歴代の受賞者リスト

2020年代

 | 24年 | 23年 | 22年 | 21年 | 20年 | 

2024年(第96回)

( 24年 | 23年↓

【主要8部門】作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞 【ジャンル別部門】アニメ賞国際映画賞 【技術部門】視覚効果賞
※他の部門はこちら→


部門 受賞 ノミネート
作品賞 「オッペンハイマー」

オッペンハイマー

米政府の原爆開発チームを率いた科学者の伝記。 大量殺りく兵器を生んだ男のジレンマと波乱の生涯を描く。 クリストファー・ノーラン監督。

独走

オスカー前哨戦では、序盤こそ批評家系の賞で「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」相手に一進一退となる局面もあったが、中盤から早くも独走状態に入った。 他の作品賞候補も全般的にレベルが高く、豊作の年ではあったが、本作は段違いの強さを見せた。

前年の覇者「エブエブ」と同じ7冠

主要部門では作品賞のほか、監督、主演男優、助演男優を制圧。 技術部門でも3部門(撮影、編集、作曲)を獲り、 前年の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」と同じ7冠に輝いた。

ノーラン初受賞

「バットマン3部作」「インセプション」「ダンケルク」などで作家性と商業性を両立させてきた名匠ノーラン監督(53歳)は、過去5回オスカーにノミネートされたが、受賞はなかった。本作では監督・脚本・共同プロデューサーを務め、初のオスカー獲得となった。

ノーランのオスカー歴▼
作品 部門
2002 「メメント」 脚本賞ノミネート
2011 「インセプション」 作品賞ノミネート

脚本賞ノミネート
2018 「ダンケルク」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2024 「オッペンハイマー」 作品賞受賞

監督賞受賞

脚色賞ノミネート賞

激動の人生を解明

主人公の物理学者オッペンハイマーは、米政府の巨大国家プロジェクト「マンハッタン計画」のリーダーとして原爆開発を成功へと導いた後、水爆など核兵器開発の反対活動へと転じ、挙句の果てに政府から公職追放された。その激動の人生を、複数の時間軸を交錯させながら解き明かした。 「天才科学者」「反ナチス・反全体主義者」「戦勝国の英雄」「反逆者」「すけこまし」といった様々な顏を持つ人物像に迫るキャラクター・スタディの傑作として、極めて高い評価を得た。

濃密な会話劇

3時間の長尺で、大半が会話シーン。 しかも内容は科学や政治の難しい話題が中心。 時間軸が何度も前後する複雑な構成。 なおかつ「R」指定ーー。 商業的には不利な条件がそろった知的大人向けドラマだが、幅広い層から支持を集めた。 IMDBの評点は8.4で、作品賞候補の中で断トツのトップ。

映画としての総合力

IMAX70mmフィルムで撮影され、一つ一つのシーンが臨場感と迫力に満ちている。スケール感も圧倒的。 サウンドによるムードづくりや、スリリングで飽きさせない編集も巧妙。 短いセリフに濃密な情報が詰め込まれた脚本も秀逸で、 見返すたびに新しい発見が得られる。 「映画技術の総合力」が抜き出ているという点でも衆目がほぼ一致した。

演技アンサンブル

俳優陣の演技も絶賛された。オッペンハイマー役のキリアン・マーフィーは、これまで長年にわたりノーラン映画の名脇役として活躍してきたが、本作では主役中の主役に。抑制された巧みな演技で複雑な心理を表現し、物語に見事に溶け込んだ。政府高官役のロバート・ダウニーJrも、キャリアベスト級の好演。その他数十人にのぼる実力派俳優たちの掛け合いの連続も圧巻。
続きを開く▼

バービーとの興行対決で注目

米国では夏休みシーズンに娯楽大作「バービー」と同じ日に全米公開された。 超話題作2本が正面から激突するとあって、 興行の行方に注目が集まった。

「バービー」は若年層の女性が好む華やかな作品。 一方、「オッペンハイマー」はシリアスでダーク、中高年以上の男性が主な客層という両極。 公開最初の週末にどちらを鑑賞するべきか、あるいは、1日で2本鑑賞する場合はどういうスケジュールを組むべきか――。 米国民にとっての「究極の選択」がお茶の間で話題となり、 そこから『バーベンハイマー』という造語が生まれ、流行した。

結果として、映画館に人がどっと押し寄せる社会現象が起き、両作品とも驚愕の興行成績をたたき出した。オッペンハイマーの北米興収は3.3億ドルで、前年のオスカー作品賞「エブリシング・エブリウェア」の4倍以上。世界興収は約1500億円。シリアスな大人向けドラマが依然として商業的に成功し得ることを示した意義は大きい。

オッペンハイマーの生涯

オッペンハイマー博士(1904~1967年)は、裕福なドイツ移民(ユダヤ系)の息子としてニューヨークに生まれ、物理学者として高名を確立。 1942年に始まった政府のマンハッタン計画(原爆製造計画)に招かれた。

マンハッタン計画は国を挙げたプロジェクトであり、ナチスドイツよりも先に原爆を開発することを主たる目的としていた。 20億ドルを投じ、最大55万人を動員。 テネシー州に天然ウランに多く含まれるウラン238から、兵器に必要なウラン235を分離する工場が建設された。ワシントン州にはプルトニウムを生産する原子炉が置かれた。

砂漠に研究所

このマンハッタン計画のリーダーに選ばれたオッペンハイマーは、 自らが少年期を過ごしたニューメキシコ州ロスアラモスの砂漠地帯を、 研究・開発拠点の立地場所として提案する。 広大な土地に「国立ロスアラモス研究所」が建設され、全米の一級の科学者が結集。 オッペンハイマーが初代所長に就任した。

核実験を成功に導く

ドイツ降伏後の1945年7月16日、米国は史上初の核実験(通称:トリニティ実験)を成功。オッペンハイマーはアメリカの国民的英雄になる。 実験成功の10日後の7月26日、米国などの連合国は日本に対して降伏を勧告(ポツダム宣言)するが、日本側はこれを拒否(無視)。 翌月、米トルーマン大統領はウラン原爆「リトルボーイ」を広島に、プルトニウム原爆「ファットマン」を長崎に投下した。 広島で約14万人、長崎で約7万4千人が1945年末までに死亡。その後も被害が続いた。

罪の意識にさいなまれる

オッペンハイマーは原爆投下に疑問を抱き、 罪の意識にさいなまれるようになる。 長崎への投下の翌日、すっかりふさぎこんでいたという同僚らの証言が残っている。

投下から2カ月後にロスアラモス研究所長を辞任。 その際の挨拶で「原爆が、争う世界の兵器庫や、戦争に備える国々に新たに追加されるなら、人類がロスアラモスと広島の名をのろうときが来るだろう」と語った。また、翌月トルーマン大統領と会った際には「私の手は血塗られている」と発言し、大統領の怒りをかった。

水爆反対へ

その後、オッペンハイマーは「核の情報公開と国際管理」に向けた活動を始める。いずれソ連(現ロシア)が原爆を開発するのは目に見えていた。 その前に核管理の枠をつくり、果てしない軍拡に歯止めをかけて人類破滅への道を回避することを目指した。

原爆の数百倍以上の威力を持つとされた水爆の開発にも反対した。原子力委員会の一般諮問委員会の長として、水爆は「防御する手段のない武器」であると、危険性を熱心に訴えたのだった。

公職追放

こうした姿勢が、政府からの迫害を招くことになる。 保守派の共和党が政権に復帰し、 マッカーシズム(冷戦下のアカ狩り)が吹き荒れた1953年、スパイの嫌疑をかけられる。

オッペンハイマーはマンハッタン参加前に左翼系知識人たちと交流があり、思想的にもリベラルだったが、共産党員ではなかった。それでも、米連邦捜査局(FBI)の尾行・盗聴などによって不利な材料がかき集められ、1954年、公職追放の処分を受ける。

名誉回復と死

1963年にジョンソン大統領がエンリコ・フェルミ賞を授与して、名誉がある程度回復された。

1965年に喉頭がんと診断(喫煙家だった)。1967年に62歳で死去した。

2022年12月、米エネルギー省のグランホルム長官は、オッペンハイマー氏に対する公職追放は「偏見に基づく不公正な手続きだった」として処分を取り消した。

歴史家などの間では、オッペンハイマーは、 卓越した知力と遂行能力を備えていたと評されている。

原作はピュリツァー賞

映画の原作は2007年に出版された伝記「オッペンハイマー『原爆の父』と呼ばれた男の栄光と悲劇」。 著者は、歴史家マーティン・シャーウィンと伝記執筆家カイ・バード。 多数のインタビューに基づいており、オッペンハイマーに関する最も優れた伝記と言われている。 ピュリツァー賞も受賞した。

本の原題は「American Prometheus(アメリカのプロメテウス)」。前半は、才能豊かな理論物理学者として活躍し、人類初の原爆実験が成功するまでが描かれる。 後半では、国家の核政策決定の中枢に位置する人物となった時代が綴られる。

映画の撮影前にシャーウィンは亡くなったが、もう一人の著者であるバードは撮影現場を訪れ、ノーラン監督に知恵を授けたという。

5つの時間軸

本作は、主に以下の5つの時間軸で展開される。
(1)学生~学者時代(1930年代)
(2)マンハッタン計画参加(1942年~45年)
(3)戦後の数年間。米原子力委員会(AEC)顧問と、アインシュタインらが所属する「プリンストン高等研究所」所長の時代。AECメンバーのルイス・ストロース氏(元軍職員)との出会いから関係悪化までを描写する=主に白黒映像
(4)公職追放処分について協議する政府の聴聞会(1954年)
(5)オッペンハイマー追放に関与したストロースの入閣をめぐる連邦議会の審議(1959年)=白黒映像

 監督:クリストファー・ノーラン
 主演:キリアン・マーフィー(ダークナイト3部作、28日後)
 助演:ロバート・ダウニーJr、エミリー・ブラント、マット・デイモン、フローレンス・ピューほか

 公開日:2024年3月29日(日本)
 製作国:アメリカ
 配給:ユニバーサル
 長さ:3時間


【結果】
受賞 作品賞
監督賞
主演男優賞
 キリアン・マーフィー
助演男優賞
 ロバート・ダウニー・Jr
撮影賞
編集賞
作曲賞
ノミネート 助演女優賞
 エミリー・ブラント
脚色賞
音響賞
美術賞
衣装デザイン賞
メイク&ヘア賞

【前哨戦での受賞】
・PGA(全米プロデューサー組合賞)
・DGA(米監督組合賞)
・SAG(俳優組合)アンサンブル賞
・批評家チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞ドラマ部門
その他▼ ・アトランタ批評家賞
・セントルイス批評家賞
・ラスベガス批評家賞

【評点】
ロッテン・トマト 93%
最新→
IMDB 8.4
最新→
メタクリティック 89%
最新→

【興行収入】
北米:3.3億ドル
世界:9.6億ドル
【製作費】
1億ドル

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <予告編▼>


<特別映像▼>


<劇伴▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ(by プロデューサーでノーランの妻のエマ・トーマス)▼>


<クリティクス・チョイス賞の受賞スピーチ▼>

  • 「ホールドオーバーズ」
    ホールドオーバーズ
    クリスマスなのに帰省しないワケあり人たちが起こす喜劇ドラマ
    【結果】
    受賞 助演女優賞
     デバイン・ジョイ・ランドルフ
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     ポール・ジアマッティ
    脚本賞
    編集賞

    作品説明へ



  • 「バービー」
    バービー
    着せ替え人形「バービー」の皮肉なコメディ。興行収入収入は年間トップ。
    【結果】
    受賞 歌曲賞
     ビリー・アイリッシュ
    「What Was I Made For?」
    ノミネート 作品賞
    助演男優賞
     ライアン・ゴスリング
    助演女優賞
     アメリカ・フェレーラ
    脚色賞
    衣装デザイン賞
    美術賞
    歌曲賞
     「アイム・ジャスト・ケン」

    作品説明へ
    【配信:アマゾン→



  • 「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
    米先住民虐殺の内幕を描く史実ドラマ。巨匠スコセッシ監督がアメリカの暗部をえぐり出す。
    【結果】
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演女優賞
     リリー・グラッドストーン
    助演男優賞
     ロバート・デ・ニーロ
    撮影賞
    編集賞
    衣装デザイン賞
    美術賞
    作曲賞
    歌曲賞

    作品説明へ



  • 「哀れなるものたち」
    哀れなるものたち
    脳死状態から蘇った女性が、「体は大人、脳は赤ちゃん」の状態で臨む社会体験記。
    【結果】
    受賞 主演女優賞
     エマ・ストーン
    美術賞
    メイク&ヘア賞
    衣装デザイン賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    助演男優賞
     マーク・ラファロ
    脚色賞
    撮影賞
    編集賞
    作曲賞

    作品説明へ



  • 「落下の解剖学」
    落下の解剖学
    夫殺しの罪に問われた女性の法廷サスペンス。仏映画。
    【結果】
    受賞 脚本賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演女優賞
     ザンドラ・フーラ
    編集賞

    作品説明へ



  • 「アメリカン・フィクション」
    アメリカン・フィクション
    安直な人種平等主義や文化の「売れ線主義」を風刺する良質コメディ
    【結果】
    受賞 脚色賞
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     ジェフリー・ライト
    助演男優賞
     スターリング・K・ブラウン
    作曲賞

    作品説明へ



  • 「パスト・ライブス/再会」
    パスト・ライブス/再会
    幼なじみの男女が異国の地で再会する運命系ドラマ。
    【結果】
    ノミネート 作品賞
    脚本賞

    作品説明へ



  • 「関心領域」
     国:イギリス(ドイツ語)
    関心領域
    ナチスの強制収容所のすぐ近くに住む収容所長の日常を描く野心作。
    【結果】
    受賞 国際映画賞
    音響賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    脚色賞

    作品説明へ



  • 「マエストロ:その音楽と愛と」
    マエストロ:その音楽と愛と
    世界屈指の指揮者レナード・バーンスタインと妻の伝記。
    【結果】
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     ブラッドリー・クーパー
    主演女優賞
     キャリー・マリガン
    脚本賞
    メイク&ヘア賞(辻一弘)
    撮影賞
    音響賞

    作品説明へ
    【配信:ネトフリ→


歴代の作品賞→

▲ 一覧の先頭へ
監督賞 クリストファー・ノーラン
「オッペンハイマー」

クリストファー・ノーラン

「映像話術の天才」と呼ばれ続けて四半世紀。 革新的な映画づくりに挑み続けてきた男が頂点に立った。

20代で初ノミネート

1970年ロンドン生まれ。29歳で撮った2作目「メメント」(2000年)で大ブレイク。 物語を結末から語るという手法で驚かせた。 時間の流れを逆さまにして、映画の文法や時間的距離を変えることに挑戦し、いきなりオスカー脚本賞にノミネートされた。

大物俳優に臆せず

メジャースタジオから出した次作「インソムニア」(2002年)では、心理的駆け引きのサスペンスを緊張感を持って描き、主観的真実と客観的真実は違うことを訴えた。アル・パチーノ、ロビン・ウィリアムズ、ヒラリー・スワンクという3人の大物オスカー俳優を巧みに演出した。

バットマンで新機軸

続いて「バットマン」3部作を手掛け、 スーパーヒーロー伝説に新たな歴史を刻む。 1作目「ビギンズ」でダークかつ物語性重視の新機軸を打ち出し、 続く2作目「ダークナイト」でジョーカー役にヒース・レジャーを起用。 心の闇の奥底まで悪魔が乗り移ったかのような悪役を造形した。 ダークナイトは全米興行収入歴代第3位を記録。作品賞ノミネートから漏れたことは、作品賞の候補を5枠から10枠に増やすという歴史的な制度変更の契機になった。

SFでも成功

2010年の「インセプション」では、重層的な夢の世界で複数の物語が同時進行するというややこしいストーリーを、一級の娯楽劇に仕上げた。オスカーの作品賞と脚本賞にダブルノミネート。 SF大作「インターステラー」(2014年)では、人類の生き残りを懸けて宇宙に向かう主人公の家族愛を壮大な映像力で表現。オスカー視覚効果賞を獲った。

「ダンケルク」で監督賞候補に

続く「ダンケルク」(2017年)では、第二次世界大戦の英国軍の撤退作戦を、CGを使わずに再現することに成功。迫真の戦闘描写が称賛された。作品賞に加えて、初めて監督賞にノミネートされた。

日本で高い人気

前作「テネット(Tenet)」は、米国内で商業的に厳しい結果になったが、日本ではリピーターが続出して大ヒットとなった(そもそもデビュー以来、常に日本で人気の高い監督だった)。

ロケ撮影によるリアル映像

映像にリアリティーを持たせるため、CGなどのVFX(視覚効果)に頼らず、 極力、ロケや綿密なセット構築したうえでの撮影を重視している。

ワーナーといったん決別

長年にわたり米ワーナー・ブラザースと組んでいたが、 ワーナーが前作「テネット」を劇場公開と同時にネット配信したことで対立。 袂を分かち、今作では米ユニバーサルが配給元になった。

最強カップル

妻のエマ・トーマス氏は敏腕プロデューサーとして知られ、これまでノーランの全映画をプロデュースしてきた。大学の寮で知り合ったというおしどり夫婦。映画界最強カップルの力が本作でもいかんなく発揮され、商業的にもキャリア最高の大成功をもたらした。

作品説明へ

ノーランのオスカー歴▼
作品 部門
2002 「メメント」 脚本賞ノミネート
2011 「インセプション」 作品賞ノミネート

脚本賞ノミネート
2018 「ダンケルク」 作品賞ノミネート

監督賞ノミネート
2024 「オッペンハイマー」 作品賞受賞

監督賞受賞

脚色賞ノミネート賞

【前哨戦での受賞】
・DGA(米監督組合賞)
・クリティクス・チョイス賞 監督賞
・英国アカデミー賞 監督賞
・ゴールデングローブ賞 監督賞
・ニューヨーク批評家賞 監督賞
・アトランタ批評家賞 監督賞
・ワシントン批評家賞 監督賞
・セントルイス批評家賞 監督賞

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼
<コルベア対談1▼>

<コルベア対談2▼>

<コルベア対談3▼>

<コルベア対談4▼> 

<コルベア対談5▼>

<英国アカデミー賞スピーチ▼>
  • マーティン・スコセッシ
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    マーティン・スコセッシ
    10回目の監督賞ノミネート
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会賞(NBR)
    ・サンディエゴ批評家賞


  • ヨルゴス・ランティモス
    「哀れなるものたち」
    ヨルゴス・ランティモス
    【前哨戦での受賞】
    ・フィラデルフィア批評家賞
    ・フェニックス批評家賞


  • ジョナサン・グレイザー
    「関心領域」
    ジョナサン・グレイザー
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ロサンゼルス批評家賞(作品賞との2冠)
    ・ボストン批評家賞
    ・トロント批評家賞(作品賞との2冠)


  • ジュスティーヌ・トリエ
    「落下の解剖学」
    ジュスティーヌ・トリエ


歴代の監督賞→

▲ 一覧の先頭へ
主演男優賞 キリアン・マーフィー
「オッペンハイマー」

キリアン・マーフィー

パラドックスに満ち、組み合わせパズルのように複雑なオッペンハイマー氏の人物像を、抜群の説得力でリアルに造形。 大げさな表現に頼ることなく、ストーリーに自然に溶け込み、伝記ドラマの歴史的な傑作誕生の立役者となった。

脇役から主役へ

悪役スケアクロウを演じた「バットマン」3部作のほか、「インセプション」「ダンケルク」といったノーラン監督の名作を脇役として支えてきた。 繊細、知的、大胆、ときに不気味。キャラクターの性質や心情を巧みに伝えるスキルは、ようやくめぐってきた主役の座で存分に発揮された。

「28日後」で大ブレイク

1976年、アイルランドの教育者の家系に生まれた。 10代はロック少年。20歳で地元劇団の舞台に初出演。 英国人監督ダニー・ボイル氏のゾンビ映画「28日後」(2002年)の配役担当の目に留まり、主役に大抜擢された。 華奢で夢想的な雰囲気が作品に見事にマッチし、映画の成功とともに世界的なブレイクを果たした。

目力(めぢから)で圧倒

「バットマン・ビギンズ」(2005年)のオーディションでは希望する主人公の役を逃したが、その「目力(めぢから)」に圧倒されたノーラン監督は、悪役としての起用を決めたという。

作品説明へ

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
・ワシントン批評家賞
・アトランタ批評家賞
・フェニックス批評家賞
・フィラデルフィア批評家賞
・セントルイス批評家賞

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <登場シーンなど▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


<昔の歌唱シーン▼>


<バットマンでの登場シーン▼>


<「28日後」での登場シーン▼>


<「オッペンハイマー」出演者3人のインタビュー▼>

  • ポール・ジアマッティ
    「ホールドオーバーズ」
    ポール・ジアマッティ
    米国民に長く親しまれ、愛される三枚目。
    全寮制の学校の教師を演じた。 短気で毒舌だが、 優れた知性と強い信念を持つ奥深いキャラクター。 滑稽かつ味わい深い演技で物語を推進した。 他の登場人物との波長もぴったりで、 職人芸的な役者ぶりに称賛が集まった。
    オスカー・ノミネートは2度目。 前回ノミネートは「シンデレラマン」(2005)でのシリアス演技。 その前年、傑作コメディ「サイドウェイ」で絶賛されながらもノミネートから漏れたことは、 オスカーの歴史に残るSnubとして語り草になっている。
    今回、サイドウェイのアレクサンダー・ペイン監督と再びタッグを組み、 得意とする「ひねくれオヤジ」演技の真骨頂を発揮した。
    1967年コネチカット州生まれ。 父親は大学教授、母親は高校教師の母親という教育家系。
    重要な前哨戦となるクリティクス・チョイス賞で、 キリアン・マーフィー(オッペンハイマー)に勝利。 また、教育者たちへの敬意を示したゴールデングローブ賞での受賞スピーチは、 大きな共感を呼んだ。
    作品説明へ
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    ・シカゴ批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・ミシガン批評家賞(同点)
    動画集を開く▼ <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <クリティクス・チョイス賞の受賞スピーチ▼>


    <予告編▼>


    <「サイドウェイ」予告編▼>



  • ジェフリー・ライト
    「アメリカン・フィクション」
    ジェフリー・ライト
    【前哨戦での受賞】
    ・サンディエゴ批評家賞
    ・ミシガン批評家賞(タイ)
    ・インディスピリット賞 主演賞


  • ブラッドリー・クーパー
    「マエストロ:その音楽と愛と」
    ブラッドリー・クーパー
    【前哨戦での受賞】
    ・ネバダ批評家賞


  • コールマン・ドミンゴ
    「ラスティン:ワシントンの『あの日』を作った男」
    コールマン・ドミンゴ
    【配信:ネトフリ


歴代の主演男優賞→

▲ 一覧の先頭へ
主演女優賞 エマ・ストーン
「哀れなるものたち」

エマ・ストーン

2回目の受賞。「ラ・ラ・ランド」での受賞から7年ぶり。

特異キャラをぶっとび体現

科学実験で死から蘇った女性を演じた。体は大人なのに脳は乳児という特異なキャラクターを、ぶっ飛び演技で愉快に表現。そこから急ピッチで成長していく「変革」のプロセスを存分に見せた。

共同プロデューサー

共同プロデューサーとして企画の初期段階から参加し、「女王陛下のお気に入り」で組んだヨルゴス・ランティモス監督と二人三脚で主人公像を創造していったという。

15歳でLA移住

1988年11月、米南部アリゾナ州生まれ。11歳から演技を学び、家族の応援で母と一緒に15歳からロサンゼルスに移ってテレビ出演を始めた。

「Easy A」で高評価

2007年の「スーパーバッド 童貞ウォーズ」で映画デビュー。青春コメディの傑作として絶賛された「Easy A」(2010年)で演技力とハリウッドスターらしい華を備えたスターとして高い評価を受け、初めて賞レースにも絡んだ。2012年の「アメイジング・スパイダーマン」でヒロイン役に。

4度目のノミネート

2015年に「バードマン」でオスカー初ノミネート(助演)。2017年に「ラ・ラ・ランド」で初のオスカー(主演)を獲得した。2019年にも「女王陛下のお気に入り」でノミネート(助演)された。今回で4度目のノミネートだった。

作品説明へ

【前哨戦での受賞】
・クリティクス・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
・ミシガン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・ロサンゼルス批評家賞
・フィラデルフィア批評家賞
・フェニックス批評家賞

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <登場シーン▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


<ルイ・ヴィトンの宣伝動画▼>


<自宅で78個の質問にこたえる▼>

  • リリー・グラッドストーン
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    リリー・グラッドストーン
    先住民系米国人として初の俳優部門ノミネートとなった。

    愛情と疑念

    先住民虐殺事件を描いた本作で、白人の男(レオナルド・ディカプリオ)と結婚する金持ちの女性を演じた。 病に冒されていくなかで見せる夫への愛情と疑念。微妙な葛藤の表現が称賛された。 ディカプリオやロバート・デ・ニーロら超豪華キャストの中で特別の輝きを放った。

    イウォーク族に触発される

    米モンタナ州ブラウニングのインディアン居留地で育った。父親は先住民系(ブラックフィート族とネズ・パース族)、母親は白人。 5歳のときに映画「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」で見たイウォーク族に触発され、俳優を志望するようになった。

    メジャー映画は初出演

    大学で演劇を学んだ後、独立系の小規模映画の脇役としてキャリアを積み、 2016年の「ライフ・ゴーズ・オン 彼女たちの選択」で批評家系の賞レースに絡んだ。 本作はメジャー映画での初出演だった。

    SAGで勢い

    当初は「助演」での最有力候補になると見られたが、「主演」で賞レースに参戦した。 主役にしては登場時間が短いが、存在感は圧巻。 前哨戦では歴史的な重みを感じさせるスピーチで喝采を浴びた。 賞レース終盤のSAGアワード受賞で勢いづいた。
    作品説明へ
    【前哨戦での受賞】
    ・SAGアワード(俳優組合賞)
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・サンディエゴ批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    動画集を開く▼ <登場シーン▼>


    <ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


    <インディワイヤー賞の受賞スピーチ▼>



  • ザンドラ・フーラ
    「落下の解剖学」
    ザンドラ・フーラ
    ドイツの女優。殺人罪に問われる小説家を演じた。長回しで撮影された夫との口論シーンなどが絶賛された。本作と同じく作品賞のノミネートされた「関心領域」でも名演を見せ、大活躍の年となった。1978年生まれ。2006年「レクイエム~ミカエラの肖像」でベルリン国際映画祭の女優賞を獲得。
    作品説明へ
    【前哨戦での受賞】
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・バンクーバー批評家賞
    ・ヨーロッパ映画賞(欧州アカデミー賞)
    動画集を開く▼ <登場シーン▼>


    <ヨーロッパ映画賞の受賞スピーチ▼>


    <ドイツ国営放送▼>



  • キャリー・マリガン
    「マエストロ:その音楽と愛と」
    キャリー・マリガン


  • アネット・ベニング
    「ナイアド~その決意は海を越える」
    アネット・ベニング
    5回目のノミネート。64歳という高齢にもかかわらず、キューバから米フロリダまで泳いだ実在の女性を演じた。
    【配信:ネトフリ


歴代の主演女優賞→

▲ 一覧の先頭へ
助演男優賞 ロバート・ダウニーJr
「オッペンハイマー」

ロバート・ダウニー・Jr

科学者オッペンハイマーの公職追放をめぐる政治ドラマが描かれる本作において、そのカギを握る政府高官を演じた。

現実味たっぷり

「アイアンマン」など過去の数々の有名キャラターの面影を消し去り、全くの別人に変身。 権力欲や虚栄心が強く腹黒い政治的キャラクターを現実味たっぷりに造形した。

見せ場を支える

会話シーンはもとより、 手のしぐさから表情の微妙な変化にいたるまで、派手さはないが強烈な印象を残す表現を連発。 立体的で深いドラマの見せ場を支えた。 若いころから実力が高く評価されてきた一流スターの真骨頂が、存分に発揮された。

チャプリン役で初候補に

オスカーノミネートは3回目。 1度目は、実に30年前(1993年)にさかのぼる。 伝記映画「チャーリー」で喜劇王チャーリー・チャプリンを演じ、主演男優賞にノミネート。当時26歳ながら10代から88歳までのチャプリンを演じた。 2009年には活劇コメディ「トロピック・サンダー」で助演男優賞にノミネートされた。

薬物中毒から脱却

1965年4月生まれ、米ニューヨーク出身。父は映画監督、母は女優。5歳の時に初めて父の監督作に出演し、1980年代は青春映画で活躍した。
2000年代初頭に人気テレビドラマ「アリー・myラブ」に出演したころから麻薬の常習者になり、何度も刑務所に入った。その後、リハビリ施設入所やヨガなどによって中毒から立ち直ったという。

マーベル黄金期の立役者

2008年の「アイアンマン」で初めてスーパー・ヒーロー役(トニー・スターク)を演じ、大当たり。 米コミック「マーベル」のシリーズ化の起点となった。 2010年代のアメコミ映画の黄金時代をど真ん中で支え続けた。 「シャーロック・ホームズ」シリーズでも主役を務め、大ヒットへと導いた。

「頼れる兄貴分」

映画業界への貢献度はとてつもない。撮影現場では「頼れる兄貴分」として同業者から高評価を得ており、かつての問題児の影はない。

作品説明へ

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・クリティクス・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞
・フィラデルフィア批評家賞
・フェニックス批評家賞
・サンディエゴ批評家賞
・アトランタ批評家賞(タイ)

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <登場シーンなど▼>


<スティングと一緒に歌う▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>


<「チャーリー」の予告編▼>

  • ライアン・ゴスリング
    「バービー」
    ライアン・ゴスリング
    バービーの友人ケンを演じた。 抜群のコメディ・センスとカリスマ性を発揮し、 世界中の観客を爆笑させた。 人間社会に初めて行ったときのはしゃぎぶりや、 男性を自虐するネタの愉快さは圧巻。見せ場をいくつもさらった。 「ラ・ラ・ランド」で見せたダンスと歌唱にもさらに磨きがかかった。 無邪気な人形男子を、 これだけ違和感なく魅力的に演じられるおじさん(42歳)は他にいない。
    オスカーノミネートは3度目。 最初のノミネートは、1億円以下の超低予算で制作された「ハーフネルソン」(2006年)での主演で。続いて2016年のミュージカル大作「ラ・ラ・ランド」の主演でノミネートされ、 本命の一角と見られていたが、ケイシー・アフレック(マンチェスター・バイ・ザ・シー)に敗れた。
    1980年、カナダのオンタリオ州生まれ。1993年、テレビの「ミッキー・マウス・クラブ」のオーディションに参加。1万7000人から選ばれてレギュラーになった。
    1996年に映画デビュー。2004年「きみに読む物語」で注目された。2010年「ブルーバレンタイン」などでも優れた演技力を発揮。「ドライヴ」でカルト的人気を博した。
    ジャズピアニスト役で挑んだ初の本格ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」では、ピアノ演奏のシーンでは代役を使わず自ら演奏し、その腕前はプロのピアニストをもうならせた。
    2017年の「ブレードランナー2049」などの超大作でもおなじみ。
    【前哨戦での受賞】
    ・ボストン批評家賞
    ・ミシガン批評家賞
    ・セントルイス批評家賞
    ・ハワイ批評家賞
    ・アトランタ批評家賞(タイ)
    動画集を開く▼ <「アイム・ジャスト・ケン」歌唱ビデオ▼>


    <「ラ・ラ・ランド」の歌唱&ダンス▼>


    <MTVベストキス賞の受賞スピーチ▼>



  • マーク・ラファロ
    「哀れなるものたち」
    マーク・ラファロ
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会議賞(NBR)
    エマ・ストーン演じる主人公を外の世界へと連れ出すスケベ男を演じた。


  • ロバート・デ・ニーロ
    「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」
    ロバート・デ・ニーロ
    9回目のノミネート。マーロン・ブランドやケイト・ブランシェットら7人の俳優が持つ記録に並んだ。恐ろしい悪人役。凄みに満ちた演技で観客を深淵へと導いた。


  • スターリング・K・ブラウン
    「アメリカン・フィクション」
    スターリング・K・ブラウン
    主人公の弟役。葛藤を抱えるゲイの医者をコミカルに痛々しく演じた。


歴代の助演男優賞→

▲ 一覧の先頭へ
助演女優賞 デバイン・ジョイ・ランドルフ
「ホールドオーバーズ」

デバイン・ジョイ・ランドルフ

学食の料理人を演じた。 最愛の息子をベトナム戦争で失って初めて迎えたクリスマス。 自分と同じく休校中の学校に居残った教師(ポール・ジアマッティ)や生徒(ドミニク・セッサ)が繰り広げるドタバタに、じわじわと巻き込まれていく役柄。

母性と芯の強さを体現

自身が喪失感にさいなまれながらも、 さりげない優しさとユーモアで他の2人を温め、お互いの理解を助けていく母性を絶妙に表現。 愛らしさと芯の強さが観客の感動を呼んだ。

いきなりトニー賞

1986年5月、米東部フィラデルフィア生まれ。 地元の大学で演劇を学んだ後、 名門イエール大学院に進み、演劇で修士号をとった。 ミュージカル版「ゴースト」で役者デビューを飾り、 いきなりトニー賞の助演女優賞にノミネートされた。

歌唱力も抜群

2019年、エディ・マーフィ主演映画「ルディ・レイ・ムーア」(Netflix)で、大柄な芸人を熱演。ド迫力の歌唱力もあいまって、一躍脚光を浴びた。 今回の賞レースでは前哨戦を負け知らずで独走した。

作品説明へ

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・クリティクス・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・ゴールデングローブ賞
・米国映画評議会議賞(NBR)
・全米映画批評家協会賞(NSFC)
・ニューヨーク批評家賞
・ロサンゼルス批評家賞
・シカゴ批評家賞
・ボストン批評家賞
・ワシントン批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ミシガン批評家賞
・フィラデルフィア批評家賞
・セントルイス批評家賞
・フェニックス批評家賞

動画集を開く▼ <登場シーン▼>


<「ルディ・レイ・ムーア」での歌唱シーン▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>

  • エミリー・ブラント
    「オッペンハイマー」
    エミリー・ブラント


  • ジョディ・フォスター
    「ナイアド~その決意は海を越える」
    ジョディ・フォスター
    5回目のノミネート。助演としては2回目で、1977年に「タクシードライバー」でノミネートされて以来、実に47年ぶり。同じ部門でのノミネートとしてオスカー史上最も長い間隔となった。
    【配信:ネトフリ


  • アメリカ・フェレーラ
    「バービー」
    アメリカ・フェレーラ
    ※テレビ「アグリー・ベティ」で有名。今作でのスピーチのシーンが大きな感動を呼んだ。


  • ダニエル・ブルックス
    「カラーパープル」
    ダニエル・ブルックス


歴代の受賞者(助演女優賞)→

▲ 一覧の先頭へ
アニメ賞 「君たちはどう生きるか」

君たちはどう生きるか

【国:日本】

宮崎駿監督、鈴木敏夫プロデューサー

宮崎監督3回目のオスカー

日本にとって「千と千尋の神隠し」以来21年ぶり2度目の長編アニメ賞。宮崎駿監督にとっては「千と千尋の神隠し」、2015年の名誉賞に続いて3回目のオスカー受賞となった。

引退を撤回

2013年の「風立ちぬ」を最後に引退すると表明していた宮崎監督が、2016年にこれを撤回し、製作に臨んだ。

手描きの味わい

作画開始から完成まで異例の7年という長期間を費やし、マイペースで丹念に作り上げた。 手描きによる絵のクオリティの高さは健在。 人物などの滑らかな動きや美しい背景美術など、視覚的な味わいに満ちている。

自伝的なストーリー

宮崎氏の自伝的なストーリー。 内省的なキャラクター造形や迷宮のような不思議な世界観が、 見る側の想像力をかき立てる。

巨匠の復帰を大歓迎

海外でも高い評価を集め、 引退したはずのレジェンドの復帰に、全米のアニメファン、映画ファンが沸き上がった。 オスカー前哨戦では、ニューヨーク批評家賞やロサンゼルス批評家賞といった権威ある玄人系の賞でアニメ賞を獲得。 英国アカデミー賞やゴールデングローブ賞でも勝利し、勢いづいた。

歴代ジブリで最高の米興収

商業的にも世界的に成功した。アメリカ(北米)における興行収入は4600万ドルで、ジブリ映画として歴代1位を記録。 それまでトップだった「千と千尋の神隠し」の3倍以上を稼いだ。 (参考:エクシブ投資顧問

過去のオスカーでは大衆派が勝利

とはいえ、オスカーの最大の競争相手だった「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」の北米興収はその8倍。 両作ともに大絶賛を浴びたが、 どちらかといえば批評家の評価は「君たちはどう生きるか」が上で、 観客の評価は「スパイダーマン」が上。 ざっくり言えば「作家性」対「娯楽性」、「手描き」対「CG」、そして日米アニメの最高峰による未曽有の激戦となった。

過去のオスカーでは大衆派が勝利

過去のアニメ部門でディズニーやピクサーなどの大衆娯楽作を選んできたオスカーの傾向をふまえると、 スパイダーマンが優勢との事前予想が多かった。

国際化が追い風

しかし、アカデミー会員は宮崎氏の唯一無二の独創性に軍配を上げた。 海外の会員が増えて国際化したことや、全3部作の2作目であるスパイダーマンが既に1作目で受賞していることも、「君たち」に優位に働いたと見られている。

「千と千尋の神隠し」以来

オスカーの長編アニメ賞は2002年に新設された比較的新しい部門。 1回目は「シュレック」が受賞し、翌年の2回目をジブリの「千と千尋の神隠し」が獲った。 それ以来、日本勢はノミネートどまりが続いていた。 ジブリ以外で日本からノミネートされたのは、 細田守監督「未来のミライ」のみ。
■ジブリのオスカー歴
作品 部門
2003 「千と千尋の神隠し」
 宮崎駿監督
アニメ賞受賞
2006 「ハウルの動く城」
 宮崎駿監督
アニメ賞ノミネート
2014 「風立ちぬ」
 宮崎駿監督
アニメ賞ノミネート
2015 「かぐや姫の物語」
 高畑勲監督
アニメ賞ノミネート
2016 「思い出のマーニー」
 米林宏昌監督
アニメ賞ノミネート
2017 「レッドタートル ある島の物語」
 マイケル・デュドク・ドゥ・ビット監督
アニメ賞ノミネート
2024 「君たちはどう生きるか」
 宮崎駿監督
アニメ賞受賞
監督・脚本・原作:宮崎駿
プロデューサー:鈴木敏夫
配給:GKIDS
英題:The Boy and the Heron
製作国:日本
長さ:2時間4分

【評価】
ロッテン・トマト 97%
最新→
IMDB 7.6
最新→
メタクリティック 91%
最新→

【興行収入】
北米:4600万ドル
世界:1億6700万ドル(最新→

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞 アニメ賞
・ゴールデングローブ賞 アニメ賞
・ニューヨーク批評家賞 アニメ賞
・ロサンゼルス批評家賞 アニメ賞
・フロリダ批評家賞 作品賞、アニメ賞、作曲賞【3冠】
・シカゴ批評家賞 アニメ賞
・ボストン批評家賞 アニメ賞
・フィラデルフィア批評家賞 アニメ賞&外国語映画賞【2冠】
・サンディエゴ批評家賞 アニメ賞
・ロンドン批評家賞 アニメ賞

動画集を開く▼ <予告編▼>


<主題歌:米津玄師「地球儀」▼>


<受賞後の中島清文・ジブリCOOの会見▼>



歴代の日本人受賞者→
  • 「スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース」
    スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース
    2019年のオスカーで長編アニメ賞に輝いた「スパイダーマン:スパイダーバース」の続編。
    前作では、アニメ表現の新境地を拓いた。 コミックがそのまま動き出したかのような映像。 テイストの異なる画風を一つの作品に落とし込む斬新なスタイルは、 画期的だった。

    空前のアート映像作品

    今回は、その映像表現がさらに大きく進化した。 1000人のアニメーターが参加。 人間らしい絵の質感が活かすため、CGへの依存を減らし、マンパワーで絵を描くことを重視した。 その結果、空前のクオリティを持ったアート映像作品に仕上がった。
    ビジュアルの良さにとどまらず、エンタメとしての面白さも抜群。 批評家と一般観客の双方から極めて高い評価を得た。

    多数のスパイダー

    複数の異次元空間が並行する世界(マルチバース)が舞台。 主人公の少年マイルスが、この世界に足を踏み入れ、過去の漫画及び映画シリーズで登場した多数のスパイダーマンに遭遇する。
    次回作(3作目)「スパイダーマン:ビヨンド・ザ・スパイダーバース」も一体的に制作された。

    ロード&ミラー

    プロデューサーは、前作に続き、米国アニメ界きっての黄金コンビとして知られるフィル・ロード&クリス・ミラーが務めた。監督作として「LEGO ムービー」「21ジャンプストリート」、プロデューサー作品として「ミッチェル家とマシンの反乱」などが有名。
    監督:ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン
    配給:ソニー
    長さ:2時間20分
    【前哨戦での受賞】
    ・PGA(全米プロデューサー組合賞)
    ・クリティクス・チョイス賞
    ・アニー賞 作品賞
    ・米国映画評議会議賞(NBR) アニメ賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・視覚効果協会賞(アニメ部門)
    【評価】
    ロッテン・トマト 95%
    最新→
    IMDB 8.6
    最新→
    メタクリティック 86%
    最新→
    【興行収入】
    北米:3.8億ドル
    世界:6.9億ドル
    【製作費】
    1億ドル
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <挿入歌「コーリング」▼>



  • 「マイ・エレメント」
    マイ・エレメント
    コロナ禍以降、ピクサーの映画は劇場公開されず、配信のみだったが、本作は映画館で上映。 アメリカでは公開当初は興行成績が悪かったが、 口コミで高評価が伝わり、ロングランとなった。 日本でもヒットした。
    評論家のレビューは、ロッテン・トマトで「支持率74%」。 ピクサーにしてはイマイチだった。 しかし、観客の評判はおおむね良かった。
    【評価】
     ロッテン・トマト:74%(最新→
     IMDB:7.0(最新→
     メタクリティック:58%(最新→
     レターボックス:3.3(最新→
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <エンドソング:Superfly「やさしい気持ちで」▼>


    <劇中歌「Steal The Show」▼>



  • 「ニモーナ」
    ニモーナ
    (Netflix)
    【配信:ネトフリ


  • 「ロボット・ドリームズ」
    ロボット・ドリームズ
    国:スペイン


歴代のアニメ賞→

▲ 一覧の先頭へ
国際映画賞 「関心領域」
 国:イギリス(ドイツ語)
関心領域
1990年代にジャミロクワイの音楽ビデオを撮ったことで知られる英国の鬼才ジョナサン・グレイザー監督の10年ぶりの新作映画。
作家性が強い独創的な作品。 大衆娯楽性は低いが、 コアなシネフィルから絶大な支持を得た。

PGAの10本に入る

カンヌ国際映画祭で「落下の解剖学」との接戦の末、2位(グランプリ)となった。米国の賞レースでも、ロサンゼルス批評家賞など権威の高い賞で作品賞や監督賞を次々と獲得。ハリウッドの大作を選ぶ傾向が強いPGA(全米プロデューサー組合賞)でも作品賞にノミネートされるというサプライズまで起こした。

ナチス収容所の隣人

ユダヤ人大量虐殺が行われた独ナチスのアウシュビッツ強制収容所。 その隣の邸宅が主な舞台となる。 ナチス幹部である収容所の所長一家が、この邸宅に入居し、生活を始める。
塀の向こうで行われているナチスの虐殺行為は画面には映さない。 ただ、時折、銃声や悲鳴が聞こえてくる。 それでも一家は、絵に描いたような幸せな暮らしを送る。
鮮烈なコントラストで異常さを際立たせる。 音で想像力を喚起させる「見せない演出」が絶賛された。
固定カメラにより長回しを多用。 ドラマチックにしない演出も注目された。
【結果】
受賞 国際映画賞
音響賞
ノミネート 作品賞
監督賞
脚色賞

監督:ジョナサン・グレイザー(英国人)
公開日:2024年5月24日
英題:The Zone of Interest
言語:ドイツ語
製作国:英国、ポーランド
配給:A24

■評点:ロッテン93%、IMDb7.6

【前哨戦での受賞】
・カンヌ国際映画祭 2位(グランプリ)
・ロサンゼルス批評家賞 作品賞&監督賞&主演賞&音楽賞
・全米映画批評家協会賞(NSFC)監督賞
・トロント批評家賞 作品賞&監督賞
・サンフランシスコ批評家賞 監督賞
・女性映画ジャーナリスト同盟 作品賞
・ボストン批評家賞 監督賞&脚色賞
・英国アカデミー賞 非英語作品賞&英国作品賞&音響賞の3冠
・シカゴ批評家賞 外国語映画賞

動画集を開く▼ <カンヌ上映後の客席の反応▼>

  • 「パーフェクト・デイズ」
     国:日本
    パーフェクト・デイズ
    ※東京都心の公衆トイレの清掃業務に従事する初老男性の物語。 黙々と働くプロ職業人の日常生活を、静かに追う。 ストーリーらしきものがなく会話も非常に少ないが、 主人公の生き様とその描き方が世界から共感を得た。
    「ベルリン・天使の詩」「パリ、テキサス」など数々の名作を送り出してきたドイツの巨匠、ビム・ベンダース監督が、東京の心象風景を美しく味わい深く表現している。
    カンヌ国際映画祭で役所広司が男優賞を獲得。 世界的な実力俳優として認知された。 表情、身ぶり、僅かなセリフで人生観を伝える。
    ユニクロのオーナー社長の息子・柳井康治氏がプロデューサーを務めた。
    東京都渋谷区内に斬新な公共トイレを17カ所設置するという日本財団のプロジェクトの一環としてつくられた。 当初は短編映画として企画され、 親日家として知られるベンダース監督にオファーしたところ、快諾。 「どうせなら長編で」という話になり、 ベンダース氏と広告作家・高崎卓馬氏(電通)が共同で脚本を書いた。 ベンダーズ監督が敬愛してやまないで巨匠・小津安二郎氏へのオマージュに満ちている。
    監督:ビム・ベンダース
    プロデューサー:ビム・ベンダース、柳井康治、高崎卓馬(電通)ほか
    主演:役所広司
    助演:石川さゆり、三浦友和、柄本時生(えもと・ときお)ほか
    言語:日本語
    製作国:日本、ドイツ
    配給:ビターズ・エンド
    米国配給:ネオン
    長さ:2時間4分
    ■評点:ロッテン96%、IMDb7.9
    【前哨戦での受賞】
    ・カンヌ国際映画祭 男優賞(役所広司)
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <役所広司のカンヌ受賞スピーチ▼>


    <挿入歌「パーフェクト・デイ」~歌手ルー・リード▼>


    <挿入歌「朝日のあたる家」~byアニマルズ▼>


    <挿入歌「ドック・オブ・ベイ」~歌手オーティス・レディング▼>



  • 「雪山の絆(きずな)」
     国:スペイン
    雪山の絆(きずな)
    【配信:ネトフリ
    1972年、南米アンデス山中でウルグアイの学生ラグビーチームら45人を乗せた飛行機が消息を絶った。生存者の確認もできないまま、やがて捜索は打ち切りに。雪と岩だらけの4000メートル近い高地。夜半には氷点下40度にもなる過酷な極限状況。飢えや雪崩で次々と仲間が死んでいく中で、残った者たちが生存を図る。実際に起きた事故を忠実に再現した感動作。1993年にハリウッドが映画化し、高い評価を得た「生きてこそ」から30年。スペイン人のJA・バヨナ監督が、南米の無名俳優たちを起用。140日間にわたる山脈でのロケ撮影を決行した。自然環境の過酷さを伝える美術やメイクなども含め、リアリズムの徹底ぶりが絶賛された。
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.8
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <劇伴▼>



  • 「イオ・カピターノ(私はキャプテン)」
     国:イタリア
    マッテオ・ガローネ監督
    アフリカから欧州を目指す移民の物語
    Io Capitano


  • 「The Teachers' Lounge」
     国:ドイツ
    The Teachers' Lounge


歴代の国際映画賞→

▲ 一覧の先頭へ
視覚効果賞 「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」

ゴジラ-1.0(マイナス・ワン)

(山崎貴、渋谷紀世子、高橋正紀、野島達司)

映画大国アメリカにおいて「商業」と「批評」の両面で大成功した。 アニメでは珍しくないが、実写の邦画としては歴史的な快挙だった。

怖いゴジラ

とりわけ高く評価されたのが、視覚効果(VFX)だった。 CG(コンピューター・グラフィクス)によって描いたゴジラは、重厚感がたっぷり。 迫ってくるときの凄み、怖さに加えて、元祖ゴジラを想起させる質感や形も称賛された。

銀座の破壊シーン

ゴジラが暴れる街もVFXで緻密に生成された。 見せ場となる東京・銀座の破壊シーンでは、無数の建物をCGで配置。 ビル一棟一棟について、壁や床の素材や構造をコンピューターに入力したうえで、「壊れて粉々になる」という物理現象を出力させたという。

海を歩くシーン

海を舞台とするシーンでも、視覚効果の技術が存分に活かされた。 物体や生き物が水の中を移動すると、白く泡立つ波「白波」(ホワイト・ウォーター)が発生する。 巨体のゴジラともなれば、白波のボリュームはとてつもないが、本作ではこれをCGで緻密に描き、実写の海と組み合わせた。 その結果、洋上で迫ってくるゴジラがリアルにに表現され、「海上アクション映画」としても一級になった。
3分の2にVFX
全体の3分の2程度(尺数ベース)の映像に、 VFX技術が何らかの形で使われたという。

格安の製作費&わずか35人

製作費は20億円程度で、ハリウッド大作と比べれば10分の1以下。 しかも、VFXスタッフはわずか35人。ハリウッドなら数百人も珍しくない。 技術レベルも米国に大きく劣ると思われていた。

マンネリ感を打破

それだけに、ゴジラ-1.0の仕上がりの良さはアメリカのファンを驚かせた。 最近の米国製SF大作に物足りなさやマンネリ感を覚えていた人たちも惜しみなく喝采を浴びせた。

工夫や緻密さ

最終的には、技術レベルうんぬんというよりは、創意工夫、職人魂(クラフトマンシップ)、チームワーク、過去の特撮ノウハウの蓄積などが組み合わさり、 目の肥えた米国民の心にも響いたのだろう。

VFXの名手・山崎貴監督

本作は、視覚効果を得意とする山崎貴監督の集大成となった。 山崎監督は日本を代表する「VFXの名手」として有名。 そもそもVFXの技術者出身だ。

過去作で実績

「ALWAYS 三丁目の夕日」で昭和30年代の街並みをVFXで丸ごと構築し、 その続編ではCG製ゴジラも登場させた。 「永遠の0」ではゼロ戦の戦闘シーンを再現。 「海賊とよばれた男」では、東京大空襲で町が火煙に包まれるシーンをCGで描くなど、 ハリウッドに追いつくべく果敢な挑戦を続けてきた。

遊園地のゴジラも

さらに、埼玉県の「西武園ゆうえんち」でゴジラをテーマとする乗り物アトラクションの映像を手掛けた。 本作では、過去の作品で蓄えたノウハウを全てぶつけたという。

長野出身のSF児童

山崎氏は1964年、長野県松本市生まれ。 小学生の時、児童向けのSF小説をほぼ毎日一冊のペースで愛読していた。

「未知との遭遇」「スターウォーズ」で覚醒

中学生(13歳)のときに映画館で「未知との遭遇」(スティーブン・スピルバーグ監督)と「スター・ウォーズ」(ジョージ・ルーカス監督)を鑑賞し、 革新的なSF技術に感動。特撮技術者を志すようになる。 8ミリカメラを持っている友達を引き込み、受験勉強そっちのけで短編のSF作品を撮ったという。 高校でも映画研究会で映像作品づくりに没頭した。

専門学校でCGに熱

高校を出た後、東京の「阿佐ケ谷(あさがや)美術専門学校」に入り、映像技術を学ぶ。当時出回り始めていたCG(コンピューター・グラフィックス)にも熱中した。

「白組」へ就職

学校で募集がかかった映像制作会社「白組」のアルバイトに従事する。 白組は、映像作家・島村達雄氏が設立した新興企業。山崎氏はCM撮影で使うミニチュア作りを手伝った。 その仕事ぶりと潜在力が島崎氏に認められ、卒業後の1985年、白組に入社を果たす。

初の監督作が成功

白組では、CMなどの視覚効果を担当した。24歳で伊丹十三監督の映画「マルサの女2」(1988年)の特撮場面を任された。 社内で映画のアイデアが募集されると、並々ならぬ熱意と行動力で、企画書を作成。 この提案が通り、SF活劇「ジュブナイル」(2000年)を撮った。 CGを駆使した監督デビュー作は、戦闘シーンの迫力などが話題となり、興行収入12億円を稼いだ。

恩師・阿部秀司との出会い

この「ジュブナイル」の企画書を気に入り、 映画化へと導いたのは、プロデューサーの阿部秀司氏だった。 広告代理店の社員を脱サラし、1986年に制作会社「ロボット」を設立。 映画の自主制作に乗り出していた阿部氏は、若き山崎氏の才能と白組のVFX技術をいち早く認め、ジュブナイルに新人監督作として異例の総製作費4億5000万円を付けた。

