、賞争いのライバルとなる他の有力作品は、スター誕生が「90%」、ROMA/ローマが「96%」で、差が開いている。

「リアリティ不足」との見方も

評論家の評判が芳しくない理由は「事実が曲げられていてリアリティが足りない」「登場人物たちを一面だけでとらえており、深さがない」といったところ。 その一方で、主人公のフレディ・マーキュリーのパフォーマンスを見事に再現したラミ・マレックは手放しで絶賛された。 こうした評価をふまえ、2019年の賞レースの事前予想では、マレックの主演男優賞以外は有力視されていなかった。

本格派の大衆映画として再評価

ところが、一般の映画ファンには絶大な支持を受け、予想を大きく上回る世界的な大ヒットとなったことから、雲行きが変わった(日本でも異例のロングランとなった)。 理屈抜きで感動できる本格派の大衆映画として再評価され、作品賞の争いに加わることとなった。

アカデミー賞は近年、授賞式の視聴率が低下する傾向にあるが、これは受賞作やノミネート作品に地味な映画が多いことが原因の一つと見られている。 このため、主催者や放送局は「もっと多数の人に親しまれている作品に賞を与えたい」との意向があるとされ、 2019年から「人気映画賞」という部門を新設することがいったん決まった。(結局は不評を買って撤回された。)
ボヘミアン・ラプソディは、まさに大勢のファンに愛される「人気映画(ポピュラー・フィルム)」であり、 ノミネートすべきという世論も強い。フレディ・マーキュリーに対する世間の愛情も追い風だ。

監督のセクハラ疑惑がネック

ボヘミアン・ラプソディの作品レースに悪影響を及ぼすと見られるのが、 監督のブライアン・シンガーのセクハラ疑惑。 シンガー監督は以前からゲイであることを告白しているが、男優や未成年の男子に対するセクハラで何度か訴訟を起こされており、 今でも疑惑は消えていない。 「Me Too」ムーブメントの影響もあって、アカデミー賞の投票権を持つハリウッド業界関係者からの批判が強く出ている。

日本公開日

2018年11月9日

動画

予告編