アカデミー賞

9部門で10個のノミネート

アイリッシュマンのノミネート一覧です。 カッコ内は、米予想サイト「ゴールドダービー」の予想順位です(2019年1月13日現在)。 このうち、助演男優賞では、アル・パチーノとジョー・ペシの2人がそろって候補になりました。

<アイリッシュマンのノミネート有力部門と米専門家の予想順位の集計値>
ノミネート 作品賞(2位)
監督賞
マーティン・スコセッシ(1位)
助演男優賞
アル・パチーノ(2位)
ジョー・ペシ(3位)
脚色賞(1位)
衣装デザイン賞
撮影賞(3位)
編集賞(1位)
美術賞(3位)
視覚効果賞(4位)

「レイジング・ブル」「グッドフェローズ」に匹敵する高評価

映画評論家の評価を集計するロッテン・トマトのスコアは96%の高さ(2019年12月2日現在)。 作品賞レースの大本命と見る評論家が多い。 スコセッシ監督にとって「ディパーテッド」以来の13年ぶりの作品賞獲得なるか注目されている。

主演はロバート・デ・ニーロとアル・パチーノ。 スコセッシとデニーロのコンビは、 「タクシードライバー」「レイジング・ブル」「グッドフェローズ」「カジノ」という歴史的な名作を生んだが、 今回はそられに匹敵する出来栄えと評価されている。 また、デニーロとアル・パチーノの組み合わせは「ゴッドファーザー」の名優コンビの復活。 ほぼ引退に近い生活をしていたジョー・ペシも復帰し、助演を務める。

ネットフリックス(Netflix)が初の作品賞なるか

スコセッシが自由に製作

製作費は、180億円ともいわれる巨額の予算が投じられた。 スコセッシの映画の中で、過去最大の規模。 企画段階から予算が膨らみ、 大手映画会社パラマウントが逃げ出した。 そこにネットフリックが救世主として登場し、出資を引き受けた。 さらに、スコセッシ監督に製作の自由度を与えた。 その結果、長さ3時間半の大作となった。

ジミー・ホッファ暗殺などがテーマ

実話をベースにしている。 主人公は、アメリカの裏社会に実在した犯罪者フランク・シーラン(デニーロ)。 シーランはアイルランド系アメリカ人。 物語は1950年代から始まる。 戦争から帰還したシーランは、トラック運転手をしていたが、 マフィアの大物(ジョー・ペシ)の手下になる。

年老いたシーランが人生を回想するという形で物語が進む。 この中で、重要な存在となるのが、トラック運転手の労働組合の指導者で、マフィアと結託していたジミー・ホッファ(パチーノ)。 ホッファとの深い関係や失踪事件についても想起する。

日本公開日

2019年11月27日

動画

Netflix

ネットフリックスの配信ページ→


予告編



ジミー・ホッファ関連のニュース

ケネディ暗殺、1975年に失跡の労組会長ホッファ氏が依頼。実行はマフィア

元顧問弁護士が証言-NYポスト紙(1992年1月16日)

米紙ニューヨーク・ポストは、ケネディ元米大統領の暗殺は当時、金とマフィアの力で米国の政財界を陰で動かしていたとされる全米最大の労働組合、全米運輸労組(チームスターズ・ユニオン)会長だった故ジェームズ・ホッファ氏が依頼、マフィアが実行したとする同氏の元顧問弁護士の新証言を特ダネ記事として掲載した。

 証言したのは、ホッファ氏の弁護士を十五年間にわたり務めたフランク・ラガノ氏(68)。

 同紙によると、ホッファ氏はケネディ大統領が暗殺された一九六三年当時、汚職、詐欺などで起訴されていたが、大統領を暗殺すれば、マフィアの封じ込め作戦を強力に進めていた弟のロバート・ケネディ司法長官も辞任に追い込まれると考え、フロリダとニューオーリンズのマフィアのボスに暗殺を要請した。

 ホッファ氏はマフィアとのつながりを法廷で立証されることを恐れ、ボスらと直接会うのを避け、同年初め、ラガノ氏に暗殺を依頼するよう指示。数日後、ラガノ氏はニューオーリンズのホテルで二人のボスに会い、意向を伝えたという。

 ラガノ氏は同年十一月二十二日、大統領が狙撃された三、四分後にホッファ氏から「いい知らせを聞いたかい。彼らはあいつ(ケネディ氏)をやったぜ」という電話を受け、知ったという。

 事件直後から、ホッファ氏らに対する疑惑の声はあったが、七九年に米議会特別委員会がまとめた報告書は「暗殺の動機と実行力は認められるが、直接の証拠はない」と結論付けていた。ホッファ氏は七五年に失跡、マフィアに殺されたとみられている。

 マフィアのボス二人のうち一人は既に死去、一人はアルツハイマー病で会話できない状態で、ラガノ氏がホッファ氏と事件の関連について証言できる唯一の人物だと同紙は伝えている。

映画「ホッファ」

謎の半生手堅く演出(1993年9月6日)

労働組合といえばどこか古めかしく、映画になるような題材とは思えないのだが、ジミー・ホッファとなれば別である。

 巨大な全米トラック運転手組合のボスに君臨し、政治にまで力を及ぼすようになる。その一方でマフィアともかかわり、年金資金の不正運用でケネディ兄弟によって起訴され、はては謎(なぞ)の死を遂げた何とも魅力ある人物である。

 チャロ(ダニー・デビート)がホッファ(ジャック・ニコルソン)と出会ったのは一九三〇年代、大不況のときだった。ホッファはトラックの運転手をしていたが、組合結成を呼びかけた。

 経営者との交渉が決裂すればストライキで対決し、経営者側が暴力団を雇ってスト破りをすると、彼はマフィアのダリ(アーマンド・アサンテ)の手を借りて対抗した。こうして組合は大きくなっていったが、年金資金の運用に上院が疑問を持った。

 物語は一九七五年、年金運用で起訴され、政治生命を断たれたホッファが再起を決意し、ダリを待っている場面と、ホッファの側近チャロによる過去の回想が二重に進行していく構成になっている。

 ホッファがいかにして組合を作り上げ、悪らつな経営者に対抗したか。なぜ、ホッファがマフィアと深いかかわりを持ち、それが抜き差しならなくなっていったのか。このあたりを監督でもあるダニー・デビートが手堅く演出しているし、ニコルソンはカリスマ的人物にふさわしい存在感で圧倒している。