受賞スピーチで追悼

その後、山崎監督と阿部プロデューサーのコンビは、 「ALWAYS 三丁目の夕日」などの超ヒット作を次々と生み、 その盟友関係は、「ゴジラ-1.0」まで続いた。 阿部氏は前年12月に惜しくも死去(享年74歳)。 山崎氏のオスカー受賞スピーチは、阿部氏への追悼で締めくくられた。

白組の一流人材が結集

ゴジラ-1.0の制作には、山崎氏が今でも所属する白組のVFXスペシャリストが集結した。 いつも通り山崎監督が自ら視覚効果を監修。 長年にわたり山崎作品の視覚効果を支えてきた渋谷紀世子氏が、 全体のまとめ役となるVFXディレクターを務めた。

4人が代表して受賞

オスカーの視覚効果賞では、受賞対象の個人の上限が4人。 山崎監督(59歳)と渋谷ディレクター(53歳)以外の2枠はスタッフ全員による社内投票で選出したという。 その結果、ベテランCG技術者の高橋正紀氏(55歳)と、海のシーンで天才的な才能を発揮した若手のホープ・野島達司氏(25歳)が選ばれた。

米国で邦画史上2位

ゴジラ-1.0は2023年12月1日、日本の実写映画としては異例の規模で全米公開され、初週末の興行収入ランキングは3位。 最終的な北米興収は5600万ドルを突破する大ヒットとなった。邦画として「ポケモン」(1998年)に次ぐ史上2位を記録した(エクシブ投資顧問→)。

実写として快挙

これまでアメリカ市場における邦画の商業的な成功は、 ほぼアニメに限られていたが、 実写でのメジャーヒットを出したことは、日本の映画産業にとって実に意義深い。 また、米国での配給を、現地企業に頼らず東宝が自ら行ったことも画期的だった。 (参考:河端哲朗氏)

家族愛のテーマ設定も成功

なお、本作ではテーマを「家族愛」に据えたことも、 米国で成功した理由の一つだと考えられている。 日本では人間ドラマの部分について賛否が分かれたが、 アメリカでは肯定派が圧倒的な多数を占めた。

米国の賞レースで台風の目

米ロッテン・トマトの集計では、批評家と観客の支持率がいずれも「98%」という驚異的な高さ記録。 賞レースで台風の目になり、全米の各都市や州ごとの評論家の賞で視覚効果賞を次々とさらった。

SF映画賞も

さらに、ラスベガス批評家賞では「SF/ホラー映画賞」「国際映画賞」の2冠を達成するなど、技術部門にとどまらない評価の広がりを見せた。

現地で人気者に

ゴジラのミニチュアを手にオスカー・キャンペーンを走り回った山崎監督は、そのオタク的な愛嬌の良さもあって、 賞レースにおける人気者の一人となった。

キューブリック以来

監督が自らオスカー視覚効果部門での受賞を果たした事例は、 過去に1969年のスタンリー・キューブリック(2001年宇宙の旅)のみで、今回で2例目となった。

【前哨戦での受賞】

・ラスベガス批評家賞 SF/ホラー映画賞、国際映画賞【2冠】
・シカゴ批評家賞 視覚効果賞
・フロリダ批評家賞 視覚効果賞
・ユタ批評家賞 視覚効果賞
・ジョージア批評家賞 国際映画賞
・ハワイ批評家賞 SF作品賞
・ポートランド批評家賞 SF作品賞
・カンザスシティ批評家賞 SFホラー賞

初代ゴジラ

「ゴジラ-1.0」は、初代「ゴジラ」の誕生から70周年の企画として製作された。 第1作目のゴジラは1954年(昭和29年)に公開。水爆実験の影響で誕生した巨大恐竜が人間を襲うというコンセプトだった。 ビキニ核実験で死の灰を浴びた「第五福竜丸事件」に触発された。ゴリラとクジラの合いの子として「ゴジラ」と名付けられた。

「特撮の父」円谷英二

製作費は当時の映画5本分に当たる1億円がかけられた。後に「特撮の父」と呼ばれるようになる円谷英二が特撮監督を担当。着ぐるみの中に人間が入るという方式を開発した。 着ぐるみがミニチュアの街を壊し、それをカメラで撮影。リアルな動きや破壊シーンが世界を驚かせた。
初代ゴジラは国内でたちまち1.5億円を稼ぐ大ヒットとなり、戦後日本の子供たちを熱狂させた。

米国でも人気沸騰

これにハリウッドが目をつけた。人気俳優レイモンド・バー扮する新聞記者の部分を撮り足して再編集され、「怪獣王ゴジラ」(1956年)として公開された。 米国の一流劇場でのロードショー公開は日本映画として初めてだった。しかも見事に大ヒットを記録。以後、東宝特撮映画のほとんどはアメリカで上映されることになった。

「Gファン」

1962年には、シリーズ3作目「キングコング対ゴジラ」が公開される。アメリカ映画が生んだ大怪獣の元祖キングコングと、雪氷の奥で目覚めて再び巨体を現したゴジラが対決。話題を呼んだ。
いつしか米国では「Gファン」という怪獣映画愛好グループが発足。定期的に大会開催されるようになった。

ハリウッドに影響を与える

ハリウッドの視覚効果の専門家の中には、ゴジラやモスラなどの日本の怪獣映画を見ながら育った人も多い。とくにオスカーの投票権が与えられるようなベテラン技術者は、大きな影響を受けている。

VFX技術者たち

例えば「スター・ウォーズ ジェダイの帰還」(1983年)のロボットと「ジュラシック・パーク」(1993年)の恐竜づくりで2度の視覚効果賞に輝いたフィル・ティペット氏などが、ゴジラ好きとして有名だ。 「シェイプ・オブ・ウォーター」で作品賞などを獲ったギレルモ・デル・トロ監督も、日本製怪獣のファンを公言している。

【評価】
ロッテン・トマト 98%
最新→
IMDB 8.3
最新→
メタクリティック 81%
最新→

【興行収入】
北米:5600万ドル
世界:1.1億ドル(最新→

監督・脚本:山崎貴
主演:神木隆之介
助演:浜辺美波、安藤サクラほか
VFX制作会社:白組
VFXディレクター:渋谷紀世子
言語:日本語
製作国:日本
配給:東宝

動画集を開く▼ <監督によるVFX説明▼>

<受賞後のテレビ出演▼>

<受賞後の帰国会見(ノーカット)▼>

<ノミネート発表時の監督らの歓喜▼>

<野島達司の天才ぶり▼>

<監督インタビュー▼>

<渋谷紀世子・VFXディレクターのインタビュー▼>

<サントラ▼>

<制作の舞台裏▼>

<予告編▼>
  • 「ザ・クリエイター/創造者」
    ザ・クリエイター/創造者
    【前哨戦での受賞】
    ・視覚効果協会賞(実写部門)
    ・セントルイス批評家賞 視覚効果賞


  • 「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ボリューム3」
    ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:ボリューム3


  • 「ナポレオン」
    ナポレオン


  • 「ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1」
    ミッション・インポッシブル/デッドレコニング1


歴代の視覚効果賞→

▲ 一覧の先頭へ

 ※2024年の全部門を見る→

2023年(第95回)

( 24年↑ | 23年 | 22年↓

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」が作品賞を含む7冠を獲得。このうち6つは主要部門(作品・監督・俳優・脚本系)だった。主要部門での6冠はオスカー史上初めて。

【主要8部門】作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞脚本賞脚色賞【ジャンル別部門】アニメ賞国際映画賞ドキュ賞
※他の部門はこちら→


2023年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(略称:エブエブ)」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

(日本公開:2023年3月3日)

監督:ダニエルズ

史上初の主要6冠

作品賞に加えて、監督、主演女優、助演男優、助演女優、脚本、編集賞の計7冠。 このうち編集賞を除く6部門が主要部門だった。 「羊たちの沈黙」「愛と追憶の日々」「クレイマー・クレイマー」「カッコーの巣の上で」「或る夜の出来事」「地上(ここ)より永遠(とわ)に」などの最多記録(主要5冠)を抜き、史上初の主要部門6冠に輝いた。

ダントツの独創性と斬新さに熱烈な支持が集まった。インデペンデント映画ならではの発想力の勝利だった。

中華系移民のSF家族劇

米国の中華系移民の家族が突然、人類を救う戦いに巻き込まれるSF活劇。母娘愛・夫婦愛を軸とする感動系の家族物語でもある。ミシェル・ヨー主演。

若手オタクとA24

新進気鋭の2人組監督ダニエルズの大出世作となった。ハリウッドで最も勢いのある新興映画会社「A24」にとって過去最大の興行収入を記録。米国の映画ファンの間で話題沸騰となった。

若手オタクとA24

オスカー前哨戦では、評論家系の賞で勝ち続けた後、映画業界の組合別の賞で圧勝した(PGA、DGA、SAG、WGAを完全制覇)。

アジア系が大活躍

主要キャストの大半はアジア系。さらに監督の1人は台湾系。メインのプロデューサーも台湾系。衣装デザイナーは日系人。アジア系の人材が大活躍した。

奇抜な異色作のわりにアンチが少ないのも特徴。米国を支えてきた移民たちへの賛歌というメッセージ性もある。

歴代トップ級の奇想天外ぶり

メジャー作品にはない手作り感とB級風味も持ち味となった。 オスカー作品賞史上、奇想天外ぶりにおいてトップレベルと受け止められている。少なくとも「お馬鹿映画ぶり」が歴代マックスであることは間違いない。

8年ぶり7冠

オスカー7冠達成は、2014年の「ゼロ・グラビティ」以来9年ぶり。 作品賞を含めた7冠以上となると、2009年に8冠に輝いた「スラムドッグ・ミリオネア」以来だった。一つの作品による独占が難しくなっていた近年のアカデミー賞において、久しぶりの完勝となった。

俳優部門3冠は史上3作目

また、俳優部門での3冠は46年ぶり。1977年「ネットワーク」、1953年「欲望という名の電車」に次いで史上3作目の快挙だった。

「タイタニック」との勝ちぶりの違い

アカデミー賞の最多受賞の記録は、「ベン・ハー」「タイタニック」「ロード・オブ・ザ・リング3/王の帰還」の13部門だが、これらの作品は技術部門で大量に稼いだ結果である。例えばタイタニックとロード・オブ・ザ・リング3は俳優部門は一つも獲っていない。

一方、エブエブは技術部門の受賞は編集賞だけで、残りは「above the line」と呼ばれる主要8部門での勝利。主演男優と脚色はそもそも選考対象ではなかったことを考えると、主要部門は全て制覇したといえる。
続きを開く▼

1年前の劇場公開は「羊たちの沈黙」以来

本作が米国で劇場公開されたのは2022年3月だった。 オスカー授賞式の1年も前だ。 通常、公開から時間が経つとオスカーでは不利だが、本作に限っては勢いが衰えなかった。むしろ「見返すほど面白さが増す」との声が多く聞かれた。 公開時期の早さは、1991年2月に全米公開されて翌年の作品賞を獲った「羊たちの沈黙」以来の記録。

サークル的なノリに共感

賞レースでは、本作で20余年ぶりの奇跡的なカムバックを果たした元子役キー・ホイ・クァンが、感動的なスピーチで往年の映画ファンを泣かせた。 ミシェル・ヨーやジェイミー・リー・カーティスらお馴染みのスターたちも作品の魅力を訴え、ムードを盛り上げた。

各授賞式やイベントでは、キャストやスタッフが若いオタク系監督を囲み、和気あいあいと祝福しあうサークル活動的なノリが共感を呼んだ。その輪の中には、祖父役を演じた94歳の超ベテラン中国系俳優ジェームズ・ホンの姿もあった。 包摂的(インクルーシブ)で楽しそうな光景が、映画自体のメッセージとも重なり合った。

逆風が吹かず

賞レース終盤で「断トツの最有力候補」としてのポジションを固めたが、よくありがちなバッシングは起きなかった。 前哨戦で連勝しながら最終局面でアンチが増え、作品賞を逃した前年の「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(Netflix)とは対照的だった。 ポジティブな人生賛歌という作風が、有利に働いたかも知れない。

「A24」の圧勝

インデペンデント系映画会社「A24」にとって、2017年の「ムーンライト」に続いて2度目の作品賞となった。 同じく本年度にA24が配給した「ザ・ホエール」は主演男優賞とメイク&ヘア賞を獲得した。 大手スタジオやNetflixを突き放し、会社別の受賞数で圧倒的なトップだった。

A24は2012年創業。 映画投資会社出身のダニエル・カッツら3人が設立した。本社ニューヨーク。 「エブエブ」は設立10周年の作品であり、出資と配給を担当した。

A24はアート性と娯楽性を兼ね備えた作品づくりに定評がある。 「ムーンライト」以外の過去の作品賞ノミネートは、2016年の「ルーム」、2021年の「ミナリ」。


■エブエブ受賞結果
受賞 作品賞
監督賞
主演女優賞
 ミシェル・ヨー
助演男優賞
 キー・ホイ・クァン
助演女優賞
 ジェイミー・リー・カーティス
脚本賞
編集賞
ノミネート 助演女優賞
 ステファニー・シュー
歌曲賞
作曲賞
衣装デザイン賞

配給:A24

プロデューサー:ジョナサン・ウォン、ルッソ兄弟、ダニエルズほか

【配信:U-NEXT

■評点:ロッテン95%、IMDb8.0

■米興収:7200万ドル

■製作費:1600万ドル

【前哨戦での受賞】
・PGA(米プロデューサー組合賞)
・DGA(米監督組合賞)
・SAG(俳優組合)アンサンブル賞
・クリティック・チョイス賞
その他▼ ・ロサンゼルス批評家賞
・ワシントン批評家賞
・フロリダ批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・ゴッサム賞
・独立系精神賞
・WGA(米脚本家組合賞)


<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <主題歌「This Is A Life」▼>


<茶一郎の解説▼>


<予告編▼>

  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック
    監督:ジョセフ・コジンスキー
    ※驚愕の完成度の高さを誇る骨太アクション系ドラマ。1986年の青春映画「トップガン」の続編。
    商業的にも評論的にも世界で最高の成功を収めた。幅広い世代を劇場に戻した功績は大きい。
    続きを開く▼

    中年男の成熟と苦悩

    実に36年ぶりの続編となった今作では、若者向けの青春ドラマだった1作目からストーリー性を大きく発展させた。
    中年になったトム・クルーズ演じる主人公の人間的な成熟ぶりや苦悩、若い世代との緊張関係や絆を丁寧に描く。アート系を好む玄人筋からも大絶賛を浴びた。脚色賞でのノミネート獲得は、一級ドラマとしても認知された証拠。

    劇場復活の立役者

    コロナ禍で米国の映画館は壊滅的な打撃を受けた。2021年暮れから「スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム」で若者が劇場に殺到したが、中高年層は依然として足取りが重かった。
    多くの大作がコロナ終結に待ちきれずに「ネット配信直行」へと舵を切るなか、本作は映画館での上映にこだわり続け、何度も公開延期を重ねた。

    興行収入は歴代5位

    いざ公開されると、予想をはるかに上回る大ヒットとなり、米国内の興行収入はぶっち切りの年間1位。歴代でも5位となった。
    迫力満点の戦闘機の空中戦シーンは、IMAX(アイマックス)などの特殊スクリーンへの呼び水となった。
    ノミネート数:6個
    受賞数:1個
    受賞結果の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 音響賞
    ノミネート 作品賞
    脚色賞
    歌曲賞
     レディー・ガガ
    視覚効果賞
    編集賞
    配給:パラマウント
    プロデューサー:ジェリー・ブラッカイマー、トム・クルーズほか
    ■評点:ロッテン96%、IMDb8.3
    ■米興収:7億1800万ドル
    ■製作費:1億7000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・米国映画評議会議(NBR)作品賞
    【配信:アマゾン
    動画集を開く▼ <挿入歌「Hold My Hand」▼>


    <テーマ曲▼>


    <トム・クルーズのPGA名誉賞スピーチ▼>


    <予告編▼>


    <初代トップガンの挿入歌▼>



  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし
    国:ドイツ
    監督:エドワード・ベルガー
    ※ドイツ語の戦争映画。Netflixの本年度イチオシ。1931年にアカデミー作品賞を受賞した同名のハリウッド映画を、原作小説の母国であるドイツの映画人たちがリメイク。
    続き▼ 第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。
    ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。
    ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。 英国アカデミー賞では、母国の有力作「イニシェリン島の精霊」を差しおいて作品賞など最多7冠に輝いた。
    ノミネート数:9個
    受賞数:4個
    受賞部門の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 国際映画賞
    撮影賞
    美術賞
    作曲賞
    ノミネート 作品賞
    脚色賞
    視覚効果賞
    音響賞
    メイク&ヘア賞
    配給:ネットフリックス
    ■評点:ロッテン90%、IMDb7.8
    ■製作費:2000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞 作品賞など7冠
    【配信:ネトフリ


  • 「イニシェリン島の精霊」
    イニシェリン島の精霊
    (日本公開:2023年1月27日)
    監督:マーティン・マクドナー
    ※田舎の島を舞台にした人間関係劇。男2人の友情の変化を描く。
    続き▼ 見る側に思索と強い余韻をもたらす大人のドラマとして称賛された。
    オスカー作品賞的な基準からするとやや陰鬱で、分かりやすいインパクトに欠けたか。ロッテントマト集計の批評家支持率は96%でトップガンと肩を並べたが、一般観客の支持率はそれほど高くなかった。
    オスカーに強い配給会社サーチライトの本年度イチオシ。
    「スリー・ビルホード」(2017年)で作品賞の最有力候補の一角を占めながら「シェイプ・オブ・ウォーター」に敗れたマーティン・マクドナー監督の5年ぶり新作。
    ノミネート数:9個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演男優賞
     コリン・ファレル
    助演男優賞
     ブレンダン・グリーソン
    助演男優賞
     バリー・キオガン
    助演女優賞
     ケリー・コンドン
    脚本賞
    作曲賞
    編集賞
    配給:サーチライト
    ■評点:ロッテン96%、IMDb7.8
    ■米興収:1000万ドル
    ■製作費:2000万ドル
    【前哨戦での受賞】▼ ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    ・シカゴ批評家賞
    ・フェニックス批評家賞


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    (日本公開:2023年3月3日)
    監督:スティーブン・スピルバーグ
    ※巨匠・スピルバーグ監督の自伝的ドラマ。 映画愛に目覚めた少年が、8ミリカメラを手に異才を発揮。映像の魔力や危うさに気づく。
    続き▼ 両親との絆や複雑な家庭内事情が赤裸々に描かれる。成功物語や温かい美談に仕立てるのでなく、過去と向き合いながら映画の本質に迫る視点が称賛された。
    前哨戦の第一弾となるトロント国際映画祭で勝利したが、その後勢いが弱まった。興行成績は期待外れ。 ただ、オスカーで票を握る映画人からは幅広く共感を得やすいと予想された。
    ノミネート数:7個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    主演女優賞
     ミシェル・ウィリアムズ
    助演男優賞
     ジャド・ハーシュ
    脚本賞
    作曲賞
    美術賞
    配給:ユニバーサル
    プロデューサー:スピルバーグほか
    ■評点:ロッテン92%、IMDb7.7
    ■米興収:1700万ドル
    ■製作費:4000万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・トロント国際映画祭 観客賞


  • 「エルヴィス」
    エルヴィス
    監督:バズ・ラーマン
    ※米国史上最強のロック歌手エルビス・プレスリーの伝説の裏側を映画化。監督は「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン。 可憐でゴージャスな演出とダイナミックな語り口が高評価を得た。
    続き▼ エルビスを食い物にしたと言われるマネージャー(トム・ハンクス)が、過去を振り返る形で綴る壮絶なドラマ。主演オースティン・バトラーがエルビスを見事に熱演・熱唱し、大ブレイクした。
    日本ではあまり売れなかったが、米国ではロングランの大ヒットを記録。
    ノミネート数:8個
    受賞数:0個
    候補部門の一覧▼
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
     オースティン・バトラー
    編集賞
    撮影賞
    美術賞
    音響賞
    衣装デザイン賞
    メイク&ヘア賞
    配給:ワーナー
    ■評点:ロッテン77%、IMDb7.4
    ■米興収:1億5100万ドル
    ■製作費:8500万ドル
    【配信:アマゾン


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)
    (日本公開:2023年5月12日)
    監督:トッド・フィールド
    ノミネート数:6個
    受賞数:0個
    候補部門▼ ・作品賞
    ・監督賞
    ・脚本賞
    ・主演女優賞
    ・撮影賞
    ・編集賞
    ※作家性では本年度トップ級との評価を得た。サイコスリラー的な要素を兼ねた心理サスペンス。ケイト・ブランシェットが演じる世界トップ級のオーケストラ指揮者(架空の人物)の横暴ぶりと、その顛末を描く。
    続き▼ 秀作「リトル・チルドレン」(2006年)のトッド・フィールド監督の16年ぶりの新作。緻密な構成の下、予測し難い物語進行や奥行きのある人物設定により、観客を次々と驚きや発見へと導く。強烈な印象を残すシーンの連続で、完成度の高さはピカイチ。
    主人公の深層心理や行動原理を分析する「人物研究(キャラクター・スタディ)」として高評価を得た。また、クラシック音楽の難解で特異な世界を詳細に描写。パワハラ問題やキャンセル・カルチャーなどの現代的なテーマも巧みにとらえた。
    何といっても、ケイト・ブランシェットの演技が壮絶。孤高で残酷で才能に満ち溢れた人物を、異次元レベルの表現力で造形した。
    賞レースでは、ベネチア国際映画祭から参戦。好評だったが、最高賞(金獅子賞)や審査員賞などを逃し、脚本賞も「イニシェリン島の精霊」にもっていかれた。女優賞(ケイト・ブランシェット)は獲った。
    その後、権威の高い「ニューヨーク批評家賞」で作品賞に輝いた。「ロサンゼルス批評家賞」では、「エブリシング・エブリウェア」と同点で作品賞を獲った。 前年の日本映画「ドライブ・マイ・カー」のように、芸術性が重視される主要要で好成績を収めた。
    オスカーではエブエブ旋風に押され、無冠に終わった。
    配給:フォーカス
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.5
    ■米興収:677万ドル
    ■製作費:1500万ドル
    【前哨戦での受賞】▼ ・全米映画批評家協会賞(NSFC)作品賞
    ・ニューヨーク批評家賞 作品賞
    ・ロサンゼルス批評家賞 作品賞(エブエブと同点)
    動画集を開く▼ <予告編▼>


    <町山智浩の解説▼>



  • 「アバター:ウェイ・オブ・ウォーター」
    アバター:ウェイ・オブ・ウォーター
    監督:ジェームズ・キャメロン
    ※圧倒的な映像美が魅力の超々大作。映画史上最も売れた前作「アバター」(2009年)の世界観と特撮技術を発展させ、水の中の神秘的な立体映像を表現するなど、再び劇場体験の新境地を拓いた。
    続き▼ ハリウッド映画を次々と上映禁止にしていた中国でも劇場公開にこぎつけたことで、世界興行収入ではトップガン マーヴェリックを抜いて本年度1位になった。
    初代アバターは2010年のオスカーで作品賞、監督賞を含む9部門にノミネート。このうち視覚効果、撮影、美術の3部門を受賞した。今作「2」は作品賞のほか、視覚効果、音響、美術でノミネートされたが、監督賞での候補入りを逃した。
    ノミネート数:4個
    受賞数:1個
    受賞部門の一覧▼
    <受賞結果>
    受賞 視覚効果賞
    ノミネート 作品賞
    音響賞
    美術賞
    配給:20世紀
    ■評点:ロッテン77%、IMDb7.9
    ■米興収:6億6000万ドル
    ■製作費:4億ドル


  • 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」
    ウーマン・トーキング 私たちの選択
    (日本公開:2023年6月2日
    監督:サラ・ポーリー
    ※「アウェイ・フロム・ハー君を想う」のサラ・ポーリー監督(女優出身)による会話劇。女性パワーの結集がテーマ。脚色賞を受賞。実力派の俳優陣によるアンサンブル演技も称賛された。
    続き▼ 閉鎖的なキリスト教系団体が営む共同体の村で、女性信者たちが次々とレイプ被害を受けていた。 犯人たちが逮捕された後、村の女性たちには3つの選択肢が残された。 男たちへの反抗か、赦しを与えるのか、それとも――。

    原作小説は、実際に起きた事件から着想を得た。 2000年代に南米ボリビアで起きた連続レイプ事件。 「メノナイト」という古い宗派が運営する自給自足の村で、少なくとも151人が強姦された。被害者の年齢は3歳~65歳。

    加害者は同じ集落に住む男たち9人以上。 動物要の麻酔を使って女性の意識を失わさせるという極めて悪質な犯行だった。 7人が懲役25年の有罪判決を受けた。

    大女優であり、社会派の有力プロデューサーでもあるフランシス・マクドーマンドが、原作小説の映画化権を獲得した。 そして、16歳の時に自ら性的暴行を受けたことがある女優出身のサラ・ポーリーが脚本を執筆。監督も引き受けた。

    女性8人が狭い納屋に集まって2日間にわたって会話する、という地味な設定。 作風も静かだが、力強さがあふれる一作として評論家や映画ファンから喝采を浴びた。 巨額予算が投入された「バビロン」などメジャースタジオの豪華エンタメ作品を抑え、堂々の作品賞ノミネート入りを果たした。
    ノミネート数:2個
    受賞数:1個(脚色賞)
    配給:UA(アマゾン系)
    ■評点:ロッテン91%、IMDb7.1
    ■米興収:545万ドル


  • 「逆転のトライアングル」
    逆転のトライアングル
    (日本公開:2023年2月23日)
    国:スウェーデン、独、仏、英
    監督:リューベン・オストルンド
    ※皮肉に満ちた欧州映画。ブルジョワ風刺劇。
    前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」でオスカー国際映画賞(2018年)を受賞したスウェーデン人のオストルンド監督による初の英語作品。従来作より娯楽色を強めた。
    カンヌ国際映画祭で最高賞(パルムドール)を獲得。オストルンド監督にとって2作品連続のパルムドールとなった。その後、米国の賞レースでも目立った受賞はなかったが、オスカーで作品賞、監督賞、脚本賞のノミネートを果たし、サプライズとなった。
    あらすじ(ネタバレ有)を開く▼ セレブが乗る豪華客船がクルーズ中に無人島に難破する。乗客・乗員によるサバイバル・ゲームがスタート。船内で掃除係だった中年女性が、食糧調達などのスキルを活かして、集団内秩序のトップに立つという逆転現象が起こる。
    ノミネート数:3個
    受賞数:0個
    候補部門▼ ・作品賞
    ・監督賞
    ・脚本賞
    ■評点:ロッテン72%、IMDb7.5
    ■米興収:450万ドル
    ■製作費:1600万ドル
    【前哨戦での受賞】
    ・カンヌ国際映画祭 作品賞(パルムドール)


歴代の作品賞→

▲ 一覧の先頭へ
監督賞 ダニエルズ(ダニエル・クワン&ダニエル・シャイナート)

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ダニエルズ

30代半ばの精鋭コンビ。本作がコンビとして長編2作目。

多次元宇宙(マルチバース)、カンフーアクション、家族劇、哲学論など数々の要素がてんこ盛りになった重層的かつ壮大なストーリーを、一本筋の通った娯楽作に仕上げた。

古今東西の様々な映画文化を取り入れつつ、唯一無二の映像体験を実現した手腕は見事。

ベテラン俳優の起用で成功

ベテラン俳優3人(ミシェル・ヨー、キー・ホイ・クァン、ジェイミー・リー・カーティス)を起用し、そろって初のオスカーへと導いた功績も大きい。その千里眼とハイセンスな演出力については、映画界の重鎮たちも舌を巻いた。

台湾系&ゴジラファン

2人組のうち、ダニエル・クワンは中華系アメリカ人で米東部マサチューセッツ州出身。本作の登場人物(娘役)と同じようにアジア系移民2世(母親が台湾出身)。フェイバリット映画は「エターナル・サンシャイン」(2004年)。

一方、 ダニエル・シャイナートは南部アラバマ州の出身。中流家庭で育った。子供のころゴジラの映画に熱中。兄(現在ゲーム・デザイナー)が仲間と自主制作した映像作品に触発され、映画監督への道を志したという。

音楽ビデオで成功し、映画へ

2人はボストンの大学で映画を学んでいるときに出会った。卒業後、監督デュオとして音楽アーティストのビデオを手掛け、グラミー賞に2度ノミネートされた。
続き▼ その後、映画に参入し、「スイス・アーミー・マン」(2016年)でデビュー。サンダンス映画祭の監督賞などの賞に輝き、期待の新人として注目を浴びた。

映画的知性の高さ

若手とはいえ、かつてサム・メンデス監督がデビュー作「アメリカン・ビューティー」で作品賞と監督賞をダブル受賞した年齢(35歳)と変わらない。むしろ、若者らしからぬ地に足のついた言動と映画的知性の高さは、愛嬌のあるオタクキャラと相まって、広範囲な支持をもたらした。

【前哨戦での受賞(監督部門)】
・クリティック・チョイス賞
・DGA(米監督組合賞)
その他▼ ・アトランタ批評家賞
・ワシントン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


  • スティーブン・スピルバーグ
    「フェイブルマンズ」
    スティーブン・スピルバーグ
    ※監督歴50年。巨匠の中の巨匠であり、現代最強の映画人。今作では、自らの少年期を題材に、「映画愛」「親子関係」という原点に立ち返った。監督賞ノミネートは今回で9度目(2年連続)。このうち、1994年「シンドラーのリスト」、1999年「プライベート・ライアン」で受賞を果たしている。76歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • トッド・フィールド
    「TAR(ター)」
    トッド・フィールド
    打率の高い寡作の監督(兼俳優)。16年ぶりに撮った長編3作目で、3本連続でのノミネートを果たした。
    続き▼ 長編1作目「イン・ザ・ベッドルーム」は作品賞と脚色賞の候補に。2作目「リトル・チルドレン」も脚色賞候補に。初めてオリジナル脚本で臨んだ今作では作品賞、監督賞、脚本賞の3部門ノミネートとなった。
    【前哨戦での受賞】
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・ボストン批評家賞


  • マーティン・マクドナー
    「イニシェリン島の精霊」
    マーティン・マクドナー
    ※自らのルーツであるアイルランドを舞台に、ユニークだが普遍性の高い会話劇を創造した。 俳優たちの熟された演技や撮影場所の風景・空気感の魅力を最大限に引き出した手腕も評価された。
    続き▼ 英国の演劇作家出身。映画界に入って初期の短編で、オスカー(短編実写映画賞、2006年)を受賞した経歴がある。長編1作目「ヒットマンズ・レクイエム」では脚本賞ノミネート。前作「スリー・ビルホード」では作品賞と脚本賞の候補に。長編4作目となる今作では作品、監督、脚本での3部門ノミネートを果たした。52歳。


  • リューベン・オストルンド
    「逆転のトライアングル」
    リューベン・オストルンド
    ※2作連続でのカンヌ最高賞(パルムドール)をひっさげてオスカーレースに参戦し、作品賞と監督賞の2部門ノミネートを果たした。
    続き▼ 監督賞では近年、ノミネート5枠のうちの少なくとも1つに非英語圏の監督が入ることが多いが、前年の濱口竜介監督に続いたのは、「西部戦線異状なし」のエドワード・ベルガー監督(ドイツ)や「別れる決心」のパク・チャヌク監督(監督)ではなく、スウェーデン人のオストルンド監督だった。48歳。前作「ザ・スクエア 思いやりの聖域」ではオスカー国際映画賞に輝いている。


歴代の監督賞→

▲ 一覧の先頭へ
主演男優賞 ブレンダン・フレイザー

「ザ・ホエール」

ブレンダン・フレイザー

過食で体重270キロになった中年教師を演じた。54歳で演技派としての見事なカムバック。

かつて冒険アクション大作「ハムナプトラ」3部作(1999年~2008年)の主人公として大成功を収めた。オスカー作品賞「クラッシュ」でも渋い脇役を演じた。 しかし、その後、うつ病や離婚などが重なり活動が停滞。ハリウッド映画界の第一線から遠ざかった。

2021年に出演した「クライム・ゲーム」(スティーヴン・ソダバーグ監督)は批評家に好評だったが、話題にならなかった。

状況が激変したのは、2022年9月のベネチア国際映画祭。本作「ザ・ホエール」が出品されると、鬱積した感情を抱える中年ならではの演技に称賛の声が集まった。 その後の賞レースでは、若手オースティン・バトラーらと一進一退の星取ゲームを展開した。
続き▼ フレイザーがかつて主催団体トップによるセクハラ問題を告発したゴールデングローブ賞では、バトラーに敗れた。しかし、重要度が高いクリティック・チョイス賞とSAGアワードでは勝利し、米国内での支持の厚さを示した。

迎えたオスカーでは、同じくカムバック劇が話題となった助演男優賞のキー・ホイ・クァンとともに、栄冠を手にした。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・クリティック・チョイス賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


  • オースティン・バトラー
    「エルヴィス」
    オースティン・バトラー
    ※史上最強のロック歌手エルヴィス・プレスリーになりきった。それまでの脇役中心のキャリアをふまえると大抜擢だったが、見事に期待にこたえた。とりわけライブシーンの身のこなしは圧巻。
    続き▼ 若年期エルヴィスの歌唱場面は、リップシンクでなく自ら唄ったという(後期は本物のエルヴィスとの混成)。
    音楽アーティストの自伝ものとしては、「ボヘミアン・ラプソディ」でフレディ・マーキュリーに扮したラミ・マレックに匹敵する高評価を得た。実在の著名人を再現する演技はオスカーで有利だが、芸歴の若さが響いたかも。31歳。
    ・英国アカデミー賞
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    【配信:アマゾン
    動画集を開く▼ <歌唱シーン「トラブル」▼>


    <歌唱シーン「If I Can Dream」▼>



  • コリン・ファレル
    「イニシェリン島の精霊」
    コリン・ファレル
    ※田舎に暮らす素朴なおじさんを演じた。親友に突然絶交された男の戸惑いと、感情の変化を巧みに表現した。かつての「やんちゃなプレイボーイ」の面影はすっかり消え、演技派への成熟ぶりを印象付けた。
    続き▼ 派手さはないが、物語に説得力をもたらす抜群の演技で、評論家が選ぶ前哨戦での勝率は断トツ1位だった。本年度は「ザ・バットマン」「13人の命」「アフター・ヤン」でも名演を見せ、トータルの活躍ぶりは抜群。46歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア映画祭
    ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
    その他▼ ・米国映画評議会議(NBR)
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ボストン批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ポール・メスカル
    「アフターサン」
    ポール・メスカル
    ※アイルランド出身の27歳。
    続き▼ 2021年の「ロスト・ドーター」で、脇役として長編映画に初出演した。2作目となる本作は、シャーロット・ウェルズ監督が賞レースの新人監督賞を総なめにして話題となり、初主演となったメスカルも「本年度最もブレイクした俳優」として注目された。
    ・トロント批評家賞


  • ビル・ナイ
    「生きる LIVING」
    ビル・ナイ
    ※巨匠・黒澤明監督「生きる」のリメイク。日本では配給会社の東宝が「アカデミー賞最有力!」と派手に宣伝し、当サイト選定の誇大広告賞の歴代トップに。
    ・ロサンゼルス批評家賞批評家賞


歴代の主演男優賞→

▲ 一覧の先頭へ
主演女優賞 ミシェル・ヨー

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ミシェル・ヨー

アジア人として史上初の主演女優賞の受賞となった。非白人としては、2002年のハリ・ベリーに続いて史上2人目。

総決算の多面キャラ

異色のインディーSFを大成功へと導いた立役者。
幾多もの異次元宇宙を転々とし、それぞれの世界での「別の自分」を表現した。庶民からセレブ女優、カンフー格闘家、料理人まで、その多面的なキャラ変容は、まさに長いキャリアの総決算。娘や夫への感情表現や、未知なる世界との遭遇で見せる戸惑いと覚醒反応も、本作の魅力を格段に高めた。

香港アクション界からハリウッドへ

1962年マレーシア生まれ。中華系。 1980年代から香港のアクション映画界で大活躍。「ポリス・ストーリー3」でジャッキー・チェンとの見事な格闘コンビを見せ、世界から注目を集めた。

1997年の「007 トゥモロー・ネバー・ダイ」でボンドガール役を務め、ハリウッドに進出。

「グリーン・デスティニー」で英国アカデミー賞候補に

台湾・米国などの合作「グリーン・デスティニー」(2001年オスカー作品賞候補)の大成功によって、アジア系を代表する名女優として認知され、英国アカデミー賞にもノミネートされた。

近年は、大ヒットコメディ「クレイジー・リッチ」(2018年)やマーベル映画を通じて若い世代にもお馴染み。

現場のリーダー役

本作では、破天荒な脚本のポテンシャルにいち早く気づき、エグゼクティブ・プロデューサーの一人に名をつらねた。
続き▼ 撮影現場では、アジアとハリウッドの映画界での豊富な経験を活かして若い監督に有益な助言を与えるなど、チームを引っ張ったという。

候補入りは2人目

アジア系の主演女優賞ノミネートは、1936年のマール・オベロンに続き史上2人目だった。
本選では当初、ケイト・ブランシェットのほうが有利と予想されていたが、「エブエブ」ブームの白熱化とともに支持が拡大。 前哨戦の天王山となるSAGアワードを制し、その勢いに乗って大一番をものにした。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・米国映画評議会議(NBR)
その他▼ ・ゴールデングローブ賞(コメディ部門)
・ボストン批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞

<受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <歴代の格闘シーン集▼>


<SAGの受賞スピーチ▼>

  • ケイト・ブランシェット
    「TAR(ター)」
    ケイト・ブランシェット
    ※過去に7度オスカーにノミネートされ2度受賞。今回の演技はキャリアベスト級と称賛されている。レズビアンの天才指揮者を演じた。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・英国アカデミー賞
    ・ベネチア映画祭 女優賞
    ・ゴールデングローブ賞(ドラマ部門)
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・アトランタ批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・フロリダ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ミシェル・ウィリアムズ
    「フェイブルマンズ」
    ミシェル・ウィリアムズ
    ※5度目のノミネート。スピルバーグ監督をモデルにした主人公の母親役を演じた。「助演」かと思われたが、「主演」枠で賞レースに参戦した。


  • アナ・デ・アルマス
    「ブロンド」
    アナ・デ・アルマス
    ※マリリン・モンローを題材にしたNetflix映画。作品自体は酷評されたが、演技は称賛された。キューバ出身。「ナイブズ・アウト1」で称賛され、007のボンドガールに。


  • アンドレア・ライズボロー
    「トゥ・レスリー(To Leslie)」
    アンドレア・ライズボロー
    ※アルコール中毒の母親を演じた。映画自体はほぼ無名だったが、作品を見た俳優仲間たちが自発的な口コミキャンペーンを展開。今年度のオスカーで全部門を通じて最もサプライズな候補入りとなった。イギリス人。41歳。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」の脇役などで知られる。


歴代の主演女優賞→

▲ 一覧の先頭へ
助演男優賞 キー・ホイ・クァン

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

キー・ホイ・クァン

「グーニーズ」「インディ・ジョーンズ2~魔宮の伝説」で世界的に有名になったアジア系子役が、20年ぶりに俳優業に復帰。ハリウッドに旋風を巻き起こした。

人情味とクールさのギャップ

気弱で頼りない中年男性から、地球を救う戦士、ダンディー伊達男などへと変貌する役柄。 コミカルな立ち振る舞い、キレのある格闘技アクション、心を打つ愛情表現により、観客の心をつかんだ。

ベトナム移民

ベトナム生まれの51歳。名前の正確な発音はキー・フイ・クァン。子役時代の芸名なジョナサン・キー。中華系。
4歳だった1975年、混乱期のベトナムからボートで逃れ、香港の難民キャンプに1年滞在。米国へ移住した。

配役がなく裏方に

10代前半でハリウッドスターに。しかし、アジア系向けの配役が少なかったこともあり、俳優の仕事に恵まれず、小さなオーディションにも落ちまくったという。
続き▼

技術を磨き続ける

それでも映画への情熱を捨てきれず、大学で映画学を専攻し、卒業後は裏方の仕事に従事した。カンフーなどの技術も磨き、スタント指導者や撮影現場の通訳、助監督として食いつないだ。 そんな元スターに、若き監督が目をつけ、うってつけの役をオファーした。

愛されキャラ

前哨戦で独走。一連の授賞式での感動的なスピーチは、世界の映画ファンを泣かせた。飾らずに喜怒哀楽を表わす「愛されキャラ」ぶりにも注目が集まり、本年度賞レースの好感度ナンバー1に。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード
・クリティック・チョイス賞
・NY批評家賞
その他▼ ・ゴールデングローブ賞
・ロサンゼルス批評家賞
・全米映画批評家協会賞(NSFC)
・ボストン批評家賞
・アトランタ批評家賞
・ワシントン批評家賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・ゴッサム賞

<受賞スピーチ▼>


<受賞後の会見▼>


動画集を開く▼ <格闘シーン▼>


<子役時代▼>


<ゴールデングローブ賞の受賞スピーチ▼>

  • バリー・キオガン
    「イニシェリン島の精霊」
    バリー・キオガン
    ・英国アカデミー賞


  • ブレンダン・グリーソン
    「イニシェリン島の精霊」
    ブレンダン・グリーソン
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • ジャド・ハーシュ
    「フェイブルマンズ」
    ジャド・ハーシュ
    ※主人公の少年に教訓を説く親戚役。短い出演時間ながらキーパーソンとして強烈な印象を残した。「普通の人々」以来42年ぶりノミネート。


  • ブライアン・タイリー・ヘンリー
    「その道の向こうに」
    ブライアン・タイリー・ヘンリー


歴代の助演男優賞→

▲ 一覧の先頭へ
助演女優賞 ジェイミー・リー・カーティス

「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

ジェイミー・リー・カーティス

税務署の職員をコミカルに演じた。主演ミシェル・ヨーのカウンター役として独特な存在感を発揮。笑いと泣きのシーンに厚みをもたせ、娯楽性を高めた。

ホラー映画の金字塔「ハロウィン」(1978年)で女子高生役として銀幕デビューして以来、ホラーやコメディで活躍を続けてきた。今回初のオスカーノミネートを果たした。

賞レースでは、エブエブ組のチアリーダーとして陣営を大いに盛り上げた。64歳。両親ともに俳優の生粋ハリウッド人。

【前哨戦での受賞】
・SAGアワード(俳優組合賞)
・ネバダ批評家賞

<受賞スピーチ▼>


<SAGの受賞スピーチ▼>


  • アンジェラ・バセット
    「ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー」
    アンジェラ・バセット
    ※映画「TINA」(1993年)で大物歌手ティナ・ターナーを演じて主演女優賞にノミネートされて以来、29年ぶりの候補入りを果たした。
    続き▼ この間、「マルコムX」「ボーイズン・ザ・フッド」「ノトーリアス・B.I.G」など重要な黒人映画に出演し、ハリウッドの多様性を支えてきた。初代「ブラックパンサー」では主人公(チャドウィック・ボーズマン)の母親役に。ボーズマン亡き後の続編となった今作では、王国を率いる女王役として申し分のない貫禄と存在感を発揮した。マーベル映画として初めての俳優部門ノミネート。64歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・クリティック・チョイス賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・ハリウッド批評家賞


  • ケリー・コンドン
    「イニシェリン島の精霊」
    ケリー・コンドン
    ※主人公の妹を演じた。田舎の島で同居の兄を優しく支えながら、聡明さをにじませるキャラクター。マーティン・マクドナー監督とは、18歳のときに舞台演劇に出演して以来の仕事仲間。アイルランド人。40歳。
    【前哨戦での受賞】
    ・英国アカデミー賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    ・ボストン批評家賞
    ・ワシントン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • ステファニー・シュー
    「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」
    ステファニー・シュー
    ※虚無主義を提唱する特異なキャラクターをシニカルに表現し、見せ場をつくった。移民2世の人物像をリアルに好演。若者からカルト的な支持を集めた。32歳。主にテレビや舞台で活躍した後、本作で大ブレイクした。母親が台湾からの移民。


  • ホン・チャウ
    「ザ・ホエール」
    ホン・チャウ
    ※引きこもりの主人公(ブレンダン・フレイザー)が唯一心を許す友人を演じた。ベトナム系。難民キャンプで生まれ、家族で米国に移住した。「ダウンサイズ」(2017年)でSAG助演女優賞ノミネート。43歳。


歴代の受賞者(助演女優賞)→

▲ 一覧の先頭へ
脚本賞 「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス

脚本:ダニエルズ(兼監督)

2人の監督の頭の中から生まれた独創的アイデアの脚本。「家族」をめぐる日常的な話題を、多元宇宙(マルチバース)を舞台とする戦いに置き換え、娯楽性の高いストーリーとして成立させた。奇抜でめまぐるしい展開ながら、最後は本筋のテーマへと観客をひきこみ、心を動かす。英語と中国語の多言語脚本。

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・ワシントン批評家賞
・ネバダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・WGA(米脚本家組合賞)
  • 「イニシェリン島の精霊」
    イニシェリン島の精霊
    脚本:マーチン・マクドナー(兼監督)
    ※舞台出身のマクドナー監督らしい会話劇
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア国際映画祭 脚本賞
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・米国映画評議会議(NBR)
    ・ボストン批評家賞
    ・シカゴ批評家賞
    ・ゴールデングローブ賞
    ・ヒューストン批評家賞


  • 「TAR(ター)」
    TAR(ター)
    脚本:トッド・フィールド(兼監督)
    ・ロサンゼルス批評家賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)


  • 「フェイブルマンズ」
    フェイブルマンズ
    脚本:スティーブン・スピルバーグ(兼監督)&トニー・クシュナー


  • 「逆転のトライアングル」
    逆転のトライアングル
    脚本:リューベン・オストルンド(兼監督)


歴代の脚本賞→

▲ 一覧の先頭へ
脚色賞 「ウーマン・トーキング 私たちの選択」

ウーマン・トーキング 私たちの選択

脚本:サラ・ポーリー

※カナダの女性作家による2018年の同名小説を、サラ・ポーリー監督が脚色した。原作小説は、南米ボリビアで起きた連続女性暴行事件から着想を得ているという。

女性パワーの結集がテーマとなっている。

サラ・ポーリー監督は「アウェイ・フロム・ハー君を想う」(2006年)でも脚色賞にノミネートされており、今回2度目のオスカー候補入りとなった。作品賞とのダブルノミネート。

44歳。カナダ人。もともとは人気俳優だったが、現在は監督・脚本業に専念している。ハリウッドにおける性差別問題を俳優引退の理由の一つに挙げている。熱心な活動家としても知られる。

【前哨戦での受賞】
・クリティック・チョイス賞
・シカゴ批評家賞
・フロリダ批評家賞
・ハリウッド批評家賞
・WGA(米脚本家組合賞)
  • 「西部戦線異状なし」
    西部戦線異状なし
    脚本:イアン・ストーケル、レスリー・パターソン
    国:ドイツ
    ・英国アカデミー賞
    【配信:ネトフリ


  • 「トップガン マーヴェリック」
    トップガン マーヴェリック
    脚本:アーレン・クルーガー、エリック・ウォーレン・シンガー、クリストファー・マッカリー


  • 「ナイブズ・アウト:グラスオニオン」
    ナイブズ・アウト:グラスオニオン
    脚本:ライアン・ジョンソン
    ・ワシントン批評家賞
    【配信:ネトフリ


  • 「生きる LIVING」
    生きる LIVING
    脚本:カズオ・イシグロ
    ※東宝が「アカデミー賞最有力」という大胆な広告を打ち、当サイトが選ぶ「誇大広告賞」を受賞。歴代トップの誇大ぶりだった。


歴代の脚色賞→

▲ 一覧の先頭へ
アニメ賞 「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ

【配信:ネトフリ

「シェイプ・オブ・ウォーター」(2017年)でオスカー作品賞を受賞した鬼才ギレルモ・デル・トロによる最新版ピノキオ。ミュージカル。Netflixにとって初の長編アニメ賞となった。

ストップモーション・アニメ

嘘をつくと鼻がのびる木の人形の冒険物語。人形や物体を少しずつ動かしながら撮影していく「ストップモーション・アニメ」の手法を用いた。独特な作風と完成度の高さが絶賛された。

中止の危機をネトフリが救う

トロ監督の個人的な情熱によってプロジェクトがスタート。何度も中止寸前に追い込まれたが、Netflixが資金を提供したことで製作にこぎつけた。

ジブリの影響

日本の怪獣やアニメなどをこよなく愛するトロ監督だが、本作をつくるにあたっては、ジブリのアニメ作品を意識したという。

配給:Netflix
制作:Netflixアニメーションほか

<前哨戦>
・クリティック・チョイス賞
・英国アカデミー賞
・アニー賞
・シカゴ批評家賞
・ゴールデングローブ賞
・ヒューストン批評家賞
・ハリウッド批評家賞
  • 「マルセル 靴をはいた小さな貝」
    Marcel the Shell with Shoes On
    ※インディー映画。ロッテン・トマトの批評家支持率98%で年間トップ級。しゃべる貝殻であるマーセルが、はぐれた家族を探す。心温まる系。
    配給:A24
    【前哨戦での受賞】
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・米国映画評議会議(NBR)
    ・アニー賞 独立系アニメ賞
    ・ハリウッド批評家賞 独立系映画賞


  • 「私ときどきレッサーパンダ」
    私ときどきレッサーパンダ
    【ピクサー】
    ※ポップな成長物語。主人公はカナダのトロントに住むアジア系少女(13歳)。友たちとオタク活動に励む一方で、厳格な親が敷いたレールに乗っかり、本当の自分を抑えている。ある日突然、レッサーパンダに変身する。舞台は2002年。日本のアニメへのオマージュがたっぷり。
    ・フロリダ批評家賞
    ・トロント批評家賞
    【配信:ディズニープラス


  • 「長ぐつをはいたネコと9つの命」
    長ぐつをはいたネコと9つの命
    【ドリームワークス】
    (日本公開:2023年3月17日)
    ※「シュレック」シリーズから派生した物語。2011年の「長ぐつをはいたネコ」の続編。命が9つある猫プスが主人公。冒険を重ねて8回死んでしまい、残りは1回に。


  • 「ジェイコブと海の怪物」
    ジェイコブと海の怪物
    【Netflix】
    ※怪物を退治しようとする船乗りと、1人の少女の冒険を描く。水や怪物の質感の表現が称賛された。
    【配信:ネトフリ


歴代のアニメ賞→

▲ 一覧の先頭へ
国際映画賞 「西部戦線異状なし」

西部戦線異状なし

 国:ドイツ

ドイツ語の戦争映画。原作はドイツ生まれの作家エリッヒ・レマルクが1929年に出版したベストセラー小説。

ハリウッドのスタジオが92年前にも映画化しており、そのときはアカデミー作品賞(1931年)を受賞した。 今回、小説の母国ドイツでの初の映画化となった。第一次世界対戦の残忍さを世界に伝えた反戦ストーリーが、現代の最高レベルの映画技術で蘇った。

ドイツ軍の志願兵として戦線に乗り込んだ主人公が、塹壕(ざんごう)での毒ガス、機関銃、戦車など思いもかけなかった凄惨な経験を重ねる。

ロシアの対ウクライナ侵略戦争による悲劇が日々伝えられるなか、極めて生々しく、心に突き刺さる上質な一本として支持を集めた。

前年の「ドライブ・マイ・カー」(日本)のように、作品賞と国際映画賞のダブルノミネートを果たした。技術部門でも票を集め、計9部門での候補入り。このうち4部門で受賞した。 外国語映画として異例の強さを見せた。Netflixの本年度イチオシだった。

監督:エドワード・ベルガー

配給:ネットフリックス

【前哨戦での受賞】
・英国アカデミー賞 非英語作品賞

【配信:ネトフリ
  • 「アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判」
     国:アルゼンチン
    アルゼンチン1985 歴史を変えた裁判
    ※法廷ドラマ。南米アルゼンチンで軍事政権が終了した2年後の1985年、2人の弁護士が軍政による犯罪の追及に動く。
    (サンティアゴ・ミトレ監督)
    【前哨戦での受賞】
    ・ゴールデングローブ賞 非英語作品賞
    ・ベネチア国際映画祭 国際映画批評家連盟賞
    【配信:アマゾン


  • 「CLOSE/クロース」
     国:ベルギー
    Close
    ※少年2人の友情の行方
    監督:ルーカス・ドン
    (日本公開:2023年7月14日)
    ・カンヌ国際映画祭グランプリ(2位)
    ・米国映画評議会議(NBR)


  • 「EO イーオー」
     国:ポーランド
    EO
    ※主人公は一匹のロバ。活躍していたサーカス団から外の世界へ。
    (日本公開:2023年5月5日)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・全米映画批評家協会賞(NSFC)
    (イエジー・スコリモフスキ監督)


  • 「クワイエット・ガール(The Quiet Girl)」
     国:アイルランド
    クワイエット・ガール
    ※アイルランドの田舎の9歳の少女が主人公。貧しいのに子供が次々にできる大家族の末っ子。夏休みの間、おばの家に預けられる。


歴代の国際映画賞→

▲ 一覧の先頭へ
ドキュメンタリ賞 「ナワリヌイ」

ナワリヌイ

(日本公開:2022年6月)

