2021年オスカーの選考・発表・放送の日程

ノミネート発表は、3月15日(月)

日時 スケジュール
仮投票の開始 2021年2月1日
仮投票の終了 2021年2月5日
候補作の候補(ショートリスト)発表 2021年2月9日(火)
ノミネート投票開始 2021年3月5日(金)
ノミネート投票終了 2021年3月10日(水)
ノミネート発表 2021年3月15日(月)
~日本時間:2021年3月15日(月)の深夜
最終投票開始 2021年4月15日(木)
最終投票終了 2021年4月20日(火)
授賞式(結果発表) 2021年4月25日(日)
~日本時間:2021年4月26日(月)の昼間

作品賞ノミネートの顔ぶれ予想

「フレンチ・ディスパッチ」や「ザ・ファーザー」も

2021年のアカデミー賞ノミネートの候補として名前が挙がりそうな作品の顔ぶれです。Netflix作品では、デビッド・フィンチャー監督の「マンク」、スパイク・リー監督の「ザ・ファイブ・ブラッズ」、ロン・ハワード監督の「ヒルビリー・エレジー」などがノミネート候補として注目されています。劇場向けの大作としては、スピルバーグ監督のミュージカル「ウエスト・サイド・ストーリー」に期待が集まっています。

作品名 解説
ザ・ファイブ・ブラッズ

日本公開:2020年6月(Netflix)

 予告編→

 Netflixのページ→
「ブラック・クランズマン」で脚本賞を共同受賞したスパイク・リーが監督を務める。 ネットフリックスの2021年のオスカー戦線の主力候補の一つ。 日本や米国を含む全世界において、映画館で上映されずに、直接ネット配信(Netflix)で公開された。

ベトナム戦争に従事した5人の黒人兵の物語。 5人は同じ部隊に所属し、 強い絆(きずな)で結ばれていた。 5人のうち指揮官だった1人は、 戦場で命を落とした。

それから40年以上を経て、 現在のアメリカに暮らす4人が、 ベトナムの戦場跡地を訪れ、 指揮官の遺体を見つけ、遺族の元に還すというプロジェクトを決行する。 同時に、戦場に埋められている可能性がある財宝(金の延べ棒)を探し出そうとする。

ベテラン黒人俳優デルロイ・リンドーが主演。 戦争で心に深い傷を負った不安定な男を演じる。 苦悩と狂気に満ちた迫真の演技が称賛されており、 主演男優賞ノミネートが有力視されている。 このほか、「ブラックパンサー」役でおなじみのチャドウィック・ボーズマンらが出演。

この映画では、アメリカの黒人がベトナム戦場で過酷な目にあいながらも、 米国社会で十分な権利を得られなかったという問題提起が行われている。

ロッテン・トマトが集計した映画評論家の評価(トマト・メーター)は、 92%となっている(2020年6月15日現在)。 これはスパイクリーの前作「ブラック・クランズマン」の95%より低い。 また、Netflixでほぼ同じ時期に公開された「ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから」の96%よりも低い。
ザ・ファーザー(The Father )」(邦題未定)

米国公開:2020年11月20日
老化現象に苦しむ男性の話。 娘と同居することになる。 しかし、娘の手助けを拒否する。 親子関係を描く。

主演は、アンソニー・ホプキンスとオロビア・コールマン。

2020年1月の米サンダンス映画祭で上映された。

フランスの小説家であるフローリアン・ゼレール氏が監督を務めた。 原作は、ゼレール氏の芝居「ルペール(Le Père)」である。

脚本は、ゼレール氏とともに、イギリスの著名脚本家クリストファー・ハンプトン氏が共同執筆した。ハンプトン氏は「危険な関係」(1988年)や「つぐない」で有名。「危険な関係」では、アカデミー賞の脚色賞を受賞した。

配給はソニー・クラシック。
フレンチ・ディスパッチ(The French Dispatch)」(邦題未定)

米国公開:未定
ジャンルは、コメディ/ドラマ。 米国カンサス州の架空の新聞のフランス支局にスポットを当てている。 20世紀のフランスの架空の街が舞台。 ある記者が独立し、雑誌「ザ・フレンチ・ディスパッチ」を立ち上げることになる。 3つのストーリーで構成される。 カンヌ国際映画祭に出品される予定だった。 しかし、コロナウイルス流行によって映画祭が中止になってしまった。