ロシアのプーチン政権を批判し、毒殺未遂で死にかけた弁護士アレクセイ・ナワリヌイ氏(46歳)の記録。

プーチン政権による毒殺未遂

プーチン政権による毒殺計画は、2020年にロシア上空の旅客機内で実行された。何者かに毒をもられたナワリヌイは昏睡状態に陥り、飛行機は緊急着陸。病院に搬送された。

カメラがとられた犯人特定の瞬間

そこから、本作の取材班が密着する。移送先のドイツの病院で意識を取り戻したナワリヌイは、犯人の特定へと動き出す。

旅客機の搭乗者名簿など数々のデータを手掛かりに、実行犯グループと思われる人物たちを割り出し、直接電話をかけて真相究明を図る。果敢な行動の一部始終をカメラがとらえた。

命の危険にさらされながら

スパイ映画のような緊迫感と臨場感。命の危険にさらされながらもユーモアと笑顔を失わず前に進もうとするナワリヌイと、彼を支える家族やプロフェッショナルな仲間たちの姿が胸を打つ。

監督はカナダ人のダニエル・ロアー(30歳)。日本でも劇場公開された「ザ・バンド かつて僕らは兄弟だった」(2019年)で称賛された。

授賞式に妻が登壇

オスカー授賞式では、監督らとともにナワリヌイ氏の妻が登壇。ロシアの刑務所に投獄されている夫の身の安全の確保を訴えた。

【前哨戦での受賞】
・PGA(全米プロデューサー組合賞)
・英国アカデミー賞
・サンダンス映画祭フェイバリット賞

【配信:アマゾン

<予告編▼>


<監督とナワリヌイ氏の妻ユリア氏の受賞スピーチ▼>


動画集を開く▼ <日テレのニュース▼>


<町山智浩の解説▼>

  • 「オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド(All the Beauty and the Bloodshed)」
    オール・ザ・ビューティ&ザ・ブラッドシェッド
    監督:ローラ・ポイトラス
    ※ポイトラス監督(女性)は「シチズンフォー スノーデンの暴露」で有名。同作で2015年オスカーを受賞している。 今作では、米国の著名な女性写真家ナン・ゴールディンの仕事ぶりを追った。
    続き▼ ゴールディンは社会の不正を追及してきた社会派フォトジャーナリストとして尊敬されている。主たる題材となるのは、ゴールディンが告発した富豪サックラー家の没落。米国の麻薬系鎮痛薬(オピオイド)危機を招いた製薬会社のオーナー一族の悪行があぶり出される。ベネチア国際映画祭において、作品賞を受賞した。ドキュメンタリー映画として史上初の快挙だった。
    【前哨戦での受賞】
    ・ベネチア国際映画祭 作品賞(ドキュメンタリーとして史上初)
    ・ニューヨーク批評家賞
    ・フロリダ批評家賞


  • 「ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦」
    ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦
    ※フランス火山学者の夫婦の実録。調査・研究のためのデータや映像を残すために、噴火中の火山に突っ込んでいく。日本の火山にも挑む。2人の愛情物語でもある。
    【配信:ディズニープラス


  • 「オール・ザット・ブリーズ(All That Breathes)」
    All That Breathes
    ※ニューデリーの兄弟が、公害による汚染でダメージを負った鳥(トビ)たちを救う。
    製作国:インド、英、米
    言語:ヒンドゥー語
    【前哨戦での受賞】
    ・サンダンス映画祭 ドキュメンタリー賞


  • 「ハウス・メイド・オブ・スプリンターズ(A House Made of Splinters)」
    A House Made of Splinters
    ※ウクライナの保護施設の子供たちと、子供たちを守ろうとする大人たちの記録。
    製作国:ウクライナ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド
    言語:ウクライナ語、ロシア語
    【前哨戦での受賞】
    ・サンダンス映画祭 ドキュメンタリー監督賞
    予告編


歴代のドキュメンタリー賞→

▲ 一覧の先頭へ

 ※2023年の全部門を見る→

2022年(第94回)

( 23年↑ | 22年 | 21年↓

  • ■ 作品賞:
    「コーダ あいのうた」
  • ■ 最多受賞:
    「DUNE/デューン 砂の惑星」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「パワー・オブ・ザ・ドッグ」(11部門12個)

日本映画「ドライブ・マイ・カー」が作品賞など4部門ノミネート

日本映画「ドライブ・マイ・カー」(濱口竜介監督)が作品賞、監督賞、脚色賞、国際映画賞の4部門でノミネートされ、このうち国際映画賞を受賞しました。 作品賞ノミネートは邦画として史上初めて。脚色賞ノミネートも史上初でした。
作品賞は、前哨戦で圧倒的な強さを見せていた「パワー・オブ・ザ・ドッグ」が敗れ、「コーダ あいのうた」が受賞しました。

作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞脚本賞脚色賞国際映画賞アニメ賞

( 23年↑ | 22年 | 21年↓

2022年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「コーダ あいのうた」

コーダ あいのうた

【配信:アマゾン

監督:シアン・ヘダー

涙と笑いあふれる感動作。漁師一家の中でただ1人耳が聞こえる女子高生を主人公に、家族の絆や成長を描く。

2014年のフランス映画のリメイクながら、米国らしい陽気でエネルギッシュな脚色・演出により、突き抜けた一本になった。 コロナ禍で多くの人が辛い目にあっていた時代。温かみのあるストーリーが支持された。

役者たちの演技も絶賛された。主人公の家族のろう者3人は、いずれも聴覚にハンディのある俳優が演じた。

独立系(インデペンデント)の作品であり、当初は有力視されていなかった。 しかし、作品の知名度が高まるにつれて応援ムードが盛り上がり、前哨戦の終盤で急浮上。 大本命「パワー・オブ・ザ・ドッグ」を破った。
続きを開く▼▼
<投票方式が有利に>
前哨戦で圧倒的に強かったパワー・オブ・ザ・ドッグは、芸術性は高いものの、好き嫌いが分かれる傾向にあった。

候補作10本に順位を付けさせる独特な投票方式が、「みんなに好かれる映画(嫌われない映画)」の典型といえる本作に有利に働いたようだ。

アート系の「ROMA/ローマ」が、大衆系の「グリーンブック」に敗れた2019年と類似する結末といえる。

<サンダンス映画祭>
本作の製作費は11億で、オスカー受賞映画としてはかなり小規模だった。(それでも前年の作品賞の「ノマドランド」の2倍ではある)。米インデペンデント系映画賞「サンダンス映画祭」で史上最多となる4冠を達成。ネット配信に参入して間もない米IT企業アップルが、これまたサンダンス史上最高となる26億円で配給権を買い取った。

サンダンス映画祭の出品作としても初の作品賞。ろう者が主な出演者となっている映画としても初めて。

配給元アップルは1999年にネット動画配信に参入したばかり。 アップルとして初の作品賞。ネット配信会社のオリジナル作品としても初めて。 先発組のNetflixとアマゾンの先を越した。

<90年ぶり>
なお、3個以下のノミネートしか得ていない映画の作品賞受賞は、1932年(第5回)の「グランド・ホテル」以来90年ぶりとなった。

<受賞結果>
受賞部門 作品賞
助演男優賞
 トロイ・コッツァー
脚色賞


<受賞スピーチ▼>


<挿入歌▼>


<予告編▼>


(日本公開:2022年1月21日)
  • 「ドライブ・マイ・カー」
    【日本映画】
     ドライブ・マイ・カー
    監督:濱口竜介
    ※日本映画として史上初の作品賞ノミネート
    受賞結果を開く▼
    受賞 国際映画賞
    ノミネート 作品賞
    監督賞
    脚色賞
    作品説明を開く▼

    ドライブ・マイ・カーは、濱口竜介監督の2作目の商業映画。

    濱口監督は熱心な映画ファンから長年にわたって高い評価を得てきた。
    大学院の卒業制作から早々に注目を集め、その後も、自主制作で手掛けた作品が、コンスタントに海外や国内の小規模インデペンデント向け映画祭で紹介された。ネットで資金を集めながら完成させた実験的な作品「ハッピーアワー」(2015年)が海外で様々な賞を獲得。続く「寝ても覚めても」(2018年)により、満を持しての商業デビューを果たした。

    村上春樹を短編を、3時間の超大作に

    本作の原作は村上春樹の短編小説。妻を失い、喪失感を抱えて生きる男の悲しみと再生を、緻密な脚本で描く。上映時間はなんと3時間。

    多言語の芝居を題材に取り入れ、言葉の壁を越えた意思疎通の深さに迫った。

    ストーリー

    主人公は舞台の演出家。俳優でもある。車を運転するのが好きな男で、自分の車に愛着を持っている。

    東京で妻と満ち足りた日々を送っていたが、突然、妻がこの世を去る。

    その2年後、広島で行われる国際演劇祭で芝居の監督を務めることになった。愛車を運転して現地入りしたが、主催者から「車を自分で運転してはいけない」と告げられ、若い運転手を紹介された。このドライバーは寡黙な女性で、ある過去をもっていた。

    原作・村上春樹

    濱口監督は映画化の許諾を得ようと村上春樹氏に手紙を送った。その際に、脚本で独自の解釈を加える意向も伝えたという。脚本づくりにおいて最も重視したのは出演者の“感情の移ろい”だったという。

    製作費1億5000万円

    製作費1億5000万円。日本映画の平均製作費3.5億円と比べても低予算だった。数十億円の製作費が相場のハリウッドと比べると、圧倒的に小規模。

    プロデューサーは山本晃久(てるひさ)

    製作会社は「TSUTAYA」グループのC&Iエンタテインメントなど。

    プロデューサーは山本晃久(てるひさ)(40歳)。村上春樹ファンであり、濱口監督のポテンシャルに早くから目をつけてきた山本プロデューサーが「村上の短編小説の映画化」を濱口に提案したことから、企画が立ち上がった。

    日本の独立系映画会社「ビターズ・エンド」

    配給と制作幹事を担当した「ビターズ・エンド」(東京、社長:定井勇二社長)は、小規模のアート作品を日本の映画ファンに届け続けてきた貴重な存在。ミニシアター文化を支える柱の一つとなってきた。

    文化的な価値にこだわった地道な取り組みが、世界で大きく花開いた。


    オスカーまでの道のり

    カンヌでデビュー

    ドライブ・マイ・カーは2021年7月のカンヌ国際映画祭で日本映画初の脚本賞を受賞。その他のマイナーな賞も含めて計4冠に輝き、世界に華々しくデビューした。

    米国の評論家たちが火をつけた

    その数か月後にスタートした米国の映画賞レースに参戦。映画専門のジャーナリストや評論家から大絶賛を浴びた。 とくにニューヨーク・タイムズ、LAタイムズ、バラエティ誌など、影響力の大きい有力メディアの映画担当記者が猛烈にプッシュした。

    「3大批評家賞」で全勝

    権威の高い全米映画批評家協会、ニューヨーク、ロサンゼルスの「3大批評家賞」では、いずれも作品賞(国際映画賞でなく作品賞!)を獲得。これは、英語以外の映画として初の快挙だった。ハリウッドの有力作を差しおいての日本映画の最高賞獲得は、驚きをもって迎えられた。

    地味な日本語の会話劇

    とはいえ、ストーリーは地味で、上映時間も3時間という長尺。日本語による会話劇ということもあり、コアな映画通(シネフィル)だけの熱狂にとどまるかと思われた。

    目の肥えた映画人も大納得

    しかし、深層心理に訴えるような普遍性、独創的な語り口、観客を温かく包み込むような人間味は、目の肥えたハリウッドの映画人たちの心も動かした。最高峰のアカデミー賞において、日本映画として史上初の作品賞ノミネートを達成。監督賞、脚本賞、国際映画賞と併せて4部門での候補入りという歴史的偉業を成し遂げた。

     予告編→
    【配信:アマゾン
    (2021年8月公開)

  • 「パワー・オブ・ザ・ドッグ」
     パワー・オブ・ザ・ドッグ
    監督:ジェーン・カンピオン
    ※最多ノミネート(11部門12個)
    受賞結果を開く▼
    <受賞結果>
    受賞 監督賞
    ノミネート 作品賞
    主演男優賞
    助演男優賞
    コディ・スミット・マクフィー
    助演男優賞
    ジェシー・プレモンス
    助演女優賞
    脚色賞
    撮影賞
    作曲賞
    編集賞
    音響賞
    美術賞
    作品説明を開く▼
    心理ドラマ兼スリラー。モダン西部劇。1920年代の米国の牧場を舞台に、生々しい愛憎ストーリーを静かなタッチで描いた。

    優れた物語構築

    優れた物語の構築力と深い人物描写、そして濃密な映像表現が絶賛された。 「完璧さ」と「独創性」を徹底的に追及した作家路線の傑作として、全米の評論家が選ぶ各賞で圧倒的な勝率を達成。 さらに、記者が投票するゴールデングローブ賞でも強敵「ベルファスト」を破り、オスカー前哨戦を完全にリードした。

    革命的な女性監督

    ジェーン・カンピオン監督は、女性として3人目となる監督賞を受賞した。ニュージーランド出身。 「ピアノ・レッスン」で1994年アカデミーの作品賞、監督賞などにノミネートされ、革命的な女性監督として注目を集めた。 このときは「シンドラーのリスト」(スピルバーグ監督)があまりにも強力だったため、作品賞、監督賞ともに逃した(脚本賞は受賞)。 それから28年後となる本年度は、再びスピルバーグ監督(ウエスト・サイド・ストーリー)と作品賞、監督賞を争った。

    10年ぶりの映画

    本作の製作は、2017年にカンピオン監督が義母からもらった原作小説にハマったのが発端だった。 活動の場をテレビドラマに移し、映画づくりから10年ほど遠ざかっていた彼女は、再びリスクの高い映画製作に臨むことを決意。 個人的に信頼する英、豪、カナダのプロデューサーらを巻き込み、「新生カンピオン組」の布陣をつくった。 さらに、母国ニュージーランド政府や豪・英の政府系機関からの資金支援も取り付けた。

    世界の英才とNetflixマネー

    しかし、革命家カンピオンが思うがままのビジョンを映像化するためには、まだ資金が足りなかった。 そこに登場したのが、米Netflix(ネットフリックス)だった。 野心的な構想に飛びついた同社が巨額資金の提供を申し出たことで、プロジェクトは一気に動き出す。 撮影中にコロナ禍に見舞われたが、Netflixは追加支援を惜しまなかったという。 世界の英才と潤沢なNetflixマネーの組み合わせは、まさに今日的といえる。

    精緻な作り込み

    テーマがややダークで、一見ストーリー展開が地味。このため、一般のNetflixユーザーの反応は当初は少し鈍かった。 しかし、「見返せば見返すほど精緻な作り込みに圧倒される」という人も多く、着実に支持を広げた。

    「万人受け」のコーダに敗れる

    アカデミー作品賞の獲得に向けて最大の難関になったのが、その独特な投票システムだ。 ベストの作品を一つ選ぶのでなく、全ノミネートに順位を付ける方式が採用されているため、 多数の投票で2位、3位以上に入らなければ勝てない。 その点、万人受けしやすいコーダより不利だったといえる。
     予告編→
    【配信:ネトフリ
    (日本公開:2021年12月Netflix配信)

  • 「ベルファスト」
     ベルファスト
    監督:ケネス・ブラナー
    作品説明を開く▼

    監督の半自伝

    北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督が、自らの少年期に基づいて描いた半自伝。白黒映画(一部カラー)。

    紛争下の少年の日常

    社会を二分する北アイルランド紛争下の首都ベルファスト(1969年)を舞台に、日常を生きる少年と家族を描く。 政治的・宗教的な対立に揺れる地域や大人たちを、子供の純心な視点から写し出す。

    3世代家族の絆

    チャーミングな家族物語でもある。 少年、両親、祖父母の3世代の絆が、温かくノスタルジックな映像とともに語られる。

    トロントで好スタートだったが・・

    オスカー前哨戦のトップを切って行われたトロント国際映画祭で観客賞を受賞。 以来、ややマニア的な「パワー・オブ・ザ・ドッグ」に対抗しうるハート・ウォーミング系作品として期待を背負ってきた。 しかし、トロント以後は目立った勝利がなかった。

    ROMAより入りやすい?

    2019年の作品賞にノミネートされた「ROMA(ローマ)」と同じく監督自身の回想劇であり、かつ白黒映画という共通点もある。 ただ、淡々とした作風で、ストーリー展開が退屈だと感じる人も多かったROMAに比べると、入り込みやすい大衆作品。

    映画愛のシーンも

    「映画愛」を感じさせるシーンもあり、オスカーとの相性も良好。 高齢アカデミー会員へのアピール度も強いと見られていた。 弱点は、強烈なインパクトに欠けること。

    監督・俳優・脚本家として候補歴

    映画監督兼俳優のブラナー氏は、過去5度アカデミー賞にノミネートされている。 監督デビュー作「ヘンリー五世」(1989年)で監督賞と主演男優賞にダブルノミネート。 そのあと短編映画賞と脚色賞で候補になり、直近では「マリリン 7日間の恋」(2011年)で助演男優賞にノミネートされた。

    新記録「1人で累計7つの異なる部門でノミネート」

    今回は作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされ、「1人で累計7つの異なる部門でノミネート」というアカデミー賞の新記録を樹立した。そして、ついに脚本賞で受賞を果たした。マーベル映画「ソー」の1作目(2011年)の監督としても有名。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年3月25日)

  • 「ドリームプラン」
     ドリームプラン
    監督:レイナルド・マーカス・グリーン
    作品説明を開く▼

    観客支持率トップの98%

    大多数の観客が称賛する一作。ロッテン・トマトの一般観客の評価スコアは候補作の中でトップの98%。

    ハリウッド・スタジオ製の王道

    オスカーになじみやすい家族物語であり、スポーツもの。 本年度の作品賞ノミネートの中で、最もアメリカン・ドリーム的なストーリーでもある。 ハリウッド大手スタジオ(ワーナー)による王道作品といえる。

    実在の父親がモデル

    テニスの世界トップに君臨した姉妹(姉ビーナス・ウィリアムズ、妹セリーナ・ウィリアムズ)の父親の姿を描く。 実話をベースにしている。

    主人公リチャード・ウィリアムズはテニスの素人ながら、娘2人に幼少期からテニスを徹底指導。 娘が力をつけてくると、 経済的に貧しかったにもかかわらず、強引なやり方で超一流のコーチをつけることに成功し、鮮烈なプロデビューへと導いた。 伝説的な姉妹の大活躍の土台をつくった熱血パパとして知られる。 裕福な白人層が中心だった米国テニス界に風穴を開けた存在でもある。

    「王様」のような立ち振る舞い

    本作は、リチャードの独特な「子育て法」に焦点があてられている。 目先のゲームや一時的な活躍よりも、娘たちの長期的な成功を優先させ、学問や人格形成を重視した教育に邁進する。 一方で、破天荒で独善的な態度により、周囲と様々な軋轢(あつれき)を起こしていく。 その立ち振る舞いはまるで「王様」。映画の原題も「王様リチャード(King Richard)」になっている。

    低所得層の苦闘

    少数派人種や低所得層の苦労・努力がテーマの一つ。 家族の団結や厚い信仰心もしっかりと描写されている。 米国で重視されがちな価値観が前面に出ており、 変化球のかたまりのような「パワー・オブ・ザ・ドッグ」とは対照的。一般観客が入りやすい作品であることが、作品賞レースで有利に働く可能性がある。 ただ、称賛の嵐の中で、「ややありがちな映画」との声も。

    監督は無名の若手

    主演ウィル・スミスの熱演ぶりが、見どころの一つ。 3度目のノミネートにして初の主演男優賞を獲得した。 助演女優賞ノミネートの妻役アーンジャニュー・エリスも、限られた見せ場で観客の心をわしづかみにする。 監督はほぼ無名の若手レイナルド・マーカス・グリーンが務めたが、名演出と堅実なまとめぶりが光る。 臨場感のあるテニスシーンも好評。

    ワーナーの「配信重視」路線

    米国では劇場公開と同時にネット配信された。 配給会社ワーナーが自社の配信サービス「HBOマックス」の加入者を増やすため、 2021年のすべての映画を「ネット同時公開」としたためだ。 この方針をめぐっては、映画界から強い反発が出た。 このため、本作は「親劇場派(反ネット配信業者派)」の票の受け皿としてやや説得力に欠ける面があった。

    【あらすじ】

    米国ロサンゼルス近郊の貧困地区コンプトンで暮らすリチャードはある日、 テレビで女子テニス選手が巨額の賞金を受け取るのを見て、 自分たちも娘をもうけ、彼女たちをプロテニス選手に育てることを決意する。 独自の教育論に基づく約80ページの「プラン(計画書)」を作成。 そのプランに基づいて夫婦で娘たちにテニスを教え始める。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年2月23日)

  • 「ウエスト・サイド・ストーリー」
     ウエスト・サイド・ストーリー
    監督:スティーブン・スピルバーグ
    作品説明を開く▼
    巨匠スピルバーグ監督の映画として、11作目の作品賞ノミネートとなった(※過去の作品賞ノミネートは「ジョーズ」「ET」「カラーパープル」「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」「ミュンヘン」「戦火の馬」「リンカーン」「ブリッジ・オブ・スパイ」「ペンタゴン・ペーパーズ」)。

    原版は作品賞など10部門独占

    原作は、1957年初演の傑作ミュージカル劇。 今回が2度目の映画化となる。 最初の映画版となった1960年の「ウエスト・サイド物語」は、アカデミー賞で作品賞を含む10部門を独占。 ミュージカル映画史に残る絶対的な名作として語り継がれてきた。 それだけに、今回の2度目の映画化については、「何故また作るのか」という懐疑的な声が多く聞かれた。

    最高級の映画テクニック

    しかし、いざ公開されると「最高に眩(まぶ)しく、ゴージャス」などの称賛の声が相次いだ。 今の映画界が持ちうる最高級のテクニックを結集。オリジナル版を現代風に洗練させつつ、その精神をビビッドに蘇らせたことで、往年のファンから若い世代に至るまで幅広い支持を得た。 踊りの振り付けもバージョンアップされており、躍動感あふれるダンスシーンは圧巻。

    劇場マジック

    スピルバーグ監督にとって初めてのミュージカル。10歳のときに両親が買ってきたミュージカル版のレコードをボロボロになるまで聴いて以来、この劇を愛し続けてきたという。 それだけに、パワフルな演出や1シーンごとの徹底した仕上げぶりはかつてないほどの情熱を感じさせる。スペクタクル作品ならではの劇場マジックも存分に味わえる。

    助演女優賞を受賞

    ヒロインのマリア役を演じたレイチェル・ゼグラーは新人ながら高い評価を得た。 それを上回る大絶賛の嵐となったのが、アニータ役のアリアナ・デボーズ。助演女優賞を受賞した。
    オリジナル版でアニータを演じ、今回90歳にして別の役柄で再出演したリタ・モレノも見事。

    リメイクは不利

    作品賞レースでは、オスカーらしい華々しさがあるという点で有利だが、リメイクである点はやはり不利だと見られた。 オリジナル版をリアルタイムに体験している高齢アカデミー会員の心をどれだけ掴むかが焦点だった。

    貧困街の愛の物語

    ニューヨークの下町「ウエスト・サイド」で、イタリア系とプエルトリコ系の不良少年グループが対立。その中で生まれる愛の物語。 恋愛悲劇の最高傑作として知られるシェークスピアの「ロミオとジュリエット」を、1950年代の貧困街に置き換え、アメリカ社会の抱える不満や苦悩を描き出した
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年2月11日)

  • 「DUNE/デューン 砂の惑星」
     DUNE/デューン 砂の惑星
    監督:ドゥニ・ビルヌーブ
    作品説明を開く▼
    未来の宇宙を舞台とするSF大作。 現在も絶大な人気を誇る原作小説の独創的な世界観を、驚くべき精密さで映像化した。 ドゥニ・ビルヌーブ監督。 主演はティモシー・シャラメ。

    原作となった伝説的なSF小説『デューン 砂の惑星』(フランク・ハーバート作)は、1965年に出版された。 これまで多くの監督が映画化に挑戦しながら、プロジェクトが途中で頓挫したり、出来栄えがいま一つだったりと、成功には至らなかった。 そんな歴史的な難題に、「ブレードランナー2049」「メッセージ」で知られるドゥニ・ビルヌーブ監督が挑んだ。

    本作は、何よりも映像の美しさが称賛の的となった。 洗練された視覚デザインと描写により、ユニークな世界観を構築。 別の惑星にいるかのような錯覚を観客に覚えさせる。 砂漠のスペクタクルも見事。中東の砂漠で挑んだ撮影が、驚愕の映像体験へとつながった。

    日本では興行的に伸び悩んだが、欧州で大ヒット。中国でも堅調だった。 母国アメリカでは、劇場公開と同時にネット配信されたこともあって当初は伸び悩んだものの、1か月かけて1億ドルの大台を突破。 コロナ禍という悪条件のなか、最終的には全世界で400億円以上を稼ぎ、本年度の作品賞ノミネートの中で唯一の「特大ヒット作」となった。

    本作は2部構成のシリーズの第一弾と位置づけられている。 このため、ストーリーの進展が序盤の段階にとどまったという印象を持つ人も多い。 次作でどのようにまとめる上げるのか、監督の手腕が注目されるところであり、「1作目だけで作品賞を与えるのは時期尚早」との声もあった。 あの大傑作シリーズ「ロード・オブ・ザ・リング」でさえ、「パート1」と「2」では作品賞ノミネートにとどまり、完結編の「3」でようやく受賞を果たした。

    10ノミネートのうち、視覚効果賞、撮影賞、作曲賞、編集賞、美術賞、音響賞の6部門で受賞を果たした。断トツの本年度最多受賞。 2016年のオスカーで、作品賞を逃しながら技術系6部門を制した「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を彷彿とさせる。

    主人公は、銀河を支配する「皇帝」に仕える大物一族の息子。未来をぼんやりと予見する力を備えている。豪華なオールスターキャストが登場する超大作。
     予告編→
    【配信:アマゾン(字幕版)
    【配信:アマゾン(吹替版)
     メイキング映像→
    (日本公開:2021年10月15日)

  • 「リコリス・ピザ」
     リコリス・ピザ
    監督:ポール・トーマス・アンダーソン
    作品説明を開く▼
    ノスタルジックな青春映画。 1970年代のカリフォルニアが舞台。 15歳の少年と、25歳の女性の恋を描く。

    ポール・トーマス・アンダーソン監督(51歳)の9作目。 自らが生まれ育った街とその時代を題材にしたパーソナルな一作。 登場人物や出演者にも、自分になじみのある人を多く起用した。過去作と比べ、心温まる作風。

    本作が作品賞、監督賞、脚本賞にノミネートされたことで、 アンダーソン監督のアカデミー賞ノミネート数は通算11になった。 しかし、今回も受賞は逃し、受賞は通算ゼロのままとなった。
    ノミネート歴(wiki)→

    主演のクーパー・ホフマンは、本作でデビューとなる新人。 アンダーソン監督の数々の名作に出演してきた故フィリップ・シーモア・ホフマンの息子である。 ホフマンの相手役となる主演女優アラナ・ハイムも元々はロック歌手で、俳優としては新人。2人の好演と相性の良さも称賛されている。

    題名の「リコリス・ピザ」は、カリフォルニアに実在していたレコード店の店名。 無料のリコリス(キャンディ)、快適なソファ、音楽雑誌を提供していたことでも知られていた。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年7月1日)

  • 「ドント・ルック・アップ」
     ドント・ルック・アップ
    監督:アダム・マッケイ
    作品説明を開く▼
    本年度の作品賞ノミネートの中で、最も賛否両論が激しく分かれている一作。肯定派からは強い支持を得た。

    社会風刺コメディ。現代の扇動的な大衆政治や、事実を軽視する「反知性主義」を嘲笑のネタにしている。

    「マネー・ショート 華麗なる大逆転」「バイス」という社会派ノンフィクション系傑作でアカデミー作品賞にノミネートされたアダム・マッケイ監督。超豪華キャストと先端のSF技術を駆使した大作で、製作費80億円。

    当初パラマウントが配給権を持っていたが、Netflixが買い取った。配信スタート直後からNetflixの記録を塗り替えるような人気ぶりとなった。

    彗星が地球に接近し、人類が破滅の危機に瀕していることを察知した2人の天文学者が、米大統領らに対策を講じるよう求めていく。地球温暖化への警鐘にもなっている。

    レオナルド・ディカプリオらの演技も好評だったが、俳優部門でのノミネートはゼロだった。
     予告編→
    【配信:ネトフリ
    (日本公開:2021年12月10日、2021年12月Netflix配信)

  • 「ナイトメア・アリー」
     ナイトメア・アリー
    監督:ギレルモ・デル・トロ
    作品説明を開く▼
    スリラー映画。「シェイプ・オブ・ウォーター(2017年)」で作品賞と監督賞を受賞したギレルモ・デル・トロ監督作の新作とあって、公開前から期待が膨らんでいた。興行的には失敗したが、熱心な映画ファンやマニアからは厚い支持を獲得。 技術的なレベルの高さも称賛された。

    オスカー争いの最強集団として君臨する米映画会社サーチライトの作品。 サーチライトは本年度、有力作に恵まれず、作品賞レースではナイトメア・アリー1本に注力した。 その甲斐あってか、「チック、チック…ブーン!」(Netflix)をさしおいて、作品賞ノミネート入りを果たした。

    巡回ショーの芸人が主人公。 この芸人が、女性精神科医と出会う。 そして、危険な道へと走っていく。 主演はブラッドリー・クーパー。 危ない女性精神科医を、オスカー女優ケイト・ブランシェケイトが演じる。

    トロ監督はメキシコ人。日本の怪獣をこよなく愛する天才的オタクとして知られる。 ハリウッド業界内でも「愛されキャラ」として親しまれている。
     予告編→
    【配信:アマゾン
    (日本公開:2022年3月25日)

戦評・解説→
歴代の作品賞→

▲ 一覧の先頭へ
監督賞 ジェーン・カンピオン
「パワー・オブ・ザ・ドッグ」

ジェーン・カンピオン

1994年に「ピアノ・レッスン」で脚本賞を受賞して以来、2度目のオスカー獲得。

女性の監督賞は史上3人目。前年の「ノマドランド」のクロエ・ジャオ監督に続いて2年連続。

ニュージーランド出身のベテラン。しばらくテレビドラマに専念していたため、13年ぶりの映画製作となった。Netflixの資金を得て、細部にまでこだわり抜いた末に完成させた渾身の一作。

人間の深層心理を静かに掘り下げる西部劇。極めて精緻で完成度の高いドラマであり、かつスリラーとしても上質。前哨戦で圧勝し、最多12個のノミネートを獲得。作品賞も有力視されていたが、逃した。結局、受賞は監督賞のみだった。

説明→

作品紹介→

 予告編(監督版)→

 作品一覧(wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の監督賞→

▲ 一覧の先頭へ
主演男優賞 ウィル・スミス
「ドリームプラン」

ウィル・スミス

3度目のノミネートにして初の受賞。過去に「ALI アリ」(2001年)、「幸せのちから」(2006年)でノミネートされた。黒人として5人目の主演男優賞。

女子テニスの世界トップに君臨した米国人ウィリアムズ姉妹の実在の父親を演じた。 アクの強さやひょうひょうとした立ち振る舞いを見事に再現。 同時に、スミスらしい茶目っ気を加えることで、観客にとって親しみやすいキャラクターを造形した。

自らプロデューサーの一人としても名をつらね、後見役のウィリアムズ姉妹らとともにプロジェクトを推進した。劇場公開と同時にネット配信されたことで、俳優たちの受け取る歩合報酬が減ったことから、自分のギャラの一部を他の出演者たちに回したという逸話もある。

前哨戦では、序盤の評論家系アワードでカンバーバッチに連敗していたが、記者系のゴールデングローブ賞で勝利。その後の映画業界人が選ぶ賞では連勝した。前哨戦での受賞スピーチも「さすがに上手い」と好意的に受け止められた。

受賞当時53歳。俳優歴32年。ラッパーとして芸能活動を開始し、俳優業に進出した。

「インデペンデンス・デイ」「メン・イン・ブラック」などの歴史的ヒット作を含め、 長年の超ドル箱スターとして業界への貢献度は申し分なかった。 オスカーはベテラン勢が有利であることを加味すれば、受賞は確実と予想されていた。

ところが、せっかくのオスカーで授賞式でコメディアンのジョークに立腹し、 生放送中に壇上で殴打する暴行事件を起こし、キャリアが一気にどん底に落ちることとなった。
「ビンタ事件」の顛末▼

授賞式でウィル・スミスは、妻の病気を揶揄(やゆ)するジョークを飛ばしたコメディアンのクリス・ロック(57歳)に激怒。 ステージに駆け上がってビンタを食らわすという事件が起きた。 アカデミー賞の歴史に残る残念な出来事となった。

10年間の出席禁止に

授賞式の後、スミスは映画芸術科学アカデミーから、今後10年間にわたる授賞式への出入り禁止処分を受けた。アカデミー会員の資格返上にも追い込まれた。

クリス・ロック

殴られたクリス・ロック(コメディアン)はこの日、「ドキュメンタリー賞」の発表者(プレゼンター)として登壇していた。ロックは全米トップ級の人気コメディアンであり、アカデミー賞の司会(ホスト)も過去2回務めている(歴代の司会者→)。毒舌系で知られる。

脱毛症をネタに

ロックは受賞者を読み上げる前のトークで、招待席に座っていたセレブたちをいじるジョークを展開。その中で、スミスの妻ジェイダ・ピンケット・スミスに向かって「ジェイダ好きだよ。『GIジェーン 2』が楽しみだね」(Jada, I love you! "GI Jane 2", can't wait to see it. Alright?)と冗談を飛ばした。

ムッとするジェイダ

これは、ジェイダが脱毛症のため髪を短くしていることを揶揄(やゆ)するものだった。人の病気を笑いのネタにするジョークであり、会場では笑いが起きたものの、聞いていたジェイダ本人がムッとするのがテレビ中継でも映し出された。隣のスミスは笑顔だったが、この後席を立ち、壇上へと向かった。身長188cmで強靭な肉体を持つスミスによる殴打シーンは、平手とはいえ、強いインパクトを与えた。

放送禁止用語を絶叫

スミスはクリス・ロックにビンタをした後、席に戻り、放送禁止用語を用いながら、壇上のロックに「妻の名前を出すな!」と叫んだ。 日本のWOWOWを含む一部の国のテレビ放送局は、この暴言を無音声に切り替えずそのまま放送。お茶の間に衝撃を与えた。

受賞スピーチにも批判

その後、スミスは主演男優賞を受賞した。受賞スピーチでは、ビンタ行為について泣きながら弁明した。しかし、自分の行為をむしろ正当化しようとする内容だったと受け止められ、米国内では批判が多く出た。殴ったクリス・ロックに対する謝罪も、この時点ではなかった。(スミスの受賞スピーチ動画→

退場を拒否

主催団体「映画芸術科学アカデミー」の声明によると、暴力行為の後、主催者側がスミスに退場を求めたが、スミスは拒否した。

警察が駆けつける

また、授賞式のテレビ番組プロデューサーが後日ABC放送のインタビュー(動画→)で語ったところによると、現場にはロサンゼルス市警察(LAPD)が駆け付けた。

被害届を出さず

警察は控室に戻ったクリス・ロックに対して、「スミス逮捕」を選択肢の一つとして提示した。そのうえで、被害届を出す意向があるか尋ねた。これに対して、クリス・ロックは被害届に否定的だったという。

映画の主人公キャラが非難声明

授賞式の後、スミスの受賞作となった「ドリームプラン」で主人公のモデルとなったリチャード・ウィリアムズ(テニスのウィリアムズ姉妹の父親)は「自衛でもない限り、人を殴る行為は許されない」とする非難声明を出した。 授賞式でのスミスの受賞発表時の拍手喝采(スタンディング・オベーション)とはうってかわって、他の芸能人からも批判的なコメントが相次いだ。

パーティ動画の拡散も痛手に

式典後のパーティでオスカー像を片手に上機嫌で歌って踊るスミスの動画が拡散したことで、さらに印象が悪くなった。

コメディアンに対する許容範囲が広い

アメリカでは、日本と比べてジョークに対する許容範囲がはるかに広い。 ふだんは問題視されるような発言でも、コメディアンがジョークの一環として口にすると、許される風潮がある。(ただ、人種差別などにつながるようなジョークは厳しく対処される)。

発言はあまり問題視されず

将来的には脱毛ネタのたジョークもデリケートに扱われるようになるのかも知れないが、この時点ではほとんど問題視されなかった。

授賞式への出席を10年間禁止

アカデミーはスミスに対して、10年間にわたって授賞式への出席を禁止する処分を下した。また、スミスはアカデミー会員を辞任した。

ショーのチケットがバカ売れ

事件を受けて、クリス・ロックの米国ツアーの人気はうなぎ上りとなった。アカデミーも声明でクリスに謝罪するとともに、異様な事態を冷静かつ巧みに収拾してくれたことに感謝の意を表わした。

作品説明を開く▼

観客支持率トップの98%

大多数の観客が称賛する一作。ロッテン・トマトの一般観客の評価スコアは候補作の中でトップの98%。

実在の父親がモデル

テニスの世界トップに君臨した姉妹(姉ビーナス・ウィリアムズ、妹セリーナ・ウィリアムズ)の父親の姿を描く。実話をベースにしている。オスカーになじみやすい家族物語であり、スポーツもの。 本年度の作品賞ノミネートの中で、最もアメリカン・ドリーム的なストーリーとなった。

主人公リチャード・ウィリアムズはテニスの素人ながら、娘2人に幼少期からテニスを徹底指導。 娘が力をつけてくると、 経済的に貧しかったにもかかわらず、強引なやり方で超一流のコーチをつけることに成功し、鮮烈なプロデビューへと導いた。 伝説的な姉妹の大活躍の土台をつくった熱血パパとして知られる。 裕福な白人層が中心だった米国テニス界に風穴を開けた存在でもある。

「王様」のような立ち振る舞い

本作は、リチャードの独特な「子育て法」に焦点があてられている。 目先のゲームや一時的な活躍よりも、娘たちの長期的な成功を優先させ、学問や人格形成を重視した教育に邁進する。 一方で、破天荒で独善的な態度により、周囲と様々な軋轢(あつれき)を起こしていく。 その立ち振る舞いはまるで「王様」。映画の原題も「王様リチャード(King Richard)」になっている。

低所得層の苦闘

少数派人種や低所得層の苦労・努力がテーマの一つ。 家族の団結や厚い信仰心もしっかりと描写されている。 米国で重視されがちな価値観が前面に出ており、 変化球のかたまりのような「パワー・オブ・ザ・ドッグ」とは対照的。一般観客が入りやすい作品であることが、作品賞レースで有利に働く可能性がある。 ただ、称賛の嵐の中で、「ややありがちな映画」との声も。

監督は無名の若手

主演ウィル・スミスの熱演に加えて、 助演女優賞ノミネートの妻役アーンジャニュー・エリスが、限られた見せ場で観客の心をわしづかみにした。 監督はほぼ無名の若手レイナルド・マーカス・グリーンが務めたが、名演出と堅実なまとめぶりが光る。 臨場感のあるテニスシーンも好評。

ワーナーの「配信重視」路線

米国では劇場公開と同時にネット配信された。 配給会社ワーナーが自社の配信サービス「HBOマックス」の加入者を増やすため、 2021年のすべての映画を「ネット同時公開」としたためだ。 この方針をめぐっては、映画界から強い反発が出た。 このため、本作は「親劇場派(反ネット配信業者派)」の票の受け皿としてやや説得力に欠ける面があった。

【あらすじ】

米国ロサンゼルス近郊の貧困地区コンプトンで暮らすリチャードはある日、 テレビで女子テニス選手が巨額の賞金を受け取るのを見て、 自分たちも娘をもうけ、彼女たちをプロテニス選手に育てることを決意する。 独自の教育論に基づく約80ページの「プラン(計画書)」を作成。 そのプランに基づいて夫婦で娘たちにテニスを教え始める。


 予告編→

 インタビュー付き予告→

 作品一覧(wiki)→

配信:アマゾン

 予告編→

 インタビュー付き予告→

 作品一覧(wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の主演男優賞→

▲ 一覧の先頭へ
主演女優賞 ジェシカ・チャステイン
「タミー・フェイの瞳」

ジェシカ・チャステイン

3度目のノミネートにして初のオスカー獲得。過去に「ヘルプ」(2011年)で助演に、「ゼロ・ダーク・サーティ」(2012年)で主演女優賞にノミネートされた。

テレビで派手な布教活動を展開した実在の著名伝道師タミー・フェイを演じた。自らプロデューサーも務めた。

自分らしさをすっかり消し去り、別人に成りきる演技。 容姿、声、しぐさ、雰囲気、歌いぶり、ミネソタ訛りのしゃべり方に至るまで、米国民によく知られる個性的な人物像を見事に再現させた。

配給会社サーチライトの巧みな宣伝活動と、自らのキャンペーン活動が功を奏し、前哨戦で競り合ったニコール・キッドマンら他候補を抑えた。

44歳。父親は消防士。

説明→

 予告編→

 プレビュー→

 作品一覧(wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の主演女優賞→

▲ 一覧の先頭へ
助演男優賞 トロイ・コッツァー
「コーダ あいのうた」

トロイ・コッツァー

ろう者の俳優としては2人目のオスカー受賞。1人目は本作で共演した女優マーリー・マトリンだった。男優としては初。

情熱的でやや破天荒なろう者の父親役をコミカルに演じた。 作品の中で最も笑わせ、泣かせる存在。 手話が分からない人にも喜怒哀楽をしっかりと豊かに伝える迫真の演技が、多数の観客の心をつかんだ。

今回の「コーダ旋風」の最大の立役者。助演賞争いの前哨戦の中盤までは「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のコディ・スミット・マクフィーの独走を許していたが、終盤のSAGアワード(全米俳優組合賞)で大勝利。

このときの手話によるエネルギッシュで濃密なスピーチが反響を呼び、さらに支持が広がった。その猛烈な勢いが、作品賞レースにも飛び火した。

53歳。生活費に苦慮しながらも、俳優業をやめなかった努力の人。

説明→

作品紹介→

 予告編(トロイ・コッツァー版)→

 作品一覧(wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の助演男優賞→

▲ 一覧の先頭へ
助演女優賞 アリアナ・デボーズ
「ウエスト・サイド・ストーリー」

アリアナ・デボーズ

1961年のオリジナル版で同じ役を演じたリタ・モレノに続く二代での受賞。

優れたキャスト陣の中でもひときわ輝く存在感。圧巻のダンスシーンは映画で最大の見せ場の一つとなり、挿入歌「アメリカ」の伝説を新しいステージへと引き上げた。

希望から悲しみへの感情の移ろいを見事に表現するとともに、本作のテーマの一つである「女性のたくましさ」を体現した。

31歳。これまでは主に舞台で活躍。本作が本格的な映画デビューとなった。

性的少数派(クィア)を公表している有色人種の女性として初めての受賞という。アフロ・ラテン系としても貴重な勝利となった。

作品紹介→

 予告編(デボーズ版)→

 作品一覧(英語wiki)→

<受賞スピーチ↓>

戦評・解説→
歴代の受賞者(助演女優賞)→

▲ 一覧の先頭へ
脚本賞 「ベルファスト」

 ベルファスト

配信:アマゾン

(脚本家:ケネス・ブラナー)
 作品一覧(wiki)→

キリスト教の宗派間闘争で荒れる北アイルランドを舞台に、日常を生き抜こうとする一般家族を描く。 9歳の少年を主人公に、両親、祖父母が織りなす3世代ファミリーの物語。ノスタルジックな白黒映像作(一部カラー)。

北アイルランド出身のケネス・ブラナー監督が、自らの少年期に基づいて脚本を書いた。 コロナ禍で自宅にこもっている間に執筆したという。

無邪気な子供の目線で身の回りの出来事をとらえつつ、大人たちの想いや苦悩も織り込み、普遍性の高いシナリオとなっている。とりわけ祖父母のさりげないセリフに重みがあり、胸を打つ。

ケネス・ブラナーは今回、脚本賞に加えて、作品賞、監督賞(2度目)にもノミネート。 過去には主演男優賞、助演男優賞、脚色賞、短編映画賞にもノミネートされたことから、「累計7つの異なる部門でノミネート」という新記録をつくった。 受賞は今回が初めて。

作品紹介→

歴代の脚本賞→

▲ 一覧の先頭へ
脚色賞 「コーダ あいのうた」

 コーダ あいのうた

(脚本家:シアン・ヘダー)
 作品一覧(IMDB)→

フランス映画「エール!」(2015年)のリメイク。 女性監督シアン・ヘダーが自ら脚本を書き、受賞を果たした。

原作では主人公一家は酪農家という設定だったが、漁師に変更。 大まかなストーリーの流れを踏襲しながらも、細部をより丁寧に描き、完成度の高いシナリオとなった。

人間味あふれる人物像の描写や、手話と口頭での会話のかけあいも見事。

作品紹介→

歴代の脚色賞→

▲ 一覧の先頭へ
国際映画賞 「ドライブ・マイ・カー」
【日本】

 ドライブ・マイ・カー

(濱口竜介監督)

日本映画として2009年の「おくりびと」以来13年ぶりの受賞。通算5作目。(過去の日本映画の受賞作→

作品賞、監督賞、脚色賞の主要3部門にもノミネートされており、国際映画賞での受賞は確実視されていた。

妻を亡くし、喪失心を抱える男の物語。同じく過去の傷を背負う若い女性運転手との友情ストーリーでもある。 コロナ禍で身近な人を失った世界の人たちの心をつかんだ。

アップテンポなコミック映画やアクション映画がハリウッドを席巻するなか、 静かにじっくりと、かつ深みのある言葉で伝える作風が称賛された。

仏カンヌ国際映画祭での脚本賞を皮切りに、英国アカデミー賞など海外の賞を次々と制覇した。

同じく2021年公開の濱口映画「偶然と想像」はベルリン国際映画祭の審査員グランプリに輝いており、世界の賞レースを席巻することとなった。

濱口監督は43歳。東日本大震災のドキュメンタリー映画を自主制作で3本撮るなど社会派として活動してきた。神戸の映画講座の一環として製作した「ハッピーアワー」(2015年)は、海外の映画賞を獲得した。(濱口監督のプロフィール→

本作は、「寝ても覚めても」(2018年)に続く商業映画2本目。

作品の紹介→

受賞歴→

<受賞スピーチ↓>

 予告編→

動画配信(アマゾン)→
  • 「わたしは最悪。」
    【ノルウェー】
     わたしは最悪。
     予告編→
    説明→
    (日本公開:2022年7月1日)
    ※人生の方向性が定まらないまま30歳を迎えた女性の仕事や恋を映し出すラブ・ストーリー。

  • 「FLEE フリー」
    【デンマーク】
     フリー
     予告編→
    説明→
    (日本公開:2022年6月10日)

  • 「Hand of God -神の手が触れた日-」
    【イタリア】
     Hand of Gpd -神の手が触れた日
     予告編→
     Netflix→

  • 「ブータン 山の教室」
    【ブータン】
     ブータン 山の教室
     予告編→

戦評・解説→
歴代の国際映画賞→

▲ 一覧の先頭へ
長編アニメ賞 「ミラベルと魔法だらけの家」
(ディズニー)

 ミラベルと魔法だらけの家

ディズニーの60作目の長編アニメ。傑作「ズートピア」の監督コンビによるミュージカル。米ミュージカル界の第一人者・リン・マニュエル・ミランダが音楽を手掛けた。

ディズニーらしい映像の質の高さ。本格ミュージカルとしての良質さも評価された。

説明→

 吹替版(Amazon)→

 字幕版(Amazon)→

<予告編↓>

(公開:2021年11月26日)
  • 「ミッチェル家とマシンの反乱」
     ミッチェル家とマシンの反乱
    (ソニー)
    説明→
     予告編→
     Netflix→
    (公開:2021年4月23日からNetflix配信)
    ※斬新さあふれる一作。ストーリーの面白さや独創性を重視する人たちに支持され、アニメ界の最高峰・アニー賞でも作品賞を受賞した。「スパイダーマン:スパイダーバース」でアニメ賞を獲得した米ソニー・ピクチャーズ アニメーション製作。

  • 「あの夏のルカ」
     あの夏のルカ
    (ピクサー)
     説明→
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
    (公開:2021年6月18日)

  • 「FLEE フリー」
     フリー
    【デンマーク】
     予告編→
     説明→
    ※ アニメ・ドキュメンタリー。デンマーク作品。アフガニスタンからデンマークへ難民としてやってきた男性の実話に基づく。アヌシー国際アニメーション映画祭で、作品賞(長編グランプリ)を受賞。
    (公開:2022年6月10日)

  • 「ラーヤと龍の王国」
     ラーヤと龍の王国
    (ディズニー)
     予告編→
     吹替版(Amazon)→
     字幕版(Amazon)→
    (公開:2021年3月5日)

戦評・解説→
歴代のアニメ賞→

▲ 一覧の先頭へ

 ※2022年の全部門を見る→

2021年(第93回)

  • ■ 作品賞:
    「ノマドランド」
  • ■ 最多受賞:
    「ノマドランド」(3部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「マンク」(10個)

作品賞は「ノマドランド」

「ノマドランド」が作品賞を受賞しました。中国出身の若手女性監督による低予算の小規模作品ながら、現代アメリカの移動労働者(ノマド)の姿を美しい映像と詩的な語り口で描き、高い評価を得ました。

2021年の特集ページ→

作品賞監督賞主演男優賞主演女優賞助演男優賞助演女優賞アニメ賞脚本賞脚色賞国際映画賞

2022年↑ |  2021年 | 2020年↓

<受賞・ノミネート一覧(全部門)>
2021年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ノマドランド」

ノマドランド

【配信:アマゾン

監督:クロエ・ジャオ

アメリカの雄大な原風景を背景に、 季節労働者たちの心のひだを見事に映し出した詩情的な作品。 コロナウイルス感染拡大で孤立感や喪失感が深まるなか、 人と人とのつながり、亡き伴侶への想い、自然との一体感を伝える静かな物語が、共感を呼んだ。

カメラクルーが半年間にわたって米国の田舎を転々としながら、 撮影を行った。 荒野、砂漠、森林、峡谷に主人公らが溶け込む様子を美しい映像で伝える。

過去数年のオスカー作品賞争いは、有力2作品による接戦が多かった。 しかし、本年度は、ノマドランドが前哨戦の序盤から独走を続け、 予想通りの受賞となった。

(公開:2021年3月26日)

 説明ページ→

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→

<受賞スピーチ▼>


<予告編▼>
  • 「ミナリ」
     ミナリ
    監督:リー・アイザック・チョン
    (公開:2021年3月19日)
    ※韓国系移民の家族ドラマ。 大都市ロサンゼルスから南部の田舎に移住し、農民としての新しい挑戦に挑む姿を描く。 「アメリカンドリーム」的な設定ではあるが、よくありがちな成功物語ではない。
    続きを開く▼▼

    移民国家らしい物語

    全米の独立系映画が集まる「サンダンス映画祭」(2020年)で、作品賞(グランプリ)と観客賞の2冠に輝いた。 2021年1月にノースカロライナ映画批評家協会賞の作品賞を受賞。「ノマドランド」の連勝にストップをかけた。 本年度オスカーの作品賞ノミネート作の中で映画評論家の評価スコアは98%。ノマドランドを上回った。 昨年の作品賞「パラサイト」と同じである。 移民国家であるアメリカにおいて、民族・人種を超えて共感を得た。

    リー・アイザック・チョン(Lee Isaac Chung)監督は韓国系アメリカ人。42歳。 本作の舞台であるアーカンソー州の農村地帯で育った。 ミナリは、監督の半自伝的なストーリーだという。
    これまでも独立系の渋い作品を手がけてきており、 日本のアニメ映画「君の名は。」のハリウッド実写版の監督を務めることが決まっている。

    本作で助演女優賞にノミネートされたユン・ヨジョンは、「韓国のメリル・ストリープ」とも言える超大物女優。 破天荒で毒舌家の祖母役を演じ、大好評を博した。 また、主役のスティーブン・ユアンは、アジア系で初めの主演男優賞ノミネートとなった。

    配給は、質の高いインディー映画で有名なアメリカの「A24」。 製作は、ブラッド・ピットが経営する「プランB」とA24が共同で手がけた。 つまり、2017年作品賞の名作「ムーンライト」と同じ布陣だ。 製作費は2億円と小規模。

    使用言語は韓国語と英語だが、韓国語のほうが多い。
     予告編→
     動画配信(Amazon)→

  • 「ファーザー」
     ファーザー
    監督:フロリアン・ゼレール
    (公開:2021年5月14日)
    ※認知症( アルツハイマー)に苦しむ男性の話。 彼は娘と同居することになるが、娘の手助けを拒否する。 親子関係を描く。主演はアンソニー・ホプキンス。 娘役にオリビア・コールマン。
    続きを開く▼▼

    ロッテントマト「98%」、ミナリと並びトップ

    評論家のレビュー集計サイト「ロッテン・トマト」で、98%の高評価を獲得した。 これは、本年度オスカー作品賞にノミネートされた作品の中で、ミナリと並び最も高い。

    フランスの小説家であるフローリアン・ゼレール氏が監督を務めた。 原作は、ゼレール氏の芝居「ルペール(Le Père)」。 脚本は、ゼレール氏とともに、イギリスの著名脚本家クリストファー・ハンプトン氏が共同執筆した。 ハンプトン氏は「危険な関係」(1988年)や「つぐない」で有名。「危険な関係」では、アカデミー賞の脚色賞を受賞した。

    配給はソニー・クラシック。
     予告編→
     動画配信(Amazon)→
     解説動画(シネコト)→

  • 「シカゴ7裁判」
     シカゴ7裁判
    監督:アーロン・ソーキン
    (公開:2020年10月)
     説明ページ→
     予告編→
     ネトフリ→

  • 「プロミシング・ヤング・ウーマン」
     プロミシング・ヤング・ウーマン
    監督:エメラルド・フェネル
    (公開:2021年7月16日)
    作品説明を開く▼
    復讐系スリラー。ダーク・コメディ的な要素を持つ。主演キャリー・マリガンの演技が絶賛された。

    主人公の女性は、かつて優れた医学生として将来を嘱望されていた。 しかし、医大を中退し、30歳になった現在はウエイストレスとして低賃金で働いている。 彼女医大からドロップアウトしたのは、 親友に対するレイプ事件を大学側がもみ消し、その親友が自殺に追い込まれたことがきっかけだった。 彼女は、その事件の復讐に執念を燃やしていた。

    監督のエメラルド・フェネルは女優出身。 Netflixドラマ「ザ・クラウン」のカミラ夫人役で知られる。現在35歳。 本作が監督としてのデビュー作となった。 自ら書き下ろした脚本も称賛された。 衝撃的なラストシーンも話題となった。
     予告編→
     動画配信(Amazon)→
     町山智浩ラジオ解説→

  • 「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」
     サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~
    監督:ダリウス・マーダー
    (公開:2020年12月アマゾン配信)
     動画配信(Amazon)→

  • 「Mank(マンク)」
     マンク
    監督:デヴィッド・フィンチャー
    (公開:2020年12月ネットフリックス配信)
    作品説明を開く▼
    ネットフリックス作品。

    映画の歴史の中で、最高の傑作の一つとして評価されている「市民ケーン」。 この映画の脚本を書いたハーマン・マンキーウィッツが主人公になっている。 彼が、若き巨匠・オーソン・ウェルズ監督から脚本の執筆者クレジットを勝ち取ろうとする姿を描く。

    デビッド・フィンチャー監督の6年ぶりの監督作品。 フィンチャーは「ソーシャル・ネットワーク」「ベンジャミン・バトン」「ファイト・クラブ」「セブン」など数々の名作を生んできた。 このうち、Facebookの創業者を描いた「ソーシャル・ネットワーク」(2010年)はオスカー作品賞を逃したが、 その後、歴史的な名作としての評価が定着した。 同じく絶賛された「ゴーン・ガール」以来の監督復帰である。

    フィンチャーの父親で、脚本家だったジャック・フィンチャーが書いた脚本に基づく。 主演はゲイリー・オールドマン。
     予告編→
     ネトフリ→
     宇多丸ラジオ解説→

  • 「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」
     ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償
    監督:シャカ・キング
    (DVDレンタル:2021年9月3日)
     予告編→
     ブルーレイ(Amazon)→
     町山ラジオ解説→

歴代の作品賞→

一覧表の上部に戻る↑
監督賞 クロエ・ジャオ

「ノマドランド」

クロエ・ジャオ

女性として史上2人目の監督賞。2010年のキャスリン・ビグロー(ハート・ロッカー)以来、11年ぶり。

1982年北京生まれの中国籍。 アメリカで映画を学び、そのまま米国に住みついた。 本作が長編3作目。38歳。

前年のポン・ジュノ監督(韓国人、パラサイト)に続いて、2年連続のアジア人の監督賞受賞。 前々年はメキシコ人のアルフォンソ・キュアロンが獲得しており、 3年連続の外国人の受賞となった。

 作品一覧→

 作品の特別映像→

 レビューや過去作の紹介動画(シネコト)→

 受賞スピーチ→


歴代の監督賞→

一覧表の上部に戻る↑
主演男優賞 アンソニー・ホプキンス

「ファーザー」

アンソニー・ホプキンス

83歳での栄冠。アカデミー賞の最高齢受賞の記録を塗り替えた。

1992年に「羊たちの沈黙」で同じ部門を受賞して以来29年ぶり2度目。 ノミネートは、助演部門を含めると今回で6度目だった。

アルツハイマーの高齢者を演じた。 自らの存在が足元から崩れる恐怖や怒り、葛藤といった複雑な感情を見事に表現した。 長いキャリアの中でも最高級と称賛された。

当初は、大腸がんで亡くなったチャドウィック・ボーズマンが最有力と予想されていたが、 賞レース終盤でホプキンスが英国アカデミー賞を獲るなど、追い上げた。

英国人。シェークスピア劇の出身。

 作品一覧→

 1992年の受賞スピーチ→

受賞スピーチ↓>

歴代の主演男優賞→

一覧表の上部に戻る↑
主演女優賞 フランシス・マクドーマンド

「ノマドランド」

フランシス・マクドーマンド

1997年「ファーゴ」、2018年「スリー・ビルホード」に続いて、3度目の受賞。 メリル・ストリープ、イングリッド・バーグマンら映画史に残る大御所たちに並んだ。 「主演」部門だけでの3度受賞となると、 4回のキャサリン・ヘプバーンと、3回のダニエル・デイ・ルイス(男優)に続く3人目の快挙。

本作では、物静かで地味な役柄を、説得力あふれるリアル感で演じた。 表情やしぐさによる繊細な演技が絶賛された。

共同プロデューサーとして作品賞も手にした。 原作となる本を読んで感銘を受け、 仲間とともに映画化権を取得。 ほとんど無名だった若手監督(クロエ・ジャオ)を指名し、プロジェクトを大成功へと導いた。

 作品一覧→

 本編映像→

 受賞スピーチ→


歴代の主演女優賞→

一覧表の上部に戻る↑
助演男優賞 ダニエル・カルーヤ

「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」

ダニエル・カルーヤ

「ゲット・アウト」(2018年)での主演男優賞ノミネート以来2度目の候補入りにして初のオスカー獲得となった。
黒人運動の指導者フレッド・ハンプトンを演じた。 スピーチ場面などでの言葉の説得力や、本人が乗り移ったかのようなカリスマ性は圧巻。 静かなシーンでもしっかりと魅せ、表現力の幅広さを証明した。
他のキャストとともに、 演技で魅了する秀作を実現。 なぜか「主演」のスタンフィールドまで、一緒に「助演」賞に一緒にノミネートされるというオマケもついた。

 作品一覧→

 動画(スピーチのシーン)→

 レビュー動画(シネコト)→

 受賞スピーチ→


歴代の助演男優賞→

一覧表の上部に戻る↑
助演女優賞 ユン・ヨジョン

「ミナリ」

ユン・ヨジョン

韓国映画界の発展を長年にわたって引っ張ってきた大物女優。
本作では、破天荒なおばあちゃん役を演じた。 韓国語にブロークン英語を交えたコミカルな芝居。 顔の表情やしぐさも含めて、超ベテランならではの名演で笑いと涙を誘った。

韓国人として俳優部門での初受賞。 前年のポン・ジュノ監督(パラサイト)に続く韓国映画界の栄冠。 アジア人の俳優部門の受賞は、1985年にハイン・ニョール(カンボジア人)が「キリング・フィールド」で助演男優賞を受賞して以来、36年ぶり。

授賞式でのスピーチも好評だった。

 作品一覧→

 映画のシーン→

 受賞スピーチ→


歴代の受賞者(助演女優賞)→

一覧表の上部に戻る↑
長編アニメ賞 「ソウルフル・ワールド」

(ピクサー)

ソウルフル・ワールド

ピクサーの歴史の残る傑作の一つと称賛された。
事故で命をおとし、ソウル(魂)になった男性が主人公。 彼は音楽教師で、長年の夢だった音楽家としての演奏デビューのチャンスが目前に迫っていた。 現世に戻る冒険の中で、生命と向き合う。
コロナの影響で劇場公開されなかった。

(公開:2020年12月25日、ディズニープラス配信)

 予告編→

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→

 動画配信(ディズニープラス)→

 受賞スピーチ→

 レビュー動画(ツッチ)→

歴代のアニメ賞→

一覧表の上部に戻る↑
脚本賞 「プロミシング・ヤング・ウーマン」

(脚本家:エメラルド・フェネル)

プロミシング・ヤング・ウーマン

 受賞スピーチ→

 レビューと脚本解説(シネコト)→
  • 「シカゴ7裁判」
    (脚本家:アーロン・ソーキン)
     シカゴ7裁判
     ネタバレ解説(シネコト)→

  • 「ミナリ」
    (脚本家:リー・アイザック・チョン)
     ミナリ

  • 「サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~」
    (脚本家:ダリウス・マーダー、エイブラハム・マーダー)
     サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~

  • 「ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償」
    (脚本家:ウィル・バーソン、シャカ・キング)
     ユダ&ブラック・メシア 裏切りの代償

歴代の脚本賞→

一覧表の上部に戻る↑
脚色賞 「ファーザー」

(脚本家:クリストファー・ハンプトン、フロリアン・ゼレール)

ファーザー

 受賞スピーチ→

 解説動画(シネコト)→

歴代の脚色賞→

一覧表の上部に戻る↑
国際映画賞 「アナザーラウンド」

(デンマーク)

アナザーラウンド

※デンマークを代表するトマス・ヴィンターベア監督の作品。 酒の魔力にのめり込む男たちの物語。 主人公の高校教師が、同僚3人と「アルコール摂取によって人生を劇的に良くする」という理論の実践を試みる。 すると、冷え切った家族関係が改善し、授業も絶好調になった。男たちはさらなる効果を求め、強い酒に手を出す。

日本からは「朝が来る」(河瀬直美監督)が出品されたが、ノミネート候補作品(ショートリスト)に入らなかった。

(公開:2021年9月3日)

 予告編→

 受賞スピーチ→

 町山ラジオ解説→
  • 「少年の君」
     少年の君
    (香港)
    (公開:2021年7月16日)
     予告編→

  • 「コレクティブ 国家の嘘」
     コレクティブ 国家の嘘
    (ルーマニア)
    (公開:2021年10月2日)
     予告編→
     町山解説→

  • 「皮膚を売った男」
     皮膚を売った男
    (チュニジア)
    (公開:2021年11月12日)
     予告編→

  • 「アイダよ、何処へ?」
     アイダよ、何処へ?
    (ボスニア、ヘルツェゴビナ)
    (公開:2021年9月17日)
     予告編→

歴代の国際映画賞→

一覧表の上部に戻る↑

 ※2021年の全部門を見る→

2020年(第92回)

  • ■ 作品賞:
    「パラサイト 半地下の家族」
  • ■ 最多受賞:
    「パラサイト 半地下の家族」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ジョーカー」(11個)

2020年の全部門の一覧は特集ページ→へ。

韓国「パラサイト」が作品賞。非英語の作品で史上初の快挙

韓国映画「パラサイト 半地下の家族」が作品賞を受賞。英語以外の映画として史上初の快挙となりました。監督賞や脚本賞なども獲り、最多4冠に輝きました。

2021年↑ | 2020年 | 2019年↓

2020年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「パラサイト 半地下の家族」

パラサイト 半地下の家族

【配信:アマゾン

監督:ポン・ジュノ

韓国映画としてはもちろん、英語以外の映画として史上初の作品賞に輝いた。まさに歴史的な快挙だった。

「半地下住宅」という劣悪な生活環境で暮らす貧しい家族が主人公。 貧富の格差などがテーマ。ドラマ、コメディ、サスペンス、風刺、ホラー、悲劇、社会への問題提起など、 あらゆる要素がダイナミックに交錯する傑作との称賛を浴びた。

ポン・ジュノ監督は「母なる証明」「殺人の追憶」が世界で絶賛され、映画評論家や映画通の間では神的な存在ではあった。しかし、一般の米国人は知られておらず、当初は、本作の作品賞獲得を予想する声は少なかった。

アメリカ人は業界関係者であっても字幕で映画を見ることにそれほど慣れていない。字幕映画という点はやはり不利。しかし、芸術性だけでなく、シンプルな娯楽性という点において傑出した本作は、エンタメ映画として幅広い層から熱烈な支持を得ることに成功した。

終盤にはハリウッドの業界人の間でも応援団的な動きが出てきた。 過去数年で海外のアカデミー会員(日本でいえば北野武、是枝裕和)が増えたことも追い風になったようだ。

この後、韓国音楽グループ「BTS」、韓国ドラマ「イカゲーム」などが世界を席巻し、コンテンツ大国としての存在感を発揮することとなった。

(公開:2020年1月10日)

 説明ページ→

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 授賞式の発表の瞬間(動画)→
  • 1917 命をかけた伝令
    1917 命をかけた伝令
    監督:サム・メンデス
    ※戦争映画であり、ハリウッドらしい大作。主人公たちをカメラが切れ目なく追いかけているように見せる撮影手法など技術面で高い評価を受けた。「IMAX」の映画館で鑑賞したときの臨場感も称賛の的。 Netflixのようなネット配信が映画館の存在を脅かすなかで、「劇場体験」の凄さを味わえる大作としてプッシュする声が拡大した。 戦争映画としては「プライベート・ライアン」(1998年)以来の傑作という声も出た。 サム・メンデス監督はデビュー作「アメリカン・ビューティー」で2020年に作品賞と監督賞を受賞しており、20年ぶりに本命候補に名をつらねた。
    オスカー前哨戦の中で最も重要視されている「PGA(全米プロデューサー組合賞)」で作品賞を獲得。 ゴールデングローブ賞も制し、受賞歴では本年トップ。
    第一次世界大戦下のフランス北部が舞台。 主人公は、英国軍の若い兵士2人。 1600人の友軍兵士を救うため、 重要な伝令を担って、 危険な戦場を駆ける。
    (公開:2020年2月14日)  予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
     解説→
  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    監督:クエンティン・タランティーノ
    ※やや落ち目の俳優とその専属スタントマンの2人を主人公とする愉快なドラマ。略称「ワンハリ」。 作品の舞台が「1960年代のアメリカ映画業界」になっており、 ハリウッドへのノスタルジーと愛情に満ちている。 内輪ネタが好きなアカデミー賞の投票権者から支持を得た。
    オスカー前哨戦の序盤では「アイリッシュマン」に負け続けたが、 年明けの放送映画批評家協会賞で作品賞を獲得。 アイリッシュマンと入れ替わる形で有力候補に浮上した。 過去のタランティーノの数々の業績も大きなプラス材料となり、最後まで本命候補の一角を占めた。
    (公開:2019年8月)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
     解説→
  • ジョーカー
    ジョーカー
    監督:トッド・フィリップス
    ※大人気漫画「バットマン」の悪役ジョーカーが主人公。 孤独な大道芸人が、凶悪な犯罪者へと変貌する過程を描く。
    世界で記録的な大ヒットとなった勢いに乗り、最多となる11部門にノミネートされた。 コミック映画でありながら、ドラマ性を重視したダークな作風に挑戦し、見事に成功させた業績が評価された。 興行収入は本年度の候補作の中で断トツの1位。
    賞レースの序盤では、伝統のある「ベネチア国際映画祭」でいきなり作品賞を受賞した。 だが、アメリカ国内の評論家や映画ファンの評判は、賛否両論に分かれた。 ロッテン・トマトのスコアは69%。作品賞候補作の中で最も低かった。
    低評価の理由としては、 「ややチープな政治的意見を前面に出すぎている」 「マーティン・スコセッシ監督の『タクシー・ドライバー』『キング・オブ・コメディ』など過去の映画の焼き直しだ。新鮮さがない」 「暴力に対する批判的な視点が足りない」 などが挙げられている。
    それでも、主役ホアキン・フェニックスの演技については、絶賛の一色だった。
    (公開:2019年10月)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
  • アイリッシュマン
    アイリッシュマン
    監督:マーティン・スコセッシ
    ※巨匠スコセッシ監督のマフィア映画。ネットフリックス(Netflix)のオリジナル作品。 主演はロバート・デ・ニーロ。 スコセッシとデニーロのコンビは、 「タクシードライバー」「レイジング・ブル」「グッドフェローズ」といった歴史的な名作を生んだが、今回はそれらに匹敵する出来栄えと評価された。
    賞レースの序盤戦で快走したが、盛り上がりが持続せず、 終盤に入って失速した。 3時間30分という上映時間が長すぎること、 主人公(マフィアの殺し屋)に共感しづらい、 などが失速の原因として指摘された。
    (公開:2019年11月)
     解説→
     Netflix→
     予告編→
     特別映像→
  • マリッジ・ストーリー
    マリッジ・ストーリー
    監督:ノア・バームバック
    ※ネットフリックス(Netflix)のオリジナル映画。離婚問題に直面する夫婦の愛憎劇。 夫はニューヨークで活動する舞台監督。 妻は女優であり、ロサンゼルスで息子とともに再出発をしようとする。 1980年のアカデミー賞で作品賞を受賞した「クレイマー・クレイマー」の21世紀版とも受け止められた。
    ノア・バームバック監督は「フランシス・ハ」などで知られる。 会話劇を得意とするバームバックのスキルがいかんなく発揮された。
    夫役のアダム・ドライバーと妻役のスカーレット・ヨハンソンがぞれぞれ主演でノミネート入り。 離婚専門の攻撃的な弁護士を演じたローラ・ダーンが助演女優賞に輝いた。
    (公開:2019年11月)  予告編→
     Netflix→
     解説→
  • フォードvsフェラーリ
    フォードvsフェラーリ
    監督:ジェームズ・マンゴールド
    ※大衆から評論家まで幅広く愛された王道ハリウッド映画。
    世界の3大自動車レースの一つ、「ル・マン24時間レース」の実話に基づいている。 時代設定は1963年。 カーレース界で王者に君臨していたイタリアのフェラーリに対して、米フォードがプライドを賭けて挑む。 フォードの技術者(マット・デイモン)と、ドライバーに抜擢された英国人の型破りなレーサー(クリスチャン・ベール)の友情がストーリーの軸になる。

    (公開:2020年1月10日)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
  • ジョジョ・ラビット
    ジョジョ・ラビット
    監督:タイカ・ワイティティ
    ※ナチスが権力を握った第二次世界大戦下のドイツが舞台。コメディとしてのユーモアや風刺を貫きながら、問題の本質に迫った姿勢が称賛された。マーベル映画「マイティ・ソー バトルロイヤル」を成功させたタイカ・ワイティティ監督の辛口のユーモア・センスが光る。
    主人公の少年は、アドルフ・ヒトラーを空想上の友達にするが、 自分の母親(スカーレット・ヨハンソン)がユダヤ人の少女をかくまっているのを見つけた。
    アカデミー賞の前哨戦の中で、 最も有力な試金石の一つとなるトロント国際映画祭において、 最高賞の「観客賞」を受賞した。
    (公開:2020年1月17日)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→
  • ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
    ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
    監督:グレタ・ガーウィグ
    ※名作文学「若草物語」の映画化。 感動もの。南北戦争下のアメリカを舞台に、 田舎の四姉妹の成長ドラマを描く。
    監督は、アカデミー賞作品賞ノミネートの「レディ・バード」で大絶賛されたグレタ・ガーウィグ。 主演は、「レディ・バード」「ブルックリン」で2度アカデミー賞主演女優賞にノミネートされたシアーシャ・ローナン。
    若草物語はこれまでに何度か映画化されてきたが、 今回はシニカルで現代的なタッチで知られるガーウィグ監督が独特な脚色を加えた。 アメリカでは、主に白人女性の映画ファンから絶大な支持を得た。
    (公開:2020年6月12日)
     予告編→
     字幕版(Amazon)→
     吹替版(Amazon)→

 ※歴代の受賞作(作品賞)→
監督賞 ポン・ジュノ

「パラサイト 半地下の家族」

韓国人として初の監督賞。アジア人としてはアン・リー監督(台湾)以来、2人目。

強烈なオリジナリティにあふれる作品をつくったことが、 大絶賛された。 オスカー前哨戦の授賞式や受賞スピーチでの落ち着きと愛嬌を備えた振る舞いも好感された。

 作品一覧→

 受賞スピーチ(動画)と日本語訳→
  • サム・メンデス
    「1917 命をかけた伝令」
    ※作品の技術面における到達度の高さが評価された。 前哨戦では、最大の山場となるDGA(全米監督組合賞)を制した。 戦争に従軍した祖父から子供のころに聞いた話を自ら脚本化し、大作映画に仕上げた。 デビュー作「アメリカン・ビューティー」以来20年ぶりの受賞が有力視されたが、惜しくも落選した。
     作品一覧→
  • クエンティン・タランティーノ
    「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
     作品一覧→
  • マーティン・スコセッシ
    「アイリッシュマン」
     作品一覧→
  • トッド・フィリップス
    「ジョーカー」
     作品一覧→

 歴代の受賞者(監督賞)→
主演男優賞 ホアキン・フェニックス

「ジョーカー」

初のオスカー獲得。 過去に「グラディエーター」「ウォーク・ザ・ライン」「ザ・マスター」でノミネートされた。
作品「ジョーカー」に対しては好き嫌いがはっきり分かれたが、フェニックスの演技に対しては賛美一色となった。

 作品一覧→
  • アントニオ・バンデラス
    「ペイン・アンド・グローリー」
    ※長いキャリアの中で最高の演技と称賛された。
     作品一覧→
  • アダム・ドライバー
    「マリッジ・ストーリー」
    ※インディー系のドラマからスター・ウォーズのようなSF大作まで、 どんな仕事でも輝かしい仕事ぶりを見せていた。 マリッジ・ストーリーでの演技は、ホアキン・フェニックスのような派手さはないが、多くの人の心をわしづかみにした。
     作品一覧→
  • レオナルド・ディカプリオ
    「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
     作品一覧→
  • ジョナサン・プライス
    「2人のローマ教皇」
     作品一覧→

 ※歴代の主演男優賞→
主演女優賞 レネー・ゼルウィガー

ジュディ 虹の彼方に

伝説のミュージカル女優を見事に演じきった。 しばらくトップ女優の座とは縁遠かったが、見事なカムバックを果たした。2004年に「コールド・マウンテン」で助演女優賞を受賞して以来、 16年ぶり2度目のオスカー獲得となった。

17歳にして一躍スターダムに駆け上がるものの、47歳の死まで波乱の女優人生を送ったジュディの最期の日々と、起死回生を懸けたラスト・ステージの裏側を描く。ゼルウィガーは、圧倒的なパフォーマンスで全曲を自ら歌い上げた。さらに、女性としての苦悩も表現した。

 作品一覧→

 レッドカーペット→

 受賞発表とスピーチ(動画)→

 ※歴代の主演女優賞→
助演男優賞 ブラッド・ピット

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」

55歳にしてキャリア最高の演技を見せた。 主演のレオナルド・ディカプリオも名演だったが、 強烈な存在感とカッコよさで老若男女を絶句させたブラピには、 絶賛の嵐が沸き起こった。

過去にプロデューサーとして「それでも夜は明ける」で作品賞を受賞。 役者としては4度目のノミネートで初の受賞となった。

 作品一覧→

 ※歴代の助演男優賞→
助演女優賞 ローラ・ダーン

「マリッジ・ストーリー」

離婚専門の攻撃的な弁護士を、リアルに演じた。 モデルとなったセレブご用達の離婚弁護士ローラ・ワッサーの百戦錬磨ぶりを見事に表現した。 とりわけ最初の法律相談や法廷でのシーンの演技は極めて評判が良い。

俳優の組合活動にも熱心で、業界内部での信頼が厚い。

 作品一覧→
  • マーゴット・ロビー
    「スキャンダル」
     作品一覧→
  • スカーレット・ヨハンソン
    「ジョジョ・ラビット」
    ※輝かしいキャリアと様々な映画賞の受賞歴を持ちながら、 なんと、アカデミー賞は初のノミネート。
     作品一覧→
  • フローレンス・ピュー
    「ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語」
     作品一覧→
  • キャシー・ベイツ
    「リチャード・ジュエル」
     作品一覧→

 ※歴代の助演女優賞→
長編アニメ賞 トイ・ストーリー4
※ロッテン・トマトで「97」という驚異の高スコアを獲得。 前作の「トイ・ストーリー3」ほどではないが、やはりピクサーの歴史に名を残す秀作として称賛された。

アニー賞で「クロース」に敗れた。 ゴールデングローブ賞では「ミッシング・リンク」に敗北を喫した。 それでもPGA(プロデューサー組合賞)などの前哨戦で勝利した。

同じディズニーの「アナと雪の女王2」がノミネートから漏れたことで、ディズニー陣営も危機感を抱き、 必死に賞獲りに乗り出した。

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→
  • クロース
    ※ネットフリックス作品。サンタ・クロースの誕生プロセスを描く。 アニメ映画の最高峰であるアニー賞で、トイ・ストーリー4をおさえて作品賞に輝いた。
    ディズニー・ピクサー連合の続編(シリーズもの)が興行収入トップを独占するなかで、 本作のような優れたオリジナル作品への期待が一段と高まった。
     予告編→
     Netflix→
  • 失くした体
     予告編→
     Netflix→
  • ヒックとドラゴン 聖地への冒険
    (公開:2019年12月20日)
     予告編→
  • ミッシング・リンク 英国紳士と秘密の相棒
    (公開:2020年11月)
     予告編→

 ※歴代のアニメ賞→
国際映画賞(外国語映画賞) パラサイト 半地下の家族

 (韓国)

 公開:2020年1月10日

 予告編→

 字幕版(Amazon)→

 吹替版(Amazon)→

パラサイト 半地下の家族

 ※歴代の国際映画賞→
脚本賞 パラサイト 半地下の家族

 ポン・ジュノ、ハン・ジンウォン
  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    クエンティン・タランティーノ
  • マリッジ・ストーリー
    ノア・バームバック
  • ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密
    ライアン・ジョンソン
  • 1917 命をかけた伝令
    サム・メンデス
    クリスティ・ウィルソン=ケアンズ

 ※歴代の脚本賞→
脚色賞 ジョジョ・ラビット

 タイカ・ワイティティ
  • ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語
    グレタ・ガーウィグ
  • アイリッシュマン
    スティーブン・ザイリアン
  • 2人のローマ教皇
    アンソニー・マクカーテン
  • ジョーカー
    トッド・フィリップス、スコット・シルバー

 ※歴代の脚色賞→
衣装賞 ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語

(ジャクリーン・デュラン)

 解説動画(英語)→
  • ジョジョ・ラビット
    (マイェス・C・ルベオ)
     解説動画(英語)→
  • ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド
    (アリアンヌ・フィリップス)
     解説動画(英語)→
  • アイリッシュマン
    (サンディ・パウエル&クリストファー・ピーターソン)
     解説動画(英語)→
  • ジョーカー
    (マーク・ブリッジス)

 ※歴代の衣装賞→

※2020年の全部門(結果・解説・作品の評価)を見る→

2010年代

 | 2019 | 2018 | 2017 | 2016 | 2015 | 2014 | 2013 | 2012 | 2011 | 2010 | 

2019年(第91回)

  • ■ 作品賞:
    「グリーンブック」
  • ■ 最多受賞:
    「ボヘミアン・ラプソディ」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ROMA/ローマ、女王陛下のお気に入り」(10個)

「グリーンブック」が、最有力候補と見られていた「ROMA/ローマ」を破り、作品賞を獲得しました。日本で超大ヒットした「ボヘミアン・ラプソディ」は主演男優賞など最多4部門を獲得しました。

2020年↑ | 2019年 | 2018年↓

2019年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「グリーンブック」

グリーンブック

【配信:アマゾン

監督:ピーター・ファレリー

黒人ピアニストと白人運転手の友情を描く。 実話に基づいた物語。心温まる内容。

時は1962年。 既にニューヨークを拠点に音楽界で大成功を収めていたシャーリーが、人種差別が悪質な米国南部へと演奏ツアーに向かう。 その専属運転手として、イタリア系の用心棒トニーが雇われる。 エリート教育を受けてきた知性派の黒人シャーリーと、 労働者階級の白人トニーのやり取りがコミカルに描写されている。

トニーの実の息子が50年の時を経て脚本を書いた。 ピーター・ファレリー監督は、「メリーに首ったけ」などコメディー映画で知られる。 いわゆるロードムービーであるとともに、クリスマス映画でもある。

ネットフリックスの白黒映画「ROMA/ローマ」との一騎打ちの展開。 事前予想ではローマが有力視されていた。 しかし、大衆的な面白味にあふれたグリーンブックが栄冠を手にした。

(公開:2019年3月1日)

 説明ページ→

<受賞スピーチ▼>


<予告編▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→
監督賞 アルフォンソ・キュアロン
「ROMA/ローマ」

※メキシコ人。
  • スパイク・リー
    「ブラック・クランズマン」
  • ヨルゴス・ランティモス
    「女王陛下のお気に入り」
  • アダム・マッケイ
    「バイス」
  • パヴェウ・パヴリコフスキ
    「COLD WAR あの歌、2つの心」
     作品一覧(マイ・サマー・オブ・ラブ→イーダ→

 歴代の受賞者→
主演男優賞 ラミ・マレック
「ボヘミアン・ラプソディ」

クイーンのフレディ・マーキュリーを演じた。アラブ人で初の主演男優賞となった。

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • クリスチャン・ベイル
    「バイス」
     作品一覧→
  • ブラッドリー・クーパー
    「アリー/スター誕生」
     作品一覧→
  • ヴィゴ・モーテンセン
    「グリーンブック」
     作品一覧→
  • ウィレム・デフォー
    「永遠の門 ゴッホの見た未来」
     作品一覧→

 歴代の受賞者→
主演女優賞 オリビア・コールマン
「女王陛下のお気に入り」

 受賞スピーチ→
  • グレン・クローズ
    「天才作家の妻 -40年目の真実-」
  • レディー・ガガ
    「アリー/スター誕生」
  • メリッサ・マッカーシー
    「ある女流作家の罪と罰」
  • ヤリツァ・アパリシオ
    「ROMA/ローマ」

 歴代の受賞者→
助演男優賞 マハーシャラ・アリ
「グリーンブック」
  • リチャード・E・グラント
    「ある女流作家の罪と罰」
  • サム・エリオット
    「アリー/スター誕生」
  • アダム・ドライバー
    「ブラック・クランズマン」
  • サム・ロックウェル
    「バイス」

 歴代の受賞者→
助演女優賞 レジーナ・キング
「ビール・ストリートの恋人たち」
  • レイチェル・ワイズ
    「女王陛下のお気に入り」
  • エマ・ストーン
    「女王陛下のお気に入り」
  • エイミー・アダムス
    「バイス」
  • マリーナ・デ・タビラ
    「ROMA/ローマ」

 歴代の受賞者→
長編アニメ賞 スパイダーマン:スパイダーバース

(公開:2019年3月8日)

 予告編(字幕版、Amazon)→

 予告編(吹替版、Amazon)→

 歴代の受賞作→
外国語映画賞 ROMA/ローマ

(メキシコ)

(公開:2018年12月からNetflixで配信)

 予告編→

 Netflix→

アルフォンソ・キュアロン監督が、自身の少年期を投影して製作したNetflixオリジナルのヒューマンドラマ。中産階級の家で家政婦をする女性を通して、政治的混乱の渦中にあった1970年初頭のメキシコでの1年を描く。アカデミー賞では、外国語映画賞のほか、監督賞など計3部門を受賞した。主演は本作で女優デビューを果たしたヤリッツァ・アパリシオ。

 歴代の受賞作→
脚本賞 グリーンブック

 ピーター・ファレリー
 ニック・バレロンガ
 ブライアン・クリー

 予告編→

 歴代の受賞作→
脚色賞 ブラック・クランズマン

 スパイク・リー
 デヴィッド・ラビノウィッツ
 ケヴィン・ウィルモット
 チャーリー・ワクテル

 受賞スピーチ(動画)→
  • ある女流作家の罪と罰
    ニコール・ホロフセナー、ジェフ・ウィッティ
     予告編→
  • ビール・ストリートの恋人たち
    バリー・ジェンキンス
  • バスターのバラード
    コーエン兄弟
     予告編→
  • アリー/スター誕生
    エリック・ロス、ブラッドリー・クーパー、ウィル・フェッターズ

 歴代の受賞作→
衣装デザイン賞 ブラックパンサー

(ルース・E・カーター)

 解説動画(英語)→

 歴代の受賞作→
長編ドキュメンタリー賞 Free Solo(原題)

(監督:エリザベス・チャイ・バサヒリー、ジミー・チン)

 予告編(字幕なし)→

 歴代の受賞作→

2018年(第90回)

  • ■ 作品賞:
    「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • ■ 最多受賞:
    「シェイプ・オブ・ウォーター」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「シェイプ・オブ・ウォーター」(11個)

「シェイプ・オブ・ウォーター」と「スリー・ビルホード」の一騎打ちとなりました。前哨戦で熾烈な争いを展開していた2作品。オスカーでは、ダークな社会ドラマである「スリー・ビルホード」でなく、ゴージャスなファンタジー「シェイプ・オブ・ウォーター」に軍配が上がりました。

2019年↑ | 2018年 | 2017年↓

2018年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「シェイプ・オブ・ウォーター」

シェイプ・オブ・ウォーター

【配信:アマゾン

監督:ギレルモ・デル・トロ

半魚人と女性のラブロマンス映画。ファンタジーもの。美しいおとぎ話である。 「怪獣もの映画として初のオスカー作品賞」とも言われる。

ヒレやウロコのある生々しい半魚人。最初は恐ろしい怪人に見えるが、だんだんとイケメンに見えてくる。 ヒロインの女性は発声に障害があり、口がきけない。簡単な手話や音楽で、半魚人と心を通わせていく。

監督は、メキシコ人のギレルモ・デル・トロ(当時53歳)。 怪獣や特撮を愛するオタク系であり、親日派。 特殊メイクの助手として映画界に入った。 「パンズ・ラビリンス」(2006年)でアカデミー賞3部門を獲得した。

前哨戦では、社会派ドラマ「スリー・ビルボード」と勝利を二分していた。 オスカーでは、華やかさや視覚的な芸術性で上回るシェイプ・オブ・ウォーターが勝利した。

(日本公開:2018年3月1日)

 説明ページ→

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→
長編アニメ賞 リメンバー・ミー

監督賞 ギレルモ・デル・トロ
(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • クリストファー・ノーラン(ダンケルク)
  • ジョーダン・ピール(ゲット・アウト)
  • グレタ・ガーウィグ(レディ・バード)
  • ポール・トーマス・アンダーソン(ファントム・スレッド)
主演男優賞 ゲイリー・オールドマン
(ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男)
  • デンゼル・ワシントン
    「ローマンという名の男 -信念の行方-」
  • ダニエル・デイ・ルイス
    「ファントム・スレッド」
  • ティモシー・シャラメ
    「君の名前で僕を呼んで」
  • ダニエル・カルーヤ
    「ゲット・アウト」
主演女優賞 フランシス・マクドーマンド
「スリー・ビルボード」

 受賞スピーチ→
  • メリル・ストリープ
    「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」
  • サリー・ホーキンス
    「シェイプ・オブ・ウォーター」
  • シアーシャ・ローナン
    「レディ・バード」
  • マーゴット・ロビー
    「アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル」
助演男優賞 サム・ロックウェル
(スリー・ビルボード)
  • ウディ・ハレルソン(スリー・ビルボード)
  • ウィレム・デフォー(フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法)
  • リチャード・ジェンキンス(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • クリストファー・プラマー(ゲティ家の身代金)
助演女優賞 アリソン・ジャニー
(アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル)
  • メアリー・J・ブライジ(マッドバウンド 哀しき友情)
  • ローリー・メトカーフ(レディ・バード)
  • オクタビア・スペンサー(シェイプ・オブ・ウォーター)
  • レスリー・マンビル(ファントム・スレッド)
脚本賞 ゲット・アウト

(ジョーダン・ピール)

 予告編(Amazon)→
  • ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ
    (エミリー・V・ゴードン、クメイル・ナンジアニ)
     予告編(Amazon)→
  • スリー・ビルボード
    (マーチン・マクドナー)
  • シェイプ・オブ・ウォーター
    (ギレルモ・デル・トロ&ヴァネッサ・テイラー)
  • レディ・バード
    (グレタ・ガーウィグ)
脚色賞 君の名前で僕を呼んで

(ジェームズ・アイボリー)

 予告編(Amazon)→
  • モリーズ・ゲーム
    (アーロン・ソーキン)
     予告編(Amazon)→
  • ローガン
    (ジェームズ・マンゴールド、スコット・フランク、マイケル・グリーン)
     予告編(Amazon)→
  • ディザスター・アーティスト
    (スコット・ノイスタッター、マイケル・H・ウェバー)
     予告編(Amazon)→
  • マッドバウンド 哀しき友情
    (バージル・ウィリアムズ、ディー・リース)
     Netflix→
外国語映画賞 ナチュラルウーマン

(チリ)

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→
長編ドキュメンタリー賞 イカロス

 Netflix→

 予告編→
衣装デザイン賞 ファントム・スレッド

(マーク・ブリッジス)

 予告編(Amazon)→
  • 「美女と野獣」(ジャクリーヌ・デュラン)
  • 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」(ジャクリーヌ・デュラン)
  • 「シェイプ・オブ・ウォーター」(ルイス・セケイラ)
  • 「ヴィクトリア女王 最期の秘密」(コンソラータ・ボイル)
メイクアップ&ヘアスタイリング賞 「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」
辻一弘、デヴィッド・マリノフスキ、ルーシー・シビック)
  • 「ヴィクトリア女王 最期の秘密」
  • 「ワンダー 君は太陽」

2017年(第89回)

  • ■ 作品賞:
    「ムーンライト」
  • ■ 最多受賞:
    「ラ・ラ・ランド」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ラ・ラ・ランド」(14個)

ハリウッド的な華々しさに満ちた傑作ミュージカル「ラ・ラ・ランド」が作品賞の最有力候補と見られていました。 ただ、黒人男性の半生記「ムーンライト」も、映画評論家から絶大な支持を受けており、勢いがありました。 結果は、骨太で時代性を濃く反映させたムーンライトの勝利となりました。ムーンライトの製作費は1.5億ドルで、ラ・ラ・ランドの20分の1。 製作・配給は、新興の独立系「A24」。米国映画界のダイナミズムを示す歴史的な勝利となりました。

2018年↑ | 2017年 | 2016年↓

2017年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ムーンライト」

ムーンライト

【配信:配信:アマゾン

監督:バリー・ジェンキンズ

製作費1.5億円という小規模予算。 正真正銘のインディー映画である。

主人公はゲイの黒人。 いじめ、差別、貧困に直面しながら生きる姿が、静かな語り口で描かれる。 子供時代、高校時代、大人時代の3部に分かれている。 美しい映像と音楽とともに、主人公の内面へ引き込む力が、高い評価を得た。

黒人のバリー・ジェンキンス監督は37歳。本作が長編2作目となった。 登場人物もほとんどが黒人。 このうち、麻薬の売人を演じるマハーシャラ・アリが助演男優賞を受賞した。

配給は、質の高いインディー映画で有名なアメリカの「A24」。 製作は、ブラッド・ピットが経営する「プランB」とA24が共同で手がけた。

事前予想では、ミュージカル映画「ラ・ラ・ランド」が最有力との声が圧倒的に多かった。 とはいえ、批評家からの評価は「ムーンライト」のほうが、やや上だった。 両作品とも、歴史に残る傑作として語り継がれている。


<受賞発表のハプニング映像>

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 宇多丸の解説→

 説明ページ→
長編アニメ賞 ズートピア

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
監督賞 デミアン・チャゼル
(ラ・ラ・ランド)

オリジナルの曲と脚本で、廃れつつあった古典ミュージカルのスタイルを復活させた。 学生時代から構想を温めていたという。当時32歳。史上最年少の受賞となった。
  • バリー・ジェンキンズ(ムーンライト)
  • ケネス・ロナーガン(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
  • ドゥニ・ヴィルヌーヴ(メッセージ)
  • メル・ギブソン(ハクソー・リッジ 命の戦場)
主演男優賞 ケイシー・アフレック
(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
  • ライアン・ゴズリング(ラ・ラ・ランド)
  • デンゼル・ワシントン(フェンス)
  • アンドリュー・ガーフィールド(ハクソー・リッジ 命の戦場)
  • ヴィゴ・モーテンセン(はじまりへの旅)
主演女優賞 エマ・ストーン
「ラ・ラ・ランド」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • イザベル・ユペール
    「エル Elle」
  • ルース・ネッガ
    「ラビング 愛という名前のふたり」
  • ナタリー・ポートマン
    「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」
  • メリル・ストリープ
    「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」
助演男優賞 マハーシャラ・アリ
(ムーンライト)
  • ジェフ・ブリッジス(最後の追跡)
  • デヴ・パテル(LION/ライオン 25年目のただいま)
  • マイケル・シャノン(ノクターナル・アニマルズ)
  • ルーカス・ヘッジズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
助演女優賞 ビオラ・デイビス
(フェンス)
  • ミシェル・ウィリアムズ(マンチェスター・バイ・ザ・シー)
  • ナオミ・ハリス(ムーンライト)
  • ニコール・キッドマン(LION/ライオン 25年目のただいま)
  • オクタビア・スペンサー(ドリーム)
脚本賞 マンチェスター・バイ・ザ・シー
(ケネス・ロナーガン)
  • 「最後の追跡」(テイラー・シェリダン)
  • 「ラ・ラ・ランド」(デミアン・チャゼル)
  • 「ロブスター」(ヨルゴス・ランティモス、エフティミス・フィリプ)
  • 「20センチュリー・ウーマン」(マイク・ミルズ)
脚色賞 ムーンライト
(バリー・ジェンキンス、タレル・アルビン・マクレイニー)
  • 「メッセージ」(エリック・ハイセラー)
  • 「フェンス」(オーガスト・ウィルソン)
  • 「ドリーム」(セオドア・メルフィ、アリソン・シュローダー)
  • 「LION/ライオン 25年目のただいま」(ルーク・デイビス)
外国語映画賞 セールスマン

(イラン)

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→
長編ドキュメンタリー賞 O.J.:メイド・イン・アメリカ
(監督:エズラ・エデルマン)

予告編(字幕なし)→
  • 「海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~」
  • 「私はあなたの二グロではない」
  • 「ぼくと魔法の言葉たち」
  • 「13TH -憲法修正第13条-」
衣装デザイン賞 ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅
(コリーン・アトウッド)

 Netflix→
  • 「ラ・ラ・ランド」(メアリー・ゾフレス)
  • 「ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命」(マデリーン・フォンテーヌ)
  • 「マダム・フローレンス! 夢見るふたり」(コンソラータ・ボイル)
  • 「マリアンヌ」(ジョアンナ・ジョンストン)

2016年(第88回)

  • ■ 作品賞:
    「スポットライト 世紀のスクープ」
  • ■ 最多受賞:
    「マッドマックス 怒りのデスロード」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「レヴェナント 蘇りし者」(12個)

豊作の年でした。作品賞は「スポットライト」「レヴェナント」「マネー・ショート」による三つ巴の争い。さらに「マッドマックス」「オデッセイ」も強力な候補でした。 前哨戦のPGAではマネー・ショートが勝ち、ゴールデングローブ賞ではレヴェナントが勝利。 有力紙LAタイムズはマネー・ショートを予想していました。 結局、大混戦を制したのは「スポットライト」でした。社会的なインパクトの大きさがアカデミー会員に幅広く評価されたと見られます。脚本賞とのわずか2部門での受賞だったことが、この年の豊作ぶりを物語っています。
そして何といってもレオナルド・ディカプリオ(レヴェナント)がついにオスカーを獲得した年として記憶されています。

2017年↑ | 2016年 | 2015年↓

2016年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「スポットライト 世紀のスクープ」

スポットライト 世紀のスクープ

【配信:アマゾン

監督:トーマス・マッカーシー

米国のキリスト教会の聖職者による大規模な性的虐待を描いた。 事件をスクープした新聞社が舞台。 新聞記者たちの粘り強さが心を打つ。

この年のオスカーは秀作ぞろいだった。「マネー・ショート」や「レヴェナント」も有力視されていた。 現実の社会問題に対して、奇をてらずにまっすぐに取り組んだ「スポットライト」に軍配が上がった。

 説明ページ→

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→
監督賞 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
(レヴェナント 蘇えりし者)
  • アダム・マッケイ(マネー・ショート 華麗なる大逆転)
  • ジョージ・ミラー(マッドマックス 怒りのデス・ロード)
  • レニー・アブラハムソン(ルーム)
  • トム・マッカーシー(スポットライト 世紀のスクープ)
主演男優賞 レオナルド・ディカプリオ
(レヴェナント 蘇えりし者)
  • ブライアン・クランストン(トランボ ハリウッドに最も嫌われた男)
  • マイケル・ファスベンダー(スティーブ・ジョブズ)
  • エディ・レッドメイン(リリーのすべて)
  • マット・デイモン(オデッセイ)
主演女優賞 ブリー・ラーソン
「ルーム」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • ケイト・ブランシェット
    「キャロル」
  • ジェニファー・ローレンス
    「ジョイ」
  • シャーロット・ランプリング
    「さざなみ」
  • シアーシャ・ローナン
    「ブルックリン」
助演男優賞 マーク・ライランス
(ブリッジ・オブ・スパイ)
  • シルベスター・スタローン(クリード チャンプを継ぐ男)
  • クリスチャン・ベール(マネー・ショート 華麗なる大逆転)
  • マーク・ラファロ(スポットライト 世紀のスクープ)
  • トム・ハーディ(レヴェナント 蘇えりし者)
助演女優賞 アリシア・ヴィキャンデル
(リリーのすべて)
  • ルーニー・マーラ(キャロル)
  • レイチェル・マクアダムス(スポットライト 世紀のスクープ)
  • ジェニファー・ジェイソン・リー(ヘイトフル・エイト)
  • ケイト・ウィンスレット(スティーブ・ジョブズ)
脚本賞 スポットライト 世紀のスクープ
(ジョシュ・シンガー、トム・マッカーシー)
  • ブリッジ・オブ・スパイ(マット・シャルマン、イーサン・コーエン、ジョエル・コーエン)
  • インサイド・ヘッド(ピート・ドクター、メグ・レフォーブ、ジョシュ・クーリー、ロニー・デル・カルメン)
  • ストレイト・アウタ・コンプトン(ジョナサン・ハーマン、アンドレア・バーロフ、S・レイ・サビッジ、アラン・ウェンカス)
  • エクス・マキナ(アレックス・ガーランド)
脚色賞 マネー・ショート 華麗なる大逆転
(チャールズ・ランドルフ、アダム・マッケイ)
  • キャロル(フィリス・ナジー)
  • オデッセイ(ドリュー・ゴダード)
  • ルーム(エマ・ドナヒュー)
  • ブルックリン(ニック・ホーンビィ)
衣装デザイン賞 マッドマックス 怒りのデス・ロード
(ジェニー・ビーバン)
  • キャロル(サンディ・パウエル)
  • シンデレラ(サンディ・パウエル)
  • リリーのすべて(パコ・デルガド)
  • レヴェナント 蘇えりし者(ジャクリーン・ウェスト)
アニメ映画賞(長編) インサイド・ヘッド

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 Amazonビデオ吹替版→
外国語映画賞 サウルの息子
(ハンガリー)

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

2015年(第87回)

  • ■ 作品賞:
    「バードマン」
  • ■ 最多受賞:
    「バードマン」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「グランド・ブタペスト・ホテル」(9個)
    「バードマン」(9個)

最多9部門でノミネートされたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督のダークコメディー「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」が作品賞を獲得した。 前年の「ゼロ・グラビティ」のアルフォンソ・キュアロンに続くメキシコ出身監督の躍進となった。

バードマンに継ぐ有力候補と見られていた「6才のボクが、大人になるまで」は、助演女優賞のみにとどまった。同じキャストが演じる家族の日常を12年間にわたって撮り重ねた秀作で、映画評論家の評価ではバードマンを上回っていた。

長編アニ賞にノミネートされたスタジオジブリの高畑勲監督(当時79歳)の「かぐや姫の物語」は受賞を逃した。

2016年↑ | 2015年 | 2014年↓

2015年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)

【配信:アマゾン

監督:アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ

「バードマン」対「6才のボクが、大人になるまで」の一騎打ちと見られた。 過去の名作へのオマージュやハリウッドの内輪ネタがふんだんに盛り込まれたバードマンが勝利した。

バードマンは作り手の遊び心と挑戦があふれた実験的な作品。物語も、映像も、一筋縄ではいかない。 カット割りがなく、全編が一場面のような長回しの撮影。 そうかと思うと突然怪獣が出たり空を飛んだりのファンタジー。妄想と現実がない交ぜになっている。

かつて鳥人のヒーロー映画「バードマン」の主演でスターになり、その後落ちぶれた俳優が、ブロードウェーの舞台劇で一発逆転を夢見る。

 説明ページ→

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→
監督賞 アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))
  • リチャード・リンクレイター(6才のボクが、大人になるまで。)
  • ベネット・ミラー(フォックスキャッチャー)
  • モルテン・ティルドゥム(イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)
  • ウェス・アンダーソン(グランド・ブダペスト・ホテル)
主演男優賞 エディ・レッドメイン
(博士と彼女のセオリー)
  • マイケル・キートン(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))
  • スティーヴ・カレル(フォックスキャッチャー)
  • ブラッドリー・クーパー(アメリカン・スナイパー)
  • ベネディクト・カンバーバッチ(イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)
主演女優賞 ジュリアン・ムーア
「アリスのままで」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • マリオン・コティヤール
    「サンドラの週末」
  • フェリシティ・ジョーンズ
    「博士と彼女のセオリー」
  • ロザムンド・パイク
    「ゴーン・ガール」
  • リース・ウィザースプーン
    「わたしに会うまでの1600キロ」
助演男優賞 J・K・シモンズ
(セッション)
  • ロバート・デュヴァル(ジャッジ 裁かれる判事)
  • イーサン・ホーク(6才のボクが、大人になるまで。)
  • エドワード・ノートン(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))
  • マーク・ラファロ(フォックスキャッチャー)
助演女優賞 パトリシア・アークエット
(6才のボクが、大人になるまで。)
  • ローラ・ダーン(わたしに会うまでの1600キロ)
  • エマ・ストーン(バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡))
  • メリル・ストリープ(イントゥ・ザ・ウッズ)
  • キーラ・ナイトレイ(イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密)
脚本賞 バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)
(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ、 ニコラス・ヒアコボーネ、アレクサンダー・ディネラリス・Jr、アルマンド・ボー)
  • 6才のボクが、大人になるまで。(リチャード・リンクレイター)
  • グランド・ブダペスト・ホテル(ウェス・アンダーソン)
  • フォックスキャッチャー(E・マックス・フライ&ダン・ファターマン)
  • ナイトクローラー(ダン・ギルロイ)
脚色賞 イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密
(グラハム・ムーア)
  • 博士と彼女のセオリー(アンソニー・マッカーテン)
  • アメリカン・スナイパー(ジェイソン・ホール)
  • インヒアレント・ヴァイス(ポール・トーマス・アンダーソンン)
  • セッション(デイミアン・チャゼル)
衣装デザイン賞 グランド・ブダペスト・ホテル
(ウェス・アンダーソン)
  • イントゥ・ザ・ウッズ(コリーン・アトウッド)
  • ターナー、光に愛を求めて(ジャクリーヌ・デュラン)
  • マレフィセント(アンナ・B・シェパード)
  • インヒアレント・ヴァイス(ポール・トーマス・アンダーソンン)
アニメ映画賞(長編) ベイマックス

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 Amazonビデオ吹替版→
外国語映画賞 イーダ
(ポーランド・デンマーク)
  • 裁かれるは善人のみ(ロシア)
  • 人生スイッチ(アルゼンチン)
  • トンブクトゥのウッドストック(モーリタニア、フランス)
  • タンジェリン(エストニア)

2014年(第86回)

  • ■ 作品賞:
    「それでも夜は明ける」
  • ■ 最多受賞:
    「ゼロ・グラビティ」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「アメリカン・ハッスル」(10個)
    「ゼロ・グラビティ」(10個)

「それでも夜は明ける」が作品賞など3部門を受賞した。米国の奴隷制度を題材に、黒人男性の壮絶な体験を映画化した。 スティーブ・マックイーン監督(当時44歳)は、黒人監督として初の作品賞を獲得。 プロデューサーを務めたブラッド・ピット(当時50歳)も初めてオスカーを手にした。

「ウルフ・オブ・ウォールストリート」で主演男優賞候補となり、アカデミー賞4度目のノミネートとなったレオナルド・ディカプリオ(当時39歳)は、またも受賞を果たせなかった。

長編アニメ賞にノミネートされていたジブリの宮崎駿監督(当時73歳)による「風立ちぬ」は受賞を逃した。 短編アニメ賞の候補だった森田修平監督の「九十九」も受賞ならず。