監督は、ウェス・アンダーソン。 アンダーソン氏は、「グランド・ブダペスト・ホテル」を大成功させたことで有名。同作は、2014年のアカデミー賞で作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされた。 その後、アニメ映画「犬ヶ島」を監督。ベルリン国際映画祭の監督賞(銀熊賞)を受賞し、アカデミー賞の長編アニメ賞にノミネートされた。 このほか、「ムーンライズ・キングダム(2021年)」「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(2001年)」では、それぞれ脚本賞にノミネートされた。 「ファンタスティック Mr.FOX(2009年)」も長編アニメ賞にノミネートされている。

50歳を過ぎたばかりだが、多彩な実績を持ち、クオリティの安定度も高い。 アカデミー賞にノミネートされる確率が高い監督である。

なお、英BBCの2016年の投票では、 「グランド・ブダペスト・ホテル」 「ムーンライズ・キングダム」 「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」 の3作品が、「21世紀の最も偉大な映画ランキング」に入った。

アンダーソン監督は「ニューヨーカー誌」が大好きで、 同誌に対する愛情にインスパイアされたという。

大勢の有名な役者が出演する「アンサンブル・キャスト」である。 メインの俳優は、ビル・マーレイ、ベニチオ・デル・トロ、フランシス・マクドーマンド、ティモシー・シャラメ、ティルダ・スウィントン、オーウェン・ウィルソン、エイドリアン・ブロディなど。 実に豪華な顔ぶれだ。

配給は、オスカーで常連のサーチライト・ピクチャーズ(旧フォックス・サーチライト)。2019年にディズニーがFOXを買収したことで、サーチライトもディズニーの子会社になった。
ヒルビリー・エレジー(Hillbilly Elegy)」(邦題未定)

日本公開予定:2020年11月(Netflix配信)
ロン・ハワード監督の新作。 ネットフリックス(Netflix)配信。 主演・助演は、グレン・クロース、ガブリエル・バッソ、エイミー・アダムス。 ハワード監督は、2002年のアカデミー賞において「ビューティフル・マインド」で作品賞、監督賞を獲得している。

「ヒルビリー(Hillbilly)」とは、 アメリカの田舎の知的でない白人に対する蔑称である。

原作は、著名投資家JDヴァンス氏がつづった自叙伝。 アメリカ中西部の田舎が舞台。 白人の労働者階級が抱える社会問題を描く。 ヴァンス氏が若いころ、母方の祖父母が引っ越してきたときの話。 ベストセラーになった。 2016年の大統領選でトランプ大統領が当選したが、 その勝利を支えたのは、 アメリカの白人労働者階級だった。 この本は、その選挙の一つの背景が描かれている、と評された。

この本を、「シェイプ・オブ・ウォーター」の脚本家で知られるヴァネッサ・テイラーが、 脚本にした。
マンク(Mank)」(邦題未定)

米国公開:2020年秋(Netflix)

 ジョン・カンペアのコメント(英語)→
ネットフリックス作品。

映画の歴史の中で、最高の傑作の一つとして評価されている「市民ケーン」。 この映画の脚本を書いたハーマン・マンキーウィッツが、 監督のオーソン・ウェルズから、脚本のクレジットを勝ち取ろうとする姿を描く。

デビッド・フィンチャー監督の6年ぶりの監督作品。 フィンチャーは「ソーシャル・ネットワーク」「ベンジャミン・バトン」「ファイト・クラブ」「セブン」など数々の名作を生んできた。 このうち、Facebookの創業者を描いた「ソーシャル・ネットワーク」は2010年代の10年間で最高の名作と評価する声が多い。同じく絶賛された「ゴーン・ガール」以来の監督復帰である。

フィンチャーの父親で、脚本家だったジャック・フィンチャーが書いた脚本に基づく。

主演はゲイリー・オールドマン。
ザ・トライアル・オブ・シカゴ・セブン(The Trial of the Chicago 7)」(邦題未定)

米国公開:2020年10月

 予告編(英語)→
1968年のアメリカ大統領選挙に向け、 当時、政権の与党(ジョンソン大統領)だった民主党の全国大会がシカゴで行われた。

このシカゴ民主党大会において、 暴動を企てたとして7人が起訴され、刑事裁判にかけられた。 7人はベトナム戦争に反対する若者であった。 この裁判を題材にした映画である。

監督はアーロン・ソーキン。「マネーボール」などの脚本家として大成功したあと、「モリーズ・ゲーム」で監督デビューを果たした。 主演はコメディアンとして有名なサシャ・バロン・コーエン。
ウエスト・サイド・ストーリー(West Side Story)」(邦題未定)