2015年↑ | 2014年 | 2013年↓

2014年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「それでも夜は明ける」

それでも夜は明ける

【配信:アマゾン

監督:スティーヴ・マックイーン

奴隷制度の冷酷さを、誠実に描いた歴史物語。 奴隷の輸入が禁止された後のアメリカにおいて、 米国内で自由に暮らす黒人を誘拐し、強制的に奴隷にしてしまう事件が多発した。 その被害者の一人の手記に基づく実話である。
監督スティーヴ・マックイーンはアフリカ系イギリス人。 黒人監督として史上初のアカデミー賞作品賞を受賞した。 SF映画の傑作「ゼロ・グラビティ」をおさえ、堂々の受賞。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 アルフォンソ・キュアロン
(ゼロ・グラビティ)
  • スティーブ・マックイーン(それでも夜は明ける)
  • アレクサンダー・ペイン(ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅)
  • マーティン・スコセッシ(ウルフ・オブ・ウォールストリート)
  • デヴィッド・O・ラッセル(アメリカン・ハッスル)
主演男優賞 マシュー・マコノヒー
(ダラス・バイヤーズクラブ)
  • キウェテル・イジョフォー(それでも夜は明ける)
  • ブルース・ダーン(ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅)
  • レオナルド・ディカプリオ(ウルフ・オブ・ウォールストリート)
  • クリスチャン・ベール(アメリカン・ハッスル)
主演女優賞 ケイト・ブランシェット
「ブルージャスミン」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • エイミー・アダムス
    「アメリカン・ハッスル」
  • ジュディ・デンチ
    「あなたを抱きしめる日まで」
  • サンドラ・ブロック
    「ゼロ・グラビティ」
  • メリル・ストリープ
    「8月の家族たち」
助演男優賞 ジャレッド・レト
(ダラス・バイヤーズクラブ)
  • マイケル・ファスベンダー(それでも夜は明ける)
  • ブラッドリー・クーパー(アメリカン・ハッスル)
  • バーカッド・アブディ(キャプテン・フィリップス)
  • ジョナ・ヒル(ウルフ・オブ・ウォールストリート)
助演女優賞 ルピタ・ニョンゴ
(それでも夜は明ける)
  • ジェニファー・ローレンス(アメリカン・ハッスル)
  • サリー・ホーキンス(ブルージャスミン)
  • ジューン・スキッブ(ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅)
  • ジュリア・ロバーツ(8月の家族たち)
脚本賞 her/世界でひとつの彼女
(スパイク・ジョーンズ)
  • ダラス・バイヤーズクラブ(クレイグ・ボーテン、メリッサ・ウォーラック)
  • ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(ボブ・ネルソン)
  • ブルージャスミン(ウッディ・アレン)
  • アメリカン・ハッスル(エリック・シンガー、デヴィッド・O・ラッセル)
脚色賞 それでも夜は明ける
(ジョン・リドリー)
  • ウルフ・オブ・ウォールストリート(テレンス・ウィンター)
  • ビフォア・ミッドナイト( イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、 リチャード・リンクレイター)
  • キャプテン・フィリップス(ビリー・レイ)
  • あなたを抱きしめる日まで
衣装デザイン賞 華麗なるギャツビー
(キャサリン・マーティン)
  • アメリカン・ハッスル(マイケル・ウィルキンソン)
  • グランド・マスター(ウィリアム・チャン)
  • それでも夜は明ける(パトリシア・ノリス)
  • エレン・ターナン ~ディケンズに愛された女~(マイケル・オコナー)
アニメ映画賞(長編) アナと雪の女王

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 Amazonビデオ吹替版→
外国語映画賞 追憶のローマ
(イタリア)
  • オーバー・ザ・ブルー・スカイ(ベルギー)
  • 偽りなき者(デンマーク)
  • 消えた画 クメール・ルージュの真実(カンボジア)
  • オマールの壁(パレスチナ)

2013年(第85回)

  • ■ 作品賞:
    「アルゴ」
  • ■ 最多受賞:
    「ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「リンカーン」(12個)

下馬評では、リンカーン大統領の伝記映画「リンカーン」(スピルバーグ監督)が最有力と予想されていた。授賞式で作品賞の発表者を務めたのは、現職オバマ大統領のミシェル・オバマ夫人。 ホワイトハウスからのライブ中継で出演だった。奴隷解放宣言を行い、歴史上最も偉大な大統領と評価されているリンカーンの映画が受賞すれば、見事な演出となるところだった。しかし、受賞したのはアルゴだった。
ウサマ・ビンラディン容疑者殺害の真相に迫り、捕虜虐待の場面が波紋を呼んだ「ゼロ・ダーク・サーティ」は音響編集賞にとどまった。

2014年↑ | 2013年 | 2012年↓

2013年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「アルゴ」

アルゴ

【配信:アマゾン

監督:ベン・アフレック

実話をベースにしたサスペンス劇。 1979年に起きたイランの米大使館人質事件で、大使館員6人がイラン国内に取り残された。 CIAは、ハリウッドの映画人が協力して、6人を救出する計画を立てる。 映画のロケハンを装って人命を救おうとする「ハリウッド礼賛」的な側面がある。 これが受賞の決め手となったと見られている。 正体がばれないかスリリングで、ドラマに緊張感がある。

監督賞にノミネートされなかった映画が作品賞を受賞するのは、1990年の「ドライビングMissデイジー」以来。

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 受賞スピーチ→

 説明ページ→
監督賞 アン・リー
(ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日)

台湾出身。「ブロークバック・マウンテン」に続いて2度目の監督賞となった。 本作では、極限状態におかれた人間の想像力に迫った。
  • ミヒャエル・ハネケ(愛、アムール)
  • スティーブン・スピルバーグ(リンカーン)
  • デビッド・O・ラッセル(世界にひとつのプレイブック)
  • ベン・ザイトリン(ハッシュパピー バスタブ島の少女)
主演男優賞 ダニエル・デイ・ルイス
(リンカーン)

3度の主演男優賞の受賞。史上初めて。米映画史に刻まれる名優となった。米国で歴史上最も尊敬されるリンカーン大統領を、深い陰影で演じた。
  • デンゼル・ワシントン(フライト)
  • ヒュー・ジャックマン(レ・ミゼラブル)
  • ブラッドリー・クーパー(世界にひとつのプレイブック)
  • ホワキン・フェニックス(ザ・マスター)
主演女優賞 ジェニファー・ローレンス
「世界にひとつのプレイブック」

心のバランスを失った女性を力強く演じた。22歳での受賞。

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • ナオミ・ワッツ
    「インポッシブル」
  • ジェシカ・チャスティン
    「ゼロ・ダーク・サーティ」
  • エマニュエル・リバ
    「愛、アムール」
  • クワベンジャネ・ウォレス
    「ハッシュパピー バスタブ島の少女」
助演男優賞 クリストファー・ヴァルツ
(ジャンゴ 繋がれざる者)
  • アラン・アーキン(アルゴ)
  • フィリップ・シーモア・ホフマン(ザ・マスター)
  • ロバート・デ・ニーロ(世界にひとつのプレイブック)
  • トミー・リー・ジョーンズ(リンカーン)
助演女優賞 アン・ハサウェイ
(レ・ミゼラブル)
  • サリー・フィールド(リンカーン)
  • ジャッキー・ウィーバー(世界にひとつのプレイブック)
  • ヘレン・ハント(セッションズ)
  • エイミー・アダムス(ザ・マスター)
脚本賞 ジャンゴ 繋がれざる者
(クエンティン・タランティーノ)
  • 愛、アムール(ミヒャエル・ハネケ)
  • フライト(ジョン・ゲイティンズ)
  • ムーンライズ・キングダム(ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ)
  • ゼロ・ダーク・サーティ(マーク・ボール)
脚色賞 アルゴ
(クリス・テリオ)
  • ハッシュパピー バスタブ島の少女(ルーシー・アリバー、ベン・ザイトリン)
  • ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日(デヴィッド・マギー)
  • リンカーン(トニー・クシュナー)
  • 世界にひとつのプレイブック(デヴィッド・O・ラッセル)
衣装デザイン賞 アンナ・カレーニナ
(ジャクリーン・デュラン)
  • 白雪姫と鏡の女王(石岡瑛子)
  • リンカーン(ジョアンナ・ジョンストン)
  • レ・ミゼラブル(パコ・デルガド)
  • スノーホワイト(コリーン・アトウッド)
アニメ映画賞(長編) メリダとおそろしの森

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 愛、アムール
(オーストリア)
  • コン・ティキ(ノルウェー)
  • ノー(チリ)
  • ロイヤル・アフェア 愛と欲望の王宮(デンマーク)
  • 魔女と呼ばれた少女(カナダ)

2012年(第84回)

  • ■ 作品賞:
    「アーティスト」
  • ■ 最多受賞:
    「ヒューゴの不思議な発明」(5部門)
    「アーティスト」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ヒューゴの不思議な発明」(11個)

10部門で候補だった白黒・無声映画「アーティスト」が、作品、監督、主演男優など主要5部門を制した。無声映画(サイレント映画)の作品賞は第1回の「つばさ」以来、83年ぶり。フランス映画としても初受賞となった。最多11部門ノミネートの3Dファンタジー「ヒューゴの不思議な発明」との対決となったが、ハリウッドや映画草創期への愛に満ちた作風が支持された。

主演女優賞は「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」のメリル・ストリープ(当時62歳)で、助演女優賞を含め3度目のオスカー。「人生はビギナーズ」で助演男優賞のクリストファー・プラマーは82歳で、演技賞の最高齢記録を更新した。

東日本大震災の被災地の宮城県気仙沼市などで撮影され、短編ドキュメンタリー賞候補だった米作品「津波そして桜」は受賞を逃した。

2013年↑ | 2012年 | 2011年↓

2012年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「アーティスト」

アーティスト

【配信:アマゾン

監督:ミシェル・アザナビシウス

無声映画。かつ白黒映画。 ハリウッド映画についての映画であり、全般にわたって映画愛が満ちている。 アカデミー会員は大喜び。 3D全盛の時代に、映画様式の原点に戻ったシンプルさが感動を呼んだ。 作品賞、監督賞、主演男優賞など、主要5部門を制した。

1920年代後半から30年代にかけて、無声映画(サイレント)から発声映画(トーキー)への過渡期のハリウッドが舞台となっている。 サイレント時代の終わりとともに、落ちぶれてゆくスター男優が主人公。 人気上昇中の新人女優と心を寄せ合う。

監督は45歳のフランス人、ミシェル・アザナビシウス。 出演者もフランス人たち。

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 受賞スピーチ→

 説明ページ→
監督賞 ミシェル・アザナヴィシウス
(アーティスト)

ハリウッド映画界の愛や葛藤を、無声(サイレント)の白黒映像で描いた。 監督は当時45歳。カラー映画で育った世代である。製作にあたり、 数百本の無声映画を研究した。チャールズ・チャプリンの「街の灯」(1931年)からはメロドラマでありながらユーモアもある二面性を取り込んだ。 脚本執筆時、こういう映画を撮ることに価値があるのか自信が揺らいだこともあったという。
  • アレクサンダー・ペイン(ファミリー・ツリー)
  • テレンス・マリック(ツリー・オブ・ライフ)
  • ウディ・アレン(ミッドナイト・イン・パリ)
  • マーティン・スコセッシ(ヒューゴの不思議な発明)
主演男優賞 ジャン・デュジャルダン
(アーティスト)
  • ジョージ・クルーニー(ファミリー・ツリー)
  • ブラッド・ピット(マネーボール)
  • デミアン・ビチル(明日を継ぐために)
  • ゲイリー・オールドマン
    (裏切りのサーカス)
主演女優賞 メリル・ストリープ
「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • グレン・クロース
    「アルバート氏の人生」
  • ビオラ・デイビス
    「ヘルプ~心がつなぐストーリー~」
  • ルーニー・マーラ
    「ドラゴン・タトゥーの女」
  • ミシェル・ウィリアムズ
    「マリリン 7日間の恋」
助演男優賞 クリストファー・プラマー
(人生はビギナーズ)
  • ジョナ・ヒル(マネーボール)
  • ニック・ノルティ(ウォーリアー)
  • ケネス・ブラナー(マリリン 7日間の恋)
  • マックス・フォン・シドー(ものすごくうるさくて、ありえないほど近い)
助演女優賞 オクタヴィア・スペンサー
(ヘルプ~心がつなぐストーリー~)
  • ベレニス・ベジョ(アーティスト)
  • ジェシカ・チャステイン(ヘルプ~心がつなぐストーリー~)
  • メリッサ・マッカーシー(ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン)
  • ジャネット・マクティア(アルバート氏の人生)
脚本賞 ミッドナイト・イン・パリ
(ウッディ・アレン)
  • アーティスト(ミシェル・アザナヴィシウス)
  • ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン(アニー・ムモーロ、クリステン・ウィグ)
  • マージン・コール(J・C・チャンダー)
  • 別離(アスガル・ファルハーディー)
脚色賞 ファミリー・ツリー
(アレクサンダー・ペイン、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ)
  • ヒューゴの不思議な発明(ジョン・ローガン)
  • スーパー・チューズデー ~正義を売った日~(ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロヴ、ボー・ウィリモン)
  • マネーボール(スティーヴン・ザイリアン、アーロン・ソーキン、スタン・チャーヴィン)
  • 裏切りのサーカス(ブリジット・オコナー、ピーター・ストローハン)
アニメ映画賞(長編) ランゴ

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 別離
(イラン)
  • ブルヘッド(ベルギー)
  • フットノート(イスラエル)
  • イン・ダークネス(ポーランド)
  • ぼくたちのムッシュ・ラザール(カナダ)

2011年(第83回)

  • ■ 作品賞:
    「英国王のスピーチ」
  • ■ 最多受賞:
    「英国王のスピーチ」(4部門)
    「インセプション」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「英国王のスピーチ」(12個)

吃音(きつおん)のジョージ6世の王位即位を描いた「英国王のスピーチ」が4部門を受賞した。作品賞、監督賞(トム・フーパー)、主演男優賞(コリン・ファース)、脚本賞という主要部門のみでの4冠だった。 一方、「ソーシャル・ネットワーク」は脚色賞、編集賞、作曲賞の3部門での受賞となった。Facebook(フェイスブック)創設者を描いた傑作だったが、作品賞と監督賞を逃した。 また、俳優・渡辺謙(当時51歳)が出演したSF大作「インセプション」(クリストファー・ノーラン監督)は、撮影賞など技術系4部門でオスカーを獲得。英国王のスピーチと並ぶ最多タイの受賞数となった。ただし、撮影賞などの技術系部門のみだった。

2012年↑ | 2011年 | 2010年↓

2011年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「英国王のスピーチ」

英国王のスピーチ

【配信:アマゾン

監督:トム・フーパー

内気で演説が苦手なイギリス国王が、歴史を左右するような重大なスピーチに臨むまでの実話を描いた。 感動的な歴史もの。

この年の作品賞争いは、本作と「ソーシャル・ネットワーク」との一騎打ちとなった。 ソーシャル・ネットワークはFacebookの創業をテーマにした意欲作。 新しい時代の空気をつかみ、斬新な映像で表現。年月を経ても色あせない普遍的な娯楽映画として、 その後も讃えられ続けた。 21世紀で最高の名作の一つとも言われる。 一方で、「英国王のスピーチ」は、それほど高い評価は得ていない。

この年の賞レースでも前哨戦の中盤まではソーシャル・ネットワークが優勢だった。 しかし、オスカー直前にタイムリーに現れた英国王のスピーチが猛追。 結局、王室ものゆえの格式が漂い、シニア層の共感も得やすい英国王のスピーチに軍配が上がった。 当時、絶頂期にあった大物プロデューサー、ハービー・ワインスタイン(後にセクハラ事件で業界追放)による巧妙なオスカー・キャンペーンも、英国王のスピーチに有利に働いたようだ。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 トム・フーパー
(英国王のスピーチ)

エリザベス2世の父であるジョージ6世が主人公。子供のころから吃(きつ)音に悩んでいたジョージ6世は、禁じられた恋のために王位を捨てた兄エドワードに代わって国王になる。そして、ナチス・ドイツとの開戦を前に国民の心を1つにするためのスピーチを行うことになる。 困難を克服していく王の姿が感動を呼ぶ。
  • ダーレン・アロノフスキー(ブラック・スワン)
  • デヴィッド・O・ラッセル(ザ・ファイター)
  • デヴィッド・フィンチャー(ソーシャル・ネットワーク)
  • コーエン兄弟(トゥルー・グリット)
主演男優賞 コリン・ファース
「英国王のスピーチ」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • ジェームズ・フランコ
    「127時間」
  • ジェフ・ブリッジス
    「トゥルー・グリット」
  • ジェシー・アイゼンバーグ
    「ソーシャル・ネットワーク」
  • ハビエル・バルデム
    「BIUTIFUL ビューティフル」
主演女優賞 ナタリー・ポートマン
「ブラック・スワン」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • アネット・ベニング
    「キッズ・オールライト」
  • ニコール・キッドマン
    「ラビット・ホール」
  • ジェニファー・ローレンス
    「ウィンターズ・ボーン」
  • ミシェル・ウィリアムズ
    「ブルーバレンタイン」
助演男優賞 クリスチャン・ベール
(ザ・ファイター)
  • ジェフリー・ラッシュ(英国王のスピーチ)
  • ジェレミー・レナー(ザ・タウン)
  • マーク・ラファロ(キッズ・オールライト)
  • ジョン・ホークス(ウィンターズ・ボーン)
助演女優賞 メリッサ・レオ
(ザ・ファイター)
  • エイミー・アダムス(ザ・ファイター)
  • ヘレナ・ボナム・カーター(英国王のスピーチ)
  • ヘイリー・スタインフェルド(トゥルー・グリット)
  • ジャッキー・ウィーバー(アニマル・キングダム)
脚本賞 英国王のスピーチ
(デビッド・サイドラー)
  • 家族の庭(マイク・リー)
  • ザ・ファイター(スコット・シルバー、ポール・タマシー、エリック・ジョンソン)
  • インセプション(クリストファー・ノーラン)
  • キッズ・オールライト(リサ・チョロデンコ、スチュアート・ブルムバーグ)
脚色賞 ソーシャル・ネットワーク
(アーロン・ソーキン)
  • 127時間(ダニー・ボイル、サイモン・ビューフォイ)
  • トイ・ストーリー3(マイケル・アーント)
  • トゥルー・グリット(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
  • ウィンターズ・ボーン(デブラ・グラニク、アン・ロッセリーニ)
アニメ映画賞(長編) トイ・ストーリー3

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 未来を生きる君たちへ
(デンマーク)
  • BIUTIFUL ビューティフル(メキシコ)
  • 籠の中の乙女(ギリシャ)
  • 灼熱の魂(カナダ)
  • アウトサイド・ザ・ロウ(Hors-la-loi)(アルジェリア)

2010年(第82回)

  • ■ 作品賞:
    「ハート・ロッカー」
  • ■ 最多受賞:
    「ハート・ロッカー」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「アバター」(9個)
    「ハート・ロッカー」(9個)

イラク戦争の爆弾処理兵をリアルに描いた「ハート・ロッカー」が、作品賞、監督賞、脚本賞、編集賞、音響編集賞、録音賞の6冠を獲得した。このうちキャスリン・ビグロー監督が受賞した監督賞は、女性としての史上初めての受賞だった。3D映画に革命を起こし、興行収入の世界記録を塗り替えたSF映画「アバター」は、美術賞、視覚効果賞、撮影賞の3冠だった。
和歌山県太地町のイルカ漁を扱った「ザ・コーヴ」が長編ドキュメンタリー賞を受賞した。

2011年↑ | 2010年 | 2009年↓

2010年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ハート・ロッカー」

ハート・ロッカー

【配信:アマゾン

監督:キャスリン・ビグロー

米国の対イラク戦争の最前線で爆弾を処理する兵士たちの人間ドラマ。 いつ命を失ってもおかしくない日々を送る爆弾処理員の緊迫した姿と心理を描く。ドキュメンタリーと間違えそうなリアリティーが話題となった。

キャスリン・ビグロー監督は、女性として初めてとなる監督賞も獲得した。計6冠。 ビグロー監督の元夫であるジェームス・キャメロン監督の超大ヒット作「アバター」との対決が注目された。

前哨戦では、ゴールデン・グローブ賞で「アバター」に敗れた。しかし、より重要度が高いPGA(全米プロデューサー組合賞)とクリティクス・チョイス賞で勝利していた。 ハート・ロッカーは製作費がアバターの約16分1の15億円。世界興行収入も約54分の1の48億円だったが、賞レースではハート・ロッカーに軍配が上がった。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 キャスリン・ビグロー
(ハート・ロッカー)
  • ジェームズ・キャメロン(アバター)
  • クエンティン・タランティーノ(イングロリアス・バスターズ)
  • リー・ダニエルズ(プレシャス)
  • ジェイソン・ライトマン(マイレージ、マイライフ)
主演男優賞 ジェフ・ブリッジス
「クレイジー・ハート」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • ジョージ・クルーニー
    「マイレイジ、マイライフ」
  • コリン・ファース
    「シングルマン」
  • モーガン・フリーマン
    「インビクタス/負けざる者たち」
  • ジェレミー・レナー
    「ハート・ロッカー」
主演女優賞 サンドラ・ブロック
「しあわせの隠れ場所」

 作品一覧→

 受賞スピーチ→
  • メリル・ストリープ
    「ジュリー&ジュリア」
  • ヘレン・ミレン
    「ザ・ラスト・ステーション」
  • キャリー・マリガン
    「17歳の肖像」
  • ガボレイ・シディバ
    「プレシャス」
助演男優賞 クリストフ・ヴァルツ
(イングロリアス・バスターズ)
  • マット・デイモン(インビクタス/負けざる者たち)
  • ウディ・ハレルソン(メッセンジャー)
  • クリストファー・プラマー(ザ・ラスト・ステーション)
  • スタンリー・トウッチ(ラブリーボーン)
助演女優賞 モニーク
(プレシャス)
  • べネロぺ・クルス(ナイン)
  • ヴェラ・ファーミゴ(マイレージ、マイライフ)
  • マギー・ギレンホール(クレイジー、ハート)
  • アナ・ケンドリック(マイレージ、マイライフ)
脚本賞 ハート・ロッカー
(マーク・ボール)
  • イングロリアス・バスターズ(クエンティン・タランティーノ)
  • メッセンジャー(アレサンドロ・キャモン、オーレン・ムーヴァーマン)
  • シリアスマン(コーエン兄弟)
  • カールじいさんの空飛ぶ家(ボブ・ピーターソン、ピート・ドクター、トム・マッカーシー)
脚色賞 プレシャス
(ジェフリー・フレッチャー)
  • 第9地区(ニール・ブロンカンプ、テリー・タッチェル)
  • 17歳の肖像(ニック・ホーンビィ)
  • イン・ザ・ループ(サイモン・ブラックウェル、ジェシー・アームストロング、アーマンド・イヌアッチ、トニー・ローチ)
  • マイレージ、マイライフ(ジェイソン・ライトマン、シェルダン・ターナー)
アニメ映画賞(長編) カールじいさんの空飛ぶ家

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 瞳の奥の秘密
(アルゼンチン)
  • 悲しみのミルク(ペルー)
  • 白いリボン(ドイツ)
  • 預言者(フランス)
  • アジャミ(イスラエル)

2000年代

 | 2009 | 2008 | 2007 | 2006 | 2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001 | 2000 | 

2009年(第81回)

  • ■ 作品賞:
    「スラムドッグ$ミリオネア」
  • ■ 最多受賞:
    「スラムドッグ$ミリオネア」(8部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ベンジャミン・バトン 数奇な人生」(13個)
  • ■ 日本人の受賞:
    「おくりびと」外国語映画賞
    「つみきのいえ」短編アニメ賞

作品賞はインド発の独立系映画「スラムドッグ$ミリオネア」が受賞しました。監督は英国のダニー・ボイル。舞台は全編インドで、インド人俳優が演じました。
作品賞ノミネートが5作品だった最後の年となりました。「バットマン」シリーズの傑作「ダークナイト」が作品賞のノミネートされなかったため、猛烈な批判の声が上がり、翌年からのノミネート枠が最大10作品にまで拡大されることになりました。

日本映画「おくりびと」が外国語映画賞

日本映画「おくりびと」が、外国語映画賞を受賞しました。滝田洋二郎監督(53歳)によるドラマ。職を失ったチェロ奏者(本木雅弘)が田舎で遺体を棺に納める納棺師の仕事に就き、生と死を見つめる物語です。英語の題名は「Departure」。受賞スピーチで滝田監督は「This is a new departure for me(これは私の新たな旅立ちです)」と喜びを表しました。さらに、短編アニメ賞にも日本の「つみきのいえ」が選ばれました。
「ダークナイト」で悪役ジョーカーを演じたヒース・レジャーが助演男優賞を受賞しました。レジャーは撮影後間もなく薬物中毒で死亡していました。享年28歳。故人の受賞は1976年のピーター・フィンチ以来2人目。

2010年↑ | 2009年 | 2008年↓

2009年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「スラムドッグ$ミリオネア」

スラムドッグ$ミリオネア

【配信:アマゾン

監督:ダニー・ボイル

インドを舞台にしたドラマ。舞台はインドの貧困街。言語の3分の1はヒンディー語だ。出演者の大半は、現地のスラムでスカウトされた。

イギリスの製作。アメリカ資本が入っていない映画の作品賞受賞は「ラストエンペラー」(伊英中の合作)以来、21年ぶりだった。監督は「トレインスポッティング」などを撮った英国人ダニー・ボイル。

物語の舞台はテレビのクイズ番組「クイズ$ミリオネア」。あと1問正解すれば、番組史上初のミリオネア(億万長者)になれるという少年が主人公。

収録スタジオ、警察での取り調べ、そして少年の生い立ちを交互に織り交ぜる。単なるサクセスストーリーに終わらず、インドの貧困層問題を浮き彫りにする。

作品賞のほか、監督賞など最多8部門に輝いた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 ダニー・ボイル
(スラムドッグ$ミリオネア)
  • デイヴィッド・フィンチャー(ベンジャミン・バトン 数奇な人生)
  • ガス・ヴァン・サント(ミルク)
  • ロン・ハワード(フロスト×ニクソン)
  • スティーヴン・ダルドリー(愛を読むひと)
主演男優賞 ショーン・ペン
(ミルク)
  • ブラッド・ピット(ベンジャミン・バトン 数奇な人生)
  • フランク・ランジェラ(フロスト×ニクソン)
  • ミッキー・ローク(レスラー)
  • リチャード・ジェンキンス(扉をたたく人)
主演女優賞 ケイト・ウィンスレット
「愛を読むひと」
  • アンジェリーナ・ジョリー
    「チェンジリング」
  • アン・ハサウェイ
    「レイチェルの結婚」
  • メリッサ・レオ
    「フローズン・リバー」
  • メリル・ストリープ
    「ダウト -あるカトリック学校で-」
助演男優賞 ヒース・レジャー
(ダークナイト)

狂気に満ちた悪役ジョーカーを演じた。撮影後間もなく薬物中毒で死亡していた。享年28歳。演技部門での故人の受賞は1976年のピーター・フィンチ(「ネットワーク」)以来2人目。ダークナイトは「バットマン・ビギンズ」の続編(3部作シリーズのうちの2作目)。
  • フィリップ・シーモア・ホフマン(ダウト -あるカトリック学校で-)
  • ジョシュ・ブローリン(ミルク)
  • マイケル・シャノン(レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで)
  • ロバート・ダウニーJr.(トロピック・サンダー/史上最低の作戦)
助演女優賞 ペネロペ・クルス
(それでも恋するバルセロナ)
  • エイミー・アダムス(ダウト -あるカトリック学校で-)
  • マリサ・トメイ(レスラー)
  • タラジ・P・ヘンソン(ベンジャミン・バトン 数奇な人生)
  • ヴァイオラ・デイヴィス(ダウト -あるカトリック学校で-)
脚本賞 ミルク
(ダスティン・ランス・ブラック)
  • ウォーリー(アンドリュー・スタントン、ジム・リアドン、ピート・ドクター)
  • ハッピー・ゴー・ラッキー(マイク・リー)
  • フローズン・リバー(コートニー・ハント)
  • ヒットマンズ・レクイエム(マーティン・マクドナー)
脚色賞 スラムドッグ$ミリオネア
(サイモン・ボーファイ)
  • ベンジャミン・バトン 数奇な人生(エリック・ロス、ロビン・スウィコード)
  • フロスト×ニクソン(ピーター・モーガン)
  • 愛を読むひと(デヴィッド・ヘアー)
  • ダウト -あるカトリック学校で-(ジョン・パトリック・シャンリィ)
アニメ映画賞(長編) ウォーリー

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 おくりびと
(日本)
  • 戦場でワルツを(イスラエル)
  • バーダー・マインホフ 理想の果てに(ドイツ)
  • パリ20区、僕たちのクラス(フランス)
  • Revanche(原題)(オーストリア)

2008年(第80回)

  • ■ 作品賞:
    「ノーカントリー」
  • ■ 最多受賞:
    「ノーカントリー」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ノーカントリー」(8部門)
    「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(8個)

1980年代のテキサスを舞台にした凶悪犯罪映画「ノーカントリー」が、作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の4冠を獲りました。俳優4部門の受賞者にアメリカ人が1人もいませんでした(英2名、仏、西)。これは史上初でした。このうち主演男優賞に輝いたイギリス人のダニエル・デイ・ルイスは2度目の受賞。

2009年↑ | 2008年 | 2007年↓

2008年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ノーカントリー」

ノーカントリー

【配信:アマゾン

監督:コーエン兄弟(ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン)

米テキサス州を舞台に、凶悪犯罪の恐怖と不条理を描いたサスペンス。 コ―マック・マッカーシーの小説「血と暴力の国」を、「ファーゴ」のコーエン兄弟が映画化した。 米国社会が抱える暴力性を、緊張感あふれる演出であぶり出した。

悪役の殺し屋は冷酷無比。「映画史上、最も恐ろしいキャラクター」と評された。 この役で助演男優賞を受賞したハビエル・ベルデムの怪演が強烈。

作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞の4冠に輝いた。

【物語】アメリカとメキシコの国境地帯で、麻薬取引の大金をめぐる惨劇が起きる。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン
(ノーカントリー)
  • ジュリアン・シュナーベル(潜水服は蝶の夢を見る)
  • ジェーソン・ライトマン(JUNO/ジュノ)
  • トニー・ギルロイ(フィクサー)
  • ポール・トーマス・アンダーソー(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)
主演男優賞 ダニエル・デイ=ルイス
(ゼア・ウィル・ビー・ブラッド)

2度目の受賞。悪意と狂気にまみれた主人公を圧倒的な迫力で表現した。
  • ジョージ・クルーニー(フィクサー)
  • ジョニー・デップ(スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師)
  • トミー・リー・ジョーンズ(告発のとき)
  • ヴィゴ・モーテンセン(イースタン・プロミス)
主演女優賞 マリオン・コティヤール
(エディット・ピアフ~愛の讃歌~)

フランス人。英語以外の言語を話す役柄で俳優部門の賞を獲るのは5人目。
  • ケイト・ブランシェット(エリザベス:ゴールデン・エイジ)
  • ジュリー・クリスティ(アウェイ・フロム・ハー 君を想う)
  • ローラ・リニー(マイ・ライフ、マイ・ファミリー)
  • エレン・ペイジ(JUNO/ジュノ)
助演男優賞 ハビエル・バルデム
(ノーカントリー)

スペイン人。怪演。
  • ケイシー・アフレック(ジェシー・ジェームズの暗殺)
  • フィリップ・シーモア・ホフマン(チャーリー・ウィルソンズ・ウォー)
  • ハル・ホルブルック(イントゥ・ザ・ワイルド)
  • トム・ウィルキンソン(フィクサー)
助演女優賞 ティルダ・スウィントン
(フィクサー)
  • ケイト・ブランシェット(アイム・ノット・ゼア)
  • ルビー・ディー(アメリカン・ギャングスター)
  • シアーシャ・ローナン(つぐない)
  • エイミー・ライアン(ゴーン・ベイビー・ゴーン)
脚本賞 JUNO/ジュノ
(ディアブロ・コーディ)

予期せずに16歳で妊娠してしまった少女を描く。中絶を思いとどまり、養子を希望する夫婦を探す。 脚本家ディアブロ・コディは元ストリップダンサー。
  • ラースと、その彼女 (ナンシー・オリバー)
  • フィクサー(トニー・ギルロイ)
  • レミーのおいしいレストラン(脚本・ストーリ:ブラッド・バード、ストーリ:ヤン・ピンカヴァ、ジム・カポビアンコ)
  • マイ・ライフ、マイ・ファミリー(タマラ・ジェンキンス)
脚色賞 ノーカントリー
(ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン)
  • つぐない(クリストファー・ハンプトン)
  • アウェイ・フロム・ハー君を想う(サラ・ポーリー)
  • 潜水服は蝶の夢を見る(ロナルド・ハーウッド)
  • ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(ポール・トーマス・アンダーソン)
アニメ映画賞(長編) レミーのおいしいレストラン

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 ヒトラーの贋札
(オーストリア)
  • カティンの森(ポーランド)
  • 12人の怒れる男(ロシア)
  • ボーフォート -レバノンからの撤退-(イスラエル)
  • モンゴル(カザフスタン)

2007年(第79回)

  • ■ 作品賞:
    「ディパーテッド」
  • ■ 最多受賞:
    「ディパーテッド」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ドリームガールズ」(8個)

巨匠スコセッシ監督が初受賞

巨匠マーティン・スコセッシ監督が、ついにオスカーを受賞した記念すべき年となりました。 過去の「タクシードライバー」「レイジング・ブル」「グッドフェローズ」といった歴史的名作は、いずれものノミネートとどまっており、「無冠」の状態が続いていました。34個目の監督作となった「ディパーテッド」は、作品賞と監督賞を含む4冠を獲得し、念願の初栄冠となりました。タクシードライバーでの初ノミネートから30年、6作品目のノミネートにでした。

菊地凛子が助演女優賞ノミネート

日本人の菊地凛子(りんこ、当時26歳)が、「バベル」(アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督)で助演女優賞にノミネートされました。しかし、ナンシー梅木以来となる49年ぶりの日本人俳優のオスカー受賞はなりませんでした。
渡辺謙(当時47歳)が主演したハリウッド映画「硫黄島からの手紙」(クリント・イーストウッド監督)は作品賞、監督賞などにノミネートされましたが、受賞は音響効果賞のみにとどまりました。

2008年↑ | 2007年 | 2006年↓

2007年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ディパーテッド」

ディパーテッド

【配信:アマゾン

監督:マーティン・スコセッシ

マフィアに潜入した捜査官と警察に潜入したマフィアの攻防を描く。香港映画「インファナル・アフェア」シリーズのリメーク。

州警察が犯罪組織と戦いを繰り広げるボストン南部が舞台。秘密捜査官ビリー(ディカプリオ)は、コステロ(ニコルソン)が仕切る犯罪組織への潜入捜査を命じられる。ビリーがコステロの信頼を得る一方で、クールな犯罪者コリン(デイモン)はコステロの内通者として警察に潜入し、特別捜査課で出世する。やがて2人は正体が暴かれる危機に直面する。

ブラッド・ピットがプロデューサーの一人として参加した。 香港映画「インファナル・アフェア」にハリウッドでいち早く注目し、映画化権を手にした。しかし、役柄などの問題で出演はせず、裏方に徹した。

この年の作品賞レースでは、ディパーテッドが当初から有力視されていたが、サーチライト配給のコメディ「リトル・ミス・サンシャイン」が猛追し、台風の目のような存在になりつつあった。「リトル・ミス・サンシャイン」は不器用な家族の姿を描いたロードムービー。製作費約10億円で、ハリウッド映画としては中小規模ながら、口コミで絶賛の声が広がり、興行収入100億円を超える大ヒットになっていた。前哨戦の天王山となるPGA(プロデューサー組合賞)で作品賞を獲り、SAGアワード(俳優組合賞)でも、豪華俳優陣がそろったディパーテッドをおさえ、最高賞のアンサンブル・キャスト賞を制した。

しかし、オスカーでは、スケール感の大きいディパーテッドが勝った。(有宗良治

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 マーティン・スコセッシ
(ディパーテッド)

スコセッシ氏が初受賞。監督賞には、1981年「レイジング・ブル」から2005年「アビエイター」まで5回ノミネートされていましたが、無冠でした。6度目の正直で悲願を達成し、授賞スピーチでは「(名前を)もう一度確認してくれるか」とジョークを飛ばしました。受賞時64歳。
  • クリント・イーストウッド(硫黄島からの手紙)
  • スティーヴン・フリアーズ(クィーン)
  • ポール・グリーングラス(ユナイテッド93)
  • アレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ(バベル)
主演男優賞 フォレスト・ウィテカー
(ラストキング・オブ・スコットランド)
  • レオナルド・ディカプリオ(ブラッド・ダイヤモンド)
  • ピーター・オトゥール(ヴィーナス)
  • ウィル・スミス(幸せのちから)
  • ライアン・ゴズリング(ハーフネルソン)
主演女優賞 ヘレン・ミレン
「クィーン」
  • ペネロペ・クルス
    「ボルベール〈帰郷〉」
  • ジュディ・デンチ
    「あるスキャンダルの覚え書き」
  • メリル・ストリープ
    「プラダを着た悪魔」
  • ケイト・ウィンスレット
    「リトル・チルドレン」
助演男優賞 アラン・アーキン
(リトル・ミス・サンシャイン)
  • ジャッキー・アール・ヘイリー(リトル・チルドレン)
  • ジャイモン・ハンスゥ(ブラッド・ダイヤモンド)
  • エディ・マーフィ(ドリームガールズ)
  • マーク・ウォルバーグ(ディパーテッド)
助演女優賞 ジェニファー・ハドソン
(ドリームガールズ)
  • アドリアナ・バラッザ(バベル)
  • ケイト・ブランシェット(あるスキャンダルの覚え書き)
  • アビゲイル・プレスリン(リトル・ミス・サンシャイン)
  • 菊地凛子(バベル)
脚本賞 リトル・ミス・サンシャイン
(マイケル・アーント)
  • バベル(ギジェルモ・アリアガ)
  • 硫黄島からの手紙(アイリス・ヤマシタ、ポール・ハギス)
  • パンズ・ラビリンス(ギレルモ・デル・トロ)
  • クィーン(ピーター・モーガン)
脚色賞 ディパーテッド
(ウィリアム・モナハン)
  • ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習(サシャ・バロン・コーエン、アンソニー・ハインズ、ピーター・ベイナム、ダン・メイザー、トッド・フィリップス)
  • トゥモロー・ワールド(アルフォンソ・キュアロン、ティモシー・J・セクストン、デヴィッド・アラタ、マーク・ファーガス、ホーク・オストビー)
  • リトル・チルドレン(トッド・フィールド、トム・ペロッタ)
  • あるスキャンダルの覚え書き(パトリック・マーバー)
アニメ映画賞(長編) ハッピー フィート

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 善き人のためのソナタ
(ドイツ)
  • アフター・ウェディング(デンマーク)
  • とらわれの水(カナダ)
  • デイズ・オブ・グローリー(アルジェリア)
  • パンズ・ラビリンス(メキシコ)

2006年(第78回)

  • ■ 作品賞:
    「クラッシュ」
  • ■ 最多受賞:
    「ブロークバック・マウンテン」(3部門)
    「クラッシュ」(3部門)
    「キング・コング」(3部門)
    「SAYURI」(3部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ブロークバック・マウンテン」(8個)

「クラッシュ」が歴史的な逆転

群像ドラマ「クラッシュ」(ポール・ハギス監督)が、大本命の「ブロークバック・マウンテン」に競り勝ち、作品賞を獲得しました。歴史的な大逆転の一つとして記憶されることになります。

役所広司、渡辺謙らが出演した芸者映画「SAYURI(サユリ)」が衣装デザイン、美術、撮影の技術系3部門を受賞しました。

長編アニメ賞にノミネートされていた宮崎駿監督(当時65歳)のジブリ作品「ハウルの動く城」は受賞を逃しました。

2007年↑ | 2006年 | 2005年↓

2006年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「クラッシュ」

クラッシュ

【配信:アマゾン

監督:ポール・ハギス

人種間に横たわる差別感情を描いた群像劇。さまざまな人種が交わることなく暮らす大都会ロサンゼルスの日常風景を切り取った。

ポール・ハギス監督の初監督作

前哨戦で圧勝し、大本命と予想されていた「ブロークバック・マウンテン」を破り、世界を驚かせた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
  • ブロークバック・マウンテン
    監督:アン・リー
    ※同性愛者のカウボーイ(牛飼い)の物語。1960年代前半の米西部ワイオミング州の田舎が舞台。本年度最多となる8部門ノミネートを獲得した。
  • カポーティ
    監督:ベネット・ミラー
    ※小説家トルーマン・カポーティの伝記。
     予告編→
  • グッドナイト&グッドラック
    監督:ジョージ・クルーニー
    ※放送ジャーナリストのエドワード・マロー氏と、赤狩りで名高いマッカーシー上院議員との対立を描いた。
     U-NEXT
  • ミュンヘン
    監督:スティーヴン・スピルバーグ
     配信(Amazonビデオ)→
監督賞 アン・リー
(ブロークバック・マウンテン)

※アジア系として初めて監督賞となった。台湾映画の巨匠。2001年の「グリーン・デスティニー」では外国語映画賞など4部門を受賞していた。ハリウッド映画でも大成功を収めた。
  • ジョージ・クルーニー(グッドナイト&グッドラック)
  • ポール・ハギス(クラッシュ)
  • ベネット・ミラー(カポーティ)
  • スティーヴン・スピルバーグ(ミュンヘン)
主演男優賞 フィリップ・シーモア・ホフマン
(カポーティ)

※名脇役として大活躍してきた実力俳優が、初のオスカーに輝いた。「ティファニーで朝食を」の原作者トルーマン・カポーティを熱演。
  • テレンス・ハワード(ハッスル&フロウ)
  • ヒース・レジャー(ブロークバック・マウンテン)
  • ホアキン・フェニックス(ウォーク・ザ・ライン/君につづく道)
  • デビッド・ストラザーン(グッドナイト&グッドラック)
主演女優賞 リース・ウィザースプーン
「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」
  • フェリシティ・ハフマン
    「トランスアメリカ」
  • キーラ・ナイトレイ
    「プライドと偏見」
  • ジュディ・デンチ
    「ヘンダーソン夫人の贈り物」
  • シャーリズ・セロン
    「スタンドアップ」
助演男優賞 ジョージ・クルーニー
(シリアナ)

初めてのオスカー受賞となった。中東で活動するCIA工作員を演じた。ふだんは物静かが、ミッションのために冷徹に「裏」の仕事をこなす中年男性の役柄。体重を20キロを増やして撮影に臨んだ。拷問シーンの撮影中に後頭部を強打した。激しい痛みに襲われ、手術をした。手術から1年以上が過ぎた授賞式の時点でも、骨をボルトで留めたままだった。

この年は別の映画「グッドナイト&グッドラック」で監督と脚本を務め、監督賞と脚本賞にもノミネートされた。
  • マット・ディロン(クラッシュ)
  • ポール・ジアマッティ(シンデレラマン)
  • ウィリアム・ハート(ヒストリー・オブ・バイオレンス)
  • ジェイク・ギレンホール(ブロークバック・マウンテン)
助演女優賞 レイチェル・ワイズ
(ナイロビの蜂)
  • エイミー・アダムス(ジューンバック)
  • キャサリン・キーナー(カポーティ)
  • フランシス・マクドーマン(スタンドアップ)
  • ミシェル・ウィリアムス(ブロークバック・マウンテン)
脚本賞 クラッシュ
(ポール・ハギス、ボビー・モレスコ)
  • グッドナイト&グッドラック(ジョージ・クルーニー、グラント・ヘスロフ)
  • マッチポイント(ウディ・アレン)
  • イカとクジラ(ノア・バームバック)
  • シリアナ(スティーヴン・ギャガン)
脚色賞 ブロークバック・マウンテン
(ラリー・マクマートリー、ダイアナ・オサナ)
  • カポーティ(ダン・ファターマン)
  • ナイロビの蜂(ジェフリー・ケイン)
  • ヒストリー・オブ・バイオレンス(ジョシュ・オルソン)
  • ミュンヘン(トニー・クシュナー、エリック・ロス)
アニメ映画賞(長編) ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!

 Netflix→
  • ティム・バートンのコープスブライド
     Netflix→
  • ハウルの動く城
     Tsutaya→
外国語映画賞 ツォツィ
(南アフリカ)
  • 心の中の獣(イタリア)
  • 白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々(ドイツ)
  • 戦場のアリア(フランス)
  • パラダイス・ナウ(パレスチナ)

2005年(第77回)

  • ■ 作品賞:
    「ミリオン・ダラー・ベイビー」
  • ■ 最多受賞:
    「アビエイター」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「アビエイター」(11個)

クリント・イーストウッド監督・主演の「ミリオンダラー・ベイビー」が作品、監督、主演女優、助演男優賞の4冠に輝きました。イーストウッド監督は授賞式の時点で74歳。1992年に「許されざる者」で作品賞、監督賞を受賞して以来のオスカーとなりました。
ジェイミー・フォックスが主演男優賞、モーガン・フリーマンが助演男優賞を獲り、黒人男優が同時に主演、助演賞を制しました。

2006年↑ | 2005年 | 2004年↓

2005年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ミリオン・ダラー・ベイビー」

ミリオン・ダラー・ベイビー

【配信:アマゾン

監督:クリント・イーストウッド

孤独な高齢トレーナーと、貧しい女性ボクサーの絆を描く。

イーストウッド監督&主演のヒューマン・ドラマ。作品、監督、主演女優、助演男優賞の4冠に輝いた。

イーストウッド監督は本作以降、次々と秀作映画を生み出した。巨匠監督としての黄金時代を築いた。

【物語】小さなボクシング・ジムに入門を希望する31歳の女性マギー。 ジムの老トレーナーは最初は断わるものの、やがて才能を認め指導するようになる。

 説明ページ→

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→
  • アビエイター
    監督:マーティン・スコセッシ
  • ネバーランド
    監督:マーク・フォースター
  • Ray/レイ
    監督:テイラー・ハックフォード
     配信(Amazonビデオ)→
  • サイドウェイ
    監督:アレクサンダー・ペイン
     配信(Amazonビデオ)→
監督賞 クリント・イーストウッド
(ミリオン・ダラー・ベイビー)

※1992年に「許されざる者」で作品賞、監督賞を受賞して以来のオスカー獲得
  • テイラー・ハックフォード(Ray/レイ)
  • マイク・リー(ヴェラ・ドレイク)
  • アレクサンダー・ペイン(サイドウェイ)
  • マーティン・スコセッシ(アビエイター)
主演男優賞 ジェイミー・フォックス
(Ray/レイ)

※盲目のソウル歌手レイ・チャールズを演じた。チャールズは前年の6月に他界していた。
フォックスは「コラテラル」助演賞にもノミネートされていた。
  • ドン・チードル(ホテル・ルワンダ)
  • ジョニー・デップ(ネバーランド)
  • レオナルド・ディカプリオ(アビエイター)
  • クリント・イーストウッド(ミリオン・ダラー・ベイビー)
主演女優賞 ヒラリー・スワンクス
「ミリオン・ダラー・ベイビー」

※199年の「ボーイズ・ドント・クライ」に次いで2度目のオスカー受賞となった。 ボクサーになる夢をかなえる女性を演じた。撮影までの3か月の特訓でボクシング技術を磨いた。肉体的にもリアルな拳闘家になりきった。
  • アネット・ベニング
    「華麗なる恋の舞台で」
  • カタリーナ・サンディノ・モレノ
    「そして、ひと粒のひかり」
  • ケイト・ウィンスレット
    「エターナル・サンシャイン」
  • イメルダ・スタントン
    「ヴェラ・ドレイク」
助演男優賞 モーガン・フリーマン
(ミリオン・ダラー・ベイビー)

※4度目のアカデミー賞ノミネートで初の受賞となった。 主人公の2人をつなぎ、見守る役柄。ボクシング・ジムの住み込み雑用係で、現役時代に片方の目を失明した元ボクサーである。 物語の語り手にもなる。
  • アラン・アルダ(アビエイター)
  • トーマス・ヘイデン・チャーチ(サイドウェイ)
  • ジェイミー・フォックス(コラテラル)
  • クライヴ・オーウェイ(クローサー)
助演女優賞 ケイト・ブランシェット
(アビエイター)
  • ローラ・リニー(愛についてのキンゼイ・レポート)
  • ヴァージニア・マドセン(サイドウェイ)
  • ソフィー・オコネドー(ホテル・ルワンダ)
  • ナタリー・ポートマン(クローサー)
脚本賞 エターナル・サンシャイン
(チャーリー・カウフマン、ミシェル・ゴンドリー、ピエール・ビスマス)
  • アビエイター(ジョン・ローガン)
  • ホテル・ルワンダ(テリー・ジョージ、ケア・ピアソン)
  • Mr.インクレディブル(ブラッド・バード)
  • ヴェラ・ドレイク(マイク・リー)
脚色賞 サイドウェイ
(アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー)
  • ネバーランド(デヴィッド・マギー)
  • ビフォア・サンセット(リチャード・リンクレイター、キム・クリザン、ジュリー・デルピー、イーサン・ホーク)
  • ミリオンダラー・ベイビー(ポール・ハギス)
  • モーターサイクル・ダイアリーズ(ホセ・リベーラ)
アニメ映画賞(長編) Mr.インクレディブル

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 海を飛ぶ夢
(スペイン)
  • コーラス(フランス)
  • ヒトラー~最期の12日間~(ドイツ)
  • 歓びを歌にのせて(スウェーデン)
  • イエスタデイ(南アフリカ)

2004年(第76回)

  • ■ 作品賞:
    「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」
  • ■ 最多受賞:
    「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(11部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」(11個)

超大作ファンタジー三部作の完結編「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」(ピーター・ジャクソン監督)が作品賞、監督賞などノミネートされた11部門すべての賞を獲得しました。11部門の受賞は、「ベン・ハー」(1959年)と「タイタニック」(1997年)と並ぶ史上最多タイ。

渡辺謙(当時44歳)が助演男優賞ノミネート。山田洋次監督の「たそがれ清兵衛」が外国語映画賞にノミネートされました。いずれも受賞はならず。

2005年↑ | 2004年 | 2003年↓

2004年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還」

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

【配信:アマゾン

監督:ピーター・ジャクソン

11部門受賞。『ベン・ハー』『タイタニック』と並ぶ、最多受賞のタイ記録となった。

ノミネートされた全ての部門を制覇。10部門以上での完全制覇はオスカー史上初。9部門全勝だった「恋の手ほどき」(1958年)と「ラスト・エンペラー」(1987年)の記録を更新した。

3部作の完結編。シリーズものの続編が作品賞を獲得したのは1974年の「ゴッドファーザー2」以来29年ぶりだった。

英国人の作家トールキン原作の冒険ファンタジー『指輪物語』を、 40歳過ぎのニュージーランド人、ピーター・ジャクソン監督が3作まとめて映画化した。総製作費は340億円。

第1部『ロード・オブ・ザ・リング』と第2部『二つの塔』は世界中で大ヒット。第3部『王の帰還』は、それらを上回る収入と評価を得た。

3時間23分の超大作

前二作よりも、各登場人物の内面が深く描かれた。スケール感もひたすら大きい。 最新の撮影技術や特殊効果が駆使され、前作以上に迫力を増した驚異的な映像となった。

シリーズ3作連続で作品賞ノミネート。第1作は4部門、第2作は2部門で受賞したが、いずれも作品賞は逃していた。

ジャクソン監督は受賞スピーチで「ファンタジーを認めてくれたアカデミー賞と、撮影を行った母国・ニュージーランド政府へお礼を言いたい」と感謝した。

【あらすじ】第1部で始まった、異なる種族から集まった9人の仲間の旅は、第2部(二つの塔)で世界の運命を担う戦いへと導かれた。そして第3部ではついに、主人公フロド(イライジャ・ウッド)が指輪を葬り去る時がやってきた。そのフロドを見守り続けるサム(ショーン・アスティン)をはじめ、指輪の力に心をむしばまれていくフロドを勇気付ける仲間たち。その姿に見る、真の強さとは…。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
  • マスター・アンド・コマンダー
    監督:ピーター・ウィアー
    壮大な海洋スペクタクル。ナポレオンのヨーロッパ征服の野望を前に、英国海軍は不足した勢力を補うため、10代前半の少年まで戦場に駆り出した。名将オーブリー(ラッセル・クロウ)は、自分を信じる少年たちに戦う術(すべ)を教え込む。10部門にノミネートされた。
     配信(Amazonビデオ)→
  • シービスケット
    監督:ゲイリー・ロス
     予告編→
  • ロスト・イン・トランスレーション
    監督:ソフィア・コッポラ
     Googleプレイ→
  • ミスティック・リバー
    監督:クリント・イーストウッド
     配信(Amazonビデオ)→
監督賞 ピーター・ジャクソン
(ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還)

ニュージーランド人。当時42歳。

不可能といわれた実写映画化を企画し、3部作を見事に締めくくった。

三分冊の原作をそのまま3作の映画にする、しかも5年がかりで3作まとめて撮影・製作するという勇断が、世界的な大ヒットと高い評価につながった。

完成後、「この七年間、私のすべてを捧(ささ)げてきた。撮ったものすべてに思い入れがある。いまは安堵(あんど)感と同時に、さびしさも感じている」と語った。

母国ニュージーランドで低予算のホラー映画を多く手掛けてきたが、このシリーズでハリウッドのヒットメーカーに躍り出た。

「予算は大きいけど、私はハリウッドの雇われ監督じゃない。15カ月かけた撮影をはじめ、全作業をニュージーランド国内でやったし、昔からの仲間もスタッフとして参加した。彼らのものすごい情熱がキャストにも乗り移って、素晴らしい連帯感が生まれた」と振り返った。
  • ソフィア・コッポラ(ロスト・イン・トランスレーション)
  • クリント・イーストウッド(ミスティック・リバー)
  • ピーター・ウィアー(マスター・アンド・コマンダー)
  • フェルナンド・メイレレス(シティ・オブ・ゴッド)
主演男優賞 ショーン・ペン
(ミスティック・リバー)

※4度目のノミネートで初の戴冠
  • ビル・マーレー(ロスト・イン・トランスレーション)
  • ジョニー・デップ(バイレーツ・オブ・カリビアン)
  • ジュード・ロウ(コールド・マウンテン)
  • ベン・キングスレー(砂と霧の家)
主演女優賞 シャーリズ・セロン
「モンスター」

※全米初の女性死刑囚の生きざまを描いた本作。体重を13キロ増やして、狂気に満ちた犯罪者を演じた。
  • ナオミ・ワッツ
    「21グラム」
  • サマンサ・モートン
    「イン・アメリカ/三つの小さな願いごと」
  • ケイシャ・キャッスル=ヒューズ
    「クジラの島の少女」
  • ダイアン・キートン
    「恋愛適齢期」
助演男優賞 ティム・ロビンス
(ミスティック・リバー)
  • 渡辺謙(ラスト サムライ)
    ※反政府軍を率いる武将役を演じた。ノミネートを機にハリウッド映画に出るようになった。人気映画シリーズ「バットマン」にも悪役で出演した。
  • ベニチオ・デル・トロ(21グラム)
  • ジャイモン・フンスー(イン・アメリカ/三つの小さな願いごと)
  • アレック・ボールドウィン(ザ・クーラー)
助演女優賞 レネー・ゼルウェガー
(コールド・マウンテン)
  • マーシャ・ゲイ・ハーデン(ミスティック・リバー)
  • パトリシア・クラークソン(エイプリルの七面鳥)
  • ショーレー・アグダシュルー(砂と霧の家)
  • ホリーハンター(サーティーン あの頃欲しかった愛のこと)
脚本賞 ロスト・イン・トランスレーション
(ソフィア・コッポラ)
※受賞当時32歳。巨匠フランシス・コッポラ監督の長女。
父フランシスは1974年に「ゴッドファーザー2」で作品賞、監督賞を受賞。また、同作では祖父の故カーマイン・コッポラも作曲賞を受賞していた。このため、三代続けてのオスカー受賞者となった。
本作は日本の東京を舞台にした静かなコメディ。「サントリー」のCM撮影のためアメリカから来日した中年の俳優と、同じ時期に来日していた若い女性の恋物語。お笑いタレントの藤井隆(当時31歳)も出演した。作品賞、監督賞にもノミネートされた。
  • イン・アメリカ/三つの小さな願いごと(ジム・シェリダン、ナオミ・シェリダン、カーステン・シェリダン)
  • 堕天使のパスポート(スティーヴン・ナイト)
  • ファインディング・ニモ(アンドリュー・スタントン、ボブ・ピーターソン、デヴィッド・レイノルズ)
  • みなさん、さようなら(ドゥニ・アルカン)
脚色賞 ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還
(ピーター・ジャクソン、フィリッパ・ボウエン、フラン・ウォルシュ)
  • アメリカン・スプレンダー(シャリ・スプリンガー・バーマン、ロバート・プルチーニ)
  • シービスケット(ゲイリー・ロス)
  • シティ・オブ・ゴッド(ブラウリオ・マントヴァーニ)
  • ミスティック・リバー (ブライアン・ヘルゲランド)
アニメ映画賞(長編) ファインディング・ニモ

 予告編(Amazonビデオ字幕版)→

 吹替版(Amazonビデオ)→
外国語映画賞 みなさん、さようなら
(カナダ)
  • アンナとロッテ(オランダ)
  • たそがれ清兵衛(日本)
  • エヴィル(スウェーデン)
  • ジェラリ(チェコ)

2003年(第75回)

  • ■ 作品賞:
    「シカゴ」
  • ■ 最多受賞:
    「シカゴ」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「シカゴ」(13個)

最多受賞はミュージカル「シカゴ」(監督ロブ・マーシャル)で、作品賞など6冠を獲得しました。ミュージカル映画が作品賞に輝いたのは、「オリバー!」以来34年ぶりでした。
一方、ディカプリオ主演の「ギャング・オブ・ニューヨーク」は作品、監督のほか、ダニエル・デイ・ルイス(当時45歳)の主演男優など10部門にノミネートされていましたが、無冠に終わりました。

宮崎駿監督のジブリ映画「千と千尋の神隠し」が長編アニメーション賞に輝きました。2002年2月に世界3大映画祭の1つ、ベルリン国際映画祭でアニメ映画として史上初のグランプリを獲得。以降もニューヨーク批評家協会賞など全米の各映画賞のアニメ部門を総なめにしてきました。
アニメ賞の他のノミネート作品は3000館規模。「千と千尋の神隠し」は2002年9月の北米公開時は最大時でも151館でした。それでもディズニーアニメにもなかった奥の深い、作品の質の高さが見た者に衝撃を与えました。アカデミー受賞で米国800館の拡大公開が決まりました。

授賞式の3日前の2003年3月23日に米国がイラク戦争を始めたばかりでした。授賞式では当時のブッシュ大統領を批判する発言が相次ぎました。米銃社会を痛烈に批判した「ボウリング・フォー・コロンバイン」で長編ドキュメンタリー賞を獲得したマイケル・ムーア監督(当時48歳)は壇上のスピーチで「虚構の選挙で選ばれた虚構の大統領が、ニセの理由で戦争を始めました。ブッシュ大統領、我々はこの戦争に断固反対する。恥を知れ」と言い放ちました。

2004年↑ | 2003年 | 2002年↓

2003年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「シカゴ」

シカゴ

【配信:アマゾン

監督:ロブ・マーシャル

傑作ミュージカル。1920年代のシカゴで、愛人を殺したスターの卵(レネー・ゼルウィガー)が、スキャンダルを逆手に取ってのし上がる。キャサリン・ゼタ・ジョーンズが助演女優賞を受賞した。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
  • ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔
    監督:ピーター・ジャクソン
     配信(Amazonビデオ)→
  • めぐりあう時間たち
    監督:スティーヴン・ダルドリー
     配信(Amazonビデオ)→
  • ギャング・オブ・ニューヨーク
    監督:マーティン・スコセッシ
  • 戦場のピアニスト
    監督:ロマン・ポランスキー
監督賞 ロマン・ポランスキー
(戦場のピアニスト)
  • ベドロ・アルモドバル(トーク・トゥ・ハー)
  • スティーヴン・ダルドリー(めぐりあう時間たち)
  • ロブ・マーシャル(シカゴ)
  • マーティン・スコセッシ(ギャング・オブ・ニューヨーク)
主演男優賞 エイドリアン・ブロディ
(戦場のピアニスト)
  • ジャック・ニコルソン(アバウト・シュミット)
  • ニコラス・ケイジ(アダプテーション)
  • ダニエル・デイ・ルイス(ギャング・オブ・ニューヨーク)
  • マイケル・ケイン(愛の落日)
主演女優賞 ニコール・キッドマン
「めぐりあう時間たち」
  • ダイアン・レイン
    「運命の女」
  • ジュリアン・ムーア
    「エデンより彼方に」
  • レネー・ゼルウィガー
    「シカゴ」
  • サルマ・ハエック
    「フリーダ」
助演男優賞 クリス・クーパー
(アダプテーション)
  • クリストファー・ウォーケン(キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン)
  • エド・ハリス(めぐりあう時間たち)
  • ジョン・C・ライリー(シカゴ)
  • ポール・ニューマン(ロード・トゥ・パーディション)
助演女優賞 キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
(シカゴ)
  • キャシー・ベイツ(アバウト・シュミット)
  • メリル・ストリープ(アダプテーション)
  • ジュリアン・ムーア(めぐりあう時間たち)
  • クイーン・ラティファ(シカゴ)
脚本賞 トーク・トゥ・ハー
(ペドロ・アルモドヴァル)
  • エデンより彼方に(トッド・ヘインズ)
  • ギャング・オブ・ニューヨーク(ジェイ・コックス、ケネス・ロナーガン、スティーヴン・ザイリアン)
  • 天国の口、終りの楽園。(アルフォンソ・キュアロン、カルロス・キュアロン)
  • マイ・ビッグ・ファット・ウェディング(ニア・ヴァルダロス)
脚色賞 戦場のピアニスト
(ロナルド・ハーウッド)
  • アダプテーション(チャーリー・カウフマン、ドナルド・カウフマン)
  • アバウト・ア・ボーイ(ピーター・ヘッジズ、クリス・ワイツ、ポール・ワイツ)
  • シカゴ(ビル・コンドン)
  • めぐりあう時間たち(デヴィッド・ヘア)
アニメ映画賞(長編) 千と千尋の神隠し

 Tsutaya→
外国語映画賞 名もなきアフリカの地で
(ドイツ)
  • アマロ神父の罪(メキシコ)
  • 過去のない男(フィンランド)
  • 英雄~HERO~(中国)
  • Zus & zo(原題)(オランダ)

2002年(第74回)

  • ■ 作品賞:
    「ビューティフル・マインド」
  • ■ 最多受賞:
    「ビューティフル・マインド」(4部門)
    「ロード・オブ・ザ・リング」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ロード・オブ・ザ・リング」(13個)

「ビューティフル・マインド」が作品、監督、助演女優、脚色の主要4部門を制覇しました。

ハリ・ベリー(当時33歳)が、黒人で史上初めて主演女優賞を獲りました。 さらに、デンゼル・ワシントン(当時47歳)が主演男優賞を獲得。男女の主演賞をアフリカ系俳優が制しました。

2003年↑ | 2002年 | 2001年↓

2002年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ビューティフル・マインド」

ビューティフル・マインド

【配信:アマゾン

監督:ロン・ハワード

ノーベル賞学者が陥った悲劇をもとに描くヒューマンドラマ。13部門ノミネートのファンタジー大作「ロード・オブ・ザ・リング」をおさえ、堂々の受賞。

主人公は天才数学者。幻覚症状を抱える。前年に「グラディエーター」で主演男優賞を獲得したラッセル・クロウが主演。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 ロン・ハワード
(ビューティフル・マインド)
  • ロバート・アルトマン(ゴスフォード・パーク)
  • デヴィッド・リンチ(マルホランド・ドライブ)
  • リドリー・スコット(ブラックホーク・ダウン)
  • ピター・ジャクソン(ロード・オブ・ザ・リング)
主演男優賞 デンゼル・ワシントン
(トレーニング デイ)

※2度目のオスカーで、主演としては初。
1989年「グローリー」で助演男優賞を獲得していた。しかし、主演賞では1993年「マルコムX」、2000年「ザ・ハリケーン」でノミネートされながら落選していた。
主演での黒人俳優の受賞は史上2人目。1964年「野のユリ」のシドニー・ポワチエ以来38年ぶりの快挙となった。
なお、ポワチエはこの日、長年にわたる映画界への貢献が評価されて名誉賞を受賞した。ワシントンは受賞スピーチで、貴賓席のポワチエに「あなたを応援し続けていました。そして何とか追いついてみたいと思ってました。これからも追い続けます」語りかけた。
  • ラッセル・クロウ(ビューティフル・マインド)
  • トム・ウィルキンソン(イン・ザ・ベッドルーム)
  • ショーン・ペン(アイ・アム・サム)
  • ウィル・スミス(アリ)
主演女優賞 ハル・ベリー
「チョコレート」

※黒人女優がとして史上初の受賞。スタイリッシュな女性役から脱皮し、南部の田舎の女性を体当たりで演じた。
前哨戦ではニコール・キッドマンが優勢だった。
1968年、米オハイオ州クリーブランド生まれ。白人の母と黒人の父(離婚)を持つ。4歳で父が家出、看護婦の母親に育てられた。モデルを経て1991年女優デビュー。本作の次に「007」シリーズのボンドガールを務めた。
  • シシー・スペイセク
    「イン・ザ・ベッドルーム」
  • ニコール・キッドマン
    「ムーラン・ルージュ」
  • ジュディ・デンチ
    「アイリス」
  • レネー・ゼルウィガー
    「ブリジット・ジョーンズの日記」
助演男優賞 ジム・ブロードベント
(アイリス)
  • ジョン・ヴォイト(アリ)
  • イーサン・ホーク(トレーニング デイ)
  • ベン・キングスレー(セクシー・ビースト)
  • イアン・マッケラン(ロード・オブ・ザ・リング)
助演女優賞 ジェニファー・コネリー
(ビューティフル・マインド)

※初ノミネートで初受賞。当時31歳。ラッセル・クロウ演じる統合失調症の数学者を献身的に支えた妻を演じた。
  • マギースミス(ゴスフォード・パーク)
  • ヘレン・ミレン(ゴスフォード・パーク)
  • マリサ・トメイ(イン・ザ・ベッドルーム)
  • ケイト・ウィンスレット(アイリス)
脚本賞 ゴスフォード・パーク
(ジュリアン・フェロウズ)
  • アメリ(ギョーム・ローラン、ジャン=ピエール・ジュネ)
  • ザ・ロイヤル・テネンバウムズ(ウェス・アンダーソン、オーウェン・ウィルソン)
  • チョコレート(ミロ・アディカ、ウィル・ロコス)
  • メメント(クリストファー・ノーラン)
脚色賞 ビューティフル・マインド
(アキヴァ・ゴールズマン)
  • イン・ザ・ベッドルーム(トッド・フィールド、ロバート・フェスティンガー)
  • ゴーストワールド(テリー・ツワイゴフ、ダニエル・クロウズ)
  • シュレック(ロジャー・S・H・シュルマン、ジョー・スティルマン、テリー・ロッシオ、テッド・エリオット)
  • ロード・オブ・ザ・リング(ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ、フィリッパ・ボーエンズ )
アニメ映画賞(長編) シュレック

 Netflix→

※ドリームワークス製作。スティーブン・スピルバーグ監督やディズニー社を追われたプロデューサー、ジェフリー・カッツェンバーグ氏らが率いる映画会社。ディズニーとピクサー製作の「モンスターズ・インク」に勝利した。
外国語映画賞 ノー・マンズ・ランド
(ボスニア・ヘルツェゴビナ)
  • アメリ(フランス)
  • ラガーン(インド)
  • サン・オブ・ザ・ブライド(アルゼンチン)
  • エリング(ノルウェー)

2001年(第73回)

  • ■ 作品賞:
    「グラディエーター」
  • ■ 最多受賞:
    「グラディエーター」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「グラディエーター」(12個)

ローマ史劇アクション「グラディエーター」(リドリー・スコット監督)が作品賞を受賞しました。ラッセル・クロウの主演男優賞、衣装デザイン、視覚効果、音響と合わせて5部門を獲得しました。

2002年↑ | 2001年 | 2000年↓

2001年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「グラディエーター」

グラディエーター

【配信:アマゾン

監督:リドリー・スコット

西暦180年の古代ローマ帝国が舞台。皇帝に家族を殺され、奴隷の身として流刑された元将軍の復讐劇。「ベンハー」「スパルタカス」を彷彿とさせる一大スペクタクルで、スケール感があふれる。

撮影のために巨大なコロシアムを建設。その中で繰り広げられる生死をかけた生身の男の闘いは、CGに頼らない映画の醍醐味を感じさせる。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 スティーブン・ソダーバーグ
(トラフィック)

※「エリン・ブロコビッチ」とともに、2作品でノミネートされた。62年ぶり史上2人目の快挙だった。票割れで不利との声もあったが、見事、栄冠を勝ち取った。
米国、メキシコ間の麻薬密売ルートの攻防を描いた群像劇。ベニチオ・デル・トロの助演男優賞のほか4部門で受賞した。
  • アン・リー(グリーン・デスティニー)
  • スティーヴン・ソダーバーグ(エリン・ブロコビッチ)
  • スティーヴン・ダルドリー(リトルダンサー)
  • リドリー・スコット(グラディエーター)
主演男優賞 ラッセル・クロウ
(グラディエーター)

※復讐に燃える古代ローマの剣闘士を演じた。体を張ったアクションも見事。
  • ハビエル・バルデム(夜になるまえに)
  • ジェフリー・ラッシュ(クイルズ)
  • トム・ハンクス(キャスト・アウェイ)
  • エド・ハリス(ポロック 2人だけのアトリエ)
主演女優賞 ジュリア・ロバーツ
「エリン・ブロコビッチ」

※ノミネート3度目にして初の受賞。1989年「マグノリアの花たち」で助演女優賞、翌1990年にも「プリティ・ウーマン」で主演女優賞にノミネートされていた。
当時33歳。弁護士助手を演じた。水質汚染の実態を追及し、史上最高額の賠償金を獲得した実在の人物がモデルだった。21億円という女優史上最高額の出演料だった。
  • ジュリエット・ビノシュ
    「ショコラ」
  • ジョアン・アレン
    「ザ・コンテンダー」
  • エレン・バースティン
    「レクイエム・フォー・ドリーム」
  • ローラ・リニー
    「ユー・キャン・カウント・オン・ミー」
助演男優賞 ベニチオ・デル・トロ
(トラフィック)
  • アルバート・フィニー(エリン・ブロコビッチ)
  • ジェフ・ブリッジス(ザ・コンテンダー)
  • ウィレム・デフォー(シャドウ・オブ・ヴァンパイヤ)
  • ホアキン・フェニックス(グラディエーター)
助演女優賞 マーシャ・ゲイ・ハーデン
(ポロック 2人だけのアトリエ)
  • ジュディ・デンチ(ショコラ)
  • フランシス・マクドーマンド(あの頃ペニー・レインと)
  • ケイト・ハドソン(あの頃ペニー・レインと)
  • ジュリー・ウォルターズ(リトルダンサー)
脚本賞 あの頃ペニー・レインと
(キャメロン・クロウ)
  • エリン・ブロコビッチ(スザンナ・グラント)
  • グラディエーター(デヴィッド・フランゾーニ、ジョン・ローガン、ウィリアム・ニコルソン)
  • ユー・キャン・カウント・オン・ミー(ケネス・ロナーガン)
  • リトル・ダンサー(リー・ホール)
脚色賞 トラフィック
(スティーヴン・ギャガン)
  • オー・ブラザー!(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
  • グリーン・デスティニー(ワン・ホエリン、ジェームズ・シェイマス、ツァイ・クォジュン)
  • ショコラ(ロバート・ネルソン・ジェイコブス)
  • ワンダー・ボーイズ(スティーヴン・クローヴス)
外国語映画賞 グリーン・デスティニー
(台湾)

※外国語映画史上、最多10部門ノミネートとなった。撮影賞など計4部門で受賞した。 清朝時代を舞台にした武術アクション。
  • アモーレス・ペロス(メキシコ)
  • エブリバディ・フェイマス!(ベルギー)
  • この素晴らしき世界(チェコ)
  • ムッシュ・カステラの恋(フランス)

2000年(第72回)

  • ■ 作品賞:
    「アメリカン・ビューティー」
  • ■ 最多受賞:
    「アメリカン・ビューティー」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「アメリカン・ビューティー」(8個)

米国の平凡な中流家庭の崩壊を描いた「アメリカン・ビューティー」が作品賞など5部門に輝きました。

世界に旋風を巻き起こしたSF映画「マトリックス」が技術系4部門を受賞しました。傑作ミステリー映画「シックス・センス」は作品賞を含む6部門にノミネートされましたが、無冠に終わりました。

日本、ロシア、カナダの共同製作の「老人と海」が短編アニメ賞を受賞しました。日本の映画関連会社イマジカなどが出資。米文豪アーネスト・ヘミングウェー原作。

2001年↑ | 2000年 | 1999年↓

2000年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「アメリカン・ビューティー」

アメリカン・ビューティー

【配信:アマゾン

監督:サム・メンデス

一般人たちの日常を題材にしながらも、斬新で独創的な一作。シニカルなコメディ。ありふれた中流家庭の崩壊をブラックユーモアを交えて描き、現代アメリカ社会を浮き彫りにした。作品賞のほか、監督賞、主演男優賞など最多5部門を制した。

サム・メンデス監督のデビュー作。英国出身のメンデス監督は舞台演出家として活躍していたが、巨匠スティーブン・スピルバーグ監督らのサポートや助言を受けて、本作を作りあげた。撮影前に脚本を読んだスピルバーグ監督は「一切リライトせず、この脚本通りに映画にするように」とアドバイスしたという。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 サム・メンデス
(アメリカン・ビューティー)

※新人監督がデビュー作でいきなりの受賞となった。当時35歳。イギリス人。もともと舞台の演出家だった。
  • ラッセ・ハルストレム(サイダーハウス・ルール)
  • マイケル・マン(インサイダー)
  • M・ナイト・シャラマン(シックス・センス)
  • スパイク・ジョーンズ(マルコヴィッチの穴)
主演男優賞 ケヴィン・スペイシー
(アメリカン・ビューティー)

※娘の友人の高校生チアガールに性的欲望をおぼえる中年男を演じた。 1996年に「ユージュアル・サスペクツ」で助演賞を獲って以来、2度目のオスカー。
  • ラッセル・クロウ(インサイダー)
  • デンゼル・ワシントン(ザ・ハリケーン)
  • リチャード・ファーンズワース(ストレイト・ストーリー)
  • ショーン・ペン(ギター弾きの恋)
主演女優賞 ヒラリー・スワンクス
「ボーイズ・ドント・クライ」

※性同一性障害に悩む実在の人物を演じた。
本作の監督キンバリー・ピアス(女性)は神戸で2年間暮らし、相撲の力士やヤクザの写真を撮り続けた異色の経歴の持ち主。
  • アネット・ベニング
    「アメリカン・ビューティー」
  • メリル・ストリープ
    「ミュージック・オブ・ハート」
  • ジュリアン・ムーア
    「ことの終わり」
  • ジャネット・マクティア
    「タンブルウィーズ」
助演男優賞 マイケル・ケイン
(サイダーハウス・ルール)

※第二次大戦中、孤児院で育った青年を主人公にした作品。孤児院と病院を兼ねた施設の医師を演じた。
1986年に「ハンナとその姉妹」で同賞を獲得しており、2度目のオスカーとなった。
  • マイケル・クラーク・ダンカン(グリーンマイル)
  • ハーレイ・ジョエル・オスメント(シックス・センス)
  • トム・クルーズ(マグノリア)
  • ジュード・ロウ(リプリー)
助演女優賞 アンジェリーナ・ジョリー
(17歳のカルテ)

※ウィノナ・ライダー演じるヒロインと病院の精神科で出会う少女を演じた。 1978年の作品「帰郷」で主演男優賞に輝いたジョン・ボイトの娘。親子二代でのオスカー受賞となった。
  • トニ・コレット(シックス・センス)
  • クロエ・セヴィニー(ボーイズ・ドント・クライ)
  • キャサリン・キーナー(マルコヴィッチの穴)
  • サマンサ・モートン(ギター弾きの恋)
脚本賞 アメリカン・ビューティー
(アラン・ボール)
  • シックス・センス(M・ナイト・シャマラン)
  • トプシー・ターヴィー(マイク・リー)
  • マグノリア(ポール・トーマス・アンダーソン)
  • マルコヴィッチの穴(チャーリー・カウフマン)
脚色賞 サイダーハウス・ルール
(ジョン・アーヴィング)
  • インサイダー(マイケル・マン、エリック・ロス)
  • グリーンマイル(フランク・ダラボン)
  • ハイスクール白書 優等生ギャルに気をつけろ!(アレクサンダー・ペイン、ジム・テイラー)
  • リプリー(アンソニー・ミンゲラ)
外国語映画賞 オール・アバウト・マイ・マザー
(スペイン)
  • イースト/ウェスト 遥かなる祖国(フランス)
  • キャラバン(ネパール)
  • 太陽の誘い(スウェーデン)
  • ソロモン・アンド・ゲイナー(イギリス)

1990年代

1999 | 1998 | 1997 | 1996 | 1995 | 1994 | 1993 | 1992 | 1991 | 1990 | 

1999年(第71回)

  • ■ 作品賞:
    「恋におちたシェイクスピア」
  • ■ 最多受賞:
    「恋におちたシェイクスピア」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「恋におちたシェイクスピア」(13個)

アカデミー賞の歴史に残る大番狂わせが起きました。 作品賞は、前哨戦で圧勝していた「プライベート・ライアン」(スティーブン・スピルバーグ監督)ではなく、「恋に落ちたシェイクスピア」(ジョン・マッデン監督)が獲りました。 恋に落ちたシェイクスピアは作品賞のほか、脚本賞、主演女優賞、助演女優賞など7部門を制しました。
プライベート・ライアンは、スピルバーグ監督の2度目の監督賞など5部門に輝きました。 1990年以降、作品賞と監督賞は同じ作品受賞する状態が続いていましたが、今回は別の作品が獲りました。

1999年 | 1998年↓

1999年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「恋におちたシェイクスピア」

恋におちたシェイクスピア

【配信:アマゾン

監督:ジョン・マッデン

スランプに陥った作家シェイクスピアが、男装して接近してきた娘と熱愛し、新境地を開拓するというコミカルなラブストーリー。 男性しか舞台に立てなかった時代に、富豪の娘が男装をして役者になるという独創的な物語になっている。

日本の女性たちからも絶大な支持を得た。

事前予想では、作品賞は「プライベート・ライアン」との声が多かったが、作品賞を獲得。さらに、グウィネス・パルトロウの主演女優賞に、英国の演技派ジュディ・デンチが助演女優賞に輝くなど、7部門を独占。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
  • 「プライベート・ライアン」
    監督:スティーブン・スピルバーグ
    ※第二次世界大戦のノルマンディー上陸作戦などを舞台に戦争の悲惨さを描いた。
     配信(Amazonビデオ)→
  • 「ライフ・イズ・ビューティフル」
    監督:ロベルト・ベニーニ
  • 「シン・レッド・ライン」
    監督:テレンス・マリック
     予告編(字幕なし)→
  • 「エリザベス」
    監督:シェカール・カプール
     配信(Amazonビデオ)→
監督賞 スティーブン・スピルバーグ
(プライベート・ライアン)

スピルバーグにとって「シンドラーのリスト」に続く2度目の監督賞。

主演トム・ハンクスとは初のタッグ。当時ハンクスは「フィラデルフィア」「フォレスト・ガンプ2/一期一会」で2年連続アカデミー賞主演男優賞を受賞し、トップスターの座に上り詰めていた。「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」で注目されたばかりの頃のマット・デイモンも出演している。

欧州の激戦地から1人の新兵を救い出すために8人の兵士たちが集結。その指令に時に疑問を抱きながら、彼らは決死の作戦を展開する。
  • ジョン・マッデン(恋におちたシェイクスピア)
  • ロベルト・ペニーニ(ライフ・イズ・ビューティフル)
  • テレンス・マリック(シン・レッド・ビューティフル)
  • ピーター・ウィアー(トゥルーマン・ショー)
主演男優賞 ロベルト・ベニーニ
(ライフ・イズ・ビューティフル)
  • トム・ハンクス(プライベート・ライアン)
  • エドワード・ノートン(アメリカン・ヒストリーX)
  • イアン・マッケラン(ゴッド・アンド・モンスター)
  • ニック・ノルティ(アフリクション/白い刻印)
主演女優賞 グウィネス・パルトロウ
(恋におちたシェイクスピア)
  • ケイト・ブランシェット(エリザベス)
  • フェルナンダ・モンテグロ(セントラル・ステーション)
  • エミリー・ワトソン(ほんとうのジャックリーヌ・ステーション)
  • メリル・ストリープ(母の眠り)
助演男優賞 ジェームズ・コバーン
(アフリクション/白い刻印)
  • ジェフリー・ラッシュ(恋におちたシェイクスピア)
  • エド・ハリス(トゥルーマン・ショー)
  • ビリー・ボブ・ソーントン(シンプル・プラン)
  • ロバート・デュバル(シビル・アクション)
助演女優賞 ジュディ・デンチ
(恋におちたシェイクスピア)
  • ブレンダ・プレンシ(リトル・ヴォイス)
  • リン・レッド・グレーヴ(ゴッド・アンド・モンスター)
  • レイチェル・グリフィッス(ほんとうのジャックリーヌ・デュ・プレ)
  • キャシー・ベイツ(パーフェクト・カップル)
脚本賞 恋におちたシェイクスピア
(トム・ストッパード、マーク・ノーマン)
  • トゥルーマン・ショー(アンドリュー・ニコル)
  • プライベート・ライアン(ロバート・ロダット)
  • ブルワース(ウォーレン・ビーティ、ジェレミー・ピクサー)
  • ライフ・イズ・ビューティフル(ロベルト・ベニーニ、ヴィンセンツォ・セラミ)
脚色賞 ゴッド・アンド・モンスター
(ビル・コンドン)
  • アウト・オブ・サイト(スコット・フランク)
  • シンプル・プラン(スコット・B・スミス)
  • シン・レッド・ライン(テレンス・マリック)
  • パーフェクト・カップル(エレイン・メイ)
外国語映画賞 ライフ・イズ・ビューティフル
(イタリア)
  • 運動靴と赤い金魚(イラン)
  • セントラル・ステーション(ブラジル)
  • タンゴ(アルゼンチン)
  • El Abuelo(スペイン)

1998年(第70回)

  • ■ 作品賞:
    「タイタニック」
  • ■ 最多受賞:
    「タイタニック」(11部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「タイタニック」(14個)

超大作「タイタニック」が全24部門中、史上最多タイの11部門で栄冠に輝きました。作品賞、監督賞のほかに技術部門を独占。「ベン・ハー」(1959年)の持つ最多受賞記録に並びました。

1999年↑ | 1998年 | 1997年↓

1998年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「タイタニック」

タイタニック

【配信:アマゾン

監督:ジェームズ・キャメロン

作品賞、監督賞など11部門を制し、「ベン・ハー」に並ぶ最多賞記録を作った。 1912年に沈没した豪華客船タイタニック号を舞台に、ラブストーリーを描く超大作。 実話の事故と、フィクションの恋物語を組み合わせた。

日本でも絶大な支持を獲得。とりわけ1990年代を生きた大勢の女性たちにとって「永遠の名作」として心に刻まれている。 世界の興行記録を塗り替え、日本でも配給収入や観客動員数の新記録を樹立した。 レオナルド・ディカプリオが絶大な人気を博し、「レオ様」として崇められた。

ジェームズ・キャメロン監督はそれまで、 「ターミネーター1、2」「エイリアン2」といった傑作SFアクション映画を手掛けてきた。 完璧主義で知られるキャメロン監督は本作で、実物大のタイタニック号を建造してしまった。 製作費が膨れ上がり、ハリウッドの製作会社も逃げ出しそうになったが、監督は自宅を抵当に入れてまで、自分のこだわりを貫いた。

最新技術を駆使したスペクタクル映像。 セリーヌ・ディオンが歌うテーマ曲。 そして何より、ロマンチックで悲しい恋物語に、観客は酔いしれた。

タイタニック号の金庫に保管されていた1枚の女性の絵。モデルだった老女が当時の様子を語り始める。 17歳のローズ(ケイト・ウィンスレット)は、親の決めた結婚が嫌で船から投身自殺を図る。だが、画家志望のジャック(レオナルド・ディカプリオ)に助けられ、恋に落ちるが……。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
  • 「恋愛小説家」
    監督:ジェームズ・L・ブルックス
     Netflix→
  • 「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」
    監督:ガス・ヴァン・サント
  • 「フル・モンティ」
    監督:ピーター・カッタネオ
     配信(Amazonビデオ)→
  • 「LA.コンフィデンシャル」
    監督:カーティス・ハンソン
     Googleプレイ→
監督賞 ジェームズ・キャメロン
(タイタニック)
  • ガス・ヴァン・サント(グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち)
  • ピーター・カッタネオ(フル・モンティ)
  • アトム・エゴヤン(スウィート・ヒアアフター)
  • カーティス・ハンソン(LAコンフィデンシャル)
主演男優賞 ジャック・ニコルソン
(恋愛小説家)
  • マット・デイモン(グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち)
  • ダスティン・ホフマン(ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ)
  • ピーター・フォンダ(ULEE'S GOLD)
  • ロバート・デュバル(THE APOSTLE)
主演女優賞 ヘレン・ハント
(恋愛小説家)
  • ヘレン・ボナム・カーター(鳩の翼)
  • ジュディ・デンチ(クイーン・ヴィクトリア/至上の恋)
  • ケイト・ウィンスレット(タイタニック)
  • ジュリー・クリスティ(アフターグロウ)
助演男優賞 ロビン・ウィリアム
(グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち)
  • グレッグ・キニア(恋愛小説家)
  • バート・レイノルズ(ブギー・ナイツ)
  • アンソニー・ポプキンス(アミスタッド)
  • ロバート・フォスター(ジャッキー・ブラウン)
助演女優賞 キム・ベイシンガー
(LA.コンフィデンシャル)
  • ミニー・ドライバー(グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち)
  • ジョーン・キューザック(イン&アウト)
  • ジュリアン・ムーア(ブギー・ナイツ)
  • グロリア・スチュアート(タイタニック)
脚本賞 グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち
(ベン・アフレック、マット・デイモン)
  • 地球は女で回ってる(ウディ・アレン)
  • ブギーナイツ(ポール・トーマス・アンダーソン)
  • フル・モンティ(サイモン・ビューフォイ)
  • 恋愛小説家(ジェームズ・L・ブルックス、マーク・アンドラス)
脚色賞 L.A.コンフィデンシャル
(ブライアン・ヘルゲランド、カーティス・ハンソン)
  • ウワサの真相/ワグ・ザ・ドッグ(ヒラリー・ヘンキン、デヴィッド・マメット)
  • スウィート ヒアアフター(アトム・エゴヤン)
  • 鳩の翼(ホセイン・アミニ)
  • フェイク(ポール・アナタシオ)
外国語映画賞 キャラクター/孤独な人の肖像
(オランダ)
  • パパってなに?(ロシア)
  • ビヨンド・サイレンス(ドイツ)
  • クアトロ・ディアス?(ブラジル)
  • 心の秘密(スペイン)

1997年(第69回)

  • ■ 作品賞:
    「イングリッシュ・ペイシェント」
  • ■ 最多受賞:
    「イングリッシュ・ペイシェント」(9部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「イングリッシュ・ペイシェント」(12個)

第2次世界大戦を背景にした恋愛悲劇「イングリッシュ・ペイシェント」が作品賞、監督賞、助演女優賞など9部門を制しました。9冠は歴代3位タイ。

1998年↑ | 1997年 | 1996年↓

1997年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「イングリッシュ・ペイシェント」

イングリッシュ・ペイシェント

【配信:アマゾン

監督:アンソニー・ミンゲラ

作品賞、監督賞など9部門で受賞した。 第二次世界大戦下を舞台に、砂漠で出会ったハンガリー人の探検家とイギリス人の人妻との悲恋が過去と現在を巧みに交差させて描かれる。

大戦の末期に飛行機事故で大やけどを負った探検家(レイフ・ファインズ)は、イタリアの野戦病院に運ばれてくる。 看護婦(ジュリエット・ビノシュ)の献身的な看病で男は断片的に記憶を取り戻していく。 自分はハンガリーの伯爵で、砂漠で会った英国人の人妻(クリスティン・スコット=トーマス)と激しい恋に落ちたこと、そして…。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
  • 「シャイン」
    監督:スコット・ヒックス
     予告編(字幕なし)→
  • 「秘密と嘘」
    監督:マイク・リー
  • 「ザ・エージェント」
    監督:キャメロン・クロウ
    CM契約などスポーツ選手をめぐる巨額ビジネスを仕切る敏腕エージェント(トム・クルーズ)の挫折と復活を描いた。一般に知られていなかったレネー・ゼルウィガーをヒロインに抜擢。商業的にも大成功した。
     配信(Amazonビデオ)→
  • 「ファーゴ」
    監督:ジョエル・コーエン
     配信(Amazonビデオ)→
監督賞 アンソニー・ミンゲラ
(イングリッシュ・ペイシェント)
  • スコット・ヒックス(シャイン)
  • マイク・リー(秘密と嘘)
  • ミロス・フォアマン(ラリー・フリント)
  • ジョエル・コーエン(ファーゴ)
主演男優賞 ジェフリー・ラッシュ
(シャイン)
  • トム・クルーズ(ザ・エージェント)
  • ウディ・ハレルソン(ラリー・フリント)
  • ビリー・ボブ・ソーントン(スリング・ブレイド)
  • レイフ・ファインズ(イングリッシュ・ペイシェント)
主演女優賞 フランシス・マクドーマン
(ファーゴ)
  • ブレンダ・ブレシン(秘密と嘘)
  • ダイアン・キートン(マイ・ルーム)
  • エミリー・ワトソン(奇跡の海)
  • クリスティン・スコット・トーマス(イングリッシュ・ペイシェント)
助演男優賞 キューバ・グッディング・Jr
(ザ・エージェント)
  • アーミン・ミューラー・スタール(シャイン)
  • エドワード・ノートン(真実の行方)
  • ジェームズ・ウッズ(ゴースト・オブ・ミシシッピー)
  • ウィリアム・H・メイシー(ファーゴ)
助演女優賞 ジュリエット・ビノッシュ
(イングリッシュ・ペイシェント)
  • マリアンヌ・ジャン=バプティスト(秘密と嘘)
  • ローレン・パコール(マンハッタン・ラプソディ)
  • バーバラ・ハーシー(ある貴婦人の肖像)
  • ジョアン・アレン(クルーシブル)
脚本賞 ファーゴ
(ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン)
  • ザ・エージェント(キャメロン・クロウ)
  • シャイン(スコット・ヒックス、ジャン・サーディ)
  • 真実の囁き(ジョン・セイルズ)
  • 秘密と嘘(マイク・リー)
脚色賞 スリング・ブレイド
(ビリー・ボブ・ソーントン)
  • イングリッシュ・ペイシェント(アンソニー・ミンゲラ)
  • クルーシブル(アーサー・ミラー)
  • トレインスポッティング(ジョン・ホッジ)
  • ハムレット(ケネス・ブラナー)
外国語映画賞 コーリャ 愛のプラハ
(チェコ)
  • コーカサスの虜(ロシア)
  • シェフ イン ラブ(グルジア)
  • 聖なる日の裏側(ノルウェー)
  • リディキュール(フランス)

1996年(第68回)

  • ■ 作品賞:
    「ブレイブハート」
  • ■ 最多受賞:
    「ブレイブハート」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ブレイブハート」(10個)

豪州出身の俳優メル・ギブソン(当時40歳)が監督、主演の「ブレイブハート」が作品、監督賞など5冠に輝きました。 前哨戦では「アポロ13」が圧勝していましたが、スペクタクル的なブレイブハートに軍配が上がりました。

1997年↑ | 1996年 | 1995年↓

1996年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ブレイブハート」

ブレイブハート

【配信:アマゾン

監督:メル・ギブソン

イングランドの侵略に立ち向かったスコットランドの英雄ウィリアム・ウォレスの生涯を描いた壮大なスペクタクル史劇。 メル・ギブソンの監督2作目。 アメリカでも日本でも初公開時は大ヒットにいたらなかったが、正攻法の演出が高く評価された。 下馬評では「アポロ13」が有力と見られていた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 メル・ギブソン
(ブレイブハート)

史上5人目の俳優出身のオスカー監督となった。ロバート・レッドフォード、ケビン・コスナー、ウッディー・アレン、ウォーレン・ビーティーに続いた。

ギブソンは「マッドマックス」シリーズに出演して豪州のトップスターとなった。1980年に妻とともにハリウッドに渡った。

ギブソンの監督作品は「顔のない天使」(1993年)に続いて2作目。

「ブレイブハート」は13世紀のスコットランドの英雄ウイリアム・ウォレスを主人公にした伝記映画。脚本を読んだギブソンが、民衆のために戦ったウォレスの人柄にほれ込んで映画化を決めた。  
  • マイケル・ラドフォード(イル・ポスティーノ)
  • クリス・ヌーナン(ベイブ)
  • マイク・フィッギス(リービング・ラスベガス)
  • ティム・ロビンス(デッドマン・ウォーキング)
主演男優賞 ニコラス・ケイジ
(リービング・ラスベガス)
  • マッシモ・トロイージ(イル・ポステージ)
  • アンソニーポプキンス(ニクソン)
  • リチャード・ドレイファス(陽のあたる教室)
  • ショーン・ペン(デッドマン・ウォーキング)
主演女優賞 スーザン・サランドン
(デッドマン・ウォーキング)
  • エリザベス・シュー(リービング・ラスベガス)
  • シャロン・ストーン(カジノ)
  • メリル・ストリープ(マディソン郡の橋)
  • エマ・トンプソン(いつか晴れた日に)
助演男優賞 ケヴィン・スペンシー
(ユージュアル・サスペクツ)
  • エド・ハリス(アポロ13)
  • ブラッド・ビット(12モンキーズ)
  • ティム・ロス(ロブ・ロイ/ロマンに生きた男)
  • ジェームズ・クロウェル(ベイブ)
助演女優賞 ミラ・ソルヴィーノ
(誘惑のアフロディーテ)
  • ジョアン・アレン(ニクソン)
  • キャスリーン・クインラン(アポロ13)
  • メア・ウィニンガム(ジョージア)
  • ケイト・ウィンスレット(いつか晴れた日に)
脚本賞 ユージュアル・サスペクツ
(クリストファー・マッカリー)
  • トイ・ストーリー(ジョン・ラセター、ピーター・ドクター、アンドリュー・スタントン、ジョー・ランフト、アレック・ソコロウ、ジョエル・コーエン)
  • ニクソン(オリヴァー・ストーン、スティーヴン・J・リヴェル、クリストファー・ウィルキンソン)
  • ブレイブハート(ランドール・ウォレス)
  • 誘惑のアフロディーテ(ウディ・アレン)
脚色賞 いつか晴れた日に
(エマ・トンプソン)
  • アポロ13(ウィリアム・ブロイルズ・Jr、アル・ライナート)
  • イル・ポスティーノ(マイケル・ラドフォード、マッシモ・トロイージ)
  • ベイブ(ジョージ・ミラー、クリス・ヌーナン)
  • リービング・ラスベガス(マイク・フィギス)
外国語映画賞 アントニア
(オランダ)
  • 愛の四重奏(ブラジル)
  • あこがれ美しく燃え(スウェーデン)
  • 明日を夢見て(イタリア)
  • Poussières de vie(アルジェリア)

1995年(第67回)

  • ■ 作品賞:
    「フォレスト・ガンプ/一期一会」
  • ■ 最多受賞:
    「フォレスト・ガンプ/一期一会」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「フォレスト・ガンプ/一期一会」(13個)

大方の予想通り、「フォレスト・ガンプ/一期一会」が作品賞を受賞しました。監督、主演男優、脚色などを制し6冠の圧勝でした。作品賞レースには、「ショーシャンクの空に」「パルプ・フィクション」という2つの歴史的傑作もノミネートされ、レベルの高い争いとなりました。このうち「ショーシャンクの空に」はIMDBのレーティングで史上最高級の評価を続けました。「パルプ・フィクション」は若きタランティーノ監督の大出世作で、カンヌ国際映画祭では最高賞(パルム・ドール)に輝いていました。

1996年↑ | 1995年 | 1994年↓

1995年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「フォレスト・ガンプ/一期一会」

フォレスト・ガンプ/一期一会

【配信:アマゾン

監督:ロバート・ゼメキス 第二次世界大戦後のベイビー・ブームの真っ只中に生まれたフォレスト・ガンプが主人公。 知的障害をものともせず、アメフト選手として活躍。 ベトナム戦争従軍後は、卓球全米チームのメンバーに。 実業界としても大成功し、億万長者になった。

ロックンロールの1950年代、ヒッピーの1960年代、ベトナム戦争の1970年代と、 アメリカの戦後をたくましく生き抜くガンプ。 苦しいときも優しい心を大切にして純粋に生きる姿が感動を呼んだ。



ガンプ役のトム・ハンクスは、2年連続で主演男優賞を受賞した。

この年の作品賞ノミネートは、強豪ぞろいだった。 「ショーシャンクの空に」「パルプ・フィクション」という映画史に残る傑作が名をつらねた。

ただ、フォレスト・ガンプは、ハリウッド歴代4位にあたる3億1700万ドル(約285億円)を稼ぎ出し、一大センセーションを巻き起こしていた。前哨戦でも圧勝しており、作品賞はおおむね確実視されていた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
  • 「ショーシャンクの空に」
    監督:フランク・ダラボン
  • 「パルプ・フィクション」
    監督:クエンティン・タランティーノ
    ※タランティーノ監督の2作目であり、映画史に多大な影響を与えた画期的な最高傑作。ボスの情婦のお供を命じられたギャングや、八百長を持ち掛けられたボクサーなど3つのドラマが異なる時間軸で交錯する。 カンヌ国際映画祭で作品賞を受賞。
  • 「フォー・ウェディング」
    監督:マイク・ニューウェル
     U-NEXT→
  • 「クイズ・ショウ」
    監督:ロバート・レッドフォード
監督賞 ロバート・ゼメキス
(フォレスト・ガンプ/一期一会)
  • クエンティン・タランティーノ(パルプ・フィクション)
  • ウディ・アレン(ブロードウェイと銃弾)
  • ロバート・レッド・フォード(クイズ・ショウ)
  • テレサ・コネリー(トリコロール/赤の愛)
主演男優賞 トム・ハンクス
(フォレスト・ガンプ/一期一会)

※前年の「フィラデルフィア」に続き、2年連続で同賞を受賞。主演男優賞の連続受賞は、第10、11回のスペンサー・トレーシー以来の快挙。
  • ジョン・トラボルタ(パルプ・フィクション)
  • ポール・ニューマン(ノーバディーズ・フール)
  • モーガン・フリーマン(ショーシャンクの空に)
  • ナイジェル・ホーソーン(英国万歳!)
主演女優賞 ジェシカ・ラング
(ブルー・スカイ)
  • スーザン・サランドン(依頼人)
  • ウィノナ・ライダー(若草物語)
  • ジョディ・フォスター(ネル)
  • ミランダ・リチャードソン(愛しすぎて/詩人の人)
助演男優賞 マーティン・ランドー
(エド・ウッド)
  • サミュエル・L・ジャクソン(パルプ・フィクション)
  • チャズ・パルミンテリ(ブロードウェイと銃弾)
  • ポール・スコフィールド(クイズ・ショウ)
  • ゲイリー・シニーズ(フォレスト・ガンプ/一期一会)
助演女優賞 ダイアン・ウィースト
(ブロードウェイと銃弾)
  • ローズマリー・ハリス(愛しすぎて/詩人の妻)
  • ユマ・サーマン(パルプ・フィクション)
  • ジェニファー・ティリー(ブロードウェイと銃弾)
  • ヘレン・ミレン(英国万歳!)
脚本賞 パルプ・フィクション
(クエンティン・タランティーノ、ロジャー・エイヴァリー)
  • 乙女の祈り(ピーター・ジャクソン、フラン・ウォルシュ)
  • トリコロール/赤の愛(クシシュトフ・キェシロフスキ、クシシュトフ・ピエシェヴィッチ)
  • フォー・ウェディング(リチャード・カーティス)
  • ブロードウェイと銃弾(ウディ・アレン、ダグラス・マクグラス)
脚色賞 フォレスト・ガンプ/一期一会
(エリック・ロス)
  • 英国万歳!(アラン・ベネット)
  • クイズ・ショウ(ポール・アタナシオ)
  • ショーシャンクの空に(フランク・ダラボン)
  • ノーバディーズ・フール(ロバート・ベントン)
外国語映画賞 太陽に灼かれて
(ロシア)
  • 苺とチョコレート(キューバ)
  • カストラート(ベルギー)
  • 恋人たちの食卓(台湾)
  • ビフォア・ザ・レイン(マケドニア)

1994年(第66回)

  • ■ 作品賞:
    「シンドラーのリスト」
  • ■ 最多受賞:
    「シンドラーのリスト」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「シンドラーのリスト」(12個)

ナチスのホロコースト(大量虐殺)からのユダヤ人救出を描いた「シンドラーのリスト」が、作品、監督(スティーブン・スピルバーグ)、脚色(スティーブン・ザイリアン)、撮影(ヤヌス・カミンスキー)、作曲(ジョン・ウィリアムズ)など7部門で受賞しました。

スピルバーグ監督は、数多くのヒット作を手掛けてきましたが、アカデミー賞受賞は、特別賞を除けば今回が初めて。スピルバーグ監督の「ジュラシック・パーク」も、視覚効果など3部門でオスカーを獲得しました。ジュラシック・パークは当時、恐竜ブームに火を付けました。

1995年↑ | 1994年 | 1993年↓

1994年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「シンドラーのリスト」

シンドラーのリスト

【配信:アマゾン

監督:スティーブン・スピルバーグ

第二次世界大戦下、ナチスドイツに占領されたポーランドが舞台。 強制収容所に連行されたユダヤ人の命を救った実在の事業家シンドラーを描いた。 救われた人数は1100人以上と言われる。

自身がユダヤ系であるスティーブン・スピルバーグ監督が構想に10年以上を費やして映画化した。 スピルバーグ監督は1975年に「ジョーズ」で大成功。 以来、「未知との遭遇」「レイダース」「E・T」「インディ・ジョーンズ」など、記録破りのヒット性とクオリティーを兼ねた名作を次々に生んできた。 しかし、その功績・実力に外部の評価が追い付かず、オスカー受賞を逃してきた。 8年前にも、「カラーパープル」が11部門でノミネートされたが、受賞ゼロに終わった。

本作でついに作品賞や監督賞を獲得した。白黒作品の受賞は33年ぶりだった。 3時間15分もあるが、長さを感じさせない。

<受賞スピーチ▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
  • 「父の祈りを」
    監督:ジム・シェリダン
    実際にイギリスで起きた冤罪(えんざい)事件で、北アイルランドのカトリック少数過激派アイルランド共和軍(IRA)のテロリストとして逮捕され、15年間投獄された10代の若者・ゲリー・コンロン(ダニエル・デイ・ルイス)の物語。父親までもがテロリスト容疑で逮捕され、2人は刑務所の同じ部屋に収容される。女優エマ・トンプソンが演じる弁護士の奮闘により晴れて無罪を勝ちとるものの、父親はすでに刑務所内で死亡していた。イギリスの司法、警察制度の不備と、父子の情愛を描いている。
     配信(Amazonビデオ)→
  • 「日の名残り」
    監督:ジェームズ・アイヴォリー
     配信(Amazonビデオ)→
  • 「ピアノ・レッスン」
    監督:ジェーン・カンピオン
  • 「逃亡者」
    監督:アンドリュー・デイヴィス
     配信(Amazonビデオ)→
監督賞 スティーブン・スピルバーグ
(シンドラーのリスト)

受賞スピーチ→

映画史に残る大ヒット作を次々に製作してきたスピルバーグが、ついにオスカーを獲得した。

スピルバーグが原作を読んだのは1982年、「E・T」で大成功の直後だった。 ユダヤ人の血を引く彼は、「ユダヤ系であるが故の義務」を果たすべく、映画化を決意する。しかし実現までに10年の歳月が流れた。脚本が難航したせいだ。

共同製作と配給のユニバーサル社は当初、「当たるわけがない」と難色を示した。しかし、スピルバーグ監督は、監督料を返上し、興行収入からの歩合も辞退してまでこの映画に賭けた。
  • ジム・シェリダン(父の祈りを)
  • ジェームズ・アイヴォリー(日の名残り)
  • ロバート・アルトマン(ショート・カッツ)
  • ジェーン・カンピオン(ピアノ・レッスン)
主演男優賞 トム・ハンクス
(フィラデルフィア)

※エイズに苦しみながら社会差別と戦う同性愛者の弁護士を演じた。
  • ダニエル・デイ・ルイス(父の祈りを)
  • アンソニーポプキンス(日の名残り)
  • ローレンス・フィッシュバーン(ティナ)
  • リーアム・ニーソン(シンドラーのリスト)
主演女優賞 ホリー・ハンター
(ピアノ・レッスン)
  • デブラ・ウィンガー(永遠の愛に生きて)
  • エマ・トンプソン(日の名残り)
  • ストッカード・チャニング(私に近い6人の他人)
  • アンジェラ・バセット(ティナ)
助演男優賞 トミー・リー・ジョーンズ
(逃亡者)
  • ピート・ポスルスウェイト(父の祈りを)
  • レオナルド・ディカプリオ(ギルバート・グレイプス)
  • ジョン・マルコビッチ(ザ・シークレット・サービス)
  • レイフ・ファインズ(シンドラーのリスト)
助演女優賞 アンナ・パキン
(ピアノ・レッスン)
  • ホリー・ハンター(ザ・ファーム/法律事務所)
  • ロージー・ペレス(フィアレス)
  • ウィノナ・ライダー(エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事)
  • エマ・トンプソン(父の祈りを)
脚本賞 ピアノ・レッスン
(ジェーン・カンピオン)
  • ザ・シークレット・サービス(ジェフ・マグワイア)
  • デーヴ(ゲイリー・ロス)
  • フィラデルフィア(ロン・ナイスワーナー)
  • めぐり逢えたら(ノーラ・エフロン、デヴィッド・S・ウォード)
脚色賞 シンドラーのリスト
(スティーヴン・ザイリアン)
  • エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事(マーティン・スコセッシ、ジェイ・コックス)
  • 父の祈りを(ジム・シェリダン、テリー・ジョージ)
  • 永遠の愛に生きて(ウィリアム・ニコルソン)
  • 日の名残り(ルース・プラワー・ジャブヴァーラ)
外国語映画賞 ベルエポック
(スペイン)
  • 青いパパイヤの香り(ベトナム)
  • ウェディング・バンケット(台湾)
  • さらば、わが愛/覇王別姫(香港)
  • Hedd Wyn(イギリス)