米国公開:2020年12月

日本公開:2020年12月

 撮影風景(英語)→
スティーブン・スピルバーグ監督。

米ニューヨークの超有名なミュージカル劇の映画化。 最初に映画化された1960年の「ウエスト・サイド物語」以来、60年ぶり。 このときはアカデミー賞で作品賞など10部門を独占した。 ミュージカル映画の最高傑作の一つと言われる。

主演男優はアンセル・エルゴート。 読売新聞の警察担当記者だった米国人ジェイク・エーデルスタインが、 日本の暴力団の闇に迫る姿を描いた米テレビドラマ「Tokyo Vice(2021年)」にも主演することが決まっている。

ヒロインのマリア役はレイチェル・ゼグラー。
ノマドランド

米国公開:2020年12月4日(予定)

 予告編→
ベネチア国際映画祭で作品賞(金獅子賞)を受賞した。

中国出身の若手女性監督クロエ・ジャオの3作品目。 インデペンデント映画「ザ・ライダー」(2017年)で高い評価を受け、 マーベル映画「エターナルズ」(2021年)の監督に抜擢された。

題名の「ノマド(nomad)」は、遊牧民を意味する。 米国の中高年女性が主人公。 彼女は2008年のリーマンショックによって家を失った。 ネバダ州の砂漠の何もないところに、トラック(ヴァン)を駐車して暮らしている。 アマゾンの作業員やレストランなどの仕事を転々とする日々だ。

主演は「ファーゴ」と「スリー・ビルホード」でオスカーに2度輝いた女優フランシス・マクドーマンド。 演技が称賛されている。 また、撮影技術(シネマトグラフィー)も高い評価を得た。

ドキュメンタリー風になっている。 俳優でない一般人が多く出演し、現代アメリカの「遊牧民」のリアルな生活状況を浮き彫りにしている。
ニューズ・オブ・ザ・ワールド(News Of The World)」(邦題未定)

米国公開:2020年12月25日

 撮影風景(英語)→
監督は、ポール・グリーングラス氏。 主演は、トム・ハンクス。

米国の開拓時代の物語。 テキサスの老人男性は、 開拓途上にある西部に住む人たちに、 世界のニュースを届けている。 この男性が、誘拐された少女を救うという依頼を受ける。

グリーングラス氏は「キャプテン・フィリップス」「ボーン・アルティメイタム」「ボーン・スプレマシー」 などの監督として有名である。 米911同時テロでハイジャックされた旅客機を描いた映画「ユナイテッド93」で、アカデミー賞監督賞にノミネートされた。
ハーフ・オブ・イット:面白いのはこれから

日本公開:2020年5月(Netflix)

 予告編→

 Netflixのページ→
高校生の恋愛コメディ。 青春もの。 レズビアンの恋心が物語の軸になる。 繊細で知的な会話劇である。ユーモアにも満ちあふれている。

コロナウイルス感染で自宅生活を送っていた全米の人たちから絶大な支持を獲得した。 ロッテン・トマトの評価(トマト・メーター)は、 96%となっている(2020年6月15日現在)。

田舎の高校が舞台。 主人公は、中国系アメリカ人の女子高生エリー・チュー。 並外れた学力を持つ才女である。 家が貧しいこともあり、 クラスメートたちの論文の代筆を行い、 お金を稼いでいる。

父親は鉄道駅員。 優れたエンジニアだったが、 妻(エリーの母親)を事故で失って以来、 気力を失い、 家で映画を見て暮らしている。

ある日、アメフト部員の男子から、 ラブレターの代筆を依頼される。 ラブレターの送り先は、美女アスター。 しかし、このアスターに対しては、エリーも密かな恋心を抱いていた。

アスターも、知的好奇心が強く、聡明な女性だった。 エリーが代筆するラブレターに対して、 好意的な反応を示していく。

キリスト教の信仰心の強いアメリカの田舎町において、 レズビアンであることは、強いインパクトを持つ。 そんな田舎において、 主人公らの葛藤や成長ぶりが見事に描かれている。

監督は台湾系アメリカ人のアリス・ウー。 この物語は、ウー監督の若いころの体験に基づいている。 彼女自身も、16歳で名門大学のMITに入学した天才だった。 レズビアンであることを公言している。

「素顔の私を見つめて…」(2004年)以来の監督作品となる。 「素顔の私を見つめて…」は長編デビュー作。高い評価を得て、 ゴッサム賞のブレイクスルー賞も受賞した。 しかし、アリス・ウーはそれ以来、映画を完成させることはなかった。

2020年の米国トライベッカ映画祭で「創設者賞(劇映画部門)」(Founders Award for Best Narrative Feature)を受賞した。