1993年(第65回)

  • ■ 作品賞:
    「許されざる者」
  • ■ 最多受賞:
    「許されざる者」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「許されざる者」(9部門)
    「ハワーズ・エンド」(9個)

アカデミー賞で冷遇されてきたクリント・イーストウッドが初のオスカー受賞。自らプロデュースし、主演も務めた「許されざる者」で、作品賞、監督賞という栄冠を手にした。 悪役のジーン・ハックマンも助演男優賞に輝いた。

主演男優賞アル・パチーノ(セント・オブ・ウーマン)。5回目のノミネートで初の栄冠となった。

このほか、日本の石岡瑛子が「ドラキュラ」で衣装デザイン賞を受賞した。 日本人としては「ラストエンペラー」で音楽賞を受けた60回の坂本龍一さん以来のオスカー。 衣装デザイン賞では27回(1954年)の「地獄門」の和田三造氏、58回(1985年)の「乱」のワダ・エミさんに続き三人目。

オードリー・ヘプバーンとエリザベス・テイラーが「ジーン・ハーショルト友愛賞」を受賞。ヘプバーンはこの受賞を聞いた数日後に世を去った。

1994年↑ | 1993年 | 1992年↓

1993年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「許されざる者」

許されざる者

【配信:アマゾン

監督:クリント・イーストウッド

重厚な西部劇。イーストウッドが、監督、主演、プロデューサーを務めた。初のオスカー受賞(作品賞、監督賞)となった。

老いて農夫となった元ならず者のマニーが、若いカウボーイから賞金稼ぎの話を持ちかけられ、かつての相棒ネッドと共に三人で無法者を追う。町の治安を守るために必死になる保安官と老いたガンマンとの決闘を描いた。

イーストウッドはこの栄誉に安住することなく、2000年代、2010年代にも傑作を次々とつくり続けた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 クリント・イーストウッド
(許されざる者)
  • マーティン・ブレスト(セント・オブ・ウーマン/夢の香り)
  • ニール・ジョーダン(クライング・ゲーム)
  • ロバート・アルトマン(ザ・プレイヤー)
  • ジェームズ・アイヴォリー(ハワーズ・エンド)
主演男優賞 アル・パチーノ
(セント・オブ・ウーマン/夢の香り)

※目の不自由な退役軍人を演じた。すさんだ心。一度は自殺も考える。そんなとき、ある青年と出会う。
  • スティーブン・レイ(クライング・ゲーム)
  • ロバート・ダウニーJr(チャーリー)
  • デンゼル・ワシントン(マルコムX)
  • クリント・イーストウッド(許されざる者)
主演女優賞 エマ・トンプソン
(ハワーズ・エンド)
  • スーザン・サランドン(ロレンツォのオイル/命の詩)
  • カトリーヌ・ドヌーブ(インドシナ)
  • ミッシェル・ファイファー(パッション・フィッシュド)
  • メアリー・マクドネルー(ラブ・フィールド
助演男優賞 ジーン・ハックマン
(許されざる者)
  • ジャック・ニコルソン(ア・ヒュー・グッドメン)
  • ジェイ・デビッドソン(摩天楼を夢見て)
  • アル・パチーノ(摩天楼を夢みて)
  • デビッド・ペイマー(ミスター・サタデー・ナイト)
助演女優賞 マリサ・トメイ
(いとこのビニー)
  • ミランダ・リチャード(ダメージ)
  • ジュディ・デイビス(夫たち、妻たち)
  • ジョーン・プロウライト(魅せられて四月)
  • ヴァネッサ・レッドグレーブ(ハワーズ・エンド)
脚本賞 クライング・ゲーム
(ニール・ジョーダン)
  • 夫たち、妻たち(ウディ・アレン)
  • パッション・フィッシュ(ジョン・セイルズ)
  • 許されざる者(ジョージ・ミラー、ニック・エンライト)
  • ロレンツォのオイル/命の詩(デヴィッド・ウェッブ・ピープルズ)
脚色賞 ハワーズ・エンド
(ルース・プラワー・ジャブヴァーラ)
  • ザ・プレイヤー(マイケル・トルキン)
  • セント・オブ・ウーマン/夢の香り(ボー・ゴールドマン)
  • 魅せられて四月(ピーター・バーンズ)
  • リバー・ランズ・スルー・イット(リチャード・フリーデンバーグ)
外国語映画賞 インドシナ
(フランス)
  • ウルガ(ロシア)
  • Un lugar en el mundo(ウルグアイ) 失格
  • Deans(ベルギー)
  • Schtonk!(ドイツ)

1992年(第64回)

  • ■ 作品賞:
    「羊たちの沈黙」
  • ■ 最多受賞:
    「羊たちの沈黙」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「バグジー」(10個)

異色のスリラー映画「羊たちの沈黙」(ジョナサン・デミ監督)が5冠に輝きました。作品、監督、主演男優、主演女優、脚色という主要5部門の完全制覇。主要5部門の独占は「カッコーの巣の上で」以来17年ぶりの快挙でした。スリラー映画として初の作品賞。 対抗馬の「JFK」と「バグジー」はそれぞれ2部門の受賞。
コロンビア映画を買収したソニー・ピクチャーズが健闘しました。映画会社別にみると、「バグジー」「フィッシャー・キング」など36本の最多ノミネートで8部門を受賞。ハリウッドへの日本の企業進出を印象づけました。

1993年↑ | 1992年 | 1991年↓

1992年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「羊たちの沈黙」

羊たちの沈黙

【配信:アマゾン

監督:ジョナサン・デミ

「スリラー映画はアカデミー賞で勝てない」というジンクスを打ち破った。 主要5部門(作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、脚色賞)を独占。 「或る夜の出来事」(1935年)、「カッコーの巣の上で」(1975年)に次いで、アカデミー史上3作目の快挙だった。 ゴールデングローブ賞の作品賞(ドラマ部門)を獲得していた強敵候補「バグジー」に完勝した。

米国で公開されたのは、授賞式の約1年前の1991年2月。 早期に公開された作品は、印象が薄くなって不利になるというのが常識だった。

原作はトマス・ハリスのベストセラー小説。 女性FBI捜査官訓練生クラリスは、元精神科医でレクターを獄中に訪ね、異常連続殺人事件の犯人像のヒントを得ようとする。

殺人鬼レクターを演じたアンソニー・ホプキンスは、出演時間が20分以下なのに、助演でなく主演男優賞を受賞した。ジョディ・フォスターは2度目の主演女優賞を受賞。

また、「美女と野獣」がアニメ映画として史上初めて作品賞にノミネートされた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 ジョナサン・デミ
(羊たちの沈黙)
  • バリー・レビンソン(バグジー)
  • オリバー・ストーン(JFK)
  • リドリー・スコット(テルマ&ルイーズ)
  • ジョン・シングルトン(ボーイズン・ザ・フッド)
主演男優賞 アンソニー・ホプキンス
(羊たちの沈黙)

※冷酷な殺人者レクターを演じた。 強烈なキャラクターを表現し、世界を震撼させた。 出演時間はわずか20分以下だけだった。それでも、助演でなく主演男優賞を受賞した。 それほどインパクトが強かった。
  • ロビン・ウィリアム(フィッシャー・キング)
  • ロバート・デ・ニーロ(ケープ・フィアー)
  • ウォーレン・ビーティー(バグジー)
  • ニック・ノルティ(サウス・キャロナイナ/愛と追憶の彼方)
主演女優賞 ジョディ・フォスター
(羊たちの沈黙)
  • ローラ・ダーン(ランプリング・ローズ)
  • ベッド・ミドラー(フォー・ザ・ボーイズ)
  • スーザン・サランドン(テルマ&ルイーズ)
  • ジーナ・デイビス(テルマ&ルイーズ)
助演男優賞 ジャック・パランス
(シティ・スリッカーズ)
  • マイケル・ラーナー(バートン・フィンク)
  • ハーベイ・カイテル(バグジー)
  • ベン・キングスレー(バグジー)
  • トミー・リー・ジョーンズ(JFK)
助演女優賞 マーセデス・ルール
(フィッシャー・キング)
  • ダイアン・ラッド(ランプリング・ローズ)
  • ジュリエット・ルイス(ケープ・フィアー)
  • ジェシカ・ダンディ(フライド・グリーン・トマト)
  • ケイト・ネリガン(サウス・キャロナイナ/愛と追憶の彼方)
脚本賞 テルマ&ルイーズ
(カーリー・クーリ)
  • バグジー(ジェームズ・トバック)
  • フィッシャー・キング(リチャード・ラグラヴェネーズ)
  • ボーイズ’ン・ザ・フッド(ジョン・シングルトン)
  • わが街(ローレンス・カスダン、メグ・カスダン)
脚色賞 羊たちの沈黙
(テッド・タリー)
  • サウス・キャロライナ/愛と追憶の彼方(パット・コンロイ、ベッキー・ジョンストン)
  • JFK(オリヴァー・ストーン、ザカリー・スクラー)
  • フライド・グリーン・トマト(ファニー・フラッグ、キャロル・ソビエスキー)
  • 僕を愛したふたつの国/ヨーロッパ ヨーロッパ(アグニエシュカ・ホランド)
外国語映画賞 エーゲ海の天使
(イタリア)
  • 紅夢(香港)
  • 春にして君を想う(アイスランド)
  • Obecná škola(チェコスロバキア)
  • Oxen(スウェーデン)

1991年(第63回)

  • ■ 作品賞:
    「ダンス・ウィズ・ウルブズ」
  • ■ 最多受賞:
    「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ダンス・ウィズ・ウルブズ」(12個)

「ダンス・ウィズ・ウルブズ」が7冠を制しました。異色の西部劇。ケビン・コスナー(当時36歳)が製作・監督・主演を務めました。一方、7部門でノミネートされた「ゴッドファーザー3」は無冠でした。

衛星放送で半日後にテレビに

授賞式はロサンゼルスで3月25日夜(現地時間)に開催された。 「映画誕生100年」をテーマに、華やかに行われた。 授賞式の模様は、日本衛星放送(JSB)が半日遅れで放映した。 これは当時としては画期的な早さでの放送だった。
米国ABCが生中継した映像を、JSBはほぼそのまま流した。衛星経由で映像が届くのと並行して翻訳作業をし、司会者の声の吹き替えの一部は生放送だったという。地上波では例年通りフジテレビが4月6日深夜に放映した。

1992年↑ | 1991年 | 1990年↓

1991年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ダンス・ウィズ・ウルブズ」

ダンス・ウィズ・ウルブズ

【配信:アマゾン

監督:ケビン・コスナー

白人の北軍将校と、ネイティブ・アメリカン(先住民)スー族との交流を描いた一大叙事詩。 西部劇が作品賞を受賞したのは「シマロン」以来じつに60年ぶり。ケビン・コスナーは初監督にして監督賞受賞。レッドフォードやビーティのように俳優としてよりも監督賞のオスカーを先に手に入れた。長さ約3時間。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
  • 「レナードの朝」
    監督:ペニー・マーシャル
  • 「ゴースト/ニューヨークの幻」
    監督:ジェリー・ザッカー
  • 「グッドフェローズ」
    監督:マーティン・スコセッシ
     予告編(Amazonビデオ)→
  • 「ゴッドファーザーパートⅢ」
    監督:フランシス・フォード・コッポラ
     Googleプレイ→
監督賞 ケビン・コスナー
(ダンス・ウィズ・ウルブズ)
  • マーティン・スコセッシ(グッドフェローズ)
  • スティーブン・フリアーズ(グリフターズ/詐欺師たち)
  • バーベット・シュローズ(運命の逆転)
  • フランシス・フォード・コッポラ(ゴッドファーザーパートⅢ)
主演男優賞 ジェレミー・アイアンズ
(運命の逆転)
  • ロバート・デ・ニーロ(レナードの朝)
  • ジェラール・ドバルデュー(シラノ・ド・ベルジュラック)
  • リチャード・ハリス(ザ・フィールド)
  • ケビン・コスナー(ダンス・ウィズ・ウルブス)
主演女優賞 キャシー・ベイツ
(ミザリー)
  • ジョアン・ウッドワード(ミスター&ミセス・ブリッジ)
  • ジュリア・ロバーツ(プリティ・ウーマン)
  • アンジェリカ・ヒューストン(グリフターズ/詐欺師たち)
  • メリル・ストリープ(ハリウッドにくちづけ)
助演男優賞 ジョー・ペシ
(グッドフェローズ)
  • ブルース・デイヴィソン(ロングタイム・コンパニオン)
  • アンディ・ガルシア(ゴッドファーザーパート3)
  • アル・パチーノ(ディック・トレイシー)
  • グレアム・グリーン(ダンス・ウィズ・ウルブズ)
助演女優賞 ウーピー・ゴールドパーグ
(ゴースト/ニューヨークの幻)
  • ロレイン・ブラッコ(グッドフェローズ)
  • アネット・ベニング(グリフターズ/詐欺師たち)
  • ダイアン・ラッド(ワイルド・アット・ハート)
  • メアリー・マクドネル(ダンス・ウィズ・ウルブス)
脚本賞 ゴースト/ニューヨークの幻
(ブルース・ジョエル・ルービン)
  • アリス(ウディ・アレン)
  • グリーン・カード(ピーター・ウィアー)
  • メトロポリタン(ホイット・スティルマン)
  • わが心のボルチモア(バリー・レヴィンソン)
脚色賞 ダンス・ウィズ・ウルブズ
(マイケル・ブレイク)
  • 運命の逆転(ニコラス・カザン)
  • グッドフェローズ(マーティン・スコセッシ)
  • グリフターズ/詐欺師たち(ドナルド・E・ウェストレイク)
  • レナードの朝(スティーヴン・ザイリアン)
外国語映画賞 ジャーニー・オブ・ホープ
(スイス)
  • シラノ・ド・ベルジュラック(フランス)
  • 宣告(イタリア)
  • 菊豆(中国)
  • ナスティ・ガール(ドイツ)

1990年(第62回)

  • ■ 作品賞:
    「ドライビングMissデイジー」
  • ■ 最多受賞:
    「ドライビング Miss デイジー」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ドライビング Miss デイジー」(9個)

は気難しいユダヤ人の未亡人と黒人のおかかえ運転手との心の交流を描いた「ドライビング・ミス・デイジー」が、作品賞など4部門を制しました。

世界映画界の巨匠、黒澤明監督(当時80歳)が特別名誉賞を受賞しました。壇上でスティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスから祝福を受けました。

1991年↑ | 1990年 | 1989年→

1990年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ドライビングMissデイジー」

ドライビングMissデイジー

【配信:アマゾン

監督:ブルース・ベレスフォード

意地っぱりな南部の老未亡人と、おかかえ運転手が、白人と黒人、主人と使用人、男と女の枠を越えて、しだいに心を通わせていく。 南部の黒人差別の実態を、さりげなく物語に織りこんだ。

監督賞にノミネートされず作品賞を受賞した初めての例となった。 ジェシカ・タンディは史上最年長80歳にして主演女優賞を受賞。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 オリバー・ストーン
(7月4日に生まれて)

※「プラトーン」に続く二作目のベトナム戦争ものを題材に、その悲劇を描いた
  • ピーター・ウィアー(いまを生きる)
  • ウディ・アレン(ウディ・アレンの重罪と軽罪)
  • ジム・シェリダン(マイ・レフトフット)
  • ケネス・ブラナー(ヘンリー五世)
主演男優賞 ダニエル・デイ・ルイス
(マイ・レフトフット)
  • ロビン・ウィリアム(いまを生きる)
  • トム・クルーズ(7月4日に生まれて)
  • モーガン・フリーマン(ドライビングMissデイジー)
  • ケネス・ブレナー(ヘンリー五世)
主演女優賞 ジェシカ・ダンディ
(ドライビングMissデイジー)
  • イザベル・アジャーニ(カミーユ・クローデル)
  • ミッシェル・ファイファー(恋のゆくえ)
  • ボーリーン・コリンズ(旅する女)
  • ジェシカ・ラング(ミュージックボックス)
助演男優賞 デンゼル・ワシントン
(グローリー)

※黒人俳優としては史上4人目のアカデミー受賞。南北戦争を舞台に黒人連隊を描いた。
  • ダニ・アイエロ(ドゥ・ザ・ライト・シング)
  • ダン・エイクロイド(ドライビングMissデイジー)
  • マーロン・ブランド(白く乾いた季節)
  • マーティン・ライド(ウディ・アレンの重罪と軽罪)
助演女優賞 プレンダ・フリッカー
(マイ・レフトフット)
  • アンジェリカ・ヒューストン(敵、ある愛の物語)
  • レナ・オリン(敵、ある愛の物語)
  • ダイアン・ウィースト(パックマン家の人々)
  • ジュリア・ロバーツ(マグノリアの花たち)
脚本賞 いまを生きる
(トム・シュルマン)
  • ウディ・アレンの重罪と軽罪(ウディ・アレン)
  • 恋人たちの予感(ノーラ・エフロン)
  • セックスと嘘とビデオテープ(スティーヴン・ソダーバーグ)
  • ドゥ・ザ・ライト・シング(スパイク・リー)
脚色賞 ドライビング Miss デイジー
(アルフレッド・ウーリー)
  • 7月4日に生まれて(オリヴァー・ストーン、ロン・コヴィック)
  • 敵、ある愛の物語(ポール・マザースキー、ロジャー・L・サイモン)
  • フィールド・オブ・ドリームス(フィル・アルデン・ロビンソン)
  • マイ・レフトフット(ジム・シェリダン、シェーン・コノートン)
外国語映画賞 ニュー・シネマ・パラダイス
(イタリア)
  • いつでも夢を(プエルトリコ)
  • カミーユ・クローデル(フランス)
  • 追想のワルツ(デンマーク)
  • モントリオールのジーザス(カナダ)

1980年代

1989 | 1988 | 1987 | 1986 | 1985 | 1984 | 1983 | 1982 | 1981 | 1980 | 

1989年(第61回)

  • ■ 作品賞:
    「レインマン」
  • ■ 最多受賞:
    「レインマン」(4部門)
    「ロジャー・ラビット」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「レインマン」(8個)

下馬評通り、「レインマン」が作品賞を受賞しました。監督賞(バリー・レビンソン)、主演男優賞(ダスティン・ホフマン)、脚本賞(バリー・モロー)も獲り、主要4部門を制する圧勝。ライバルの「ミシシッピー・バーニング」を突き放しました。主演女優賞には、レイプ裁判を取り上げた「告発の行方」のジョディ・フォスターが選ばれました。

1989年 | 1988年↓

1989年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「レインマン」

レインマン

【配信:アマゾン

監督:バリー・レヴィンソン

心温まる物語。ロードムービー。自閉症で40年以上も入院していた兄と、ずっと疎遠だった弟が主人公。弟は金儲けしか頭にない人物。自閉症という硬派のテーマに正面から取り組んだ。

兄弟は遺産相続の手続きをするため、米中西部シンシナティから西海岸ロサンゼルスへと長い旅をする。

兄レイモンドに扮したダスティン・ホフマンが主演男優賞に輝いた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 動画配信(U-NEXT)→

 説明ページ→
監督賞 バリー・レビンソン
(レインマン)
  • マーティン・スコセッシ(最後の誘惑)
  • マイク・ニコルズ(ワーキング・ガール)
  • チャールズ・クライトン(ワンダとダイヤと優しい奴ら)
  • アラン・パーカー(ミシシッピー・バーニング)
主演男優賞 ダスティン・ホフマン
(レインマン)

※1979年の「クレイマー・クレイマー」に次ぐ2度目の受賞。主演男優賞の2回受賞は、マーロン・ブランド、ゲーリー・クーパー、フレドリック・マーチ、スペンサー・トレーシーに次ぐ5人目だった。

自閉症という世間に誤解されがちな病気の男を、繊細にリアルに演じた。
  • ジーン・ハックマン(ミシシッピー・バーニング)
  • トム・ハンクス(ビッグ)
    ※一夜明けると突然少年から30歳に変身している役を演じた。この年は、コミック芸人を演じてより挑戦的な演技を見せた「パンチライン」でも称賛を浴びた。
  • エドワード・ジェームズ・オルモス(落ちこぼれの天使たち)
  • マックス・フォン・シドー(ペレ9)
主演女優賞 ジョディ・フォスター
(告発の行方)
  • メリル・ストリープ(クライ・イン・ザ・ダーク)
  • シガニー・ウィスパー(愛は霧のかなたに)
  • メラニー・グリフィス(ワーキング・ガール)
  • グレン・クローズ(危険な関係)
助演男優賞 ケヴィン・クライン
(ワンダとダイヤと優しい奴ら)
  • アレック・ギネス(Little Dorrit ... aka Nobody's Fault)
    ※「スター・ウォーズ」のオビ・ワン・ケノービ役で有名。「戦場にかける橋(1957年)」で主演男優賞を獲ったベテラン。
  • マーティン・ランドー(タッカー)
  • リヴァー・フェニックス(旅立ちの時)
  • ディーン・ストックウェル(愛されちゃって、マフィア
助演女優賞 ジーナ・デェビス
(偶然の旅行者)
  • シガニー・ウィーパー(ワーキング・ガール)
  • ジョーン・キューザック(ワーキング・ガール)
  • ミッシェル・ファイファー(危険な関係)
  • フランシス・マクドーマン(ミシシッピー・バーニング)
脚本賞 レインマン
(ロナルド・バス)
  • さよならゲーム(ロン・シェルトン)
  • 旅立ちの時(ナオミ・フォナー)
  • ビッグ(ゲイリー・ロス、アン・スピルバーグ)
  • ワンダとダイヤと優しい奴ら(チャールズ・クライトン、ジョン・クリーズ)
脚色賞 危険な関係
(クリストファー・ハンプトン)
  • 愛は霧のかなたに(アンナ・ハミルトン=フェラン、タブ・マーフィー)
  • 偶然の旅行者(ローレンス・カスダン、フランク・ガラチ)
  • 存在の耐えられない軽さ(フィリップ・カウフマン、ジャン=クロード・カリエール)
  • Little Dorrit(クリスティーン・エドザード)
外国語映画賞 ペレ
(デンマーク)
  • 仮面の中のアリア(ベルギー)
  • サラーム・ボンベイ!(インド)
  • 神経衰弱ぎりぎりの女たち(スペイン)
  • ハヌッセン(ハンガリー)

1988年(第60回)

  • ■ 作品賞:
    「ラストエンペラー」
  • ■ 最多受賞:
    「ラストエンペラー」(9部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ラストエンペラー」(9個)

ベルナルド・ベルトルッチ監督の英、伊、中国合作映画「ラストエンペラー」が作品、監督、撮影、作曲などノミネートされた9部門全てで受賞しました。このうち作曲賞では、テーマ曲を制作した坂本龍一氏が受賞者となりました。
主演男優賞は、「ウォール街」で市場荒らしの黒幕を演じたマイケル・ダグラスが獲得。主演女優賞は、ニューヨークのイタリア系移民の未亡人を演じた歌手シェールに贈られた。

1989年↑ | 1988年 | 1987年↓

1988年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ラスト・エンペラー」

ラスト・エンペラー

【配信:アマゾン

監督:ベルナルド・ベルトルッチ

英、伊、中国合作映画。作品賞のほか、監督、撮影、作曲など計9冠に輝いた。ノミネートされた9部門で全勝。このうち作曲賞では、テーマ曲を制作した坂本龍一氏が受賞者となった。

わずか3歳にして清朝最後の皇帝に任命された薄儀は、王朝崩壊以降も、大陸に侵略した日本軍によって満州国の傀儡皇帝として利用され、戦後は収容所生活を送る。 ベルトルッチ監督は、紫禁城に幽閉された男の物語というユニークな視点から彼の生涯を捉え、従来の大作とは一線を画した。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(U-NEXT)→

 説明ページ→
監督賞 ベルナルド・ベルトルッチ
(ラストエンペラー)
  • エイドリアン・ライン(危険な情事)
  • ノーマン・ジュイソン(月の輝く夜に)
  • ラッセ・ハルストレム(マイ・ライフ・アズ・ドッグ)
  • ジョン・ブアマン(戦場の小さな天使たち)
主演男優賞 マイケル・ダグラス
(ウォール街)

※企業の乗っ取り屋として暗躍する有力投資家を演じた。
  • ロビン・ウィリアム(グッドモーニング、ベトナム)
  • マルチェロ・マストロヤンニ(黒い瞳)
  • ジャック・ニコルソン(黄昏に燃えて)
  • ウィリアム・ハート(ブロードキャスト・ニュース)
  • モーガン・フリーマン(NYストリート・スマート)
主演女優賞 シェール
(月の輝く夜に)

※著名歌手。ニューヨークのイタリア系移民の未亡人を演じた。
  • サリー・カークランド(アンナ)
  • グレン・クローズ(危険な情事)
  • メリル・ストリープ(黄昏に燃えて)
  • ホリー・ハンター(ブロードキャスト・ニュース)
助演男優賞 ショーン・コネリー
(アンタッチャブル)
  • アルバート・ブルックス(ブロードキャスト・ニュース)
  • モーガン・フリーマン(NYストリート・スマート)
  • ヴィセント・ガーディニア(月のkが焼く夜に)
  • デンゼル・ワシントン(遠い夜明け)
助演女優賞 オリンピア・デュカキス
(月の輝く夜に)
  • アン・ラムジー(鬼ママを殺せ)
  • ノルマ・アレアンドロ(ギャピー、愛は全てを超えて)
  • アン・サザーン(八月の鯨)
  • アン・アーチャー(危険な情事)
脚本賞 月の輝く夜に
(ジョン・パトリック・シャンレー)
  • さよなら子供たち(ルイ・マル)
  • 戦場の小さな天使たち(ジョン・ブアマン)
  • ブロードキャスト・ニュース(ジェームズ・L・ブルックス)
  • ラジオ・デイズ(ウディ・アレン)
脚色賞 ラストエンペラー
(ベルナルド・ベルトルッチ、マーク・ペプロー)
  • 危険な情事(ジェームズ・ディアデン)
  • ザ・デッド/「ダブリン市民」より(トニー・ヒューストン)
  • フルメタル・ジャケット(スタンリー・キューブリック、マイケル・ハー、グスタフ・ハスフォード)
  • マイライフ・アズ・ア・ドッグ(ラッセ・ハルストレム、レイダル・イェンソン、ブラッセ・ブレンストレム、ペール・ベルイルント)
外国語映画賞 バベットの晩餐会
(デンマーク)
  • さよなら子供たち(フランス)
  • ホワイトウイザード(ノルウェー)
  • ラ・ファミリア(イタリア)
  • Asignatura aprobada(スペイン)

1987年(第59回)

  • ■ 作品賞:
    「プラトーン」
  • ■ 最多受賞:
    「プラトーン」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「プラトーン」(8個)

ベトナム戦争の悲劇を描いた「プラトーン」が作品賞を受賞しました。監督、編集、音響とあわせて4冠。主演男優賞はポール・ニューマン(ハスラー2)が初受賞。主演女優賞はろう者の新人、マーリー・マトリン(愛は静けさの中に)が獲得しました。ろう者のオスカー受賞は初めて。

ロマンス・コメディー「眺めのいい部屋」が脚色、衣装、美術の3部門を受賞。「エイリアン2」が音響と視覚効果の2部門を獲得。トム・クルーズ主演の大ヒット作「トップガン」が、挿入歌『愛は吐息のように』により歌曲賞に輝きました。

「ET」などの超特大ヒットを連発していたスティーブン・スピルバーグ監督に、映画製作に貢献した人物に与えられる「アービング・G・サルバーグ記念賞」が贈られました。

1988年↑ | 1987年 | 1986年↓

1987年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「プラトーン」

プラトーン

【配信:アマゾン

監督:オリバー・ストーン

ベトナム戦争に参戦したストーン監督が自己の体験を映画化した作品。最前線の兵士たちが極限状態の中でいかに理性を失っていくかをリアルに描いた。監督賞も受賞した。

受賞スピーチでストーン監督は「重要なことは真実を掘り出すこと。人はすでにベトナム戦争の真実と記憶を忘れ始めており、私はこれを掘り起こしたかった」と語った。

【物語】名門大学を中退してベトナム行きを志願し、最前線の戦闘小隊に配属された兵士が苛酷な戦場で見たものは、想像を上回る現実だった。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 オリバー・ストーン
(プラトーン)
  • デヴッド・リンチ(ブルーベルベット)
  • ジェームズ・アイヴォリー(眺めのいい部屋)
  • ウディ・アレン(ハンナとその姉妹)
  • ローランド・ジョフィ(ミッション)
主演男優賞 ポール・ニューマン
(ハスラー2)

※1958年の「熱いトタン屋根の猫」から数えて7度目のノミネートで、ついに初受賞を果たした(前年に名誉賞を受賞していたが、コンペティション部門では初受賞だった)。過去、出席したにもかかわらず受賞できなかった経験から、今回は縁起をかついで欠席。オスカーは彼の代理で出席した親友のロバート・ワイズ監督が受け取った。
  • ウィリアム・ハート(愛は静けさの中に)
  • ジェームズ・ウッズ(サルバトル/遥かなる日々)
  • ボブ・ホスキンス(モナリザ)
  • デクスター・ゴードン(ラウンド・ミッドナイト)
主演女優賞 マーリー・マトリン
(愛は静けさの中に)

※ろう者として初めてオスカーを受賞した。イリノイ州出身。生後18か月でハシカにかかり、ろう者になった。授賞式の時点では、本作の撮影中に意気投合した相手役のウイリアム・ハートと現在、同せい中だった。授賞式ではそのハートからオスカーを手渡され、感激の表情いっぱいに手話で感謝の意を述べた。
  • ジェーン・フォンダ(モーニングアフター)
  • シシー・スペイセク(ロンリーハート)
  • シガニー・ウィバー(エイリアン2)
  • キャスリン・ターナー(ペギー・スーの結婚)
助演男優賞 マイケル・ケイン
(ハンナとその姉妹)
  • トム・ベレンジャー(プラトーン)
  • ウィレム・デフォー(プラトーン)
  • デンホルム・エリオット(眺めのいい部屋)
  • デニス・ホッパー(勝利への旅立ち)
助演女優賞 ダイアン・ウィースト
(ハンナとその姉妹)
  • パイパー・ローリー(愛は静けさの中に)
  • テス・ハーパー(ロンリー・ハート)
  • マギー・スミス(眺めのいい部屋)
  • メアリー・エリザベス・マストラントニオ(ハスラー2)
脚本賞 ハンナとその姉妹
(ウディ・アレン)
  • クロコダイル・ダンディー(ポール・ホーガン、ケン・シャディー、ジョン・コーネル)
  • サルバドル/遥かなる日々(オリヴァー・ストーン)
  • プラトーン(オリヴァー・ストーン、リチャード・ボイル)
  • マイ・ビューティフル・ランドレット(ハニフ・クレイシ)
脚色賞 眺めのいい部屋
(ルース・プラワー・ジャブヴァーラ)
  • 愛は静けさの中に(ヘスパー・アンダーソン、マーク・メドフ)
  • スタンド・バイ・ミー(ブルース・A・エヴァンス、レイノルド・ギデオン)
  • ハスラー2(リチャード・プライス)
  • ロンリー・ハート(ベス・ヘンリー)
外国語映画賞 追想のかなた
(オランダ)
  • アメリカ帝国の滅亡(カナダ)
  • スイート・スイート・ビレッジ(チェコスロバキア)
  • ベティ・ブルー/愛と激情の日々(フランス)
  • 38 - Auch das war Wien(オーストリア)

1986年(第58回)

  • ■ 作品賞:
    「愛と哀しみの果て」
  • ■ 最多受賞:
    「愛と哀しみの果て」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「カラーパープル」(11個)
    「愛と哀しみの果て」(11個)

アフリカの大地に生きる女性像を描いた「愛と哀しみの果て」(シドニー・ポラック監督)が作品賞、監督賞など7部門を受賞しました。

スティーブン・スピルバーグ監督の「カラーパープル」が11部門でノミネートされました。受賞はゼロでした。

世界の巨匠・黒澤明監督の日仏映画「乱」が、監督賞、撮影賞、衣装デザイン賞、美術賞の4部門でノミネートされました。乱は、シェークスピアの「リア王」を元にした超大作で、黒澤監督の晩年の代表作の一つとなりました。4部門のうち、衣装デザイン賞で受賞を果たしました。受賞者はワダエミ(本名・和田恵美子)。京都市生まれ。当時49歳。安土桃山時代の能衣装を基調にしたコスチュームで称賛を浴びました。

1987年↑ | 1986年 | 1985年↓

1986年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「愛と哀しみの果て」

愛と悲しみの果て

【配信:アマゾン

監督:シドニー・ポラック

コーヒー園を経営するヒロインの恋と自立を描いた大河メロドラマ。

アフリカに魅せられたデンマークの女流作家アイザック・ディネーセンの自伝「アフリカの日々」に基づいている。 原作の出版は1937年。 オーソン・ウェルズら大物映画人が映画化を試みたが、あまりに叙事詩的過ぎて実現しなかった。 この難関に、 「ひとりぽっちの青春」「トッツィー」で2度オスカー監督賞にノミネートされたシドニー・ポラック監督が挑戦。大成功させた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
  • 「蜘蛛女のキス」
    監督:ヘクトール・バベンコ
  • 「カラーパープル」
    監督:スティーヴン・スピルバーグ
     予告編(Amazonビデオ)→
  • 「刑事ジョン・ブック/目撃者」
    監督:ピーター・ウィアー
     予告編(Amazonビデオ)→
  • 「女と男の名誉」
    監督:ジョン・ヒューストン
監督賞 シドニー・ポラック
(愛と哀しみの果て)
  • 黒澤明(乱)
  • ヘクトール・バベンコ(蜘蛛女のキス)
  • ピーター・ウィアー(刑事ジョン・ブック/目撃者)
  • ジョン・ヒューストン(女と男の名誉)
主演男優賞 ウィリアム・ハート
(蜘蛛女のキス)
  • ジョン・ヴォイト(暴走機関車)
  • ジェームズ・ガーナー(マフィーの選択)
  • ハリソン・フォード(刑事ジョン・ブック/目撃者
  • ジャック・ニコルソン(女と男の名誉)
主演女優賞 ジェラルディン・ペイジ
(バウンティフルへの旅)
  • アン・バンクロフト(アグネス)
  • ジェシカ・ラング(スウィート・ドリーム)
  • ウーピー・ゴールドバーク(カラーパープル)
  • メリル・ストリープ(愛と哀しみの果て)
助演男優賞 ドン・アメチー
(コクーン)
  • クラウス・マリア・プランダウアー(愛と哀しみの果て)
  • ウィリアム・ヒッキー(女と男の名誉)
  • ロバート・ロジア(白と黒のナイフ)
  • エリック・ロバーツ(暴走機関車)
助演女優賞 アンジェリカ・ヒューストン
(女と男の名誉)
  • メグ・ティリー(アグネス)
  • エイミーマディガン(燃えてふたたび)
  • オブラ・ウィンフリー(カラーパープル)
  • マーガレット・エイブリー(カラーパープル)
脚本賞 刑事ジョン・ブック 目撃者
(ウィリアム・ケリー、アール・W・ウォレス)
  • オフィシャル・ストーリー(アイーダ・ボルトニク、ルイス・プエンソ)
  • カイロの紫のバラ(ウディ・アレン)
  • バック・トゥ・ザ・フューチャー(ロバート・ゼメキス、ボブ・ゲイル)
  • 未来世紀ブラジル(テリー・ギリアム、トム・ストッパード、チャールズ・マッケオン)
脚色賞 愛と哀しみの果て
(カート・リュードック)
  • 女と男の名誉(リチャード・コンドン、ジャネット・ローチ)
  • カラーパープル(メノ・メイエス)
  • 蜘蛛女のキス(レナード・シュレイター)
  • バウンティフルへの旅(ホートン・フート)
外国語映画賞 オフィシャル・ストーリー
(アルゼンチン)
  • 赤ちゃんに乾杯(フランス)
  • パパは、出張中!(ユーゴスラビア)
  • 連隊長レドル(ハンガリー)
  • Bittere Ernte(西ドイツ)

1985年(第57回)

  • ■ 作品賞:
    「アマデウス」
  • ■ 最多受賞:
    「アマデウス」(8部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「アマデウス」(11個)
    「インドへの道」(11個)

「アマデウス」が作品賞など8部門で受賞。18世紀後半、ウィーンにやってきた若い音楽家モーツァルトと当時、宮廷音楽師としてつとめていたイタリア人の音楽家「サリエリ」とのかかわりを描きました。ミロシュ・フォアマン氏が監督賞、サリエリ役を演じたマーレイ・エイブラハムが主演男優賞など、前評判通りの強さでした。

助演男優賞には「キリング・フィールド」に初出演したカンボジア難民の医師ハイン・ヌゴールが選ばれました。

1986年↑ | 1985年 | 1984年↓

1985年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「アマデウス」

アマデウス

【配信:アマゾン

監督:ミロス・フォアマン

35歳の若さで死んだ音楽家モーツァルトと、彼に嫉妬する宮廷作曲家サリエリの物語。天才と凡人の確執劇を、大胆に映画化した。

モーツァルトの数々の名曲をバックに、サリエリの独白という形でストーリーが展開。 「フィガロの結婚」「ドン・ジョバンニ」「魔笛」「レクイエム」などの名曲誕生の過程も描いた。

サリエリ役のF・マーリー・エイブラハム、モーツァルト役のトム・ハルスはいずれも無名の俳優だった。2人そろって主演男優賞にノミネートされ、サリエリ役のエイブラハムが受賞した。

ミロス・フォアマン監督は、「カッコーの巣の上で」に続いて2度目の作品賞受賞となった(同じく監督賞も2度目の受賞)。

撮影は、フォアマン監督の故郷でもあるチェコの古都プラハで行われた。舞台となる18世紀のウィーンを再現。本物の美術品や建造物も映像に収められた。

【物語】18世紀後半、オーストリアの宮廷に仕える作曲家サリエリの前に、青年モーツァルトが出現。 モーツァルトは軽薄ながら、天才的な作曲の才能が備わっていた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
  • 「キリング・フィールド」
    監督:ローランド・ジョフィ
  • 「ソルジャー・ストーリー」
    監督:ノーマン・ジュイソン
     予告編(Amazonビデオ)→
  • 「インドへの道」
    監督:デヴィッド・リーン
     予告編(字幕なし)→
  • 「プレイス・イン・ザ・ハート」
    監督:ロバート・ベントン
監督賞 ミロス・フォアマン
(アマデウス)
  • ローランド・ジョフィ(キリング・フィールド)
  • ウディ・アレン(ブロードウェイのダニー・ロイズ)
  • デビッド・リーン(インドへの道)
  • ロバート・ペントン(プレイス・イン・ザ・ハート)
主演男優賞 フランク・マーレイ・エイブラハム
(アマデウス)
  • アルバート・フィニー(火山のもとで)
  • サム・ウォーターストン(キリング・フィールド)
  • ジェフ・プリッジス(スターマン/愛・宇宙はるかに)
  • トム・ハルス(アマデウス)
主演女優賞 サリー・フィールド
(プレイス・イン・ザ・ハート)

※2度目の主演女優賞
  • ジェシカ・ラング(カントリー)
  • ジュディ・デイビス(インドへの道)
  • ヴァネッサ・レッドグレーブ(ボストニアン)
  • シシー・スペイセク(ザ・リバー)
助演男優賞 ハイン・S・ニュール
(キリング・フィールド)
  • アドルフ・シーザー(ソルジャー・ストーリー)
  • ジョン・マルコビッチ(プレイス・イン・ザ・ハート)
  • ノリユキ・パット・モリタ(ベスト・キッド)
  • ラルフ・リチャード(グレイストーク)
助演女優賞 ペギー・アシュクロフト
(インドへの道)
  • ジェラルディン・ペイジ(悪の華/パッショネイト)
  • クリスティーン・ラーチ(スイング・シフト)
  • グレン・クローズ(ナチュラル)
  • リンゼイ・クローズ(プレイス・イン・ザ・ハート)
脚本賞 プレイス・イン・ザ・ハート
(ロバート・ベントン)
  • エル・ノルテ/約束の地(グレゴリー・ナヴァ、アンナ・トーマス)
  • スプラッシュ(ブライアン・グレイザー、ブルース・J・フリードマン、ローウェル・ガンツ、ババルー・マンデル)
  • ビバリーヒルズ・コップ(ダニエル・ペトリ・Jr、ダニロ・バック)
  • ブロードウェイのダニー・ローズ(ウディ・アレン)
脚色賞 アマデウス
(ピーター・シェーファー)
  • インドへの道(デヴィッド・リーン)
  • キリング・フィールド(ブルース・ロビンソン)
  • グレイストーク ターザンの伝説(P・H・ヴァザック、マイケル・オースティン)
  • ソルジャー・ストーリー(チャールズ・フラー)
外国語映画賞 La Diagonale du fou
(スイス)
  • カミーラ(アルゼンチン)
  • Me'Ahorei Hasoragim(イスラエル)
  • Sesión continua(スペイン)
  • Voenno-polevoy roman(ソビエト連邦)

1984年(第56回)

  • ■ 作品賞:
    「愛と追憶の日々」
  • ■ 最多受賞:
    「愛と追憶の日々」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「愛と追憶の日々」(11個)

母娘の愛憎劇「愛と追憶の日々」が作品賞など5冠に輝きました。獲得した5部門はいずれも主要部門(作品、監督、脚色、主演女優、助演男優)。ジェームズ・L・ブルックス監督は、映画監督としてのデビュー作で3個のオスカー(作品、監督、脚色)を獲りました。
また、スウェーデン映画「ファニーとアレクサンデル」が外国語映画賞のほか、撮影賞、衣装デザイン賞、美術賞の4部門を獲得しました。非英語作品として快挙でした。

1985年↑ | 1984年 | 1983年↓

1984年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「愛と追憶の日々」

愛と追憶の日々

【配信:アマゾン

監督:ジェームズ・L・ブルックス

姉妹のように仲の良い母娘オーロラとエマの強い絆を描いた愛と感動のドラマ。主要部門だけで5冠に輝いた。

ジェームズ・L・ブルックス監督は当時43歳。テレビの脚本家として活躍したあと映画に参入し、本作で初めて映画監督に挑んだ。脚本(脚色)も自ら手掛けた。

母親役と娘役の2人が主演女優賞にノミネートされ、母役のシャーリー・マクレーンが初受賞した。

元・宇宙飛行士役で助演男優賞を受賞したジャック・ニコルソンの怪演も話題になった。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 ジェームズ・L・ブルックス
(愛と追憶の日々)
  • マイク・ニコルズ(シルクウッド)
  • ブルース・ベレスフォード(テンダー・マーシー)
  • ピーター・イエーツ(ドレッサー)
  • イングマール・ベルイマン(ファニーとアレクサンデル)
主演男優賞 ロバート・デュバル
(テンダー・マーシー)
  • トム・コートネイ(ドレッサー)
  • アルバート・フィニー(ドレッサー)
  • トム・コンティ(Reuben, Reuben)
  • マイケル・ケイン(リタと大学教授)
主演女優賞 シャーリー・マクレーン
(愛と追憶の日々)
  • メリル・ストリープ(シルクウッド)
  • ジェーン・アレクサンダー(テスタメント)
  • ジュリー・ウォルターズ(リタと大学教授)
  • デブラ・ウィンガー(愛と追憶の日々)
助演男優賞 ジャック・ニコルソン
(愛と追憶の日々)
  • リップ・トーン(クロスクリーク)
  • チャールズ・ダーニング(メル・ブルックスの大脱走)
  • サム・シェパード(ライトスタッフ)
  • ジョン・リスゴー(愛と追憶の日々)
助演女優賞 リンダ・ハント
(危険な年)
  • シェール(シルクウッド)
  • グレン・クローズ(再会の時)
  • アルフレ・ウッダード(クロスクリーク)
  • エイミー・アーヴィング(愛のイエントル)
脚本賞 テンダー・マーシー
(ホートン・フート)
  • ウォー・ゲーム(ローレンス・ラスカー、ウォルター・F・パークス)
  • 再会の時(ローレンス・カスダン、バーバラ・ベネディック)
  • アリス・アーレン - シルクウッド(ノーラ・エフロン)
  • ファニーとアレクサンデル(イングマール・ベルイマン)
脚色賞 愛と追憶の日々
(ジェームズ・L・ブルックス)
  • ドレッサー(ロナルド・ハーウッド)
  • リタと大学教授(ウィリー・ラッセル)
  • Betrayal(ハロルド・ピンター)
  • Reuben, Reuben(ジュリアス・J・エプスタイン)
外国語映画賞 ファニーとアレクサンデル
(スウェーデン)
  • 女ともだち(フランス)
  • カルメン(スペイン)
  • ル・バル(アルジェリア)
  • Jób lázadása(ハンガリー)

1983年(第55回)

  • ■ 作品賞:
    「ガンジー」
  • ■ 最多受賞:
    「ガンジー」(8部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ガンジー」(11個)

最多11ノミネートの「ガンジー」(リチャード・アッテンボロー監督)と、9ノミネートの「E.T.」(スティーブン・スピルバーグ監督)の一騎打ちと見られていました。結果は、インドの指導者の伝記「ガンジー」が圧勝。作品賞、監督賞、主演男優賞など8部門を制しました。

1984年↑ | 1983年 | 1982年↓

1983年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ガンジー」

ガンジー

【配信:アマゾン

監督:リチャード・アッテンボロー

非暴力主義を貫き、祖国インドを独立に導いたガンジーの生涯を壮大なスケールで描いた。「無抵抗・非服従」を通して人民の尊敬を一心に集めた偉人。

8部門を受賞。 主演男優賞を獲得したガンジー役のペン・キングズレーは映画デビュー作だった。本物とそっくりぶりが話題となった。

前年の「炎のランナー」に続いて、イギリス映画の作品賞となった。英国映画の作品賞は8度目。

対抗馬のSFファンタジー「E.T.」は興行収入の記録を塗り替える大ヒットを記録。世論の熱烈な支持を受けていた。しかし、大人の風格を好むアカデミー会員の総意には至らず、作品賞、監督賞、脚本賞を逃した。それでも技術部門で4つのオスカー(編集、作曲、視覚効果、音響効果)に輝いた。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 リチャード・アッテンボロー
(ガンジー)
  • シドニー・ルメット(評決)
  • スティーブン・スピルバーグ(E.T)
  • ウォルフガング・ペーターゼン(U.ボート)
  • シドニー・ポラック(トッツィー)
主演男優賞 ベン・キングスレー
(ガンジー)
  • ポール・ニューマン(評決)
  • ジャック・レモン(ミッシング)
  • ダスティン・ホフマン(トッツィー)
  • ピーター・オトゥール(My Favorite Year)
主演女優賞 メリル・ストリープ
(ソフィーの選択)
  • デブラ・ウィンガー(愛と青春の旅だち)
  • ジェシカ・ラング(女優フランシス)
  • シシー・スペイセク(ミッシング)
  • ジュリー・アンドリュース(ビクター/ビクトリア)
助演男優賞 ルイス・ゴセット・Jr
(愛と青春の旅たち)
  • ジェームズ・メイソン(評決)
  • ジョン・リスゴー(ガープの世界)
  • チャールズ・ダーニング(テキサスの赤いバラ)
  • ロバート・プレストン(ビクター/ビクトリア)
助演女優賞 ジェシカ・ラング
(トッツィー)
  • グレン・クローズ(ガープの世界)
  • キム・スタンレー(女優フランシス)
  • レスリー・アン・ウォーレン(ビクター/ビクトリア)
  • テリー・ガー(トッツイー)
脚本賞 ガンジー
(ジョン・ブライリー)
  • 愛と青春の旅だち(ダグラス・デイ・スチュワート)
  • E.T.(メリッサ・マシスン)
  • ダイナー(バリー・レヴィンソン)
  • トッツィー(ラリー・ゲルバート、マレー・シスガル、ドン・マクガイア)
脚色賞 ミッシング
(コスタ=ガヴラス、ドナルド・スチュワート)
  • ソフィーの選択(アラン・J・パクラ)
  • ビクター/ビクトリア(ブレイク・エドワーズ)
  • 評決(デヴィッド・マメット)
  • U・ボート(ウォルフガング・ペーターゼン)
外国語映画賞 Volver a empezar
(スペイン)
  • アルシノとコンドル(ニカラグア)
  • 解任(ソビエト連邦)
  • Coup de torchon(フランス)
  • Ingenjör Andrées luftförd(スウェーデン)

1982年(第54回)

  • ■ 作品賞:
    「炎のランナー」
  • ■ 最多受賞:
    「レイダース/失われたアーク《聖櫃》」(4部門)
    「炎のランナー」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「レッズ」(12個)

スポーツ映画「炎のランナー」が作品賞、作曲賞、脚本賞、衣装デザイン賞の4冠を獲得。ヴァンゲリスのテーマ曲による作曲賞は予想通りだったが、それ以外の部門は番狂わせだった。

歴代2位となる12部門ノミネートを果たした「レッズ」は作品賞を逃した。監督賞(ウォーレン・ベイティ)は獲得した。

キャサリン・ヘプバーンが「黄昏」で主演女優賞を獲得し、4度目の女優賞という新記録を樹立した。名誉賞しか受賞したことがなかったヘンリー・フォンダがついに主演男優賞に輝いた。

1983年↑ | 1982年 | 1981年↓

1982年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「炎のランナー」

炎のランナー

【配信:アマゾン

監督:ヒュー・ハドソン

斬新な語り口のスポーツ映画、青春映画。感動もの。

2人の陸上選手の人生が交錯する。1924年パリ五輪出場を目指すユダヤ人青年と、キリスト教の聖職者の息子。 走る目的こそ違うが、あくまでもベストをつくす若者たちの姿を、新鋭ヒュー・ハドソン監督がドキュメント・タッチで描いた。

対抗馬の「レッズ」は12部門ノミネート、「黄昏」は9部門ノミネート。作品賞はこの2作の一騎打ちと予想されていた。ところが、7部門ノミネートの炎のランナーが作品賞をさらった。

プロデューサーは、敏腕デビッド・パットナム(英国人)。当時41歳。「小さな恋のメロディ」「ミッドナイト・エクスプレス」で既に大成功していたが、本作が代表作になった。この後も「キリング・フィールド 」「ミッション」などのオスカー関連作品を手掛けた。

<受賞スピーチ▼>


 説明ページ→

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→
監督賞 ウォーレン・ベイティ
(レッズ)
  • ルイ・マル(アトランティック・シティ)
  • スティーブン・スピルバーグ(レイダース/失われたアーク)
  • ヒュー・ハドソン(炎のランナー)
  • マーク・ライテル(黄昏)
主演男優賞 ヘンリー・フォンダ
(黄昏)
  • バート・ランカスター(アトランティック・シティ)
  • ポール・ニューマン(スクープ・悪意の不在)
  • ダドリー・ムーア(ミスター・アーサー)
  • ウォーレン・ベイティ(レッズ)
主演女優賞 キャサリン・ヘップバーン
(黄昏)

※4度目の女優賞。新記録を樹立した。
  • スーザン・サランドン(アトランティック・シティ)
  • マーシャ・メイソン(泣かないで)
  • メリル・ストリープ(フランス軍中尉の女)
  • ダイアン・キートン(レッズ)
助演男優賞 ジョン・ギールグッド
(ミスター・アーサー)
  • ジェームズ・ココ(泣かないで)
  • ハワード・E・ロリンズ・Jr(ラグタイム)
  • ジャック・ニコルソン(レッズ)
  • イアン・ホルム(炎のランナー)
助演女優賞 モーリン・ステイプルトン
(レッズ)
  • メリアン・ディロン(スクープ・悪意の不在)
  • ジョーン・ハケット(泣かないで)
  • エリザベス・マクガバン(ラグタイム)
  • ジェーン・フォンダ(黄昏)
脚本賞 炎のランナー
(コリン・ウェランド)
  • アトランティック・シティ(ジョン・グアーレ)
  • スクープ・悪意の不在(カート・リュードック)
  • ミスター・アーサー(スティーヴ・ゴードン)
  • レッズ(ウォーレン・ビーティ、トレヴァー・グリフィス)
脚色賞 黄昏
(アーネスト・トンプソン)
  • フランス軍中尉の女(ハロルド・ピンター)
  • プリンス・オブ・シティ(シドニー・ルメット、ジェイ・プレッソン・アレン)
  • ペニーズ・フロム・ヘブン(デニス・ポッター)
  • ラグタイム(マイケル・ウェラー)
外国語映画賞 メフィスト
(ハンガリー)
  • 鉄の男(ポーランド)
  • 泥の河(日本)
  • Das Boot ist voll(スイス)
  • Tre fratelli(イタリア)

1981年(第53回)

  • ■ 作品賞:
    「普通の人々」
  • ■ 最多受賞:
    「普通の人々」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「エレファント・マン」(8個)
    「レイジング・ブル」(8個)

大スター俳優のロバート・レッドフォードが初めて監督を務めた「普通の人々」が作品賞、監督賞、助演男優賞(ティモシー・ハットン)、脚色賞の4冠に輝きました。

日本で一大ブームを巻き起こした「エレファント・マン」(デビッド・リンチ監督)と、マーティン・スコセッシ監督の歴史的傑作「レイジング・ブル」が、それぞれ作品賞を含む最多8部門にノミネートされました。このうちエレファント・マンは無冠でしたが、レイジング・ブルは主演男優賞(ロバート・デ・ニーロ)と編集賞を獲りました。

1982年↑ | 1981年 | 1980年↓

1981年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「クレイマー・クレイマー」

クレイマー・クレイマー

【配信:アマゾン

監督:ロバート・ベントン

時代の風潮を巧みにとらえた家庭ドラマ。アメリカで急増し、社会現象化した「離婚」が題材。 子供の養育権をめぐる争いを描いた。

女性の自立に目覚めた妻に家出され、7歳の子供の世話と家事に振り回されることになった夫が奮闘する。

<受賞スピーチ▼>


 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
  • 「オール・ザット・ジャズ」
    監督:ボブ・フォッシー
    ※クレイマー・クレイマーと並ぶ9個ノミネート。うち技術系3部門で受賞
  • 「地獄の黙示録」
    監督:フランシス・フォード・コッポラ
    ※ベトナム戦争を題材にした壮大な叙事詩。
  • 「ノーマ・レイ」
    監督:マーティン・リット
     予告編(字幕なし)→
  • 「ヤング・ゼネレーション」
    監督:ピーター・イエーツ
監督賞 ロバート・レッド・フォード
(普通の人々)
  • ロマン・ポランスキー(テス)
  • マーティン・スコセッシ(レイジング・ブル)
  • デヴィッド・リンチ(エレファント・マン)
  • リチャード・ラッシュ(スタントマン)
主演男優賞 ロバート・デ・ニーロ
(レイジング・ブル)

※「ゴッドファーザー2」での助演男優賞に続いて2度目のオスカー。この間「タクシー・ドライバー」や「ディア・ハンター」で主演男優賞にノミネートされたが、受賞には至らなかった。実在するボクシングのミドル級王者に扮した。体重を増やして役に挑んだ。
  • ジョン・ハート(エレファント・マン)
  • ピーター・オトゥール(パパ)
  • ピーター・オトゥール(スタントマン)
  • ジャック・レモン(マイ・ハートマイ・ラブ)
主演女優賞 シシー・スペイセク
(歌え!ロレッタ愛のために)
  • ジーナ・ローランズ(グロリア)
  • ゴールディ・ホーン(プライベート・ベンジャミン)
  • エレン・バースティン(レザレクション/復活)
  • メアリー・タイラー・ムーア(普通の人々)
助演男優賞 ティモシー・ハットン
(普通の人々)
  • マイケル・オキーフ(パパ)
  • ジョー・ペシ(レイジング・ブル)
  • ジェイソン・ロバーズ(メルビンとハワード)
  • ジャード・ハッシュ(普通の人々)
助演女優賞 メアリー・スティーンバージョン
(メルビンとハワード)
  • キャシー・モリアーティ(レイジング・ブル)
  • アイリーン・ブレナン(プライベート・ベンジャミン)
  • ダイアナ・スカーウッド(サンフランシスコ物語)
  • アイリーン・ブレナン(レザレクション/復活)
脚本賞 メルビンとハワード
(ボー・ゴールドマン)
  • アメリカの伯父さん(ジャン・グリュオー)
  • フェーム(クリストファー・ゴア)
  • プライベート・ベンジャミン(ナンシー・マイヤーズ、チャールズ・シャイア、ハーヴェイ・ミラー)
  • ブルベイカー(W・D・リクター、アーサー・ロス)
脚色賞 普通の人々
(アルヴィン・サージェント)
  • 歌え!ロレッタ愛のために(トム・リックマン)
  • 英雄モラント/傷だらけの戦士(ブルース・ベレスフォード、ジョナサン・ハーディ、デヴィッド・スティーヴンス)
  • エレファント・マン(デヴィッド・リンチ、クリストファー・デヴォア、エリック・バーグレン)
  • スタントマン(ローレンス・B・マーカス、リチャード・ラッシュ)
外国語映画賞 モスクワは涙を信じない
(ソビエト連邦)
  • エル・ニド(スペイン)
  • 影武者(日本)
  • コンフィデンス/信頼(ハンガリー)
  • 終電車(フランス)

1980年(第52回)

  • ■ 作品賞:
    「クレイマー・クレイマー」
  • ■ 最多受賞:
    「クレイマー・クレイマー」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「オール・ザット・ジャズ」(9個)
    「クレイマー・クレイマー」(9個)

前評判通り、「クレイマー・クレイマー」が主要部門で圧勝した。作品、監督、主演男優(ダンスティン・ホフマン)、助演女優(メリル・ストリープ)、脚色の5冠。

コッポラ監督がベトナム戦争を扱った「地獄の黙示録」は作品賞を逃したが、撮影賞と音響賞を獲得。「オール・ザット・ジャズ」が技術系で3冠。

1981年↑ | 1980年 | 1979年→

1980年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「クレイマー・クレイマー」

クレイマー・クレイマー

【配信:アマゾン

監督:ロバート・ベントン

女性の自立に目覚めた妻に家出され、7歳の子供の世話と家事に振り回されることになった夫の奮戦記。 アメリカで急増し、社会現象化した「離婚」をテーマに、夫婦の新しい形が見なおされた。 それまではオスカーに否定的だったダスティン・ホフマンが受賞式では素直に喜び、感動的なスピーチを述べた。

 予告編→

 動画配信(Amazon字幕版)→

 受賞スピーチ→

 説明ページ→
監督賞 ロバート・ベントン
(クレイマー・クレイマー)
  • ボブ・フォッシー(オール・ザット・ジャズ)
  • フランシス・フォード・コッポラ(地獄の黙示録)
  • エドゥアール・モリナロ(Mr.レディMr.マダム)
  • ピーター・イエーツ(ヤング・ゼネレーション)
主演男優賞 ダスティン・ホフマン
(クレイマー・クレイマー)
  • ロイ・シャイダー(オール・ザット・ジャズ)
  • アル・パチーノ(ジャスティス)
  • ジャック・レモン(チャイナ・シンドローム)
  • ピーター・セラーズ(チャンス)
主演女優賞 サリー・フィールド
(ノーマ・レイ)
  • ジル・クレイバーグ(結婚ゲーム)
  • マーシャ・メイソン(第2章)
  • ジェーン・フォンダ(チャイナ・シンドローム)
  • ベット・ミドラー(ローズ)
助演男優賞 メルヴィン・ダグラス
(チャンス)
  • ジャスティン・ヘンリー(クレイマー・クレイマー)
  • ロバート・デュヴァル(地獄の黙示録)
  • フレデリック・フォレスト(ローズ)
  • ミッキー・ルーニー(ワイルド・ブラック/少年の黒い馬)
助演女優賞 メリル・ストリープ
(クレイマー・クレイマー)
  • ジェーン・アレクサンダー(クレイマー・クレイマー)
  • キャンディス・バーゲン(結婚ゲーム)
  • マリエル・ヘミングウェイ(マンハッタン)
  • バーバラ・バリー(ヤング・ゼネレーション)
脚本賞 ヤング・ゼネレーション
(スティーヴ・テシック)
  • オール・ザット・ジャズ(ボブ・フォッシー、ロバート・アラン・アーサー)
  • ジャスティス(バリー・レヴィンソン、ヴァレリー・カーティン)
  • チャイナ・シンドローム(ジェームズ・ブリッジス、マイク・グレイ、T・S・クック)
  • マンハッタン(ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン)
脚色賞 クレイマー・クレイマー
(ロバート・ベントン)
  • 地獄の黙示録(フランシス・フォード・コッポラ、ジョン・ミリアス)
  • ノーマ・レイ(アーヴィング・ラヴェッチ、ハリエット・フランク・Jr)
  • Mr.レディ Mr.マダム(フランシス・ヴェベール、エドゥアール・モリナロ、マルチェロ・ダノン、ジャン・ポワレ)
  • リトル・ロマンス(アラン・バーンズ)
外国語映画賞 ブリキの太鼓
(西ドイツ)
  • ありふれた愛のストーリー(フランス)
  • ヴィルコの娘たち(ポーランド)
  • ベニスを忘れるため(イタリア)
  • ママは百歳(スペイン)

1970年代

1979 | 1978 | 1977 | 1976 | 1975 | 1974 | 1973 | 1972 | 1971 | 1970 | 

1979年(第51回)

  • ■ 作品賞:
    「ディア・ハンター」
  • ■ 最多受賞:
    「ディア・ハンター」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ディア・ハンター」(9個)
    「天国から来たチャンピオン」(9個)

3年前に終結したベトナム戦争を題材にした「ディア・ハンター」が作品賞を受賞。監督賞(マイケル・チミノ)、助演男優賞(クリストファー・ウォーケン)、編集賞、音響賞の計5冠に輝いた。同じくベトナム戦争を描いた「帰郷」が主要部門で3冠(主演男優、主演女優、脚本)。

1979年 | 1978年↓

1979年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ディア・ハンター」

ディア・ハンター

【配信:アマゾン

監督:マイクル・チミノ

戦争の狂気を容赦なく暴いた。3時間余の大作。

米ペンシルベニアの鉄工所で働く3人の若者たちが、ベトナム戦争に徴兵される。故郷での幸せな日々から一転、ベトナム戦争での恐ろしい体験を経て心を病んでいく若者たちの姿を描く。哀愁に満ちた叙事詩でもある。

ベトナム戦争の終結から3年後に公開された。同じく作品賞ノミネート「帰郷」、翌年の作品賞ノミネート「地獄の黙示録」(フランシス・コッポラ監督)とともに、本格的なベトナム戦争映画のパイオニアとなった。

1970年代のハリウッドで流行した「男たちのメロドラマ」(バディ・フィルム)の究極とも評された。

<予告編▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 マイクル・チミノ
(ディア・ハンター)

※「ダーティハリー2」の脚本家の一人だった。主演のクリント・イーストウッドにその才能を買われて、イーストウッドが主演する「サンダーボルト」に監督に起用された。本作は監督2作目だった。
  • ウディ・アレン(インテリア)
  • ハル・アシュビー(帰郷)
  • ウォーレン・ベイティ、バック・ヘンリー(天国から来たチャンピオン)
  • アラン・パーカー(ミッドナイト・エクスプレス)
主演男優賞 ジョン・ボイト
(帰郷)
  • ロバート・デ・ニーロ(ディア・ハンター)
  • ウォーレン・ビーティ(天国から来たチャンピオン)
  • ゲイリー・ビジー(バディ・ホリー・ストーリー)
  • ローレンス・オリヴィエ(ブラジルから来た少年)
主演女優賞 ジェーン・フォンダ
(帰郷)
  • イングリッド・バーグマン(秋のソナタ)
  • ジェラルディン・ペイジ(インテリア)
  • ジル・クレイバーグ(結婚しない女)
  • エレン・バースティン(セイム・タイム、ネクスト・イヤー)
助演男優賞 クリストファー・ウォーケン
(ディア・ハンター)
  • リチャード・ファーンズワース(カムズ・ア・ホースマン)
  • ブルース・ダーン(帰郷)
  • ジャック・ウォーデン(天国から来たチャンピオン)
  • ジョン・ハート(ミッドナイト・エクスプレス)
助演女優賞 マギー・スミス
(カリフォルニア・スイート)
  • モーリン・ステイプルトン(インテリア)
  • ペネロープ・ミルフォード(帰郷)
  • メリル・ストリープ(ディア・ハンター)
  • ダイアン・キャノン(天国から来たチャンピオン)
脚本賞 帰郷
(ロバート・C・ジョーンズ、ウォルド・ソルト、ナンシー・ダウド)
  • 秋のソナタ(イングマール・ベルイマン)
  • インテリア(ウディ・アレン)
  • 結婚しない女(ポール・マザースキー)
  • ディア・ハンター(マイケル・チミノ、デリック・ウォッシュバーン、ルイス・ガーフィンクル、クイン・K・レデカー)
脚色賞 ミッドナイト・エクスプレス
(オリヴァー・ストーン)
  • 愛の断層(ウォルター・ニューマン)
  • カリフォルニア・スイート(ニール・サイモン)
  • セイム・タイム、ネクスト・イヤー(バーナード・スレード)
  • 天国から来たチャンピオン(ウォーレン・ベイティ、エレイン・メイ)
外国語映画賞 ハンカチのご用意を
(フランス)
  • ガラスの独房(西ドイツ)
  • 黒い耳の白い犬(ソビエト連邦)
  • 新怪物たち(イタリア)
  • ハンガリアン(ハンガリー)

1978年(第50回)

  • ■ 作品賞:
    「アニー・ホール」
  • ■ 最多受賞:
    「スター・ウォーズ」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ジュリア」(11個)
    「愛と喝采の日々」(11個)

記念すべき50回目。ウディ・アレン監督の「アニー・ホール」が作品賞を制した。監督賞、主演女優賞(ダイアン・キートン)、脚本賞も獲り、主要4部門を獲得。

革新的なSF映画「スター・ウォーズ」が作品賞と監督賞を含む10部門にノミネートされた。視覚効果賞、編集賞、作曲賞など6部門を制圧。最多の受賞数となった。

スティーブン・スピルバーグ監督の「未知との遭遇」は、監督賞を含むに9部門ノミネートを達成。このうち撮影賞と特別賞(音響効果)に輝いた。

1979年↑ | 1978年 | 1977年↓

1978年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「アニー・ホール」

アニー・ホール

【配信:アマゾン

監督:ウディ・アレン

恋愛コメディ映画。際どいジョークやウイットに富んだ会話が魅力。アレン監督が主演も務めた。

作品賞のほか、監督、主演女優(ダイアン・キートン)、脚本を獲り、主要4部門を制した。

ニューヨークのユダヤ系コメディアンが主人公。アレン監督の分身のようなキャラクターだ。女優の卵で歌手を志すアニー・ホール(ダイアン・キートン)と出会い、同棲を始める。だが、うまくいかない。

アレン監督は1935年ニューヨーク生まれ。コメディアンから俳優となり、1960年代末から監督も務める。本作の公開当時42歳だった。他の代表作は「ハンナとその姉妹」「カイロの紫のバラ」など。

当時、アレン監督と主演ダイアン・キートンは私生活でも恋愛関係にあった。その後、アレンは女優ミア・ファローと恋愛関係となり、ローナン・ファローらの子供をもうけた。しかし、関係が破綻し、ファローとの間の養女だったスン・イーと1996年に結婚した。

この年は、革新的なSF映画の名作「スター・ウォーズ」も作品賞にノミネートされた。多くの映画ファンが応援したが、大人向けのアニー・ホールに軍配が上がった。それでもスター・ウォーズは7部門の最多勝利を収めた。

<予告編▼>


 U-NEXT→

 説明ページ→
監督賞 ウディ・アレン
(アニー・ホール)
  • ハーバート・ロス(愛と喝采の日々)
  • フレッド・ジンネマン(ジュリア)
  • ジョージ・ルーカス(スター・ウォーズ)
  • スティーヴン・スピルバーグ(未知との遭遇)
主演男優賞 リチャード・ドライファス
(グッバイガール)
  • ウディ・アレン(アニー・ホール)
  • リチャード・バートン(エクウス)
  • ジョン・トラヴォルタ(サタデー・ナイト・フィーバー)
  • マルチェロ・マストロヤンニ(特別な一日)
主演女優賞 ダイアン・キートン
(アニー・ホール)
  • アン・バンクロフト(愛と喝采の日々)
  • シャーリー・マクレーン(愛と喝采の日々)
  • マーシャ・メイソン(グッバイガール)
  • ジェーン・フォンダ(ジュリア)
助演男優賞 ジェイスン・ロバーズ
(ジュリア)
  • ミハイル・バリシニコフ(愛と喝采の日々)
  • ピーター・ファース(エクウス)
  • マクシミリアン・シェル(ジュリア)
  • アレック・ギネス(スター・ウォーズ)
助演女優賞 ヴァネッサ・レッドグレイブ
(ジュリア)
  • レスリー・ブラウン(愛と喝采の日々)
  • クィン・カミングス(グッバイガール)
  • チューズデイ・ウェルド(ミスター・グッドバーを探して)
  • メリンダ・ディロン(未知との遭遇)
脚本賞 アニー・ホール
(ウディ・アレン、マーシャル・ブリックマン)

※2015年の全米脚本家組合(WGA)の投票で「史上最も面白い脚本」に選ばれた。際どいジョークやウイットに富んだ会話が魅力。
  • 愛と喝采の日々(アーサー・ローレンツ)
  • グッバイガール(ニール・サイモン)
  • スター・ウォーズ(ジョージ・ルーカス)
  • レイト・ショー(ロバート・ベントン)
脚色賞 ジュリア
(アルヴィン・サージェント)
  • エクウス(ピーター・シェイファー)
  • オー!ゴッド(ラリー・ゲルバート)
  • 欲望のあいまいな対象(ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール)
  • I Never Promised You a Rose Garden(ギャヴィン・ランバート、ルイス・ジョン・カリーノ)
外国語映画賞 これからの人生
(フランス)
  • イフゲニア(ギリシャ)
  • サンダーボルト救出作戦(イスラエル)
  • 特別な一日(イタリア)
  • 欲望のあいまいな対象(スペイン)
195

1977年(第49回)

  • ■ 作品賞:
    「ロッキー」
  • ■ 最多受賞:
    「大統領の陰謀」(4部門)
    「ネットワーク」(4部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「ネットワーク」(10個)
    「ロッキー」(10個)

アメリカ建国200周年の開催。秀作ぞろいの争いとなった。作品賞を制したのは、無名の俳優シルベスター・スタローン主演の低予算映画「ロッキー」。監督賞と編集賞も獲り、3冠。

作品賞を逃した「大統領の陰謀」と「ネットワーク」は、最多となる4部門で受賞した。

マーティン・スコセッシ監督の代表作となった「タクシードライバー」は、作品賞など4部門ノミネートながら無冠に終わった。

1978年↑ | 1977年 | 1976年↓

1977年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ロッキー」

ロッキー

【配信:アマゾン

監督:ジョン・G・アビルドセン

アメリカン・ドリ一ム的な映画が、アメリカ建国200年の年のオスカーを制した。

落ち目のボクサーの挑戦を描くボクシング映画。

4回戦ボーイのボクサーが世界チャンピオンと対戦することになり、人生をかけてリングに上がる。

無名の俳優だったシルベスター・スタローンが、脚本を書き、映画会社に売り込んだ。映画会社は、有名な俳優を主演に起用することを望んだが、スタローンは自分が主演するという点を譲らなかった。

スタローンは公開当時30歳。製作費は100万ドルという低予算だったが、興行収入はその20倍以上の2億2500万ドルにのぼった。映画の成功物語が、そのままアメリカン・ドリ一ムの体現となった。

この年のオスカーは豊作だった。作品賞ノミネートの「大統領の陰謀」「タクシードライバー」「ネットワーク」はいずれも歴史的な名作として高い評価を得ている。

<予告編▼>


<テーマ曲▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 ジョン・G・アヴィルドセン
(ロッキー)
  • イングマール・ベルイマン(鏡の中の女)
  • リナ・ウェルトミューラー(セブン・ビューティーズ)
  • アラン・J・パクラ(大統領の陰謀)
  • シドニー・ルメット(ネットワーク)
主演男優賞 ピーター・フィンチ
(ネットワーク)
  • ジャンカルロ・ジャンニーニ(セブン・ビューティーズ)
  • ロバート・デ・ニーロ(タクシードライバー)
  • ウィリアム・ホールデン(ネットワーク)
  • シルヴェスター・スタローン(ロッキー)
主演女優賞 フェイ・ダナウェイ
(ネットワーク)
  • リヴ・ウルマン(鏡の中の女)
  • シシー・スペイセク(キャリー)
  • マリー=クリスティーヌ・バロー(さよならの微笑)
  • タリア・シャイア(ロッキー)
助演男優賞 ジェイスン・ロバーズ
(大統領の陰謀)
  • ネット・ビーティ(ネットワーク)
  • ローレンス・オリヴィエ(マラソンマン)
  • バージェス・メレディス(ロッキー)
  • バート・ヤング(ロッキー)
助演女優賞 ビアトリス・ストレイト
(ネットワーク)
  • パイパー・ローリー(キャリー)
  • リー・グラント(さすらいの航海)
  • ジェーン・アレクサンダー(大統領の陰謀)
  • ジョディ・フォスター(タクシードライバー)
脚本賞 ネットワーク
(パディ・チャイエフスキー)
  • ウディ・アレンの ザ・フロント(ウォルター・バーンスタイン)
  • さよならの微笑(ジャン=シャルル・タケラ、ダニエル・トンプソン)
  • セブン・ビューティーズ(リナ・ウェルトミューラー)
  • ロッキー(シルヴェスター・スタローン)
脚色賞 大統領の陰謀
(ウィリアム・ゴールドマン)
  • ウディ・ガスリー/わが心のふるさと(ロバート・ゲッチェル)
  • カサノバ(フェデリコ・フェリーニ、ベルナルディーノ・ザッポーニ)
  • さすらいの航海(スティーヴ・シェイガン、デヴィッド・バトラー)
  • シャーロック・ホームズの素敵な挑戦(ニコラス・メイヤー)
外国語映画賞 ブラック・アンド・ホワイト・イン・カラー
(コートジボワール)
  • 嘘つきヤコブ(東ドイツ)
  • さよならの微笑(フランス)
  • セブン・ビューティーズ(イタリア)
  • 夜と昼(ポーランド)

1976年(第48回)

  • ■ 作品賞:
    「カッコーの巣の上で」
  • ■ 最多受賞:
    「カッコーの巣の上で」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「カッコーの巣の上で」(9個)
  • ■ 日本人の受賞:
    黒澤明監督「デルス・ウザーラ」=外国語映画賞

「カッコーの巣の上で」が、作品賞を受賞した。監督、脚色、主演男優、主演女優も獲り、主要5部門の独占となった。1935年の「或る夜の出来事」以来、41年ぶりの快挙。

黒澤明監督の「デルス・ウザーラ」(ソ連映画)が、外国語映画賞を受賞した。

スティーブン・スピルバーグ「ジョーズ」が作品賞にノミネート。編集、作曲、音響の3部門で受賞を果たした。

日本で初めて授賞式がテレビ放映された。 フジテレビによる首都圏だけの放送だった。1時間半の枠。しかも、授賞式から日数が経ってからの録画だった。アカデミー賞の認知度は低く、スポンサーがつかずに苦労したという。

1977年↑ | 1976年 | 1975年↓

1976年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「カッコーの巣の上で」

カッコーの巣の上で

【配信:アマゾン

監督:ミロス・フォアマン

架空の精神病院を舞台に、管理社会の人間抑圧と支配、そしてそれに対する抵抗を描いた。

原作はケン・キージー(1935~2001年)の同名の小説。1962年に発表され、若者たちの支持を得てベストセラーになった。

ブロードウェー公演で主演した俳優のカーク・ダグラスが映画化権を獲得したが、精神病院を舞台にした映画会社が二の足を踏み、プロジェクトが難航した。権利を譲り受けた息子の俳優マイケル・ダグラスが、共同製作者になり、原作発表から13年後に映画が完成した。

ミロス・フォアマン監督は旧チェコスロバキア出身。ソ連(現ロシア)による強権支配を嫌い、アメリカに移住した。

ジャック・ニコルソンと冷酷な看護師長を演じたルイーズ・フレッチャーが、ともに主演賞を受賞。監督賞と脚色賞も獲り、主要5部門を独占した。1935年の「或る夜の出来事」以来、41年ぶりの快挙。

ノミネート作品も個性豊かな顔ぶれだった。

<予告編▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 ミロシュ・フォアマン
(カッコーの巣の上で)
  • シドニー・ルメット(狼たちの午後)
  • ロバート・アルトマン(ナッシュビル)
  • スタンリー・キューブリック(バリー・リンドン)
  • フェデリコ・フェリーニ(フェリーニのアマルコルド)
主演男優賞 ジャック・ニコルスン
(カッコーの巣の上で)
  • アル・パチーノ(狼たちの午後)
  • ウォルター・マッソー(サンシャイン・ボーイズ)
  • ジェームズ・ホイットモア(Give'em Hell, Harry!)
  • マクシミリアン・シェル(The Man in the GlassBooth)
主演女優賞 ルイーズ・フレッチャー
(カッコーの巣の上で)
  • イザベル・アジャーニ(アデルの恋の物語)
  • アン=マーグレット(Tommy/トミー)
  • グレンダ・ジャクソン(Hedda)
  • キャロル・ケイン(Hester Street)
助演男優賞 ジョージ・バーンズ
(ニール・サイモンのサンシャイン・ボーイズ)
  • バージェス・メレディス(イナゴの日)
  • クリス・サランドン(狼たちの午後)
  • ブラッド・ドゥーリフ(カッコーの巣の上で)
  • ジャック・ウォーデン(シャンプー)
助演女優賞 リー・グラント
(シャンプー)
  • ブレンダ・ヴァッカロ(いくたびか美しく燃え)
  • シルヴィア・マイルズ(さらば愛しき女よ)
  • リリー・トムリン(ナッシュビル)
  • ロニー・ブレイクリー(ナッシュビル)
脚本賞 狼たちの午後
(フランク・ピアソン)
  • シャンプー(ウォーレン・ビーティ、ロバート・タウン)
  • フェリーニのアマルコルド(フェデリコ・フェリーニ、トニーノ・グエッラ)
  • マイ・ラブ(クロード・ルルーシュ、ピエール・ユイッテルヘーベン)
  • Lies My Father Told Me(テッド・アラン)
脚色賞 カッコーの巣の上で
(ローレンス・ホーベン、ボー・ゴールドマン)
  • 王になろうとした男(ジョン・ヒューストン、グラディス・ヒル)
  • サンシャイン・ボーイズ(ニール・サイモン)
  • バリー・リンドン(スタンリー・キューブリック)
  • Profumo di donna(ディノ・リージ、ルッジェロ・マッカリ)
外国語映画賞 デルス・ウザーラ
(ソ連)※監督は、日本の黒澤明
  • 女の香り(イタリア)
  • サンダカン八番娼館 望郷(日本)
  • 約束の土地(ポーランド)
  • Actas de Marusia(メキシコ)

1975年(第47回)

  • ■ 作品賞:
    「ゴッドファーザーPARTⅡ」
  • ■ 最多受賞:
    「ゴッドファーザーPARTⅡ」(6部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「チャイナタウン」(11個)
    「ゴッドファーザーPARTⅡ」(11個)

「ゴッドファーザー・パート2」が作品、監督、脚色、助演男優(ロバート・デ・ニーロ)など6部門で受賞した。前作「パート1」に続く連続の作品賞という快挙。続編が作品賞を獲るのは史上初だった。

コッポラは前作「1」では監督賞を逃したが、今回は獲った。別の監督作品「カンバセーション…盗聴」でも作品賞にノミネートされ、絶好調だった。

1976年↑ | 1975年 | 1974年↓

1975年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ゴッドファーザーPARTⅡ」

ゴッドファーザーPARTⅡ

【配信:アマゾン

監督:フランシス・フォード・コッポラ

前作「ゴッドファーザー」の続編。2年前のオスカーで圧勝したばかりの前作に続いて作品賞に輝いた。

続編の映画が作品賞を獲るのは初めてだった。この後も、「ロード・オブ・ザ・リング3(王の帰還)」しかない。

また、元の映画と続編の両方が作品賞になった例は、これ以降も存在しない。

前作から3年後の公開となった。前作の主人公(父親)の青年時代(ロバート・デ・ニーロ)と、その息子(アル・パチーノ)の人生を描く。すなわち前作の「前日譚(たん)」と「後日譚」を兼ねている。

前作を上回る一大叙事詩として高く評価された。

16年後に続編「パート3」が製作され、こちらも作品賞、監督賞にノミネートされたが、受賞は逸した。

<予告編▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 動画配信(Amazon吹替版)→

 説明ページ→
監督賞 フランシス・フォード・コッポラ
(ゴッドファーザーPART2)

※前作「1」では監督賞を逃したが、今回は獲った。
  • フランソワ・トリュフォー(映画に愛をこめてアメリカの夜)
  • ジョン・カサヴェテス(こわれゆく女)
  • ロマン・ポランスキー(チャイナタウン)
  • ボブ・フォッシー(レニー・ブルース)
主演男優賞 アート・カーニー
(ハリーとトント)
  • アルバート・フィニー(オリエント急行殺人事件)
  • アル・パチーノ(ゴッドファーザーPART2)
  • ジャック・ニコルソン(チャイナタウン)
  • ダスティン・ホフマン(レニー・ブルース)
主演女優賞 エレン・バースタイン
(アリスの恋)
  • ダイアン・キャロル(愛しのクローディン)
  • ジーナ・ローランズ(こわれゆく女)
  • フェイ・ダナウェイ(チャイナタウン)
  • ヴァレリー・ペリン(レニー・ブルース)
助演男優賞 ロバート・デ・ニーロ
(ゴッドファーザーPART2)
  • マイケル・V・ガッツォ(ゴッドファーザーPART2)
  • リー・ストラスバーグ(ゴッドファーザーPART2)
  • ジェフ・ブリッジス(サンダーボルト)
  • フレッド・アステア(タワーリング・インフェルノ)
助演女優賞 イングリッド・バーグマン
(オリエント急行殺人事件)
  • ダイアン・ラッド(アリスの恋)
  • ヴァレンティナ・コルテーゼ(映画に愛をこめてアメリカの夜)
  • タリア・シャイア(ゴッドファーザーPART2)
  • マデリーン・カーン(ブレージングサドル)
脚本賞 チャイナタウン
(ロバート・タウン)
  • アリスの恋(ロバート・ゲッチェル)
  • 映画に愛をこめて アメリカの夜(フランソワ・トリュフォー、ジャン=ルイ・リシャール、シュザンヌ・シフマン)
  • カンバセーション…盗聴…(フランシス・フォード・コッポラ)
  • ハリーとトント(ポール・マザースキー、ジョッシュ・グリーンフェルド)
脚色賞 ゴッドファーザーPARTII
(フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ)
  • オリエント急行殺人事件(ポール・デーン)
  • ヤング・フランケンシュタイン(ジーン・ワイルダー、メル・ブルックス)
  • レニー・ブルース(ジュリアン・バリー)
  • The Apprenticeship of Duddy Kravitz(モーデカイ・リッチラー、ライオネル・チェトウィンド)
外国語映画賞 フェリーニのアマルコルド
(イタリア)
  • 遠雷(ポーランド)
  • ルシアンの青春(フランス)
  • La Tregua(アルゼンチン)
  • Macskajáték(ハンガリー)

1974年(第46回)

  • ■ 作品賞:
    「スティング」
  • ■ 最多受賞:
    「スティング」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「エクソシスト」(10個)
    「スティング」(10個)

痛快なペテン師映画「スティング」が作品賞、監督賞、脚本賞など7冠。

「エクソシスト」が、ホラー映画としては異例の10部門ノミネートを達成した。「スティング」と並ぶ最多ノミネートだった。作品賞と監督賞にもノミネートされた。このうち、脚色賞と音響賞に輝いた。

1975年↑ | 1974年 | 1973年↓

1974年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「スティング」

スティング

【配信:アマゾン

監督:ジョージ・ロイ・ヒル

詐欺師たちの痛快なゲーム劇。ひねりの効いたストーリー展開が称賛された。悪党から金を奪うため、チンピラたちが次々と繰り出すアイデアも見どころ。大衆的な娯楽性と作家性の両立が素晴らしい。

「明日に向かって撃て!」で1970年作品賞にノミネートされたロイ・ヒルが監督を務めた。明日に向かって撃て!と同じく、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードの黄金俳優コンビを起用した。

ファッション、セット、音楽など、あらゆる要素がスタイリッシュでおしゃれ。テーマ曲「エンターテイナー」も有名。

傑出した興行的成功を収めた。インフレ率などを加味した実質的な興行収入ランキングは、歴代の作品賞映画の中で、「風と共に去りぬ」「サウンド・オブ・ミュージック」「タイタニック」「ベン・ハー」に次いで堂々の4位。

【物語】1936年のシカゴが舞台。ギャングのボスに仲間を殺された詐欺師フッカー(ロバート・レッドフォード)は報復を決意。伝説の賭博師ゴンドーフ(ポール・ニューマン)の助けを借り、大掛かりないかさまに引きずり込んでいく…。

<予告編▼>


<テーマ曲▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
監督賞 ジョージ・ロイ・ヒル
(スティング)

※米ミネアポリス生まれ。エール大で音楽を専攻。第2次世界大戦と朝鮮戦争に従軍した。新聞社勤務などを経て、舞台俳優となる。その後、テレビや舞台の脚本、演出家として活躍。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードが主演した「明日に向って撃て!」(1969年)で一世を風靡。同作は「アメリカン・ニューシネマの傑作」として称賛され、オスカーの作品賞、監督賞にノミネートされた。

おしゃれな作風が特徴。

2002年12月、パーキンソン病の合併症のため、亡くなった。享年80歳だった。
  • ジョージ・ルーカス(アメリカン・グラフィティ)
  • ウィリアム・フリードキン(エクソシスト)
  • イングマール・ベルイマン(叫びとささやき)
  • ジョージ・ロイ・ヒル(スティング)
  • ベルナルド・ベルトルッチ(ラストタンゴ・イン・パリ)
主演男優賞 ジャック・レモン
(セイヴ・ザ・タイガー)
  • ジャック・ニコルソン(さらば冬のかもめ)
  • ロバート・レッドフォード(スティング)
  • アル・パチーノ(セルピコ)
  • マーロン・ブランド(ラストタンゴ・イン・パリ)
主演女優賞 グレンダ・ジャクソン
(ウィークエンド・ラブ)
  • エレン・バースティン(エクソシスト)
  • マーシャ・メイソン(シンデレラ・リバティー/かぎりなき愛)
  • バーブラ・ストライサンド(追憶)
  • ジョアン・ウッドワード(Summer Wishes, Winter Dreams)
助演男優賞 ジョン・ハウスマン
(ペーパー・チェイス)
  • ジェイソン・ミラー(エクソシスト)
  • ランディ・クエイド(さらば冬のかもめ)
  • ジャック・ギルフォード(セイヴ・ザ・タイガー)
  • ヴィンセント・ガーディニア(バング・ザ・ドラム)
助演女優賞 テイタム・オニール
(ペーパー・ムーン)
  • キャンディ・クラーク(アメリカン・グラフィティ)
  • リンダ・ブレア(エクソシスト)
  • マデリーン・カーン(ペーパー・ムーン)
  • シルヴィア・シドニー(Summer Wishes, Winter Dreams)
脚本賞 スティング
(デヴィッド・S・ウォード)
  • アメリカン・グラフィティ(ジョージ・ルーカス、グロリア・カッツ、ウィラード・ハイク)
  • ウィークエンド・ラブ(メルヴィン・フランク、ジャック・ローズ)
  • 叫びとささやき(イングマール・ベルイマン)
  • セイヴ・ザ・タイガー(スティーヴ・シェイガン)
脚色賞 エクソシスト
(ウィリアム・ピーター・ブラッティ)
  • さらば冬のかもめ(ロバート・タウン)
  • セルピコ(ウォルド・ソルト、ノーマン・ウェクスラー)
  • ペーパー・チェイス(ジェームズ・ブリッジス)
  • ペーパー・ムーン(アルヴィン・サージェント)
外国語映画賞 映画に愛をこめて アメリカの夜
(フランス)
  • ルトガー・ハウアー/危険な愛(オランダ)
  • Der Fußgänger(西ドイツ)
  • Ha Bayit Berechov Chelouche(イスラエル)
  • L'Invitation(スイス)

1973年(第45回)

  • ■ 作品賞:
    「ゴッドファーザー」
  • ■ 最多受賞:
    「キャバレー」(8部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「キャバレー」(10個)

世紀の傑作「ゴッドファーザー」が作品賞に輝いた。主演男優賞(マーロン・ブランド)、脚色賞も獲った。

ゴッドファーザーの対抗馬と見られたミュージカル「キャバレー」も健闘し、最多となる8部門を受賞した。

1974年↑ | 1973年 | 1972年↓

1973年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「ゴッドファーザー」

ゴッドファーザー

【配信:アマゾン

監督:フランシス・フォード・コッポラ

濃密な人間ドラマ。マフィア一族の凄絶な抗争と家族の絆を描いた。

コッポラ監督は公開当時32歳。3作ほどの映画で監督を務めたが、どれ一つとしてヒットしていなかった。

しかし、本作ではイタリア系米国人ならではの濃密な家族愛、憎しみの振幅や、後の世代の恋愛、父権、贖罪(しょくざい)意識などを通して、壮大かつ上質な叙情詩に仕上げた。

公開当初は暴力、惨殺シーンが批判を浴びた。その後の暴力映画に比べれば、おとなしいものだが、当時は大きな衝撃だった。

原作は、マリオ・プーゾーの小説。2000万部を超える大ベストセラーとなった。

マーロン・ブランドが主演男優賞。コッポラ個人も監督賞こそ逸したが、脚色賞を獲得した。

哀愁漂うニーノ・ロータ作曲のテーマ曲も人気を集め、一大流行現象になった。

<予告編▼>


<テーマ曲▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 吹替版(Amazon)→

 説明ページ→
監督賞 ボブ・フォッシー
(キャバレー)
  • ヤン・トロエル(移民者たち)
  • フランシス・フォード・コッポラ(ゴッドファーザー)
  • ジョセフ・L・マンキウィッツ(探偵<スルース>)
  • ジョン・ブアマン(脱出)
主演男優賞 マーロン・ブランド
(ゴッドファーザー)
  • ポール・ウィンフィールド(サウンダー)
  • ローレンス・オリヴィエ(探偵<スルース>)
  • マイケル・ケイン(探偵<スルース>)
  • ピーター・オトゥールTheRulingClass)
主演女優賞 ライザ・ミネリ
(キャバレー)
  • リヴ・ウルマン(移民者たち)
  • シシリー・タイソン(サウンダー)
  • ダイアナ・ロス(ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実)
  • マギー・スミス(Travels with My Aunt)
助演男優賞 ジョエル・グレイ
(キャバレー)
  • ジェームズ・カーン(ゴッドファーザー)
  • ロバート・デュヴァル(ゴッドファーザー)
  • アル・パチーノ(ゴッドファーザー)
  • エディ・アルバート(ふたり自身)
助演女優賞 アイリーン・ヘッガート
(バタフライはフリー)
  • ジェラルディン・ペイジ(おかしな結婚)
  • スーザン・ティレル(ゴングなき戦い)
  • ジーニー・バーリン(ふたり自身)
  • シェリー・ウィンタース(ポセイドン・アドベンチャー)
脚本賞 候補者ビル・マッケイ
(ジェレミー・ラーナー)
  • 好奇心(ルイ・マル)
  • 戦争と冒険(カール・フォアマン)
  • ビリー・ホリディ物語/奇妙な果実(テレンス・マックロイ、クリス・クラーク、スザンヌ・ド・パッシー)
  • ブルジョワジーの秘かな愉しみ(ルイス・ブニュエル、ジャン=クロード・カリエール)
脚色賞 ゴッドファーザー
(フランシス・フォード・コッポラ、マリオ・プーゾ)
  • 移民者たち(ヤン・トロエル、ベント・フォルスランド)
  • おかしな結婚(ジュリアス・J・エプスタイン)
  • キャバレー(ジェイ・プレッソン・アレン)
  • サウンダー(ロン・エルダー三世)
外国語映画賞 ブルジョワジーの秘かな愉しみ
(フランス)
  • A zori zdes tikhie(ソビエト連邦)
  • Ani Ohev Otach Rosa(イスラエル)
  • Mi querida señorita(スペイン)
  • Nybyggarna(スウェーデン)

1972年(第44回)

  • ■ 作品賞:
    「フレンチ・コネクション」
  • ■ 最多受賞:
    「フレンチ・コネクション」(5部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「屋根の上のバイオリン弾き」(8個)
    「フレンチ・コネクション」(8個)
    「ラスト・ショー」(8個)

刑事アクション劇「フレンチ・コネクション」が作品賞に輝いた。監督、主演男優(ジーン・ハックマン)、脚色、編集も獲って5冠。

キューブリック監督が「2001年宇宙の旅」の次に撮った「時計じかけのオレンジ」が、作品賞など4部門にノミネートされたが、無冠だった。

1973年↑ | 1972年 | 1971年↓

1972年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「フレンチ・コネクション」

フレンチ・コネクション

【配信:アマゾン

監督:ウイリアム・フリードキン

※刑事アクション映画。手に汗握る緊迫感にあふれる秀作。すさまじいカーチェイスのシーンが有名。

作品賞に加えて、監督賞(ウィリアム・フリードキン)、主演男優賞(ジーン・ハックマン)など計5部門を受賞した。

1961年にニューヨークで実際に起きた史上最大の麻薬密輸事件を題材にした。映像がリアル。時間の流れもリアル。意外性のある展開で飽きさせない。ドキュメンタリー的な撮影・編集が見どころ。移動撮影も絶賛された。犯罪都市の一面を見事にえぐり出した。

<予告編▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→
監督賞 ウイリアム・フリードキン
(フレンチ・コネクション)
  • スタンリー・キューブリック(時計じかけのオレンジ)
  • ジョン・シュレンジャー(日曜日は別れの時)
  • ノーマン・ジュイソン(屋根の上のバイオリン弾き)
  • ピーター・ボグダノヴィッチ(ラスト・ショー)
主演男優賞 ジーン・ハックマン
(フレンチ・コネクション)
  • ウォルター・マッソー(コッチおじさん)
  • ピーター・フィンチ(日曜日は別れの時)
  • ジョージ・C・スコット(ホスピタル)
  • トポル(屋根の上のバイオリン弾き)
主演女優賞 ジェーン・フォンダ
(コールガール)
  • ジュリー・クリスティ(ギャンブラー)
  • ヴァネッサ・レッドグレイヴ(クイン・メリー/愛と悲しみの生涯)
  • ジャネット・サズマン(ニコライとアレクサンドラ)
  • グレンダ・ジャクソン(日曜日は別れの時)
助演男優賞 ベン・ジョンスン
(ラスト・ショー)
  • リチャード・ジャッケル(オレゴン大森林/わが緑の大地)
  • ロイ・シャイダー(フレンチ・コネクション)
  • レナード・フレイ(屋根の上のバイオリン弾き)
  • ジェフ・ブリッジス(ラスト・ショー)
助演女優賞 クロリス・リーチマン
(ラスト・ショー)
  • アン=マーグレット(愛の狩人)
  • バーバラ・ハリス(ケラーマン)
  • マーガレット・レイトン(恋)
  • エレン・バースティン(ラスト・ショー)
脚本賞 ホスピタル
(パディ・チャイエフスキー)
  • おもいでの夏(ハーマン・ローチャー)
  • コールガール(アンディ・ルイス、デイヴ・ルイス)
  • 殺人捜査(ウーゴ・ピロ、エリオ・ペトリ)
  • 日曜日は別れの時(ペネロープ・ギリアット)
脚色賞 フレンチ・コネクション
(アーネスト・タイディマン)
  • 暗殺の森(ベルナルド・ベルトルッチ)
  • 悲しみの青春(ヴィットリオ・ボニチェリ、ウーゴ・ピロ)
  • 時計じかけのオレンジ(スタンリー・キューブリック)
  • ラスト・ショー(ピーター・ボグダノヴィッチ、ラリー・マクマートリー)
外国語映画賞 悲しみの青春
(イタリア)
  • 移民者たち(スウェーデン)
  • チャイコフスキー(ソビエト連邦)
  • どですかでん(日本)
  • Ha Shoter Azulai(イスラエル)

1971年(第43回)

  • ■ 作品賞:
    「パットン大戦車軍団」
  • ■ 最多受賞:
    「パットン大戦車軍団」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「大空港」(10個)
    「パットン大戦車軍団」(10個)

アメリカの第二次世界大戦の英雄を描く「パットン大戦車軍団」が、作品賞、監督賞、主演男優賞など7冠。圧勝だった。

前哨戦のゴールデングローブ賞ではドラマ作品賞を「ある愛の詩(うた)」、コメディ作品賞を「マッシュ」が獲っており、混戦模様だった。

1972年↑ | 1971年 | 1970年↓

1971年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「パットン大戦車軍団」

パットン大戦車軍団

【配信:アマゾン

監督:フランクリン・J・シャフナー

戦争スペクタクル。第二次世界大戦の米国の英雄パットン将軍の伝記。 偏屈で激情家ながら、優れた戦略家として活躍した人物の人生をダイナミックに描いた。

若き日のコッポラが脚本に参加し、脚本賞を受賞した。本物の戦車や多数のエキストラを動員して撮った大ロケーションは迫力満点。

主演のジョージ・C・スコットは、ノミネートの段階から拒否していたが、それでも主演男優賞を受賞し、辞退して大きな話題になった。

【物語】第二次世界大戦中の1943年の北アフリカ・チュニジア。米軍は独軍との初戦に完敗し、新たな司令官に激情型のパットンを送り込む。パットンは副官に冷静沈着なブラッドリー将軍(カール・マルデン)を採用し、エル・ゲッターの戦い、シチリア島攻略で戦果をあげた。だが、ノイローゼの兵士を殴り、欧州上陸を前に司令官を解任される。その後、再び前線へと戻ったパットンは、破竹の勢いでベルリンを目指した。

<予告編▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→

 説明ページ→
  • 「ある愛の詩(うた)」
    監督:アーサー・ヒラー
    ※日本でも大成功した純愛映画。甘美な音楽も人気を集めた。
     予告編(Amazonビデオ)→
  • 「M★A★S★H マッシュ」
    監督:ロバート・アルトマン
    ※風刺のきいた戦争コメディ
  • 「大空港」
    監督:ジョージ・シートン
     予告編(Amazonビデオ)→
    ※旅客機パニック劇。豪華キャスト。
  • 「ファイブ・イージー・ピーセス」
    監督:ボブ・ラフェルソン
     予告編(Amazonビデオ)→
監督賞 フランクリン・J・シャフナー
(パットン大戦車軍団)
  • アーサー・ヒラー(ある愛の詩)
  • ケン・ラッセル(恋する女たち)
  • フェデリコ・フェリーニ(サテリコン)
  • ロバート・アルトマン(M★A★S★Hマッシュ)
主演男優賞 ジョージ・C・スコット
(パットン大戦車軍団)
  • ライアン・オニール(ある愛の詩)
  • メルヴィン・ダグラス(父の肖像)
  • ジャック・ニコルソン(ファイブ・イージー・ピーセス)
  • ジェームズ・アール・ジョーンズ(ボクサー)
主演女優賞 グレンダ・ジャクソン
(恋する女たち)
  • アリ・マッグロー(ある愛の詩)
  • ジェーン・アレクサンダー(ボクサー)
  • サラ・マイルズ(ライアンの娘)
  • キャリー・スノッドグレス(わが愛は消え去りて)
助演男優賞 ジョン・ミルズ
(ライアンの娘)
  • ジョン・マーレイ(ある愛の詩)
  • チーフ・ダン・ジョージ(小さな巨人)
  • ジーン・ハックマン(父の肖像)
  • リチャード・カステラーノ(ふたりの誓い)
助演女優賞 ヘレン・ヘイズ
(大空港)
  • モーリン・ステイプルトン(大空港)
  • カレン・ブラック(ファイブ・イージー・ピーセス)
  • サリー・ケラーマン(M★A★S★Hマッシュ)
  • リー・グラント(真夜中の青春)
脚本賞 パットン大戦車軍団
(フランシス・フォード・コッポラ、エドマンド・H・ノース)
  • ある愛の詩(エリック・シーガル)
  • ジョー(ノーマン・ウェクスラー)
  • ファイブ・イージー・ピーセス(ボブ・ラフェルソン、エイドリアン・ジョイス)
  • モード家の一夜(エリック・ロメール)
脚色賞 M★A★S★Hマッシュ
(リング・ラードナー・Jr)
  • 恋する女たち(ラリー・クレイマー)
  • 大空港(ジョージ・シートン)
  • 父の肖像(ロバート・アンダーソン)
  • ふたりの誓い(レニー・テイラー、ジョセフ・ボローニャ、デヴィッド・Z・グッドマン)
外国語映画賞 殺人捜査
(イタリア)
  • 哀しみのトリスターナ(スペイン)
  • 初恋(スイス)
  • ホア・ビン(フランス)
  • Paix sur les champs(ベルギー)

1970年(第42回)

  • ■ 作品賞:
    「真夜中のカーボーイ」
  • ■ 最多受賞:
    「明日に向って撃て!」(7部門)
  • ■ 最多ノミネート:
    「1000日のアン」(10個)

テキサスからニューヨークにやって来た若者の挫折を描いた「真夜中のカーボーイ」が、作品賞を受賞した。有力候補「明日に向って撃て!」をおさえての勝利だった。監督賞、脚色賞も獲って3冠だった。「明日に向って撃て!」は脚本賞など最多7冠に輝いた。

「真夜中のカーボーイ」「明日に向って撃て!」はいずれも、1960年代後半から盛り上がった「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。

1971年↑ | 1970年 | 1969年→

1970年
部門 受賞 ノミネート
作品賞 「真夜中のカーボーイ」

真夜中のカーボーイ

【配信:アマゾン

監督:ジョン・シュレシンジャー

辛ロの青春ドラマ。勧善懲悪や大団円(ハッピーエンド)の伝統的映画とは一線を画す「アメリカン・ニューシネマ」の代表作。

カウボーイと詐欺師の2人の男が、都会からはじき出されていく様が、暗いトーンで語られる。

明るいタッチの有力作「明日に向って撃て!」をおさえた。

主演のジョン・ボイド、ダスティン・ホフマンのアンチヒーローぶりも見どころ。ニルソンの主題歌「うわさの男」もヒットした

【物語】テキサスの田舎町のカウボーイ青年ジョーは、「都会で金持ちの女たちに食わせてもらう」という夢を抱き、ニューヨークへやってくる。しかし、苦い現実に直面する。路上に立って同性愛者たちに身を売る“真夜中のカウボーイ”にまで転落してしまう。そんなとき、肺を病み、足の不自由なラッツォが手を差しのべる。

<予告編▼>


 動画配信(Amazon字幕版)→
  • 「明日に向って撃て!」
    監督:ジョージ・ロイ・ヒル
     予告編(Amazonビデオ)→
  • 「Z」
    監督:コンスタンタン・コスタ=ガヴラス
     予告編(字幕なし)→
  • 「1000日のアン」
    監督:チャールズ・ジャロット
  • 「ハロー・ドーリー!」
    監督:ジーン・ケリー
監督賞 ジョン・シュレシンジャー
(真夜中のカーボーイ)

※1926年、英国ロンドン生まれ。オックスフォード大を卒業。英国人らしい繊細で知的なタッチの作品群でユニークな地位を築いた。 膨大な予算とハッピーエンドといったハリウッド型の大作とは一線を画し、社会の暗部や人間味を描き通した。同性愛者として知られる。享年77歳。
  • ジョージ・ロイ・ヒル(明日に向って撃て!)
  • アーサー・ペン(アリスのレストラン)
  • コスタ=ガヴラス(Z)
  • シドニー・ポラック(ひとりぼっちの青春)
主演男優賞 ジョン・ウェイン
(勇気ある追跡)
  • リチャード・バートン(1000日のアン)
  • ピーター・オトゥール(チップス先生さようなら)
  • ジョン・ヴォイト(真夜中のカーボーイ)
  • ダスティン・ホフマン(真夜中のカーボーイ)
主演女優賞 マギー・スミス
(ミス・ブロディの青春)
  • ライザ・ミネリ(くちづけ)
  • ジュヌヴィエーヴ・ビジョルド(1000日のアン)
  • ジーン・シモンズ(ハッピーエンド/幸せの彼方に)
  • ジェーン・フォンダ(ひとりぼっちの青春)
助演男優賞 ギグ・ヤング
(ひとりぼっちの青春)
  • ジャック・ニコルソン(イージー・ライダー)
  • ルパート・クロス(華麗なる週末)
  • アンソニー・クエイル(1000日のアン)
  • エリオット・グールド(ボブ&キャロル&テッド&アリス)
助演女優賞 ゴールディ・ホーン
(サボテンの花)
  • キャシー・バーンズ(去年の夏)
  • スザンナ・ヨーク(ひとりぼっちの青春)
  • ダイアン・キャノン(ボブ&キャロル&テッド&アリス)
  • シルヴィア・マイルズ(真夜中のカーボーイ)
脚本賞 明日に向って撃て!
(ウィリアム・ゴールドマン)
  • イージー・ライダー(ピーター・フォンダ、デニス・ホッパー、テリー・サザーン)
  • 地獄に堕ちた勇者ども(ルキノ・ヴィスコンティ、ニコラ・バダルッコ、エンリコ・メディオーリ)
  • ボブ&キャロル&テッド&アリス(ポール・マザースキー、ラリー・タッカー)
  • ワイルドバンチ(サム・ペキンパー、ウォロン・グリーン、ロイ・N・シックナー)
脚色賞 真夜中のカーボーイ
(ウォルド・ソルト)
  • さよならコロンバス(アーノルド・シュルマン)
  • 1000日のアン(ジョン・ヘイル、ブリジット・ボランド、リチャード・ソコラヴ)
  • Z(コスタ=ガヴラス、ホルヘ・センプラン)
  • ひとりぼっちの青春(ジェームズ・ポー、ロバート・E・トンプソン)
外国語映画賞 Z
(アルジェリア)
  • カラマーゾフの兄弟(ソビエト連邦)
  • ネレトバの戦い(ユーゴスラビア)
  • モード家の一夜(フランス)
  • Ådalen '31(スウェーデン)